2016 年度 卒業研究
移住促進における
WEB サイトの効果と役割
1362122 松澤 和輝 指導: 枝廣 淳子 教授
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目次
第 1 章 序論 ... 2 1.1 はじめに ... 2 1.2 静岡県の現状 ... 3 1.2.1 調査対象市町の現状 ... 4 第 2 章 本論 ... 5 2.1 調査について ... 5 2.1.1 調査対象 ... 5 2.1.2 調査方法 ... 5 2.2 調査結果 ... 6 2.2.1 WEB サイト調査... 6 2.1.2 WEB サイト調査の項目ごとの考察... 8 2.2 電話・メール調査 ... 10 2.2.1 電話メール調査の結果 ... 10 2.2.2 電話・メール調査の考察 ... 10 2.3 県内の調査対象自治体以外の市町も含めた動向について ... 11 第3章 まとめ・提案 ... 12 参考文献 ... 132
第 1 章 序論
1.1 はじめに 日本の総人口は、平成 27 年の国勢調査で、1 億 2709 万 4745 人となり、国勢調査開始以来、初め ての減少となった。また、39 の道府県で人口が減少し、増加したのは、東京都、神奈川県、埼玉県、 千葉県の「東京圏」と、沖縄県、愛知県、福岡県、滋賀県の 4 県。都市部への人口集中が目立つ結果 となった。 この人口減少はいつから起こり始めたのか。平成 17 年の国勢調査で、前年度の推計人口よりも人 口が減少していた。しかし、平成 22 年の国勢調査をもとに改定された人口推計は平成 17 年から、 平成 21 年までの間はほぼ横ばいで推移しており、平成 22 年から本格的に人口減少が始まった。そ して、平成 27 年の調査で人口減少がはっきりとした。 2014 年に「消滅可能性都市」という言葉が流行語大賞にノミネートされたことも記憶に新しい。 これは、2014 年に民間研究機関「日本創生会議」が発表したもので、2010 年~2040 年の若年女性 の人口減少率が 5 割を超える自治体のことである。消滅可能性都市には全国の約半数 896 の自治体 が入っている。その後、政府では 50 年後の人口を 1 億人に維持する目標を踏まえ、地方の人口を主 要課題に位置付けた。2014 年 11 月に地方創生関連 2 法案を可決させ、その後全国の都道府県及び 市町村各自治体は、地方版の人口ビジョンと総合戦略を策定することになった。 人口減少問題を抱える多くの自治体では、人口減少を食い止めるため、子育て支援や、医療・福 祉サービスの充実化、空き家活用、移住体験、移住促進など様々な取り組みが行われているが、本 研究ではその中でも移住促進に着目した。移住促進の取り組みとして開設されている「移住促進を 目的としたサイト」の有用性について調査する。これは、移住希望者の多くが移住先を選ぶ際に WEB サイトを検索するだろうと考えたためである。今回は、私の出身地である静岡県を調査対象と した。 本研究で、移住促進における WEB サイトの有用性を明らかにし、今後移住促進のための WEB サイト を開設する自治体の役に立つことを目指す。3 1.2 静岡県の現状 本論文の調査対象である静岡県の人口は、3,700,305 人(平成 27 年国勢調査)となっており、前回 調査から 1.7%減少している。図 1 からもわかるように増減率も下がり人口減少が進んでいる。また、 少子高齢化も進んでおり、15 歳未満の人口割合は過去最低の 13%、65 歳以上の割合は過去最高の 27.8%となった。 図 1:静岡県の人口推移 (静岡県政策企画部情報統計局統計調査課,平成 27 年国勢調査(人口等基本集計結果)~静岡県の概要~ より引用) 図 2: 静岡県年齢別人口の推移 (静岡県政策企画部情報統計局統計調査課,平成 27 年国勢調査(人口等基本集計結果)~静岡県の概要~ より引用) 今回の調査対象である静岡市は、人口 70 万 5 千人(平成 27 年国勢調査)と全国の政令指定都市の 中で最も人口が少ない。減少率も 1.5%(平成 27 年国勢調査)とワースト 1 位の減少幅である。 また、消滅可能性都市に静岡県内では熱海市、伊東市、下田市、伊豆市、東伊豆町、南伊豆町、 松崎町、西伊豆町、小山町、川根本町、森町が入っている。東京圏から近い静岡県も人口減少、少子 高齢化問題から目を背けられない状況になっている。 ここから、今回の調査対象とした静岡県内の市町の現状についてみていく。
