感光性エポキシ樹脂 SU - 8 表面の濡れにおよぼす 微細凹凸形状とプラズマ改質の影響
小林 誠也a,*,牧野 英司b,峯田 貴c
a山形県工業技術センター(〒 990︲2473 山形県山形市松栄 2︲2︲1)
b弘前大学 大学院理工学研究科(〒 036︲8561 青森県弘前市文京町 3)
c山形大学 大学院理工学研究科(〒 992︲8510 山形県米沢市城南 4︲3︲16)
Effects of Dimension of Micro Pillar Array and Plasma Modification on Wetting Properties of SU-8 Surface for Water Droplet
Seiya KOBAYASHI
a,*, Eiji MAKINO
band Takashi MINETA
ca Yamagata Research Institute of Technology(2-2-1, Matsuei, Yamagata-shi, Yamagata 990-2473)
b Faculty of Science and Technology, Hirosaki University(3, Bunkyo-cho, Hirosaki-shi, Aomori 036-8561)
c Graduate School of Science and Engineering, Yamagata University(4-3-16, Jounan, Yonezawa-shi, Yamagata 992-8510)
This paper describes effects of micro-square-shaped pillar array structures and chemical modification by SF6 or O2 plasma irradiation on wetting properties of SU-8(photosensitive epoxy resin)for water. Contact angles were measured and microscopic observation of water droplet contours were conducted through the bottom of the glass substrate. For the SU-8 surfaces without chemical modification, Wenzel mode wetting occurred constantly. However, because of the pinning effect, the contact angles on surfaces with micro structures were larger than the values calculated based on the Wenzel mode wetting. The SU-8 surfaces modified by SF6 plasma showed Cassie mode wetting generally and remark- able hydrophobicity with large contact angles of more than 150 deg. The surface became super-hydrophilic after O2 plasma modification.
Keywords : Epoxy Resin, Water Droplet, Wetting Property, Micro Structure, Plasma Modification
1 .緒 言
μTASやマイクロリアクタなどの小型の化学デバイスでは,
微量の液体をハンドリングすることが求められる。これを実 現する方法として,表面濡れ性を変化させ,液滴を移動させ ることが試みられている1),2)。
表面の濡れ性は,液と固体表面の表面エネルギーの差に よって変化し,はっ水性の増加には固体の表面エネルギーの 低減が有効であることが示されている。しかし,表面エネル ギーの低減によって得られる接触角は,120°程度が限界で,
接触角 150°以上の超はっ水面は,表面エネルギーの低い固 体表面に,凹凸形状を付加することにより得られることが知 られている3)。
そのため,凹凸形状と表面エネルギーの小さい材料を組み 合わせることにより,超はっ水面を作製する研究が数多く行 われている4)〜7)。これらの研究は,表面エネルギーの小さい C-Si結合を有する樹脂で凹凸面を作製したものや,単結晶シ リコンや樹脂で形成した凹凸面上に,C-F結合を有する膜を 形成したもので,樹脂表面を直接改質し,濡れ性を変化した 研究はほとんど行われていない。さらに,これらの研究では,
接触角の変化のみに着目し,凹凸面と液がどのように接触し
ているかについての検討はほとんどなされていない。
本研究では,μTASやマイクロリアクタの材料として用い られようとしている感光性エポキシ樹脂SU-8 について,正 方形の断面形状を持つ柱の幅と間隔,高さを変化させた微細 な凹凸表面を作製し,その接触角と濡れ状態を調べた。さら に,SF6とO2のプラズマで処理することにより表面改質を 行い,接触角と濡れ状態への影響を検討した。
2 .実験方法
2.1 SU-8を用いた微細凹凸表面構造の作製
SU-8 表面の微細凹凸構造は,図 1に示すように,横断面 形状が正方形の柱を所定の間隔で連続的に並べることにより 形成した。凸部の幅となる柱 1 辺の長さaと凹部の幅となる 研 究 論 文
* E-mail : [email protected]
Boro-silicate glass substrate
SU-8 micro pillar
a b
h
SU-8 under layer
Fig. 1 Schematic illustration of micro pillar array struc- ture of SU-8.
