一 中国農業の急速な発展
改革開放以来三五年︑中国農業は急速に発展し︑一三億の人口の食料不足問題を解決しただけでなく︑農村生活水準を不断に向上させ︑農民生活の小康︵まずまずの暮らし︶を実現させ ﹀1
︿た︒農業は国民経済の基礎産業であり︑農業の急速な発展は︑国の工業化および都市化の強力な後ろ盾となり︑保障となっている︒
㈠ 食糧の「一一年連続増産」を実現した農業生産
二〇〇四年から二〇一四年にかけて︑中国の食糧︹訳注=中国語の“粮食”は穀類・豆類・イモ類を意味し食糧と 訳し︑その他は食料と訳す︺生産は一一年連続の豊作で︑農民収入も一一年連続で伸びている︒二〇〇三年の食糧総生産量は四億三〇七〇万トンに過ぎなかったが︑中央政府は二〇〇四年から一連の強力な支持政策を行い︑農業科学技術の向上を図り︑農民の生産意欲を引き出したため︑食糧生産は上昇し続けて︑二〇一四年の食糧総生産量は六億七一〇万トンに達し︑そのうち穀物総生産量は五億五七二七万トンになった︒食糧総生産量は一一年連続の増産を実現した︒食糧生産の安定的な増大は︑国の現代化と国民経済の急速な発展の基礎となってい ﹀2
︿る︒
㈡ 「野菜かご」農産物の十分な供給
都市化の進展に伴って︑生鮮農産物への需要は増大し︑
中国農業発展の 直面する問題と対策
安 玉発︵翻訳=高橋真理子︶●●●●● 論 説 │││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││中国農業大転換
「野菜かご」︹「菜籃子」︺農産物は都市住民の日々の食生活に欠かせないものとなった︒各級政府はこれを重視し︑都市の市長は野菜かごプログラムの第一責任者であると︑中央文件︵文書︶もはっきり謳っている︒食糧作物に比べ野菜生産は効果と利益が高いこと︑とりわけトンネル栽培やハウス温室栽培の技術の普及により︑一部の野菜産地では︑野菜生産への農民の意欲が高まっている︒さらに産地市場や農村道路および高速道路網が急速に建設されて︑野菜や果実の生産と供給はほぼ安定している︒近年起きた一部の品目の「売難」︵高くて売れない︶問題は︑市場全体の需給はすでに均衡したが︑市場分析と市場コントロールを強化して︑流通効率を引き上げる必要があることを示している︒食肉︑卵︑牛乳・乳製品の生産と消費需要はかなり旺盛で︑市場価格もほぼ安定している︒
㈢ 農村の都市化レベルの向上
中国国家統計局の統計によると︑二〇一三年末の中国大陸の総人口は一三億六〇七二万人︑うち都市常住人口は七億三一一一万人で︑前年末に比べ一九二九万人増加したが︑農村常住人口は六億二九六一万人で︑一二六一万人減少した︒都市化率は五三・七三%で︑前年に比べ一・一六ポイント上昇している︒都市化率の上昇は︑農村余剰労働力が都市へ転入した結果であり︑急速に小都市が建設された ことによる︒中央政府が二〇一四年に発表した「国家新型城鎮化規劃 二〇一四
の中間︶で︑一部は省会城市︵一級行政単位︶である︒ 地は主に県城︵県政府所在地︶︑地級市︵省級市と県級市 民工とその家族を都市に定住させると提唱している︒定住 二〇二〇年までに︑能力を有し︑希望する一億人前後の農 のある常住者を段階的に市民化すると強調している︒また 農業者も該当し︑都市での安定した就業と生活を行う能力 生︑都市に戸籍のない外来就業者︑市街区域や郊外区域の 業技術学院︑高等専門学校︶および職業技術学院の卒業 者におかれるが︑高等学校︵総合大学︑単科大学︑高等職 定住問題を逐次解決すると提唱している︒重点は農業転入 者の市民化を段階的に進め︑長く都市に住んでいる農民の −二〇二〇年」によると︑農業転入
㈣ 相次ぐ農産物市場の開放 WTO加盟後十余年︑農業の対外開放は絶えず広がり︑かつ深まり︑もはや農産物市場の全面開放と言える︒農産物の関税を徐々に削減し︑現在すでに一五%前後と︑世界の農産物の平均水準の四分の一以下である︒しかも中国は絶えず非関税障壁を撤廃し︑食糧︑植物油脂︑綿花︑砂糖類︑羊毛等の重要農産物は関税割当管理を行うが︑その他の農産物の非関税障壁は徐々に縮小している︒中国の農業価格支持・所得補償政策は︑WTOの「農業協定」をすべて