4 1.2.1 調査対象市町の現状 今回調査対象としたのは、静岡市、浜松市、磐田市、熱海市、富士宮市、藤枝市、小山町(以下順 不同)の 7 市町である。選定方法については本論にて説明する。 表 1: 調査対象市町の人口 (平成 27 年国勢調査 人口等基本集計) 対象市町のほとんどが人口減少しており、中でも小山町、熱海市は高い減少率になっている。さら に熱海市は平均年齢も他の市町と比べても高く、65 歳以上の割合も高い。この中で唯一の増加とな っているのが藤枝市である。藤枝市は、教育や健康に力を入れており、ここ数年転入超過となってい る。 ・移住者数 (2016 年) 県及び市町の移住施策を利用しての移住者数は 2015 年では 223 人。2016 年では、4~6 月で 94 人 だった。移住者数の上位は小山町(33 人)、島田市(11 人)、富士市(7 人)、藤枝市・掛川市(6 人)だっ た。 ・相談件数(2016 年) 相談件数は、三島市(157 件)、静岡市(152 件)、焼津市(136 件)、南伊豆町(45 件)、島田市(44 件) だった。 人口(人) H22~H27 増減率 0~14歳 15~64歳 65歳以上 静岡市 704,989 -1.56 12.2 59.3 28.6 47.5 浜松市 797,980 -0.36 13.6 60.0 26.4 46.2 熱海市 37,544 -5.22 7.1 48.2 44.7 56.0 富士宮市 130,770 -0.93 13.6 59.5 26.9 46.6 磐田市 167,210 -0.84 13.7 60.0 26.3 46.1 藤枝市 143,605 1.02 13.5 58.7 27.8 46.9 小山町 19,497 -5.49 12.3 61.5 26.3 46.4 平均年齢 年齢3区分別人口(%) 人口
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第 2 章 本論
第 2 章では、今回行った調査の調査方法、調査結果、考察を行う。最後に全体のまとめ、提案を行 う。 2.1 調査について 2.1.1 調査対象 静岡県の移住・定住希望者向け WEB サイト「だもんで静岡県」内に「静岡県・市町移住サイト」 のコーナーがある。そのうち移住促進専用に開設されたサイトのある以下の 7 市町のサイト(以下順 不同)を調査する。 静岡市 『いいねぇ。静岡生活』 浜松市 『浜松田舎暮らし』 磐田市 『いいわたし@磐田市』 熱海市 『熱海時間』 富士宮市 『Fujinomiya life ~ 富士宮市移住・定住ポータルサイト』 藤枝市 『藤枝スタイル』 小山町 『おやまで暮らそう!「ASUO」』 2.1.2 調査方法 WEB サイト調査の他、電話・メールでの調査を補足的に行った。 (1)WEB サイト調査 調査指標を考える上で、3つの調査を参考にした。 静岡県「移住に関心がある首都圏在住者に対する意識調査結果」 静岡市「東京都在住者における「静岡市への移住」に関する意識調査」 伊東市「結婚・出産子育てに関するアンケート移住意向に関するアンケート 調査結果報告書」 この 3 つの調査に、「移住の際に重視する点」という質問項目があった。共通する答えとして、「生 活コスト」、「買い物の利便性」、「人間関係」、「仕事」、「医療・福祉」が挙げられる。 7 市町のサイトについて「生活コスト」、「買い物の利便性」、「人間関係」、「仕事」、「医療・福祉」 の 5 つの点に関する記載の有無を調査し、各項目について、記載なし、記載あり、詳細な記載あり(他 サイトへのリンクやデータ等の記載)で分類した。