長崎大学工学部研究報告 第27巻 第49号 平成9年7月 289
火山成粗粒土の水浸に伴 う圧縮及びせん断特性の変化について
後 藤 恵之輔* ・山 中 稔*
小 川 鉄 平**・AbdelhadiMonther***
ChangesinCompressiveandShearStrengthPropertiesduetoSubmergence ofVolcanicCoase‑GrainedSoil
by
KeinosukeGOTOH*,MinoruYAMANAKA*,TeppeiOGAWA**
andMontherABDELHADI***
Inordertoutilizethevolcaniccoase‑grainedsoil,thecompressiveandshearpropertiestestswhich willbeeffectedbysubmergencewerecarriedoutfromsoilmachanicsviewpoint.Ⅰnthecompressiontests, thecompressionstrainsandthepFIValueweremeasuredbeforeandaftersubmergenceonconditionthat thedensityofthespeicmenandtheloadingstresswerevaried.Inthedirectsheartest,thestrengthand strainweremeasuredbeforeandaftersubmergencesimilarly.
Asaresult,forthecompressivepropertiesthefollowingswereobtained;
1)Onconditionofthecompactiondensity,theeffectofsubmergenceforthecompressivechracteristicis verylittle,
2)Onconditionofthein‑sitedensity,thecompressivestrainaftersubmergencebecomesbiggerwith theincreaseoftheloadingstress.
Fortheshearpropertiesthefollowingswerealsoobtained;
1)Shearstrengthofthespecimensatcompactiondensityishigherthanofitincaseofin‑situdensity.
2)Comparingthebearingcapacityatin‑situdensityconditionwithitatthecompactiondensitycondi‑ tion,ifisclearthatcompactionisveryimportantinordertosubsidizethereductionofbearingcapacity duetosubmergence.
1.は じめに
雲仙 ・普賢岳の噴火活動により,水無川流域 に大量 に堆積 した火山成粗粒土 は,現在,盛土や埋立土な ど への利用が行われつつある。 しか し,一般 に火山灰質 土 や まさ土 の ような脆 弱な粒子 か らな る土質材料 で は,水浸 によって沈下や強度低下が起 こることが考え
られ る1) 2)。雲仙 ・普賢岳火 山成粗粒土 の粒子形 状
紘,流水 による淘汰が少な く角張 った粒子形状 を呈 し ているこ とか ら,水浸時には沈下現象や強度低下 が発
生することが予想 され る。水浸沈下の発生は,不等沈 下や,盛土表面な どの破壊を生 じさせる。 また,水浸 による強度低下は,盛土や建築構造物等のすべ りや破 壊 を生 じさす。 したがって,火山成粗粒土 を土構造物 に有効利用する場合は,予め十分な水浸時の検討が必 要である。
著者 ら3)4)は,票仙 ・普賢岳土石流堆積物 を試料 とした,一連の物理 ・力学実験 を行 って きた。本研究 は,火山成粗粒土の水浸に伴 う圧縮及びせん断特性の
平成9年4月25日受理
*社会開発工学科 (DepartmentofCivilEngineering)
**大学院修士課程社会開発工学専攻 (GraduateStudent,DepartmentofCivilEngineering)
***大学院博士課程海洋生産料学研究科 (GraduateSchoolofMarineScienceandEngineering)
定量的把握 を 目的 として行 った,圧縮及びせん断試験 の結果を報告するものである。
2.試料採取位置
室内実験に供 した土質試料の採取位置は,島原市水 無川下流域 より1996年7月31日に採取 した。 この地点 は度重なる土石流発生の中で も,初期段階での堆積に ある と言 える。採取位置周辺には,直径10cmか ら1m
を越 える岩石が点在 しているが,主 として粗粒の砂質 土が堆積 している。運搬性 と室内実験の方法を考慮 し て,直径5cm程度の磯 を排除 した堆積物 を試料 として 乱 した状態で採取 した。
Figurelには,用いた試料の粒径加積曲線を示す。
最大粒径は19皿,細粒分含有率は8%と少な く,また 粒度分布は良い と言える。 日本統一分類法 (JGS M 111‑1996)では,火山灰質土 ま じり硬質砂 (SG‑Ⅴ) に分類 される。土粒子の密度はps‑2.57g/cd2であ り, 鹿児島産 しらす と比較 して,やや大 きい債向にある。
6u!sst2d
sst2
∈06dIueOLOd 000000654321o
Too10.01 0.1 1 10 100particaldiameter (mm) Fig.1 Grainsizedistribution.