遵守し︑WTO規則に完全に合致した農業の価格支持・所得補償政策システムをつくり︑すべての農産物の輸出補助金を撤廃した︒近年︑中国はASEAN︑ニュージーランド︑韓国︑オーストラリア等の国や地域と相次いで自由貿易協定を結び︑農産物貿易はさらに活発化するであろう︒
二 中国農業の直面する問題と課題
今日︑中国農業は依然として多くの問題に直面している︒例えば︑逼迫傾向の農産物需給︑頻発する農産物の安全性問題︑低い農業の比較優位性︑未整備な農業インフラ︑脆弱な農業のリスク許容能力︑深刻な農業資源の外部流出︑後れた生産・流通システム等である︒とくに中国の食糧安全政策は厳しい課題に直面しており︑主に以下の四点があげられる︒ 第一は︑中国国内生産の食糧価格がすでに全体的に国際市場価格に接近︑あるいはより高くなり︑農産物輸入が増加していることである︒二〇一四年の穀物純輸入量は一八七四・七万トンで︑前年比で三八%増加している︒そのうちコーリャン・大麦輸入量は一一一九万トン︑大豆輸入量は七一三九・九万トンで︑前年比で一二・七%増えている︒植物油脂︑綿花︑糖類︑乳製品︑牛肉・羊肉・豚肉等は︑かなりの輸入がある︒農業が急速に発展した大国だが︑食 糧︑綿花︑油脂︑糖類︑肉類︑乳製品の六大農産物は依然として輸入を必要としており︑かつその輸入量は増加傾向にある︒このことは︑中国農業は急速に発展したものの︑国内消費者の農産物需要の増大のスピードに追いつかず︑輸入が増えていることを物語っている︒ 第二は︑中国の人件費の高騰︑土地および農業投入資材のコストの上昇により︑農業が高コスト時代を迎えていることである︒二〇一〇年あたりから︑労働力市場は逼迫し︑企業の求人難は顕著になり︑中国各省市の最低賃金は次々引き上げられ︑軒並み二〇%前後上昇している︒農業生産においても︑種子︑化学肥料︑農薬︑農業用ビニール︑機械作業︑排水・灌漑︑農地賃借料︑賃金等のコストが総コストの八〇%以上を占めている︒耕地面積は年々減少し︑その質の低下も深刻で︑産出/投入比率は低い︒とくに食糧生産コストは上昇の一途で︑穀物栽培の収益はかなり低い︒国が食糧生産を補助しているが︑食糧生産の経済効果は︑食糧以外の作物にはるかに及ばず︑農民の食糧生産への意欲も低い︒ 第三は︑中国が現在実施している食糧生産の補助が︑WTO加盟時に承認した「イエローボックス」の補助金上限にもはや近づいていることである︒WTOの「農業協定」によると︑中国の「イエローボックス」の補助金上限は農業生産額の八・五%で︑政府が農業保護のため︑今後も補
助金を継続して拡大する余地はすでにない︒
第四は︑中国農業が資源と環境の制約に直面し︑農業資源の開発・利用はもはや極限に迫っていることである︒化学肥料︑農薬等の合成化学物質の大量投入により生態環境は悪化し︑農業汚染が深刻化し︑食品の安全性問題が頻発しており︑資源や環境を犠牲にして農業を発展させるという方式に赤信号が灯り始めている︒
三 農業発展方式の転換と速やかな農業経営システムの刷新
二〇一五年八月︑国務院弁公庁が発表した「農業発展方式を速やかに転換することに関する意見」において︑以下のように指摘している︒ 現在︑わが国の経済発展は「新常態」︵新たな安定段階︶に入り︑農業発展は新たな課題に直面し︑速やかに農業発展方式を転換することは焦眉の課題である︒当面および今後一定期間にわたって︑農業現代化を基本線に農業発展方式を転換しなければならない︒そのためには︑多様な形態の適正規模経営を中心に発展させ︑現代農業経営システム・生産システム・産業システムづくりを重点として︑農業経営方式・生産方式・資源利用方式と管理方式の転換に力を注がなければならない︒量の増大から量・質両方の効果 と利益を重視すること︑生産要素投入型の発展から科学技術の革新と労働者の質の向上に基づく農業発展に転換すること︑資源多消費型の粗放経営から持続可能な発展に転換すること︑によって農業発展を推進しなければならない︒以上によって︑高い生産効率で︑安全な農産物を生産し︑資源を節約した環境に優しい現代農業発展への道を歩む︒
