わが国石油化学企業と減価償却
一︑石油化学工業の特徴と概要
二︑減価償却の実態
ω
税法の減価償却規定制 製 造 装 置 の 実 態
同三井石油化学︑三菱油化の減価償却
三︑大型化の﹁効果﹂
ω
三井石油化学︑三菱油化の実態同先発企業と後発企業(以上︑本号所載)
四︑設備投資と資金の源泉
ω
設備投資と借入金︑減価償却同三井石油化学︑三菱油化の実態
同建設費の高騰と﹁減価償却不足﹂
五︑むすびにかえて
わが国石油化学企業と減価償却
大
橋
英
五
四
わが
国石
油化
学企
業と
減価
償却
四 四
石油化学工業の特質と概要
わが国の石油化学工業は︑昭和三二年にストーン・アンド・ウェブスタ
l
社の技術導入によって三井石油化学︑住友化
学が
︑
エチレン二万トン/年装置による生産を開始して以来︑二
O
年後
の今
日で
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一
O
万トン/年装置が一O
基稜動するというように短期間に飛躍的な成長をとげた︒本稿ではこのような急成長をなしとげたわが国石油化学工業
において減価償却がどのような意味をもっていたかを中心に検討する︒そのためにここでは︑まず石油化学工業の特
質および概要についてみておこう︒
石油化学工業は﹁典型的な装置産業﹂であるといわれている︒たとえば産業構造調査会化学工業部会の有機化学小
委員会は︑昭和三八年に装置産業である石油化学工業の基本的な特質についてつぎのように指摘している︒
﹁石油化学工業は典型的な装置工業であるため︑設備規模の拡大がコスト低下に及ぼす影響はきわめて顕著であ
た る
とえ
ば︑
エチレン設備規模とコストの関係をみると︑設備規模を四万トンから八万トンにスケールアップするこ
とに
より
︑ コストは約二
OM
の引下げが可能となる︒また︑装置工業であることからコスト中に占める資本費の割合が非常に大きいため︑操業度のコストに及ぼす影響
もきわめて大きい︒たとえばエチレンの設備規模四万トンで一
O O
M
操業の
場合
︑
コストは設備規模八万トンで八
O
操業の場合のコストにほぼ匹敵するものとされている︒M m
したがって︑設備規模は大きいほど望ましく︑また︑設備を大型化しても操業度が低下するならば︑大型化のメリ
?i )
ハ2 υ
γトを失うこととなるので高操業度の維持が肝要である﹂︒
わが国石油化学工業は︑とくに﹁設備は大きいほど望ましい﹂という視点と︑﹁高操業度の維持﹂という視点のな
かで︑その規模を拡大してきた︒すでに指摘したように昭和三二年に三井石油化学︑住友化学によって一一万トン/年
のエチレン装置による生産が開始されて以来︑第
1
烹にみるように︑その規模を年ごとに拡大し続けてきた︒こうした規
模の
拡大
が︑
っ︑ぎにみるように政府と独占的な企業を中心に展開されてきたことをみのがしてはならない︒
石油化学での基礎的生産物であるエチレンの生産設備の規模は︑そのときどきの経済︑政治情勢によって業界︑通
産省を中心にして策定された基準にもと守ついて拡大してきた︒すなわち︑昭和三六年一一月には︑官界︑業界︑学界
からなる﹁化学工業に関する懇談﹂によって︑エチレンの生産規模四
1
六万トン/年という基準がしめされた︒その校︑同じく各界からなる石油化学協調懇談会が設立されハ昭和三九年二一月)︑この石油化学協調懇談会によって昭和四
︒年一月には︑﹁ナフサセンターの新設の場合の基準﹂として︑
﹁ 一
O
万トン/年程度のものであって稼動後すみやかに適正操業度に達する見込みのものであること﹂が主張された︒この基準にしたがって第
1
表にしめされるように 多くのエチレン装置が建設されたのである︒さらに石油化学協調懇談会は昭和四二年には︑﹁エチレン製造設備の新設の場合の巷準﹂を発表し︑そのなかで﹁エチレンの製造能力が三
O
万トン/年以上のものであること﹂を基準とし(3
)
わが国石油化学工業の性格は︑以上の三
O
