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河川性魚類の分布規定要因

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 7 日

河川性魚類の分布規定要因

:遊泳能力と種間競争を考慮した検証

環境資源学専攻 森林・緑地管理学講座 森林生態系管理学 山田 太平

1. はじめに

気候変動が進む現在,地球温暖化は生態系に多大な影響をもたらすことが予想されている。地球 温暖化に対する適応策立案のためにも,種分布予測が重要になる。種間競争は生物種の分布を規定 する主要因の一つであり,環境条件に応じて優劣関係が変化する条件特異型競争も種分布を決定す る要因であることが示唆されている。絶滅危惧Ⅱ類に分類されるオショロコマ

Salvelinus malma

とアメマス

Salvelinus leucomaenis

を用いた室内実験から,低水温ではオショロコマが優位にな り,高水温ではアメマスが優位になることが既に示されている。しかし,両種の優劣関係を規定す るメカニズムについては検証されていない。水温の変化に伴い魚類の遊泳能力が変化することが知 られており,遊泳能力の変化を介して両種の優劣関係が水温によって変化していることが考えられ,

水温と流速の交互作用が優劣関係に影響を及ぼす可能性がある。

以上を踏まえ,本研究では,オショロコマとアメマスを対象とし,条件特異型競争のメカニズム を実験的に検証するとともに,野外における両種の分布パターンと一致するか検証した。

2. 方法

室内実験は,水温が両種の遊泳能力に与える影響を解明するために,2017 年 8 月 14-15 日に魚類 の体力を測定するスタミナトンネルを用いて行った。6 ℃と 12 ℃の水温区分を設け,0.47 ± 0.04 m/s の流速下で遊泳時間(s)を計測した。応答変数を遊泳時間,説明変数を尾叉長および水温区分,

種,各変数間の交互作用として,ガンマ分布を仮定した GLM により解析を行った。

野外調査は,2017 年 7 月と 8 月に空知川水系の 8 河川で行った。各河川に 50 m の調査区を 2-4 区間設けた。調査区間内で電気ショッカーを用いた魚類採捕を行い,両種の個体数及び尾叉長(mm)

を調べた。また,調査期間の水温(℃)および各調査日の平均河床流速(m/s),調査区間の平均川 幅(m)を計測した。平均川幅と区間長(50 m)から,水表面積(m2)を算出した。両種の競争関係 に対して,水温および流速が与える影響を解明するために,応答変数をオショロコマの生息割合,

説明変数を水温,河床流速,水温と河床流速の交互作用,ランダム効果を調査月および調査河川,

調査地点として,二項分布を仮定した GLMM により解析を行った。

3. 結果と考察

室内実験から,遊泳時間が低水温ではオショロコマの方が長く,高水温ではアメマスの方が長く なることが明らかとなった。このことから,両種の水温に依存した条件特異型競争が,水温に基づ く遊泳能力の変化を介してもたらされていることが示唆された。

野外調査から,オショロコマの生息割合は水温上昇に伴い減少することが明らかとなった。この 結果から,野外においても両種の優劣関係が水温によって変化していることが示唆された。このこ とから,両種の分布が水温に依存した条件特異型競争によって規定されていることが考えられる。

一方で,水温と流速の交互作用の影響は見られなかった。この点については,倒流木等の流速に影 響を与える微生息環境の考慮の欠如が理由として挙げられる。本研究結果から,オショロコマの保 全には,本種が優位となる冷水河川を優先的に保全対象とすることが重要であることが示された。

参照

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