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溶接歪及び応力に関する基礎的研究 (第1報) 金 属 迎 静 雄

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溶接歪及び応力に関する基礎的研究 (第1報)

金 属    迎    静  雄

AFundamenfa1 Research on Strains and Stresges due to     Welding on Erecting Butt Joint (Rρport 1)

ShiZuo MUKAE

Sy・・P・i・. A]・h・ugh・t・ains and…esse・exi・t in w・ld・d・pecime・b・・h du・{・g and・ft・・

w・1di・g,・nly th・se rem・i・i・g・f・…peclmen has c・mpl…ly…1・d l・・vc mu・h di・cu・・ed・

  In this exp3riment, the change30f transverse・stra{n and loOked in s[re3s formed in specimen during…li・g t・…mt・mp・rature aft・・weldi・g w・・e c・・t{nu・usly re…d・d・・nd have

taken the following restllts.

  Transverse strain indicates expansion in higher tempe玉・ature above starting tempera†ure of Ar, tran3formation, but it changes to contra(ltion whell telnperature of deposモted n:etal cools Celow Ar/poi耐. As a whole, remarkab]e amolmt of contradion is produced by Ile time deposited metal cools to room temperature. While anguL|r distortion is mostly produced in higher temperature above Ar/transformation temperature.

  Although transverse locked・in stress is sligh↑ly generated in higher temperature above Arl P・i・t,・he m・・t pa1弍・f・t・e・si・f・・medi・1・w・・t・mp・・atu・e』m Ar/P・intt・…1n

temperatUTe・

  Residual transverse locked−in st]℃s3 formed by王st pass welding drops almost to zero by next welding and after that new residual stress輌s formed again by same process as lst pass welding・

    (1) 緒    論       程を明かにしようとしたものである。

 溶接後、溶接試験片に残留する歪および応力に       、

ついては、今日まで多くの研蜘ごよって楡の  (2)実験方法

方法で多数の実験が行われて来た。併しながら溶   この実験に使用した装置はFig 1に示す。試験 接時および溶接後、溶着金属の温度が常温まで冷  片(S・) (S2)を溶接したときに起るbeadに直角 却する間に発生する歪、およびその歪の発生を拘  方向の歪を拘束作(A)で拘束しその場合に拘束 束した場合に生ずる応力即ち拘束応力の発生過程  枠にかかる荷重を応力測定用弾性棒(B)で測定 に関しては、測定方法の困難さもさることながら  し溶着金属部の応力に換算した。応力測定用弾性 未だ疑問の点が多いようである。         棒には縦方向に2枚のstrain guage(A)を貼り  本実験は溶接残留応力の発生機構に関する系統   つけ、補償guage(D)と組合せてFig 2に示すよ

的な研究の一環として、溶接開始より溶接部が常   うにbridgeを作り弾性棒の伸縮による(A)guage 温に冷却する迄に生ずる溶接歪および拘束応力を  の抵抗変化によって起るガルバノメーターの振れ 連続的に測定し、溶接歪および拘束応力の発生過   を廻転ドラムにセットした印画紙上に記録させた

(2)

42      一迎    静  雄一

        に廻転出来るようにして試験片の縦方向の伸縮に

、 自    対する抵抗を極力小さくした。

き        溶接歪の連続的記録は光挺子式による光学的一

↑㍉? 段拡大撤より行っア・・即ちFig3に示すように    1 試験片S・の一端にシリカチ・一ブをあてS・の縦方       い       向の伸縮の状態を直接シリカチューブに伝導し、

      ll Il 寸    これを暗室内にセットした鏡の傾きの変化に置換

ll il−   1い1…μ1 し鏡の傾きによ販射光の働を廻転ドラムの上

 i㌣      永衣冬永    門  ㎞    にセットした印画紙に感光させ溶接試験片に縦方  1;:i目 ‖        i!川;lil 寸    向の伸縮の状態を定量的に測定することが出来た       ・・       角変形の測定には同様に試験片S1は拘束状態の       ままとし、S2側は拘束用ビーム(D)拘束用枝(E)