㈠ 食糧生産力を高め︑ 食糧安全保障水準を引き上げる 改革開放と現代化の進展のなかで︑農産物貿易の輸入超過は拡大を続けているが︑国民の主食食料の自給を保証することは︑新時期中国の食糧安全政策の基本原則である︒中央政府は以下のように提唱してい ﹀3
︿る︒
⑴ 高水準な農地を速やかに作る 高水準の農地を農作業に必要な場として整備する︒新規建設用地土地有償使用費︑農業総合開発資金︑現代農業生産発展資金︑農地水利施設建設補助資金︑土壌診断施肥設計資金︑大型灌区継続建設付帯工事および節水改造投資︑新規千億斤食糧生産力計画投資などを整理再編して︑統一的に資金を使用し︑圃場均平︑農業水利施設︑土壌改良︑農業機械の進入できる農道︑電力輸送網と道路の両サイドの防風林建設などの建設に集中的に力を注ぎ︑計画実行案
の制定を統一し︑二〇二〇年までに高水準な農地を八億ムー︵一ムー=六六六・七㎡︶造成する︒
⑵ 実情に合った農地の保護を強化する 厳格な農地保護制度を実施し︑恒久的な基本農地を速やかに画定し︑基本農地の利用に農家が責任をもつことを明確にし︑計画実行案を制定し︑情報の共有を確保する︒優良農地を保護する法律・制度を整備し︑農地の質に関する国家標準等級を検討・制定し︑農地保護・補償メカニズムを整備する︒国家土地監察機能を十分に発揮するため︑農地の量・質の重視を堅持し︑土地監察チームを設立し︑監督責任を遂行する︒東北地域などの優良農地の保護を重点的に強化する︒
⑶ 食糧生産基地の建設を積極的に推進する 恒久的な基本農地の画定と併せて︑食糧生産機能地区をリサーチし建設する︒優先的に東北︑黄淮海︑長江中下流地域を水稲・小麦の主産地とし︑質の高い高効率な食糧生産基地をつくり︑国民の主食食料のための水田・農地を確保する︒ ㈡ 新たな農業経営方式をつくり︑ 多様な形態の適正規模経営を発展させる
農家経営請負制の基本モデルを堅持しつつ︑多様な形態の適正規模経営モデルを発展させ︑大規模な新型農業経営主体を育成し︑農地の規模の経済性と農業生産者の組織化水準を引き上げることは︑課題に直面する新常態下の中国農業にとって重要な対策である︒
⑴ 大規模な新型農業経営主体の育成 徐々に拡大する大型食糧生産農家︑家庭農場︑農民専業合作社︑農業龍頭企業等の新型農業経営主体は︑農業総合開発や中央のインフラ投資などの農業関連プロジェクトを担う︒農民専業合作社が︑農産物の加工・貯蔵・コールドチェーン施設を建設することを支援する︒また︑食糧など主要農産物の買付・貯蔵・加工企業が︑新型農業経営主体に買付注文︑穀物乾燥︑輸送の受託などのサービスを行うように誘導する︒新型農業経営主体を銀行等金融機関の顧客信用査定の範囲に含め︑財政支援により農業貸付・担保システムを健全化する︒大規模食糧生産経営への貸付のため︑信用担保とリスク補償を行う︒新型農業経営主体が求めている多種多様で高保障の保険商品を︑商業保険機関が開発することを奨励する︒生産額保険や目標価格保険など
の試行地区をリサーチし展開する︒
⑵ 多様な形態の適正規模経営を推進する 農地請負経営権を確実にし登記簿作成を着実に推し進める︒財政奨励補償等の措置を用いて︑多様な形態の適正規模経営の発展を支援する︒農家が合法的に下請け︑賃貸︑交換︑権利譲渡︑出資などの方法で請負地が権利移動するよう指導する︒条件に見合った地域では︑農業用途としての農地を守り︑「非農業化」を防ぐことを前提に︑農民の意思に基づいて統一的に耕地整理を行い︑できるだけ畦を減らして耕地面積を拡大し︑機械作業率を向上させる︒