3.圧縮特性に及ぼす水浸の影響 3. 1 試験装置及び実験条件
Figure2に,圧縮特性 に及ぼす水浸の影響を調べる ために製作 した試験装置の概略図を示す。有孔底板に 固定 した直径15皿のCBRモール ド内に,予め乾燥 さ せた試料 (最大粒径19m)を用いて二種類の乾燥密度
となるよう供試体を作成 した。
Tablelに,供試体の密度条件 を示す。砂置換法で 測定 した現場密度 (pd‑1.57g/cJ)と,室内締 固め 試験 (A‑b法)で得 られたpdmaxの95%の乾燥密度の 値 (pd‑1.76g/cd2)で行 った.作成 した供試体中に は,上方 と下方の二つの深度 に,サクシ ョンを測定す るためのpF計 を設置 している。供試体上面に載荷板
¢=15cm
Fig.2 Submergence settlement measuring ap‑
paratus.
を載せ,載荷シ リンダーにより載荷する。載荷圧力は, 49,98,147,196kPaの4条件で行 った。測定はまず, 載荷後24時間 (水浸前)までの沈下量 を測定 した後, 供試体下部 より一定速度 (約1.7C皿/分,約10分で供試 体上面 まで水浸)で水位を上昇させ,その後さらに継 続 して24時間沈下量 を測定 した。
Table1 Conditionofspecimendensity.
densityqondition in‑situ compaction
3. 2 実験結果及び考察
(1)圧縮ひずみ及びpF値の経時変化
Figure 3に,一例 として現場密度条件 における載 荷圧力98kPaでの,圧縮ひずみ とpF値の経時変化を 示す。圧縮 ひずみは,水浸前は載荷後約1分でほぼ沈 下が終了 し,水浸後は約10分までに沈下の進行が認め られ る。pF値 の経時変化 についてみてみ る と,水浸 前は徐 々に大 きくなってお り,水浸前24時間後の値は どち らも2.8である。 これは,pF計の先端 にあるポー ラスカップが土にな じむまでの時間である と考え られ る。水浸後は,供試体内の水位の上昇 により,約1分 で下 方 に設置 したpF計 か らまずpF値 は下 が り始 め,次に水没後約5分か ら上方のpF値が下が り始め ている。圧縮ひずみ との関係では,pF値 が下 が り始 めている時に若干ではあるが,圧縮ひずみが生 じる傾 向,すなわち水浸による沈下の発生が見 られる。
火山成粗粒土の水浸に伴 う圧縮及びせん断特性の変化について
Figure4(a),(b)に,現場密度条件及び締固め密度 条件 における,水浸前 と水浸後の圧縮ひずみの経時変 化 をそれぞれ示す。Figure4(a)の現場密度条件では, 水浸前において,載荷圧力が大 き くなるに したがい圧 縮ひずみ も比例 して大 き くなっている。一方,水夜後 は,最 も載荷圧 力の小 さい49kPaが最 も沈下 が大 き いが, どの載荷圧力において も,水浸後10分までには 沈下がほぼ終了 していることが分かる。Figure 4(b)
に示す締固め密度条件では,水浸前 において,載荷圧 力が大 き くな るほ ど沈下量 も大 き くな っているが, Figure 4(a)の現場密度条件ほ ど,載荷圧力の違 いに よる圧縮ひずみの差は見 られない。 さらに,水浸後に おいて も沈下はほ とん ど生 じていないことが分かる。
beforesubmergenceaftersubmergence
246
(%)u!eJISa^.rSSaJdLuO3 000
I l
〜 IIArL
IJ:lbO.ヽム )出払
l 一‑〇△コ 甲 '
∫0.1 1 101001000 1 10 1001000 time (min)
(a)In‑situdensitycondition.