       こ    の外に拘束枠(A)も取除き白由に角変形が生じ        ト    うるようにした。そして溶接ビードより120mm       だけ離れた所に於て%ooolnmまで読みとりうる        §−   dial guag3により角変形量を測疋した。

       溶接部の平均の温度はFe−W thermo coupIelこ

   丸羅 加由τ∫蝕e ρ:趣拓 冠β畝μ〔∫らrイ・〜ぬ7 ε・ぴ

   β、5f吋㌦   ε:d。.ρpご.σ。r、、。7m、f、、∂   よって溶接部中央にて測定した。 thermo couple    c:5taン    5:Sp・d抗・κ         のFe−wireはアーク熱により容易に溶融してしま      Fig 1 実験装置         うが幸にFe−wireと試験片および溶着金属の炭素       含有.量および他の組成は略々同一と考えられるの     2κ立      ・ミ     で、Fe−wireは試験片の端部にspot溶接にて接続        む   ぐ

      かロコ

_−D∧

I ≧ ㌘濃二㌶漂罐濃:竺濡:

l   A D   三已ロ 白1卿蔽「   埋れビードの冷却によって生ずるFe−Wの熱起電

、、。@        6       力の変化をガルバノメーターに振らせその振れを       一5。。、。         Fig 3に示す廻転ドラム上の印画紙に溶接歪と同  Fig 2応力測定用回路図       時に記録した。予め求めたガルバノメーターの振       れと温度との関係曲線から溶接ビードの平均の冷 この場合溶接部と弾性棒との間の空間に遮蔽板を  却状態を知ることが出来た・Fe−W thermo cou おき又、弾性棒は中空に設計して冷却水を通すご  pleの熱起電力は300°C附近で零になるので300°C とによってアーク熱および溶接部の熱が輻射ある  以上の低温度の測定は出来なかった。

いは伝導によってstrain guageに伝るのを防止

       ・       叉蜘  叶      ンメ

をセ・トし縦方向の伸縮に対す娩変形の影響を ,,3歪、,榔図 .._.⊃互 除いた。ロールはボールベアリングによって自由

した。

 溶接歪の測定は溶接ビードに直角方向の歪即ち 縦方向の溶接歪を測定するためにFig 1に示す応 力測定用装置の中で試験片S・は拘束状態のま〉と し・他方の試験S2側は膨張拘束用ビーム(D)収 縮拘束用襖i(E)を取り除き縦方向の伸縮を自由 にした。この場合更に試験片(S2)の上にロール

(3)

一溶接歪及び応力に関する基礎的研究(第1報)−      43

 溶接試験片は9%の軟鋼板(SS41)を使用し溶    2° ㌦「〔}一     ..7「1二1

塁鷲竺鷺醸鴎よ㌶魏》 ::▲/〔\_,.

行った。溶接電流は150Aと一定にした。       温14縦       lzオ †|oo

  (3)実験結果       1。止

 Fig 4、Fig 5およびFig 6はbead length33%・   度8畳 ゜ 47%および60%の3種類の溶接を行った場合の縦   魯・琶・爪 歪と冷却曲線の関係を示す。溶接速度は各bead    4 −1・・

とも第1層を4.7〜5.2mm/sec第2層を2・9〜3・3   2

mm/secおよぶ第3層は2.3〜2・7mm/secとした。     o ふ2(名 5 1。 ・・ 夘 1。。 ・。・ 卿 ・・。。

㌶竺㌶㌶1罐ξ三 ㌘撒欝㌫過程

溶接開始後ある時間経過してその膨張は最大に達

し溶接終了時には既に収縮を始める。而しながら    ・。 「一一一一一一一ヒ.服60%,

一旦収縮を開始してから間もなく収縮は止まり、    18一卜        +斤げ、

齢である力蹴を示す。この麟を示すときの ,畠1・縦[ へ二ll

溶接部の温度は約600°C前後であり、この温度は     14柳 軟鋼のAr 点に相当しこの膨張はAr 変態に起因     1∠正 するものと考えられる。Ar 終了後再び収縮を始    皮|°8°