柱の間隔bは,それぞれ 5,10,20,30 μmとし,また,凸 部の高さhを 5,9,17 μmとし,これらを組み合わせて計 48 種類の形状を作製した。
基板には,裏面からの観察を可能とするため,透明なホウ ケイ酸ガラスを用いた。この基板上に,感光性エポキシ樹脂
SU-8(日本化薬製 3025)を用いて,微細凹凸形状を形成した。
凹凸表面における凹部の底面をSU-8 とし,同時に柱と基板 の密着性を向上させるために,はじめにガラス基板に低粘度
のSU-8 を塗布し,全面露光,ベークした。次に,凹凸面形
成用のSU-8 を塗布し,密着露光,現像によって凹凸面を形
成した。
凸部の高さは,SU-8 の粘度とスピン塗布時の回転数によっ て制御した。粘度は,SU-8 3025 にシクロペンタノンを添加 することによって,65 ~ 4400cStの範囲で変化させた。スピ ン塗布後,ホットプレートを用い,95 ℃で 15 minソフトベー クを行い,次いで,露光を行った。転写パターンの高精度化 を図るため,光源とマスクとの間に干渉型フィルタを設置し て,波長 365 nmのみを用いた。露光エネルギーは,いずれ の厚さの場合も約 170 mJ/cm2とした。露光後のポストエク スポージャベークは,95 ℃のホットプレートで 5 min行った。
現像は,4 - ヒドロキシ - 4 - メチル - 2 - ペンタノン中で,撹 拌しながら 7 min行った。その後,IPA中で 2 minリンスを 行い,スピンドライ後,送風式オーブン中で,135 ℃,
60 minベークを行った。形成した微細凹凸形状を,光学顕 微鏡およびSEMによって観察した。
2.2 プラズマ照射による表面改質
SU-8 の濡れ性を変化させるために,誘導結合型プラズマ エッチング装置を用いて,プラズマ照射による表面改質を 行った。はっ水性を上げる場合にはSF6ガスを,逆に,親水 性を上げる場合にはO2ガスを用いた。石英管外周に配置し たコイルに 13.56 MHzの高周波電力を印加することによっ てプラズマを発生させ,そのダウンフロー中に基板を置くこ とによって処理を行った。プラズマ処理条件を表 1に示す。
プラズマ処理前後における表面組成分析をXPSによって,
表面粗さ観察をSEMによって行った。XPSのX線源には AlKαモノクロ線を用いた。
2.3 接触角および濡れ状態の測定
接触角の測定は,水平に設置した基板に,マイクロピペッ トを用いて超純水を滴下し,そのときの液滴形状を水平方向 から撮影して行った。PCを用いて,画像上で液滴の気液境 界部を検出し,このデータを基に液滴形状を楕円近似して接 触角を求めた。滴下する液適量は 5 μLとした。また,2,
10 μLにおいても測定を行い,液滴サイズの影響も調べた。
基板上の濡れ広がり状態は,倒立型の金属顕微鏡の試料台
上で,基板表面に超純水を滴下し,可視光に対しほぼ透明で あるホウケイ酸ガラスとSU-8 を通して,裏面側から観察し た。
3 .凹凸表面における濡れのモデル
凹凸表面の濡れ状態については,図 2に示すように,凹凸 表面全体が液と接触するWenzelのモデルと,凹部に空気を 噛み込むことによって凸部の上面のみが液と接触するCassie のモデルが提案されている8),9)。これによれば,平坦面の接 触角θに対して,凹凸面の接触角θ'は以下の式で与えられる。
Wenzelのモデル
cosθ'=r×cosθ………(1)
r={(a+b)2+4ah}/(a+b)2 Cassieのモデル
cosθ'=f×cosθ+f-1 ………(2)
f=a2/(a+b)2
Wenzelのモデルにおいて,rは,Wenzelのラフネスファ クターと呼ばれ,凸部の側面も含めた凹凸部の実表面積と見 かけの面積の比を表している。したがって,rは,凹凸が存 在すれば必ず 1 を越える値となる。このことから,Wenzel のモデルでは,平坦面における接触角が 90°より小さい親水 性表面の場合には,凹凸表面の接触角はより小さくなり,90°
より大きいはっ水表面の場合には,凹凸表面の接触角はより 大きくなることがわかる。
一方,Cassieのモデルにおける面積比fは,凸部の上面が 占める面積と凹凸部の見かけの面積の比を表している。この ため,凹凸表面では,fは 1 未満の値となる。このことから,
Cassieのモデルでは,凹凸表面の接触角は平坦面の接触角に
比べ必ず大きくなることになる。
4 .実験結果および考察 4.1 SU-8凹凸表面の形状
ホウケイ酸ガラス基板上に作製したSU-8 の微細凹凸構造 のSEM像を図 3に示す。図(a)(b)はa=b= 10 μmで,h
= 5,17 μmの場合を,(c)(d)はa= 30,b= 5 μmでh= 5,
17 μmの場合を示している。h= 5 μmの場合は,どちらも マスクパターンの形状が精度良く転写されている。h= 17 μm では,a=b= 10 μmの場合,ほぼマスクパターン通り転写 されているのに対して,a= 30,b= 5 μmの場合は,底面 近くで柱と柱の間がつながっている様子が見られた。この現 象は柱の幅に対して柱の間隔が小さく,高さが高い場合に見 られ,a= 30,b= 5,h= 9 μmの場合にも生じた。これは,
Gas source SF6 or O2
Flow rate 10 sccm
Pressure 6.5 Pa
RF power 100 W
Plasma source ICP
Process time 5 min
Table 1 Condition of plasma modification.