024683(%)U.rtZLlSa^!SSOJduJo3
当 2石
>I
La1L
O
291
beforesubmer9enCe aftersubmergence
J ● ( I
dit
P.a.ion UPermetl
l JH 日lJt 98kCO〔 ら◇a
Wiln‑oadsitingsnsiude!restsy
low rmete
time(min)
Fig.3 ChangesofcompressivestrainandpFIValue.
beforesubmergenceaftersubmergence
246(%)u膏Tsa^!ssaJd∈03 0(U0
8.0
0.1 1 10 1001000 1 10 1001000 time (m舌n)
(b)Compactiondensitycondition.
Fig.4Changesofcompressivestrain.
(2)載荷圧力の影響
Figure 5に,両密度条件 における載荷圧力pと圧 縮 ひずみ亡との関係を示す。 ここで,載荷圧力による ひずみ とは外挿法 により求めた載荷48時間後の値 を, 水浸 によるひずみAgとは水浸24時間後のひずみか ら 載荷圧力による沈下量を差 し引いた値を示 している。
載荷圧力によるひずみは,現場密度条件では載荷圧力 が大 き くなるに したがい圧縮ひずみ も比例 して大 きく なっているが,締固め密度条件においては どの載荷圧 力において も0.2‑0.6%と小 さ く,現場密度条件の最 小値 よりも小さい。水浸による圧縮ひずみは,現場密 度条件においては0.1‑0.6%の範囲に,締固め密度条 件では0.2%以内の範 囲にあるが,いずれ も圧縮 ひず みは小さい。
(3)密度の影響
Figure 6に,各圧力条件 における水浸によ り生 じ た増分ひずみ と乾燥密度 との関係を示す。乾燥密度が
(o/o)u!eJ)Sa^!SSaJd∈ou 0 2.0
4.0
; Oc。mpaOcti.ngensity
● 8
cond・'tion 象i。̲situも nsity condition
I I □
initialatate◆ ◇
cOmpressiVestrain0 50 100 150 200 250
loadingstress・(kPa)
Fig.5 Relation between stressand compressive strain.
(%)u!eJtspaseaLUu!
1.5 1.6 1.7 1.8 drydensity(g/cm3)
Fig.6 Relationbetweendrydensityandincreased strain.
低い場合は,載荷圧力が小さいほ ど増分ひずみが大 き くなっていることが分かる。一方,乾燥密度が大 きい 場合は,載荷圧力が大 き くなるに したがい,増分ひず みは大 きくなることが分かる。 これは,実験に用いた 試料が流水による淘汰が少な く角張 っているため,粒 子が大 きな圧 力に よって破壊 されたため 1)ひずみが 進行 した もの と思われ る。 さ らに乾燥密度が1.57g/
cdの現場密度条件 において,載荷圧力が49kPaの と きはひずみ増分が0.6%であるのに比較 し,載荷圧力 が2倍の98kPaではひずみ増分は3分の1の0.2%にな ってお り,載荷圧力の増加によって増分ひずみが減少 することが分かる。
4.せん断特性に及ぼす水浸の影響
(t2dきssoJIS蒜eエS
(a)Shearstress〜horizontaldisplacement.
