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企業会計において 給与などの費用には発生主義の考え方が採られています これは 当期に支出した金額のみを当期の費用とするのではなく 当期に支払の原因となる事実 ( 給与に関しては 労働の提供 ) が発生していれば 当期に費用計上するという考え方を言います 言い換えると 支払が翌期であっても それが当期

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Academic year: 2021

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1 人件費

第 1 回 :給 与 の会 計 処 理

2014.04.26 新日本有限責任監査法人 公認会計士 友行 貴久 新日本有限責任監査法人 公認会計士 横山 彰 はじめに 第 1 回 「給 与 の会 計 処 理 」では、従 業 員 の給 与 と、給 与 に関 連 して発 生 する社 会 保 険 料 などの人 件 費 の会 計 処 理 を解 説 します。第 2 回 では、賞 与 など従 業 員 に対 するその他 の人 件 費 の会 計 処 理 を解 説 します。第 3 回 では役 員 に関 する人 件 費 の会 計 処 理 を扱 います。 1.給 与 の会 計 処 理 (1)支 給 時 の会 計 処 理 以 下 、一 般 的 と思 われる給 与 明 細 をもとに、給 与 支 給 時 の会 計 処 理 を解 説 します。 (給 与 明 細 の一 例 ) 上 段 は、基 本 給 、残 業 手 当 、通 勤 手 当 、およびその他 の手 当 からなる給 与 の支 給 項 目 です。支 給 項 目 の名 称 は、会 社 によってさまざまです。これらの支 給 項 目 は、会 社 が支 払 い、費 用 として計 上 すべき ものです。 下 段 は控 除 項 目 です。従 業 員 が負 担 する所 得 税 の源 泉 徴 収 および住 民 税 の特 別 徴 収 、社 会 保 険 料 、 労 働 保 険 料 (雇 用 保 険 料 )からなっています。このほか、財 形 貯 蓄 などの控 除 項 目 があります。従 業 員 に対 しては、支 給 項 目 を合 計 した支 給 額 計 から、これら控 除 項 目 を差 引 いた額 を支 払 うことになりま す。 給 与 支 払 時 の仕 訳 例 (上 記 の給 与 明 細 をもとに) ※費 用 科 目 を給 与 ・残 業 手 当 ・諸 手 当 ・通 勤 費 などに細 分 化 する会 社 もあります。本 稿 では、以 降 も 「給 与 」として仕 訳 例 を記 載 します。 (2)発 生 主 義 に基 づく費 用 計 上

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2 企 業 会 計 において、給 与 などの費 用 には発 生 主 義 の考 え方 が採 られています。これは、当 期 に支 出 し た金 額 のみを当 期 の費 用 とするのではなく、当 期 に支 払 の原 因 となる事 実 (給 与 に関 しては、労 働 の 提 供 )が発 生 していれば、当 期 に費 用 計 上 するという考 え方 を言 います。 言 い換 えると、支 払 が翌 期 であっても、それが当 期 に行 われた労 働 の対 価 (給 与 )であるならば、当 期 に、未 払 費 用 を相 手 科 目 として費 用 計 上 することになります。 給 与 を発 生 主 義 に基 づいて会 計 処 理 するに当 たっては、個 々の会 社 における給 与 の計 算 期 間 (締 日 ) や支 払 日 が関 係 してきます。 例 )毎 月 25 日 に、前 月 16 日 ~当 月 15 日 の給 与 を支 払 っている場 合 の月 次 決 算 における仕 訳 例 上 記 ①②③により、11 月 1 日 から 11 月 30 日 に発 生 した給 与 (例 では 323,000)が 11 月 の月 次 決 算 で 費 用 処 理 されています。 ※1 未 払 費 用 計 上 する半 月 分 (16 日 ~月 末 日 )の給 与 額 は、同 期 間 の時 間 外 手 当 の発 生 実 績 を考 慮 して計 算 する方 法 のほか、特 に月 次 決 算 においては、直 近 の給 与 支 給 実 績 額 (②においては 11 月 25 日 に支 給 された 10 月 16 日 ~11 月 15 日 の給 与 支 給 額 )を用 いて見 積 計 算 するといった方 法 も考 え られます。 注 )本 稿 では、月 次 決 算 において、当 月 費 用 計 上 額 =当 月 に発 生 した額 となる仕 訳 例 を記 載 していま すが、会 社 によっては、月 次 決 算 では①の仕 訳 のみ行 い、②および③に相 当 する仕 訳 は年 度 決 算 (四 半 期 決 算 )においてのみ行 うことで、年 度 決 算 (四 半 期 決 算 )ベースでは費 用 計 上 額 =当 期 (当 四 半 期 ) に発 生 した額 とする、といったように、いろいろな実 務 が考 えられることをお断 りします(以 降 の仕 訳 例 に ついても同 様 です)。 (3)控 除 項 目 の会 計 処 理 ①所 得 税 および住 民 税 給 与 支 払 額 からは、所 得 税 の源 泉 徴 収 および住 民 税 の特 別 徴 収 が控 除 され、前 述 のとおりこれを預 り金 に計 上 します。所 得 税 、住 民 税 とも翌 月 10 日 までに納 付 します。

