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EU の地球温暖化対策 :その推移 と政治学的関心

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長崎大学総合環境研究 第 5 巻 第 2 号 pp.21‑31 2 0 0 3 年 7 月

EU の地球温暖化対策 :その推移 と政治学的関心

和達 容子

TheEur ope an Uni o n ( EU)hasde v e l ope di t sc l i mat ec hangepol i c y s i nc e1 9 8 0 ' sandal s ot r i e dt o e s t abl i s ht hei nt e r nat i o nalr e gl meagai ns tt hegl obalwar ml ng.TheEU,howe v e r ,hasunl quei ns t i t u‑

t i onalc har ac t e r sandpol i t i c alc i r c ums t anc e sc o ml ngf r om t heEur ope anI nt e gr at i o n,whi c hc ons t r ai n i t sc apabi l i t yt opl ayal e ade r s hi pr ol ei nt hei nt e r nat i o nalar e na.I nt hi ss i t uat i on,mor eanal ys e son t heEU e nv i r onme nt aldi pl omac ywi l lbene e de dt oc ons i de rt heEU' sc ont r i but i ont ot hegl obalpr oc ‑ e s soft ac kl i ngc l i mat ec hange .

1,は じめに

地球環境問題の解決は、汚染 に関わるすべての関 係者が対策をとらなければ効果がないことから,法 ・ 政治的には,国際社会が問題 を認識 し,対策に合意 することが必須の条件 となる。これらの国際的な合意 は,科学的証拠に基づいて速やかに行われることもあ るが,発生メカニズムや被害に関する認識を共有でき ず難航することが多い。地球温暖化 問題はその最た るもので,開発の必要性や国際経済競争力の維持 と いった各 国の譲 りがたい利益 も複雑 に絡み,京都議 定書の採択およびその批准は政治問題 と化 している 。

2 0 01 年 3 月には,温室効果ガスの最大排 出国である 米国が京都議定書からの離脱 を表明 し,国際社会の 取 り組みは水泡に帰すかと危ぶまれた

日本はこの事 態に対 し 「 米国の参加 なくして対策の効果は期待 出 来ない」 として,彼 らの説得 を重視する考えを示 して きた。 しかしながら,その後国際社会の目は,米国の 参加 を待 って自らの批准意思 を明確 に示 さない 日本 にも向けられた。 この状況下, 日本は 2 0 01 年 7 月の COP6 再開会合で米 国を待たず しての批准へ と方 針 を転換するのである 。

このとき,米国抜 き発効をも辞 さずの意思をいち早 く表明 し,日本へ批准 を積極的に呼びかけたのが欧州 連合 ( EU) であった1 。米国が京都議定書を批准 し ない状態において,残 りの付属書 Ⅰ国,・ とりわけ,今 までの国際交渉に主導権をとろうと努力 してきたEU 諸国の方針 と対策が国際社会の動向に与える影響は 無視できない。EUは,一つの国家 としての体裁 を整

受領年月 日 2 0 0 3 ( 平成 1 5 ) 年 1 月 1 0 日 受理年月 日 2 0 0 3 ( 平成 1 5 ) 年 4 月 4 日

えてはいないが,1 5 の国家 を包含する国際機構 として 地球温暖化問題 に関する対策 を取 りまとめ,国際交 渉にも参加 し,条約の締約主体 ともなってきた。EU は,地域的国際機構 として,この問題の解決に対 しど のような取 り組みを見せてきたのだろうか。本稿 にお いては ,EUが構築 してきた地球温暖化対策を概観 し, EUによる当該問題解決 における可能性 と限界 を今 後分析す るにあたっての論点 を検討 してい きたい。

2

.

EU の地球温暖化対策の推移 :欧州委員会 コミュ ニケーション資料 を中心に

(1)問題への注 目か ら京都議定書採択 まで

EC 機関が地球温暖化問題 に初めて言及するのは 1 97 9 年の研究開発 プログラムだ と言われているが, 活動が 目立つ ようになるのは 8 0 年代 も半 ばである

1 9 8 6 年に欧州議会がその決議の中で温暖化問題 に関 する EC 政策の必要性 を認めた 2。 EC 委員会 も 8 8 年1 1月にコミュニケーシ ョンを出 し,問題の現状 ・ 影響力 ・対策 を検討する とともに,温室効果 ガスの 排出に関連する決定 を行 うときには地球温暖化問題 を十分考慮 していかなければならない とい う認識 を 明 らかに した 3 。 これ らの行動 は , 「 気候変動 とその 関連問題 における二酸化炭素お よびその他の温室効 果 ガスの役割評価 に関す る国際会議」 (フィラハ会 読)や 「 気候変動に関する政府間パネル 」(IPCC) の設置 といった科学的知見の進展や国際社会の対策 動向 と歩調 をあわせ るものであった。

ところが ,9 0 年代 に入 ると,問題の深刻化 と EC

構成国における環境政策の重視 に伴い, EC は地球 環境問題への取 り組みにより積極的にな り,国際社 会における 「 指導的役割」 を意識す るようになって

総合環境研究 第 5 巻 第 2 号

‑ 21‑

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くる

政治的課題 として首脳 レベル も動 き出 し ,9 0 年 6 月の ダブ リン欧州理事会では,地球環境問題 を

EC の政治的問題 として位置づ ける欧州環境宣言が 発表 され,温暖化 問題 に対 して も具体的な対策が要 求 された4 。さらに,第 2 回世界気候会議 を控 え ,9 0 年1 0 月のエ ネルギー相 と環境相の合 同理事会では, 2 00 0 年 までに二酸化炭素排 出量 を1 9 9 0 年 レベ ルで安 定化 させ る とい う目標 に合意す ることになる 5。

その後 EC は,二酸化炭素排 出量 を固定化す るた めの政策 を具体化す る作業 に入ってい く 。9 0 年 1 1月 には, EC 委員会環境総局 とエネルギー総局 によっ て二酸化炭素排出量安定化のためのコミュニケーシ ョ ン草案が準備 され,1 2 月には環境税導入の可能性 を も検討 したワーキ ングペーパーが理事会‑提 出 され た6 。 こう した具体化措置 の検討 は続 け られ,91 年 1 0 月にはそれ までの議論 の総括 とも言 えるコ ミュニ ケー シ ョン, 『 二酸化炭素排 出制限 とエ ネルギー効 率改善のための共 同体戦略 』 7 が EC 委員会 によって 採択 された。二酸化炭素排 出量削減のためには,エ ネルギー効率 を改善 させ,二酸化炭素排 出量の少 な いエ ネルギー源への転換 を図ってい く必要があるとし て,研究 開発,法規制,CO2 /エネルギー税 , 自動 車 メーカーによる燃費2 5%改善の 自主努力 を含む運 輸部門での省エネ といった措置が EC 活動の軸 とな るであろ うことが明確 にされたのである。CO 2/ エ ネルギー税の採用 については域内で意見が分かれる ところであ り,課税 は EC の権限外 である とい う見 解 もあ って, EC レベルでの実現 は困難が予想 され たが,1 9 92 年の環境 と開発 に関する国連会議 ( リオ ・ サ ミッ ト)開催 を視野 に入れ,積極的な政策展 開が 大胆 に も打 ち出 された 8。 EC 自身,国際舞台 にお ける共同体 の威信 と効果 は,域内で進歩的な環境保 護措置 を採択で きるか否かにかか っている と述べ て い た ように 9 , リオ ・サ ミッ トで主導的役割 を果 た すべ く域内政策の確立が求め られたのである。

そのため EC 委員会 は, 『 再生可能 なエ ネルギー の促進 に関す る決定案 』1 0 , 『 ェ ネルギー効率 を改善 させ二酸化 炭素排 出 を制 限す るための指令案 』1 1 ,

『 C O 2 お よびその他 の温室効果ガス排 出のモニタリン グ ・メカニズムに関する決定案 』1 2 , 『 二酸化炭素排 出 とエネルギーにかかる税の導 入に関する指令案 』1 3 な ど具体的政策案 をサ ミッ ト前 にどうにか まとめあげ た 1 4。 しか しなが ら,CO ∃/ エ ネルギー税 をめ ぐっ て構成国間の意見はまとまらず,これ ら EC 政策パ ッ ケージの採択 はサ ミッ トに間に合わなかった。当該 税 を EC が地球環境問題解決 において主導的役割 を

