日機連 16 環境安全- 10
平成1 6 年度
安全工学に関する人材育成プログラムの策定と そのあり方に関する調査研究報告書
平成 17 年 3 月
社団法人 日 本 機 械 工 業 連 合 会
株式会社 三 菱 総 合 研 究 所
序
近年、技術の発展と社会との共存に対する課題がクローズアップされ、機械工業においても環 境問題、安全問題が注目を浴びるようになってきております。環境問題では、京都議定書が発効し、
排出権取引やCDMなどの柔軟性措置に関連した新ビジネスの動きもあり、政府や産業界は温室 効果ガスの削減目標の達成に向けた 取り組みを強化しているところであります。また、安全問題も、
EUにおけるCEマーキング制度の実施や、平成12年には厚生労働省から「機械の包括的な安全 基準に関する指針」が通達として出されるなど、機械工業にとってきわめて重要な課題となっており ます。
海外では欧米諸国を中心に環境・安全に配慮した機械としての具体的な形が求められてきてお り、それに伴う基準、法整備が進められているところであります。グローバルな事業展開を進めてい るわが国機械工業にとって、この動きに遅れることは死活問題であり早急な対処が必要でありま す。
こうした内外の情勢に対応するため、当会では早くから取り組んできた環境問題や機械標準化 に係わる事業を発展させて、環境・社会との共存を重視する機械工業の在り方を追求して参りまし た。平成16年度には、海外環境動向に関する情報の収集と分析、環境適合設計手法の標準化、
それぞれの機械の環境・安全対策の策定など具体的課題を掲げて活動を進めてきました。
こうした背景に鑑み、当会では機械工業の環境・安全対策のテーマの一つとして 株式会社三 菱総合研究所に「安全工学に関する人材育成プログラムの策定とそのあり方に関する調査研究」
を調査委託いたしました。本報告書は、この研究成果であり、関係各位のご参考に寄与すれば幸 甚であります。
平成17年3月
社団法人 日本機械工業連合会 会 長 金 井 務
は し が き
平成 16 年度を振り返ると、地震や台風などの大規模な自然災害や、美浜原子力発電所事故、
トラック・バスのハブ問題など産業に関連した事故、また、回転ドア問題、テロ問題、感染症問題な ど生活への直接脅威となる問題など、我が国の安全を脅かす事故や問題が多発した年であったと いえる。これらの広範囲で多様化する安全の問題に対しては、個別対応ではない体系的な取り組 みが求められるとともに、我が国の安全の考え方に対する変革が必要となってきている。
我が国の機械産業界は、国際的にも世界のトップレベルを維持してきたが、今まで以上に厳し い国際競争の場に直面していることも事実である。我が国としては、さらに高付加価値な製品を開 発し、そのためにより低コストで高品質・高精度な製品を短期間で設計開発し生産していくことが必 要となる。一方、その高品質・高精度な製品の生産を支える現場では、規模の大きな災害が発生し ており、安全に対する取り組みの変革がこの分野でも必要とされてきていることも事実である。
国際的には EUが先導するかたちでISO/IECにおいて機械安全の規格が体系的に作成され ている。EUではEU 指令の基に加盟各国で法制化が進められ、機械の安全を確保しながらEU 圏の市場統一に向けて動いている。アジア諸国でも、一部ではEUの標準化に従う動きがある。国 外の取り組みをそのまま取り入れることは難しい面もあるが、社会的価値観の変化に合わせて仕組 みを変革してきている点は注目に値する。安全体系を考える上で、安全の尺度・水準を社会として 共有することが重要であり、そのためには技術面だけではなく制度面、人材育成面も含めた安全 の考え方の再構築が求められる。これは、安全・安心な社会の構築だけでなく、競争力ある社会の 構築にも貢献するものと考えられる。
本調査研究では、我が国の機械産業における機械安全の確保のために必要な人材を育成する ことを目的とした教育プログラムのあり方に関して検討を行い、具体案をまとめることを目指す。
本調査を実施するにあたり、日本自転車振興会並びに社団法人日本機械工業連合会のご高配 に深謝するとともに、調査にご協力いただいた独立行政法人、公益法人及び企業の研究者の 方々に、心より感謝申し上げる次第である。
平成17年3月
株 式 会 社 三 菱 総 合 研 究 所 取締役社長 谷 野 剛
目 次 序
はしがき 総論
1. 調査研究の概要... 1
1.1 背景と目的...1
1.2 調査研究体制...2
1.3 調査研究項目・スケジュール...3
1.3.1 調査研究項目...3
1.3.2 事業のタイム・スケジュール...3