万トン/年基準に典型的にあらわれているといってよい︒前述の﹁エチレ た ︒ ン製造設備の新設の場合の基準しを補足して︑通産省化学工業局は︑﹁ナフサセンター新設の場合の基準の変更の趣 旨について﹂を発表し︑このなかで一二O
万トン基準について︑﹁今後わが国石油化学工業の中核をなすものとして新設わが
国石
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減価
償却
四五
わが国石油化学企業と減価償却
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昭一大克一山一以一注
(単位:トン/年〉
現 役 生 産 開
予 備 始 時 期
第3予備 33.3
現 役 37.2
fI 41.1
fI 42.4
fI 45.1
名社別のエチレン装置の実態 第1表
会 社 名 住 友 化 学
34.5 38.5 40.6 第2予備
現 役 日 本 石 油 化 学
45.4 33.2 37.2 39.9 42.2 34.5 36.9 40.2 43.4 46.1 役一
実ー 役 現麗現
廃 第2予 備 現 役 浮 島 古 語 正 字
三 井 石 油 化 学
イ ヒ
菱 油二 菱 化 成 (水島エチレン〉
39.9 43.5 現 役
出 光 石 油 化 学
38.5 47.1 37.3 41. 5 47.1 第2予 備
現 役 備役予 /
噌Bム第現
一薪天扇面右:ぬ日じ学
東 燃 石 油 化 学〔単位:円/キログラム〉
規 模 (万トン/年〉 10 20 30 40 比 例 費
原 料
。 。 。
用 役(電気用水等〉 ‑0.4 ‑0.8 ‑0.8
計 基 ..,..0.4 ‑0.8 ‑0.8
副 産 物 控 除
。 。 。
固 定 費
労 務 ‑0.2 ‑0.4 ‑0.4
{賞 却 ( 設 備 ) ‑1.5 2.0 ‑2.2
営 縛 公 課 保 険 1.0 ‑1.1
工 場 管 理 i事 ‑0.2 ‑0.4 ‑0.5
償 土日(技術料〕 ‑0.2 ‑0.3 ‑0.3
金 利 0.8 ‑1.1 ‑1.3
計 ‑3.6 ‑5.2 5.8
工 場 原 価 ‑4.0 ‑6.0 ‑6.6
エ チ レ ン 原 値 比 較 第2表
わが国石油化学企業と減価償却
通産省化学工業局「ナフサセンタ戸新設の場合の基準の変更の趣旨についてJ(昭和
42年 6 月 2 目〉右油化学工業協会「右沼化学工業10年史~ 485ベージ。
注
されるエチレン製造設備については︑
欧 米 諸 国 の 動
向︑ここ数年間の技術進歩︑市場の拡大等の要因をも
十分に念頭においマその最低能力を三
O
万トン/年に︿4
V
引上げることが必要である﹂と指摘している︒そし
て︑この三
O
万トン装置の経済的効果について︑第2表のように規模別のエチレン原価を比較している︒こ
れによるとエチレンキログラム当り︑一
O
万トン装置に比較して三
O
万トン装置では減価償却等を中心とする固定費で五・二円︑全体で六・
O
円の原価低減になるという︒さらに︑一
O
万トン装置と三O
万トン装置の原価を︑丸善石油化学常務取締役の林喜世茂氏の算
出された第3表によって︑もう少し詳しくみることが
できる︒この表によるとユティリテイコストおよび囲
( 5 )
定費同おいて大きな差異が生じ︑一
O
万ト
ンと
二一
O
万トンではキログラム当り七円弱の差があるという︒ま
た︑同様の指摘はシi
エム
シ
l
社の資料によっても六(6
)
・六円という数値として指摘されている︒
四 七
Jと込回同:聖士3都側判
H
禁事全接続国〈第3表ナフサ分解式エチレン・プラントのコスト
エテレンの生産規模10万t/年エチレンの生産規模30万t/年単価率
h
時間当りI
エチレンI
エチレンI
率11時間当り1エチレンI