め全体の歪量は膨張から収縮に移行し、溶接部の    言℃㌃3_

冷却が進行するにつれて収縮は次第に増加し温度     c切 が常温附近まで冷却するに及び歪は飽和値に達す     4

る。結果的に溶接部の温度が常温まで冷却する間     Z−・・。

に生ずる歪量の変化はAr 点以前に於けるよりも     o

       ・一一温残     へ\⊥

______ニゴ

〇−凵@ lρ zo   50 |o。 2go  5。ひ  ooo

』蔭\

Ar 点以下の低温に於ける方が大であるといえる      社恒゜緬パ5め 、       Fig 6 溶接ビードに直角方向の杢の発生過程 Ar 点以下に於ては、徐々にyoung率も大きくな

       と冷却曲線(その3)

 2ユ   +

       ビート玉 34戸〆

 20

 18 ・2      S   =業1

  4

2  −20◎

りこの発生する歪を拘束した場合には可なりの拘 束応力が発生する事が考えられる。

 以上のような第1層溶接に於ける溶接歪の発生 過程はbead Iengthの変化しアこ場合および多層盛

に溶接した場合も殆んど同様の傾向を示す。唯2 層及び3層と層を重ねるに従ってenergy−input が増加するので多層盛の場合はAr 変態による膨 張を示す迄の経過時間は大となる傾向がある。

 溶接歪に及ぼすbead lengthの影響はbead lengthが大になるとともに溶接開始から溶接終 了直後にかけて生ずる膨張量は少くなり、又最大

゜°5°2d5㌶、ll:,皿b°° 膨張量唯してから罐部が常温まで冷去ロする迄 Fl94 溶接ビードに直角方向の の発生過程    に生ずる収縮も小さくなる傾向がある。即ちbead    と冷却曲線(その1)      lengthが大になる程、最初に溶接された部分が後

(4)

44      一迎     静  雄一

㌃C{〕

 角4°°

 変  ザ゜°

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)   200

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    き杢 過 時r司  (5{、)

       アて ロ  ズにコ

Fig 7酸形の発生過程     Fig 8冷却、lh線と棘励醗螂程

二:=

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γ

に溶接される部分の変形を拘束するためと考えら  るが拘束枠で拘束されるため、溶接部ではtensile れる。      stressが生じる。更に溶着部が600〜700。Cに達す  Fig 7は縦歪の場合と同様突合せ溶接に於ける   ると急激に膨張してtensile stressがほとんど零 角変形の発生過程を示す。即ち溶接開始と同時に  の状態までに下る。この温度は軟鋼のAr 点に相 直ちに負の角変形を生じ溶着部の温度が降下する  当し、膨張はAr 変態に起因するものと考えられ とともに急速に角変形の量を増加して来る。溶着   る。温度が変態点以下に降下すると再びtersile 部の温度がAr 点に達すると負の角変形は止まり  stressが新に生じ温度降下につれて急速に高くな Ar 変態による溶着部の膨張により正の角変形を  り常温近くなってstressの増加は飽和に達する。

示し・角変形の程度が僅かながら小さくなる。    このような応力状態から第2層を溶接すると、

Ar 変態終了後温度の降下とともに再び負の角変  第1層溶接に於て生じた応力は急速に緩和され、

形を生ずるようになるがその量は極めて僅かであ  第2層溶接終了時にはほとんど零の状態に達する る。即ち溶接によって生ずる角変形はその大部分   このときの溶着部の温度はほぼAr 変態終了温度 が溶着部の温度がAr 点迄冷却する間の高温時に   に相当しており、第2層溶接の溶接熱による第1 於て生じ・Ar 点以下の低温に於ては殆んど生じ  層溶接部の焼鈍的効果と溶接部のAr 変態のため ないと云うことが出来る。Ar 点以上の温度に於  の膨張とが重畳して応力零の状態を形成するもの ては軟鋼は既に塑性範囲にあり・この角変形を拘  と考えられる。その後温度の降下とともに溶接部 束するのは容易であり又角変形を拘束することに   には再び第1層溶接の場合と同様の経過を辿って よって生ずる拘束応力は比較的小さい事が予想さ  応力を生ずる。