2. 調査結果... 4
2.1 機械関連分野における安全工学として必要な学問分野に関する調査・検討...4
2.1.1 機械安全教育プログラムの理念...4
2.1.2 A方式(短期プログラム)...7
2.1.3 B方式(長期安全教育プログラム)...12
2.2 安全工学人材育成プログラムの成立性検討... 19
2.2.1 A方式(短期安全教育プログラム)...19
2.2.2 B方式(長期プログラム)...23
2.3 機械安全教育プログラム実現に向けた提言~機械安全教育に対する動機付け~... 29
3. シラバス...30
3.1 短期プログラム、長期プログラム(共通基礎)... 30
3.2 長期プログラム... 46
4. 参考文献...60
おわりに
図 表 目 次
図 2-1 安全人材の学習...5
図 2-3 短期プログラム(案)の構成...8
図 2-4 長期プログラム(案)の構成... 14
表 1-1 平成16年度安全工学人材育成プログラム調査研究委員会名簿...2
表 1-2 事業のタイム・スケジュール...3
表 2-1 機械安全教育カリキュラム(案)<A方式:短期プログラム(1/3)>...9
表 2-2 機械安全教育カリキュラム(案)<A方式:短期プログラム(2/3)>... 10
表 2-3 機械安全教育カリキュラム(案)<A方式:短期プログラム(3/3)>... 11
表 2-4 機械安全教育カリキュラム(案)<B方式:長期プログラム/技術基礎(1/2)>.... 16
表 2-5 機械安全教育カリキュラム(案)<B方式:長期プログラム/技術基礎(2/2)>.... 17
表 2-6 機械安全教育カリキュラム(案)<B方式:長期プログラム/境界領域>... 18
表 2-7 機械安全教育プログラム実施の前提条件<A方式:長期プログラム>... 21
表 2-8 運営経費推定(A方式:短期プログラム)... 22
表 2-9 運営経費推定(B方式:長期プログラム)... 27
表 3-1 講義内容(安全学基礎(1)安全学(1))... 30
表 3-2 講義内容(安全学基礎(2)安全学(2))... 31
表 3-3 講義内容(安全学基礎(3)リスクアセスメント)... 32
表 3-4 講義内容(安全工学の考え方(1)安全基礎工学)... 33
表 3-5 講義内容(安全工学の考え方(2)安全設計)... 34
表 3-6 講義内容(安全工学の考え方(3) ヒューマンファクター)... 35
表 3-7 講義内容(安全を守る規格・制度(1) 安全規制に関する国内制度)... 36
表 3-8 講義内容(安全を守る規格・制度(1)国際規格)... 37
表 3-9 講義内容(安全を守る規格・制度(1)国際規格)... 38
表 3-10 講義内容(システム安全の具体例(1) 産業別機械安全)... 39
表 3-11 講義内容(システム安全の具体例(2) 技術者教育)... 40
表 3-12 講義内容(システム安全の具体例(2) 技術者教育)... 41
表 3-13 講義内容(環境安全(1)安全設計)... 42
表 3-14 講義内容(環境安全(2)環境と人体の安全)... 43
表 3-15 講義内容(総論(1) 消費者教育)... 44
表 3-16 講義内容(総論(2) 安全学の目指す安全)... 45
表 3-17 講義内容(リスク工学特論(1) リスク工学(1)-システム信頼性-)... 46
表 3-18 講義内容(リスク工学特論(1) リスク工学(1)-サイバーリスク-)... 47
表 3-19 講義内容(安全実現技術特論(1) リスクアセスメント)... 48
表 3-20 講義内容(安全工学の考え方(2)安全設計)... 49
表 3-22 講義内容(システム安全特論(1) システム安全(1)-化学-)... 51
表 3-23 講義内容(システム安全特論(1) システム安全(1)-エネルギー-)... 52
表 3-24 講義内容(人間工学特論(1) リスク認知)... 53
表 3-25 講義内容(人間工学特論(2) ヒューマンファクター)... 54
表 3-26 講義内容(安全のマネジメント(1) 国際安全規格の階層構造)... 55
表 3-27 講義内容(安全のマネジメント(2) 国際規格の標準化)... 56
表 3-28 講義内容(関連分野(1) 環境マネジメント)... 57
表 3-29 講義内容(関連分野(2) 労働安全)... 58
表 3-30 講義内容(関連分野(3) 巨大システムリスク)... 59
総論
1. 調査研究の概要