ェチレン収1 t当り1 kg当り1 t当りlkg当り原料登ナフサ7.8円jk/gl 100% 45.7 t 3.66 t 1009ぢ129 t 3.51 t 27.30円(エチレン)5.45円27.3 12.5 28.6 36.6 副銭プロ解テ搾ピガレレシソ除ン留留リ分 17.5円kg16.7 7.64 0.612 '@.50 16.7 21.3 0.583 "'10.20 プ分12.0 9.2 4.21 0.337 Lo. 4.05 9.5 12.1 0.332 '" 3.97 jノJ¥、/'6.0 23.9 10.9 0.875 ム5.2520.9 26.9 0.735 '" 4.42 燃分解泊6.0 3.3 1.52 0.122 Lo. 0.73 2.0 2.58 0.071 '" 0.42 料ガス6.0 18.7 8.31 0.664 '" 3.99 22.3 28.8 0.788 ム4.73計"'24.52 計"'23.74 百十3.98 計3.56
ユーティリティ燃
費
64円113//ktWh 8.85 0.710 4.26 30.7 0.840 5.05 e 蒸冷s拡((高中却正圧〉〉水気 2,300kwh 184kwh 0.74 1,800kwh 49kwh 0.20700円/t 10 t 0.80 t 0.56 600 28 2.24 1.35 2 7,200 576 1.15 15,000 t 4
1.
0 t 0.82 ボイラー用水50 8 0.64 0.03 41 1.12 0.06 計ー8.09 計6.13 間定費P七装f
世38億〉円(。付借12能円,計件50{11500 主装(0'80億円e:
付帯24億却円,計10410.40 億円の30%金利,償却,入費億円の30%金利,f
賞,人件費などを含むなどを合む 原価I I
合計27.07計20.09注ナプサの価格が1kt当り500円アップして5,950円となると,エチレン原価ば2.5‑2.6円/kC上昇し,また6,300円/kOのときは4.2‑4.5円〆kg上昇する。資料林喜世茂氏が算出作成(1967年7月),林喜世茂,中村忠一若『石油化学の将来~13ベージ。
しかし︑この大型化による原価の低減は︑大型装置が高操業度で稼動されることを前提にした効果であることはい
うまでもない︒したがって︑大型装置の操業度が低下すれば︑その価原は上昇し︑従来の装置と比較して何らのメリ
ハ7﹀ットも住じないという事態がおとりうることになる︒そして現実には︑この大型装置の稼動をどのように維持するか
が重要な政策として展開されたのである︒
わが国石油化学工業は︑その設立の当初より︑業界と政府が一体となってその大規模化を推進してきた︒
と こ ろ で︑こうした大型化は前述した装置産業としての技術的な特質にくわえて︑第
1
表から明らかなように外国からの単一的な技術導入および政府による原料油の安定供給という各企業同一の条件のなかで達成され︑この同一条件が企業
間の競争にうちかっために装置の大型化を加速してきた側面もみのがすととはできない︒
石油化学工業での大型化の状︑況を別の視点から第
4
表によって概観することができる︒この表は化学経済研究所の 山本勝己氏が作成された表に補足したものである︒第4
表によると︑昭和三二年から昭和四五︑六年にかけては︑相 つぐ大型エチレン装置の建設と︑コンビナートの形成にともなって︑エチレン生産量および石油化学製品の生産額は飛躍的に増大してきた︒そして︑全化学製品にしめる石油化学製品の割合は︑わずか一五年間にコ一五パーセントにも
達した︒こうした生産量の増大は︑原料であるナフサの安定供給という前提のもとで︑製品価格をいちじるしく低下
させ
てき
た︒
エチレン価格は昭和三二年当時に比較して︑三
C
万トン装置による昭和四五年には三分の一になってい る︒また高圧法ポリエチレンでも三分のつポリスチレンでは二分の一あまりに低下した︒石油化学では︑装置の大型化による価格の引下げ︑それにともなう需要の拡大︑より一一層の大型化による価格の引下げ︑それにともなう需要
の拡大︑より一層の大型化という発展が︑
昭和
四五
︑
六年まで展開されてきた︒
この
発展
が︑
きわめて急速なもの
わが国石油化学企業と減価償却
四九
4ミ寺己困問:理士~~めぐ封縦~驚耳童生EE青附
0
第4表石油化学工業の概要
産(石製1曲油額品万化の円生学) 全化学占製エチレン