果たす ための外交手段 と位置づ けていた人々にとっ ては,残念 な結果 となって しまった' 5 。

1 9 92 年 6月, リオ ・サ ミットにおいて,気候変動 枠組み条約の署名が行 われた。 EC は, 自らの採択 した目標‑ 2 0 0 0 年 までに二酸化炭素お よびその他 の 温室効 果 ガスの排 出量 を1 9 9 0 年 レベルにまで戻す‑

を持 って国際的な数値 目標の設定 を主張 したが,莱 国などの反対にあって努力 目標にとどめられた。サ ミッ

ト後 は, 自らの掲 げた 目標 を達成すべ く, EC はサ ミッ ト前 に準備 された政策 を中心 に温暖化対策 を推 進 してい くことになる

第‑ に,再生可能 なエネル ギーの使用 を促進する ALTENER プログラム 1 6。 第 2 に,エネルギー効率改善のための S AVE プログラム1 7 。 第 3 に,モニタリング ・メカニズムの創設である 1 8。

ところが,第 4 のCO2 /エネルギー税 は,合意の 見通 しが全 く立 ってこなかった。結局 ,9 4 年 1 2 月の エ ッセ ン欧州理事 会で, E U レベルで環境税 を設定 するのではな く,域内市場 に矛盾することなく各国ご との環境税 課税 を可能 にする枠組み を E Uレベルで 提示するという方針 を決定 し 1 9 , 9 2 年のCO 2/ エネル ギー税指令案は事実上の廃案 となっだ O 。

この他 に,以前か らのエ ネルギー分野 における研 究 開発 ・技術促進 プログラムである Joul e プログラ ムや The r mi e プログラムが補強 されて存続 した。

以上 の政策 を含 め 21 ,EC お よびその構成 国の対 策 は進 め られてい った2 2 。一方,地球規模 の動 きと しては,1 9 9 4 年 3 月に気候変動枠組み条約が発効 し, 9 5 年 3 月には気候変動枠組み条約第 1 回締約国会議

(Cop ュ) , 9 6 年 7 月 には COP 2 が 開催 され, 2 0 0 0 年以降の温室効果 ガス削減 目標値 を含 む国際的 取 り組み を記す議定書 をCOP3で採択 し,それ に 法的拘束力 をもたせ てい くこと等 を盛 り込 んだ閣僚 宣言が発表 された。1 9 9 5 年 には第 2 次 IPCC評価 報告書が公表 され, よ り深刻 な事態が明 らかにされ ていた 。

この ような実状 を見据 えた上で, E Uは自ら2 0 0 0 年以降の具体的削減 目標 を設定 し,第 3回締約国会 読‑臨 むことを決める

この議論 は,9 6 年か ら始 ま り ,97 年 2 月に入 る と議長国オランダが妥協案 をま とめて きた。全体 目標 として温室効果 ガスを2 01 0 年 までに9 0 年比で1 5%削減 とし,各国のエ ネルギー ・ 経済構造 を考慮 した削減負担分担の数値 を出 した も のであった2 3 。3 月の環境相理事会では,CO ∃ ,CH。 , N 2 0を2 01 0 年 に9 0 年 レベ ル比 で1 5%削減す る こ と

と,それ らの削減分担 については各 国で差異 をつけ なが ら全体で約1 0%に相当す る分 まで合意 を した2 4 。

‑ 22‑

(3)

EU の温暖化対策

「 差異化」 については ,1 9 8 8 年 に採択 された大規模 燃焼施設 か らの排 ガス規制 に関す る指令2 5 以来, E

U 内で広 く受 け入れ られている 。 共同体 の中で実行 可能 な者 ・意欲 のある者が率先 して対策 を採 ること は,道義的 に も,合意 を得 るための交渉技術 として ち,有効 な手段 として捉 え られてい る ようである

1 0月 に入 る と,欧州委員会 はそれ までの議論 を踏 まえた上で, COP3 ‑ 向けた 『 気候変動一 京都へ の EU アプローチ 』 をま とめ た 2 6。 ここで EU は地 球温暖化 防止政策が緊急 な課題 である とい う立場か ら ,2 01 0 年 まで に三種類 の温室効果 ガス を 9 0 年比 で 1 5% 削減す る とい う目標値 を改めて確認 した 。1 5%

とい う値 については, EC 内外 か ら非現実的 との意 見 も寄せ られていたが,欧州委員会 としては,あ く

まで実現可能性 を持 った数字 であ り,政治的意志 を 持 って これ を達成 していかなければな らない とい う 考 えを前面 に押 し出 したのである2 7 。

(2) 8%削減 へ向 けた動 き

COP3 において,国際社会 は,温室効果 ガスの 削減 目標 を具体 的な期 限 と数倍 を もって合意 した。

会議後半の議論 の焦点 となった削減 目標値 は,全体 で約 5. 2% , 内 EU 8% ,米 国 7% , 日本 6% とな り, EU には共同で 目標 を達成す る 「EU バ ブル 」 が認め られ, EU としての削減実行責任 を負 うこと となった2 8 。 この合意 は EU に持 ち帰 られ,削減 8

%の内訳 を改 めて話 し合 うことになった2 9 。 一万 ,9 8 年 には欧州委員会の コ ミュニケーシ ョン

『 気候変動 ‑ EU のポス ト京都戦略』 が 出 され, E U お よび構成国が議定書 に定め られた義務 を果 たす ための政策 ・措置 について示 され た3 0 。温暖化対 策 で重要 な役割 を担 うのは構成国である と断 りなが ら, EU は設立条約 に反 しない形で各 国の行動 や措置 を 補足 していか なければな らない としている 。 その基 礎 となるべ きは,汚染 を生 じさせ るすべ ての活動領 域 について削減実行戦略 を発展 させ ること,京都 メ カニズ ム利用 について検討す ること,当該 メカニズ ムの使用および削減義務の実行のためにモニタリング ・ メカニズムを強化すること,第 4回締 約 国会議 に備 えて共通の立場 を含めた対外 的側面 を確立すること一 議定書 成功 のために特 に途上 国 との対話 を強化 して い くこと‑であ り,理事会 に対 してそれらの認定や優 先順位付 けなど具体 的行動 を要請 した。実行戦略の 主要な基準 としては,環境への効果 ( Env i r onme nt al e f f e c t i v e ne s s ) ,費用対効果 ( Cos t ‑ e f f e c t i v e ne s s ) , 平 衡 性 と政 治 的 受 容 性 ( Equi t y and po l i t i c al ac c e pt abi l i t y) , 適 応 性 ( Adapt abi l i t y) , 包 括 性

( I nc l us i ve ne s s ) ,一貫性 ( Cons i s t e nc y) ,国別行動 ( Dome s t i cac t i on) を挙 げ,エネルギー,運 輸 ,塞 業 など温室効 果 ガスの排 出に関連 の大 きい政策領域 での配慮 を強調 した。 なお,新 しい動 きとしては, 2 0 0 5 年 までに城 内排 出権取 引 レジームを確 立する意 志 を明 らかにしたことが注 目される。