近年、我が国において、製造業をはじめとした多くの大企業で、大規模な産業事故が発生している。
一方、社会基盤となっているシステムにおいても事故が発生し、従来は当然とされてきた社会システ ムの信頼性が大きく損なわれてきている。このような状況によって、我が国の将来における安全で安 心な社会の構築に、不安感と危機感が漂っている。
我が国における各種のシステムの安全性が問題になってきた理由としては、以下の 2 点が重要な 要因としてあげられる。
(1) システムが複雑化、大規模化されたことにより、従来の安全対策では対応しきれなくなってい る。
(2) 安全技術の確実な継承ができなくなってきている。
今日、日本における安全対策は、人による管理の対策と機械の対策の併用であり、特に人の管理 による対策に重点がおかれる傾向があった。システムが複雑化・大規模化されると、人の管理能力を 超える範囲が増加し、些細な危険の組み合わせにより、予測不可能な新たな危険が生じる可能性が 高まる。
この事態に対応するためには、機械の安全性確保を優先した安全工学という視点から、新たにシス テムの対策を講じるための知識が必要とされる。
また、個々の技術者はそれぞれ個別工学分野の知識は備えていることは言うまでもないが、安全と いう観点からの工学知識の整理ができていないため、経験等から学ぶ安全技術ノウハウの伝承が難 しくなっているといえる。
(1)および(2)の要因を、より効率的に、かつ効果的に解決していくためには、安全工学としてのカリ キュラム(プログラム)を作成し、機械安全工学の視点から人材育成にあたることが、最良の方法であ ると考えられる。
なお、このプログラムで人材育成を進めることにより、安全工学の知識に基づき国際標準化活動を 効果的に推進する人材が育成され、日本の優れた技術を、さらに積極的に国際標準に反映させるこ とが可能となり、貿易面の流通障害を事前に解消し産業競争力向上に繋げることができる。
本調査研究では、以上のことから、機械安全工学に関する人材育成プログラムを作成することを目 的とする。
2. 調査結果
2.1 機械関連分野における安全工学として必要な学問分野に関する調査・検討
機械関連分野における安全教育人材育成プログラムを検討する際にまず安全学の目指す目標、
理念を明確にして、教育する人材の具体像を明確にした。
その後、短期間の教育で成果を出せる短期プログラム(A方式)と、ある程度、長期間にわたる継続 した専門教育を通じて成果を出すための長期プログラム(B 方式)とに分けて、それぞれの目的に合 わせた安全工学のカリキュラムを作成し、期待される効果を検討した。
2.1.1 機械安全教育プログラムの理念 (1) 安全教育の考え方
本調査で検討する教育プログラムでは、まずどのような人材を輩出することが社会に求められてい るか、教育プログラムによってどのような人材を輩出することを目標とするかについて検討した。
その結果、本プログラムにおいて教育される人材は、安全工学を研究対象とする研究者ではなく、
実際に企業の生産現場で安全工学を実践する専門家を想定した。そのためには、国際安全規格の根 本原理を論理的かつ体系的に理解し、企業の生産現場において運用する専門家を育成する教育体 系を確立することを目標とした。
上記の目標を達成するためには、受講者には、学部レベルの工学系の知識を有していることが求 められることから、受講者のターゲットとしては、企業の技術者、管理者、及び理工学部を修了した学 生を想定した。
(2) 機械安全教育に必要となる要素
今回の調査研究におけるターゲットである「機械安全」と「安全工学」に必要となる教育要素は概ね、
次の安全マップの要素に含まれると考えられる。
そのため、安全教育プログラムの内容については、安全マップを網羅する形式で講義を進めること を想定する。
2.1.2 A方式(短期プログラム)
短期プログラムに関して、「プログラムの目的」、「実施形態」、「ターゲット」、「プログラムの項目」、
「カリキュラムの構成案」の点から検討した。
(1) プログラムの目的
本プログラムでは安全工学の専門家を体系的に育成することを目標としている。
短期プログラムは、企業内の技術者教育システムを補完し、企業技術者に対して安全工学の視点 からのシステム対策の考え方を定着するとともに、日本の企業における安全対策の向上を目的とす る。
(2) 実施形態
実施形態は次の形態を想定する。
- 講座の回数:5~6回
- 講座の形式:一回に3テーマを盛り込み、一回ずつが完結した内容とする。
テーマに応じて講師を変更することを想定する。
- 受講資格:大学の工学部修了レベルの科学・工学知識を前提とする。