1d
製品価格円/kg 昭和年 品にめ生産量(高圧法│
石油化学コンビナートの形成備考る比(勿率) (ン1),O00トエチレンポリヱチポリレンチレ 32 1, 739 0.3 90 268 江油三〉井化,石〈日油囚本化日石学市油〈)岩化国学〉(,住)1[友崎化),学三(大菱第先発1期企ビ業石ナ油化学計商置, 33 11 ,096 1.8 14 315 268 のl号形装34 29,527 4.0 43 8,000 75~90 320 264 コンナート成。35 63,123 6.9 78 313 259
者葉学単〉(徳,調三山菱〉ヒミ化ザ成〔思水鳥議),肉稗光石油寺中化 大型化と総号形合装成利置用,後36 84,483 8.1 107 266 258 発企業の,コン37 132,746 11.7 231 205 249 ピナート。38 193,090 15.4 345 6,000 45 179 233 39 251,486 16.7 507 6,000 158 216
競大型化と総合,先化発,国際業形40 339,576 20.4 776 6,000 42~43 151 200 住(千友葉化)学(千葉),三井石油化学争に直面金41 437,750 22.9 1,064 6,000 42~43 133 173 の2第コンビナート42 557,784 24.9 1,368 6,000 39 111 161 成。
43 705,331 27.6 1,792 6,000 35~37 98 151 昭〈油泉和化北油学〉化一(菱大島)分油〉化,鹿大島阪),石油山化学 30万トン装化置,総9基の建44 940,045 32.1 2,399 6,000 32~33 101 145 ,ニ( 陽石設フ~j大型合化の45 1,178,504 34.9 3,096 6,100 29~30 102 139 (水成。46 1,241,608 35.9 3,536 6,300 29~30 100 138 47 1,324,402 35.4 3,851 6,500 29~30 92 142 48 1,596,756 36.0 4,170 8,000~ 35~55 101 158 石油危機料低価以下格。降のの上建昇設12,000 費需,要原の49 2,464,861 4,175 20,200~ 72~88 146 207 25,000 50 2,420,657 3,399 25,000~ 86~88 166 236 26,300
注山本勝己「再構築の構図とコンピナート体制jの捻示H化学経済~1976年6月号6ベージおよび菅沼甲子郎「新価格体系への移行と化学品貿易」前掲50ページ,石油化学工業協会『石油化学工業10年史~,~石油化学工業の現状』ょP作表。
であったことが︑わが国石油化学工業の大きな特徴であったといってよい︒
ところが︑その後︑昭和四七︑八?年以降︑こうした発展のパターンが破綻し︑成長が鈍化するとともにいわゆる石
油危機以降の建設費の高騰︑原料価格の上昇︑それにともなう製品価格の上昇によって需要が低下してきている︒第
4
表では︑生産の停滞︑原料価格︑製品価格の顕著な上昇をよみとることができる︒石油化学工業は︑以上みてきたように装置工業マあるという技術的な特質のなかで︑業界︑政府の産業政策をテコとしながら急速な成長を実現して
きた
ところで︑こうした石油化学工業の急成長の具体的な内容はどのようなものであったであろうか︒すなわち︑石︑油 ︒
化学工業の急成長は個々の企業にあヮてどのようなものとして現われたであろうか︒こうした分析視角から︑石︑油化
学工業の減価償却の内容︑また先発企業と後発企業め収益性ゴ操業度の格差のもとで装置産業としての大型化の﹁効
果﹂はそれぞれ具体的にどのようなものであったか︑さらに設備投資と減価償却とはどのような関連をもってきたか
について分析を進めていこう︒
( 1 )
﹁産業構造調査会化学工業部会︑有機化学小委員会総論﹂会︑四四べ}ジ
( 2 )
