資料ガイド
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01~02
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03~09
① 国有地の管理処分の基本方針
② 国有地の管理処分の手続き等
第5章 国有地の管理処分
本章では、 廃止した庁舎・宿舎の跡地や相続税物納された土地等の
国有地(普通財産)の管理処分について、その基本方針を中心に解説す
るとともに、最近の取組事例を紹介します。
では、国有地の管理処分に当たって、
国有地の管理処分のあり方の根底となる考え方や背景について解説し
ます。
では、国有地の管理処分に関する基
本的な手続きのほか、売却や貸付の促進のための施策等について解説
します。
① 国有地の管理処分の基本方針
② 国有地の管理処分の手続き等
《旧県立宮古病院跡地》 ○ 旧県立宮古病院跡地(沖縄県宮古島市)は、宮古島市に売却した国有地です。 宮古島市は島の将来の振興発展に資する図書館と公民館の機能を併せ持った拠点施設 『宮古島市未来創造センター』を建設予定であり、宮古島市が目指す新しい島づくりに貢 献しています。 (上図は『宮古島市未来創造センター』の完成イメージ) ※敷地面積 23,319.87平方メートル○
国有地の管理処分の基本方針
国有地(普通財産)の管理処分において、国が保有する必要のな
いものは、すみやかに処分することにより、財政収入の確保を図っ
ています。
また、国有地の処分に当たっては、国民共有の貴重な資産であ
ることを踏まえた公用・公共用優先の原則に基づき、優先的に地方
公共団体等からの利用要望を受け付け、一定期間内に利用要望が
ない場合には、一般競争入札により処分することとしています。
国有地の管理処分の基本方針は、その時代の経済・社会情勢、
土地事情等の変化に応じて変わってきていますが、処分促進による
財政収入の確保に注力しつつ、近年は、個々の財産の特性に応じ
た手法を選択することにより、地域や社会のニーズに対応した有効
活用を推進することとしています。
※ 各省各庁が所管する特別会計所属の国有地について、財務省
への事務委任を積極的に推進することにより、統一的なルールに
よる処分等を行っています。
ポイント
《大阪城公園》
(写真提供:大阪市) ○ 大阪城公園は、大阪府大阪市中央区 に所在する都市公園で、財務省所管普通 財産を昭和30年より大阪市に無償貸付し て設けられているものです。公園の大部 分が特別史跡大坂城跡に指定されており、 歴史公園として水と緑豊かな市民の憩い の場となっております。 ※公園面積 1,055.6千平方メートル (うち無償貸付数量 892.0千平方メートル)-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 地価変動率
01 国有地の管理処分の基本方針の変遷
昭和20年代 昭和30年代 昭和50年代前半昭和40年代~ 昭和50年代後半~昭和60年代 平成初期 バブル崩壊後~ 平成10年代 後半~ 現在 民 生 の 安 定 と 経 済 復 興 に 寄 与 す る た め 、 大 量 の 国 有 地 を 積 極 的に活用 財産の実態把握 や台帳の整備改善 など内部管理体制 の整備に重点 土地問題・都市問 題の解決が課題とな り、従来よりも一層、 公用、公共用の用途に 優先的に活用 国 の 財 政 事 情 が 著 し く 悪 化 し 、 公 用 、 公 共 用 優 先 の 原 則 を 損 な わ な い 限 度 で 、 極 力 財 政 収入を確保 地 価 高 騰 が 社 会 問 題 と な り 、 公 用 、 公 共 用 優 先 の 原 則 を更に徹底、特に都 市 部 の 財 産 に つ い て は 重 点 的 活 用 、 適 正 な 管 理 を 図 る 必要 公用、公共用優 先の原則を基本と しつつ、急増した 物納不動産の売却 を促進 効率的な庁舎等 の使用・整備や、 売残財産等の未利 用国有地の売却を 促進 介護・保育分野を中心 に、地域や社会のニーズ に対応して国有地を活用 管理処分方式も多様化 定期借地、二段階一般競争 入札、信託、交換 等 (主要な答申) S47.3.10 「有効利用答申」 S58.1.24 「当面答申」 H2.6.20 「有効活用答申」 -H18.1.18 「効率性答申」 -(注)地価変動率は、一般財団法人日本不動産研究所「市街地価格指数(H12=100)」(商業地)の対前年度増減。 高度成長期 バブル期 バブル崩壊 介護・保育など地域・社会の課題 (%) ① 国有地の管理処分の基本方針 ○ 社会経済情勢の変化に伴い国有地の果たす役割も変化しており、国有地の管理処分の基本方針も時代ととも に変化してきています。 ○ 現在では、管理処分の多様化を図り、介護・保育分野を中心に国有地の有効活用を進めています。02 国有地の管理処分の基本方針