4. 1 せん断試験方法
改良型三笠式一面せん断試験機 を用い,定圧一面せ ん断 (CD)試験を行 った。
Table2に供試体条件を示す。含水比は現場含水比 と同 じになるように調整 し,乾燥密度はTablelの値 と一致 している。直径6cm,高さ2cmのせん断箱 に試 料を成形後,所定の圧密圧力で圧密を実施する。圧密 終了後,せん断速度1%でせん断試験 を行 った。特 に 水浸条件でのせん断過程では,圧密過程終了後に供試 体下部 より水浸させて,せん断を行 った。なお,実験 にはせん断箱の大 きさより2皿ふるい通過試料を用い てお り,現場試料 とは粒度が異なっている。
Table2 Conditionofspecimenforshearingtest. densitycondition in‑situ compaction
dpT ge/ncsEy) 1.57 ‑ 1.76
4.2 試験結果及び考察 (1) 応力‑ひずみ曲線
Figure 7(a),(ち)には,現場密度条件 における, 非水浸時及び水浸時の定圧一面せん断試験結果を示 し ている。Figure 7(a)に示すせん断応力‑水平変位関 係に関 しては,まず非水浸時 (白抜 き印)には,水平 変位の増加に伴いせん断応力はなだ らかに上昇 し,水 平変位2皿程度でせん断応 力はピー クを呈 した後 ,
(∈∈)luO∈ODtZlds!p一t23!tja^
‑1.5
0 1 2 3 4 5 6 ●7 8 horizorltaldisplacement(mm) (b)Verticaldisplacement〜horizontalone.
Fig.7 Directsheartestforin‑situdensitycondition.
火山成粗粒土の水浸に伴 う圧縮及びせん断特性の変化について
(。d三ssOJtsJdeエS
(a)Shearstress〜horizontaldisplacement.
(EE)lueuJOUt=lds!plt20!IJO^ 51t0
293
[
卜 l l l flr 5 7 . O k P a
J f l J82.3 117.7
4■5.4 47.0
196.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 horizontaldisplacement(mm) (ち)Verticaldisplacement〜horizontalone.
Fig.8 Directsheartestforcompacti()ndensitycondition.
わずかに低下を続けてい く。 しか し,水浸時 (黒抜 き 印)には,最大せん断応力は非水浸時 と比較 して低下 するとともに,曲線のピークは見 られず上昇を続けて いることが分かる。Figure7(b)に示す垂直変位一水 平変位関係では,非水浸時 と水浸時で大 き く異なる挙 動を示 している。すなわち,非水浸時では垂直変位が せん断開始時にやや圧縮側に変化するが,す ぐに反転 し大 き く膨張側 に移行 している。 しか し,水浸時にお ける垂直変位 は非水浸時 と比較 して1/3の大 きさで推 移 し,垂直圧力196kPaの場合には,膨張が抑 え られ 収縮のまま収束 している。
Figure 8(a),(b)に,締固め密度条件 における, 非水浸時及び水浸時の定圧一面せん断試験結果を示す。
Figure 8(a)に示すせん断応力の変化は,Figure 7 (a)の現場密度条件の場合 と比較 して,水平変位の小 さい段階 (1‑2mm)でピー クを迎 えるようにな り, 曲線の立ち上が り勾配 も大 き くなっている。 ピーク後 2mm経過後の残留強度は, どの垂直応力に関 して も最 大時の3分の 2はあ り,大 きな強度低下は生 じないこ
とが分かる。Figure 8(b)に示す水平変位 と垂直変位 の関係では,両者 ともせん断開始時か ら膨張側 に推移 している。膨張量の大 きさは現場密度条件 に比べ,若 干大 きいことが分かる。