と乙ろ台︑以よの指摘は︑官界︑業界︑学会の参加のもとにおこなわれた﹁﹃化学工業に関する懇談﹄の成果﹂(昭和三六‑一一・八﹀にもとづいていることはいうまでもない︒この﹁﹃懇談﹄の成果﹂では︑たとえばエチレンについて︑装置の規
模と原価︑および操業度とエチレン価格の関連を次図のように指摘している︒この指摘は︑‑当時のエチレン装置の規模が二万
トンであったなかで︑﹁キログラム当たり四O円台でエチレジの供給を目標とするためには技術的には︑完全操業度舎前提と
してエテレンの生産規模で現状では四J六万トン/年以上のものが適当である﹂として︑エチレン装置の基準を設定するという役割をはたした(通商産業省軽工業局﹁﹃化学工業に関する懇談﹄の成果﹂﹃化学経済﹄昭和三七年一月号﹀︒
(昭
和三
八年
八月
)
﹃石
油化
学工
業一
O年史﹄石油化学工業協
わが国石油化学企業と減価償却
五
ヱチレン工場原価試算例
(担プロピレシが純ヱチレ Yの10円安とした場合) わが国石油化学企業と減価償却 副 産 物 控 除
(0420
円/ K g K c a l
分解油 7 , 500円 /KL( キ 080~1∞ 0)
重 油
0
的円V 1 0 0 Q K c a l
オフガス I( I1
条件:原料ナフサ
7 , 5 0 0
円/ K L
H 原 油
6
,5 0 0 "
(注)金制込み土地代合まず
6 0
純エチレン価格
5 0
4 0
円/ぬ
1 0 0 , 0 0 0 T/Y 8 0 , 0 0 0
4 0 , 0 0 0 . 6 0 , 0 0 0
エチレン規模
2 0 , 0 0 0
30五
『化学経済』昭和37年1月号15ベ{ジ 注
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後 知 三 喜 用 ら た 料 に ンぞ ま 争 自 件 工 氏 会 つ 目 郎 ハ 世 し の と が は 収
の で 全 社 の 業 は 宿 署 ぃ 木 、 八 茂 て 分 と 必 実 率
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原料ナフサ
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純エチレン価格
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40
円/向
わが国石油化学企業と減価償却 四八四ページ
50
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6
度河 80 業
操 30 90
100
『化学経済』昭和37年1月号17ページ 注
五
わが国石油化学企業と減価償却
五回
て﹂おり︑こうした状態のもとで︑﹁企業問競争に勝つために残された道は︑装置工業における規模の有利性を生かした装置
の大型化が一番安易で確実だということになる﹂ことを指摘されている(近藤完一著﹃日本化学工業論﹄二ハ三ページ)︒なお︑原料ナフワの安定供給の状況については石油化学工業協会︑前掲書︑第二部三章﹁石油化学工業の原料事情﹂および渡辺
徳ご編︑前掲書︑第四編三章﹁化学工業の再編成とその基盤の変化﹂に詳しい︒
減価償却の実態
(1)
税法の減価償却規定
企業の会計は税法の規定にしたがって実施されていることは周知のところである︒すなわち︑税法の規定は実質的
には企業会計を規定してlいる?したがって石油化学企業の減価償却の実態を検討するにあたって︑まず税法の規定を
検討する必要がある︒
わが国の法人税法では︑有形固定資産については残存価額一
O
パーセント︑定額法および定率法による減価償却計算を規定している(法人税法施行令四八条可固定資産の耐用年数については︑減価償却資産の耐用年数等に関する省令
の別表において︑資産の種類︑細目をかかげて具体的に規定している︒右油化学工業にかかわる主要な機械及び装置
の耐周年数表を第
5
表にしめす︒第5
表によると︑宮油化学企業での中心的な装量であるエチレン製造装置が九年︑またポリエチレン製造装置が八年というように︑おおむね八︑九年の耐周年数となっている︒すなわち︑石油化学金
