吊架装置付き鉄塔-送電線連成系の応答特性に関する実測的研究 [ PDF
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(2) で 0.35Hz,法線方向で 0.35Hz の約 2 倍の 0.71Hz でピ. 図 6 のように,台風 0918 号が九州の東南側を通過. ークが見られる.これは吊架装置が“ふりこ”運動で. した 2009 年 10 月 7 日 20 時 50 分から 10 分間の,鉄塔. 1回振動する間に接線方向加速度は1サイクルするの. 頂部の主風向成分風速波形を図 7 に示す.同日 20 時. に対して,法線方向加速度が2サイクルするためであ. 55 分 32 秒に最大瞬間風速 16.2(m/s)を記録した.10. る.. 分間の風向は,367(deg.)前後で推移した.風向 367. また図 4 の B4 腹材は計測された加速度から T3 塔体. (deg.)は図 8 に示すように,北から電線路に正対す. の加速度を差し引いた,相対加速度を表しており,加. る方向に近い角度に相当し,電線にある程度風圧力が. 振開始後から加速度が増大していることが確認できる.. かかり電線張力変動が発生したと推測できる.. B4 腹材 AB,BC 面外方向加速度のパワースペクトル. 4.2 台風 0918 号接近時の計測結果. を見ると約 7Hz でピークを示している.さらに図 5 の. 図 9 に 20 時 50 分から 10 分間の各計測センサーに. B4 腹材 AB,BC 面外方向の周波数別の相関係数を表. よって計測された計測波形のパワースペクトルを分散. すココヒーレンスを見ると,約 7Hz で負の相関を示し. で除した値と,最大瞬間風速を記録した 20 時 55 分 32. ており,この周波数で釣り鐘振動していることが確認. 秒を含む 20 時 55 分 05~35 秒の 30 秒間の計測波形を. できる.. 示す.. 4. 強風下における振動特性分析. C3_2L 吊架装置の接線方向加速度波形図 9(a)を見る. 4.1 台風 0918 号接近時の計測状況. と,最大瞬間風速を記録した 20 時 55 分 32 秒に大きな. 吊架装置加振試験を実施した鉄塔において台風. 加速度が発生している.この波形のパワースペクトル. 0918 号接近に伴う強風観測を行った.. 図 9(b)では,0.40Hz でピークを示しており,吊架装置. 耐張碍子 電力線. 5.25m. 約 9m. 3.6m 加速度計. 30 60 90 120 150 180 210 240 270. power spectrum / variance (s). 加速度 (m/s2). 0. 102 101 100 10-1 10-2 10-3. 0.35 (Hz). 0. 30 60 90 120 150 180 210 240 270. T0918号. 0. 1. 2. 0.71 (Hz). 2. 10 101 100 10-1 10-2 10-3. 図 6 台風 0918 号の経路 (☆は観測鉄塔の位置). 接線方向. 3. 4. 20 5. frequency (Hz). power spectrum / variance (s). Acc_J3-V (m/s (m/s2)2) 加速度. 法線方向. 30. 2.5 (Hz). time (sec). 3 2 1 0 -1 -2 -3. 20. 図 5 B4 腹材 AB 面外方向と BC 面外方向加速度のココヒーレンス. 吊架装置加振方法 接線方向. 10. Frequency (Hz). 加振用ロープ. 3 2 1 0 -1 -2 -3. 6.9 (Hz) 0. 吊架装置. 図2. 観測鉄塔. 1.0 0.5 0.0 -0.5 -1.0. 法線方向. 風速 (m/s). 滑車. Co-coherence. 固定用 ロープ. 16.2 (m/s). 10 0 0. (20:50). 1.4 (Hz). 100. 0. 1. 2. 3. 4. -3. 0. 30 60 90 120 150 180 210 240 270. power spectrum / variance (s). 加速度 (m/s2). AB 面外方向. 100 10-1 10-2 10-3 10-4. 0 -3. 0. 30 60 90 120 150 180 210 240 270 Time (sec). 500. 600. (21:00). 主風向:約 367(deg.). 1L 0. 10. 20. 30. Frequency (Hz). power spectrum / variance (s). 加速度 (m/s2). BC 面外方向. (北) 360(deg.) 0(deg.). 7.0 (Hz) AB 面外方向. Time (sec). 3. 400. 図 7 10 分間の塔頂部 主風向成分風速波形. 5. frequency (Hz). 図 3 C3_2L 吊架装置の加速度波形とパワースペクトル (左図の波形と右図のパワースペクトルが対応). 0. 300. (20:55). Time (sec). time (sec). 3. 200. 100 10-1 10-2 10-3 10-4. 6.9 (Hz). (西). 270. (deg.). BC 面外方向. 観測鉄塔. D脚 A脚 C脚. 老番側. B脚. 90 (deg.) (東). 2L 0. 10. 20. 30. 180(deg.) 若番側 (南). Frequency (Hz). 図 4 B4 腹材の加速度波形とパワースペクトル (左図の波形と右図のパワースペクトルが対応) 15-2. 図8. 観測鉄塔と方角の関係.