⑶ 龍頭企業を農業産業化経営の牽引者とする 龍頭企業が牽引して農家が産業化した経営を展開することは︑農業の産業チェーンを拡大させる有効な方法である︒農家は提携と連携をとおして大規模農畜産業や農産物加工業︑農村サービス業に発展し︑農地経営権を農民専業合作社や龍頭企業に出資することで︑産業チェーンの利益を享受できる︒農と連携し農を牽引する龍頭企業への財政奨励メカニズムを引き続き整備することが必要で︑龍頭企業が農家のために提供している技術研修︑担保貸付︑農業保険の援助などのサービスを奨励する︒一村一品や︑村と企業による双方向の生産と販売の連携モデルを発展させ︑第一 次・第二次・第三次産業の融合的発展を加速させ︑産業チェーンの利益をより多く地元に残し︑農民の収入を引き上げる︒
四 供銷合作社系統の総合改革の推進と、中国の特色をもった農業経営サービス組織の育成
二〇一五年三月中央政府が打ち出した「供銷合作社」︵購買販売協同組合︶の総合的改革を深化することに関する決定」では︑以下のように指摘している︒ 農業現代化が深く浸透し︑農村経済社会の発展が新段階を迎えているとき︑農業生産経営方式は大きく変化し︑適正規模経営は着実に発展している︒全過程をフルカバーし︑総合的にシステム化され︑かつ迅速で効率的な農業社会化サービスが切実に求められている︒さらに農民の生活ニーズの急速な高まりから︑多面的で多様で便利で安価な生活サービスが求められている︒新しい状勢のもと︑農業を強化し︑農民にサービスし︑農にサービスするという中国の特色をもった総合的な組織を育成することは喫緊の課題である︒供銷合作社︵以下合作社と略す︶は︑中国の特色をもった農業へのサービス合作経済組織であり︑長期にわたって農村に根づき︑農民と接し︑組織体系はかなり整
備され︑ビジネスネットワークもサービス機能も比較的整っている︒合作社系統の改革を通じて︑合作社が発展するうえで存在する問題を解決し︑さらに内在するエネルギーと発展への活力を呼び起こし︑現代農業を再建する︒合作社の農業経営サービス部門の改革の主な内容は以下のとおりであ ﹀4
︿る︒
⑴ 合作社の経営サービス領域を拡大する 合作社は農業生産資材︑農村の日用品︑農産物の流通において︑重要な機能を発揮してきた︒今後︑合作社の機能は︑流通サービスを主として︑農業社会化サービスの全過程に拡張し︑都市と農村のコミュニティのサービス全般に展開し︑総合的で大規模で︑持続可能な農業へのサービスシステムを速やかに形成することができる︒また︑生産資材の供給︑農産物流通︑農村サービスなどの重点領域や関連する領域で︑農民のために便利で安価で安全良質なサービスを提供することができる︒
⑵ 農業生産のサービス方式と手段を新たにつくる 「農地は誰が耕すのか」「農地をどのように耕すのか」などの問題を解決するため︑合作社は大圃場の受託管理︑作業受託︑「股份合作」︹株式協業企業の従業員が共同出資し︑労働に応じた分配と出資に応じた配当を行う︺︑市場 の需要予測による生産といった多様な方式を採用する必要があり︑農民やさまざまな新型農業経営主体のために︑生産資材の供給︑肥料の調整︑農業機械作業︑統一病害虫防除︑貯蔵・加工などの一連のサービスを提供し︑適正規模経営化を推し進める必要がある︒生産資材の供給サービスの方式を新たにつくり︑生産資材の販売と技術サービスを有機的に結合し︑生産資材ネットワークの運用とパイロットプロジェクト建設を早急に推進する︒合作社の科学技術研究機関︑「庄稼医院」︵病害虫防除所︶︑職業院校は︑農業技術の普及と農民への技能養成機能を十分に発揮する︒また「政府による社会からの公共サービス購入」事業を積極的に担う︒
⑶ 農産物流通サービス水準を引き上げる 新たな流通方式をつくり︑多様な形態の生産と販売の連携を推進する︒合作社の農産物市場をつくり︑それを全国農産物市場発展計画のなかに組み入れ︑集散地には大型農産物卸売市場と現代物流センター︑産地には農産物集出荷場と貯蔵施設︑都市には生鮮食品スーパーなどの末端小売をつくり︑合理的で連結した産地から末端消費までの農産物市場のネットワークを形成する︒公益的な農産物卸売市場のモデルをつくり︑生産資材︑農業副産品︑日用品︑再生資源回収などのネットワークを健全化し︑チェーン化︑