翌 1 9 9 9 年 には, ウィー ン欧州理事会での要請 を受 けて, 『 京都議 定書実行 のための準備 』 が欧州委員 会 よ り改 めて提 出 され た 3 1。 共 同体 お よびほ とん ど の構成 国で 9 4 年か ら二酸化炭素の排 出が再 び増加 し てお り,特 に運輸部 門で は 2 0 0 0 年 まで に 2 2%,2 01 0 年 まで に 3 9% の増加 になる見通 しが示 された。 目標 を達成す るためには,追加的措置 を講 じなければな らない。温暖化対策 をほかの共同体政策 によ りい っ そ う盛 り込 んでい くとい う統合 プロセス を進 め 32 , エネルギー製品 にかける税 の枠組みのための指令案 を理事会が採択す る よう促 し, 自動車 か らの排 ガス 規制 な ど産業界 との環境協定締結 を奨励 す る等 ,そ の対策手法 はあ らゆる領域 に及 んだ。一方,議定書 に盛 り込 まれた京都 メカニズム ( 排 出権取引,共 同 実施, CDM) は既存 の EU 政策 にはなか った要素 であるが,政策実績 を上 げるために積極導入 し, と りわけ排 出権取引 については条約 に反 しない形で共 同体 内で も 2 0 0 5 年 をめ どに実施 を検討 してい るこ と が確認 された。 また,京都議定書遵守 には効果的な モニ タリング制度の確立が重要である として,既存 の 制 度 の 改 正 3 3 や IPPC 指 令 ( t he I nt e gr at e d Pol l ut i onPr e v e nt i o nandCont r olDi r e c t i v e ) 3 4 の 活用 に言及 したが, さらなる努力 も必要である とし た。投資 や技術移転,対外援助 , EU 拡大 ,貿易 も 温室効果 ガス排 出削減 のための機会であ り,積極 的 な活用がのぞ まれた。

以上の議論 を経 て,議定書発効‑ 向けた合意が期 待 された COP6 ‑備 え ,2 0 0 0 年 3 月,欧州委員会 は,京都議定書実行 の柱 となる 2 つの政策案 を提示 した。一つ は, 『 EU にお ける温室効果 ガス排 出権 取引 に関す るグリー ン ・ペーパ ー 』3 5

もう一つ は,

『 温室効果 ガス削減 の ための EU 政策 お よび措置 に 関す るコ ミュニケーシ ョン :欧州気候変動 プログラ ム ( ECCP) へ 向けて』である3 6 。

後者 については,議定書 を実行 してい くため に必 要 なあ らゆる要素 を認識 し,発展 させ てい くことを 目的 としていた。エ ネルギー ・産業 ・運輸分野の共 通かつ調整 された政策お よび柔軟措置 を手始 め に, 中 ・長期 的 には,キ ャパ シテ ィー ・ビルデ ィングや 技術移転 を通 じた国際協 力,研究/監視 ,効果的で

総合環境研究 第 5巻 第 2 号

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(4)

ク リー ンなテクノロジーのデモ ンス トレーシ ョン, 訓練 ・教育 と幅広 く網羅 してい く 。E U政策の具体 的提案 は欧州委員会が行 うものであるが,その立案 過程 で,加盟団,産業界,環境 NGO 等関係者の協 力 を得 て準 備 を進 め る もの で あ る 。 運 営 委 員 会 ( St e e r i ng Co mmi t t e e ) の もと, テーマ に応 じて 小規模 なワーキ ンググループが作 られ,検討 ・評価 作業が行 われてい くこととなった。

(3)議定書発効のために

京都議定書採択後 も,その発効 に必要な議定書運 用細則 をめ ぐる国際交渉は困難 を極めていた。調整 を重ね, COP6 を目前 に して も,京都 メカニズム, 遵守,吸収源,技術移転,気候変動の悪影響お よび 対策実施の諸影響への対処,途上国の参加問題 な ど 多 くの論点が依然 として残 されていた 。2 0 0 0 年 1 1月

7 日に開かれた E U環境相理事会では, COP6 に 臨 む にあ た っての E Uの立場 を以 下 の柱 を もって 確認 した3 7 。

①京都 メカニズムは各 国による温室効果 ガス削減 努力 に対する補完的役割 にとどめる もの とす る

こと 。

② 不遵守の場合 には経済的制裁 を伴 うような厳 し いモニ タリング ・メカニズムを設けること

( 参途上国‑のク リー ン ・テ クノロジー移転のため のメカニズムを速やかに実行す ること

④森林吸収の使用 については慎重であること

⑤京都議定書 2 0 0 2 年発効 を目指 して早急 に批准 を 行 うこと

環境 NGO は,厳格 なコン トロールシステムを条 件 と しなが らも, E Uの立場 に支持 を表 明 した3 8 。 理事会の前 に開催 されていた欧州議会の決議 もほぼ 同様 の内容であった3 9 。

しか し,吸収源 など先進 国間の意見対立が収束 を 見 なかったことで, COP6 での交渉は合意に至るこ とができなかった4 ° 。2 0 0 0 年 1 2 月の E U環境相理事会 は l 米国お よびア ンブ レラ ・グループ諸国の態度 に 失望 しなが らも,今後 G7 7 や中国,環境十全 グルー プな どほかの国々 との連携 を図ってい く意思 を表明 した 。E Uのスタンスは大 きく変わるものではなかっ たが,合意‑向けて森林吸収 を議論す る用意がある ことも明 らかに した4 ユ 。

その後国際的合意‑向けての話 し合いが続 くなか, 議定書存続最大の危機 ともいえる出来事が 2 0 0 1 年 3

月に起 こる

米国が京都議定書か らの離脱 を表明 し たのである

米国は温室効果 ガス排出世界第一位 の 国であ り ,1 9 9 0 年時点では全世界 の 3 6 . 1 %を占めて

いた。議定書発効 に 「 ‑付属書 Ⅰに掲 げる締約国の

1 9 9 0 年 における二酸化炭素の総排出量 の うち少 な く とも 55%を占める二酸化炭素 を排出する付属書 Ⅰに 掲 げる締約国」の批准が必要 とされていることを考 えれば,国際社会の努力 を無 にする恐 れ さえ出て き た と言 えた。 この事態 に, 4月の E U非公式環境相 理事会 は,米国の態度 を厳 しく非難す るとともに, 米国 との対話 を続 けてい くが米国抜 きで も京都議定 書 を批 准 してい くことを明確 に した4 2 。その一方で, 急速 , E U トロイ

が 3

を米国 に派遣 し,説得 を試み

た。続 いて訪問 したロシア,中国, イラン, 日本で は京都議定書への支持 を取 り付 けることが出来たが, 米国の態度 を変更 させ られるような直接 的かつ効果 的 な手段 は と り得 なか った4 4 。欧州議 会は, この問 題 を途上国 と先進国 との協力の問題 と位置づけ,莱 国の決定 を激 しく非難 した。理事会 と欧州委員会 に は京都 プロセスで先導的役割 を引 き続 き果たす よう 要請す るとともに,米 国抜 きで も議定書 を発効 させ なければいけない との意見 を再度明 らかに した4 5 。

その後 も 2 0 0 1 年 4 月にニュー ヨー クで開かれた先 進工業国専 門家会議 な どい くつかの国際会議の場で も,米国の態度 に変化 はなかった 。 一時 イタリアか ら米国提案 に好意的な解釈 を示すべ きだ とする意見 が出 されたが, 6 月の E U環境相理事会ではそ うし た議論 に決着がつけ られ,京都議定書 を早期 に発効 させ るために交渉 を終結 させ る とい う強い決意 を新 たにす ることとなった 4 6。

他方, COP6 再 開会合での合意へ向け,森林吸 収 を大幅 に認めるよう主張する 日本側 に譲歩す る議 論 が進 み始 めていた4 7 。 この点 は,欧州議会が難色 を示す ところではあったが,「まず議定書 を発効 させ, 京都議定書の 目標 を達成する」 という点で理事会, 欧州委員会,欧州議会,環境 NGO 等 E U内の意見 は一致 してお り, EU側 は 日本が批准 を決す る よう 説得 を続 けた 4 8。 こう して迎 えた 2 0 0 1 年 7 月, ドイ ツのボ ンで開催 された COP6 再開会合では,森林 吸収で E Uが 日本側の希望 に譲歩 し, 日本側の求め る吸収量が認め られることになるな ど調整が進み,

2 0 0 1 年 1 1月の COP7 合意‑ とつなが っていった4 9 。

E Uは構成国 と歩調 を合 わせ,持続可能 な開発 に関 す る国連会議 (ヨハ ネスブルク ・サ ミッ ト) に間に 合 うよう, 2 0 0 2 年5 月 3 1 日に京都議定書 の批 准 を済