業の税法に規定する償却計算は︑耐周年数八︑九年︑残存価額一
O
パーセントの定額法および定率法による償却となって
いる
︒
以上の償却規定にくわえて︑周知の特別償却の規定がある︒石油化学企業では︑昭和三
0
年代以来の急速な拡大の第5表装置の耐用年数(税法﹀
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耐 八 /¥ 九 /¥ 七 /¥ 九 七 周年数 わが国石泊化学企業と減価償却 なかで︑大型装置を特別償却の利用によって早期に償却してきた︒この特別償却は従来︑企業合理化促進法にもとづいた租税特別措置法第四三条の重要産業用合理化機械の規定によって実施されていた︒この規定では︑たとえば昭和田二年三月現在でつぎのものを合
理化機械としていた︒洗剤用アルキルベンゾール製造装置︑
エタ
ノ
ール製造装置︑アセトン製造装置︑プタノl
ル製
造装
置︑
へプ
タノ
ール
製造
装置
︑
エチレン製造装置︑アクリルニトリル製造装置︑酢
酸ビニール製造装置︑高圧法ポリエチレン製造装置︑ポリプタジエ
ン製造装置︒以上の合理化機械を取得し︑事業の用に供したときに
初年度に取得価額の四分の一の額を特別償却として︑すなわち費用
として計上することが認められていた︒重要産業用合理化機械の特
別償却の範囲額は︑昭和二七年当時は普通償却とあわせて取得価額
の二分の一という制度であったが︑昭和三六年に普遇償却を区分し
て特別償却の範囲を取得価額の三分の一に改め︑さらに昭和三九年
に四分の一に変更された︒
以上の償却計算を仮設例によって検討しておこう︒取得価額一︑
0 0
O
パーセント︑耐周年0
万円の固定資産について︑残存価額一五五
わが
国石
油化
学企
業と
減価
償却
償 却 方 法 の 比 較
年 度 特
I 1 121 3 I 4 151 6 I 7 I 8 19
償却費 l(t~1)11241 9 6 1 7 4 1 5 7 1 4 4 1 3 4 1 2 0 1 ‑
累 計 額 川
5 11 吋州日 1 5 叫吋 8 8 4 州 9 0 0
償 却 費 同
2 6 1 叫吋吋 8 1 1 6 3 1 4 8 1 3 8 1 3 0
定 率 法
累 計 額
1 2 2 6 1 叫吋叫叫叫叫叫 9 0 0
定 額 法 償 却 費
1 1 0 0 1 叫叫叫叫川刈叫 1 0 0
累 計 額 い
0 0 1 叫刈叫叫叫刈叫 9 0 0
第B表
取得価額1,000万円,耐周年数9年,残存価額10%の設備資産についての各償却方法 の仮設伊jである。
注
五六
数九年(石油化学工業の主要な装置であるエチレン製造設備の耐周年数は九年
である)で︑定額法︑定率法︑出特別償却(定率法﹀によって償却する
と︑第6表のようになる︒この表によると︑定率法によっても税法の耐
用年数のなかばには七割あまりの償却を終了することになる︒また︑こ
れに初年度四分の一の特別償却を加えると︑﹂初年度には四五一万円(定
率法による普遇償却額二二六万円と川特別償却額二二主万円の合計額)の償却
を実施し︑償却額全体の五
O
パーセントを償却してしまう︒そして︑実質的には四︑五年で償却を完了することがわかる︒こうした加速度償却
が︑わが国石油化学工業の拡張に即応して準備されていた︒
さて︑以上の重要産業用合理化機械の制度は︑わが国経済の高度成長
から低成長への移行にともないその必要性がうすれ︑昭和四八年の税制
改正で︑昭和五
0
年度までは経過措置として残し︑それ以後は廃止する﹂と
にな
り︑
﹂れが租税特別措置法の附則として規定された︒﹂の経
過措置では︑最初の一年間すなわち昭和四九年三且二二日までは特別償
却の割合は従来どおり取得価額の四分の一とし︑次のプ年間は一六パi
(口 )
セント︑最後の年度は八パーセントと漸減することとなった︒
現 在 で
は︑特別償却はその範囲を縮少し特定設備等の特別償却として公害防止
石油化学工業主要設備の状況