大規模化︑ブランド化した経営サービスの新たな仕組みを速やかに形成するよう︑積極的に参与する︒ビジネスモデルや消費スタイルの大きな変化という新しい傾向に対応し︑合作社の電子商取引を早急に展開し︑オンライン取引︑物流ターミナル︑末端配送までの一体化経営を形成し︑オンラインとオフラインを融合させた発展を実現する︒
⑷ 総合サービスセンター 新型都市化と新農村の建設要求に対応して︑農村総合服務社︵サービスセンター︶および都市と農村のコミュニティセンター︵ステーション︶を早急に建設し︑都市住民に日用品︑文化・スポーツ・レクリエーション︑老人向け憩いの場や幼児教育︑職業訓練などの多様なサービスを提供する︒都市と農村の合作社の資源を統一的に再編整理し︑都市トレードセンターと経営サービス総合センターを発展させ︑都市の合作社は︑都市と農村の交流を促進し︑「三農」にサービスする影響力と牽引力を向上させる︒合作社の優位性を発揮し︑生態系を保護し︑観光農園︑グリーンツーリズムなどの新しいサービス業を発展させる︒美しい村づくりに積極的に参与し︑再生資源回収のネットワークをつくり︑資源循環と効率利用を促進し︑都市と農村の生態環境を改善する︒ ⑸ 合作社の金融サービス
農村の合作社金融の発展は︑農民の資金調達難を解決する重要な手段であり︑合作社経済組織のサービス機能を強化し︑現実のニーズへのサービス力を向上させる︒条件付きで合作社は︑組合員制︑クローズ性の原則のもと︑外部への預金集めや貸付の禁止︑固定した収益還元を行わないという前提で︑農村資金互助合作を発展させる︒条件付きで合作社は︑法に基づいて農村互助合作保険組織を設立し︑互助保険業務を行うことができる︒条件に適って許可された合作社企業は︑法に定められた手続きに基づいて︑中小の銀行モデルを発起・設立し︑農業へのサービス力を高めることができる︒条件付きで合作社はフィナンシャルリース会社︑少額貸付会社︑融資保証会社を設立し︑地方財政と共同出資で融資会社を設立できる︒合作社連合と金融監督部門と地方政府は職責に従って︑職務の監督管理とリスク処理に責任を負い︑金融リスクを防ぎ︑取り除く責任を負う︒
五 農業産業チェーンを拡大し、農産物流通システムを整備する
農業産業チェーンの拡大は現代農業の特徴で︑加工・流通とリンクすることで︑農産物の付加価値を高め︑多様な
消費者ニーズを満足させることができる︒今日︑中国の農産物加工業の発展は急速で︑国民経済のなかで最も成長力のある産業の一つである︒しかし︑先進国と比べると︑中国の農産物加工業の全体的発展水準は依然として低く︑二〇一〇年の農産物加工業の生産額と農業生産額の比は一・七一で︑先進国の三一より低い︒年間販売収入が一〇〇億元以上の企業はわずか二一社で︑そのうち五〇〇億元以上四社︑一〇〇〇億元以上二社で︑世界のトップ
五%の水準をはるかに上回ってい 5﹀ ロスはそれぞれ七%と一〇〜二〇%で︑先進国の一%と 定計算によると︑中国の農家の食糧と野菜・果実の収穫後 穫後ロスが多く︑品質と安全性の問題が突出している︒測 組織︶︑農村小企業の加工施設は貧弱で︑技術も後れ︑収 初の加工段階である農家︑「専業合作組織」︵農業協同組合 入っている企業はわずか一社である︒農産物の商品化の最 500社に
︿る︒ 早急に中国の農産物流通システムをつくることは︑農業産業チェーン構築にとって重要である︒卸売市場を主要ルートとする生鮮農産物流通は︑チャネルが長く︑チャネルの段階が多く︑損耗は大きく︑効率が低いという問題があり︑卸売市場を高度化し機能を刷新する必要がある︒同時に「農業とスーパーの連携」「地域の直売所」「電子商取引」といった新しい生産と販売の連携モデルが次々展開し︑農産物流通システムの改善にとって新たな活力をもた らしている︒
