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自動制御系のシミュレータの開発* 第 2 報 シ ン セ シ ス ル ー チ ン の 改 善

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(1)

第 2 報   シ ン セ シ ス ル ー チ ン の 改 善

治 **

1. 緒

前報(1)において,制御系のアナ リシス ・シンセシスを行 うことを目的 として, 次のような 特徴をもつシ ミュレータを開発 し,種 々の系への適用の結果, これが一般的な使用に供 しう

ることを述べた.すなわち,その特徴は,

i) 系の情報は,ブロック線図をそのままの形で与えることができる ii) 数学的な面や, プログラム面での知識をほとんど必要 としない iii) 会話型を基調とし,簡便性を有する

iv) 非線形系についても同様に取 り扱 うことができる

であ り, これに基づいて,計算機の情報を表わすために,専用のシ ミュレ〜シ ョソ言語を開 発 した.本シ ミュレータは,使用者が簡単な手引きをもとに して入力 した計算条件や系の情 報を評訳 し,さらに数値編集を行って,微分方程式に置き換え,数値解法 (例えば,Runge・

Kutta法)を用いて連続系のシ ミュレーションを行 うものであ り,解析諸量は,過渡応答 ・ 周波数応答における各特性量であった・シンセシスにおいては,いわゆる, ワ.ソノミラメータ 問題に帰着 した自動修正ルーチンを含んでいたが,今回この構成にい くつかの改善点が認め

られたので, これについて報告 したい.

2.シンセシスの概要

制御系のシンセシスにおいては,その閉ループ系のもつ特鹿 (定常特性 ・減衰特性 ・速応 性)が,与え られた仕様を満足する必要があ り,具体的には,制御要素 ・操作要素な どの定 数を決定することが多い. これ らシンセシスの方法として,

i) 板軌跡に よる設計法 ii) 極 と零点に よる設計法 iii) 補解法に よる設計

等があげ られ るが,本シ ミュレータでは,数式処理を考慮 していないことに より,ブロック 線図と11に入力された情報の伝達関数への変換はなされず,上記i),ii)の取 り扱いは困 難であ り,結論的に,現在最も普偏的に使用されている補解法に よる設計を採 った. このル ーチンは,具体的には,まずシステムーの与えるメッセージに沿 って,使用者が各特性につい ての許容値を入力す ることが導入 となる.つぎに,系の解析結果 (すなわち特性)が, これ

* 昭和528 日本校披学会北陸地方講演会において発表

**機械工学科 助手

原 稿 受 付 昭和52年924

(2)

2 長野工業高等専門学校紀要 ・第8

らの許容値のいずれを も満足す ることを 目的 とし,対象 とす る要素のパ ラメータに対 して, 任意の初期値 と増分を与えて解析 し, 目的を達す るまで,パ ラメータの修正を自動的に繰 り 返す構成を採 っている. この手法は,増分量を小 さくし,反復回数を増す ことに より, より 確実になるが, コス ト面では必ず しもお もわ しい結果を もた らさない. また,初期値お よび 増分量の与え方の適否に よって計算時間に大 きな差を生み,初心者に も簡便に とい う主 旨を 満足す ることができない. これ らの点に着 目し,改善を施 した ものが,次に述べ る各ルーチ

ンである.

3.パ ラ メー タ改善 式 に よ る シ ンセ シ ス ル ー チ ン

3‑1パラメータ改善式の検討‑ 2次遅れ系の場合‑

パ ラメータの修正に ともな う変化量が,各特性に どのような影響を与えるかについて解析

(%)

00 ro° .000

100

● △ ▲‑ シミユレ‑シヨン結果 ち上 り時間へのフィードJツタ補倍の影響

定常速度偏差 へのフィー rバック補 影響

. ′ . ̲Å ′′′

i/ /I, J J / / 立 ち上り時間へのゲインの‑

定常速度偏差へのゲイI ンの影響

.′ ′

0 2 4 6 8 10

ゲイン近 数の倍率

1 神佑による定常速度偏差と立ち上 り時間への影響

す る.すなわち,パ ラメータの 変化率を αとした ときの改善率

刀.凡を,補依前後の系の特性 の変化量 と調整前の系の特性値 の比, と定義 し, この関係式を 導入 した.

まず,モデルを従来か ら扱 っ ている線形2次遅れ系に限 って, 各補償要素について検討す る.

3‑1‑1ゲイン調整の影響 1) 定常速度偏差への影響 シンセシスの対象 とす る系が, サーボ株構のような負帰還系で,

1型のものが多い ことを仮定す ると,定常速度偏差定数弘 は

Kv=悪 sG(S) G(S):開ループ伝達関数

とな り, ゲイン調整に よるパラメータの変化率が, これに直接影響す る. さらに,定常速度 偏差 e(co)は, ランプ入力を rvtであ らわす ことに より,

e(…)‑rv/Kv

で示 され る・ したが って,上述の改善率は次のように導かれ,図1に示す ような簡単な曲線 が得 られ る.

