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(2) 家屋の評価減 また 建物を購入すること自体が現金を持っているよりも相続税額としては有利に働きます というのも アパート マンション ( 貸家 ) の評価は以下の算式から導き出されるためです 貸家 = 固定資産税評価額 (1- 借家権割合 賃貸割合 ) 建築費総額に比べて固定資産税評価額は低く

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Academic year: 2021

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アパート建築で相続税の節税

(1)土地の評価減

相続税の算出に利用する相続税評 価額は、土地の個別の事情に応じて 評価額を減少させることができます。 アパートやマンションが建築されて いる場合にも減額の対象となり、そ の土地は「貸家建付地」とみなされ、 一定の評価減がなされます。 宅地の評価額は下記の算式のよう になります。 例えば、自用地としての価額が2億円、「借家権割合」が 30%、仮に、「賃貸 割合」が 100%、(アパート 10 室の内、10 室とも入居者がいる状態)、「借地権 割合」が 70%とすれば、「貸家建付地」としての価額は 1億 5,800 万円(=2億円×(1-0.7×0.3×1))にまで下がります。 「貸家建付地」 =宅地の自用地としての価額 ×(1-「借地権割合」 ×「借家権割合」 ×「賃貸割合」) 「借地権割合」は、評価し ようとする宅地に存する地 域により異なりますので、下 図にあるような路線価図や 評価倍率表により確認して 下さい。路線価図や評価倍率 表は、国税庁 HP で自由に閲 覧できます。 甲の権利 0.7 乙 居 住 0.3×0.7 =0.21 甲所有 借家権割合 30% 借 地 権 割 合 甲 所 有 甲の権利 0.79

0.3

70%

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(2)家屋の評価減

また、建物を購入すること自体が現金を持っているよりも相続税額としては 有利に働きます。というのも、アパート、マンション(貸家)の評価は以下の 算式から導き出されるためです。 建築費総額に比べて固定資産税評価額は低く(概ね 60%程度)、その上「借家 権割合」を差し引くこともできるため、金銭資産のままよりも相続税課税財産 はかなり低く評価されます。 例えば、1億円の金銭資産を所有していれば、この額にそのまま課税されて しまいますが、建築費総額1億円のアパートや時価1億円のマンションを所有 している場合は(再び「賃貸割合」は 100%とする)1億円×0.6×(1-0.3×1) =4,200 万円として評価され課税されることになるのです。

(3)借入金は財産から控除

アパート、マンションの建築や購入の際には多額の借入をするのが一般的で すが、借入金の額は債務として相続財産から控除されるので、1億円の借入を すれば、その金額は課税価格からは差し引かれることになります。 ただし、このように償還期間の長い大きな借入は家計に多分なリスクを負わ せることになるのは事実です。また、自己資金を利用しても、ローンを組んだ としても、相続税の節税額としては変わりません。 相続税対策だけでなく、「入居者は本当に期待できるのか」、「将来にわたって 借入金を返済していけるのか」、という点にもしっかり気を払って借入の判断を 行うようにしましょう。 貸家=固定資産税評価額 ×(1-「借家権割合」×「賃貸割合」)

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地主の「法人なり」の注意点

(1)失敗している不動産管理法人

横浜の地主である川戸茂(75)は、来るべき相続に備えて対策を打たなければ ならないと考えていました。ある税理士に相談したところ、「金融機関から借り 入れをして賃貸物件を建築し、それを法人に持たせれば大きな節税になりま す。」と提案されます。「周りの地主もよくやっている対策だ。プロが言うこと だし間違いはないだろう。」と、言われるがまま新設法人の名義で 10 億円の物 件を建築しました。 ところが、あるセミナーで他の税理士にそのような対策を行っていると伝え たところ、「それは何の相続税対策にもなっていませんよ!」と、驚かれること に。これは一体どういうことなのでしょうか? 新設した法人の名義で高額賃貸物件を建設してしまうケースは少なくありま せん。その「節税」とは「誰」の「何」の税金を圧縮するつもりなのか?これ を見失うと、何の意味もなさない散財となってしまいます。

