企業における障害者雇用の職場改善事例を募集
(テーマは「精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者、難病患者の職場改善事例」
)
企業の障害者雇用と職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備などを
改善・工夫し、働きやすい職場にするためにさまざまな取組みを行った事例を、
全国の事業主のみなさまから募集し、優秀事例を表彰します。また、入賞事例に
ついては、改善内容を事例集としてまとめ、広く周知する予定です。
◆募集テーマ:精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者、難病患者の職場改善事例
◆募 集 期 間:平成 27年6月1日(月)まで(必着)
◆応 募 方 法:指定の応募用紙にご記入いただき、郵送または電子メールにてご応募くだ
さい。応募用紙などは、当機構ホームページからダウンロードできます。
詳細は、別紙「平成27年度障害者雇用職場改善好事例応募要項」のとお
りです。
◆表 彰:最優秀賞(厚生労働大臣賞)、優秀賞(独立行政法人高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長賞)、奨励賞(同理事長賞)をお贈りします。
最優秀賞、優秀賞については、9 月の障害者雇用支援月間に東京で開催す
る表彰式において、表彰を行う予定です。
◆好 事 例 集:入賞事例については、改善内容を事例集としてまとめる予定です。
平成 16 年度以降の事例集は、当機構ホームページでご覧いただけます。
〔
http://www.jeed.or.jp/disability/data/handbook/ca_ls.html
〕
別紙「平成27年度障害者雇用職場改善好事例応募要項」
別添「平成26年度の好事例集(見本)」
平成27年5月1日 第 175 号〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2
申込 み・問合せ:雇用開発推進部雇用開発課
(担当:綱川)
TEL:043-297-9515
FAX:043-297-9547
発 行:企画部情報公開広報課
TEL:043-213-6207
Mail:[email protected]
URL:http://www.jeed.or.jp
報道資料平成27年度障害者雇用職場改善好事例
応募要項
応募先・お問い合わせ先
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
雇用開発推進部 雇用開発課
〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 障害者職業総合センター
TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547
メールアドレス [email protected]
ホームページ http://www.jeed.or.jp/
別 紙
平成27年度障害者雇用職場改善好事例応募要項
1 趣旨
障害者雇用において雇用管理、雇用環境等を改善・工夫し、様々な取組を行っている事業所の中か ら、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することにより、事業所におけ る障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るとともに、障害者雇用に関する理解の向上 に資することを目的とします。2 募集テーマ
平成26年度障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業における雇用障害者数、実雇用率とも に過去最高を更新し、特に精神障害者雇用の伸び率は大きく、前年より 24.7%の増加となりました。 その一方、平成25年度障害者雇用実態調査によると、事業主は、障害者雇用に当たり「職務創 出」「採用時における適性、能力の把握」等を課題として考えており、採用した障害者の適材適所に向 けた取組が求められているところです。 