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バスケットボールのゲームにおけるアウトナンバー の分析

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

バスケットボールのゲームにおけるアウトナンバー の分析

著者 岡本 重夫

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 14

ページ 35‑40

発行年 1978‑03‑25

その他のタイトル A Study on "outnumber play" in Basketball Games.

URL http://hdl.handle.net/10105/6398

(2)

バスケットボールのゲームにおけるアウトナンバーの分析

岡  本  重  夫

   (体育学教室)

 バスケットボールはフットボール・ぺ一スボールなどに匹敵する興味と活発・強剛な性格をも った、冬期室内で行なえる優れたスポーツが要望されていたのに応え、1891年米国マサチュ セッツ州スプリングフィールドの国際キリスト教青年会教員養成所(I耐em砒i㎝al YM C A Trai皿ing School,Spring{ie1d)の指導者ネイスミス博士(Dr.』a㎜es A.Nais㎜ith)が、

同所の校長キューリック博士(Dr.L凹ther G凹ilick)の暗示をうけ、フットボールを始め他の 多くのスポーツを研究し、その長所を採用して考案したものである。

 バスケットボールのゲームで用いられる「攻撃の戦法」としては、防御チームが帰陣し防御陣 を備える前に速く攻撃しようとするファスト・ブレーク(速攻法)と、構えられた防御陣に対し、

 パス・トリプルを使って互いの動きをうまく組み合わせてノーマークをつくり、じっくり攻め るパターン・オフェンス(計画された動きによる攻撃法)と、臨機応変な個人の判断によって攻 撃しようとするフリー・ランス・オフェンスがある。バスケットボールが科学的であるというこ とは、このパターン・オフェンスの面に明瞭に見られ、この競技のスピーディな、そしてトリッ キーな面白さは、ファスト・ブレークや、フリー・ランス・オフェンスによく見られる。

 「ゲームの定義」について競技規則には、「バスケットボールは5人ずつのプレイヤーからな る2チームによってプレイされる。各チームの目的は相手チームのバスケットにボールを投げ入 れること、相手チームにボールを持たせたり、得点させたりしないようにすることである。」と 規定している。

 ゲームの展開は、1つのボールが相対する2チームの間で保持がかわるたびに、攻撃・防御の 場面がめまぐるしく交錯しながら継続される。ゲーム中ボールを獲得・保持したチームは、相手 チーム(防御側)に奪われないようにっとめながら得点のためのゴールをねらって各種の個人技 術や、他のチーム・メードと共に鶴カして行なうチーム・プレーを展開するのである。この場合 に有効な攻め方(得点しやすい攻め方)として用いられるのがファスト・フレーク(速攻法)で ある。速攻法について吉井は、「後退してセットされた防御陳は容易に破り得ないから防御陣が

 ASt凹dyon o凹t皿阯mbgrplay illBask剛ballGa㎜es。

@S11igeo Ok8moto(Dp趾tms11t o{Physical Ed㎜cati011,Nara U皿iversity o{Ed㎜catio皿,

   Nam.)

(3)

セットされる前に攻撃しようとするのが速攻法である。速攻法は確かに効果的な攻撃法となるも のであるが、そのスタートのタイミングを失うとそれは成立し難い。換言すれば、ゲーム中、常 に速攻法で攻撃するということは実際問題として不可能であり、必ずやセットされた防御陣を攻 撃せねばならない場面が相当にあるということである。」とのべ、ゲーム中攻撃法として用いら れるのは、速攻法(Fast Bmak)と遅攻法(Set0伍㎝㏄)の2方法があり、前者がより有利で あるとのべている。また、桂は、「3対2・4対3のオフェンス」について、「アウトナンバー

(局部的に攻撃側・防御側の人数のバランスをやぶった状態)したときの有利な条件」として、

 バスケットボールの攻撃の基礎的な練習として、その大切さを強調している。

 以上の考え方に着目し、バスケットボールのゲーム場面において、ポールを獲得したチームが ボールを相手チームのバスケットヘはやく進めて、アウトナンバーの状態をつくり出すときに、

どのようなパターンのアウトナンバー場面が出現し、また、その結果がゴール(得点)という目 的を達成する確率や、ゲームの水準を異にする、大学男女・高校男女のそれぞれのゲームについ て比較・検討を加え、バスケットボールの技術の指導、とくにチームプレイの技術を高める手が かりを得ようと研究したものである。

方       法

対  象

調査日時 調査方法

昭和52年度関西学生バスケットボール1都リーグ戦27ゲーム(男子11・女子 16)と、同年秋期奈良県高校総合体育大会バスケットボール競技の7ゲーム(男 子4・女子3)の合計34ゲーム。

大学のリーグ戦は、昭和52年10月。高校のゲームは9月。

上記の34ゲームについて、以下の方法で記録し集計した。

1)ゲームの開始から終了までの全時間内において、ボールを獲得したチームが、

ボールを進めるときに、ボールがセンターラインを通過した時点において、攻撃側 のプレイヤーの人数が防御側の人数よりも多くフロント・コートに位置を占め(ア ウトナンバー)た状態を、1対Oから5対4、の15種類のパターン別に言己録した。