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①物件建築で節税になる仕組み 物件を建築することによる節税効果は複合的なものですが、要となるのは財 産の評価額の圧縮です。相続税を計算する際、建物は固定資産税評価額を基準 にして計算することになります。この評価額は、使われている材料の種類や程 度に応じて求めたものであるため、その他のサービスにかかっている費用は考 慮されていません。 そのため、固定資産税評価額は、実際に支払った購入価額の 50~60%程度の 評価になるといわれています。 また、これを賃貸すれば、借主の権利分だけ評価減されるため、最終的に購 入価額の約 30~40%程度にまで評価額が減少することになります。 つまり、10億円の物件を建てれば、およそ6~7億円も財産を圧縮できる と試算されるということです。 これを推定被相続人である茂自身の名義で行えば、立派な相続税対策といえ ました(将来的に、10億円の物件から、10億円以上の収益を見込めるとい う前提に立てば)。

1

0

5~

3~ 4 億 円

賃貸している場合は、 借家権割合(30%) 分の評価減

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②個人の名義で物件を建築した場合 茂が自身の財産を担保に金融機関からの10億円を借入れます。この時点で は、10億円の預貯金もまた財産に計上されているので、何の相続税対策でも ありません。(よく借入をするだけで相続税対策になると考えている方もいます が、これも誤りです。)仮に、茂の名義で物件を建築していれば、課税財産は以 下の図のように圧縮することができました。 茂の貸借対照表 金融機関 からの 借入金 (10億円) 建物の 相続税評価額 預貯金 その他の 財産 自己資産 物 件 建 築 後 評 価 額 圧 縮 課税財産の 圧縮 茂の貸借対照表 金融機関 からの 借入金 (10億円) 自己資産 その他の 財産 預貯金 =支出前の 借入金 (10億円) 預貯金

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③法人の名義で物件を建築した場合 これを新設した法人の名義で行ったとすればどうなるのでしょうか?出来た てほやほやの法人には一銭のお金も、担保になる不動産もないため、代表取締 役である茂の不動産を担保にして、金融機関から借り入れるということになり ます。 そのお金で物件を建築すれば、前述の効力が働き「法人の財産は」圧縮され ます。しかし、相続が発生しない法人の財産を小さくしても、これは何の相続 税対策でもありません。 法人の貸借対照表 茂の貸借対照表 預貯金 =支出前の 借入金 (10億円) 預貯金 預貯金 自己資産 その他の 財産 金融機関 からの 借入金 (10億円) 資本金 担保の提供 建物の 相続税評価額 預貯金 金融機関 からの 借入金 (10億円) 資本金 預貯金 法人の貸借対照表 自己資産 その他の 財産 茂の貸借対照表 課税財産は変わらず (土地の評価減など、その他 の要因は考慮していません。) 物件建築後 評価額圧縮

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(2)法人へ売却した場合の評価額圧縮の仕組み

横浜の地主である杉田勲(76)は、相続税対策のため、かねてより自身の土地 にいくつかの賃貸物件を建てて所有していました。一昨年建築した高層マンシ ョンから、築 20 年の木造アパートまで、所有不動産の種類は幅広いものになっ ています。 今回、新しく設立した法人に所有している物件の全てを売却しようと考えて います。これは節税になるのでしょうか? 不動産管理法人に物件を売却する際、気をつけなければならないのは、推定 被相続人の年齢です。今回のケースで、勲は 76 歳と比較的高齢となっています。 法人に物件を売却するということは、勲の財産を「不動産」から「現金」に 組み替えるということです。「現金」を「不動産」に組み替える一般的な相続税 対策とは逆のことを行います。 つまり、場合によっては相続財産の課税価格が引き上げられた状態で、節税 効果を享受する前に相続が発生してしまう可能性もあり得るということです。 法人に物件を持たせることで節税効果が期待できるのは、「利回り」が高い物 件です。多くの場合、新築の高層マンションではなく、返済の終わった古いア パートがこれにあたります。このような物件は、既に相続税対策の役目を終え ているため、所有していても課税財産の圧縮として機能していません。

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杉田氏の場合、築 20 年の木造アパートについては、法人への売却を検討する べきでしょう。もし、時価が相続税評価額を下回っていれば、相続税の節税効 果が見込めます。例えば、相続税評価額で 1,000 万円であるのに対し、時価で は 700 万円となっていたとします。これを法人に売却すれば杉田氏の貸借対照 表からは 1,000 万円の建物が無くなった代わりに、700 万円の現金が残ります。 その結果、課税財産は 300 万円小さくなります。 その後、アパートから入る家賃収入は完全に法人のものになるため、所得税 の節税効果は抜群です。本来、法人設立によるメインの節税効果はこの所得税 の節税にあります。 年間 100 万円の所得税の節税のために法人名義の物件を建て、1 億円の相続税 を損している、なんていう「木を見て森を見ず」の誤った相続税対策にならな いようご注意を。 その他の 財産 その他の 財産 法人の貸借対照表 勲の貸借対照表 建物の時価 借入金 時価相当の預貯金 自己資産 預貯金 資本金 預貯金 法人の貸借対照表 勲の貸借対照表 支出前の購入資金 借入金 建物の 相続税評価額 自己資産 預貯金 資本金 預貯金 物件を時価で売却 売 却 後 評 価 額 圧 縮 課税財産の 圧縮 返 済 完 了 = 借 入 金 な し

