学校改善に関する研究 [ PDF
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(2) 役割を検討した。校長のアカウンタビリティが求められ. の推進を図りながら、教職員と管理職との信頼関係. ている現在の状況をふまえ、学校評価の方法、内容、活. を重視している。目指す子ども像や教師像を明らか. 用を検討した。学校改善を促進するにあたり、校長のマ. にし、わかりやすく、目に見えるように指導してい. ネージメント能力が問われていることを明白にした。. る。子どものため、保護者のため、教職員のためと いう視点で、リーダーシップがポジティブに発揮さ. 《第2章》 第2章では、学校改善を促進する 6 人の元・現校長の. れている。 (5) 教職員の意識を高め、新しい教育課題・実践に取. インタビュー調査をもとに、 それぞれの戦略事例を挙げ、. り組むこの校長は、何よりも授業を重視し、その指. 教育理念と実践を明らかにし、学校改善の課題・解決の. 導力を高めるための手段・方法を考え、かつ実践し. 方途を探った。6 人の理念と実践に関する知見として、. ている。また研究指定を受けることで教師の資質向. 以下の点を指摘できる。. 上を図ろうとしている。さらに、企業の考え方など. (1) 教育理念の実践をめざしたこの元校長は、教師本. を取り入れ、学校経営に生かそうとしている。すな. 来の仕事について的確に指摘している。それは、わ. わち、企業経営のマネージメントを重視した学校経. かる授業、生徒の興味関心を高める授業をすること. 営を推進している。目標管理を取り入れた学校運営. であり、授業のレベルアップを図るよう努力すべき. を実践し、管理職、さらには教職員の意識変革を図. だと述べている。彼は、教師の教育活動、教師同士. る等ポジティブな学校運営を行っている。. のコミュニケーションの活性化、そして能力向上と. (6) 学校の研究を促進し、自ら率先して実行していく. その意欲の重要性を念頭におきながら、学校経営を. リーダーシップを有しているこの校長は、バイタリ. してきた。このことは、山積みの教育課題への対応. ティがあふれている。常に子どもを中心に考えて、. に追われる中で、軽視されがちであるが、教育の根. 教職員、保護者、地域に学校教育の内容を分かりや. 本に関わる内容を明確に提示する。. すく発信している。今日の教育課題をしっかりとら. (2) 教職員との協働性を高めるこの校長は、基礎学力. え、計画・実行・評価・行動と将にアクティブに学. の向上の重要性を指摘し、教職員と課題を共有し合. 校経営を行っている。研究指定を受け、進めていく. い、共通の目的意識を持ち、取り組んでいる。生徒. 過程においても、様々なことを考慮し、教職員と話. 同士で教え合うことの意義を大切にしながら、生徒. し、保護者・地域に理解を求めている。教職員や保. だけでなく、教職員もやる気を持つように校長自身. 護者・地域との連携を深めるという理念を持ち、実. も努力している。その方法・内容についても、根気. 践している。また教職員のレベルアップを図ってい. 強く、ていねいに取り組み、改善していったことも. る。. 良い結果となって表れている。校区の小学校とも連. 上記から、以下の4つのことが明確になった。第1に. 携を深めながら、組織的・計画的に取り組み、生徒. は、校長は生徒を育てようとする熱意・責任感を有して. 一人一人を大切にした指導を行っている。. いる。第 2 には、校長は学力に関わる点で、子どもに基. (3) 教育信念を実践し、学校のリーダーシップをとっ. 礎学力を身につけさせること及び教師の授業改善の重要. ているこの校長は、校長自身が、毎朝校門で生徒を. 性を強調している。第 3 には、校長は教師の意識改革の. 迎えることに象徴されているように、率先垂範する. 必要性を強調している。教師は、子どもを取り巻く状況、. 姿で指導している。小学校との連携、地域と教職員. 社会状況が大きく変化する現代で、絶えず研修し、対応. との連携を深め、保護者との対話にも努めている。. できる力を身につけなくてはならないからである。第 4. 新しい課題である学校評価についても、ポジティブ. には、校長は確固とした教育理念をもち、それにそった. に具体的に取り組んでいる。この校長には、先ず第. 実践力が必要な点である。. 一に子どものことがあり、 「子どもにとって何が大 切なのか。 」がいつも念頭にある。教職員に対する指 導も、子どもに還元されなければ、それは結局、意 味を成さないことになると述べる。. 《第 3 章》 第3章では、ポジティブな学校文化のある学校への提 言をめざして、筆者の元・現勤務校 4 校での実践をもと. (4) 現実の教育課題を解決する際、教育に確固とした. に、学校改善を促進する要因を分析・考察した。次に 21. 強い信念をもったこの校長は、現実に生かせる研修. 世紀に生きるための学校づくりに向けての教育改革を 2. の意義を強調している。成果が見える・わかる授業. つの視座から検討する。1 つはニュージーランドの教育.