⑴ 農産物加工業を早急に発展させる 中央政府は︑農産物加工の産地加工への補助金および実施地域と品目を拡大し︑主食作物︵米・麦等の穀物︑トウモロコシ︑大豆︑甘しょ︶の加工向上運動を実施し︑馬鈴しょを主食作物に加え︑馬鈴しょ等の主食作物の開発を推進している︒農産物加工企業が加工装置を高度化し︑農産物の加工水準を向上させることを支援する︒また穀類・油脂加工企業が原料節約技術を向上させること︑標準化された食肉処理システムの構築に力を入れ︑食肉処理と加工企業の一体化経営を行うことを支援する︒
⑵ 新たな農産物流通チャネルをつくる 中央政府は︑公益性のある農産物卸売市場のモデルをつくり︑全国レベルと地域レベルの農産物産地市場の建設に力を入れ︑農産物流通において卸売市場が主要チャネルの機能をさらに強化すれば︑農家の生産をリードし︑「売難」問題を解決できるだけでなく︑「野菜かご」農産物の供給と安定した価格および食品の安全性を市民に保障するという重要な役割を担うことができると述べている︒生産と販売の連携などの新たな流通形態を育成し︑電子商取引を発展させ︑多様な形態の農業経営主体とeコマース企業
との連携をリードし︑物流配送とコールドチェーン施設などの発展を促進する︒
⑶ 農業ビジネスを推進し︑「六次産業化」を発展させる 二〇一五年中央一号文件は︑農村の一次・二次・三次産業を融合して︑「六次産業化」を発展させると述べている︒「六次産業」の概念は︑日本の学者が初めて提唱したものである︒それは︑農村地域を農林漁業で発展させると同時に︑農産物加工︑販売サービス︑レクリエーション・観光業を発展させ︑農産物の地産地消を展開し︑農村就業を拡大して農民収入を増加させることで︑農村の一次・二次・三次産業の融合発展を実現し︑加工・流通部門の収益を農民に還元して︑農業発展の活力を高めるということを意味している︒「六次産業」の発展には︑農業を基礎として︑農産物加工場と農村サービス業に向かって融合する方法がある︒例えば︑産地加工業を興して︑農産物直売所をつくり︑グリーンツーリズムに発展させるというものである︒あるいは農村サービス業や農産物加工業から委託されて︑農業を逆融合するという方法もあり︑例えば︑大型スーパーから委託され︑農産物加工や原料基地をつくるというものである︒今日︑大都市近郊農業の「六次産業化」の趨勢は顕著で︑農民専業合作社や大型農家は農産物の地産地消を行い︑摘み取り観光農園を経営し︑「農家楽」︵農 家民宿・レストラン︶を開店して飲食や宿泊を提供するなど︑多種多様な展開をしている︒観光農業は︑すでに中国の都市農業発展の重要な要素となっている︒
六 現代農業への支持・支援政策
中国農業部が発表した「二〇一五年農村改革を深化させ︑現代農業を発展させ︑農民の収入増を促進する国の措置」は︑合計五〇項目あり︑その内容を以下簡単に紹介す ﹀6
︿る︒
⑴ 食糧作物栽培への直接補助政策 二〇一五年中央財政部は継続して食糧栽培する農民に直接補助を行い︑補助金は一四〇・五億元とする︒原則的に食糧生産を行う農民に支給し︑具体的には各省級人民政府が実際の状況に基づいて確定する︒
⑵ 農業生産資材総合補助政策 二〇一五年中央財政部は継続して食糧生産農民に農業生産資材総合補助を行う︒補助金は動態調整制度に基づいて︑化学肥料と燃料などの農業資材価格の変動をもとに︑「一律価格補助︑動態調整︑増えることがあっても減ることはない」の原則を守り︑適時に補助金の割り振りと増額を行い︑食糧生産農民に対して上昇する農業生産資材コス
トを合理的に補う︒
⑶ 優良農作物栽培補助政策 二〇一五年中央財政部は︑優良農作物栽培補助金二〇三・五億元を投じ︑水稲︑小麦︑トウモロコシ︑綿花︑東北と内モンゴルの大豆︑長江流域一〇省︵市︶・河南省信陽・陝西省漢中と安康の冬菜種︑チベットのすべての種類の裸麦に対しては全域で︑馬鈴しょと落花生は主産地を展開している試行地区に対して補助する︒
