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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Oxaliplatin induces prostaglandin E2 release in vascular endothelial cells.

オキサリプラチンによる血管内皮細胞からのプロスタグランジン

E2

産生 の誘導

医薬情報解析学 松沼 悟

[背景]オキサリプラチン(L-OHP)による副作用の1つとして、末梢静脈 投与時における血管痛を主とする注射部位反応がある。過去の研究では、

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与患者において

L-OHP

の血管痛の発 症頻度が低くなる傾向があると報告されている。そこで本研究では、

L-OHP

と血管内皮細胞の接触により産生された

PG

類、とりわけ

PGE

2が血管痛の 誘発因子であると想定し、L-OHP 刺激による

PGE

2等の

PG

類の産生および 関連する合成酵素の発現を指標に、血管内皮細胞に対する

L-OHP

の急性期 の細胞応答性を検討した。

[方法]正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を 1.0×105

cells/mL

の濃度 で、37℃、5%CO2条件下で培養し、培地中

L-OHP

1 mM、100

μM、10 μM となるように添加した。NSAIDs 使用群では、L-OHP 1 mM を添加する

1

時 間前に

Fur 20

μM を加えた。陰性対照(Vehicle)群では同量の培地を加 えた。比較対象であるシスプラチン(CDDP)群では

1 mM

となるように添加 した。2 時間培養後、培地上清を 200μL 回収し遠心分離後、上清

150μL

PG

の測定サンプルとして

ELISA

にて解析した。さらに上清回収後の細 胞を

PBS

で洗浄後、SDS Sample Bufferを

1 穴につき 50μL 加えたのちに

回収し

Western blotting

を行った。

[結果]Vehicle 群 56.9 pg/mL に対して、L-OHP10 µM 群 117.0 pg/mL、

100

μM 群 225.9 pg/mL(p<0.05)、1 mM 群 263.8 pg/mL(p<0.05)と

L-OHP

濃度依存的に

PGE

2濃度が増加した。L-OHP 1 mM と

NSAIDs(Fur 20 µM)

の併用群では

40.0 pg/mL

PGE

2濃度の上昇は抑制された。CDDP 1mM群で

94.8 pg/mL

と有意な増加はみられなかった。また、他の

PG

の濃度

(6-keto PGF

PGF

PGD

2

15d-PGJ

2)は、

L-OHP

及び

CDDP

による

HUVEC

への刺激によって有意な影響を受けなかった。Western blotting により

PGE

2生合成に関与する酵素の発現を分析した結果、COX-1、

mPGES-2、およ

cPGES

HUVEC

で発現されたが、COX-2および

mPGES-1

は発現されなか

(2)

った。

[考察]L-OHP 刺激による血管内皮細胞からの

PG

産生について検討した 結果、

HUVEC

L-OHP

の用量依存的に

PGE

2を産生することが明らかとなっ た。また、NSAIDsである

Fur

による前処理が

HUVEC

による

PGE

2産生を抑 制することが示された。さらに、同じ白金系薬剤で血管痛を引き起こさな い

CDDP

では、HUVEC による

PGE

2産生を増加させなかった。それぞれの薬 剤による刺激は、他の

PG

類の放出や

PGE

2合成酵素(COX1、

mPGES-2、 cPGES)

の発現に影響しなかった。

PGES

PGE

2の即時産生では

COX-1

と機能的に関連し、mPGES-1 は炎症 誘発性

PGE

2放出で

COX-2

と関連するとされている。Western blotting の 結果、COX-1と

cPGES

が発現し、COX-2 と

mPGES-1

は発現していなかった ことから、本研究における

PGE

2産生は

COX-1/cPGES

経路によるものであ ることが示唆された。

本研究の結果より、

L-OHP

が血管内皮細胞による

PGE

2分泌を増加させる ことで血管痛を引き起こす可能性があり、

PGE

2産生を抑制することで血管 痛を減弱できる可能性があることが示唆された。また、NSAIDs 内服によ り、L-OHPによる血管痛の発症率が低い傾向があるという報告を支持する 結果となった。今後は非オピオイド鎮痛薬の予防的投与の有効性について 検討していきたい。

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