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(3)物件が法人所有の場合の土地の評価減

横浜の地主である山本進(79・仮名)は、所有している土地の上にアパートを 建てていますが、この度、ローンの返済も終わったため、自身の不動産管理法 人に物件を売却することにしました。売却については適正な時価でしっかり行 い、税務署からの指摘もありません。すっかり安心して、それ以上、何の手続 もせずにいました。 2年後、相続が発生しました。その際、申告を依頼された税理士は「これで は土地は減額できない」と困り顔です。これは一体どういうことなのでしょう か? 更地にアパートやマンションを建てると、土地の評価額が圧縮されるという ことは、周知されています。建築した物件にヒトを住まわせるということは、 自分ではコントロールできないヒトの権利が土地にも及ぶということです。そ のため、この権利分は 100%好き勝手に使える土地(自用地)の評価から差し引 かれ、全体の評価額は圧縮されることになります。 この例の場合、入居者の権利はそのままなので、一見すると権利関係は何も 変化していないように見えますが、税法上はそのように捉えません。 法人に物件を売却した時点で、それは法人という別人格の所有物になったも のと考えます。結果、進と入居者との契約関係は消滅します。 進の権利 0.7 0.3×0.6 =0.18 進所有 借家権割合 30% 借 地 権 割 合 6 0 % 進の権利 0.82 物件売却前の権利関係

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鋭い方は「それでも法人の権利があるわけだから、その分は差し引けるので はないか」と、お気づきかとは思いますが、今回のケースでは、地代の収受が ありませんでした。そのため、法人には何の権利も発生していません。そのた め、進の土地から評価減される割合はゼロとなります。 このケースにおいて受けることができる最大の控除割合は 20%です。ただし、 進と法人の間で賃貸借契約が結ばれ、固定資産税の2~3倍程度の地代の支払 いと、「土地の無償返還に関する届出書」の提出がある場合のみが対象となりま す。 今回のように必要な手続がないと、土地の評価減ができないどころか、進か ら法人に対して「利益の供与があった」とみなされ、受贈益に対して法人税が 課せられても文句が言えません。 同族法人を活用した節税の鍵となるのは、入念な証拠作りにあります。 法人所有 進所有 法人の権利 0.20 進の権利 0.80 物件売却後の権利関係 (賃貸借契約、地代の支払い、届出あり) 進所有 法人所有 進の権利 1.00 借 地 権 の 贈 与 か ? 物件売却後の権利関係 (賃貸借契約、地代の支払い、届出なし)

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土地評価の見直しで相続税を還付

申告期限(相続が発生した日の翌日から 10 ヶ月)を過ぎた相続税の申告書を、 他の専門家に依頼して今一度見直してみたら、相続税を納めすぎていることが 判明した、なんていうことは珍しくありません。主な理由は次の4点です。 ①土地の評価額をもっと安くできた ②債務があるのに財産から引かれていなかった ③単純な計算ミスがあった ④特例を適用していなかった 「法律は 1 つなのだから、税金なんか、誰が計算しても同じ」とでも考えら れているのかもしれませんが、とりわけ相続税に関しては大間違いと断言でき ます。土地の評価額の解答の数は、税務署の担当官の数といっても過言ではあ りません。

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(1)評価に差が生じやすい土地

相続税還付が認められる事由のほとんどが土地評価の見直しです。そして、 その見直しが税額に与えるインパクトもまた他の財産評価の比ではありません。 そのため、相続財産に土地が含まれている方は、還付の可能性が高いものと考 えていいでしょう。 土地の基本的な評価方法は、下記の 2 種類があります。 ①路線価方式(路線価×地積) ②倍率方式 (固定資産税評価額×倍率) この計算式に含まれる路線価も固定資産税評価額もあくまで標準的な金額で あり、特殊事情を考慮したものではありません。つまり土地の形状や周囲の環 境等の特殊事情を考慮することによって、土地評価を減額させることができる のです。 減額評価の可能性が大きい土地は次のようなものがあります。 ・近隣に比べて広めの土地 ・不整形地(形の良くない土地) ・高低差のある土地 ・市街地の山林 ・空中に高圧線が通っている土地 ・墓地に隣接している土地 ・線路や踏切に接している土地 ・セットバックを必要とする土地