⑷ 農業機械購入補助政策 二〇一五年︑農業機械購入補助政策は︑全国すべての農牧業県︵場︶で実施し︑補助対象は農業生産に直接従事する個人と農業生産経営組織で︑補助対象の機械器具は大分類一一︑小分類四三の一三七品目とする︒
⑸ 農業機械廃棄更新補助試行政策 二〇一五年︑河北︑山西︑黒龍江︑江蘇︑浙江︑安徽︑江西︑山東︑河南︑湖北︑湖南︑広西︑陝西︑甘粛︑新疆︑寧波︑青島において︑農業機械廃棄更新の補助を試験的に行う︒
⑹ 食糧等重要農産物︑新型農業経営主体︑主産地に傾 斜配分する新規補助政策
二〇一五年補助政策を適時に調整・整備するため︑支持食糧適正規模経営資金を合計二三四億元を投じ︑「支持食糧」︵国が支持する食糧︶を生産する適正規模の経営に充て︑専業の大型農家︑家庭農場および農民専業合作社を重点に傾斜配分する︒
⑺ 小麦・水稲の最低価格買入政策 二〇一五年︑国は継続して食糧主産地域に対して最低価格買入政策を行う︒小麦︵三等︶の最低買入価格は五〇㎏当たり一一八元︑早生インディカ米︵三等︑以下同様︶︑中晩生インディカ米︑ウルチ米の最低買入価格は︑それぞれ五〇㎏当たり一三五元︑一三八元︑一五五元とし︑二〇一四年の水準と同じである︒
⑻ 食糧︵油料︶作物大県への奨励政策 二〇一四年中央財政部は︑食糧︵油料︶作物大県︵生産量が多い県︶に奨励金三五一億元を投じる︒具体的な方法は近年の全国各級行政単位の食糧生産状況に基づいて測定計算し︑当該県を奨励する︒
⑼ 養豚生産大県への奨励政策 二〇一四年中央財政部は奨励金三五億元を投じるが︑こ
れは養豚生産の発展のためのみに用いられる︒具体的には︑大規模養豚農家︵農場︶の畜舎改造︑優良種豚の導入︑糞尿処理支出︑保険料補助︑融資への支払利息︑防疫費の支出等が含まれる︒
⑽ 農産物目標価格政策 二〇一四年︑国は東北・内モンゴルの大豆︑新疆の綿花に対する目標価格改革試行事業をスタートさせ︑食糧・養豚等の農産物目標価格保険モデルを積極的にリサーチし︑食糧生産の適正規模経営主体のマーケティングへの貸付モデル事業を展開した︒二〇一五年︑国は継続して関連政策を実施し︑かつ絶えず整備する︒新疆の綿花の目標価格水準は一トン当たり一万九一〇〇元とする︒
⑾ 農業災害を軽減し安定・増産に資する核心技術への補助政策 二〇一四年中央財政部は︑農業災害を軽減し安定・増産に資する核心技術補助金を投じ︑地方が先に救済し中央が後で補助する救済システムをつくった︒二〇一五年中央財政部は継続して︑このシステムに基づき︑地方主導で救済するよう指導する︒
⑿ 食糧・綿花・油料作物・糖類の高収量作物の開発と クリーンな食糧増産モデルの研究をさらに推進する支持政策 二〇一五年中央財政部は継続して二〇億元投じたが︑これは食糧・綿花・油料作物・糖類の高収量作物の開発と︑「食糧緑色」︵クリーンな食糧︶増産モデルのための研究に限り用いられる︒
⒀ 野菜・果実・茶の標準化づくりへの支持政策 二〇一五年継続して園芸作物の標準化園を設立し︑野菜・果実・茶専業の村で広域化を推進し︑「園」から「区」への拡大を実現する︒
⒁ 土壌測定と配合肥料施肥の補助政策 二〇一五年中央財政部は継続して七億円投じて︑土壌測定と配合肥料施肥を推進し︑一・九億戸の農家に無料で土壌測定・配合肥料施肥技術サービスを提供し︑土壌測定・配合施肥技術を一五億ムー以上の農地で広める︒
⒂ 化学肥料・農薬のゼロ成長支持政策 二〇一五年中央財政部は九九六万元を投じ︑継続して北京等一七省︵市︶の四二の野菜・果実・茶等の園芸作物生産大県で行っている︑低毒性生物農薬の使用試行地区に補助し︑低毒性生物農薬使用により農薬支出の増えた農民を
補助し︑低毒性生物農薬の普及・応用を奨励・推進する︒
⒃ 農地の保護と農地の質の向上への補助政策 二〇一五年中央財政部は八億円を投じ︑大型食糧生産農家︑家庭農場等の新型農業経営主体および農民が︑水田への稲わら還元︑緑肥作物の植栽︑有機肥料の増投︑土壌改良︑肥培管理と地力向上を行うことで︑有機肥料資源の転化利用を行い︑農村生態環境を改善し︑農地の質を高めることを奨励・支持する︒
