辻 裕太
被災地における「みんなの家」の建設プロセスと運営実態に関する研究
26-1 1.研究背景と目的 2011 年 3 月 11 日に起きた東日本大震災により、 東北地方は多大な被害を受けた。日本国内はもちろん のこと世界中からの支援や、被災者の絶え間ない努力 により、現在復興に向けて前進している。その復興活 動の一つに「みんなの家」がある。「みんなの家」は 復興を目的とした仮設建築物の一つのモデルとして建 築業界で多くの注目を集めている。 本研究では①「み んなの家」の建設のプロセスを明らかにし、さらにプ ロセスの各段階における人々の関わり方を明らかにす る②次に「みんなの家」の管理者と利用者へのヒアリ ング調査をおこない、「みんなの家」の管理運営状況 と使われ方、利用者の性質を明らかにし、復興を目的 とした仮設建築物である「みんなの家」の示唆を得る ことを目的とする。 2. 研究の概要 2-1. 用語の定義と建設の社会的背景 「みんなの家」:建築家の伊東豊雄と帰心の会[1]を中 心に建てられた小さな小屋[2]。 阪神淡路大震災の当時から、被災地の応急仮設住宅 [3]の居住環境の劣悪さを問題視していた伊東は、はじ め仮設住宅の居住環境の改善を試みたが制度上[4]そ れが難しいことが分かり、せめて被災地に人々が集ま り木の温もりを感じることができる場所が必要だと提 言し、その考え方に賛同した建築家 5 人で帰心の会 を結成し、「みんなの家」が提案された。 2-2. 研究の対象 本研究では 2011 年 10 月から 2013 年 10 月まで の期間に宮城県及び岩手県に竣工された伊東豊雄もし くは帰心の会のメンバーが設計に関与した 9 つの「み んなの家」を研究対象とし、それぞれ建設された時期 の順に A 〜 I の記号で表す。「みんなの家」の建設地 を図 2 に示す。 2-3. 研究の方法 文献調査とヒアリング調査、アンケート調査をおこ ない、それらを統合して分析をおこなう。ヒアリング、 アンケート調査は、行政と管理者、利用者を対象に、 2013 年 12 月中旬に 9 日間実施した。調査対象を表 1 に示す。 3.「みんなの家」の建設のプロセス それぞれの調査から得られた情報を統合して「み んなの家」のプロセスを明らかにした。[5]「みんなの 家」の建設のプロセスは大きく分けて 5 つの段階に 分類でき、それぞれの段階で建築家と企業、法人、行 政、地域住民がどのように関与したのかを図 3 に示す。 図 3 からプロセスが進むにつれて多くの人と関わり を持ちながら「みんなの家」が完成しているのが分か る。( Ⅰ ) では事例 C 以降から建築家への建設の依頼 がみられることから、時間の経過と共に「みんなの家」 が被災地に浸透していることが推測できる。( Ⅱ )( Ⅲ ) では行政が関与している事例が多くみられ、「みんな の家」を仮設住宅地内に建設する場合には必ず行政が 関与していることが分かる。( Ⅳ ) では全事例で設計 ワークショップが実施されており、この段階で将来の 利用者と必ず関係をもち、利用者の意見を取り入れつ つ設計をおこなっているのが明らかになった。 これらのことから、「みんなの家」の建設のプロセ スは通常の建築物のプロセスと大枠は同じだが、①設 計段階から利用者を巻き込むこと②必要な資金や施工 はすべて寄付やボランティアで賄われていること③プ ロセスに関わった企業や法人、住民が最終的に管理を おこなうこと④プロセスが進むにつれて建築家を中心 とした人々の関わりのネットワークが広がっていき 「みんなの家」が完成すること、の 4 点が「みんなの家」 図 2:「みんなの家」の建設地 図 1:「みんなの家」の参考事例 表 1:調査対象 .! ./ ". 67AEB PHSTL. ?+@0=1&=2 3%= = ?(#)@- D* V,4KW=8:9!5;76<=8:9!2 3%DF GCD=ITQJNR'=D> HTMUO. 67D$) 釜石市 陸前高田市 気仙沼市 事例I 事例D 事例G 事例A 事例F 岩沼市 事例E 事例C 事例H 事例B 東松島市 宮城野区 釜石市 陸前高田市 気仙沼市 事例I 事例D 事例G 事例A 事例F 岩沼市 事例E 事例C 事例H 事例B 東松島市 宮城野区26-2 の建設プロセスの特徴だといえる。 4.「みんなの家」の現況 4-1. 