2)アウトナンバーした状態から、攻撃に成功してゴールに成功した場合と、失敗 した場合「ゴール・シュートが不成功でリバウンドボールを防御側に奪われたとき、

 ゴール・シュートをするまでに防御側にインターセプト(中断)されてボールの 保持を失ったとき、攻撃中にバイオレーション(規則違反〕によりボールの保持を 失ったときなど」にわけて、相対する2チームについて、前・後半を別に記録した。

結       果

 対象としたゲーム34(大学27・高校7)について、出現したアウトナンバーをパターン別

に比較したのが第1表である。

(4)

第1表 パターン別アウトナンバーの出現率(%)

  パターン対象

1:02:02:13:03:13:24:14:24:35:35:4

出現回数

大学 @27ゲーム

22.7 14.1

6,324.0

8.9

2,613.2

2,0 6.3

304 局校 @7ゲーム

22.5

6,938.2 2,019.6

5.9 4.9

102

全体

@34ゲーム o現回数

22.7

X2

1,720.2

V 82

0.5  9,6 19.5  6.7

Q 39 79 27

2.0 −9.9

W 40

1.5 5.9

U 24 406

 (注)ゴールの成否を別にせず出現したアウトナンバー  表によって明らかにされたのは次の諸点である。

 1)34ゲーム全体についての出現数は、406回であり、1ゲームでは約12回であった。

 2)15種類のアウトナンバーのパターンのうち、大学では9種類、高校では7種類のパター    ンの出現がみられ、大学のゲームがより多様なパターンの出現を示した。

 3)多く出現したパターンは、大学では、3:2,1:O,2:1のj頂であり、高校では、2     1,1:0,3:1であった。出現率の高いパターンに共通しているのは、1:0,2     1のパターンであり、攻撃側が3名以下、防御側が2名以下が非常に多い。

 4)15種類のパターンのうち、4:O,5:0,5:1,5:2の4種類のアウトナンバー

   は皆無であった。

 ゲーム中にみられたアウトナンバーのパターンについて、それぞれのプレイの結果がゴールに 成功したときと、失敗したときにわけて集計したのが第2表である。この結果の分析から次の諸 点が明らかになった。

 1)大学・高校を男女別に4群として比較したとき、ゲーム中に出現するパターンは大学女子    がもっとも多く、高校女子がもっとも少い。

 2)4群を比較した場合、アウトナンバーのフレイがゴールに成功するパターンは一様でなく、

   高い成功率の順は、高校女子の2:O(80%)、大学男子の3:2(72.4%)、大学女子    1:0(68.1%)、高校男子の2:1(52.6%)であった。

 3)高校と大学のパターンごとのゴール成功率を比較した場合、1:Oのとき5%水準で有意    差があった。

 4)大学の男女別では、3:2のパターンのとき1%水準で有意差がみられた。

       第2表 パターン別ゴールの成功・失敗の比較 0NPの

コー パターシ

 ルのゲーム成 1:0 2:0 2:1 3:0 3:1 3:2 4:1 4:2 4:3 5:3 5:4

大学男子 S 13 13

2

21

1 3 5 3

11ゲーム

M

9 8

6

8

1

0

5 2

計 22 21

8

29

2 3

10

5

(5)

]_パターン

0NPの

 の

fレ

Qーム成否 1:0 2:0 2:1 3:0 3:1 3:2 4:1 4:2 4:3 5:3 5:4

大学女子 S 32

11 4

17 14

2

10

3 7

16ゲーム

M

15 11

7

27 1l

3

20

3 7

計 47 22

11

44 25

5

30

6

14

高校男子 S 5 O 10

1 7 2

4ゲーム

M 7 2 9 1 7 3

計 12 2 19

2

14

5

高校女子 S

3

4

7 1

4

3ゲーム

M 8 1

13

5 2

計 l1

5

20

6

6

合 計 S 53 4 41

1

14 42 15

5

15

3

12

34ゲーム

M

39

3

41

1

25 37 12

3

25

3

12

計 92 7 82

2

39 79 27 8 40

6

24

  (注)表中〔S〕はアウトナンバープレイでゴール成功〔M〕は不成功を示す

 第3表は、ゲームの結果、勝チームと敗チームを比較して、アウトナンバーの出現率、アウト ナンバーによるゴールの成功率、これらがゲームの総得点に占める割合などを示したものである。