~個々の財産の特性に応じた管理処分~
○ 国有地の処分に当たっては、国民共有の貴重な財産であることを踏まえた公用・公共用優先の原則に基づき、 優先的に地方公共団体等からの利用要望を受け付け、一定期間内に利用要望がない場合には、一般競争入 札により処分することとしています。 ○ 近年においては、個々の財産の特性に応じた手法を選択することにより、地域や社会のニーズに対応した有 効活用を推進することとしています。また、処分に当たっては、地区計画活用型一般競争入札、二段階一般競 争入札などの手法も活用しています。 ≪個々の財産の特性に応じた管理処分の手法≫ ・地域貢献(地域経済の活性化) 特性 ・計画的なまちづくりにより、 地域経済の活性化等が期 待される大規模な国有地 ・待機児童数が多い地区に 所在する国有地 ・介護施設整備のための用 地確保が困難な都市部等 に所在する国有地 ・再開発事業により権利変 換を受けた権利床 手法の例 ・地区計画活用型一般競争入札(※①) ・二段階一般競争入札(※②) ・地域ニーズ等に対応した公共随契 ・政策実現(待機児童解消、介護離 職ゼロ) ・国有財産の有効活用による最適化 地方公共団体等への ・優先的売却 ・定期借地制度を活用した貸付け ・信託 ・交換 目的 ※①地方公共団体と協議し、国有地を含む一定の区域を対象に、地方公共団体が地区計画の都市計画決定をした上で行う一般競争入札 ※②買受けを希望する者から土地の利用等に関する企画提案を求めた上で、これを審査し、審査を通過した者により行う一般競争入札 5章08 (P37) 5章07 (P37) 7章09 (P52) 参照 参照 参照 ① 国有地の管理処分の基本方針03 国有地の管理処分手続きの原則
○ 国有財産は、法律に基づく場合を除き、適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならないと されています(財政法第9条第1項)。 ○ ただし、財政法第9条第1項の「法律に基づく場合」として、国有財産法等により、特に公共性の高い用途 に供する場合には、無償あるいは減額して売却又は貸付けすることができると規定されています(国有財 産法第22条ほか)。 ○ しかしながら、現下の国の厳しい財政事情等に鑑み、無償あるいは減額して売却又は貸し付ける取扱い については、審議会の答申を受けて、制限的な運用を行っています。 【根拠法】 国有財産法第28条 道路法第90条 等 国有財産法第22条 国有財産 特別措置法第2条 国有財産 特別措置法第3条時価貸付・時価売払
減額貸付・減額売払
無償貸付
譲与
【法で対象とされている例】 道路・河川等の公共用財産 (費用負担分) 公園、緑地、ごみ処理施設 社会福祉施設、介護施設 学校、病院、 社会福祉施設 国有地を特に公共性の高い用途に供する場合 には、国有財産法等に基づき、無償又は減額等 の措置の適用が規定されていますが、現下の国 の厳しい財政事情等に鑑み、こうした優遇措置 については、審議会の答申を受けて、制限的な 運用を行っています。 なお、財産の取得に係る経緯等に鑑み、 などについては、優遇措置を適用していません。 相続税物納財産 庁舎などの代替施設の整備に経費を要し た財産 独立行政法人通則法に基づき国庫に納付 された財産 ② 国有地の管理処分の手続き等 制 限 的 に 運 用 優遇措置の是正04 国有地の売却等手続き