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(2)土地評価の事例

①近隣に比べて広大な土地の評価 還付事例に必ずと言っていいほど登場するのが「広大地評価」という評価方 法です。この評価方法が適用できれば、相続税の課税価格は多くの場合半分以 下になり、税額もかなり引き下げられます。しかし、その適用要件が複雑であ るため、「絶対に否認されない」という確信を持てず、簡単には手を出せません。 <広大地とは> ○ その地域における標準的な宅地の地積に比べ著しく地積が広大な宅地 ○ 開発行為を行うとした場合に、道路や公園等の「公共公益的施設用地」の 負担が必要と認められる宅地をいいます。 簡単に言うと、周りより広い土地で、開発しようとした場合は道路や公園を造 る必要のある土地のことです。 広大地は、原則として次に掲げる算式によって評価されます。 広大地の価額 = 正面路線価(※1) × 広大地補正率(※2) × 地積 (※1) 通常の宅地の正面路線価は、路線価に奥行価格補正率を乗じた後の価 額で判定しますが、広大地の正面路線価は、面している路線のうち原則 としてもっとも高い路線価で判定します。 (※2) 広大地補正率は次の算式により求めた率をいいます。 広大地補正率 = 0.6 - 0.05 X 地積 1,000 ㎡ 注)広大地補正率は 0.35 を下限とします。

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<広大地評価をする際の注意点> 土地の評価額を大幅に下げることが可能な広大地評価ですが、次のような問 題点もあります。 ○ 相続財産を物納に充てようとした場合、広大地評価した後の低い金額で物納 してしまう可能性があります。 ○ 広大地の判定は原則こそありますが、一括りにできるほど単純なものではな いため、万が一申告書提出後の税務調査などでその土地が広大地に該当しな いこととなった場合、延滞税・過少申告加算税を払うことになる可能性があ ります。 <広大地の判定フローチャート> NO NO NO NO YES YES YES YES 評価対象地 大規模工場用地に該当するか 中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているか その地域における標準的な宅地の地積に比べ著し く地積が広大か 開発行為を行うとした場合、道路、公園等の公共 公益的施設用地の負担が必要と認められるか 評基通24-4 の「広大地」に非該当 評基通24-4 の「広大地」に該当

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<公共公益的施設用地の負担とは> 同じ地積の土地でも、開発方法をどのように想定するかによってこの判断が 異なってきます。<図2>にあるように旗竿(路地)状開発が可能とされれば、 「公共公益的施設用地の負担」は必要ないものと考えられるので、広大地とし て評価減できません。 <図1> 開発道路を設けて区画割した場合 <図2> 旗竿(路地)状に区画割した場合 開 発 道 路 = 「 潰 れ 地」 これらのような目安はありますが、税務当局においても適用の判断基準は明 確にされていない、というのが実務上での認識です。 <事例> 広大地評価が認められた6カ所の内、3カ所のポイントは「高低差」にありま した。現地調査をしてみると、土地と道路の間には 3mの擁壁がそびえ立ってい ることが発覚。実質的に通路として使える間口は一部分だけという事情を考慮 し、開発道路を設けた広大地評価の適用を求めました。 残りの3カ所は、いずれも現況としては3 階建てのアパートが建てられている土地で す。しかし、この利用法が「最有効使用」か、 というと疑問が残るところです。 市場動向を見ても、この地域は長期的には 宅地開発が進んでいく傾向にあり、最も経済 的な開発方法は「戸建分譲」ではないかとい う結論に至ります。 これらの調査結果に基づいた意見書を添 付して申告し直した結果、全ての土地につい て広大地評価が認められることとなりまし た。 宅地② 宅地③ 宅地④ 宅地① 開 発 道 路 擁 壁( 高 さ 1~ 3 m) 実際に使える 間口はここだけ