 この結果、以下の諸点が明らかになった。

1)1ゲーム中にみられるアウトナンバーの出現回数と、アウトナンバーによるゴールの成功数  はいづれも勝チームが大きく、t検定により1%水準で有意であった。

      第3表 勝・敗2群の比較

勝敗 勝 チ ー ム チ ー ム

種別 項目

ONP

   GG 0NP 点 G

ONP

G 0書。 点

大学男子

T 5.55

3.73 63.4187.55

8,39 3.55

1.8253.9563.82

5.48

(11ゲーム) SD 3.67

2.89 31.3510.76

6.34 3.24

2.0443.51 10.23

6.20

大学女子

x 7.75

3.94 45.8575.56

9.89 5.O 2.31

40.4448.69

9.73

(16ゲーム) SD 4.45

3.02 31,5 13.90

6.76 3.56

1.6222.98

10.54 7.49

高校男子

x

10,75

5.75

53.6347.5025.20

2.75

O.5020.81 25.50

3.55

(4ゲーム)

SD 2.87

1,50 2,65 9.81

9.29 0.96

0.5824.99

7.05 4.21

高校女子

x 7.67 4.33

60.8340.0021.37

8.33

2.00 22.63 24.00 15.13

(3ゲーム)

SD 2.52 0.58

20.0511.0012.35

3.21

1.7321.55

4.58 13.17

合 計

x 7.38 4.12

53.7773.0012.22

4.56

1.9140.9448.68

8.10

(34ゲーム) SD 4.1O

2.69 28.9819.76

9.25 3.43

1.7332.17 16.88

7.74

(注)表中〔0NP〕はアウトナンバープレイ〔G〕はアウトナンバープレイのゴール成功〔点〕

  はゲームの総得点を示す

(6)

2)1ゲーム中に、アウトナンバーの結果がゴールに結びつく率も勝チームが高く、t(片側)

検定の結果、5%水準で有意であった。

3)ゲームの結果、勝敗2チームがあげた総得点のうち、アウトナンバーによる得点が占める率  は勝チームが高く、なかでも、高校男子では差が大きい。

考      察

 バスケットボールのゲームの中で出現するアウトナンバーのプレイは、勝チームが敗チームよ りも多く、ゲーム中にボールを獲得したチームが、はやくボールを相手ゴールヘ進めることが得 点に結びつきやすく、ゲームの結果を有利にする要素となることが明らかになった。大学と高校 のゲームには、アウトナンバー出現のパターンにちがいがみられ、大学チームの場合、多様であ り、高校に比べて、相手チームの隙をつくプレイが多く、技術的に高いことがはっきりと認める ことができた。また、勝・敗の2群を比較した場合、アウトナンバーのプレイがゴールに成功す るのは勝チームがまざっており、このことからバスケットボールの攻撃・防御の技術についてみ ると次の2点が指摘できる。1)勝つチームは、アウトナンバーの攻撃で得点しやすく、防御の 場合、人数的に不利な状態でも相手に容易に時点させない能力をもっている。2)敗けるチーム は、ゲームの中で、ポール獲得のあとアウトナンバーの状態をっくりにくく、その原因は、パス

・ドリブル・フロアーバランスなどの技術が低く、その上アウトナンバーすることができても、

得点に結びつかない。また、アウトナンバーによる得点がゲームの総得点のうちに占める率は、

勝チームに高く、バスケットボールのゲームで「速攻法は、有利な攻撃法であるdということを 裏づけることができた。一方、大学と高校の比較の結果、アウトナンバーのパターンのちがいが

ゴールに結びつかないで失敗する場合をみると、大学の場合、男子3:1(75%)女子4:3

(66%)、高校の場合、男子2:0(1O O%)女子3:1(83%)、などが高く、大学の 防御能力の高いこと、高校の攻撃能力の低いことが明らかになった。

 以上の結果、今後バスケットボールのトレーニングによってチームの技術を高める為に多くの 示唆を得ることができた。

結        語

 以上の結果、従来バスケットボールの技術を高める為には、「個人的にも、団体的にも基本的な

練習が重要であるdとよくいわれてきたことが、アウトナンバーの具体的な分析・比較によって

再確認することができた。個人技術としてのパス・ドリブルなどが、相手に妨害されても自由に

プレイできて得点に近づけるように、また、数的に不利な状態でも容易に相手に得点させないよ

うに、といったプレイのトレーニングが必要であり、チームとして功撃の場合、アウトナンバー

の状態で得点しにくいパターンの練習。防御の場合、アウトナンバーに追いこまれないような工

夫など、今後、チームとしてとりくんでいく具体的な手がかりを多く得ることができた。

(7)

引  用  文  畝

今村嘉雄 1976 新修体育大辞典 不味堂 1195〜6

日本バスケットボール協会 1973 バスケットボール競技規則 博文堂 吉井四郎 1969 スポーツ作戦講座(1)バスケットボール 不味堂 73

桂正之1971図解コーチバスケットボール成美堂70〜71

吉井四郎 1973 スポーツVコース バスケットボール 大修館 124

G.F.ピンホルスター(稲垣訳)スタンティング・ディフェンス 世界書院 24〜25 佐々木等 1932 学校球技指導法 目黒書店 216

松田岩男 1973 現代学校体育大事典 大修館 437〜438一

荒木 豊 1973 バスケットボールの指導 べ一スボール・マガジン社 138〜140

吉井四郎 1972 体育図書館シリーズ⑥バスケ ツトボール 不味堂 162〜164

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