安全マップの理念、技術的側面、人間的側面、組織的側面、各要素のシステム安全をバランスよく 学習ができる構成とする必要があると考えられる。
(3) ターゲット
短期プログラムのターゲットは「①企業の管理者」、「②企業の技術者」、「③学部卒業生」を想定す
る。企業の管理者や企業の技術者については、後述する長期プログラムを継続受講することを推奨 する。
(4) プログラムの項目
プログラムの項目について、安全マップに基づいて検討し、次の6回のプログラム案を作成した。
- 第一回 安全学基礎(安全学(1)、安全学(2)、リスクアセスメント)
- 第二回 安全工学の考え方(安全基礎工学、安全設計、ヒューマンファクター)
- 第三回 安全を守る規格・制度(安全規制に関する国内制度、国際規格の動向、制度設計)
- 第四回 システム安全の具体例(産業別機械安全、機能安全について、技術者教育)
- 第五回 環境安全(化学安全・物質安全、環境と人体)
- 第六回 総論(消費者教育、安全学の目指す安全)
2.1.3 B方式(長期安全教育プログラム)
(1) プログラムの目的
安全学、安全工学の専門家を育成することを目的とする。
(2) 実施形態
実施形態は主に①大学講義形式と②集中講義形式の2種類を想定する。
(3) ターゲット
大学の理工学部の知識レベルを習得した企業の技術者、安全管理者及び安全管理者を目指 す技術者を対象とする。
(4) カリキュラムの構成
カリキュラムは、次の3つに分類して、目的に応じて、講座を選択できるような仕組みとする。
①安全学基礎<短期プログラムと共通>
②機械安全技術
③境界領域
長期プログラムでは、まず安全学基礎として、安全学の理念、技術的側面、人間的側面、組織的側 面、各要素のシステム安全について、一通り学習する。具体的には短期プログラムで実施する1講義 あたり2~3コマのカリキュラムを、1講義1コマとして、内容を充実する。
その結果、次のカリキュラム案を検討した。
○リスク工学特論(リスク工学(1)-システム信頼性-、リスク工学(2)-サイバーリスク-)
○安全実現技術特論(リスクアセスメント、安全実現技術(1)、安全実現技術(2))
○システム安全特論(システム安全(1)-化学-、システム安全(2)-エネルギー-)
○人間工学特論(リスク認知、人間工学基礎)
○安全のマネジメント( 安全規格の体系的理解、国際規格の標準化-標準化競争-)
○関連分野(環境マネジメント、労働安全、巨大システムリスク-)
2.2 安全工学人材育成プログラムの成立性検討
前項目で作成したプログラムを実行するための要素を抽出するとともにモデルを想定し、具体的な 方策、実現の可能性、必要とされるコスト、実施効果も含めて検討を進める。
2.2.1 A方式(短期安全教育プログラム)
短期プログラムに関して、「教育目的」、「プログラム広報」、「組織」、「教員」、「運営」の点から検討 した。
(1) 教育目的
短期プログラムは、企業の管理者や技術者とともに、専門家以外の機械安全に関する知識や理解 を深めることを目的としている。
企業管理者や技術者を教育することで、各企業への安全文化の浸透などの波及効果を目指すた め、各種製造業の他、建設、運輸、電気など広範な業種を対象として実施する。
(2) プログラム広報
学生募集の方法としては、民間企業に対しては機械、エネルギー、交通、化学、電力、建築等の業 種を中心に、パンフレット郵送等による広報活動を行う。さらに業界団体や学会等を通じて、会員企業 に対するメーリングリスト等を活用した通知を依頼することも考えられる。
学部生に対しては、工学部、理工学部等の学部を有する大学へのパンフレット郵送による広報活動 を行う。広報対象地域は、公開講座を実施することが想定される首都圏近郊地域に限定する。
(3) 組織
①中心となる組織:大学や業界団体
②事務局の機能:事務局の機能としては、「講師募集」、「プログラム作成(編集)、配布」、「学生募 集」、「講義準備(講義室、資料の準備、各種連絡等)」、「経理事務」を想定する。
(4) 教員
①必要とされる教員の素養として、大学の安全工学、リスク工学、機械工学、人間工学、認知科学、
法学などの教員のレベルを想定する。
② 教員は、大学教官との兼務として、講師としてプログラムへの参画を依頼することを想定する。
(5) 運営収支
想定モデルとして、公開講座を実施している大学の講座の一環として実施すること、その際、事務 室やコンピュータ等の備品は同大学の公開講座のものを共有できることを想定し、6講座で年間 150 万円程度の経費を見込んだ。
想定される収入として、1講座あたり学生50名、費用を1人あたり30,000円としたとすると概ね成 立可能性が高い結果となった。
