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1次元ナノ細孔中ヘリウムの超流動と 朝永-ラッティンジャー液体的挙動

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Academic year: 2021

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 一般に、低次元系は強い量子揺らぎが多様な現象を引 き起こすため、物性物理の重要な課題であり続けてきま した。その中で、1次元フェルミ系は朝永-ラッティン ジャー(TL)流体として振る舞うことが知られており、

すでに1次元電子系を中心に実験的研究が進んでいま す。一方、1次元ボーズ系は理想気体ではBEC(ボーズ・

アインシュタイン凝縮)状態にならず、1次元系4Heに おいても超流動性を示さないと考えられてきました。し かし最近、1次元系4Heがボーズ系TL液体となり超流動 性を示すことが理論的に予測されました。特に、東京大 学物性研究所の押川らは、「TL液体の超流動応答は動的 な現象で、超流動応答に伴うエネルギー散逸のピーク温 度が観測周波数に対して “べき的” な依存を示す」とい う重要な指摘をしています。

 私たちはこれまで、1次元ナノ細孔(図1)に4Heを 閉じ込めることで1次元系4Heの実現を目指し、その超 流動性をねじれ振り子法により実験的に調べてきまし た。ねじれ振り子は、ねじれロッドと試料セル(細孔と

4Heが中にある)で構成され、超流動成分を共振周波数 の上昇として検出するものです。孔径2.8nmの細孔中 では、超流動はバルク4Heの転移温度より1K以上低温 で現われ、さらに、その成長はエネルギー散逸のピーク を伴う動的な現象であることが分かっていました。

研究の成果

 私たちは、細孔中の超流動がTL液体的な特徴を有す るかどうかを調べるために、複数の周波数で超流動を観

測することを考えました。そのために、ねじれロッドに 試料セルとおもりをつけることで2つの共振モード(2 kHzと0.5kHz)を持たせた、2重連成振り子を開発し ました。(図2挿入図)これを用いて測定した結果、図 2に示すように、超流動の立ち上がり、およびエネルギー 散逸のピークが、周波数の低下により低温側に40mK程 度シフトすることが分かりました。この大きさは押川ら の予測とほぼ一致しており、細孔中4HeでTL液体が実現 している可能性を示す、初めての観測事実となりました。

今後の展望

 今後、広範囲の周波数領域で超流動を観測する測定法 を開発し、周波数依存の詳細を調べていきたいと考えて います。これにより、細孔中の超流動とTL液体との関 連が実験的に明らかになるでしょう。系の次元を下げる ことで初めてあらわになる「量子揺らぎの効果」を、超 流動という現象を通して明らかにしていければと考えて います。

研究の背景

1次元ナノ細孔中ヘリウムの超流動と 朝永-ラッティンジャー液体的挙動

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 助教

谷口 淳子

平成23-25年度 若手研究(B)「1次元細孔中 の液体3Heを用いた朝永-ラッティンジャー液体の 研究」

平成26-28年度 基盤研究(C)「ナノ細孔中4Heを 用いた1次元特有の動的な超流動応答の実験的解明」

関連する科研費

図2 孔径2.8nmの細孔中4Heの超流動応答。Tph、Tplはそれぞれ2、

0.5kHzにおける散逸ピーク温度。挿入図は2重連成振り子の模式図。

図1 1次元ナノ細孔中4Heのイメージ図

理工系 

Science & Engineering

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参照

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