⒄ 施設農用地︵農業施設のある農用地︶の支持政策 二〇一四年︑国は「施設農業の健全な発展を一層支持することに関する通知」を発表し︑現行の施設農用地政策を一層整備した︒第一に︑大規模食糧生産とそれに必要な施設用地と一体的に「施設農用地」として管理するようにし︑第二に︑施設農用地管理への要求を詳細化した︒
⒅ 現代種苗産業の発展を推進する支持政策 第一に︑中央財政部は国家級種子生産大県に対して奨励政策を実施する︒第二に︑継続して新品種を模範展示し︑食糧・綿花・油料作物主産地一四〇大県に新品種模範展示所をつくる︒第三に︑継続して︑植物特許権を侵犯し︑まがい物を製造販売する行為を組織的に取り締まる︒第四 に︑種子の需給と価格情報を公表し︑救荒植物の種子の備蓄の任務を国がもつことを決定した︒第五に︑国がトウモロコシ・大豆の優良品種の科学研究に取り組み︑品種の審査決定の「緑色通道」︵グリーンゲート優先ルート︶を実施し︑第三次遺伝資源全国調査を行う︒第六に︑科学研究の蓄積と人材が種苗産業に向かうよう推し進める︒
⒆ 農産物のトレーサビリティシステム構築の支援政策 二〇一五年と今後一定期間で︑品質トレーサビリティ制度および管理基準と技術標準化を早急に策定し︑国家トレーサビリティ情報センターを建設し︑農産物の品質と安全性のトレーサビリティシステムをさらに整備する︒
⒇ 農産物品質安全県づくりの支援政策 二〇一五年から︑中央財政部は八〇〇〇万元の財政補助金を投じ︑農産物品質安全県づくり運動を支援する︒補助金は制度創設︑モデル全体のリサーチ︑教育トレーニング等に重点的に充てられる︒
牧畜優良種補助政策 二〇一四年に投じた牧畜優良種補助金一二億元は︑主に当該省の畜産経営農場︵農家︶が購入する優良種豚︵牛︶の精液や種雄羊︑ヤク種雄牛の代金の補てんに用いられ
た︒二〇一五年︑国は継続して牧畜改良種補助政策を実施するとともに︑優良ホルスタイン種の胚移植導入をリサーチしモデル事業を補助する︒それぞれの補助基準は五〇〇〇元である︒
標準化された大規模畜産経営への支援政策 二〇一四年中央財政部は合計三八億元を投じて︑標準化された大規模養鶏・畜産業の発展を支持した︒二〇一五年も国は継続して標準化された大規模養鶏・畜産業を支援する︒
家畜防疫補助政策 中国の家畜防疫補助政策は主に以下の五点が含まれる︒第一に︑家畜重大疾病への強制的なワクチン接種など免疫措置への補助政策︑第二は︑伝染病に罹患した家畜・家禽の殺処分補助政策︑第三は︑末端機関への家畜防疫事業への補助政策︑第四は︑養畜段階の病死豚の無害化処理補助政策︑第五は︑屠畜段階での病死豚の無害化処理補助政策である︒
草原生態保護の補助奨励政策 放牧禁止に対する補助︑牧畜優良種の補助︑牧草優良品種と生産資材の総合補助を実施する︒二〇一四年中央財政 部が一三省︵区︶に投じた補助奨励金は一五七・六九億元である︒二〇一五年︑国は継続して一三省︵区︶に︑草原生態保護の補助奨励政策を実施する︒
酪農を振興しアルファルファ導入を支援する政策 二〇一二年から国は「酪農振興とアルファルファ導入運動」を実施し︑中央財政部は毎年三億元を投じて︑高収量の優良アルファルファ模範地区建設を支援している︒地区建設は三〇〇〇ムーを一区画とし︑一八〇万元︵ムー当たり六〇〇元︶を一回限り補てんし︑主に優良アルファルファの導入︑標準化生産技術の応用︑生産条件の改善とアルファルファの品質管理の強化などに充てている︒二〇一五年も継続して「酪農振興とアルファルファの導入運動」を実施する︒
漁業の燃油補助政策 二〇一五年︑国は継続して︑漁業の燃油価格補助政策を実施するとともに︑補助方式・方法を調整・改善して︑漁業の燃油価格補助と漁業資源保護ならびに産業構造の合理化・高度化などの産業政策と調和させ︑漁業の持続的で健全な発展を促進する︒