(3) 改革であり、もう1つは小中連携である。さらに、21 世 紀に生きる学校の戦略を探る。. ニュージーランドでは、教育委員会を廃止している。 各 学 校 で は 、 学 校 理 事 会 (BOARDS. OF. 4校の事例は以下の通りである。. TRUSTEES:BOT)を設置し、そこで、予算、人事に関す. (1) 協働性のある中学校の事例. る業務を行ない、教育計画を作成している。国の役割は、. この学校は、当時の先進的な研究課題であった国. ナショナル・カリキュラムの作成、教科のシラバスの作成、. 際理解教育について、 各教科・領域から研究が進めら. 各学校の教育評価・審査をすることである。この BOT. れた。現在も、学校だけでなく、家庭、地域が協働. は、日本でも平成 14 年度から実践研究校で進めている. して、新しい課題に取り組んでいる。. 「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」. (2)「開かれた学校」で進取の気風に富む中学校の 事例. の中の学校理事会と共通するものがあり、これからの公 立学校の運営を考えていく上で、参考になる。. この学校は、体育会等の学校行事への保護者の参. 平成 15 年 12 月に出された中教審の「今後の学校の管. 加・協力、また地域の日常的なパトロールへの教職. 理運営のあり方について」にあるように、社会状況を踏. 員の参加・協力等、三者の連携・協力が円滑に行わ. まえた義務教育の在り方を考えていく上で、小中一貫教. れている。日頃から行われている三者の連携・協力. 育の研究を進めていく必要性がある。現任校では、この. のもとに、市内初の韓国修学旅行を実現させた。. 研究を小学校と連携し進めているところである。研究推. (3) 変化に対応する中学校の事例. 進の手だてとして、小中の合同の研修会・職員会・授業. この学校は、地域・社会の変化に対応していく必. 研究及び協議会や、 合同の PTA 協議会等を開きながら進. 要性を感じ、努力をしてきた。この学校だけではな. めている。. く、部活動担当者の減少に伴う部活動の在り方が課 題としてある。 (4) 地域と協働する中学校の事例. この 2 つに共通することは、学校は地域の学校であり、 家庭・地域との連携・協力を深めて「開かれた学校づく り」を進めていることである。. この学校の子どもたちを家庭・地域が温かく見守. これまでのまとめとして、次のことが言える。教育に. り、ニュージーランドからのホームステイを受け入. おける学校、家庭及び、地域社会の役割・分担の見直し. れる等、この学校は将に「地域の学校」と言える。. が必要である。学校は、あまりに多くの教育課題を抱え. 21 世紀に必要とされる今日的課題・視野を広げる教. すぎている。社会の変革、人々の意識変化、価値観の多. 育への取り組みが、この学校のこれからの課題であ. 様化等、変貌を遂げつつある社会状況の中で、学校だけ. る。. が変わらないということは、不可能である。学校とは何. 以上の、4 つの実践事例を通して、学校改善を促進す る要因は以下のことであると言える。 (1) 校長が明確なビジョンをもち、学校の中心となっ て学校経営に取り組む。. か、何をすべきで、何をすべきでないかを精査しなけれ ばならない。本来の学校のあるべき姿を再構築する必要 がある。また、教師は学習の動機付けや学び方を重視し、 授業改善を図る必要がある。教師の本来の仕事である 「授. (2) 教職員一人一人が「子どものために」という一点で. 業」にしっかりと取り組むことである。教師をめざした. 学校課題の共通理解・価値の共有化を図り、共通実. 当時の「教える」プロ意識を再度想起して、わかる授業. 践をする。. をめざして授業改善に取り組むことが必要なのである。. (3) 保護者・地域の教育力を具体的な取り組みとして 生かす。 課題としては、次のようなことが明らかになったと言 える。 (1) 保護者・地域の要請を受けとめ、学校が応えてい く「開かれた学校づくり」をさらに促進する。. さらに、学校は自らの学校評価を適切に行ない、説明責 任を果たすことが求められている。学校は今、様々な面 から学校教育そのものが問われている。一つ一つ学校本 来の役割を明らかにし、取り組みの内容・成果・課題を 明らかにし、評価を受ける必要がある。以上のことを考 慮して、校長は学校改善のために、確固とした理念を持. (2) 学校が地域の情報・教育のセンターとなって、発. ち、理想とするビジョンを描き、実践しなくてはならな. 信し、要望を受けとめ、吸収・精査し、実践する。. い。そして、どの校長も自らの理念を持ち、様々な阻害. さらに、ニュージーランドの教育改革の検討をし、著. 要因と闘いながら、学校改善に取り組もうと奮闘してい. 者の現任校が取り組んでいる小中一貫教育の研究を通し て、21 世紀に生きる学校の在り方を検討した。. る。 最後に、21 世紀に生きる公立学校の改善戦略を次のよ.