また、筆者が必要であると感じた、「移住者の暮ら し」、「移住にあたっての不安や流れ」、「実際の生活をイメージしやすい写真」の 3 点についても調査 を行った。 各項目をどのような点に注目して調査を行ったか以下に示した。 表 1:調査項目及び注目した点 項目 注目した点 生活コスト 物価、住居費、光熱費についての言及があるか。 単なる金額の記載ではなく、支援制度や東京圏との比較があるかを調 べた。6 買い物の利便性 買い物に関する言及があるか 買い物場所が調べられるか 人間関係 移住者が移住先での人間関係をどのように感じたか。受け入れられ たかなど。 仕事 支援制度、仕事情報、仕事検索サイトへのリンク 医療・福祉 支援制度、地域の病院、診療所の場所がわかるか 移住者の暮らし 移住者がどのような生活を送っているか 移住してライフスタイルに変化があったか 不安、流れ 移住にあたっての不安や苦労について書かれているか。移住までの 流れが書かれているか。 どちらかのみの場合は一部記載とした。 写真 ただの風景写真などではなく、移住者の暮らしがわかる写真やその 地域の様子がわかる写真があるか調べた 調査を 2016 年 11 月に調査を行い、情報が更新される可能性も考慮し、2017 年 1 月に再度確認を した。 (2)電話・メール調査 調査対象とした 7 市町のサイト担当者に電話・メールにて「経緯」、「目的」、「ターゲット」、「効 果」、 「今後」の 5 つについて調査を行った。藤枝市、熱海市を除く以下の 5 市町の担当者から 回答が得られた。 浜松市 市民協働・地域政策課 富士宮市役所 企画戦略課 地域政策推進室 静岡市 企画課 地方創生推進室 磐田市 広報広聴・シティプロモーション課 小山町役場 おやまで暮らそう課 2.2 調査結果 2.2.1 WEB サイト調査 今回行った WEB サイト調査の結果を表 1 にまとめた。 表 1:WEB サイト調査の結果 今回の研究では、小山町、磐田市を除く 5 つのサイトで移住者希望者が欲しいと思っている情報 生活コスト 買い物の利便性 人間関係 仕事 医療・福祉 移住者の暮らし 不安、流れ 写真 静岡市 〇 〇 ◎ ◎ ◎ 〇 × × 浜松市 × 〇 〇 × ◎ ◎ ◎ × 磐田市 〇 〇 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 熱海市 〇 〇 〇 × 〇 ◎ 〇 ◎ 富士宮市 × 〇 〇 ◎ ◎ 〇 × ◎ 記載なし=× 藤枝市 〇 〇 〇 ◎ 〇 〇 × 〇 一部記載=〇 小山町 ◎ ◎ 〇 ◎ ◎ 〇 ◎ ◎ 詳細な記載=◎
7 が全ては含まれていないことがわかった。ここからそれぞれの項目ごと結果をまとめていく。 (1)生活コスト この項目では、多くのサイトで支援制度の紹介のみであり、家賃の平均金額等の具体的な数字は 記載されていなかった。しかし、中には水道代の全国平均との比較や家賃の東京区部との比較とい った具体的な数字が挙げられていた。 (2)買い物の利便性 この項目では小山町のサイトでは地図上に商業施設の場所をマッピングしていた。ほかのサイト ではインタビュー内で「スーパーのシラスやお刺身がおいしく、野菜も地場産が多くて新鮮。」「地 元で採れた野菜の直販所が沢山あるから新鮮な農産物が手に入りやすい」「服を買う店も、やっぱり 東京と比べると少ないですね。でも、誘惑が少ない」などと買い物に関する話題が出ていた。 (3)人間関係 多くが、移住者インタビュー内で「地域の人たちが歓迎してくださって、とても親切なので助か っています。」(富士宮市)「子どもたちをとても大切にしてくれます。地域に根差している人が多 く、じっくり人間関係を築くことができます。」(静岡市)など移住者が感じた地域の人の雰囲気など について書かれていた。移住者が地域にどのようにして受け入れられたのかなど詳しく書かれてい るものの、インタビュー者数が少ないサイトもあった。 (4)仕事 仕事情報は、ほとんどのサイトで記載されていた。ハローワークなど外部のサイトへのリンクを 記載しているサイトは 3 件、サイト内に求人情報を掲載していたサイトは 2 件あった。