ませ た5 ( ' 。

この間 E Uレベルでは ,ECCP と排出権取引 を 中心 に した政策が進 め られていだ j 。2 0 0 1年 6 月,

ECCP 下での ワーキ ンググループによる レポー ト

‑ 2 4‑

(5)

E Uの温暖化対策

が まとめ られ,40 余 もの費用効果的な措置が提示 さ れ た

さ ら に 1 0 月 , 欧 州 委 員 会 か ら出 され た

『 ECCP 第 1 段階の実行 に関するコミュニケーシ ョ ン 』 においては, I PPC 指令 の効果的実行促進 を は じめ とす る領域横 断,エネルギー,運輸,産業の 4 分野にわたる 2 0 0 2 /3 年の優先的措置が掲げ られ, さらなる追加的措置 として ECCP によって認定 さ れた 4 2 措置か ら、再生可能エネルギーか らの熟生産 促進 に関す るイニシアテ ィブな どが検討対象 として 選ばれた。排 出権取引 に関 しては枠組み指令案が出 され5 2 ,モニ タリング ・メカニズムの下での レポー

トも例年通 り出 されている5 3 。

3.EU 環境政策 と対外的影響力

E Uは ,1 9 9 8 年時点で,世界の温室効果 ガス排 出 量の 1 3 . 4% を占めていた。 したが って,彼 らの削減 努力 は決 して無駄 になるものではな く,む しろ不可 欠な意味 を持つ。 しか し,米国を含めた全世界的な 取 り組みな くして真 の解決はあ りえない問題だけに, 国際社会 をどれだけ動かせ るかが E Uの もう一つの 課題であった。

(1 )国際社会 にお ける影響力の追求 と欧州統合 E Uの環境政策 は,開始当初,主 に域内市場 との 関連 か ら取 り組 まれていたが,それ らの政策 に一貫 性 を持 たせ るべ く,域内政策の延長である対外的な 側面 について も E Uは権限 を保有す る もの と考 えら れた。 さらに, E Uが域内政策 を進め,地球環境問 題 の深刻化が クローズ ア ップされるにつれて,「国 際環境問題 の解決 に貢献す る 」 ことが E Uの活動 目 的の ひとつ として明確 に打 ち出 されるようになって いった。基本条約の レベルで言 えば ,1 9 9 3 年 に発効 したマース トリヒ ト条約 において, E Uの環境政策 が追求 に寄与すべ きとする目的のひ とつに 「 地域的 または世界的な環境 問題 を扱 う国際的段 階での措置 を促進す ること」 が掲 げ られt5 4 。環境行動計画 に おいては,同 じく 1 9 9 3 年 に採択 された第 5 次環境行 動計画 によって劇的に比重 を増 し ,2 0 0 2 年 に採択 さ れた第 6次環境行動計画では, とりわけ気候変動問 題 な ど地球環境問題 の解決 に高い優先順位が与 えら れたのである 5 5。

ここで E Uが欧州統合 を体現す る機構 であ り,統 合が常 にその過程 ( プロセス) にあることを思い出 さな くてほならないだろう 。 極 めて政治的な意図を 持つ 「 統合」 とい う作業 は,手本 とすべ き前例があ るわけで もな く,試行錯誤 と教訓 を繰 り返 して きた。

EU ・国家間関係 も,そのあ りようをめ ぐって最良

の形が模索 されて きた ものの一つである

1 9 5 8 年の EEC 設立以来,欧州統合 は,国家権限 の国際機 関への委譲 とい う形で進め られて きた。 と くに 1 9 8 0 年代後半以降は ,1 9 9 2 年末の域内市場統合 完成 に向 けて,その動 きが加速 していた。 しか し, 1 9 9 0 年代 に入 ると揺 り戻 しが生 じ, E Uにおける国 家の重要性が 「 補完性原理」の名の下 に見直 されて い く5 6 。環境政策 も例外 ではなか った。 国家 ご との 行動 を重視す る とい うことは,各国家やその下 にあ る各地域 の実状 にあった独 自色 ある政策展 開が期待 で きる し,住民の意思の尊重 とい う点で も好 ま しい ことであ った。 しか し,対外権限の強化 とい う点で はプラスに働 くであろ う権力の集 中化 は避 け られる べ きもの となって しまったのである

域 内市場 お よ び村外通商関係 に関す る E U権限 とは異 なる状況で ある

それにも関わ らず,欧州統合 自体 は止 まるこ とな く進められ,ヨーロピアン ・アイデ ンティティー の確立や国際的影響力の増大が よ り一層求め られる ようになっていった。そ もそ も,欧州統合が試み ら れた目的の一つ に,欧州諸国の低下す る国際的発言 力 を増大 させ たい とす る意図があった ことは知 られ た ところである

ヨーロッパの国々が立場 を異 な ら せ た り,個別 に発言す るよ りは ,1 5 カ国が まとまっ て発言 した方が,その意見の重みは増 し,国際社会 における存在感 は高 まる もの と考 えられた5 7 。

このような状況下で, E U市民が E Uとしての活 躍 を好意的に受け入れている 「 環境」というグローバ ル ・イシューは,国際的アクターとしての E U権限や アイデンティティーを内外 に示 し,かつ,確立するた めに格好 のケース として使用 されだ 8 。COP3 にお いて 「E Uバブル」へ固執 したことは,それが E U域 内での結 束力 を固めるととともに,国際社 会へ EU プレゼンスを認めさせる効果 を持 っていたと解釈で き るのである

( 2 ) リーダーシップ

欧州統合 という独 自の事情 を抱 えてはいるものの, 前出の環境行動計画や様 々な文書等 において E Uが

「国際環境問題の解決 に リーダーシ ップをとりたい 」

とす る背景 には,環境問題の解決へ抱 く強い道義的 責任 と決意が存在す るこ とも, また異論 のない とこ ろであろ う 。 彼 らは,環境問題 を解決す る重要性 を 強 く認識 し,国際環境 レジームの設立 とその発展 に 貢献 し,国際社会 における重大 な影響力 とそれにふ

さわ しい評価 を得 たい と願 っている

それでは, E Uは, どのようにリーダーシップを採 ろうとしてきたのが 9 。国際交渉におけるリーダーシッ

総合環境研究 第 5 巻 第 2 号

‑ 25‑

(6)

研 究

にはY ou ngや U nde r dal 等 による先行研究があ るが

O

,Gr ubb と Gupt a はそれらをまとめ,次の よう なリーダーシップの様式分類 を行 っている6 1 。

まず,第 1に,構造的 ( St r uc t ur a l )リーダーシッ プであ る

これは, Unde r dal が強制 的 な リー ダー シ ップ, Mal ne s が 「 飴 とムチ」 の リー ダー シ ップ と呼 んだ ものに相当 し,政治的あるいは経済的な力 に基づいたインセ ンテ ィブを使用す る ものである

第 2 に,手段 的 ( Ⅰ ns t r ume nt a l )リー ダーシ ップ である

合意 を作 り上げるために政治的技術 や構想 力 を適用す る ものである

第 3 に,指導 的 ( Di r e c t i ona l ) リー ダー シ ップ である。好 ましい ことや可能であることに関す る他 国の認識へ影響 を与 えるためにある考 え方や 自らの 実行 を使用 す る こ とであ る 。 Unde r dal が一方的行 動 に よる リー ダー シ ップ ( Le ade r s hi p t hr ough Uni l at e r alAc t i on) と呼 んだ ものの うちで,社 会 的説得 力 ( Soc i alPe r s uas i on) は これ にあたる。

自分達が単独 である政策 をとることによってそれが 実行可能であることを示 した り, 自らの経済的利益 を犠牲 に して環境保護のための行動 をとることによっ て周 囲の者の倫理観 に訴 える力や象徴的な重要性 を 生み出す とい うのである 。Gr ubb と Gupt a は, ここ に Young が言 うところの知 的 ( I nt e l l e c t ua l ) リー ダー シップ も含めている

E Uは,十分 に発達 した科学 ・産業 を持つ国家群 であ り,地球温暖化問題の科学的知見や環境技術 に 関 して国際社会 を主導す る役割 を担 うにふ さわ しい 立場 にあることは明かである