D.R.=̲αL 1 2)立ち上 り時間への影響

Chestnut等に よると,立ち上 り時間f,は,

(3)

OU6420oOO

t(I

T<

.v

I.P

■l I■

i

■t

I

▼・

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0̲ L

減 安 係 数

図2 インディシャル応答の オ‑/:‑シュート量

002010(%)

J I I J III

ロ 2のシ ミシヲン ど‑J H J0.6か基本

■ 3次系のシ ミュレー ション

;)論値 亡‑0.4が基

0.5 1 2 3 4 5

ゲ イ ン定 数 の倍率

図3 補脚 こよる行きすぎ量への影響

t'≒1.3/aJ alb:ゲイソ線図のピーク周波数

で与え られ る(2). 一方,パ ラメータの変化率,すなわち,ゲイン定数の倍率aは,固有振動 数 恥 に対 してノ甘だけ影響を及ぼす. ここで, ピーク周波数を固有振動数に近似せ しめ る

と,改善率は次式に示 され る.

D・R・

‑1

1に示す ように, これ も簡単な曲線で表わす ことができる.

3) 行きすぎ畳への影響

2次遅れ系のインデ ィシャル応答のオーバーシ ュー トkと減衰係数 ことの関係は,その 応答式を微分す ることに より容易に求め られ る(2).ゲイン定数の変化aが, この減衰係 数に 1/有 だけ影響を及ぼす ことを考慮 して,修正後の行 きす ぎ量を算出 し,改善率を プ

ロットしたものが図3であ り,片対数 グラフ上で,ほぼ直線に近似することがで きる.

4)整定時間への影響

インデ ィシ ャル応答の計算値をもとに,整定時間 isを算出 し, 減衰係数 亡との関係を調 べたものが図4の結果であ り,前項 と同様に して算出 した改善率をプロットした ものが図5 である.ゲイン定数の変化が,固有振動数と減衰係数の相互に影響を与えるため,改善式は 上述のように簡単には表わせないが,精度をゆるめることに より,前項 の近似が可能か と思 iっれ る.

3‑1‑2フ ィー ド/(ック補償の影響

操作部あるいは制御部のまわ りに フィー ドバ ックをかけて補償す る場合,上記 の系につい て,前 と同様に4つの特性について解析するが, これは,ゲイン調整の場合 よりも複雑にな り, ことに整定時間や行 きす ぎ量についての変化量 との関係は一義的に定め ることがむずか

(4)

長野工業高等専門学校紀要 ・第8

T7iWd

図4 整定時間と減衰係数 の関係

00002(%)

)Ll ;) 計琴依■ 高次系のシミュレーション2次系のシミユレ‑シコン 亡‑0.6が基本

l .

.

A . ぐ‑C‑100..54が基本が基本

1 2 3 45 10 20

ゲイン定数の倍率 5 補蚊による整定時間への影響

しい. しか し,上述のアル ゴ リズムと同様に処理 してい くことに より,例えば定常偏差に着 目す ると,改善率は,

D・R・‑了 (a‑1) K :定数

とな り,‑次式で表わす ことがで きる.図1に フィー ドバ ック補鯖の場合の一例を併記する.

3‑1‑3直列補償の影響

位相遅れ補償は,主 として定常速度偏差の改善を 目的 としてお り,前回の報告で もふれた ように, このシ ミュレーシ ョンでは有効に働いているものと思われ る.\要素の伝達関数

Ts+1 aTs+1

のaの設定に よる改善率は1/a程度にな ることを考慮 す る と, パラメータ自動修正過程は, 3‑1‑1に帰着できる.

また,位相進みについても同様に考えることが可能である.

3‑2パラメータ改書式の検討‑ 高次系の場合‑

高次の制御系について も,それぞれについての影響を算出すべ きであるが,辛)頃が煩雑で あ るばか りでな く,シ ミュレータの論理 としては不適当と思われ る.そ こで,高次系のイン デ ィシャル応答は,制御極 (共役複素極)に決定的に支配 され るとい う点(3)を考慮 して, 高 次の系をすべて,前述の2次系に近似させることを仮定 した.

3‑3シミュレーシ ョンの検証

各特性 とパ ラメータの変化の関係について,前述のシ ミュレータに よって,数値実験的に 確かめた.その結果を図1,図3,図5に示す. これに よって明 らかな ように,シ ミュレ‑

̲p ・・l ・

̲

(5)

タに よる解析結果が,先に検討 した計算値とよく一致 してお り, また, この改善式がシソセ シスに利用できることが証された.