2.2.2 B方式(長期プログラム)
長期プログラムに関して、「教育目的」、「プログラム広報」、「組織」、「教員」、「運営」の点から検討 した。
(1) 教育目的
長期プログラムは、企業の管理者や技術者を対象とし、各企業への安全文化の浸透などの波及効 果を目指し、各種製造業の他、建設、運輸、電気など広範な業種を対象として実施する。
将来的には、上記の企業の機械システムにおいて国際規格のアセスメントを行うことができるアセ スメントの専門家となり得る人材を育成することも視野に入れる。
(2) プログラム広報
学生募集の方法としては、民間企業に対しては機械、エネルギー、交通、化学、電力、建築等の業 種を中心に、パンフレット郵送等による広報活動を行う。さらに業界団体や学会等を通じて、会員企業 に対するメーリングリスト等を活用した通知を依頼することも考えられる。
学部生に対しては、工学部、理工学部等の学部を有する大学へのパンフレット郵送による広報活動 を行う。
その他、Web上でプログラムの内容、教授、シラバス等について公開する。
(3) 組織
① 中心となる組織:
- 大学が主体となり、業界団体や学会が支援する形式とする。
- 長期的・継続的な事務局が必要となるため、窓口が大学と連携している事が受講者の安心 感にもつながると考えられる。
②事務局の機能:事務局の機能としては、「講師募集」、「プログラム作成(編集)、配布」、「学生募 集」、「講義準備(講義室、資料の準備、各種連絡等)」、「経理事務」を想定する。
(4) 教員
① 必要とされる教員の素養として、大学の安全工学、リスク工学、機械工学、人間工学、認知科学、
法学部などの教員のレベルを想定する。
② 教員は、プログラムの初期の段階では、大学教官との兼務として、講師としてプログラムへの参 画を依頼することを想定する。プログラムが軌道に乗る3年目以降から、専任講師制度とすることも考 えられる。
(5) 運営収支
① 運営に必要とされる費用概算(固定費、事業費)
想定モデルとして1講座30回、単位2単位の単位を付与する授業を行うことを想定した。
専任職員を設けないモデルと、専任職員を設けるモデルを設定した。専任職員を設けないモデルで は、経費が年間964万円、設けるモデルでは1,784万円となった。
年間の受講料を150,000円、受講者を50人と想定した場合、750万円の収入が見込まれる。
収支的には、年間収支が専任職員を設けないモデルで214万円、設けるモデルでは1,034万円の マイナスとなる。
2.3 機械安全教員プログラム実現に向けた提言~機械安全教育に関する動機付けの必要性~
機械安全教育プログラムに関して、企業やユーザの意識の向上が必要である点を提言した。
1. 調査研究の概要
1.1 背景と目的
近年、我が国において、製造業をはじめとした多くの大企業で、大規模な産業事故が発生している。一 方、社会基盤となっているシステムにおいても事故が発生し、従来は当然とされてきた社会システムの信 頼性が大きく損なわれてきている。このような状況によって、我が国の将来における安全で安心な社会の 構築に、不安感と危機感が漂っている。
我が国における各種のシステムの安全性が問題になってきた理由としては、以下の2点が重要な要因 としてあげられる。
(1) システムが複雑化、大規模化されたことにより、従来の安全対策では対応しきれなくなってい る。
(2) 安全技術の確実な継承ができなくなってきている。
今日、日本における安全対策は、人による管理の対策と機械の対策の併用であり、特に人の管理によ る対策に重点がおかれる傾向があった。システムが複雑化・大規模化されると、人の管理能力を超える範 囲が増加し、些細な危険の組み合わせにより、予測不可能な新たな危険が生じる可能性が高まる。
この事態に対応するためには、機械の安全性確保を優先した安全工学という視点から、新たにシステ ムの対策を講じるための知識が必要とされる。
また、個々の技術者はそれぞれ個別工学分野の知識は備えていることは言うまでもないが、安全という 観点からの工学知識の整理ができていないため、経験等から学ぶ安全技術ノウハウの伝承が難しくなっ ているといえる。
一方、「平成15年度我が国の機械工業分野における21世紀標準化戦略のあり方に関する調査研究 報告書」において、ヨーロッパでは機械安全に関する理解推進や規格作成には教育が必要であるという 基本認識が得られている点、北欧において、中学校、高等学校の指導要領として、権利と責任に関する 法律等の理解や製品安全性に関する指導項目が取り入られている点などが指摘されている。