しか し,絶対的な経 済力や政治的強制力があるわけではない。現実 には, 1 5 の構成国が一つの声 を持 って対応 して も,現在の

E U‑政治的 ・経済的力 に基づ く圧倒 的対外影響力 を求めるのは難 しい と言わざるを得 ない。第 2 章後 半か らはむ しろ,先進的な措置 を自らが採 って実行 可能であることを示 し, よ り厳 しい基準 を提案す る ことによって交渉の水準 を上 げ,他者の説得 をはか る とい う,ある種の模範 を示す行動 を選択 していた ように思 われ る

また,「 模範例」 を効果的 に国際 社会‑浸透 させて行 くには,政治的受容性 を持 った 妥協 案 を提示 した り,説得 をはかった りす る調停役 あるいは触媒役 としての外交力が求め られて くる

E Uのめ ざす ところか らすれば, この点 も当然欲 し ていた役割であろ う

リー ダーシ ップは決 して一つ の様式で効果的に実現で きる ものではな く,い くつ もの リーダーシップが複合的に作用す る もので もあ るが, E Uの温暖化対策 に関 しては現在 の ところ上

記の 2 つ が 優位 しているように思われる

(3) EU 独 自の機構的制約

しか し, ここに一つの国家ではない E Uの抱 える 機構的制約が指摘 される 。

まず,経済統合体である E Uは,国際競争力の維 持 に無関心ではい られないはずである。一国で も同 様 の ことは言 えるが, E Uが これ を失 うな らば,そ の存在意義 さえ脅かす ことになろう 。E Uは,リオ ・ サ ミッ ト前 に提示 された環境税指令案 に 「 他国が同 様 の措置 を執 ったな ら 」 とい う条件 を付 け,京都議 定書の交渉当初 には他 国に 「 一律」1 5%削減 を求め たように,国際競争力 の低下 を恐れ,他者 に自らと 同 じ条件 を求める とい う姿勢 を見せ た。 ここでは, 環境 目的以外の意図‑す なわち, 自分 たちにとって 不利 をもたらさない国際環境 レジームを形成 したい‑

を感 じていることも, また否定で きないのである

90 年代 に入 る と,問題 自体 をよ り深刻 にとらえ,か つ,経済的 にも大 きなマイナス とならない ような手 法 を模索す ることによって, この意識 は幾分薄 らい で きた ようにも見 えるが,決 して解消 されたわけで はない。

これ以上 に問題視 されるのは, E Uの対外権限の 問題である。環境政策 は一般 に共同体 と構成国の権 限が競合す る領域 とみ な されている 62。 その際の権 限分担 は 「 補完性原理」の ような暖味 な基準 に頼 ら ざるを得 ない ところ もあるが6 3 ,共同体 と構成国は, それぞれの権限の範囲内において,第三国お よび権 限のある国際機構 と協力す ることが出来 る

第三国 と環境 国際条約 を締結す る場合の多 くは,環境問題 の性質上, ECと加盟 国の双方が当事者 として参加 し,混合協 定 ( mi xe dagr e e me nt ) とい う形式 を とることになる

温暖化 のケース もこれに当たる

さらに, これ ら共同体 の協力 に関す る取 り決めは, EC 設立条約第300 条 に従 って交渉 される6 4 。

この過程で,1 5 の国家が国際社会における意見 を ひとつ に絞 るための コス トは決 して低 くない。 EU

に排他 的権限が与 え られている領域 は ともか くとし て も,競合領域の場合 は欧州委員会 に当該事項 に関 する完全 なる権限は与 えられてお らず,事前の域内 調整が必要 となる

温暖化対策 に関わる各国の文化 的 ・環境的 ・制度的相違 は容易 に埋 まるものではな く,エネルギー需給 を含めた経済的状況 も多様 であ る

こうした条件下での調整 にはかな りの時間 と労 力 を取 られることがある 。 その結果 として, E U外 交交渉 に際 しての対外 的配慮 に手が回っていないの ではないか,交渉 における迅速かつ臨機応変 な対応

… 2 6‑

(7)

E Uの温暖化対策

を妨 げてい るのではないか, とい う指摘が以前か ら な されて きた6 5 。 それ以前 の問題 と して, もし域 内 で解消 しが たい意見 の不一致があろ うものな ら, E

U としての立場 を明確 に打 ち出せず ,国際社会 に対 す る影響力 は明 らか に低下す る 。 例 えば, EC 環境 税指令 に関 して理事 会 内に対立が存在 した リオ ・サ ミッ ト時などはこのケースに相 当するだろう。対照 的 に, E Uが先行 して十分 な対 策 を採 っている領域 に 関 しては,国際社会 に高い水準 の提案 を もって交渉 す る ことに難 はな く,当該 国際 レジームの発展 に対 す る E Uの主導的役割が評価 されている 6 6。

また, E Uの政府 間主義的な制度が強力 な外交パ フォーマ ンスに制約 を もた らす とい う指摘 もある

6 ケ月 ごとに交代す る議長国制が,長期 的な視点 に 立った交渉相手 との関係構築や交渉戦略の発展 にとっ て妨 げになっている とい うのである6 7 。

以上の点 は,本章第 1 節 で言及 した欧州統合 と深 いつ なが りを持 ち,あわせ て考 えなければな らない 事項 である

4. 結語 にかえて :環境政策 ・環境外交 ・欧州統合 の交錯の中で

第 2 章か らも明 らかなように, E Uの地球温暖化 対策 は,国際社会の動 きか ら刺激 を受 け, ときに国 際社 会へ働 きかけ,相互 に影響 を及 ぼ しあいなが ら 発展 して きた。 COP3 で 「 1 5 % 削 減 」 を提 案 ,

COP6 後 は米 国の離脱表明に も関わ らず議定書発 効 を目指 して奮 闘す るな ど, 自らの積極 的な政策展 開を基 に国際的プ レゼ ンスの増大 に努めて きている

しか し,そのプ レゼ ンス を支 える当該 E U政策の内 実は,構成各国の役割 に大 きく依存す る ものである

E Uは域 内国に対 して枠組みや指針 を与 え,各政策 を調整す る役割 を担 っているが,採 るべ き対策の中 にはエネルギー政策 な ど各国権限の領域 も多 く,具 体的 な政策立案 ・執行 は もっぱ ら各 国に任 されてい る

構成 国重視 は,欧州統合 の基本方針 である 「 補 完性原理」 と合致す る ものであるが,対外活動 に好 都合 な中央集権 とはある種 の矛盾 を抱 えていること になる 。 それに もかかわ らず,環境 目的 もあ り, ま た欧州統合 な ど自らの政治 目的か ら, E U として国 際環境 レジームを確 立 ・推進す る リーダーシ ップを 追求 しようとしてい るのである

この方向性 は,微妙 なバ ランスの上 に成 り立 って いる と言 えよう 。 第 1 に ,E U と構成国の間で調和 と多様性 とい う相反す る特徴 を持 った連携が求め ら れてい る 。 E U構成 国に許 された多様性が新 しい技

術やシステムを生み出す源 となるよう期待 される

そ の一方で、 E Uは彼等 の政策実行 を確保 しなが ら, 一つの市場全体 を律す るルール を整 える ことによっ てその一体性 を維持す るのである

第 2 に,複数の意図の相乗効果であ る

地球温暖 化問題 の解決, E Uによる問題解決へ の貢献 の必要 性 , E Uの国際的影響力 の増大等が相乗効果 を持 っ て肯定的 に捉 え られてい る現状が, E Uの温暖化対 策 に関わる対外活動 を支 えている

どれ一つ として 疑念 を もたれては,一連 の動 きは うま く作用 しな く なって しまう 6 8。

地球温暖化 問題 を解決 してい くには,温室効果 ガ ス を削減す る手法 を開発 し,設計 し,実行 していか な くてはな らない。それ と同時 に,温室効果 ガスの 削減 に同意 し,それ を執行 してい く国際環境 レジー ムを確立 ・発展 させ ていかな くてはな らない。 EU は双方 において貢献 し得 るアクター と して期待 され ているが, E Uの問題解決へ の貢献可能性 と課題 を 指摘する上で,環境外交戦略 を実現する リーダーシッ プの様式 ・質 とその影響力の関係 を分析 した先行研 究が少 ないだけに, と りわけ後者 につ いては必要性 を感 じる研 究領域 である

