• 検索結果がありません。

金属極細線のジュール熱溶接・切断とその応用

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "金属極細線のジュール熱溶接・切断とその応用"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

金属極細線のジュール熱溶接・切断とその応用

1. はじめに

 金属,半導体ナノ/マイクロ材料が さまざまな化学的,物理的手法により 作製されるとともに,これら材料が優 れた物理的特性を有することが明らか となってきている.これら極微細材料 は 次 世 代 の ナ ノ 電 気 機 械 シ ス テ ム

(Nano Electro Mechanical System:

NEMS)やマイクロ電気機械システム

(Micro Electro Mechanical System:

MEMS)の構造材料や電気的,光学的,

熱的素子としての利用が期待されてい

るが,実際の活用に際しては当該極微 細材料の溶接,切断といった基本的な 材料操作手法の確立が不可欠である.

 本稿では,金属極細線に電流を付与 して生じるジュール熱を利用した極細 線の溶接,切断手法(1)を取り上げると ともに,この手法を利用した微小電磁 気素子の作製(2)について紹介する.

2. ジュール熱溶接・切断

 直径 650nm の白金極細線同士の溶 接を例に挙げて説明する.図 1に示 すように,2 本の極細線同士を対向し て細線先端同士を接触させた状態にお いて適切な一定直流電流を付与する と,細線接触部は瞬間的に溶融し,そ の後,凝固することで溶接が完了する.

この自己完了型溶接プロセスは,細線 接触部で形成される特徴的な温度場に 関係する.電流付与下において,微細 な突起の接触部からなる細線接触部で は局所的に電流密度が高くなり,ここ でのジュール発熱は母材の細線部と比 べて高くなる.加えて,接触部の有効 体積が細線のそれと比べて極端に小さ いことで,細線接触部では局所的に高 い温度場が形成される(3).極細線同士 の溶接が自発的に完了する本溶接機構 は,複雑な極微細構造体を構築するう えで大いに有効である.

 また,本手法により異種金属細線同 士の溶接も可能である.図 2は白金 極細線を直径 5μm の金細線に溶接し た例である(1).この場合は接触部にお いて低融点の金が溶融,凝固すること で,異種金属溶接が実現される.異種 金属接合部ではゼーベック効果,ある いはペルチエ効果等の熱電変換現象が 生じ,このような微細な異種金属接合 体を利用したさまざまな応用が期待で きる.

 また,ジュール熱により金属極細線 を切断することも可能である(3).図 3 に示すように,2 本のプローブにより 極細線へ局所的に電流を付与した場 合,極細線の温度は細線通電部の中央 で最も高くなる.そこで,細線中央の 温度が融点を超える一定直流電流を付 与するとともに,プローブを押し付け ることで細線にわずかなせん断力を付 与すれば,細線を所望の位置で切断す ることが可能である.

3. 極微小電磁気素子の作製

 基板上に固定した金属極細線を,操 作機構に設置した別の細線に溶接する ことで,当該極細線を十分な力で操作 することが可能となる.ここでは前述

の白金極細線をジュール熱溶接により 操作して通電可能な自立型の金属マイ クロリングを作製した例を紹介する(2).  図 4は中央を絶縁した電極チップ 上に形成した金属マイクロリングであ り,直径 5μm の芯材に白金極細線を 巻きつけることで極細線に塑性変形を 誘起して作製した.作製した金属マイ クロリングの直径はおよそ 10μm であ り,マイクロリングは 2 本の銀はりに より単純支持されていた.当該マイク ロリングを永久磁石上に配置し,直流 電流を付与したところ,リングは通電 方向に応じて上下に移動した.注目す べきは,単純支持構造を有するマイク ロリングの上下移動量(δ)が付与電 流の大きさに比例した点であり,この 特徴は極微小電磁気アクチュエータ等 へ利用できる.

 ここでは金属マイクロリングの作製 例を紹介したが,ジュール熱溶接,切 断を利用した金属極細線の操作手法 は,極細線の物理的特性取得のための 実験配置を実現するうえでも大いに有 用である(4)

4. おわりに

 ジュール熱を利用した金属極細線の 溶接および切断手法は,導電性材料に 対して幅広く利用できることに加え て,自己完了型である利点がある.ま た,当該手法を利用して金属極細線を 自在に操作することで,極細線に永久 変形を生じさせて塑性加工を実現する ことも可能である.金属極細線の異種 金属接合を利用した熱電デバイス等,

本ジュール熱溶接を利用して今後さま ざまな機能性微細デバイスの実現が期 待されることを付記する.

(原稿受付 2009 年 8 月 26 日)

〔燈明泰成 東北大学〕

( 1 )Tohmyoh, H., Imaizumi, T., Hayashi, H. ●文 献 and Saka, M., Welding of Pt Nanowires by Joule Heating, Scr. Mater., 57-10 (2007),

953-956.

( 2 )Tohmyoh, H., Takeda, H. and Saka, M., Fabrication of a Free-Standing Pt Micro- Ring on an Electrode Chip as a Small Magnetic Source, J. Micromech. Mi- croeng., 19-8 (2009), 085013, p.5.

( 3 )Tohmyoh, H., A Governing Parameter for the Melting Phenomenon at Nanocontacts by Joule Heating and Its Application to Joining Together Two Thin Metallic Wires, J. Appl. Phys., 105-1 (2009), 014907, p.5.

( 4 ) 燈 明 泰 成・ 武 田 大 尚, Akanda, M.A.S., ジュール熱による接合を利用した白金極細 線の機械的および電気的特性評価,材料,

58-10 (2009), 847-851.

(a)実験配置

(b)電流付与前

(c)電流付与後 Ag A 

Pt 極細線 Pt 極細線

25kV X500 50μm

2μm

0000 30 /JAN /09

溶接

図1 金属極細線の溶接

Pt 極細線 3μm

100μm 100μm

電流

Ag プローブ 切断

(a)切断前 (b)切断後 図 3 金属極細線の切断

5μm 500nm

溶接

Pt 極細線 Pt 極細線

(a)外観 (b)溶接部詳細 Au 細線

Au 細線 B

15.0kV 10.0mm×10.0K SE(M)

図 2 異種金属細線の溶接

(a)全体像

(c)垂直変位と付与電流の関係

(b)マイクロリング部詳細 c

Ag Pt MR

Pt MR 11μm

10μm

付与電流(μA)

200μm

δ(μm)

1mm 絶縁溝

20 δ

0 電流

永久磁石 電流

(反時計回り)

(時計回り)

600 400 200 0

Pt MR 10

0

−10

−20

図 4 極微小電磁気素子の作製

58

日本機械学会誌 2010. 1 Vol. 113 No.1094

─ 58 ─

参照

関連したドキュメント

心部 の上 下両端 に見 える 白色の 太線 は管

 がんは日本人の死因の上位にあり、その対策が急がれ

添付)。これらの成果より、ケモカインを介した炎症・免疫細胞の制御は腎線維

(1860-1939)。 「線の魔術」ともいえる繊細で華やかな作品

1 

発するか,あるいは金属が残存しても酸性あるいは塩

金属プレス加工 電子機器組立て 溶接 工場板金 電気機器組立て 工業包装 めっき プリント配線版製造.

溶接施工法が,溶接規格第2部に定める溶 接施工法認証標準に基づく確認試験を実