我が国では一部の大学院で機械安全のコースが設けられている例はあるが、初等教育はもとより大学 においても、安全に関しての教育は行われていない。社会として長期的に安全レベルの底上げを行うに は、教育が基本であると考えられ、我が国の教育プログラムに安全に関する責任と権利と義務について 理解させる教育が求められる。
(1)および(2)の要因を、より効率的に、かつ効果的に解決していくためには、安全工学としてのカリキュ ラム(プログラム)を作成し、機械安全工学の視点から人材育成にあたることが、最良の方法であると考え られる。
なお、このプログラムで人材育成を進めることにより、安全工学の知識に基づき国際標準化活動を効果 的に推進する人材が育成され、日本の優れた技術を、さらに積極的に国際標準に反映させることが可能
となり、貿易面の流通障害を事前に解消し産業競争力向上に繋げることができる。
本調査研究では、以上のことから、機械安全工学に関する人材育成プログラムを作成することを目的と する。
1.2 調査研究体制
本調査研究は、社団法人日本機械工業連合会の委託を受けて、株式会社三菱総合研究所が、学識 経験者及び専門家で構成される標準化戦略調査委員会を組織し、調査研究の方針、調査結果の整理・
分析・評価の方法についての検討、標準化戦略の具体論についての議論を行い、当初の目的を達成す るべく調査研究を推進したものである。
(社)日本機械工業連合会
(株)三菱総合研究所 安全工学人材育成プログ ラム調査研究委員会 委託
表 1-1 平成16年度安全工学人材育成プログラム調査研究委員会名簿 (敬称略、順不同)
委員長 向殿 政男 明治大学 理工学部長 教授
委員 新井 充 東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 助教授 稲垣 敏之 筑波大学 大学院システム情報工学研究科 リスク工学専攻
教授
小松原 明哲 早稲田大学 理工学部 経営システム工学科 教授 杉本 旭 北九州大学 国際環境工学部 環境システム工学科 教授 福田 隆文 横浜国立大学大学院 工学部 講師
蓬原 弘一 長岡技術科学大学 教授 中村 英夫 日本大学理工学部 教授
事務局 宮崎 浩一 (社)日本機械工業連合会 標準化推進部
柳川 小次郎 明治大学 理工学部 システム科学研究室 向殿研究室 首藤 俊夫 (株)三菱総合研究所 安全技術研究部 主席研究員 土屋 正春 (株)三菱総合研究所 安全技術研究部 主任研究員 高木 俊治 (株)三菱総合研究所 安全技術研究部 主任研究員 平川 幸子 (株)三菱総合研究所 安全技術研究部 研究員 松本 昌昭 (株)三菱総合研究所 安全技術研究部 研究員
1.3 調査研究項目・スケジュール
1.3.1 調査研究項目
(1)機械関連分野における安全工学として必要な学問分野に関する調査・検討
人材育成プログラムとして、短期間の教育で成果を出せる短期プログラム(A 方式)と、ある程度、長期 間にわたる継続した専門教育を通じて成果を出すための長期プログラム(B 方式)とに分けて、それぞれ の目的に合わせた安全工学のカリキュラムを作成し、期待される効果を検討した。
(2)安全工学人材育成プログラムの成立性検討
上記(1)で作成したプログラムを実行するためのモデルを想定し、教育目的、プログラム広報、組織、
教員、運営、受講のメリットなどの観点から具体的な方策を検討した。各モデルの成立する可能性につい て、必要とされるコストの算出等からの検討を行った。
1.3.2 事業のタイム・スケジュール
表 1-2 事業のタイム・スケジュール
下 半 期 半期別・月別
項 目 H16/
10 11 12 H17/
1 2 3
(1)機械安全工学として必要な学 問分野に関する調査・検討
(2)安全工学人材育成プログラム の成立性検討
(3)委員会 ◎ ◎
(4)報告書の作成・公表
2. 調査結果
2.1 機械関連分野における安全工学として必要な学問分野に関する調査・検討
機械関連分野における安全教育人材育成プログラムを検討する際にまず安全学の目指す目標、理念 を明確にして、教育する人材の具体像を明確にした。
その後、短期間の教育で成果を出せる短期プログラム(A方式)と、ある程度、長期間にわたる継続した 専門教育を通じて成果を出すための長期プログラム(B方式)とに分けて、それぞれの目的に合わせた安 全工学のカリキュラムを作成し、期待される効果を検討した。
2.1.1 機械安全教育プログラムの理念
(1) 安全教育の考え方
本調査で検討する教育プログラムでは、まずどのような人材を輩出することが社会に求められているか、
教育プログラムによってどのような人材を輩出することを目標とするかについて検討した。