○ 国有地の売却等については、公用・公共用の利用を優先する考え方を基本としつつ、迅速かつ透明・公平に行 うため、原則となる統一的なルールを定めています。 ○ 具体的には、3か月間、地方公共団体等からの取得等要望の受付を行い、受付期間中に取得等要望がない場合 には一般競争入札により売却することとし、取得等要望があった場合には、地方公共団体等に対して、2年以内 の契約締結を求めています。 ○ また、国有地の売却等がなされるまでの間は、維持管理費用の削減や土地の有効活用を図るため、一時的な貸付 けを行うなど暫定的な活用を進めています。 ○ このほか、廃止が決定した庁舎・宿舎の跡地の活用に当たっては、地域の整備計画に資するため、地方公共団体 からの取得等要望を受け付ける以前から、地方公共団体と緊密な連携を図っています。 3か月間 2か月間 2年以内 (地方公共団体の予算確保等に配慮)取得等
要望が
あった
場合
取得等
要望が
なかっ
た場合
財務局等
による審査
売却等
相手方
の決定
契約締結期限
(契約締結期限を経過した場合)一般競争入札
の準備・実施
暫定的な活用の促進(一時貸付等)地方公
共団体
等から
の
取得等
要望の
受付
相続税物納財産 廃止した庁舎・宿舎 特別会計に所属する財産 (事務委任により売却) 独立行政法人から 国庫に納付された財産見積り
合せ
(※) ※見積り合せとは、売却等相手方の契約希望価格を書面により確認し、当該価格が国の予定価格の制限の範囲内であるか否かを確認する手続きをいう。 なお、見積り合せの実施回数は累計で5回を限度とし、5回の見積り合せによっても国の予定価格の制限に達しない場合には、直ちに見積り合せを打ち切ることとなる。 (見積り合せを打ち切った場合) ② 国有地の管理処分の手続き等05 一般競争入札の手続き
○ 国有地の売却については、公用・公共用の利用を優先する考え方を基本とし、3か月間、地方公共団体等からの取得等 要望の受付を行い、受付期間中に取得等要望がない場合には一般競争入札により売却することとしています。 ○ 各財務局等では、年3回程度の一般競争入札を実施しております。一般競争入札にかかる情報は、各財務局等で配布 している入札案内書や、新聞広告、各財務局等のウェブサイトに掲載しています。 ○ また、一般競争入札で売却に至らなかった物件については、一定期間に限り、原則先着順で購入することができます。 ○ なお、所有権の移転登記は国が嘱託で行うため、登記手続きにかかる費用は不要です(ただし、登録免許税は必要)。 【一般競争入札の基本的な流れ】 公示 入札保証金 の納付 入札 開札 売買契約 の締結 売買代金 の支払い 所有権 の移転 入札金額の5% 以上 ・郵送方式 ・持参方式 落札決定の翌日か ら30日以内に締結 登記手続き 費用は不要 (登録免許税 は必要) 売買契約 の締結 売買代金 の支払い 所有権 の移転 落札されなかった物 件は、原則として、 一定の期間に限り 先着順で購入可能 ◆一般競争入札で落札した場合 ◆先着順で購入した場合 登記手続き 費用は不要 (登録免許 税は必要) 売却決定の翌 日から30日以 内に締結 入札の約20日 前に公示 入札風景 先着順に よる受付 受付期間終 了後、概ね 2週間後 落札 不 調 ② 国有地の管理処分の手続き等06 定期借地権を活用した貸付スキームのイメージ
国 定 期 借 地 契 約◎ 制度イメージ
・契約期間 事業用定期借地 10年~30年 (例)保育所 : 30年 一般定期借地 50年以上 (例) 特養老人ホーム : 55年 ・賃料 ⇒不動産鑑定士による鑑定評価に 基づき、見積り合せを実施した上 で、決定 ・保証金 ⇒不要 ・前払い賃料 ⇒賃料総額の2分の1まで 前払い可能 地方公共団体 社会福祉法人 意見照会・回答直接貸付スキーム
転貸スキーム
国 定期借地契約 転 貸 公募提案等 地方公共団体 社会福祉法人 定期借地契約の内容○ 定期借地制度は、地主と借主との間で一定の契約期間を定め、契約期間終了時に更地にして
返還することを条件に土地を賃貸借する制度です。
○ 貸付期間が保証されているため、事業計画が立てやすく、また、土地を購入する必要がなく借
地権利金の支払いが不要であるため、初期投資の費用が少なくて済むといったメリットがありま
す。
認定こども園を運営する学校法人 医療法人 社会福祉施設 ・ 認定こども園 を運営する事業者 参照 (P52)7章10 ② 国有地の管理処分の手続き等07 地区計画活用型・二段階一般競争入札について
地元地方
公共団体
と事前協
議
審査委 員 会の設 置 ・条件 設 定 ( ※) 地区計 画 策定企画提案
書
受付
審査通過
者の決定
価格競争
入札
落札者の
決定