また、平成26年に当機構が報告した調査研究によると、ハローワーク等における就職困難性の高 い障害者として、特に精神障害者(発達障害者、高次脳機能障害者を含む)、難治性疾患患者(以下 「難病患者」)が急速に増加していること、疾病管理と職業生活の支援に係る整備が必要なことが明 らかになっており、就労に向けたノウハウの蓄積が求められています。 このように、障害者雇用数を増加させることだけでなく、職務創出、適性等の把握など職場定着に つながる問題に対応していくことが、企業にとって避けて通ることのできない課題になっているとい えます。 そこで、平成27年度においては、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者、難病患者の新規 雇用、職場定着に取り組んだ、以下に掲げる職場改善好事例を募集します。 (1)採用時において適材適所に向けて取り組んだ事例 ① 採用の段階で本人を理解するために、面接の方法などの工夫・改善に取り組んだ事例 ② 採用時に支援機関と連携し、本人の雇用に向けた情報収集や制度活用などの工夫・改善を 行い、職務への配置や職場の環境整備などにおいて参考とした事例 (2)作業内容の改善や職務内容の再構築、新たな職域の拡大、または既存の業務に適応できるよう 様々な対応をする等により職場定着を図った事例 ① 諸事情により職務創出が難しく、既存の職務の中で職場定着を図るため、社内での取組、 支援機関を交えた相談、配置転換をするなど工夫して取り組んだ事例 ② 各人の職業適性や能力の把握において工夫し、それに応じた職務を創出したり、職務の再構 築などを図った事例 ③ ジョブコーチや支援機関を活用し、相談・支援を重ねて新たな職域の拡大などを図った事例 (3)各人の特性に配慮した雇用管理または社内体制整備に取り組んだ事例 ① 疾病管理と職務遂行の両立に向けて、雇用管理上の工夫や社内体制の整備に取り組んだ事例2
② 支援機関と役割分担し、連携をしながら、各人の特性を配慮した雇用管理に取り組んだ事例 ③ 従業員として自律して職務に従事できるように、スキルアップやキャリアアップのための 取組、研修の実施などに取り組んだ事例3 主催
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
4 後援
厚生労働省
5 応募締切日
平成27年6月1日(月)(必着)
6 応募資格
(1)障害者手帳※1、その他「診断書」等により障害者であることが確認できる精神障害者、発達 障害者、高次脳機能障害者、難病患者を雇用している企業または事業所※2。 (2)応募時点において、労働関係法令に関し重大な違反がないこと及びその他の法令上又は社会 通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 (3)応募事業所において障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目としていないこ と、かつ自企業グループ内に障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目とする企 業がないこと。7 応募方法
(1)指定の応募用紙を使用し、応募用紙のみで改善の内容が簡潔にわかるようにご記入ください。ま た、応募用紙の各項目は変更しないでください。なお、参考資料として、図、イラスト、写真等を
※1 障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をいいます。 ※2 本募集の対象となるのは、上記※1 の障害者手帳所持者のほか、以下のとおりです。 精神障害者:統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにか かっている者 発達障害者:発達障害者支援法第2条に規定する者(自閉症、アスペルガー症候群その他 の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機 能の障害) 高次脳機能:医療機関において高次脳機能障害と診断された者(脳の器質的病変の原因 となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されており、主たる原因 が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害が 主要症状の者) 難 病 患 者 :原因が不明であって、治療方法が確立していない、希少な難治性疾患のた め、長期にわたり職業生活に制限を受ける者 障害者つけても構いません(添付資料はA4サイズにおさめてください)。