管理運営形態 文献調査から得られた「みんなの家」の特徴と、9 つの物件の管理者におこなったヒアリング調査(①営 業日と営業実態、② 1 日あたりの利用者数、③運営 資金の捻出)の結果を表 2 にまとめる。 表 2 の ( ⅱ ) 〜 ( ⅳ ) において、立地条件が同じ事 例 A.B.D.F では、管理者の性質と運営資金の捻出方法 は同じであることが分かる。また、まちの中に建つ事 例 C.E.G では、運営費の捻出が難しく困っているとい う意見がみられた。 次に ( ⅴ ) 〜 ( ⅶ ) と ( ⅷ ) の関係性に着目すると、 事例 A.B.C.E.F.G は営業日が安定しており利用者数や イベントの頻度も他の事例に比べて多く、これらの事 例には常駐できる管理者がいることが分かる。逆に D.H.I の事例では営業日が安定しておらず、常駐でき る管理者がいないことが分かる。管理者が常駐してい る要員としては、事例 A.F はもともとあった集会所と 「みんなの家」が連結しているため、集会所を管理し ている管理者が同時に管理を常駐しておこなっている こと、事例 C.E.G のように事務所としても「みんなの 家」を利用しながら管理をおこなっていることなどが あげられる。 これらの現状を整理すると、営業日や 1 日あたり の利用者数、イベントの開催頻度の側面から、「みん なの家」には「よく利用されているもの」と「あまり 利用されていないもの」の二つに分類でき、その分類 に立地条件はあまり関係しておらず、常駐できる管理 者の有無などの管理体制が大きく関係していると考え られる。 4-2.「みんなの家」の空間構成と使われ方 現地での実測調査から空間構成と使われ方を明らか にした。(図 4)また事例 E に関しては一階部分のみ を調査の対象として分析をおこなった。[6] (1) 空間構成について 図 4 から「みんなの家」には間仕切りなどの壁が ほとんど見られずワンルームであり、テラスやデッキ を持つものが多くみられる。また、すべての事例で土 間が設置されていることと開口が大きくとられている ことが分かる。 また、家具に着目すると、設置してある家具の多く がワークショップでつくられたものだと分かる。これ らの家具は施工段階で地域住民や学生などによってつ くられており、例えば事例 A ではテーブルと棚、座 布団がそれにあたる。 (2) 家具と物から見た使われ方 「みんなの家」に置いてある物に着目して、「みんな の家」の使われ方を明らかにした。(図 4) 「みんなの家」に置いてある物に着目すると、利用 者が持ちよったものと寄贈品が、「みんなの家」に多 くみられることが分かる。例えば本棚には、利用者が 持ちよった本と寄贈された本が陳列してあり、テーブ ルや棚の上には利用者が持ちよったお菓子やお酒が多 図 3:「みんなの家」の建設のプロセス プロセス 事例 (Ⅰ) 立案 (Ⅱ) 企画説明 (Ⅲ) 敷地選定 (Ⅳ) 設計ワークショップ (Ⅴ) 施工 (Ⅵ) 竣工・管理運営体制 備考 2011 年 10 月 2012 年 5 月 2012 年 6 月 2012 年 10 月 2012 年 11 月 2013 年 1 月 2013 年 7 月 2013 年 10 月 2013 年 10 月 仙台市宮城野区役所 岩手県釜石市役所 NPO 法人 @RIAS NPO 法人 @RIAS NPO 法人陸前高田「みんなの家」 NPO 法人陸前高田「みんなの家」 宮城県東松島市 仮設住宅内自治会 仮設住宅内自治会 仮設住宅内自治会 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 竣工日 受入先 管理 参加 設計に取り入れる住 住 住 住 住 住 仮設住宅内自治会 インフォコム株式会社 インフォコム株式会社 住 住 住 企 企 伊東豊雄をはじめとする建築家 資金提供や資材提供をおこなった企業 施工会社 帰心の会 建 協 業 帰 県市町村の職員 行 法 NPO 法人 企 企業 企 企 依頼 協同 A B C 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 建 行 1 行 行 行 行 行 宮城県東松島市 岩手県釜石市 地元住民 地元住民 未定 ー 行 行 帰 学 学 住 住 学 学 個 業 協 1 行 2 協 2 依頼 説明 依頼 敷地を選定 告知や場所の確保 資材提供 