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博士論文審査報告書 氏名

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Academic year: 2021

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博士論文審査報告書

氏名 本村 大樹 学位の種類 博士(理学)

学位記番号 博理第108号 学位授与報告番号 甲第326号

学位授与年月日 平成30年3月22日 学位授与の要件 学位規則第4条1項該当

論文題目

Structural analysis of novel redox proteins related to photosynthetic electron transfer system

「光合成電子伝達に関わる新規の酸化還元 タンパク質の構造解析」

論文審査委員 (主査)教授 宮澤 淳夫

(副査)教授 樋口 芳樹

(副査)教授 水島 恒裕

(副査)教授 沈 建仁 (副査)准教授 秋田 総理

(岡山大学異分野基礎科学研究所)

(副査) Alain Boussac

(iBiTec-S,CNRS,CEA Saclay, France)

* Boussac 委員の審査結果については別紙(英文)として添付する。

1.論文内容の要旨

酸素発生型光合成はシアノバクテリアや藻類、高等植物が行う光エネルギー を化学エネルギーに変換する反応であり、地球上ほぼすべての生物の生存を支 えている反応である。この光合成反応に関わる電子伝達系は、チラコイド膜上 に存在している光化学系

II (PSII)

、シトクロム

b

6

f

、光化学系

I(PSI)

などの膜タン パク質複合体から構成されており、水分子を分解し、二酸化炭素から糖類を合 成するためのエネルギーや還元力となる

ATP

NADPH

の合成に必要となる電 子やプロトンを生産する。これまで、光合成電子伝達系に関わる膜タンパク質 複合体は広く研究されてきたが、環境条件に応答した複合体アセンブリやその 制御のプロセスについては、ほとんどわかっていない。本研究では、最初に好 熱性シアノバクテリア

Thermosynechococcus elongatus

における光合成電子伝達 系に関わる酸化還元タンパク質である機能未知の

c

型ヘムタンパク質

Tll0287

(2)

電子受容体フェレドキシンに焦点を当て、構造的及び機能的研究を行なった。

Tll0287

PSII

D1

コアタンパク質が

psbA2

遺伝子によってコードされるとき

のみに特異的に発現するタンパク質である。申請者は

Tll0287

を精製・結晶化し、

その構造を

X

線結晶構造解析によって

2.0 Å

分解能で解析した。この結果、ヘ ムリガンドの

5, 6

配位子が通常の

c

型シトクロムに見られるヒスチジン

/

メチオ ニン配位、もしくはヒスチジン

/

ヒスチジン配位とは異なり、システイン

/

ヒスチ ジン配位であることがわかった。また、

Tll0287

タンパク質全体構造が典型的な

c

型シトクロム構造とは異なり、

per-arnt-sim (PAS)

様ドメイン構造を持つセンサ ータンパク質と類似していることが明らかになった。さらに、構造中に余剰の 電子密度が発見され、追加のリガンドの存在が示唆された。これらの結果から、

Tll0287

は環境応答に反応するセンサータンパク質の機能を有していることが示

唆された。

次に、発現量が通常のフェレドキシン

Fd1

より著しく少ない、

T. elongatus

来のフェレドキシン

Fd2

を精製し、吸収スペクトル測定と

X

線結晶構造解によ って、主要な

Fd1

との特性と構造の違いを分析した。吸収スペクトルから、鉄 硫黄クラスター由来の吸収ピークは

Fd2

Fd1

とわずかに異なることがわかっ た。また、

Fd2

の結晶構造を

1.38 Å

分解能で決定し、

Fd1

の構造と比較した結果、

Fd

間の機能的違いを示唆する知見を得た。これらの研究は、光合成電子伝達 系のアセンブリや動的特性への理解に新しい有用な情報をもたらすと考えられ る。

2.論文審査結果

光合成電子伝達系は光合成反応における水分解反応や

ATP

NADPH

の合成を 担う酵素反応系であり、それらの酵素複合体についての研究は多くなされてい るが、この系に関わるいくつかの新規の酸化還元タンパク質についてはそれら の機能や構造がいまだ明らかになっていなかった。申請者は、シアノバクテリ アにおいて光合成電子伝達系に関わる新規のヘムタンパク質である

Tll0287

およ びマイナーフェレドキシンの精製・結晶化・

X

線結晶構造解析を行なった。得 られた構造を他の構造既知のタンパク質と比較した結果から、

Tll0287

は環境因 子に応答するセンサータンパク質である可能性があることが示唆された。また、

マイナーフェレドキシンの結晶構造をメジャーフェレドキシンと比較したとこ ろ、構造上の相違が見られ、これらの相違が両者の機能的違いを生み出してい る可能性が示唆された。

以上の研究内容は、申請者が博士として十分な素養を身に着けていると考え られる。また、申請者を筆頭著者とする

Tll0287

に関する研究論文は学術誌

J. Biol.

Chem.

に発表されており、本専攻博士課程の修了要件を満たしている。

よって、本論文は博士の学位論文としてふさわしいと認められる。

また、平成30年1月19日、論文内容及び関連する事項について試問を行 なった結果、合格と判定した。

参照

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