ただし、学会や研究発表会等 で使用した論文、著作本、大量の基礎データを参考資料として用いることはご遠慮ください。 (2)応募する事例については、上記2の募集テーマ(1)~(3)の全部又は一部に該当するものとし ます。 (3)応募用紙は、表紙に記載している「応募先・お問い合わせ先」のほか、厚生労働省、都道府県労働 局、ハローワーク、地域障害者職業センター、都道府県支部高齢・障害者業務課(前高齢・障害者 雇用支援センター)、障害者就業・生活支援センター等で配布します。 また、当機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp/)からダウンロードした用紙も使用できま す。 (4)応募用紙は、表紙に記載している「応募先・お問い合わせ先」に郵送または電子メールにてお送り ください。 (5)前年度に入賞した事業所の応募につきましては、前年度と同様の改善事例又は改善内容の一部を変 更した事例による応募は原則認めないこととし、新たな改善事例のみ受け付けることとします。
8 賞
優秀な事例には、最優秀賞(厚生労働大臣賞)、優秀賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援 機構理事長賞)、奨励賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞)を贈ります。 なお、優秀賞と奨励賞については、部門(一般部門、特例子会社部門)を設け、部門ごとに賞を贈 ります。9 審査
当機構に審査員会を設置し、審査します。なお、審査において同程度の評価を受けた応募事例があ った場合は、過去に受賞歴のない事業所を優先的に選定します。10 表彰
上記の最優秀賞、優秀賞の入賞事業所の表彰式は、平成27年9月に東京で開催する予定です。
11 その他
(1)応募の際、事例の対象となる障害者の承諾を得てください。また、障害者の名前の表記について は、イニシャルを用いるなど匿名にしてください。 (2)応募書類は、返却しません。 (3)応募した文書の著作権及びこれに付随する一切の権利は、当機構に帰属するものとします。 (4)応募に際して得られた個人情報は、当機構が管理し、本募集の実施運営にかかわる作業と障害 者雇用の普及・啓発に関する資料送付のみを目的として使用します。 (5)応募事例のうち、入賞事例については取材を行い、具体的な事例の内容を取りまとめ、当機構ホー ムページに掲載します。また、入賞事例をすべて掲載する入賞事例集の作成もしくは入賞事例のうち 数事例を対象とした動画制作のいずれかを行うこととしています。活用した支援機関・企業内の専門人材
第一生命チャレンジド株式会社
(東京都北区)
安心して働ける環境を整え、課題に対して段階的に
チャレンジすることで、社員としての成長を促す取
組を実現
事業所の概要
第一生命保険相互会社※の子会社として平成18年8月に設 立し、特例子会社として平成18年11月に認定を受けた。設立以 来、複数の就労場所で幅広い業務を展開し、知的障害者や精神 障害者を中心に積極的に雇用しており、印刷、書類発送、清掃、 喫茶などの業務に従事している。(※ 第一生命保険相互会社は、 平成22年4月1日付で『第一生命保険株式会社』となった。) 障害のある従業員数132
名 (平成27年1月1日付)精神障害者雇用の経緯
精神障害者の雇用形態・勤続年数
特例子会社を設立した当初より知的障害者を中心に雇用を進めるが、 知的障害者だけではなく精神障害者の雇用にも取り組んでいくという考 えのもと、平成21年~ 22年度には厚生労働省の精神障害者雇用促進モ デル事業に参加し、その2年間で11名の採用を行う(現在も全員雇用継 続中)。採用では、業務に合わせた人財を募集するようにしている。業種及び主な事業内容
印刷業、書類発送、清掃業、喫茶業精神障害者雇用数・従事作業
精神障害者23
名 (平成27年1月1日付) <従事作業> オフィス清掃業務、書類発送業務など1
不安の軽減
5
職域拡大
6
モチベーションアップ
2
支援機関との連携
3
出勤の安定
4
コミュニケーションの改善
7
キャリアアップ
8
個人目標の設定
キーワード
平成26年度 障害者雇用 職場改善好事例最優秀賞