家具づくり 施工ボランティア 施工ボランティア 施工ボランティア 地元の漁師 家具づくり WS 敷地 : 仮設住宅地内 敷地 : 仮設住宅地内 敷地 : 中心市街地 依頼 資金提供 募金 足りない費用は建築家が募金などで集めた 立案段階で 3 者のビジョンが定まっていた 個人に紹介しもらった企業と協同で立案 の事務所が以前建っていた場所に建設 協力 行 3 依頼 資金提供 資金提供 説明 賛同 参加 参加 共同 設計に取り入れる 設計に取り 入れる 設計に取り 入れる 住 住 住 告知や場所の確保 参加 設計に取り入れる 住 参加 設計に取り入れる住 行 行 敷地 : 仮設住宅地内 敷地 : 仮設住宅地内 敷地 : 丘の上 参加 設計に取り入れる 住 告知や場所の確保 告知や場所の確保 行 告知や場所の確保 参加 設計に取り入れる住 告知や場所の確保 告知や場所の確保 建 1.2.3.4 参加 設計に取り入れる住 学 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 丸太むき、塗装 ボランティア 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 行 3 D F G H I E 法 法 法 法 法 法 法 法 行 依頼 依頼 協力 協力 参加 共同 住 企 行 行 行 行 敷地 : 漁港の市場付近 告知や場所の確保 行 敷地 : 漁港岸壁 告知や場所の確保 行 帰 募金 寄付を集めて資 金とする 依頼 資金提供 資金提供 趣旨説明 資金提供 協同 協同 協同 協力依頼 説明 説明 紹介 賛同 協同 賛同 説明 賛同 行 説明 賛同 帰 募金 帰 募金 依頼 資金提供 行 説明 賛同 帰 協 資金提供 寄付 協 募金 依頼 住 依頼 協力 個 1 個 2 依頼 紹介 紹介 協力 建 1 建 1 建 1.2 建 2 建 2.3.4 建 2.3 協同 協同 建 2 企 住 住 学 業 協 2 資材提供 依頼 依頼 協力 企 個 敷地 : 住宅地 協力依頼 協同 住 依頼 協力 帰 住 協同 仮設住宅内の住民、地域住民 「みんなの家」の受入先 「みんなの家」の管理者 プロジェクトに関わった学生 地域住民の中で特に強くプロセスに関わった人 住 個 学 設計に取り 入れる 設計に取り 入れる
26-3 くみられた。また、飾ってある写真からは、建設プロ セスで関わった人達との完成後の交流の様子もみてと れた。また、このような傾向は事例 A.B.C.E.F.G で多 くみられた。 以上のことから、①ワンルーム、土間の設置、付属 外部、WS で作られた家具が「みんなの家」の空間構 成の特徴であるということ。②建設プロセスでみられ たプロセスを共有する姿勢が、置いてある本などを共 有することやお菓子などを持ちよるという形で、使わ れ方からも読み取ることができ、『共有性』が「みん なの家」の成り立ちの重要な要素の一つであると考え られることの 2 点が分析できる。 4-3.「みんなの家」の利用者の分析 9 つの物件の管理者と利用者に 1. 利用者の性質、 図 4:「みんなの家」の使われ方 表 2:「みんなの家」の実態調査 ~j[r ~_,O ~`Zc ~u(nv ~(PG ~"[cDÓG ² ~¸ÇÎéx{; ~`Z4> «¬QG ]; t)ʽ¹BJ)|®§¦ eS© ¤ÌÏÂϼÉΤ9} «¬QG ]; /°ºË¾È¾§¦1aQ¨4E eS© ¤ÌÏÂϼÉΤ9} 3MÐt)Ñ «¥·¦§¢£§9}¤³R± w¶µ§±`Z «¬QG ]; t)ÈÈ&©g§ ¦3M\¨4E eS© ¤ÌÏ ÂϼÉΤ9} =8i,q¨Ä¾³ XIG +IG ]; t)ÅÀ»ÎC5@f C5§¦ ¡kU³ © XIG GIG ]; t)h#²ÍϺ¼ÉÁ ƶ4E 2,¥p,¨*´ -? ÆÌ¿¾¨yµ¢ P 6°%v¤u( o!ªPmA :Y ]; t)L8¶4E1aQ ¨4E WV©q N3 Ï «¥·¦^£§ ]; J¨)];|®4 E Ï WV7. ÆÌ¿¾¨yµ¢ , R H 3MÐtGÑ ]; «¥·¦§¢£§ ,Rw¶?K£ ³9}ª£§ eS ¤nv¶z¯£ u( 6°%v¤u( o!ªTmA $?¥£§± d'9}£`Z z?ÒP-ÆÌ¿¾¨yµ¢ T l2 eS l2, Ð¥ ªF0©z?¨sb £<l´£³Ñ z? z?Ò$?