また ,E Uに とって 「 外 交」 は未発達 な領域であ り,当然制度上 の課題 も多 く、前 出の微妙 なバ ランス を維持 して 「 環境 」 に貢 献 してい くための改善の余地 もこの領域 には存在す る ように思 われる 6 9。

1 1 993 年1 1月、マース トリヒ ト条約の発効 によ り、

欧州連合 (EU) が誕生す る 。 E Uの中で環境 政策 を担 当 していろのは欧州共同体 ( EC) で あ り、正確 に言 うと E U環境政策 ではな く、 E C 環境政策 とい うことになる

しか し、便宜上、

本稿 においては 、1 993 年1 1月以降の EC 環境政 策 を E U環境政策、それ以前 の もの を EC 環境 政策 と呼ぶ。 また、特 に断 りのない限 り、 EC お よび E U諸機 関の名称 は該当す る時期 におけ る もの を使用す る

2 0 f f i c i a lJo u r n a l ( 以下, OJ と略す), C2 5 5 , 1 3. 1 0. 86.

3 COM ( 88) 6 5 6 f i na l .

4 Bul l e t i nEC ( 以下 , Bul l .EC と略す) 6‑ 1 990.

5 Bul l .EC 1 0 ‑ 1 9 9 0.

6 Bul l .EC 1 2 1 1 9 9 0.

7 Bul l .EC 1 0 ‑ 1 9 9 1 .

8 Ange l aLi be r at o r e , " Ar gume nt s , As s umpt i ons

総合環境研究 第 5 巻 第 2 号

‑ 2 7‑

(8)

a nd t heChoi c eofPo l i c y l ns t r ume nt s",i n Br unoDe nt e( e d. ) ,Enu i r o T m e nt alPo l i c y i n s e ar c h o fNe w I ns t r ume nt s , Kl uwe r ,1 9 9 5 , p. 6 4.

9 Ge ne r alRe po r to n t heAc t i v i t i e s o f t he Eur o pe anCommuni t i e s ,1 9 92,p. 1 9 7.

1 0 CO M ( 9 2 )1 8 0 f i na l . l l COM ( 9 2 )1 82 f i na l . 1 2 COM ( 9 2 )1 81 f i na l . 1 3 COM ( 9 2 )2 2 6 f i na l . 1 4 Bul l .EC5 ‑ 1 9 9 2.

1 5 Age nc eEur o pe ,2 8. 5. 1 9 9 2 .3. 6. 1 9 9 2 .Jos e ph Jupi l l e and Jame s A.Capor as o , "St at e , Age nc y,andRul e s:TheEur ope anUni oni n Gl obalEnv i r onme nt alPol i t i c s " ,i nCar ol yn Rhode s ( e d. ) , TheEur o pe an Uni o n i n t he wo r l dc o mmuni t y ,LynneRi e nne rPubl i s he r s , 1 9 9 8,p. 2 2 4. 環境問題担当 EC 委員会委員 リパ ・ デ イメアナの リオ ・サ ミッ ト欠席 は,消極的な 態度 に抗議 しての ことだ とい う報道 もあった。

1 6 0J ,L2 3 5,1 8. 9. 9 3.

1 7 0J ,L2 3 7,1 8. 9. 9 3.

1 8 0J , L1 67 , 9. 7. 9 3.COM ( 9 4)67 f i na l .COM ( 96) 91 f i na l .

1 9 Bu l l .EC 1 2 ‑ 1 9 9 4.

2 0 E Uの CO2 / エネルギー税 についての議論 は以下 を参照 。" TheCar bon/Ene r gyTaxPr opos al "

i nAnt hony氏.Zi t o,Cr e at i ngEnv i r o nme nt al Po l i c y i n t heEur o pe an Uni o n , Mac mi l l an , 2 0 0 0.

21 燃費改善 によって自動車排 ガスか らの温室効果 ガス削減 を図る とい う新 しい温暖化防止措置案 が提 示 され るな どの進展 が あ った. Bul l .EC 1 2 ‑ 1 9 9 5. CO脚 ( 9 5) 6 8 9 f i na l . Eur ope an Aut omobi l e Manuf ac t ur e r s As s oc i at i on ( ACEA) and Eur ope an Commi s s i on , CO2 e mi s s i o nsf r om c ar s:TheEUI mpl e me nt i n g t he Kyot o Pr ot o c o l , Of f i c e f or Of f i c i al Publ i c at i onsoft heEur ope anCommuni t i e s , 1 9 9 8.

2 2 気候変動枠組み条約の下での E U政策 について は以下 にまとめ られている

" Communi c at i on f r om t heCommi s s i onunde rt heUN f r ame ‑ wor kc onv e nt i ononc l i mat ec hange " ,CO脚

( 9 6)2 1 7 f i na l .

2 3 Age nc eEur o pe ,2 8. 2. 9 7 .

2 4 Age nc eEur o pe ,3 /4. 3. 97 . ベルギー ( 11 0%) , デンマーク ( ‑2 50 / .) , ドイツ ( ‑2 50 / .) ,ギリ シャ ( +3 0%) ,スペイン ( + 1 7%) ,フランス ( 0 0 / .),アイルランド ( +1 50 / .) ,イタリア ( ‑ 7 0 / .), ルクセンブルク ( ‑3 0%) ,オランダ ( ‑1 0%) , オース トリア ( ‑2 5%) ,ポル トガル ( +4 0%) , フィンランド (0 %),スウェーデン ( + 5 %), 英国 ( ‑1 00 / .) .

2 5 Di r e c t i v e8 8 /6 0 9EEC ( OJ ,L3 3 9,7 . 1 2. 1 9 8 8. ) 2 6 COM ( 9 7 )4 81 f i na l .

2 7 京都会議 までの E U地球温暖化対策については, 以下を参照。拙稿 「 地球温暖化防止政策に見る

E U環境政策 」 法学政治学論究』第 3 8 ,1 9 9 8

年。

2 8 COP3 までの国際交渉 を取 り上げた邦文献 と して以下 を参照。竹内敬二 『 地球温暖化の政治 学』朝 日新聞社 ,1 9 9 9 年。田達敏 明 『 地球温暖 化 と環境外交 :京都議定書の攻防 とその後の展 開』時事通信社 ,1 9 9 9 年。

2 9 Bul l .EU 6 ‑ 1 9 9 8.9 8 年 6 月での合意 は, 2 0 0 8 年 か ら 2 01 2 年の間の排 出削減 について,オース

トリア ( ‑1 30 / o) ,ベルギー ( ‑7 . 50 / o) ,デンマー ク ( ‑ 2 1 %), フィンラン ド (0%), フランス (0 %), ドイツ ( ‑21 %) ,ギリシャ ( +2 5%) , アイルラン ド ( +1 3%) ,イタリア ( ‑6, 5%) , ルクセンブルク ( ‑2 8%) ,オランダ ( ‑6 %), ポル トガル ( +2 7%) , スペイン ( +1 5%) , ス ウェーデン ( + 4 %),英国 ( ‑1 2 . 5%) 。 3 0 CO 〟 ( 9 8)3 5 3 f i na l .