就労支援センター、作業所、 就労継続支援B型事業所、 障害者職業センター 職場定着推進室 [支援機関] [専門人材] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 19名 週の労働時間短縮等の変動あり パート ・ アルバイト 週の労働時間が30時間以上 1名 週の労働時間が20 ~ 30時間未満 3名 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 1年~ 2年未満 2名 2年~ 3年未満 1名 3年~ 4年未満 1名 4年~ 5年未満 4名 5年以上 12名1
平成26年度の好事例集(見本)
別添
▼
湯浅 善樹
さん(代表取締役社長) 当社では、平成18年度から精神障害のある方を採用しています。当時は初めてということもあり不安が ありましたが、採用に関しては、仕事ができること、通勤できることという点を重視して面接をしました。 翌19年には、精神障害の特性を十分理解している精神保健福祉士を採用して社内の体制整備を行い、平成 22年には、厚生労働省のモデル事業を受託したことで、精神障害のある人を新たに6名採用することとな りました。このうち3名は、同じ作業所に通所する仲間でしたが、3人がお互いに支え合うことでスキル向 上、やる気のアップに繋がったと思われます。採用当初は、企業で働く意識が育っていなかった面も見ら れましたが、これはOJTで実際に経験を積ませながら解消していくことができました。 これらの経験から職場定着においてモチベーションは重要であり、自分で考え自分で取り組んでいくという社員の自発性が 大切であることを学びました。一方、企業側としては、社員の意見を聞くこと、社員がキャリアアップを目指せる仕組みを整 えることが必要だと思っています。当社では、障害のある社員が上の職位を目指せる仕組みとなっています。やればできるの ですから、初めからできないと決めつけず、何事もチャレンジさせてみることが可能性の扉を開けるものと考えています。最優秀賞
取 組 の 概 要
キーワード
改善前の状況
改善内容
改善後の効果
改善策① 1 不安の軽減 ①業務の失敗に対する不安②日頃の仕事への適性に関 する不安③以前の就職のよ うに長く続かないかもしれ ないという不安などを抱え ており、それがミスにつな がったり、落ち着いて仕事 ができなかったりすること の要因になっていた。 ①業務遂行における工夫を行い、自 信を持って仕事ができるようにした 上で、失敗した時は原因と対策を話 し合った。②定期的に支援機関に訪 問してもらい、本人、支援機関、企 業の三者で情報を共有した。③実習 の設定、同じ作業所に通所する3名 を同時期・同部署に採用した。支援 機関への登録を勧めた。 ①本人の視点が、失敗への恐 れから失敗を繰り返さないた めの対策を考えることへ変化 し、安心感につながった。② 支援機関を通して家族とも情 報共有でき、安定して働ける 環境作りができた。③悩みや 不安を支援機関へ相談し、解 決できるようになった。 改善策② 3 出勤の安定 入社前の生活において毎日 体 を 動 か す こ と が な かったため体力的にきつ く、緊張感や偏頭痛があ り、欠勤・早退が見られて いた。また、同部署で働く 同期入社の3名全員が同 じ日に休暇の申請をする など課題があった。 短時間勤務から段階的に勤務時間を 延ばした。体調によっては勤務時間 を短くするなど柔軟に対応した。体 調が悪いときは早めに休むこと、状 況に応じて半日公休も活用すること を伝えた。人員体制に余裕を持たせ る、同じ業務を複数人で対応するな どの環境整備をした。 3か月後には7時間勤務に移 行することができた。 これまでよりも、適切な体調 管理ができるようになり、安 定勤務につながった。 改善策③ 4 コミュニケー ションの改善 Aさんは、他の社員とのコ ミュニケーションが必要 な業務へチャレンジし、ス テップアップすることが 求められていた。 Bさ ん は、体 調 不 良 を 早 めに伝えることができな かったり、次の仕事で何を するか分からない時に同 僚に確認できなかったり していた。 Aさんには、少人数(3名)の同僚との 共同作業を設定し、同僚と話し合い をして情報共有を図った。その後、 チーム制となり、6名の同僚と仕事 をするとともに、新人の育成担当と いう役割を担うことになった。 Bさんには、上司を固定し、関係性の 構築に努めた。