(4) うに考える。. 号、2003 年。. (1) 学校・家庭・地域の教育の役割の明確化を図る。. 9. 三重県教育委員会『ニュージーランド 教育改革調査. (2) 学校・家庭・地域はそれぞれの役割に責任をもつ。. 報告書』2002 年。. (3) 学校はその役割を適切に遂行し、説明責任を果た. 10. 文部省『諸外国の学校教育 ― アジア・オセアニ. す。 (4) 学校は家庭・地域と連携、協力を深め、開かれた 学校づくりを進める。 (5) 校長はこれらの課題解決のためにリーダーシップ を発揮する。. ア・アフリカ編』1998 年。 11. 八尾坂修『現代の教育改革と学校の自己評価』ぎょ うせい、2001 年。 12. 八尾坂修『はじめに』 (GS(学校経営)研レポート vol.49)啓林館、2003 年。. 以上のように本論文は「学校改善に関する研究」―ポ. 13. T.E.デール・K.D.ピターソン著 中留武昭・加治佐. ジティブな学校運営をめざす校長たちの戦略― を主題. 哲也・八尾坂修 訳『学校文化を創るスクールリーダー. として研究してきた。中教審等の答申や、数多くの教育. ―学校改善をめざして―』風間書房、2002 年。. 論文・書物・教育雑誌等に学校改善に関わるものが多く 包含されている。すべての校長が、教育現場の責任者と して、先進的な研究等にも興味深く注視し、現場で生か す方途、職責の重さ等を常に意識しなければならない。 学校・家庭・地域社会の三者がそれぞれの役割・責任 を果たし、三者の連携から、さらに融合へと進めながら、 21 世紀に生きる子どもたちのために、すべての人たちに よる教育改革が今必要である。 この研究で得たものをさらに発展させながら、学校現 場で、今とこれからの子どもたちの教育に生かしていき たい。 【主要参考文献】 1. 神田嘉延「ニュージーランドの教育改革」 『鹿児島大 学教育学部教育実践研究紀要』 第9巻、1999 年。 2. 児島邦宏・天笠茂『学校経営を変える 管理職の条 件・第 6 巻・スクールリーダーとしての校長―学校の裁 量権と経営責任―』ぎょうせい、2001 年。 3. 佐藤晴雄 『シリーズ″新しい学校″パラダイムの転 換 地域社会・家庭と結ぶ学校経営―新しいコミュニテ ィ・スクールの構図をどう描くか―』東洋館出版社、1999 年。 4. 中留武昭『スクールリーダーのための学校改善のスト ラテジー―新教育課程経営に向けての発想の転換―』東 洋館出版社、1991 年。 5. 中留武昭『学校文化を創る校長のリーダーシップ―学 校改善への道―』エイデル研究所、1998 年。 6. 「特集学校と地域の関係の再構築」 『日本教育経営学 会紀要』第 44 号 第一法規出版、2002 年。 7. 林孝『家庭・学校・地域社会の教育連携―学校週 5 日 制導入による保護者の意識変化―』多賀出版、 1998 年。 8. 福本みちよ「学校改善支援プロセスにおける《評価と 支援》の関係構築」『国立教育政策研究所広報』第 137.
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