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②市街地にある山林の評価 相続税額を算出するにあたって、市街化区域内にある山林の評価方法は、原 則として、近隣の宅地の価額を基に評価額を算出する「宅地比準方式」によっ て行われます。しかし、中には高低差などの関係で宅地化が困難であるものや、 急傾斜地で宅地化が見込めず、開発行為そのものが物理的に不可能なものも存 在します。このような、「宅地への転用が見込めない」山林の価額は、近隣の純 山林の価額に比準して評価することが認められています。 <宅地への転用が見込めない市街地山林の判断> 宅地への転用が見込めない市街地山林であるか否かの判断基準は、次のとお りです。 ★経済合理性からの判断基準 市街地山林の評価について、その山林を宅地に造成するに当たって、多額の 造成費がかかるため、宅地としての価額より宅地造成費に相当する金額の方が 大きくなるようなときは、経済的合理性の観点から宅地化せず、現況のまま放 置されることになります。 このような場合、土地の所有権を持っていれば、通常、その土地本来の現況 地目(市街地山林であれば山林)としての利用が最低限可能であることから、 その土地の価額は、その対象地本来の現況地目である山林の価額が下限と考え られるため、純山林としての価額により評価することになります。 【市街地山林の評価方法のイメージ】 100 0 100 (注)宅地価額は100とする 市街地山林価額 評価額ライン 造成費相当額 純山林の価額 (マイナス)

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★土地の形状からの判断基準 市街地山林を宅地比準方式により評価する方法は、評価対象地の価格が宅地 価額を基に形成されることを前提としています。したがって、宅地造成が不可 能な(宅地化が見込めない)形状の市街地山林については、上記①の経済合理 性について検討するまでもなく、宅地比準方式を適用する前提を欠いていると 考えられます。 傾斜度が30度以上である土地というのが一つの目安です。とはいえ、同じ 傾斜度の土地でも、地質などによって造成の可否の結論が違ってくるので、地 域の実情に則して判断しなければなりません。 <純山林比準の評価額> 純山林の価額は、二束三文といっていいほど低い価額です。広大地評価であ っても、減額割合は半分程度ですが、純山林評価はケタが違います。1㎡あた り 20 万円以上で評価していたものが、1㎡あたり数百円にまでなってしまう世 界です。 比準元となる具体的な純山林は、評価対象地からみて距離的に最も近い場所 に所在する純山林となります。

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<事例> この事例では、「広大地評価」を適用した節税額は約 1,500 万円程度なのです が、この「純山林比準」を適用した途端に、約 1 億 2,600 万円も税金が安くな ると試算されました。 この評価方法を適用するための前提条件は、「宅地への転用が見込めない」と いうこと。その判断については、次の2つの視点が必要です。 ★経済的合理性から判断する場合 宅地としての価額よりも、造成費や販売にかかる費用がかさむか否か。 ★形状から判断する場合 傾斜度が30度以上というのが一つの目安と言われています。 先生方に意見を求めました。 まず、税理士の先生方は、比較的②の視点を重視して、「厳しいのではないか」、 という慎重なご意見。というのも、この土地の傾斜は16度・・・。目安の3 0度にはほど遠い緩やかな勾配です。 一方、不動産鑑定士の先生方は「行うべき」という強気のご意見。①の視点 を重視すると、実際に宅地として売却するには、過大な費用がかかるのではな いか、という見解です。というのも、この山林の裏側は大学になっていて、土 砂崩れなどが起こらないように宅地造成を行うには、結構な土盛りが必要とな ると考えられる、とのこと。 どちらが正解かと言えば・・・一概には言えません。 土地の評価は数学ではなく国語の世界です。「説得力」が億単位の税額を左右 することになります。

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③土地の評価単位の取り方次第で税額が変わる 評価単位の取り方次第で、税額はガラリと変わります。対照的な還付事例を 2つご紹介しましょう。 1つ目は、広い一団の土地に貸宅地が何個もある土地です。期限内申告では 1単位の「貸宅地」として、一体で評価していました。 本来であれば、借地人は別々の人なので、契約ごと(借地人ごと)に評価し なければなりません。そ こを修正して、別々に評 価した結果、不整形補正 がかなり出て、大幅な評 価減となりました。これ によって、約 2,200 万円 の還付を受けています。 2つ目は、逆に一体 で評価することで評 価減できたケースで す。自宅の隣に古い貸 家が建っていたため、 最初の申告では別評価をしていました。 しかし、実際にはこの古い貸家は、空き家となっていたため、自宅と合わせ て一体の「自用地」で評価するべきです。さらに、合わせた敷地に「広大地評 価」を適用したことで評価額がかなり引き下げられることになりました。この 案件では、その他に市街地山林の見直しなどを行って約 7,500 万円の還付とな っています。 不 整 形 地 不 整 形 地 一 体 評 価 自 宅 空 き 家 一体で 広大地評価

参照

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