C
住民がワークショップでつくった テーブル 近くのバス停を利用する人がバスを 待つ間利用する様子がみられた テラス部分は駐輪場としても活用 されていた まちの人が持ちよった本が陳列して ある本棚 まちのイベントなどの広 告がみられた ホワイトボード 土間 WC テーブル テーブル キッチンA
土間 本棚 ストーブ テーブル キッチン WC 既存集会所 畳 デッキ デッキ 既存の集会所に連続して建設 お菓子などが置いてあるテーブル 学生によって作られたテーブル 住民が持ちよった本が並べてある 階数:平屋建て 平面構成:土間、座敷、便所、キッチン、デッキ 階数:平屋建て 平面構成:土間、便所、キッチン、テラス 階数:平屋建て 平面構成:土間、座敷、便所、キッチン、テラス、倉庫 階数:二階建て 平面構成:土間、便所、キッチン、テラス 階数:平屋建て 平面構成:土間、キッチン、 階数:平屋建て 平面構成:土間、便所、談話室、作業場 ※■で塗りつぶされた家具はワークショップなどを通して住民や学生が作成したもの 階数:平屋建て 平面構成:土間、便所、キッチン、テラス、演劇場 階数:平屋建て 平面構成:土間、座敷、便所、キッチン 階数:平屋建て 平面構成:土間、便所、キッチン、テラス 飲み会などが開催される 寄贈品や写真 気軽に腰掛けることがで きるデッキB
テーブル キッチン WC 板張 イベントなどの告知がお こなわれる掲示板 大きな開口 本や写真が 多くみられ た 多くの写真が飾られて いた 寄付のお菓子やぬいぐるみなどがつめられたボックス 冷蔵庫には住民が持ちよった食材が多くみられた 建設時の写真などが飾られたコ ルクボード お菓子や生け花が置かれていた 土間 WC ほりごたつ ストーブ テーブル 収納 畳 土日限定で朝市がおこなわれており、地元の野菜が並ぶ WS によって作られたテーブル 花壇とベンチ、まちの 人が気軽に訪れる 大きな開口 住民が持ちよったお 菓子 キッチン 収納G
D
数冊の雑誌 大きなテラス 生活用品などがあまりみられなかった WS でつくられたテーブル 学生によってつくられたテーブル ストーブ テーブル キッチン WC 土間 離れ ストーブ テーブル 便所 休憩室 とれた魚を調理するための調理台 棚の上に積んであった雑誌 ボランティアによってつくられ たテーブル 大きな開口 まちの情報が壁に直接貼ってあったH
設置されたひのきの棚 頻繁に使われ ている様子は 見れなかった 屋根付きの半屋外空間の作業場 土間F
I
既存の集会所に連続して建設 周りにできた花壇 こどもの図工の 作品が展示 まちの情報が集まるコ ルクボード テラスのように利用さ れていたデッキ クリスマスツリーが飾られていた WC ストーブ テーブル 既存集会所 デッキ キッチンE
土間 ストーブ テーブル キッチン 薪を住民でつくって保 存してあった 小さな作業場 住民が持ちよった本が陳列し てあった。 内外に連続するデッキ まちのイベント情報の広告が置かれた棚 住民が持ちよったお菓子が置いてあった WC 卓袱台 こたつ テラス テラス テラス テラス テラス 棚 棚 棚 棚 棚26-4 2.「みんなの家」を介して交流の機会は増えたか、3. 設 計 WS に参加したかについてヒアリング調査およびア ンケート調査を実施した。[7] (1). 利用者の性質について 管理者の回答として最も多かったのは、利用者が固 定化してきているということである。その回答が特に 顕著にみられたのが仮設住宅地内に建つ事例 A.B.D.F と漁港付近に建設された事例 H.I である。前者の利用 者はほとんど仮設住宅地内の居住者の一部のグループ であり、敷地内でさらに小さな利用者のコミュニティ が形成されているという回答が多くみられた。後者は、 漁港付近に建設されているので地元の漁師などの活用 しかほとんどみられないということが分かった。その なかでも事例 D.H.I では利用者のコミュニティが他の 事例と比べて極めて小さいことも分かり、管理体制の 不備や、事例 H.I に関しては建設されて間もないこと などが影響していると推測できる。 