残り 2 件は 仕事情報の記載を見つけることが出来なかった。また合わせて、起業、就農支援などの支援制度に ついて記載しているサイトの 3 件は他のサイトへのリンクだった。 (5)医療・福祉 この項目もほとんどのサイトで記載されていた。エリアごと施設の情報をサイト内に記載してい るサイトが 3 件と、関連サイトへのリンクを記載しているサイトが 2 件あった。医療・福祉施設の 情報はないが子供の医療費補助などの支援策の紹介をしているサイトもあった。 (6)移住者の暮らし 全てのサイトで記載されていた。「休日は、1 歳になる長男と近くの公園などで遊んだりしていま す。」(静岡市)といった休日の過ごし方や今どんな仕事をしているのかなど、移住者がどんな暮らし をしているのかが、移住者インタビュー内で書かれていた。 (7)不安や移住の流れ 移住の際の不安と移住までの流れについて書かれているサイトは 3 件と少なかった。 「ご家族の反応や、どれくらい足を運んで移住を決めましたか?」(浜松市) 「移住の際の心配事 など」(小山町)など、質問事項としてどのような流れで移住したのか、移住の際の心配事が書かれ ていた。 (8)写真 どのサイトでも写真を使っていないということはなかったが、移住者の様子や地域住民の様子な どがわかる写真を掲載しているサイトは少なかった。
8 2.1.2 WEB サイト調査の項目ごとの考察 (1)生活コスト 生活コスト面について書かれているサイトがすくなかった理由として、全国平均とあまり差がな いもしくは、全国平均よりも上回ってしまうことがあるからなのではないかと筆者は予想した。そ こで、住居費、光熱・水道代を調べることにした。 表 2: 2 人以上世帯におけるひと月当たりの平均支出額(単位=円) (総務省統計局 平成 26 年全国消費実態調査 地域別地域別1世帯当たり収入と支出より作成。) 表 2 を見ると住居費と上下水道料の静岡県平均は全国と東京区部を下回っていたが、光熱・水道 は上回っていた。移住促進のアピール材料になりにくいかもしれないが、移住者が知りたいと思っ たときに調べられるようにしておく必要があるのではないだろうか。住みたい地域の平均的な生活 コストを知ることで、移住後の生活のイメージを描きやすくなる。 この項目で筆者が良いと感じた記載の仕方は、静岡市の東京区部との家賃比較、小山町の 4 人世 帯の年間水道料金(全国)との比較である。 (2)買い物の利便性 利便性というと、自宅との距離や品ぞろえやどんな商業施設なのかということになるが、そのよ うな情報を記載しようと思うと難しい。利便性は人によってとらえ方が変わるため、一概にこのエ リアは利便性が良いといったようなことは言えないだろう。しかし、小山町のサイトでは、商業施 設の場所を地図上に表示させどのようなお店なのかわかるようにしていた。このような記載の仕方 は、住みたいエリアを決めるのに役立ち、住みたい場所にどんなお店があるのか現地に行かずに知 ることが出来る。 (3)人間関係 先に移住した人がどのように感じたのかを知るためには、インタビューが良い方法ではある。し かし、移住者が少ない場合は、町内会の行事やお祭りがどの程度あるのか、地域住民がどんな人を 欲しがっているのかなどを、記載することで代用できるのではないだろうか。 (4)仕事 仕事情報は、ほとんどのサイトで記載されていた。記載されていなかった熱海市は、新幹線を利 用することで東京への通勤が可能であるというメリットが記載されていた。 仕事情報の記載の仕方は、サイト内に直接求人情報が記載されているサイトとハローワークなど の他のサイトへのリンクが記載されているサイトがあった。同じサイト内に求人情報が記載されて いた方がどんな会社があるか住む場所を検討しながら見ることが出来るというメリットがある。し 全国 東京区部 静岡県 17,660 30,560 13,700 20,967 20,703 21,258 電気代 10,198 10,703 10,602 ガス代 4,300 4,820 5,190 他の光熱 1,046 118 554 上下水道料 5,423 5,513 4,911 住居費 光熱・水道