31 CO脚 ( 1 9 9 9)2 3 0 f i na l .

3 2 温室効果ガスの排出削減 とい う目的の特徴か ら, 対象 となる人間活動の範囲はます ます拡大 し, エネルギー政策か ら運輸,農業,研究開発政策 まで,幅広い政策の中に配慮が求め られていっ た。 こうした 「 環境保護的要素の他政策への統 合」 とい う概念 は,環境政策条項が基本条約 に 導入 された当初か ら存在 していた。ただ し,そ れは環境政策 に限 られた ものであ り,持続可能 な発展が E U, とりわけ EC の活動 日的 として 明示 されるに伴 い ,EC 政策全体 に効力 を及ぼ す条文 として格上 げ されたのである 。1 9 9 9 年 に 発効 したアムステルダム条約では, EC 設立条 約 第 6 条 ( 「 環境保護 の要請 は,第 3 条 に定め られる共同体の政策及 び活動の定義 と実施の中 に,特 に持続可能 な発展の促進のために取 り入 れ られなければな らない。 」)が置かれた。

‑ 28‑

(9)

EUの温暖化対策

この 「 環境保護的要素の他政策への統合」は,

「 持続可能 な開発 」 が重視 され るにつれて,後 者のための基本方針の一つ として具体化 される 作業が進 んでい く 。9 8 年 6 月の カーデ イフ欧州 理事会は,EU政策に環境への配慮 を統合 して い くためのガイ ドライ ンに合意 し ( COM ( 9 8) 3 3 3 f i na l . ),エ ネルギー,運輸 お よび農業理事 会 に対 し,その観点か らの戟略 を策定するよう 要請 した。 同年 1 2 月のウィーン欧州理事会では 単一市場,産業,開発協力の理事会に対 し ,9 9 年のケルン欧州理事会では漁業,経済 ・金融問 題 ,外相理事会 に対 して,同様 の戦略 を策定す るよう求めていった。こう した個 別政策 の戦略 と平行 して,環境 に配慮 したEU政策の成果や 今後の政策方針 ・政策形成の点か ら文書が まと め られ ( S EC ( 1 9 9 9 )7 7 7f i na l .SEC ( 1 9 9 9) 1 9 41f i na l .SEC ( 1 9 9 9 )1 9 4 2 f i na l . ), 9 9 年 1 2 月のヘルシンキ欧州理事会では, よ り総体的な 観点か ら経済的社会的お よび環境的に持続可能 な発展 を可能 にす るための戦略 を提案するよう 求めた 。2 0 0 1 年のイエテポ リ欧州理事会では, 環境への配慮 と持続可能な発展が E Uのあ らゆ る政策分野での論議 に組み込 まれるためのガイ ドラインも設定 され ( SEC ( 2 001 )51 7 .COM ( 2 0 01 )2 6 4 f i na l . ),持続可能な発展の実現 にお いて地球温暖化問題対策が最重要課題 になるこ とが確認 されている。詳細 は以下 を参照のこと 。

Eur ope an Commi s s i on,A Eur o pe an UT u ' o n St r at e gy f o r Sus t ai nab l e De v e l o pme nt , Of f i c e f o r Of f i c i al Publ i c at i ons of t he Eur ope anCo mmuni t i e s ,2 0 0 2 .

3 3 Counc i lDe c i s i on 1 9 9 9 /2 9 6 /EC ( OJ , L1 1 7 , 5. 5. 1 9 9 9. )

3 4 Counc i lDi r e c t i v e9 6 /61EC ( OJ ,L2 5 7 ,1 0.

1 0. 1 9 9 6. )

3 5 COM ( 2 0 0 0)8 7 f i na l . 3 6 CO M ( 2 0 0 0)8 8 f i nal .

3 7 Br i e f i ngpa pe r: TheEU' spos i t i onsf orCOP6 , 3nov e mbe r2 0 0 0.Age nc eEur o pe ,8. l l . 2 0 0 0.

3 8 Age nc eEur o pe ,9. l l . 2 0 0 0.

3 9 Age nc eEur o pe ,2 /3. l l . 2 0 0 0.

4 0 COP6 については以下を参照 。Mi c hae lGr ubb andFar hanaYami n , " Cl i mat ec ol l aps eat TheHague:whathappe ne d, why, andwhe r e dowegof r om he r e ? " ,I nt e r nat i o nalAf f ai r s , 7 7( 2 ) ,2 0 0 1 .He nr y D.Jac oby a nd Dav i d

M.Re i ne r , " Ge t t i ngc l i mat epol i c yont r ac k af t e r TheHague",I nt e r nat i o nalAf fai r s , 7 7( 2 ) ,2 0 0 1 .

41 Age nc eEur o pe ,1 8 /1 9. 1 2 . 2 0 0 0. Age nc eEur o pe , 2 0. 1 2 . 2 0 0 0.

42 Age nc eEur o pe ,2 /3. 4. 2 0 0 1 .

4 3 この ときは, EU委員会環境問題担当委員,ス ウェーデ ン環境大臣,ベルギー環境大 臣か ら構 成 された。 なお, E Uの対外的活動 においては

「トロイ カ 」 ( 通常 は前 ・硯 ・次期議長国) を形 成 して行動することが しば しばある 。

4 4 Age nc eEur o pe ,9 /1 0. 4. 2 0 0 1 .Age nc eEur o pe , 1 2 . 4. 2 0 0 1 ,

4 5 Age nc eEur o pe ,7 . 4. 2 0 0 1 .

4 6 Age nc eEur o pe ,5 /6 , 6, 2 0 0 1 .Age nc eEur o pe , 6. 7 . 2 0 01

47 Age nc eEur o pe ,2 8. 6. 2 0 0 1 .

4 8 Age nc eEur o pe ,2 /3. 7 . 2 0 0 1 .Age nc eEur o pe , 9 /1 0. 7 . 2 0 0 1 .

4 9 京都議定書の下での制度 を解説 した邦文献 には 以下の ものがある

高村 ゆか り ・亀 山康子 『 京 都議定書の国際制度』信 山社 ,2 0 02 年。

5 0 0J ,L1 3 0,1 5 . 5. 2 0 02

51 EUは排出権取引 を城内において国際社会 より も早 く始動 させ る予定でいる 。 議定書 を否定す る米国で も,経済的利益 の兄いだせ るこうした システムがあれば,議定書復帰への誘 因になる ので はないか 。 ( 2 0 0 2 年 1 0 月 1 4 日欧州委員会 に おけるイ ンタヴュー。 )

5 2 CO M ( 2 0 0 1 )5 81 f i na l .

5 3 COM ( 2 0 0 0 )7 4 9 f i na l .COM ( 2 0 0 1 )7 0 8 f i na l . CO 〟 ( 2 0 0 2 )7 0 2 f i na l .モニ タリング ・メカニ ズム を扱 った論文 には以下の ものがある 。Joy Hyv ar i ne n , "The Eur ope an Communi t y' s Moni t or i ngMe c hani s m f orCO2andot he r Gr e e nhous eGas e s:t heKyot oPr ot oc oland ot he r Re c e nt De v e l opme nt s" , Re v i e w o f Eur o pe an Co T nmuT ut y and I nt e r nat i o n al ET Wi r o nme nt alL a w ,v ol . 8,no. 2,1 9 9 9.

5 4 EC 設立条約第 1 7 4 条第 1項。

5 5 COM ( 2 0 01 )31 f i na l .OJ ,L2 4 2,1 0. 9. 2 0 0 2 . 5 6 拙稿 「 欧州連合 における 「 補完性原理 」 ‑マー

ス トリヒ ト条約下の議論 を中心 に 」 法学政治

学論究』第 3 5 号 ,1 9 9 7 年。

5 7 環境分野 におけるEUの対外的活動お よび国際 的プ レゼ ンスの向上 については以下 を参照。

総合環境研究 第 5巻 第 2号

‑ 29‑

(10)

Jos e ph Jupi l l eand Jame s A.Capo r as o ,

" St at e , Age nc y,andRul e s:TheEur ope an Uni on i n Gl obalEnv i r onme nt alPo l i t i c s" , i n Car ol yn Rhode s ( e d. ) , The Eur o pe an

Uni o n i n t he 乙 〃 O r l d c o mmuT ut y , Lynne Ri e nne r Publ i s he r s , 1 9 9 8. Al be r t a M.