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3 ②社 会 保 険 料 および労 働 保 険 料 社 会 保 険 料 および労 働 保 険 料 について、会 社 は、給 与 から控 除 した従 業 員 負 担 分 と会 社 (事 業 主 )負 担 分 とを合 わせて納 付 します。次 項 以 降 で解 説 します。 2.社 会 保 険 料 の会 計 処 理 (1)社 会 保 険 料 の算 定 の概 要 ここでは、健 康 保 険 料 、厚 生 年 金 保 険 料 および介 護 保 険 を総 称 して「社 会 保 険 料 」と呼 びます。前 述 のとおり、社 会 保 険 料 の従 業 員 負 担 分 は給 与 から控 除 し、会 社 負 担 分 を費 用 として計 上 したうえで、 従 業 員 負 担 分 と合 わせて納 付 します。 毎 月 の社 会 保 険 料 は、標 準 報 酬 月 額 に保 険 料 率 を乗 じて求 め、これを会 社 (事 業 主 )と従 業 員 (被 保 険 者 )とが折 半 します。ただし、組 合 管 掌 健 康 保 険 においては、健 康 保 険 料 の事 業 主 負 担 割 合 を高 め ることができます。 標 準 報 酬 月 額 は、毎 年 1回 、定 時 決 定 と呼 ばれる見 直 しが行 われます。具 体 的 には 4 月 から 6 月 の給 与 をもとに標 準 報 酬 月 額 を算 定 し、これを 9 月 から翌 年 8 月 までの社 会 保 険 料 の計 算 に適 用 します。 ただし、随 時 改 定 と言 って、定 時 決 定 以 外 のタイミングでも、給 与 に大 幅 な変 動 があった場 合 に標 準 報 酬 月 額 を見 直 すことがあります。 (2)発 生 主 義 に基 づく費 用 計 上 当 月 分 の社 会 保 険 料 は、会 社 負 担 分 と従 業 員 負 担 分 とを併 せて、翌 月 末 までに納 付 することになって います。 納 付 が翌 月 であっても、当 月 末 に被 保 険 者 資 格 を有 する従 業 員 について、当 月 分 の社 会 保 険 料 がす でに発 生 しています。そこで発 生 主 義 の考 え方 により、未 払 費 用 を相 手 科 目 に、当 月 に費 用 計 上 しま す。 仕 訳 例 給 与 支 給 日 は毎 月 25 日 、社 会 保 険 料 は 80,000(会 社 と従 業 員 で折 半 )とします。

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4 3.労 働 保 険 料 の会 計 処 理 (1)労 働 保 険 料 の算 定 の概 要 労 災 保 険 と雇 用 保 険 とを合 わせて「労 働 保 険 」と呼 びます。その保 険 料 はともに「賃 金 」に対 して保 険 料 率 を乗 じて計 算 します。雇 用 保 険 料 は会 社 (事 業 主 )と従 業 員 (労 働 者 )の双 方 が負 担 しますが、労 災 保 険 料 は全 額 が会 社 負 担 であり、給 与 からは雇 用 保 険 料 のみが控 除 されます。 労 働 保 険 の保 険 期 間 は 4 月 ~3 月 です。会 社 は毎 年 7 月 にその保 険 期 間 の保 険 料 の概 算 金 額 (概 算 保 険 料 )を納 付 します(年 3 回 の分 納 が認 められる場 合 があります)。一 方 、その年 度 の賃 金 実 績 に基 づいて労 働 保 険 料 の実 績 額 (確 定 保 険 料 )を計 算 します。このうち雇 用 保 険 料 の従 業 員 負 担 分 につい て、給 与 支 給 額 から控 除 します。 翌 年 の 7 月 に、概 算 保 険 料 と確 定 保 険 料 との差 額 を精 算 するとともに、次 の保 険 期 間 に対 する保 険 料 を概 算 納 付 します。これを年 度 更 新 と呼 びます。