9 かし、求人情報は外部の就職支援サイトの方が充実していたり、静岡市など大きな市では求人情報 を載せきることが難しかったりする可能性もあるだろう。筆者としては、他のサイトへのリンクの 方が良いのではないかと推測する。しかし、仕事情報としてではなく地域の企業ということで地域 にある企業の一覧を記載するというのも良いのではないだろうか。 (5)医療・福祉 この項目もほとんどのサイトで記載されていた。エリアごとに医療・福祉施設の情報を載せた り、地図上に医療・福祉の場所を載せたりすることでより場所がわかりやすくなる。また、住む場 所を探す際や移住後の生活を考える際にも役に立つのではないだろうか。 (6)移住者の暮らし 全てのサイトで記載されていた。しかし、移住者インタビューから読み取れることであるが、移 住者インタビューの数が少ないサイトもあった。移住者インタビューの数を増やす必要である。し かし、移住者にとっても負担になる可能性があるため、アンケート調査を行うというのはどうだろ うか。同居者人数や職業などの統計、生活スタイルの調査があれば移住希望者もより現実的なイメ ージを描くことが出来るのではないだろうか。 (7)不安や移住の流れ この項目も移住者インタビューから読み取った。移住の際の不安について移住者インタビューで 聞いているサイトは少なかった。移住者が不安に感じたこと、それがどのように解消されたのかを 書くことで移住を考えている人にとってはかなり有益な情報になるのではないだろうか。この項目 もやはりインタビュー数を増やすことが必要だ。 (8)写真 どのサイトでも写真を使っていないということはなかったが、今回注目した点は生活のイメージ を描けるかである。移住者の様子や地域住民の様子などがわかる写真を掲載しているサイトは少な かった。今回の研究では調査していないが、いくつかの市町では SNS を併用し地域の情報、写真を 発信していた。 ・移住者インタビューを読み筆者が感じたこと この調査を通して移住者インタビューを読み、感じたことが2つある。 1 つ目は移住者の仕事として、起業やフリーランス、店舗経営など場所にこだわらないもしくは 新しく始めるということが多いように感じた。移住者インタビューは移住者の一部の声にしか過ぎ ないが、これまでは、手に職をつけた人が移住をすることが多かったのではないだろうか。 2つ目は、インタビュー内に移住してからの不満や気になったことが書かれているサイトがあっ た。不満や気になったことが書かれていることで移住希望先のデメリットも知ることが出来るた め、現実的なイメージが描きやすくなるのではないだろうか。
10 2.2 電話・メール調査 2.2.1 電話メール調査の結果 電話・メールでの調査結果を以下の表にまとめた。 表 3: 電話・メールでの調査結果 サイト開設の目的を大きく分けると相談窓口への誘導といった情報提供、シティーセールスやイ メージを持ってもらうことなどの魅力発信の2つに分けることが出来る。効果として共通してあが った回答に「サイトを見ての問い合わせの増加」がある。また、イメージアップや魅力発信に貢献 しているという回答もあった。今後の展開について伺ったところ、実際の生活に近い情報やコアな 情報を増やしていきたいという回答が目立った。 また、今回調べた市町のうち 5 市町が 27 年以降に WEB サイトを開設している。これは、26 年の まち・ひと・しごと総合戦略の施行が影響しているのではないかと推測できる。この施行に伴い、 都道府県及び市町村に総合戦略の策定に努めるよう通知がされている。 2.2.2 電話・メール調査の考察 目的を情報提供や相談窓口への誘導としている静岡市、浜松市のサイトと磐田市、富士宮市、小 山町のように魅力発信としているサイトを比べると、目的を魅力発信としているサイトの方が、写 真を多く使用していたり、記載方法に工夫がされていたりと、こだわっているように筆者は感じ た。