れる。      第3層溶接の場合も第2層溶接と同様の応力発  次に以上述べて来たような溶接ビードに直角方  生過程を辿る。ただし第2層、第3層となるにつ

向の溶接歪および角変形を拘束した場合に生ずる  れてenergy inputが増加するので応力緩和状態 拘束応力の発生状態をFlg8に示す。溶接ビードの   に達する時間は右の方えずれる。また第2層、第 長さは160mm・3層盛で各層とも溶接電流は150A  3層とも過度にenergy−inputが大なる場合は、

である。      溶接部および溶接試験片の熱膨張が利いてきて応  第1層に於ける応力状態は、溶接開始後暫く応  力零の状態を通りこして僅かながらCOmpression 力零の状態が続く、即ちはFig6に見られるよう  の状態を現出することがある。

に試験片は膨張を示すが溶着金属の温度が極めて   以上の結果より軟鋼の多層盛溶接における各層 高いので応力が発生し得ない。次いで一部の溶着  毎の拘束応力は、Ar 変態点以上の温度において 金属の凝固収縮および温変降下による収縮が生ず   も小さな変化はあるが、結局溶着部のAr 変態終

(5)

一溶接歪及び応力に関する基礎的研究(第1報)・−      45

了温度以下の温度範囲において形成せられる。ま   (2)このような第1層溶接に於ける縦歪の発生 た最終層の電流値または溶接速度を変化したとき  過程はbead lengthおよび多層盛溶接し7こ場合も の拘束応力の発生状態は、最終層のenergy input  殆んど同様の傾向を示す。唯々bead lengthが大

を小さくすることによって応力の増加が早く飽和  になれば歪量の変化が小さくなる傾向を示す。

し、拘束残留応力も小さくなることが判った。    (3)角変形は溶接開始と同時に急激に大きくな energe inputを小さくするかわりに溶接棒の径   りその大部分が溶着金属の温度がAr 点迄冷却す

を小さくすることによっても同様の結果を得た。  る間の高温に於て生じ、Ar 点以下の低温に於て この結果から溶接部の拘束残留応力は最終層の溶   は殆んど生じない。

接条件によって可なり変化させ得るものというこ   (4)縦歪および角変形を拘束して生ずる拘束応 とが出来る。      力は溶着金属の温度がAr 迄冷却するまでにも小        さな変化が認められるが、結局溶着部のAr 変態   (4) 総    括      終了温度以下の温度範囲に於て形成せられる。

 V型突合せ溶接を行った場合、溶接してから溶   (5)前層の溶接による応力状態は次層の溶接に 着部が常温まで冷却する迄に生ずる縦方向の溶接   よって零に還元せられ結局は多層盛溶接の場合の 歪および拘束応力を連続測定して次の結果を得た  溶接部の拘束残留応力は最終層の溶接条件によっ  (1)第1層溶接に於て溶接ビードに直角方向の  て可なり変化させうるということが出来る。

歪は溶接開始から溶着部の温度がAr 点になる前    最後にこの実験を遂行するに当り終始種々有益 までは膨張を示し、Ar 点以下に冷却するに及び   な助言を賜った三ケ島秀雄教授並びに大和田野助 急激に収縮し全体的に可なりの収縮量を示す。即  教授、実験に協力していただいた執行栄六氏に感 ち縦歪の変化はAr 点以上の高温におけるよりも  謝の意を表します。

Ar 点以下の低温に於ける方が大である。

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