次第にBさんから職 場で対応しきれないの要望もあがっ てきたため、職場定着推進室が社内 ルールとのバランスを見ながら要望 への対応の可否を判断した。 Aさんは、同僚が新人に仕事を 教えている間はその人の分ま で仕事をフォローすることも できるようになった。チーム内 の定期ミーティングでは、少し ずつ自分以外のことに関心を 持つようになった。 Bさんは、職場定着推進室がサ ポートすることで、現場の上司 との関係性を保ちつつ、職場で 求められるコミュニケーショ ンができるようになり、業務が 円滑に進むようになった。 改善策④ Aさんは、受け身の姿勢が 目立っており、本人のキャ リアアップのためには仕 事に対する積極性が必要 であると考えた。 Bさんは、出勤が不安定 だったが、その背景には、 本人が仕事に対するモチ ベーションを保てないこ とがあると考えられた。 Aさんは、目標管理制度における上 司との面談で、「同僚とのコミュニ ケーションが必要な業務へチャレン ジし、ステップアップする」という 目標を決め、取り組んだ。 Bさんは、目標管理制度における上 司との面談により、これまでの評価、 今後の期待について説明を受け、新 たな業務・役割にチャレンジするこ とを目標設定した。 Aさんは、将来像を見据えて 仕事に従事するようになり、 会議中の質問もするなど、業 務への積極性が出てきた。 Bさんは、他の社員への指導 や見学者の対応、チーム全体 のマネジメントができるよ うになった。企 業
の 声
インタビュー 2 支援機関との 連携 5 職域拡大 7 キャリアアップ 8 個人目標の設定 6 モチベーション アップ1
不安の軽減2
支援機関との連携3
出勤の安定改善策
1
改善策
2
改善策紹介
社員が抱える不安軽減に向けて、3つの工夫・改善を実施
フルタイム勤務に向けて段階的な勤務時間の延長や適切な公休
取得により安定した出勤を実現
当社で採用した精神障害のある社 員の中には、①業務の失敗に対する 不安②日頃の仕事への適性に関する 不安③以前の就職のように長く続か ないかもしれない不安などを抱えて いる者がおり、それがミスに繋がっ たり、落ち着いて仕事ができなかっ たりすることの要因になっていた。 そこで、①~③の不安軽減に向け て、3つの工夫・改善を実施した。 ① 業務遂行の工夫 書類発送業務を習得しやすいよ う工程を細分化し、必ずしも工程 順ではなく、本人が比較的習得し やすい工程から進めるようにし た。また細分化したことで、本人 にとって業務の習得状況がわかり やすいというメリットもあった。 そして工程ごとに透明な箱(写 真参照)を準備し、未処理の書類 が多く残っていて優先的に処理が 必要な工程を、誰もが一目で分か るようにした。 また失敗した時でも原因と対策 についてまず本人と一緒に話し合 うことで、本人の視点が失敗への 恐れから失敗を繰り返さないため の対策を考えることへ変化し、安 心感につながった。 ② 支援機関との連携 支援機関に悩みを相談する社員 については、定期的に支援機関に 訪問してもらい、本人、支援機関、 企業の三者で情報を共有した。会 社での状況は、支援機関から家族 に伝えてもらうことで家族の安心 につながり、安定して働ける環境 作りができた。 ③ 採用の工夫 採用前に3週間程度の実習を設 定することで、本人は「続けられ そうか、向いているか」、会社側は 「毎日通勤できるか、意欲がある か」を確認できた。また、同じ作 業所に通所するメンバー3名を同 時期に採用し、3名が毎日同じ現 場に勤務することで環境の変化を 少なくし、不安や緊張を和らげる 工夫をした。さらに、支援機関を 持たない社員に対して、継続勤務 が実現できるよう、支援機関への 登録を勧めた。本人の了解後、支 援機関に月1~2回程度の訪問と 実習期間中の振り返りへの参加を 依頼し、本人との関係性を築ける ようにした。その結果、悩みや不 安を支援機関へ相談することによ り、解決できるようになった。現 在でも年1~2回は、支援機関が 訪問し、関係性を維持している。 Bさんは、入社前の生活において、 毎日体を動かすことがなかったた め、体力的にきつく、緊張感や偏頭 痛があり、欠勤・早退が見られてい た。フルタイム勤務に向けてまず は、月~金曜の毎日5時間勤務から スタートし、1か月ごとに1時間ず つ、段階的に勤務時間を延ばした。 体調によっては勤務時間を短くする など柔軟に対応した。 