今後の展開についてほとんどのサイトで実際の生活に沿った情報を増やすという回答が多かっ たことから、今後多くのサイトで単なる情報発信のための媒体ではなく、地域の魅力や移住したく なるような発信媒体に変化していくと推測する。効果として、サイトを見せながら窓口での対応を 行うことでスムーズになったとの回答があり印象的だった。サイトには情報がすでにまとめられて いて、写真などのビジュアル面も整えられていれば説明もやりやすく相談者もわかりやすくなる。 電話・メールで調査を行った際にこの研究に興味を持っていただいたことが印象的だった。 開設年 経緯 目的 ターゲット 効果 今後 静岡市 28 より広く知ってもらうため 情報提供 ・HPを通しての問い合わせが 増えた ・実際に行ったり問い合わせ しなくてもいい ・コンテンツの充実化 ・インタビュー数 ・就職支援している企業との連携 ・生活、住まいに関するサイトへのリンク ・実際の生活を想像できるようなサイト 浜松市 21合併により中山間地域が増え た ・相談窓口への誘導 ・PR なし 一緒に活動してもらえる人 を求めている ・HPを見たという問い合わせ・若者向けに ・学校や子育ての情報を 磐田市 28・人口減少 ・獲得競争が起きている ・魅力を発信 若者(2・30代) ・サイトを見ての問い合わせ ・市の魅力発信につながった ・移住者の声を増やす 富士宮市 28 移住に関して知りたい情報が 見つかりにくいという問題が あった ・定住者を増やす ・シティーセールス ・市独自の受け入れ団体の活動周知 ・市内の地域をわかりやすく伝える ・空き家対策 ・子育て世代 ・これから子供が生まれる 方 ・若い世帯からの問い合わせ ・実際に移住者が来た ・FBと連動し活きた情報発信 の場となっている ・母親目線の記事 ・各地域のコアな情報 ・企業PR 小山町 27 ・おやまで暮らそう課の発足 ・町外の人が見る前提のサイ トがなかった 小山町を知らない人が小山町の暮ら しについてザックリとしたイメージ を持ってもらうこと ・町外の人 ・やや若者寄りのデザイン ・イメージアップ ・問い合わせ数の増加 ・窓口での対応がスムーズに ・接客に役立つ ・イベントの集客 ・「仕事」「すまい」のカテゴリーを情報豊富に ・SNSの展開
11 2.3 県内の調査対象自治体以外の市町も含めた動向について これまで、静岡県内 7 市町の移住促進サイトを見てきたが、その他の市町は移住促進のための情 報発信を行っていないのだろうか。そこで、静岡県内の 35 市町(調査対象の 7 市町を含む)の公式サ イトを調査した。 はじめに公式サイトのトップページに移住・定住に関するバナーやリンクがあるかチェックし、 ない場合はサイト内検索で「移住」と検索し、移住・定住についてのページがあるかを調査した。 また、専用のサイトであるかも確認した。 その結果、以下の表のようになった。 表 4:公式サイトの移住・定住に関するバナーやリンクの有無(件) トップページに バナーやリンクあり 専用の サイト 検索→ページ なし 20 10 6 8 35 ある市町のうちトップページにリンクがあったサイトは、20 件あった。また、専用のサイトが 設けられていた市町は調査対象の 7 市町を含め 10 市町あった。サイト内検索をし、移住に関するペ ージがあったサイトは 6 件。ページがなかったサイトは 8 件だった。ページがなかった市町でもプ ロモーション動画や移住支援制度など何らかの取り組みを行っていた。移住・定住情報がまとめら れたページがあるサイトでもリンク集のような形になっているサイトやイベント情報などの一部の 情報のみのサイトやきちんと作りこまれたサイトもあった。移住情報をまとめたガイドブックを作 成しているサイトもあった。トップページのリンクの表示場所も様々あり、トップページの上部に ある場合や下部にある場合があった。 この結果を見ると、専用のサイトを設けている市町は少ない。そのためサイトが開設されている ことで、移住促進に力を入れている市町だと感じさせることができる。開設されていること自体が メリットであるように感じる。トップページのリンクの表示場所の違いはアクセスのしやすさを左 右すると筆者は考える。下部にあると探す必要があるが上部にあれば公式サイトを開いたときにす ぐに情報へアクセスすることが可能になる。