6 パ ラメータ改善式を含む シンセシスル ーチ

(6)

6 長野工業高等専門学校紀要 ・第8

また,同国に付記 されている高次系についてのシ ミュレーシ ョン結果の一例か らも, 2 系への近似 とい う仮定の採用が,概ね可能であることがわか る.

3‑4改善式の自動修正ルーチンへの利用

前節 までに得 られた,比較的簡単な各関係式 (改善式)をパ ラメータ決定のツールとして, シンセシスルーチンに組み入れ,反復回数の減少をはか ると共に,おのおのの特性量に行 き す ぎを生 じさせない ように調整を加えた.シソセシスルーチンの手順を図6に示す.パ ラメ ータの任意の初期値に対 して系を解析 し,その結果 と,あ らか じめ与えた許容値 との関係か ら,各特性の改善すべ き量を算出 し,その値を改善式に代入 して,パラメータの変化率を求 め,反復計算を行 うのが このルーチ ンの骨子である.なお,簡便性を増すために,補償要素 の決定後,制御系の情報を再入力 していたプロセスを自動化 し, また,マンマシンシステム の特徴をより強 くす るために, タイプライターへのメッセージの充実をはか った.

改良前のルーチンとの比較をす るために,先回と同様ない くつかの制御系について, シ ミ ュレー トを試みたところ,反復回数が平均2.5回と半減 した.初期値お よび増分の指定の煩 雑 さか らの解放に加えて,時間的 コス トの面で も十分期待に沿 うものと思われ る.

4.性能指数の導入

上記のシステムにおいては,使用者が,各仕様に対 して許容値を与える構成をとっていた が,場合に よっては, この手順は煩雑であ り,許容値を指定せずに,系の概略的な最適状態 を兄いだす方法が望 まれ る. このために,次に述べ る評価関数 (performanceindex)を導 入 した. この関数は,過渡応答を総合的に評価 しようとす るもので,評価関数の値が最小 と な るときをもって, この制御系は最適状態にあるとす る方法である.評価関数 と して は,

.F.Kaiser G.C.Newton等に よって も紹介されているように(4),数種類あげ られるが, その中で,インデ ィシ ャル応答の定常偏差e(i)を考え, この偏差の平方に時間の重みをつけ て積分 した値が,良好な評価関数 とされている. これをITSE (integraloftimemultiplied bysquarederror)と称 し,次式であ らわす.

ITSE=

owte2(i)di

先述のKaiser等は, この関数の算出公式 として,次式を発表 している.すなわち,偏差e(i) のラプラス変換E(S)を多額式の比 として,

E(S) C"‑1Sn‑1+cnl2Sn‑2++co dnsn+dn‑1Sn‑1+‑ ・+do

と表わ して各係数を求め,次式に代入す ることに より積分値が得 られ る.

ITSE(2次遅れ系)‑蛋 .

ITSE(3次遅れ系) .

d2 dl

cl+co2dTi‑CICodT; 2d12

C2

C l I

cICoS‑:

2(d

2 d

l‑ dado) (cont.)

(7)

C22(dld2do)I(c

l

22C2Co)(dBdl.d22)・意 (d8do2‑d23)

2(d2d1‑dado)2

これ らの計算値をプロッ トした ものを図7に示す. ここで3次式のITSEについては,閉ル ープ伝達関数が,

aln2b

で表わ しうる系を仮定 し,特性板

♪ の影響が インデ ィシ ャル応答 にほとん どあ らわれない範囲(♪>

6t:wn)において算出 した.

ところで,本シ ミュレ‑タに よ る解析手法は,本質的には差分近 似に よる連続系シ ミュレータであ るか ら,当然,減衰係数や固有振 動数は算出されない.そ こで, こ の ITSEを求めるために, まず, シ ミュレーシ ョンか ら得 られたイ ンデ ィシ ャル応答の振舞いを数値 積分 し,さらに,Chestnut法 ( るいは改良 Chestnut法)(1)に よる 周波数応答結果 より求め られ るピ ー ク周波数を固有振動数に近似さ せて解析 した.上記の2・3 系についてのシ ミュレー ト結果か らの算出値を図7に併記す る. こ れか らも明 らかな ように, このシ ミュレーシ ョンが,Kaiser等の公 式 とよく一致 していることが理解 できる.