Fig. 2 Schematic illustrations of Wenzel mode wetting and Cassie mode wetting.
柱の間隔が小さく高さが大きい場合,柱の間に現像液が侵入 しにくく,特に柱部分の比率が高い場合,撹拌によって生じ る現像液の流動が阻害され,本来現像液に溶融し除去される べき柱間の未露光のSU-8 が十分に除去されず残留した結果 と考えられる。
4.2 SU-8凹凸表面の濡れと接触角
図 4は,SU-8 の平坦面および微細凹凸構造を持つ表面にお ける液滴形状である。図から明らかなように,平坦面での接 触角が 59°であるのに対し,a=b= 10,h= 17 μmの凹凸表 面での接触角は 110°と大きくなっている。凹凸表面での接触 角は,柱の幅,間隔,高さの寸法によって異なる値を示したが,
いずれの場合も平坦面と比較して大きな値となった。
図 5は,a= 10,b= 20,h= 9 μmの凹凸表面の濡れ状 態を裏面から観察した結果である。(a)から,液滴の濡れ広 がりは,柱の並びに平行な向きと 45°方向で異なり,八角形 に近い形状となっていることがわかる。液滴の先端部分を拡 大した(b)からは,液が凹凸表面に沿って全面に濡れ広がっ ている状態が確認できた。この結果は,SU-8 凹凸表面での 液滴の濡れが,Wenzelモデルの濡れ状態であることを示し ており,このことは柱の幅,間隔,高さの寸法に依存しなかっ た。さらに,(b)では,柱の間の液が凸型のR形状となって
いることが観察できた。
図 6は,柱の高さh= 17 μmについて,柱の間隔bに対 する接触角の変化を,種々の柱の幅aについて測定した結果 である。図中には,平坦面の接触角から,Wenzelおよび
Cassieのモデルの式を用いて計算した接触角も合わせて示し
た。Wenzelの式では,ラフネスファクターrが大きくなると,
cosθ'が 1 を超え接触角の値を求めることができないため,b
= 5,10 μmでは 0°として表記した。図より,凹凸面での接 触角は,柱の間隔bが大きくなるにつれ低下する傾向がある ことがわかる。さらに,柱の間隔が同じ場合,柱の幅が大き くなるほど接触角が大きくなった。図示はしていないが,柱 の高さに関しても,高さが大きい方が接触角が大きくなった。
図中のa= 20,30 μmでは,a= 5,10 μmの場合と異なり,
b= 5 μmで接触角がb= 10 μmに比べ小さくなった。この 原因は,凹凸表面のSEM観察で見られた柱の間に残留した SU-8 によって,凸部の高さが低くなったためと考えられる。
a= 20,30 μm,b= 5 μmの場合を除きいずれも,Wenzel のラフネスファクターrの増加に対し接触角が減少するとい
うWenzelのモデルとは逆の傾向を示した。
これらの結果は,規則的な微細凹凸構造を有する表面にお いては,Wenzelのモデルが適用できないことを示している。
規則的に配置した柱によって,液の濡れ広がりがピン止めさ れた結果である。ピン止めが起こるのは,図 5(b)で観察さ れたように,柱間で液の濡れの先端が凸R形状になること によって,ラプラス圧力が働き3),濡れ広がりを阻害するた めと考えられる。
4.3 プラズマ処理による表面の組成および粗さの変化 SF6とO2を用いてプラズマ処理を行ったSU-8 表面のXPS (a)a=b=10,h=5
μ
m (b)a=b=10,h=17μ
m (c)a=30,b=5,h=5μ
m (d)a=30,b=5,h=17μ
mFig. 3 SEM photographs of micro pillar array structures fabricated by SU-8.