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5 (2)発 生 主 義 に基 づく費 用 計 上 納 付 した概 算 保 険 料 と確 定 保 険 料 との差 額 は、次 の 7 月 に精 算 されます。そのため、当 期 (当 月 )に実 際 に発 生 している費 用 の金 額 は、賃 金 実 績 から計 算 された確 定 保 険 料 ということになります。この考 え 方 に従 い、会 計 処 理 の一 例 を示 します。 概 算 納 付 額 は費 用 科 目 ではなく、前 払 費 用 (会 社 負 担 分 )、立 替 金 (従 業 員 負 担 分 )という資 産 科 目 で計 上 します。 毎 月 の賃 金 実 績 に基 づき、実 際 に発 生 した費 用 を計 上 し、概 算 納 付 額 による前 払 費 用 を取 崩 します。 従 業 員 負 担 分 を給 与 から控 除 し、概 算 納 付 額 による立 替 金 を取 崩 します。 翌年 7 月の年度更新 ここでの未払費用および預り金は、対象としている保険期間(4 月~3 月)において発生した保険料(確定保険 料)が、同期間に納付された概算保険料を上回っている額であり、前述の②-1 および②-2 の仕訳により計上 されたものを指します。 ③-2 確定保険料<概算保険料の場合 →次期概算納付額への充当をする場合※3 (仕訳なし 次期概算保険料に充当するため、前払費用・立替金のまま) ここでは③-1 とは反対に、概算保険料が確定保険料を上回る額が、前払費用および立替金残高に残っていま す。 ※2 概 算 納 付 により発 生 した前 払 費 用 および立 替 金 の残 高 があれば、それらを取 崩 しますが、残 高 が 足 りなければ、それらの代 わりに未 払 費 用 (会 社 負 担 分 )・預 り金 (従 業 員 負 担 分 )を計 上 することにな ります。 ※3 還 付 を選 択 することも可 能 とされており、その場 合 以 下 のとおりの仕 訳 となります。 未収入金 XXX 前払費用 XXX 立替金 XXX

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7 人件費

第 2 回 :従 業 員 に対 するその他 の人 件 費

2014.05.29 新日本有限責任監査法人 公認会計士 友行 貴久 新日本有限責任監査法人 公認会計士 横山 彰 1.従 業 員 賞 与 の会 計 処 理 (1)発 生 主 義 にもとづく費 用 計 上 従 業 員 賞 与 も、給 与 と同 様 、発 生 主 義 に基 づいて、労 働 が提 供 された期 間 において費 用 計 上 すること が必 要 です。 具 体 的 には、多 くの企 業 が就 業 規 則 などで定 めている支 給 対 象 期 間 (「○月 から○月 の勤 務 に対 する 賞 与 を、○月 に支 給 する」)を考 慮 することになります。 例 3 月 決 算 会 社 支給時期と支給対象期間 ① 5 月~10 月にかかる賞与を 12 月に支給 ② 11 月~翌期 4 月にかかる賞与を翌期 6 月に支給 (3 月 末 の仕 訳 ) ②について、支 給 は翌 期 6 月 となりますが、賞 与 の支 給 される可 能 性 が高 く、かつ金 額 を合 理 的 に見 積 もることができる場 合 には、当 期 において賞 与 を引 当 金 計 上 する必 要 があります。 この場 合 、財 務 諸 表 作 成 時 において、賞 与 の支 給 見 込 み総 額 が 6,000 とすると、当 期 に属 する対 象 月 である 11 月 ~3 月 の 5 カ月 分 (6,000×5/6 ⇒5,000)を引 当 金 計 上 します。 賞与引当金繰入額 5,000 / 賞与引当金 5,000 また、賞 与 に係 る社 会 保 険 料 等 の会 社 負 担 分 も賞 与 が支 給 されれば必 ず発 生 し、金 額 を合 理 的 に見 積 もることができますので、併 せて見 積 り計 上 する必 要 があります。 なお、期 末 における負 債 科 目 を、賞 与 引 当 金 ではなく未 払 費 用 としている会 社 もみられます。負 債 科 目 に関 する判 断 基 準 は、以 下 のとおりです。 「未 払 従 業 員 賞 与 の財 務 諸 表 における表 示 科 目 について」(リサーチ・センター審 理 情 報 No.15)より 支給額が確定しているか(※) 表示科目 確定している 未払費用(成功報酬的賞与など、賞与支給額が支給対象期間以外の基準に基づいて算定され ている場合には、未払金も考えられる) 確定していない 賞与引当金 ※「確 定 している」には、個 々の従 業 員 への賞 与 支 給 額 が確 定 している場 合 のほか、例 えば、賞 与 の 支 給 率 、支 給 月 数 、支 給 総 額 が確 定 している場 合 などが含 まれます。