(3) 加振試験時に示したピーク周波数 0.35Hz とは異なる. かる.このパワースペクトル図 9(f)では 0.43Hz のピー. 傾向を示した.0.40Hz は若番・老番側の電線と吊架装. クが見られ,0.43Hz の周波数で腕金に電線張力差が作. 4). 置が連動して振動するモードの固有周波数. 用すると考えられる.. である.. 図 9(g)の C3_2L 腕金先端の電線路方向の加速度波形. 文献 4)で報告している平均風速 6.5m/s の弱風時には, 様々な電線振動モードが現れるのに対し,台風接近時. を見ると,吊架装置や塔頂に比べて加速度があまり増. のような強風下においては,若番・老番側の電線と吊架. 大していない.このパワースペクトル図 9(h)を見ると,. 装置が連動して振動するモードが卓越し,大きな張力. 0.29,3.0Hz でピークが見られるが,電線張力差図 9(f). 変動が発生することが確認できる.. で見られた 0.43Hz のピークは見られなかった. T1 塔頂の電線路方向加速度波形図 9(i)を見ると,最. 吊架装置の電線路直角方向変位波形図 9(c)を見ると, 長周期の波が顕著であり,加速度波形同様に最大瞬間. 大瞬間風速を記録した時間から加速度が増大していた.. 風速を記録した時間に大きな変位を示していることが. このパワースペクトル図 9(j)を見ると,3.0Hz で最も大. 分かる.このパワースペクトル図 9(d)を見ると,加速. きなピークを示している. B4 腹材の AB 面外,BC 面外方向加速度波形図. 度とほぼ同じの 0.39Hz でピークを示している.. 10(a),(c)を見ると,最大瞬間風速を記録した時間から加. 番側の電線張力を差し引いた電線張力差波形を見ると,. 速度が一気に増大していることが確認でき,ある一定. 腕金先端に大きな電線張力差が作用していることが分. 以上の風速になると腹材の振動が増幅し,付加が一気. 100 50 0 -50 -100 20:55:05. 1010 0.40 (Hz) C3_2L 吊架装置-接線方向 10-1 2.2 (Hz) 3.1 (Hz) 10-2 10-3 10-4 10-5 10 20:55:35 0 1 2 3 4 5. C3_2L 吊架装置-接線方向. power spectrum / variance (s). 加速度(cm/s2). 図 9(e)の C3_2L 腕金先端の老番側の電線張力から若. Time (sec). Frequency (Hz). 変位 (mm). 0 -50 -100. C3_2L 吊架装置-電線路直角 -150 20:55:05. (b) 図(a)の波形のパワースペクトル 0.39 (Hz) 100 10-1 C3_2L 吊架装置-電線路直角 10-2 10-3 10-4 10 10-5 20:55:35 0 1 2 3 4 5 power spectrum / variance (s). (a) C3_2L 吊架装置-接線方向加速度波形. 1. Time (sec). C3_2L 電線張力差. 0. -4000 20:55:05. (d) 図(c)の波形のパワースペクトル. 1010 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10. power spectrum / variance (s). 電線張力差 (N). 4000. 20:55:35. 0.43 (Hz). 1. 2. 3. 4. 1010 10-1 10-2 10-3 10-4 10 10-5. 5. 強風時にも吊架装置加振試験時同様 に約 7Hz で釣り鐘振動していること が確認できる.. のことからも若番・老番側の電線と. 3.0 (Hz). 0.29 (Hz). 変動張力のクロススペクトルを示す. 0.40Hz で高い相関を示しており,こ. C3_2L 腕金先端-電線路方向. 吊架装置が連動して振動するモード が現れることが確認できる.また,. 0. 1. 2. 3. 4. 