(2)強度定数の変化
Figure 9に,非水浸 と水浸における現場密度条件 及び締固め密度条件での,垂直応力 とせん断応力の関 係を示す.またTable3には,得 られた強度定数 を一 覧する。
非水浸時での強度定数は, どち らの密度条件 とも大 きな値 となっている。特 に締固め密度条件では非水浸 時にQd‑58.60と,他の三軸圧縮試験の結果5)と比較 して も大 きな値 と言える。 この原因 として,試験機の 特徴 もしくは,用いた一面せん断試験ではせん断面が 規定 されるために,せん断面上に租粒な土粒子が存在 した場合にはインターロッキング効果により,想定以 上の大 きなせん断抵抗が発揮 された もの と考 えること ができる。
現場密度条件 において,粘着力は非水浸時 にcd‑
9.8kPaであ ったが,水浸 によ り粘着力cd‑0.9kPa とな り,90.8%低下 している。内部摩擦角は,非水浸 が¢d‑47.30,水浸がQd‑37.20と,10.10の違いがあ った。 この ように,水浸によって大 きな強度低下が生 じることが明 らか となった。 これは,現場密度条件 に おいては,土粒子同士の間隔が大 きいため,水浸する ことによって土粒子一つ一つが水の膜 に包まれ 土粒 子のかみ合わせの力が小さ くな り粘着力,内部摩擦角 ともに非水浸に比べ低下 した と考えられる。締固め密 度条件 においては,非水浸では粘着力cd‑18.4kPa, 水浸ではcd‑5.OkPaであ り,72.9%の低下があるも のの,内部摩擦角に関 しては,非水浸が如‑60.90, 水浸がQd‑58.60と,現場密度条件 に比べて低下 は少 ない。 これは,締固め密度条件においては,土粒子同 士の間隔が非常に小 さいため,水浸 しても土粒子同士 に働 くかみ合 わせの効果 が保たれ るため と考 え られ る。
450
400 盲350
D.
き300
000505221
SSOJlSJt2auS
0 100 200 300 400
verticalstress (kPa)
Fig.9 Relationbetweenverticalstressandshear stress.
Table3 Strengthparameter.
densitycondition in‑situ compaction pon‑Submerged Cd=9.8kPa Cd=18.4kPa
‑¢d=47.3○.¢d=60.9○
Submergeq Cd=0.9kPa Cd≡5.OkPa
Table4 SllOrtlimeallowablebearingcapacity.
densitycondition 1in‑situ compaction non‑submer(tf/m2)9ed 357 461
Submer(:tf/m2ged) 67 178
(3)水浸時の支持力の低下
前述の(2)では水浸に伴 うせん断特性の変化について 検討を行い,水浸により強度定数が低下す ることが明 らか となった。 ここでは, この強度定数の低下が地盤 支持力に どの程度影響するかを考察する。
地盤の短期許容支持力算定式 として,下記の建築基 礎構造設計指針 6)を用いる。
qa
‑ ‡( α
cNc・PrlBN,・ i
・γ2DfN。)(t/i)ここで,地表面上 に底面幅10mの正方形基礎が直接載
荷 した場合 を想定 し,地盤定数は本研究で得 られた値 を適用 した。
Table4に,得 られた短期許容支持力度 を一覧する。
現場密度条件 における支持力度 は,非水浸時 に357tf/ Hfと大 きな値 を示 すが,水浸 に よ り67tf/Hfに減少 す る。その減少率は81.2%であ り,水浸 によって非常 に 大 きな支持力の低下が見 られ る。一方,締固め密度条 件では,非水浸時では461tf/A,水浸178tf/Jであ っ た。用いた内部摩擦角が大 きいために得 られた支持力 度は非常 に大 きい値ではあるが,水浸 による支持力低 下の割合を考 えた場合,減少率は61.4%と大 きい。支 持力度減少率を比較 した場合 には,締固め密度条件の 方 が現場密度条件 よ りも19.8%小 さい値 とな ってい る。 この ことか らも,水浸による強度低下を減少 させ るためには,締固めにより密度を上昇 させる方策が必 要であ ることが言える。