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8 (翌 期 6 月 支 給 時 の会 計 処 理 ) 実 際 支 給 額 も 6,000 であったとします。また、社 会 保 険 料 および労 働 保 険 料 の従 業 員 負 担 分 、所 得 税 の源 泉 徴 収 額 の合 計 が 1,200 であったとします。 賞与引当金 5,000 預金 4,800 賞与 1,000 預り金 1,200 前 期 に帰 属 する額 5,000 は引 当 金 を取 崩 し、当 期 の費 用 となる額 1,000(4 月 の 1 カ月 分 )は賞 与 勘 定 で計 上 します。 (2)賞 与 引 当 金 と税 効 果 会 計 会 計 上 は、上 述 のように発 生 主 義 に基 づいて費 用 計 上 しますが、法 人 税 法 上 は、未 払 の賞 与 が損 金 算 入 できるのは、 「支 給 予 定 月 がすでに到 来 している賞 与 」および 「個 々の従 業 員 に支 給 額 が通 知 されているなどの要 件 を満 たす賞 与 」のみ であり、それ以 外 は実 際 の支 給 時 に損 金 算 入 されることになります(法 人 税 法 施 行 令 第 72 条 の 3)。そ のため、多 くの場 合 、期 末 に計 上 した賞 与 引 当 金 (または未 払 賞 与 )は、会 計 と税 務 との一 時 差 異 とな り、税 効 果 会 計 の対 象 となります。 2.退 職 給 付 の会 計 処 理 退 職 給 付 は、従 業 員 が一 定 期 間 労 働 を提 供 したこと等 により、退 職 以 後 に支 給 される給 付 であり、将 来 に支 払 われる退 職 給 付 のうち、当 期 に発 生 している額 を費 用 として処 理 します。 退 職 給 付 制 度 は、確 定 拠 出 制 度 と確 定 給 付 制 度 とに分 類 できますが、会 計 処 理 はいずれも当 期 に属 する負 担 額 を費 用 計 上 します。詳 しくはリンク先 (退職給付(平成 10 年会計基準) 第 1 回 :退 職 給 付 制 度 の概 要 )をご覧 ください。 3.早 期 割 増 退 職 金 の会 計 処 理 希 望 退 職 を募 集 するにあたり、通 常 の退 職 金 とは別 に、早 期 割 増 退 職 金 (または特 別 退 職 金 、特 別 加 算 金 など)を支 給 することがあります。早 期 割 増 退 職 金 は、当 該 金 額 が合 理 的 に見 積 られる時 点 で費 用 処 理 を行 います。そのため、期 末 時 点 では支 給 が行 われていなくても、費 用 計 上 することがありま す。 なお、希 望 退 職 の募 集 は、大 量 退 職 (※)にも該 当 することがあります。その場 合 、退 職 給 付 制 度 の終 了 (一 部 終 了 )に準 じた会 計 処 理 を行 うことになります。「退 職 給 付 制 度 の終 了 」についてはリンク先 を ご覧 ください。 ※「大 量 退 職 」とは、工 場 の閉 鎖 や営 業 の停 止 等 により、従 業 員 が予 定 より早 期 に退 職 する場 合 であ って、退 職 給 付 制 度 を構 成 する相 当 数 の従 業 員 が一 時 に退 職 した結 果 、相 当 程 度 の退 職 給 付 債 務 が減 少 する場 合 をいいます。 4.日 本 版 ESOP に関 する会 計 処 理