(a)Flat surface (b)a=b=10, h=17 μm Fig. 4 Side views of the water droplets on the SU-8 surfaces
without plasma modification
R-shape of droplet edge
(b) (a)
Fig. 5 Bottom views of the water droplet on the SU-8 surface without plasma modification.(a=10, b=20, h=9 μm)
Fig. 6 Variation of contact angle with pillar space as a function of pillar width on SU-8 surface without plasma modifica- tion.(h=17 μm)
0 3
277 287
297
Intensity / a.u.
Binding Energy / eV
0 1
1400 1080
760 440
120
Intensity / a.u.
Binding Energy / eV
without modification modification by O2
modification by SF6
without modification modification by O2 modification by SF6
C-C C-O
C-F
COO C1s
O1s F1s
(b)C1s high resolution spectra (a)Survey spectra
Fig. 7 XPS spectra of SU-8 surfaces with and without plasma modification.
(a) Without modification (b) Modification by O2 (c) Modification by SF6
Fig. 8 SEM photographs of SU-8 surfaces with and without plasma modification.
wetting upper surface not wetting upper surface
(a) (b)
Fig. 10 Bottom views of the water droplet on the SU-8 surface with SF6 plasma modification. (a=b=10, h=9 μm)
による組成分析結果を図 7に示す。図中には,比較として,
プラズマ処理していない表面についての結果も示した。(a)
のサーベイ分析結果を比較すると,O2プラズマ処理後は,
C1sに対するO1sのピーク高さの比が,プラズマ処理前に比 べ高くなっている。SF6プラズマ処理後は,処理前にはない F1sのピークが見られる。C1sピークを詳細に分析した(b)で は,O2プラズマ処理によりC-Cに対しC-Oの強度が増して いるほか,COOの結合が認められる10)。SF6プラズマ処理 後は,C-F結合にともなうピークが生じている。
図 8は,プラズマ処理前後のSU-8 の表面状態をSEM観 察したものである。プラズマ処理を行っていない(a)では,
表面に小さな凹凸はあるが,全体として平坦な表面となって いる。(b)に示すO2プラズマ処理後の表面は,高さ 10 nm程 度の凸部が表面全体にほぼ均一に見られる。これはO2プラ ズマによってSU-8 表面がアッシングされ凹凸を形成したも のと思われる。これに対し,(c)のSF6プラズマ処理後の表 面は,(a)の処理前とほぼ変化なく平坦な表面であった。図 には示していないが,形成した微細凹凸部を観察したところ,
O2およびSF6プラズマ処理による形状変化はほとんど見ら れなかった。これらの結果から,プラズマ処理によって粗さ や形状が変化し濡れへ影響を及ぼすことは,SF6では考慮す る必要がないと考えられる。
4.4 プラズマ処理を行ったSU-8面の濡れと接触角 SF6プラズマ処理したSU-8 の平坦面と凹凸表面上の液滴 形状を図 9に示す。平坦面上の接触角は 99°であり,プラズ マ処理前の 59°に比べ大きく,90°を越えるはっ水面となった。
凹凸表面での接触角はさらに大きくなり,a= 5,b= 30,h
= 17 μmでは 150°以上の超はっ水状態を示した。
図 10は,a=b= 10,h= 9 μmにおける液滴形状を裏面 から観察した結果である。液滴の接触面全体を観察した(a)
では,液滴とSU-8 の接触部が白く見えており,接触部は円
(a)Flat surface (b)a=5, b=30, h=17 μm Fig. 9 Side views of the water droplets on the SU-8 surfaces
with SF6 plasma modification.