また、まちの中に建つ事例 C.E.G でも同様の傾向が 確認できたが、利用者が多様であるという回答もあっ た。例えば C の事例では毎週おこなわれるパソコン 教室の利用者同士の交流が固定化されたもので、バス を待つ際に立ち寄った人同士の交流が多様な交流にあ たる。利用者の回答としては、顔なじみの住民同士で 利用するので気軽に「みんなの家」を活用できるとい う回答や、使う人でグループ化してしまっており他の 利用者が利用しづらいという回答がみられた。 これらの現状から、「みんなの家」での交流には① 内向的交流と②開放的な交流の 2 種類があり、それ らには立地条件や管理体制が大きく関係しているこ と、またほとんどの事例で①の側面が強く利用者に偏 りがあることが分析できる。 (2). 交流の機会の増加と設計 WS の関係性について 2.3 の回答結果(図 7)から、住民同士の交流が増え たと回答した人のほとんどが設計 WS に参加している ことが分かる。「みんなの家」を利用するかどうかは、 設計 WS に参加したかどうかが重要な要因 になって いると考えられる。 5. まとめ 本研究では「みんなの家」の成り立ちと実態につい て以下のことが明らかになった。 ①「みんなの家」の建設プロセスは、各段階で設計 WS の実施などの特徴があり、多くの人との関わりの ネットワークが広がりながら「みんなの家」が完成し ている②「みんなの家」にはよく活用されているもの とそうでないものがあり、それらには使われ方にも違 いがみられ、常駐できるスタッフの有無などの管理体 制の整い方が大きく影響していると考えられる。③「み んなの家」の建設プロセスと使われ方から共有する姿 勢がみられ、『共有性』が「みんなの家」の成り立ち の重要な要素の一つであると考えられる④「みんなの 家」の利用者には内向的なコミュニティを持つ事例が 多く、利用者に偏りがみられた⑤「みんなの家」を利 用するか否かは、設計 WS への参加したかどうかと大 きく関係していると考えられる。 6. 終わりに 本研究で「みんなの家」の成り立ちと実態を明らか にしたが、これらが今後の復興を目的とした仮設建築 物の参考資料になると考えている。 また、「みんなの家」が、これから撤去されるのか 移設されるのかなどの今後の「みんなの家」の変遷を 継続的に追うことが、被災地においての「みんなの家」 の位置づけや、被災地のハード面やソフト面の復興の 程度をみるうえで重要なことになると考えている。 【脚注】 [1] 帰心の会:伊東豊雄の呼びかけにより結成された震災からの復興を目的とした団 体。メンバーは伊東豊雄、妹島和世、内藤廣、山本理顕、隈研吾の五名 [2]「みんなの家」のコンセプト①家を失った人々が集まって語り合い、心の安らぎ を得ることのできる小屋である②住む人(利用者)と建てる人(建築家、施工者)が 一緒につくる小屋である③利用する人々が復興を語り合う拠点である [3] プレハブ建築協会と提携したハウスメーカーによって提供された仮設住宅 [4] 国とプレハブ建築協会によって定められた制度([3] と [4] の詳しい説明は「東日 本大震災で提案された仮設住宅及びその付帯施設に関する研究」を参照) [5] 文献調査及び、管理者と行政へのヒアリング調査をもとに分析をおこなった。 [6] 事例 E の二階部分は個室であり、宿泊場所として利用されている。 [7] 事例 H:管理者は不在であるが事例 C の管理者がたまに管理をおこなっており、 事例 C の管理者へのヒアリングと事例 H の利用者にアンケート調査をおこなった。 【参考文献】 新建築 2011 年 2 月号 新建築 2012 年 9 月号 11 月号 新建築 2013 年 3 月号11月号 CasaBRUTUS NO.167、2013 年 2 月号 伊東豊雄著「あの日からの建築」 図 6: 内部空間の例 図 7: アンケート結果
yes A no yes B no yes C no yes D no yes E no yes F no yes G no yes H no yes I no
住民同士の交流は 増加したか 設計ワークショップ に参加したか