若番側の方が高いクロススペクトル. (h) 図(g)の波形のパワースペクトル 1010 T1 塔頂-電線路方向 10-1 3.0 (Hz) 10-2 4.0 (Hz) 1.4 (Hz) 10-3 10-4 10-5 10 20:55:35 0 1 2 3 4 5. を示しており,C3_2L 吊架装置の揺. Frequency (Hz). Time (sec). (i) T1 塔頂-電線路方向加速度波形. power spectrum / variance (s). 加速度(cm/s2). 約 7Hz で高い負の相関を示しており,. 加速度波形と若番側及び老番側電線 0. (g) C3_2L 腕金先端-電線路方向加速度波形 T1 塔頂-電線路方向. 度波形のココヒーレンスを見ると,. 5. Time (sec). 200 100 0 -100 -200 20:55:05. 方向加速度波形と BC 面外方向加速. 図 12 に C3_2L 吊架装置の接線方向. Frequency (Hz). 20:55:35. られた.図 11 の B4 腹材の AB 面外. 成分のクロススペクトルを求めた.. (f) 図(e)の波形のパワースペクトル power spectrum / variance (s). 加速度(cm/s2). 20 C3_2L 腕金先端-電線路方向 10 0 -10 -20 20:55:05. ると,7Hz と約 23Hz でピークが見. を調べるために,2 つの部材の振動. C3_2L 電線張力差 3.0 (Hz). Time (sec). (e) C3_2L 電線張力差波形. のパワースペクトル図 10(b),(d)を見. 以下では,部材間の振動の関連性. Frequency (Hz). (c) C3_2L 吊架装置-電線路直角方向変位波形. に増大すると推測できる.それぞれ. Frequency (Hz). (j) 図(i)の波形のパワースペクトル. 図 9 応答波形とパワースペクトル/分散 (左図の応答波形と右図のパワースペクトルが対応) 15-3. 動は,若番側の電線変動張力の影響 が大きいと考えられる.図 13 に C3_2L 腕金先端の電線路方向加速度 波形と若番側及び老番側電線変動張 力のクロススペクトルを示す. C3_2L 吊架装置の接線方向加速度波 形とのクロススペクトルに比べ小さ.
(4) い値ではあるが,若番側は 0.44Hz,老番側は 0.37,. の電線と吊架装置が連動して振動するモードが卓. 0.62Hz で高い相関を示している.老番側の方が高いク. 越し,大きな張力変動が発生する.. ロススペクトルを示しており,C3_2L 腕金先端の電線. ・ C3_2L 吊架装置の揺動は,若番側の電線変動張力. 路方向の振動は,老番側の電線変動張力の影響が大き. の影響が大きく,C3_2L 腕金先端の電線路方向の. いと考えられる.図 14 に C3_2L 腕金先端の電線路方. 振動は,老番側の電線変動張力の影響が大きい.. 向加速度波形と T1 塔頂の電線路方向加速度波形のク. ・ C3_2L 吊架装置加振試験時においても,台風接近. ロススペクトルを示す.3.0Hz で高い相関を示してい. 時のような強風下においても,個材の局所的な釣. るが,鉄塔全体の振動によるものだと考えられる.一. り鐘振動が発生する.. 方,図 12 の C3_2L 吊架装置の揺動と変動張力差のク. 参考文献. ロススペクトルや図 13 の C3_2L 腕金先端の振動と変. 1). Momomura, Y., et al.: Full-scale measurements of. 動張力差のクロススペクトルでは,0.40Hz,0.37Hz と. wind-induced vibration of a transmission line system. 低い周波数で明確な相関を示す.これに対し,図 14. in a mountainous area, Journal of Wind Engineering. の C3_2L 腕金先端の振動と塔体の振動のクロススペ. and Industrial Aerodynamics, 72, 241-252, 1997.11. 2). クトルは 3.0Hz と高い周波数で高い相関を示している. Maeda, H., et al.: Vibration Tests of a Transmission. ことから,電線張力差の長周期の揺動が吊架装置や腕. Tower Focusing on the Tensile Forces of its. 