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9 従 業 員 等 に信 託 を通 じて自 社 の株 式 を交 付 する取 引 (いわゆる日 本 版 ESOP)の会 計 処 理 について、 「従 業 員 等 に信 託 を通 じて自 社 の株 式 を交 付 する取 引 に関 する実 務 上 の取 扱 い」(企 業 会 計 基 準 委 員 会 実 務 対 応 報 告 第 30 号 )が公 表 されています。 日 本 版 ESOP では、従 業 員 に対 する福 利 厚 生 として、一 定 の要 件 を満 たせば自 社 株 式 の受 給 権 とな るポイントが付 与 されることがあります。同 実 務 対 応 報 告 では、この付 与 されたポイントについて、 付 与 ポイントに対 応 する株 式 数 ×自 社 株 式 の取 得 株 価 の金 額 を基 礎 に費 用 と引 当 金 を計 上 す る会 計 処 理 を示 しています。 詳 しくは、リンク先 (日 本 版 ESOP の会 計 処 理 及 び開 示 に係 る実 務 対 応 報 告 のポイント)をご覧 くださ い。 5.ストック・オプション ストック・オプションとは、企 業 が従 業 員 または役 員 に対 する報 酬 として、一 定 の金 額 の支 払 により自 社 の株 式 を取 得 する権 利 を付 与 することをいいます。 ストック・オプションによる報 酬 については、企 業 がその従 業 員 や役 員 から得 る役 務 に応 じて費 用 計 上 し、貸 借 対 照 表 では純 資 産 の部 「新 株 予 約 権 」に計 上 する会 計 処 理 を行 います。 詳 しくは、リンク先 (ストック・オプション 第 1 回 :会 社 法 における取 扱 いと会 計 基 準 の概 要 )をご覧 くださ い。

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10 人件費

第 3 回 :役 員 人 件 費 の会 計 処 理

2014.05.30 新日本有限責任監査法人 公認会計士 友行 貴久 新日本有限責任監査法人 公認会計士 横山 彰 1.役 員 人 件 費 の概 要 (1)役 員 人 件 費 には次 のようなものがあります。  役 員 報酬 (ここでは、月 額払 いなどで定期 的に支払われる報 酬)  役 員 賞与  役 員 退職 慰労 金 会 社 法 では、役 員 報 酬 を「報 酬 、賞 与 その他 の職 務 執 行 の対 価 として株 式 会 社 から受 ける財 産 上 の 利 益 」(会 社 法 361 条 )とし、役 員 賞 与 を役 員 報 酬 の一 つと位 置 付 けています。これら役 員 報 酬 の支 給 は、定 款 または株 主 総 会 の決 議 (または報 酬 委 員 会 の決 議 )を必 要 とします。 また、役 員 退 職 慰 労 金 も、在 任 期 間 中 の職 務 執 行 に対 する後 払 いの報 酬 と考 えられており、支 給 に当 たっては、株 主 総 会 の決 議 が必 要 となります。 (2)会 計 処 理 のポイント ① 月 額 払いなどで定期 的に支 払 われる役 員報 酬は、発 生 期間に応 じて費 用処理 を行 います。 ② 役 員 賞与 は、役 員報 酬 と同 様に発生 期間 において費 用 として処 理 しますが、賞 与 額の算定 方法に よっては、支 給 が翌 期 になることもあり、役 員 賞 与 引 当 金 などの科 目 を用 いて費 用 計 上 することが あります。 ③ 役 員 退職 慰労 金については、役 員退 職慰 労引 当金 の計上 を検 討することが必 要 となります。 2.役 員 賞 与 の会 計 処 理 (1)役 員 賞 与 に関 する会 計 処 理 の変 遷 かつて、会 社 法 が施 行 される前 は、役 員 賞 与 は利 益 処 分 により支 給 され、役 員 報 酬 のように費 用 処 理 をせず、翌 期 に未 処 分 利 益 を減 少 させる会 計 処 理 が求 められていました。会 社 法 は、役 員 賞 与 を役 員 報 酬 の一 つと位 置 付 け、役 員 賞 与 の支 給 手 続 を、役 員 報 酬 と同 様 に定 款 への記 載 または株 主 総 会 の決 議 (委 員 会 設 置 会 社 においては、報 酬 委 員 会 の決 定 )によることとされました(会 社 法 第 361 条 、 第 379 条 、第 387 条 、第 404 条 第 3 項 及 び第 409 条 )。 (2)発 生 した期 間 における費 用 処 理 前 述 の通 り役 員 賞 与 は費 用 と位 置 付 けられ、発 生 主 義 のもと、発 生 した期 間 の費 用 として処 理 される ことになりました。そのため、支 給 が翌 期 であっても、当 期 の職 務 執 行 に対 する役 員 賞 与 は、原 則 とし て当 期 において費 用 計 上 することになります。 ① 役 員 賞 与 の支 給 を、翌 期 中 に開 催 される株 主 総 会 の決 議 事 項 とする場 合