昭和51年現在(単位:千トン/年〉
5備〈1公能/8称現力〉在 設 ブ償 却 終 了 法数定 耐 周 年 ラ
(B
〉 トン(B)/(A)
(A) %
エチレン 5,243 ,1184 23 9
低密度ポリエチレン ,1394 610 44 8
高密度ポリエチレン 947 183 19 8
エチレンオキサイド 560 162 29 8
スチレンモノマー ,478 1 274 19 9
アセトラルデヒド 767 410 53 7
塩ピモノマー 2,476 (1,189) 48 7
酢酸ビニーノレ 585 341 58 7
ポリスチレン (770) 322 43 8
塩 ピ 樹 脂 1,979 683 35 8
ポリプロピレン ,1059 151 14 8
第7表
わが
国石
油化
学企
業と
減価
償却
(1) 償却終了プラγトのうちアセトアノレデヒド,酢酸ピユーノレ,塩ピモノマー,塩ピ 樹脂の能力は休廃止分及び旧法〈石油化学系原料転換前の設備〉のプラγトを含ん でいるため,現宥能力との対比は目安程度の意味にとどまる。なお酢酸ピ品目Jレの 現有能力はカーパイドアセチレγ法及ひ.天然ガス原料法を,境ピ毛ノマー・温ピ樹 脂はナフサ分解法,原油分解法,カ【バイドアセチレン法を含む。
(2) 広沢容「石油化学工業の供給カ見通しJW興銀調査]186, 1972 No. 6, 10ページ より。
主 主
用機械装置等をはじめとする特
定設備を得取し︑事業の用に供
したとき︑その初年度に普通償
却のほかに取得価額の一定割合
を償却することができる
(租 税
特別
措置
法第
四三
条)
︒以
上の
税法
の減価償却規定にしたがって︑
企業は税法上の所得計算のみな
らず︑基本的にはすべての損益
計算をおこなっている︒
(2)
製造装置の実態
石油化学工業において実施さ
れる
償却
計算
は︑
八
t
九年の耐用年数によって定率法または定
額法によってなされているこ
と︑また特別償却の利用によっ
て実質的には四︑五年で償却計
五 七
わが国石油化学企業と減価償却
五八 算を終了していることを指摘したQところで以よの指摘は︑減価償却算計がそうなっているということであって︑こ
の計算がどのように実際の製造装置の状況と軍離しているかが問題となる︒
石油化学工業め製造装置の実態を広沢容氏め分析によりながら︑まず第7表をマかよう︒第7表は石油化学工業の主
要設備の状泌をしめしている︒これによるとエチレン装置では現有能力全体の二一ニパーセントが償却済みのプラント
から構成されているという︒また︑低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)四四パーセント︑高密度ポリエチレ
シ(中低庄法ポリエチレン)一九パーセント︑酸化エチレン一一九パーセント︑スチレンモノマl一九パーセント︑ポリ
スチレン四三パーセント︑ポリプロピレン一四パーセントとなっている︒アセトアルデヒド︑塩ビモメマl︑酢塩ビ ニ
l
ル︑塩ビ樹脂については︑休廃止分および石油化学系原料転換前の設備をふくんでいるため償却済み能力の割合が一品くなっており︑目安程度の意味にとどまるという︒しかし︑全体としてみると︑石油化学工繁では現有能力のニ
01
三O
パーセントが償却済みの装置によって構成されていると考えてよい︒もちろん特別償却を考慮にいれれば︑この値はより大きなものとなることはいうまでもない︒
こうした装置の実態につづいてもう少し詳しく最も中心的な装置であるエチレン製造装置についてみてみよう︒第
8表によると︑昭和三三年
t
三九年に生産を開始した装置は一一基︑七九万トン存在している︒とれらは一O
万 ト ン /
年以下の老朽プラントでコンプレッサーもレシプロ方式が多く︑
先発企業の二号機および後発企業の一号機からな る︒また︑昭和四
C
年?四三年に生産を開始したプラントは一O
基 二 四
O
万トンとなっている︒このプラントは大部分一
O
万ト
ンム
口お
よび
二
O
万ト
ンム
ロの
装置
であ
り︑
コンプレッサーもセントリフュ