5.ま と め
本研究では,雲仙 ・普賢岳火山成粗粒土 を試料 とし て,水浸に伴 う圧縮及びせん断特性の変化 について実 験的に究明するとともに, この得 られた結果 を用 いて 支持力の算定 を行 った。その結果,以下の ことが明 ら か となった。
・圧縮特性の変化 について
(1) 圧縮 ひずみ とpF値 の関係 では,pF値 が下 が り 始 め る際 に,圧縮 ひずみが増大 す る傾 向,すなわ ち水浸沈下の発生が見 られ る。
(2)載荷圧力 と圧縮 ひずみ との関係か ら,水資 による 圧縮ひずみは,現場密度条件 においては0.1‑0.6%
の範 囲に,締固め密度条件では0.2%以内の範 囲に あるが,いずれ も圧縮ひずみは小 さい。
(3)水浸により生 じた増分ひずみ と乾燥密度 との関係 か ら,乾燥密度が低 い場合は,載荷圧力が小 さいほ ど増分ひずみが大 きいが,乾燥密度が大 きい場合は, 載荷圧力が大 き くなるに したがい増分ひずみは大 き
くな ることが分かる。 これは,実験 に用いた試料が 流水による淘汰が少な く角張 っているため,土粒子 が大 きな圧力によって破壊 されひずみが進行 したた め と考 え られる。
・せん断特性の変化 について
(4)定圧一面せん断試験 か ら得 られたせん断応力‑水 平変位 曲線は,両密度条件 とも,水浸時 には最大せ ん断応力は非水没時 と比較 して低下する とともに, 曲線のピークはなだ らか とな る。
(5)水平変位 と垂直変位の関係では,締固め密度条件 の方が現場密度条件 より膨張量が大 きいが,両密度
火山成粗粒土の水浸に伴 う圧縮及びせん断特性の変化について
条件 とも水浸による影響 として膨張量の低下が生ず る。
(6)水浸により強度定数は低下する。密度の大 きい現 場密度条件の方が,強度定数の低下割合は大 きい。
その原因 として,密度が高い締固め密度条件 におい ては,土粒子同士の間隔が非常に小さいため,水浸 して も土粒子同士 に働 くかみ合わせの効果が保たれ ているため と考 えられる。
(7)水浸による強度定数の低下が地盤支持力に どの程 度影響するかを検討 した結果,支持力度の減少率を 比較 した場合,締固め密度条件の方が現場密度条件 よりも小さい値 となってお り,水浸による強度低下 を減少 させるには,締固めにより密度を上昇 させる 方策が必要であることが言える。
謝 辞
本研究を進めるにあた り,中央開発㈱ 中村裕昭氏 には有益な ご助言 を頂いた。 また,㈱ウエスコには研 究助成金を頂いた。 ここに感謝の意 を表する次第であ
る。
295
参 考 文 献
1)三浦 ・八木 :火山灰質土粒状体の圧密 ・せん断に よる粒子破砕 とその評価,土木学会論文集,No.561/ III‑38,pp.257‑269,1997.3.
2)鬼塚 ・吉武 :破砕性 まさ土の低圧条件下における せん断特性,土木学会論文集,No.400/Ⅲ‑10,pp.141
‑150,1988.12.
3)後藤 ・山中他 :雲仙 ・普賢岳火山性土石流堆積物 の有効利用に向けた物理及び力学特性の把握,火山 灰質土の性質 とその設計 ・施工に関するシンポジウ ム発表論文集,地盤工学会,pp.313‑320,1995.10.
4)後藤 ・山中 ・末久他 :火山成粗粒土の水浸沈下特 性の実験的研究,平成7年度土木学会西部支部研究発 表論文集,pp.622‑623,1996.3.
5)平 ・難波他 :雲仙土石流土の工学的性質,自然工 学西部地 区部会報 ・論文 集,γol.15,pp.65‑71, 1993.2.
6) 日本建築学会 :建築基礎構造設計指針,pp.117‑ 128,1988.