また、体調の悪い時に公休を取得 しやすくし、周囲もその休みに対応 できるように同じ業務を複数人で担 当するなどの環境整備をした。 一方で、公休の取得方法について 支援機関を交えて話し合い、体調が 悪い時は早めに休むこと、状況に応 じて半日公休を活用し、なるべく業 務に支障をきたさない休み方を一 緒に考えた。併せてグループ内では Bさんに仕事を任せ、本人の役割意 識や責任感が芽生えてくることで、 徐々に休むことが減っていった。 これらの取組により、同部署で働 く同期入社の3名全員で同じ日に休 暇の申請をするなどの課題が見られ たBさんも3ヵ月後には7時間勤務に 移行することができた。またこれま でよりも適切な体調管理ができるよ うになり、安定勤務につながった。 ▲作業上の工夫(⇒p.39) 業務量の「見える化」により一目で進捗 状況を確認キーワード
キーワード
第一生命チャレンジド株式会社
(東京都北区)3
最優秀賞
◀︎表 互いの得手・不得手を 補い合う役割分担4
コミュニケーションの改善5
職域拡大改善策
3
他の社員とのコミュニケーションが必要な業務への職域拡大を段
階的に取り組み、ステップアップを実現
Aさんは、もともと無口で面談で はほとんど会話ができず、業務中も 周囲から孤立しがちなタイプであ り、当初はその点を配慮して業務配 置をしていた。しかし、他の社員と のコミュニケーションが広がるこ とで、業務の広がりも生まれ、当社 にとって大きな戦力になると考え たことから、他の社員とのコミュニ ケーションが必要な業務への職域 拡大に段階的に取り組んだ。 【共同作業とチーム制の導入】 少人数(3名)の同僚との共同作業 を設定し、作業は、本人の得意な文 房具管理とした。活動が軌道に乗る と、話し合う内容が増え、それぞれ が持つ情報の共有が難しくなって きたため、「検討&決定事項リスト」 (p40)を見ながら話し合いを進め、 円滑な情報共有を図った。また、お 互いの苦手な部分を補い合えるよ うに役割分担し、全員が話し合いに 参加しやすいようにした(下表)。 その後、障害のある社員が増加し たことにより新たな体制を作るこ ととし、グループ全体を6チームに 分け、それぞれにチーム長を置く体 制とした。Aさんのチームは6名で、 うち3名が新人だったことから、新 たに新人の育成担当という役割を 担うことになった。自ら新人に仕事 を教えることに加え、同僚が新人に 仕事を教えている間はその人の分 まで仕事をフォローすることもで きるようになった。チーム内の定期 ミーティングにも参加し、会を重ね るごとに少しずつ自分以外のこと に関心を持つようになった。 Bさんは、上司と雑談はできるが 体調不良などを早めに伝えること ができなかったり、次の仕事で何を するか分からない時に同僚に確認 できなかったりしていた。そこで、 まずは現場において、Bさんが職場 で必要なことを話しやすい雰囲気 作りに取り組んだ。 【チーム内の関係性の構築】 入社当初はチームの上司を固定 し、関係性の構築に努めた。日頃か ら雑談やグループの話し合いを行 い、本人が話しかけやすい関係性を 築けるように心がけた。 しかし、良好な関係が構築され ると、Bさんから職場では対応しき れない要望もあがってくるように なった。現場の上司の負担が大きく なってきたため、職場定着推進室 (p13)が関与することとし、社内 ルールとのバランスを見ながら要 望への対応の可否を判断し、本人に 伝えるようになった。職場定着推進 室が関わることで、現場の上司との 関係性を保ちつつ、職場で求められ るコミュニケーションができるよ うになり、業務が円滑に進むように なった。キーワード
▽
A
さん【勤続4年】 最初の2~3年は、一つの工程ができるようになり、次に進めることが嬉しくて仕事をしていました。何回も失敗しま したが、必ず、慌てる自分を助けてくださる上司、自分の失敗をカバーしてくれる仲間がいてくれました。皆、親切で優し く、職場は自分にとって安心できる場所になっていったと思います。 トレーナーになって自分が変化したことは、今までのように黙々と仕事をするというより、会議や面談のことを考えた り、業務の進捗状況が気になったり、チームの皆の仕事ぶりを分かりたいと思うようになりました。また、実習生に、上達 して帰ってほしいと思うようになりました。 この会社は、不得意なこと、一度失敗したことも必ず再びチャレンジする機会を与えてくれると思います。今後は、得意 なことにも不得意なことにも取り組んで、少しでも会社や周りの人に役に立てるトレーナーになりたいと考えています。従 業 員