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第3章 まとめ・提案
第3章では、本研究の結果を踏まえ、考察と提案を行う。 現在専用のサイトが設けられている市町は 10 市町と少なく、開設して間もないサイトが多い。静 岡県ではサイトを作成している市町の方が珍しいというのが現状である。小山町は、県及び市町の施 策を使用しての移住者数が 33 人(2016 年 4~6 月)と県下 1 位となった。小山町は、今回の調査項目 をすべて満たしており、調査項目をサイトの中に入れることは一定の効果があるのではないかと考 えられる。もちろんサイトを作ることで直接移住者数を増やすことが出来るわけではないが、その自 治体の魅力を伝え、興味を持たせることが可能になる。 調査で調べた「生活コスト」、「買い物の利便性」、「人間関係」、「仕事」、「医療・福祉」、移住者の 暮らし」、「移住にあたっての不安や流れ」「実際の生活をイメージしやすい写真」の項目をなるべく 入れることで、移住希望者に実際の生活イメージを持たせることになるだろう。興味、関心を持 ち、生活のイメージを持って相談窓口へ行くことで、移住希望者もより具体的な質問や相談が可能 になる。また、担当の職員も説明や案内、紹介の際にサイトを利用することでよりわかりやすい紹 介ができるのではないだろうか。 WEB サイトを開設することの効果は、「魅力を広く伝えることが出来る」、「移住者を増やすことが 出来る」、「移住促進の取り組みをアピールすることが出来る」ことだろう。そして、求められる役 割は、「移住希望者に生活のイメージを持たせる」ということだろう。 効果的なサイトにするために、一番大切なことは移住希望者に実際の生活のイメージを持たせる ことだろう。しかし、実際の生活のイメージも移住希望者の夢のような想像ではなく、デメリットも 理解したうえでのより具体的なイメージを持たせることが必要ではないか。より具体的なイメージ を持つために先輩移住者の声は非常に参考になる。移住先のメリット・デメリットをインタビューで 聞くなどすることが有効ではないだろうか。または、地域住民が感じる良い所や不満に感じている点 を聞くことも良いかもしれない。効率的に先輩移住者の声を集めるためにアンケート調査を行うと 良いのではないだろうか。移住者の家族構成や職業、ライフスタイル、不満、移住先の良い所、どう してその場所にしたのかなど調査をインタビューと合わせて行うことでよりよいものになる可能性 がある。 今後、人口減少に悩む市町が移住促進サイトを開設し、移住促進が全国的に広まり、地方の人口問 題が解決することを願う。 謝辞 今回、この卒業研究を卒業論文として形にすることが出来たのは、指導教授として担当して頂いた 枝廣淳子教授の熱心なご指導や調査に協力していただいた、小山町役場おやまで暮らそう課、浜松市 市民協働・地域政策課、静岡市企画課地方創生推進室、磐田市広報広聴・シティプロモーション課、 富士宮市役所企画戦略課地域政策推進室の担当者様に心から感謝の気持ちと御礼を申し上げます。 平成 29 年 1 月 27 日 松澤和輝13
参考文献
増田寛也編著,2014,『地方消滅-東京一極集中が招く人口急減-』,中公新書 総務省統計局, “人口減少社会「元年」は、いつか?”, 平成 24 年 11 月 28 日, http://www.stat.go.jp/info/today/009.htm 統計センターしずおか, “平成 27 年国勢調査 人口等基本集計:(参考 1)静岡県市区町別人口・世 帯、(参考2)都道府県別人口・世帯”, https://toukei.pref.shizuoka.jp/jinkoushugyouhan/data/02-010/2015_jinkoutoukihon.html, (2016/12/28) 総務省統計局,“27 年度 国勢調査 