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11 役 員 賞 与 の支 給 は株 主 総 会 の決 議 が前 提 となるため、当 期 末 において支 給 が確 定 した債 務 とはなっ ていません。そのため、支 給 の決 議 事 項 とする額 またはその見 込 額 を、原 則 として、引 当 金 に計 上 しま す(役 員 賞 与 に関 する会 計 基 準 第 13 項 )。 役員賞与 XXX / 役員賞与引当金 XXX (支給の決議事項とする額またはその 見込額) ② 実 質 的 に確 定 債 務 と認 められる場 合 子 会 社 が支 給 する役 員 賞 与 のように、株 主 総 会 の決 議 がなされていなくても、実 質 的 に確 定 債 務 と認 められる場 合 には、未 払 役 員 報 酬 等 の適 当 な科 目 をもって計 上 することができます(役 員 賞 与 に関 す る会 計 基 準 第 13 項 )。 役員賞与 XXX / 未払役員報酬 XXX (支給予定額) (3)役 員 賞 与 に対 する税 効 果 法 人 税 法 上 、役 員 賞 与 は事 前 確 定 届 出 給 与 または利 益 連 動 給 与 に該 当 するものを除 いて、損 金 算 入 されません。そのため、費 用 処 理 される役 員 賞 与 について、会 計 と税 務 とで差 異 が生 じます。 税 務 上 、役 員 賞 与 は以 下 の場 合 をのぞいて損 金 不 算 入 となります。 事前確定届出給与 (法人 税法第 34 条 1 項②) 役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、納税地 の所轄税務署長にその定めの内容に関する必要な届け出をしているものをいいます。 利益連動給与 (法人税法 第 34 条 1 項③) 同族会社に該当しない内国法人が、全ての業務執行役員に対して支給する利益連動給与で、法人 税法第 34 条 1 項③イロにおける要件を満たすものをいいます。 以 下 、当 期 の職 務 執 行 に対 する翌 期 支 給 予 定 の役 員 賞 与 10,000(不 相 当 に高 額 な金 額 はない)、法 定 実 効 税 率 35%(繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に問 題 ない)である場 合 の仕 訳 例 を記 載 します。 ① 事 前 確 定 届 出 給 与 または利 益 連 動 給 与 に該 当 しないもの 役 員 賞 与 で、事 前 確 定 届 出 給 与 または利 益 連 動 給 与 に該 当 しないものは、法 人 税 法 上 、損 金 不 算 入 となります。そのため従 業 員 賞 与 と異 なり、支 払 った期 においても損 金 とされず税 金 を減 額 する効 果 が ありません。従 って、永 久 差 異 のため税 効 果 会 計 の対 象 とはなりません。 当期の会計処理 (役員賞与費用計上) 役員賞与 10,000 / 役員賞与 引当金 10,000 (税効果) 仕訳なし ② 事 前 確 定 届 出 給 与 に該 当 する場 合 役 員 賞 与 が、納 税 地 の所 轄 税 務 署 長 に届 け出 された定 めの通 りに支 給 され、事 前 確 定 届 出 給 与 に該 当 する場 合 、支 給 した期 において損 金 に算 入 されます。そのため、当 期 末 に計 上 される負 債 は、会 計 と 税 務 との将 来 減 算 一 時 差 異 であり、税 効 果 の対 象 となります。