ところで,上述のように,本シ ミュレータでは,減衰係数 ・固有 振動数の計算を行 って い な い の で,任意の制御系には,減衰係数 をパラメータとして性能指数を求 め ることができない. したが って ここでは, これ らに影響を及ぼす ゲイソの調整を行 って,その傾向

00032

.1mXHSLl 00oo32o

z

tlnP×SLt

(o<1)

l l l

lllI : レーョン

ヽ㌔ aiSer等の公 (3次系)

. .

Kaiser等の公式 (2次系I ●‑

0.2. 0.4 0.6 0.8 1.0 減 安 係 数

国丁 減衰係数と性能指数の関係

.

‑ .

■●

5 10 20 30 40 50 100 200

2次過れ系 ( gj )のゲイン定数

0.5 1 2 3 4 5 10 20

3次遅れ系 ( … ) のゲイン定数

8 ゲイソ定数と性能指数の関係(1)

(8)

8 00003210■qnxHSLH

長野工業高等専門学校紀要 ・第8

ー‑

0 40 80 120 160 200 ゲ イ ン 定 数

図9 ゲイン定数と性能指数の関係(2) TYPE tN ●DATA 8F StRECS●●PLEASE●

lNITIAL VALUES7 p ‑ INPUT7 0 XI OUTPUT7 ? ×7

tNTEGRATION7 0 RUNGE0.001) TIME LIMtT? Q 0.5

PRINT? ? ‑

SYNBOL7 Q NOl ADD (1■7;2

) ●

MULTIPLY(23

/ * ) ●

p‑LA

G く

3■4/0.1110)●

lS

TO R

DERLAG(4●51●0.003)

lST CIRDERLAG(5f6/lpO.01)e

lNTEGRAしく6●7/1) INtTIAL VALUE FoR MODlFtCATIeIN7 Q 200

*****THIS SYSTEM ISUNSTABL∈♯*********暮******

***** PROCESSOF SYNTHESIS**********★*********

* *

* VARIABLE ‑ 2000.000 *

* VARIABLE ‑ 1800.000 *

* *

* VARtABLE 1 1373.125 *

*

*

**書**♯*******土手**♯***********&*朱書**********兼***

**+** RESULTOF ANALYStS**********************

*

*

*

STABLE TtME ‑ 0.9779999【‑01

*

*

RISE TIME ■0.1200000E‑01

*

*

8V【R SHeIOT ‑ 0.1470148E Ol

*

*

V【LOCtTY ERで87‑ 0.7072124E‑02

*

* MAX 亡IF GAIN ‑ 0.5943017E Ol

*

* BANCIVIDTH ‑ 0.1401077E O3

*

*

***tt暮t*ttt*暮暮*暮暮**tttt暮*tt暮ttt暮**tt*暮暮ttt*t

10性能指数を導入したシンセシス出力結果の一例

を求めた.い くつかの制御系に適 用 した例を図8に示す.いずれ も, 性能指数が0.75付近で最適値を も

っていることがわか る.

これ らのことか ら,シンセシス の‑応用 として,性能指数を最小 にす るゲインの調整を,シ ミュレ ータ内で 自動的に行 うことを試み た.すなわち,図8のゲインに対 す る性能指数は,図9に示す よう に,共に直線近似がで きるので, 任意の定数においてのシ ミュレー

ト結果か ら, この‑次式を設定 し, これが0.75となる定数を求めて解 析 しようとす るものである.

このように して処理 した,シン セシス結果の一例を図10に示す.

簡便性に関 しての,かな りの改善 度が満足 されたのみな らず,実際 の結果をながめても,先の手法に よるシンセシスを概ね許容できる 範囲に認めることがで きたものと 思われる.

5. 自動制御系の応答シ ミュレータ のシステム全体の概要を示 し,さ らに,シンセシスについて,パラ メータの改善式 ・性能指数の導入 を加えて, 自動修正ルーチンを充 実させ,実行時間の面 と,簡便性 に改良を施 した点について述べた.

これ らのルーチ ンは,先の増分‑

定のシンセシスパター./共 々,会 話方式でなされ るシステムか らの情報で,選択が可能になっている.数式処理の導入等, 漢 だ多 くの改良点があるが,当初の 目的達成 のためには,ある程度満足い く結果が得 られた も のと思われ る.

なお,シ ミ‑・レーク実行に際 しては,HITAC 8800/8700お よび,FACOM 23025を使 用 した点を付記す る.

(9)

最後に,ご指導いただいている東京大学工学部 渡辺茂教授な らびに三浦宏文助教授に深 謝の意を表す る.

参 考 文 献

(I)堀内 :自動制御系のシミュt/‑タの開発 (長野高専紀要節 7号) (2)CHESTNUT池 :ServoMechanism andRegulatingSystem Design (3)市川 :自動制御の理論と演習

(4)KAISER他 :AnalyticalDesignofLinerFeedbackControl

参照

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