① 本プログラムの目標
本プログラムにおいて教育される人材は、安全工学を研究対象とする研究者ではなく、実際 に企業の生産現場で安全工学を実践する専門家を想定している。
そのためには、国際安全規格の根本原理を論理的かつ体系的に理解し、企業の生産現場にお いて運用する専門家を育成する教育体系を確立することを目標とした。
本プログラムを継続的に実施、普及することで、日本の各企業の生産現場の安全性を国際標 準に引き上げることが期待できる。将来的には、本プログラムの受講が国際安全規格適合の機 械制御システムの安全性の査定、自己宣言を行うことができる専門家の認証制度の資格の一つ となることも想定する。
② 受講者(教育プログラム)のターゲット
上記の本教育プログラムの目標を達成するためには、受講者には、学部レベルの工学系の知 識を有していることが求められる。
安全工学においては、あらゆる分野に共通する安全に関する理論や理念を工学的、科学的に 理解することが必要となる。そのためには、機械・工学系、理学系の基礎知識や、特定分野の システム安全に関する知識を備えていることが必須と考えられる。
さらには、生産現場における運用を目標とすることから、企業の生産現場の経験があること、
もしくは将来生産現場で働く意欲のある学生等が望まれる。
そのため、受講者のターゲットとしては、企業の技術者、管理者、及び理工学部を修了した 学生を想定する。
原子力安全 交通安全 構造安全
機械安全 化学安全
A 分 野
・・
安全工学の共通体系
理工学分野の基礎的知識
・・
(2) 機械安全教育に必要となる要素
今回の調査研究におけるターゲットである「機械安全」と「安全工学」に必要となる教育要素は概ね、次 の安全マップの要素に含まれると考えられる。
そのため、安全教育プログラムの内容については、安全マップを網羅する形式で講義を進めることを想 定する。
図 2-1 安全人材の学習
理 工 学 分 野 の 基 礎 的 知 識 に 加 え て 特 定 分 野 の 安 全 工 学 を理解するこ とが、
安 全 工 学 の 共 通 共 通体系を理解するう えで重要である。
図 2-2 安全の構成
5.各分野の安全
4 .組織・制度的
側面
3. 人 間 的 側 面
2 .技術的側面
1. 1-1. 安全とは? 1-2. 安全と価値観 1-3. 安全と人間性 1-4. 安全の構造 6.安全関連分野 1.理念
理念2.技術的側面 2-1. 時間的分類 ・事前評価技術・事前安全予防技術 ・運用安全維持技術・事後被害軽減技術 ・将来予防 2-2. 個別技術 ・本質安全設計・信頼性技術 ・冗長性、多重性、多様性技術、独立性 ・フォールトトレランス・フェールセーフ ・フォールトアボイダンス・フールプルーフ ・フェイルソフト・インターロック ・フォールトレジスタンス・タンパレジスター ・安全制御・防護(ガード、防具) ・コンピュータ・情報技術 ・故障診断・安全/信頼性評価 ・解析システム・安全論理等々 3. 人間的側面 ・ヒューマンマシーンインターフェース(HMI) ・誤使用、エラー・人間工学・心理学 ・安全教育 (含:技術教育、訓練、倫理教育、人材育成) ・情報開示(掲示、警告、マニュアル) ・意欲と責任・安全意識・安心 ・年代ギャップと社会的変化等々 4. 組織・制度的側面 ・安全管理(リスクアセスメント、リスクマネージメント) ・標準化・法律と責任 ・規制と基準(安全基準,法規制,自主規制) ・認定・認証制度・事故調査 ・事故データの蓄積・情報提供センター ・学会活動,研究会・国際会議の開催 ・安全機関・連絡会議等々
5. 各分野の安全 ・機械安全・原子力安全・交通安全・プロセス安全 ・化学安全薬品安全・製品安全・労働安全 ・材料安全・物質安全・構造安全・爆発安全 ・火災安全・食品安全・医療安全・災害安全 ・システム安全・コンピュータ安全 ・機能安全・情報安全・社会安全・環境安全等々
6. 関連分野 ・危機管理 ・防災 ・警備 ・機密保護 (セキュリティ) ・警察 ・保険 ・公害 ・金融リスク等の 他のリスク ・地域紛争 ・風聞被害 ・マスコミ被害 ・情報操作 ・防疫 ・裁判制度等々 4. 組織・制度的側面 ・安全管理(リスクアセスメント、リスクマネージメント) ・標準化・法律と責任 ・規制と基準(安全基準,法規制,自主規制) ・認定・認証制度・事故調査 ・事故データの蓄積・情報提供センター ・学会活動,研究会・国際会議の開催 ・安全機関・連絡会議等々