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12 当期の会計処理 (役員賞与費用計上) 役員賞与 10,000 / 未払役員 賞与 10,000 (税効果) 繰延税金資産 3,500 / 法人税等 調整額 3,500 ③ 利 益 連 動 給 与 に該 当 する場 合 利 益 連 動 給 与 は、利 益 指 標 を計 算 する対 象 期 間 、すなわち当 期 において債 務 として確 定 することにな ります。そのため、当 期 に損 金 経 理 することで、税 務 上 も損 金 算 入 されると考 えられ、会 計 と税 務 との 差 異 は生 じません。従 って、税 効 果 の対 象 とはなりません。 当期の会計処理 (役員賞与費用計上) 役員賞与 10,000 / 未払役員 賞与 10,000 (税効果) 仕訳なし 3.役 員 退 職 慰 労 金 の会 計 処 理 (1)役 員 退 職 慰 労 引 当 金 計 上 の検 討 役 員 退 職 慰 労 金 は、後 払 いの報 酬 であると考 えられています。将 来 に支 給 される可 能 性 が高 く、その 金 額 を合 理 的 に見 積 ることができる状 況 があれば、発 生 主 義 に基 づいて、職 務 を執 行 した各 期 におい て、費 用 と引 当 金 とを計 上 すべきものです。 一 方 、役 員 退 職 慰 労 引 当 金 の支 給 方 法 、金 額 などの決 定 については、その支 給 に関 する内 規 が存 在 し、当 該 内 規 に基 づく支 給 が行 われることを前 提 に、株 主 総 会 が取 締 役 会 に一 任 する実 務 が多 いと思 われます。 会 計 上 、次 の要 件 を満 たす場 合 においては、役 員 退 職 慰 労 引 当 金 を計 上 することが必 要 です(「租 税 特 別 措 置 法 上 の準 備 金 及 び特 別 法 上 の引 当 金 又 は準 備 金 並 びに役 員 退 職 慰 労 引 当 金 等 に関 する 監 査 上 の取 扱 い(監 査 ・保 証 実 務 委 員 会 実 務 指 針 第 42 号 )」3.(1))。 ① 役 員 退職 慰労 金の支給に関する内 規に基 づき(在 任 期間 ・担 当職 務等 を勘 案 して)支 給見 込額 が 合 理 的 に算 出 されること ② 当 該 内規に基 づく支給 実績 があり、このような状況が将 来にわたって存続 すること(設立 間もない 会 社 等 のように支 給 実 績 がない場 合 においては、内 規 に基 づいた支 給 額 を支 払 うことが合 理 的 に 予 測 される場 合 を含 む。) 役 員 退 職 慰 労 引 当 金 の残 高 が、内 規 に基 づいて計 算 される当 期 末 要 支 給 額 に等 しくなるように、当 期 の負 担 額 (当 期 末 要 支 給 額 -当 期 首 要 支 給 額 )を、役 員 退 職 慰 労 引 当 金 繰 入 額 (営 業 費 用 )に計 上 します。 役員退職慰労引当金繰入額 (営業費用) XXX / 役員退職慰労引当金 XXX

(13)

13 上 記 の要 件 を満 たさない場 合 には、役 員 退 職 慰 労 金 は、株 主 総 会 決 議 時 あるいは支 出 時 に費 用 計 上 することになります。 (2)役 員 退 職 慰 労 引 当 金 に対 する税 効 果 法 人 税 法 上 、役 員 退 職 慰 労 金 は、原 則 として、株 主 総 会 の決 議 などによりその額 が具 体 的 に確 定 した 期 に損 金 算 入 されます(法 人 税 法 基 本 通 達 9-2-28)。従 って、役 員 退 職 慰 労 引 当 金 の繰 入 額 は損 金 に算 入 されず、会 計 と税 務 との一 時 差 異 が生 じます。そのため、税 効 果 の対 象 となりますが、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 を判 断 するに当 たり、スケジューリングの検 討 が必 要 となります。 なお、役 員 退 職 慰 労 引 当 金 に係 る将 来 減 算 一 時 差 異 は、従 業 員 の退 職 給 付 引 当 金 や建 物 の減 価 償 却 超 過 額 のような、将 来 解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 (※)には該 当 しないとされ ています(税 効 果 会 計 に関 する Q&A Q1)。そのため、これまでの役 員 在 任 期 間 の実 績 や内 規 などに 基 づいて、役 員 が退 任 し、将 来 減 算 一 時 差 異 が解 消 される時 期 を合 理 的 にスケジューリングした結 果 に基 づき、繰 延 税 金 資 産 を計 上 することになります。 (※) 将 来 解 消 見 込 年 度 が長 期 にわたる将 来 減 算 一 時 差 異 は、「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 に関 する監 査 上 の取 扱 い」(監 査 委 員 会 報 告 第 66 号 )の③および④ただし書 きの会 社 (※)において も、課 税 所 得 の合 理 的 見 積 可 能 期 間 (おおむね 5 年 )を超 えた年 度 に解 消 される額 について、回 収 可 能 性 があるとする考 え方 を示 しています。 詳 しくはリンク先 (税効果会計 第 2 回 :繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 )をご覧 ください。

参照

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