金先端に伝わり,塔体や腹材の高次の振動モードを誘. Transmission Line Cables, Proceedings of 16th. 発していると考えられる.. Conference on Electric Power Supply Industry,. 5. むすび. 1579-1588, 2006.11. 3). 吊架装置の振動試験を実施し,強風下における吊架. 前田潤滋,牧野稔:変動風速のスペクトル計算法. 振動を予測する上での基礎資料の取得を行った後に,. について-自己回帰法の利点と問題点-,日本建. 台風接近時における送電鉄塔の振動に及ぼす吊架装置. 築学会論文報告集 4). や電線張力の影響を実機鉄塔において検討したところ,. 第 300 号,pp.19-29,1981.2.. 本田誠,他:送電線吊架装置を含む鉄塔-送電線. 以下の所見が得られた.. 連成系振動特性に関する実機試験-その(2),日本. ・ 文献 4)で報告している平均風速 6.5m/s の弱風時に. 風 工 学 会 誌 Vol.34 No2(No.119) , pp.193-194 , 2009.4.. は,様々な電線振動モードが現れるのに対し,台 200 B4 腹材-AB 面外方向 100 0 -100 -200 20:55:05. 20:55:35. 1010 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10. B4 腹材-AB 面外方向. 1.0 0. 10. (a) B4 腹材-AB 面外方向加速度波形 B4 腹材-BC 面外方向 200 100 0 -100 -200 20:55:05. power spectrum / variance (s). 30. 20:55:35. Time (sec). BC 面外方向加速度のココヒーレンス. Frequency (Hz). (c) B4 腹材-BC 面外方向加速度波形. 0.0. (b) 図(a)の波形のパワースペクトル 1 100 B4 腹材-BC 面外方向 23 (Hz) 10-1 -1.0 10-2 0 7.0 (Hz) 10 20 30 7.0 (Hz) 10-3 10-4 Frequency (Hz) 10 10-5 0 10 20 30 図 11 B4 腹材 AB 面外方向加速度と (d) 図(c)の波形のパワースペクトル. 4000. 0.40 (Hz). 2000. 0.40 (Hz). 若番側張力 老番側張力. 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. Frequency (Hz). 図 12 C3_2L 吊架装置接線方向 加速度と若番側及び老番側 電線変動張力のクロススペクトル. Cross amplitude spectrum (cm/s 2 ・N・s). ). 図 10 B4 腹材の応答波形とパワースペクトル/分散 (左図の応答波形と右図のパワースペクトルが対応) 80. 0.37 (Hz) 0.62 (Hz). 40 0. 若番側張力 老番側張力. 0.44 (Hz) 0. 1. 2. 3. 4. 5. Frequency (Hz). 図 13 C3_2L 腕金先端電線路方向 加速度と若番側及び老番側 電線変動張力のクロススペクトル 15-4. Cross amplitude spectrum ((cm/s 2 ) 2 ・s). 加速度(cm/s2). 20. Frequency (Hz). Time (sec). Cross amplitude spectrum 2 p (cm/sp ・N・s)( /. 23 (Hz). 7.0 (Hz). Co-coherence. power spectrum / variance (s). 加速度(cm/s2). 風接近時のような強風下においては,若番・老番側. 1.0. 3.0 (Hz). 0.5 0.0 0. 1. 2. 3. 4. Frequency (Hz). 図 14 C3_2L 腕金先端と T1 塔頂部の電線路方向加速度 のクロススペクトル. 5.
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