Fig.11 Variation of contact angle with pillar space as a function of pillar width on SU-8 surface with SF6
plasma modification.(h=17 μm)
形を保っていることがわかる。接触部の先端を拡大した(b)
では,液滴と接触しているピラー上面は黒く,一方柱間での 液面は接触していないため白く,ピラー上面のみで支持され ていることがわかる。したがって,このときの液滴と表面の
濡れはCassieモデルの状態になっていることが確認できた。
しかし,同じ凹凸形状でも,CassieモデルとWenzelモデル のいずれの濡れ状態にもなる場合があった。Wenzelモデル の濡れ状態になりやすいのは,高さhが小さく,幅aに対し て間隔bが大きい場合であった。安定してCassieの濡れ状 態となるためには,空気を噛みこむ空間を構成する間隔bと 高さhだけでなく,幅aも影響していることがわかった。
図 11は,SF6プラズマ処理した高さh= 17 μmの凹凸表 面において,柱の幅aをパラメータとし,柱の間隔bに対す る接触角の変化を測定した結果である。接触角は,いずれの
場合もCassieの式から計算した値に近い値となった。図に
は示していないが,高さhが小さくなると,前述したとおり
Wenzelモデルの濡れ状態となる場合があり,その場合の接
触角はWenzel の値とほぼ一致した。
液適量が 2 μLと 10 μLの場合も,ほぼ同様の結果だった。
しかし,10 μLでは,重力による液滴の変形によって,近似 した楕円と液滴形状のずれが大きく,接触角は小さくなり,
2 μLは,楕円近似とのずれが小さいため,接触角が大きく なる傾向があった。
O2プラズマ処理後の濡れは,平坦面の場合,ほぼ 0°となっ た。凹凸表面では,Wenzelモデルの濡れ状態となり,平坦 面に比べさらに大きく濡れ広がった。
プラズマ処理後の濡れの変化とXPSの分析結果から,O2
プラズマ処理では,OラジカルがSU-8 表面のCと反応し
C-OやCOO結合を形成し表面エネルギーが増大して親水性 となり,一方SF6プラズマ処理では,Fラジカルが表面のC と反応しC-F結合を形成した結果,表面エネルギーが減少し はっ水性になったと考えられる。
5 .結 言
エポキシ樹脂SU-8 の純水に対する濡れに関して,正方形 断面をもつ柱を連続的に並べた微細凹凸構造と,SF6および O2プラズマによる表面改質の影響を調べた結果,次のこと がわかった。
1) SU-8 の凹凸表面はWenzelモデルの濡れ状態となる。柱状 の微細なパターンのピン止め効果が濡れ広がりを阻害し,
柱の幅が大きく,間隔が小さく,高さが大きいほど接触 角が大きく,Wenzelの理論値との差も大きくなる。
2) SF6プラズマ改質表面は,C-F結合が形成されて,はっ水 性になる。凹凸表面の濡れは,基本的に,Cassieモデル の濡れとなる。柱の幅が小さく,間隔が大きく,高さが 小さい場合には,Wenzelモデルの濡れ状態となることが ある。Cassieモデルの濡れの場合,接触角は最大 150°を 越える超はっ水となる。
3) O2プラズマ改質表面は,COOやC-O結合が形成されて親 水化し,平坦面の接触角はほぼ 0°となる。凹凸表面では,
Wenzelモデルの濡れとなり,濡れやすさがさらに顕著と
なる。
(Received September 28, 2010 ; Accepted January 4, 2011)
文 献
₁ )T. Yasuda, K. Suzuki, I. Shimoyama ; Proc. of 20th Sensor Symp., p.249(2003).
₂ )C. S. Yu, M. Y. Lin, H. T. Hu, Y. C. Hu, H. Y. Chou ; Tamkang J. of Sci. and Eng., 8, 211(2005).
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₄ )Y. C. Jung, B. Bhushan ; Scripta Materialia, 57, 1057(2007).
₅ )G. B. Gomez, A. Glidle, L. M. Flendrig, J. M.Cooper ; Microelectronic Eng., 86, 1325(2009).
₆ )S. M. Lee, I. D. Jung, J. S. Ko ; J. of Micromech. and Microeng., 18, 125007(2008).
₇ )J. Yeo, M. J. Choi, D. S. Kim ; J. of Micromech. and Microeng., 20, 025028(2010).
₈ )R. N. Wenzel ; Industrial and Engineering Chemistry, 28, 988(1936).
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