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韓国農村における女性活動の転換

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 8 日

韓国農村における女性活動の転換

-生活改善活動からコミュニティビジネスへ-

共生基盤学専攻 共生農業資源経済学 地域連携経済学 朴イェソル

1.問題意識と全体動向

韓国は戦後の窮乏期である 1950 年代から 1960 年代を経て、「漢江の奇跡」と呼ばれる急 激な経済成長を開始した 1970 年代、産業化が進展を見せる 1980 年代、そして情報化時代の 1990 年代を経て、アジア金融危機以降の産業再編を経験している。この中で経済成長の起 点となった 1970 年代は、朴正熙大統領のイニシャティブの下で「セ・マウル運動」(新農 村運動)が展開され、特に農村部はこうした国家的動員に技術革新も加わり、貧しさからの 解放を実現したとされる。この動員体制の下で、セ・マウル指導者などに先導されながら女 性もこの運動に積極的に参加し、旧来の生活改善を中心とする女性組織はセ・マウル婦女会 に統合される。1990 年代に入ると時代の変化に対応して、生活改善会(普及組織)、農家 主婦会(農協)、全国女性農民会(農民運動)、韓国女性農業人中央連合会(担い手対策)

などの目的別組織が形成される。しかし、それら運動組織も伸び悩み、新しい活動領域が模 索されるようになった。

ここで注目されるのが、江原道の農村地域開発政策として実施された新農漁村建設運動で あり、マウル(集落)をベースとして新たな農村活性化を目指す実験的な運動であった。こ の運動は、グリーンツーリズムや6次産業化(農村融複合産業)などの地域資源を活用した 村おこしを核とするものであった。この実験の成功により、事業は1つの道の事業から全国 的なマウル総合開発事業に拡大され、予算規模も大きくなっている。また、帰農帰村運動な ど農村への新たな人口移動も増加しており、こうした新規参入者をマウルのコミュニティビ ジネスに参与させる事務長制度も導入されている。このなかで、女性組織もこうした村おこ し運動の中に位置づけられ、重要な担い手として活動するようになっている。女性活動は従 来の生活改善事業からコミュニティビジネスへと大きく転換しつつあるといえる。

2.典型事例による掘り下げ

以上の問題意識と女性活動の歴史展開の整理の上で、女性活動の転換を具体的に検証する ために、コミュニティビジネスの先進事例である江原道麟蹄郡麟蹄邑下楸里の聞き取り調査 を実施した(2018年10月)。ここでは、農村女性の活動の転換を可能にするハードウェア的 な新農漁村建設運動(政策側面)と、ソフトウェア的な6次産業化や帰農·帰村の動向、事務 長制度の機能を分析している。下楸里は上の4つの要素をすべて備えており、事例対象とし てふさわしい。

3.結果と考察

下楸里は新農漁村建設運動を展開し、コミュニティビジネスを行うマウル企業である下楸 里山村営農組合法人を設立し、6次産業化が進展している。このマウル企業のもとに下楸自 然体験学校、精米工場(ドリケバンアカン)、情報化マウルがある。営農組合には事務長が 雇用されており、コーディネーターとしての機能を果たし、事務長が女性であることもあっ て婦女会との密接な関係を持ち、婦女会会員のマウル企業の事業への参加も積極的である。

この関係のもとで、参加が可能な婦女会会員は、下楸自然学校での業務を行い、賃金を得 ている。過去には夫の補助的な労働力程度にしか考えられなかった農村女性が、現在はコミ ュニティビジネスにおいて重要な役割を果たしていることが注目される。社会的、経済的位 置が低かった女性が、自ら経済的主体となって働く体制が確立しているのである。

参照

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