l
ガル方式に切換っており︑十分に経済的な稼動が可能である︒昭和四四年以降に生産を開始したプラントは︑ほとんどが三
O
万トン台の新鋭プランエチレン装置の状況
昭和
5 2
年現在(単位1,0 0 0
トン/年〕生 産 の 開 始 時 期 プ ラ ト〈比ン率数第)
I
生産能〔比率力%)
昭 和(償却済み〉
3 3
~3 9
年 117 9 1 1 3 . 9
昭 和(償却済み〕
4 0
~4 3
年1 0
,14 0 1 2 4 . 7
昭 和
4 4
年 以 降 113
,4 6 8 6
1.2
ぷ日』 J十
3 2 1 0 0 . 0
第8表
わが国石油化学企業と減価償却
(辺
)
トであり一一基︑三四七万トンとなっている︒
ところで︑これら製造装置のうち昭和国三年以前に建設されたもの
は︑税法の耐用年数である九年を経過しており帳簿上は償却済みとなっ
ている︒すなわち︑生崖能力では全体の四
O
パーセントあまり︑装置基数では七
O
パーセントあまりがすでに償却済みとなっている︒さらに昭和四四年以降に生産を開始した大型装置についてみても︑昭和四四︑四
五年に生産を開始したものは六基にもおよび︑これらはすでに七年経過
第1表より作成,ただし第3予備装置をのぞく。
して実質的にほ償却済みとなっている︒すなわち︑わが国石油化学工業
のエチレン装置は大部分が償却済みとなっていると考えられる︒
このように検討してくると︑わが国の税法の耐用年数は︑実際の使用
期間と対比するときわめて短いものであり︑実質的にほエチレン装置の
使用期間はかなり長いものであると考えなければならない︒
たと
えば
︑ 広沢容氏はヱチレン装置の耐用年数についてつぎのように指摘してい る
﹁物理的老朽化の観点からみた耐用年数は一五年とも二
O
年ともなかなか決め難く︑例えば分解炉の中で高熱にさらされているチューブ等
(材
質が
改良
され
たに
もか
かわ
らず
︑
百 四
F F 4 0色々操業での耐用時間は三万 注
時間程度にまで短縮している模様)は消耗品として一定時期に交換する
五 九
わが
国石
油化
学企
業と
減価
償却
ノ、
。
﹁経験的﹂に﹁既設のプラントについての物理的老朽化及び経済的陳腐
化の両面から耐用年数一七年を一応の司途﹂としている︒この指摘は︑すでに指摘した現存のエチレン製造装置の構 し︑コンプレッサーや低温精留工程も定期的なメインテナンスを励行する限り︑長期的な使用に耐え得るものと見ら
(臼
)
れる﹂︒さらに経済的陳腐化を考慮しながら︑
成についての検討からも裏づけることができる︒
わが国石油化学工業の製造装置の実際の使用期間と︑減価償却計算上の耐周年数との間には︑いちじるしい差があ
ることが明らかとなった︒このことは︑計算上の費用を拡大することはいうまでもないが︑とくに設備資産の拡大が
ハお
)
顕著であった石油化学工業においては︑費用の拡大は莫大なものとなる︒
(3)
一井石油化学︑三菱油化の減価償却
わが国の代表的な石油化学企業である三井石油化学および三菱油化の減価償却の実態について検討しよう︒
第9表によって三井石油化学の使用総資本と利益および減価償却貢(減価償却資産についての値)
の状
況を
みよ
う︒
第9表によると︑公表の経常利益の水準に対して減価償却は高い水準で計上されてきたことがわかる︒なかでも昭和
三九年九月決算から昭和四六年九月決算の問は定率法を採用することによって使用総資本に対して一
O
パーセント前後の減価償却費を計上した(一年当りに換算した催﹀︒また︑昭和三九年一一一月決算以前および昭和四七年三一月決算以降に
おいては定額法を採用しており︑使用総資本に対する減価償却費の割合は︑一時期をのぞいて五
t
七パーセントとなっている︒しかし︑定額法の実施期にあっても昭和三一五年九丹︑三六年九月︑一一一七年三且また最近では四九年三月︑
四九年九月︑五
O
年コ一月決算に︑償却範閤額を上回った減価償却を実施している︒なかでも石油化学工業が高収益を実現して償却方法を定率法に変更する直前の昭和三八年九月決算には一