入札公告
地区計画活用型 一般競争入札 二段階一般競争入札 (地区計画活用型によらない 又は併用する場合)企画提案
書
審査
○ 未利用国有地の処分にあたっては、まちづくりに配慮した土地利用を行いつつ、民間の企画力・知見を具体的な土地利用に反映させ る入札手法を採用するケースもあります。 ・ 地区計画活用型一般競争入札:国有地を含む一定の区域を対象に地区計画を定めた上で価格競争入札を行う方法 ・ 二段階一般競争入札:土地利用等に関する企画提案を求めた上で、これを審査し、審査を通過した者を対象に価格競争入札を行う方法 第2段階 (※)土地の有効利用を促すための条件を審査委員会及び地元地方公共団体の意見を聴取しながら設定。 第1段階 <都市計画法に基づき地元地方公共団体が地区住民の意向を反映しながら策定する地区計画活用型の適用を優先的に検討> ② 国有地の管理処分の手続き等○ 本財産が所在する千代田区大手町は、金融をはじめとする国際的な中枢業務拠点の形成を図る地域として、都市再生緊急整備地域 に指定されており、民間セクターによる業務機能の高度な集積が進んでいます。また、本財産においては、都市再生への貢献を目的と して、平成30年度の竣工に向けて市街地再開発事業が進められています。 ○ 建設される再開発ビル(大手町プレイス)は、ウエストタワー、イーストタワーの2棟の事務所と、店舗・会議室等を配した低層部分から なる大規模なオフィスビルであり、国は、権利変換計画に基づき、ウエストタワーの一部とイーストタワーの事務所部分を権利床として取 得する予定です。 【ウエストタワー】 権利床として国が取得するウエストタワーの3フロア強の床は、霞が関の日本郵政ビルと交換する予定です。国が取得する日本郵政ビルについて は中央省庁の庁舎として利用し、日本郵政が国から取得する床については自らの権利床等と併せて本社利用される予定です。 【イーストタワー】 イーストタワーの27フロアの床については、平成27年6月15日に開催された財政制度等審議会(第29回国有財産分科会)において、できる限り多 くの売却収入を確保する観点から、信託を活用しリーシング(テナントの誘致・貸付け)を了した状態で売却を進めることが適当である旨の答申がなさ れました。 同答申に基づき処理を進め、入札によりみずほ信託銀行(株)を信託受託者に決定し、平成28年1月、国有財産信託契約を締結しました。現在、 信託受託者において信託契約に則り、本財産の適正な管理処分を行っております。 〈位置図〉 * 本財産は、従前、独立行政法人国立印刷局が所有し、逓信ビル敷地等 として利用されてきましたが、平成20年10月、関係地権者等(印刷局、日 本郵政、NTT等)との間で再開発に基本合意した後、平成22年12月に印 刷局により国庫納付されたものです。 ウエストタワー イーストタワー 〈 再開発後イメージ 〉
交換
約3フロア 所在:千代田区霞が関一丁目 面積:50,470㎡(延床面積) 竣工:昭和44年 交換後の用途:国の庁舎 〈 日本郵政ビル 〉08 国有財産の信託及び交換事例 ~再開発で取得した権利の処分~
② 国有地の管理処分の手続き等1.管理処分手続きの明確化 ・ 一般競争入札及び公共随契による貸付け・売払いについては、契約金額等の公表への同意を契約締結の 要件とするとともに、公表項目に「新規貸付料」、「価格形成上の減価要因」等を追加。 ・ 公共随契において国有地の処分等価格を決定するにあたっては、すべての取引において見積り合せを実 施。 ・ 将来の売払いまでの間の貸付けを認める、売払い前提の貸付け制度は廃止。 2.価格の客観性の確保 ・ 契約締結前に地下埋設物等が判明した場合、撤去費用の見積もりは国以外の専門家に依頼して算定し、 価格に反映。また、地下埋設物等による価格の減価が大きい場合には、不動産鑑定士、弁護士などの有識 者による第三者チェックを実施。 ・ 契約締結後に地下埋設物等が判明した場合、瑕疵担保責任により対応することになるが、相手方の賠償 請求額が多額になる場合には第三者チェックを実施。また、瑕疵担保の範囲は売払代金の額を上限とする ことを契約書に明示。 3.文書管理 ・ 改正された「行政文書の管理に関するガイドライン」に基づき、意思決定過程等の重要な打ち合わせ記 録の作成・保存の徹底を図るとともに、決裁文書に編綴する資料や、契約に関して記載すべき内容を明確 化。