Sbr agl a , "I ns t i t ut i o n‑ Bui l di ng f r om be l ow andabove:TheEur ope an Communi t y i n

† ▼

Gl obalEnv i r onme nt alPol i t i c s,i n Wayne Sandhol t z and Al e c St one Swe e t ( e d. ) , Eur o pe an I nt e gr at i o n and Su pr anat i o nal Go u e r nanc e , Oxf or d UP , 1 9 9 8.Char l ot t e Br e t he r t onandJohnVogl e r ,TheEur o pe an Uni o n asagl ob alac t o r , Rout l e dge ,1 9 9 9 , pp. 8 0 ‑ 1 0 8.

5 8 A M Sbr agl a,Wi t h C Damr o ,o p. c i t . ,p. 6 0 a ndpp. 6 4 ‑ 6 5.

5 9 Unde r dal の定義 に よれば, リー ダー シ ップ と は 「ある行為者が一定期 間にわた り,ある特定 の 目標 に向けての他 の行為者の行動 を誘導又 は 指揮す ることを意味 し,影響力の非対称的な関 係 を指す概念 」 となる。 ( ザ ‑ トマ ン編著 『多 国間交渉の理論 と応用 :国際合意形成へのアプ ローチ』慶歴義塾大学出版会 ,2 0 0 0 年 ,1 6 3 頁。) 6 0 0. 氏. Young, " Pol i t i c alLe ade r s hi pandRe gi me

For mat i o n :On t he De v e l opme nt of l ns t i t ui onsi n l nt e r nat i onal Soc i e t y ", Z nt e r nat i o nal 0r gani z at i o n , v ol . 4 5 , no. 3. , 1 9 9 1 .Ar i l dUnde r dal , " Le ade r s hi pThe or y:

Re di s c ov e r i ng t heAr t sofManage me nt" , i n I . Wi l l i am Zar t man ( e d. ) ,I nt e r nat i o nal Mul t i l at e r alNe go t i at mg:Appr o ac he st ot he Mana ge me nto fCo mpl e xi t y,Ⅰ I ASA/Jos s e y‑

Bas s , 1 9 9 4. 氏. Mal ne s , "Le ade r and Ent r e pr e ne uri ni nt e r nat i onal Ne got i at i ons:

A Conc e pt ualAnal ys i s " ,Eur o pe anJo ur nal o fI nt e r nat i o nalRe l at i o ns ,v ol . 1 ,no. 1 ,1 9 9 5 . GunnarFe r mann , " Pol i t i c alLe ade r s hi pand Cl i mat eChange:ThePr os pe c t sofGe r many , Japan andt heUni t e dSt at e s ",i n Gunnar Fe r mann ( e d. ) , I nt e r nat i o nalPo l i t i c s o f Cl i mat eChan ge‑Ke yI s s ue sand Cr i t i c al Ac t o r s ,Sc andi nav i anUni v e r s i t yPr e s s ,1 9 9 7.

61 Mi c hae l Gr ubb and Joye e t a Gupt a , ) チ

" Le ade r s hi p:The or yandme t hodo l ogy,i n Gr ubb and Gupt a ( e d. ) , Cl i mat e Change

and Eur o pe an Le ade r s hi p:A Su s t ai n ab l e Ro l ef o rEur o pe ? ,Kl uwe r,2 0 0 0.

6 2 EU 環境政策の決定 において,税制上の性質 を 有す る規定,国土計画や水資源管理 に関す る措 置,各国のエネルギー政策 に重大 な影響 を与 え る措置 などに関 しては,構成国の全会一致 を必 要 とす る ( 第 1 7 5 条第 2 項)0

6 3 E C 設 立 条 約 第 5 条 。 Agne t he Dahl ,

" Compe t e nc eandSubs i di ar l t y:Le galbas i s andpol i t i c alr e al i t i e s " ,i nJoye e t aGupt aand Mi c hae lGr ubb ( e d. ) ,o p. c i t . ,Kl uwe r ,2 0 0 0.

6 4 「この条約が共同体 と‑ もしくは二以上の国 ま たは国際機 関 との間の協 定の締結 を規定 してい る場合 には,委員会は理事会に勧告 を行 い,理 事 会は委員会 に対 し,必要な交渉 を開始するこ

とを承認する

委員会は, この任務 を補助する ため理事会が任命 した特別委員会 と協議 し,か つ,理事会が委員会 に対 して発する指示の枠 内 で,これらの交渉を行 う 。 」( 第 3 0 0 条第 1項前段) 。 なお,環境分野 における EU の対外権 限につい て は以 下 を参 照 の こ と 。 Domi ni k Thi e me ,

"Eur ope an Communi t y Ext e r nalRe l at i o ns i nt heFi e l doft heEnv i r onme nt " ,Eur o pe an Enu i r o nme nt alL au )Re v i e w,vol . 1 0 ,no. 8 / 9 , 2 0 01 .

6 5 Char l ot t e Br e t he r t on and Jo hn Vogl e r , o p. c i t . ,p. 9 9.Mi c hae lGr ubb and Far hana Yami n ,o p. c i t . ,pp. 2 7 4 ‑ 2 7 6.He i keSc hr 6 de r , Ne go t i at mg t heKyo t oPr o t o c o l ,LI T,2 0 0 0 , p. 5 3.GunnarSj 6 s t e dt , " TheEU Ne got i at e s Cl i mat eChangeExt e r nalPe r f or manc eand l nt e r nalSt r uc t ur a lChange",Co o pe r a t i o n andCo n f l i c t ,vol . 3 3( 3) ,1 9 9 8,pp. 2 3 8 ‑ 2 4 1 . 6 6 事例研究において,既 に指摘 されていることであ

る。例 えば, Se bas t i an Obt i r t hur , " TheEU asanl nt e r nat i onalAc t o r:ThePr ot e c t i o n oft heOz oneLaye r" ,Jo ur nalo fCo mmo n Mar he tSt u di e s ,v ol . 37 ,noA,1 9 9 9 .

6 7 He r mannE .Ot t , " Cl i mat ec hange:ani m‑

por t antf o r e i gnPOl i c yi s s ue " ,I nt e r nat i o nal Af f ai r s ,v ol . 7 7 ,no. 2,2 0 01 ,p. 2 8 5. 議 長 国は 理事会 を代表 して交渉団の中心 となる。その際 には, 自国の政策方針が強 く反映 される傾 向が ある 。 そのため, 6 ケ月ごとの交替 を好 ましく ない とする意見がある一方で,中 ・小 国が EU の名の下 に自らの理念 を追求す ることが出来 る

‑ 30‑

(11)

E Uの温暖化対策

利点があ り,オランダやデ ンマークなどの環境 先進国が議長国に就 くことの効果 を評価する意 見 もあ る ( Char l ot t eBr e t he r t on and John Vogl e r ,o p. c i t . ,p. 1 0 7

.) .

6 8 これ らを根底か ら支えているのは,構成国国民 の環境意識であろう

6 9 第 3 章第 3 節 とは対照的に, E Uの制度的な特 徴 を肯定的に捉 える見方 もできる

一つには, E Uが域内合意 を取 り付けた上で国際交渉に当 たるということで,国際条約の批准の時点で大 き な混乱を起こすことがなく,実行の見込みも高い のではないかという指摘がある ( A. M. Sbr agi a , wi t hiC. Damr o , " Thec hangl ngr ol eoft he Eur ope an Uni on i n i nt e r nat i onale nv i r on‑

me nt alpol i t i c s:i ns t i t ut i o nbui l di ngandt he

pol i t i c sofc l i mat ec hange " , ET Wi r o nme ntand Pl aT mi n gC:Go u e r nT ne ntandPo l i c y,v ol . 1 7 ,

1 9 9 9. ) 。第 2に, E U内では, E Uと構成国ご との外交資源が並行 して活かせ ることか ら,外 交手段の多様性 に期待で きるのではないか とい うこと

第 3に,通常の国家は,外務省や経済 関連省が環境省 と共 に国際交渉に当たることが ほとんどだが, E Uの場合 はより環境総局主導 であ り,環境への配慮が より大 きくなるのでは ないか とい うこと

( 付 記)

本稿は、財団法人 学術振興野村基金研究プロジェ ク ト助成金による研究成果の一部です。記 して感謝 申し上げます。

総合環境研究 第 5巻 第 2 号

‑ 3 1‑

参照

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