の 声
インタビュー 役 割( 得 意 ) 苦 手 Aさん 記録、計算、パソコン操作 発言、話し合い Cさん 発言、他者との折衝 計算、パソコン操作 Dさん 発言、意見の整理、進行役 パソコン操作6
モチベーションアップ
7
キャリアアップ8
個人目標の設定改善策
4
目標管理制度の活用によりモチベーションアップを図り、新たな業務
へのチャレンジや責任ある役割を任せることでキャリアアップを実現
Aさんは、上司の指示をよく聞い て仕事をするが受け身の姿勢が目 立っており、本人のキャリアアップ のためには、仕事に対する積極性を 育てることが必要であると考えた。 そのため、目標管理制度における 上司との面談の中で、「同僚とのコ ミュニケーションが必要な業務へ チャレンジし、ステップアップをす る」という目標を決め、取り組んだ (取組内容は改善策3参照)。自分の 目標をきちんと持つことで、将来像 を見据えて仕事に従事するように なり、以前は見られなかった会議中 の質問もするようになるなど、業務 への積極性が出てきた。このような 同僚等との関わりも含めた計画的、 段階的なキャリアアップを図るこ とで、周囲に気を配ったり、他の社 員に自分の意見を伝えたりするこ とができるようになった。その後、 社長賞※1を受賞し、トレーナー※2 に昇格することにもなった。 ※1 社長賞 毎月グループごとに自薦、他薦でその月に 一番頑張った人を社長賞として表彰する 制度。上司が受賞者を決めるのではなく、 グループ全体で決定する ※2 トレーナーの役割 通常業務のほか作業過程における最終 チェック、実習生の対応、支援機関への対 応、チームの取りまとめ、一般職員の評価、 各種会議の参加等を担う Bさんは、出勤状況が不安定で あったが、その背景には、本人が仕 事に対するモチベーションを保て ないことがあると考えられた。加え て、これまで周囲から過度な期待を され、仕事が続かなかったという 不安も持っていた。そこで、目標管 理制度における上司との面談の中 で、Bさんのこれまでの仕事ぶりに ついてきちんと評価するとともに、 今後上司が期待することについて も丁寧に説明をした上で、新たな業 務・役割にチャレンジすることを 目標設定し、本人のモチベーション アップを図った。また、新たな業務 の習得に当たっては、初めから性急 に結果を求めることのないよう配 慮し、例えば、当初は上司との共同 作業から始め、次に上司が近くにい ない中での一人での作業というよ うにステップバイステップで取り 組んでいけるようにした。 その結果、Bさんは、時間をかけ て少しずつ取組ながら、他の従業員 への指導や見学者の対応、チーム全 体のマネジメントができるように なり、現在はトレーナーとして、グ ループ全体の運営に責任もって携 わっている。キーワード
▽
B
さん【勤続5年】 入社前は作業所に通所しており、施設外の建物の清掃に週1 ~ 2回1時間程度働いていました。その頃は、小遣い程 度でもあるし、自分が行かなくても作業所の仲間が代わりにやってくれることもあり、仕事にあまり身が入っていま せんでした。そんな中、支援機関からの紹介がきっかけで当社に入社しました。トライアル雇用期間中は、体力もな く、体調がしんどかったのを覚えています。現場の人にも注意を受けたりしました。それでも、勤務時間を少しずつ 増やしていき、9か月後には嘱託職員から正社員に登用されました。業務には、試行錯誤を重ねながら取り組んでい ます。時間内で業務を終わらせるため、時間配分を自分で考えていますが、何年か前では考えられなかったことです。 今はトレーナーに昇進しましたが、研修では他のトレーナーの話を聞くことや、障害者雇用に関する当社の取組と他 社の取組を比較検討するなどしており、トレーナーになったことは、自分自身の励みになっています。従 業 員
の 声
インタビュー 「目標管理制度」は、年2 回(4月、10月)上司と相談しな がら目標を立て、前回の目標の 振り返りを行うものです。振り 返りの話し合いは、仕事の成長 を確認する場でもあります。解 説
課 長 課長補佐 主 任 リーダー サブリーダー ト レ ー ナ ー 一般職員 ▲職位制度の整備第一生命チャレンジド株式会社
(東京都北区)5
▲支援機関との連携