人口等基本集計結果”, http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon1/pdf/gaiyou1.pdf 静岡県政策企画部情報統計局統計調査課, “平成 27 年国勢調査(人口等基本集計結果)~静岡県の概要~” http://toukei.pref.shizuoka.jp/jinkoushugyouhan/data/02-010/documents/kihon-gaiyou.pdf 静岡新聞, “静岡県、人口減少が加速 2015年国勢調査速報値”(2016/2/12) http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/209801.html?page=1 静岡新聞,“静岡県への移住、続々94人 自治体窓口や助成奏功 4~6月”, http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/281724.html(2017/1/7) 静岡県,“移住に関心がある首都圏在住者に対する意識調査結果”, https://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-030/documents/report.pdf, (2016/11/15) 伊東市, ‟結婚・出産子育てに関するアンケート移住意向に関するアンケート 調査結果報告書”, https://www.city.ito.shizuoka.jp/gyousei_keiei/html/keikaku/10kihonkeikaku/jinkouvision_t yousakekka.pdf,(2017/1/5) 静岡市,‟東京都在住者における「静岡市への移住」に関する意識調査”, http://www.city.shizuoka.jp/000710264.pdf,(2016/11/28) 静岡県政策企画部情報統計局 統計調査課, 平成 28 年 12 月市町別推計人口 http://toukei.pref.shizuoka.jp/jinkoushugyouhan/data/02-030/2812jinkou.html,(2017/01/22) 総務省統計局,平成 26 年全国消費実態調査, 地域別1世帯当たり収入と支出14 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001065099&cycode=0, (2017/01/22) 静岡県くらし・環境部管理局政策監(移住・定住担当),“だもんで静岡県” http://damonde.pref.shizuoka.jp/,(2016 年 11 月) 静岡市役所企画局企画課地方創生推進室, “いいねぇ。静岡生活”,http://shizuoka-seikatsu.jp/,(2016 年 11 月) 浜松田舎暮らし推進事務局(浜松市 市民協働・地位政策課), “浜松田舎暮らし”, http://www.hamamatsu-inaka.com/,(2016 年 11 月) 磐田市役所企画部秘書政策課,“いいわたし@磐田市”, http://www.city.iwata.shizuoka.jp/iiwatashi/,(2016 年 11 月) 熱海市観光経済課観光推進室, “熱海時間”, http://www.city.atami.shizuoka.jp/atamijikan/,(2016 年 11 月) 富士宮市役所 企画部 企画戦略課 地域政策推進室, ‟Fujinomiya life ~ 富士宮市移住・定住ポー タルサイト”,http://www.fujinomiya-life.com/,(2016 年 11 月) 藤枝市役所企画財政部企画経営課“藤枝スタイル” http://www.city.fujieda.shizuoka.jp/style/ ,(2016 年 11 月) 小山町役場おやまで暮らそう課“おやまで暮らそう!「ASUO」”http://asuoyama.jp/,(2016 年 11 月)