2.技術的側面 2-1. 時間的分類 ・事前評価技術・事前安全予防技術 ・運用安全維持技術・事後被害軽減技術 ・将来予防 2-2. 個別技術 ・本質安全設計・信頼性技術 ・冗長性、多重性、多様性技術、独立性 ・フォールトトレランス・フェールセーフ ・フォールトアボイダンス・フールプルーフ ・フェイルソフト・インターロック ・フォールトレジスタンス・タンパレジスター ・安全制御・防護(ガード、防具) ・コンピュータ・情報技術 ・故障診断・安全/信頼性評価 ・解析システム・安全論理等々 3. 人間的側面 ・ヒューマンマシーンインターフェース(HMI) ・誤使用、エラー・人間工学・心理学 ・安全教育 (含:技術教育、訓練、倫理教育、人材育成) ・情報開示(掲示、警告、マニュアル) ・意欲と責任・安全意識・安心 ・年代ギャップと社会的変化等々 向殿「安全マップ(安全曼陀羅)の提案」図1を基に、 三菱総研にて作成向殿「安全マップ(安全曼陀羅)の提案」図1を基に、 三菱総研にて作成
全てに共通 各分野に 共通 各分野固有
1. 1-1. 安全とは? 1-2. 安全と価値観 1-3. 安全と人間性 1-4. 安全の構造 6.安全関連分野 1.理念 5.各分野の安全
4 .組織・制度的
側面
3. 人 間 的 側 面
2 .技術的側面
理念 5. 各分野の安全 ・機械安全・原子力安全・交通安全・プロセス安全 ・化学安全薬品安全・製品安全・労働安全 ・材料安全・物質安全・構造安全・爆発安全 ・火災安全・食品安全・医療安全・災害安全 ・システム安全・コンピュータ安全 ・機能安全・情報安全・社会安全・環境安全等々
6. 関連分野 ・危機管理 ・防災 ・警備 ・機密保護 (セキュリティ) ・警察 ・保険 ・公害 ・金融リスク等の 他のリスク ・地域紛争 ・風聞被害 ・マスコミ被害 ・情報操作 ・防疫 ・裁判制度等々 各分野固有
全てに共通 各分野に 共通
2.1.2 A方式(短期プログラム)
短期プログラムに関して、「プログラムの目的」、「実施形態」、「ターゲット」、「プログラムの項目」、
「カリキュラムの構成案」の点から検討した。
(1) プログラムの目的
本プログラムでは安全工学の専門家を体系的に育成することを目標としている。
しかし、現実的には、各企業においてOJTなどの企業内教育で実施されている場合が多い。日 本の企業の安全に対する国際標準の考え方を普及するためには、企業内教育に補完する形で、
体系的に学習するプログラムが有効であると考えられる。
短期プログラムは、企業内の技術者教育システムを補完し、企業技術者に対して安全工学の視 点からのシステム対策の考え方を定着するとともに、日本の企業における安全対策の向上を目的 とする。
その他、機械安全に対する社会的な認知度を向上して、最終ユーザとしての消費者への「安全 学の普及」を目的とする。
(2) 実施形態
実施形態は次の形態を想定する。
・ 講座の回数:5~6回
・ 講座の形式:一回に3テーマを盛り込み、一回ずつが完結した内容とする。
テーマに応じて講師を変更することを想定する。
・ 受講資格:大学の工学部修了レベルの科学・工学知識を前提とする。
(3) ターゲット
短期プログラムのターゲットは「①企業の管理者」、「②企業の技術者」、「③学部卒業生」を想 定する。企業の管理者や企業の技術者については、後述する長期プログラムを継続受講するこ とを推奨する。
① 企業の管理者
・ 機械を操作する企業管理者に、安全に関する規制や法制度を正しく理解し、企業マネジメ ントに安全文化を浸透することを目的とする。
② 企業の技術者
・ 機械を開発又は操作する立場の技術者に安全に関する規制や法制度等を正しく理解する とともに技術者倫理(技術者の権利と義務)の考え方を普及することを目的とする。
③ 学部卒業生
・ 機械を開発又は操作する立場の技術者に安全に関する規制や法制度等を正しく理解すると ともに技術者倫理(技術者の権利と義務)の考え方を普及することを目的とする。
④ 消費者、消費者団体
・ 機械安全の考え方を正しく理解するとともに、ユーザとして安全文化を醸成することを目的と する。
(4) プログラムの項目
短期プログラムの項目を次に示す。
安全マップの理念、技術的側面、人間的側面、組織的側面、各要素のシステム安全をバランス よく学習できる構成とする必要があると考えられる。
図 2-3 短期プログラム(案)の構成
(5) カリキュラムの構成案
次表に短期プログラムのカリキュラム構成案を示す。
第二回 安全工学の考え方 1.安全基礎工学 【2.技術】
2.安全設計 【2.技術】
3.ヒューマンファクター【3.人間】
第一回 安全学基礎
1.安全学(1) 【1.理念】
2.安全学(2) 【1.理念】
3.リスクアセスメント 【2.技術】
第五回 分野
1.製品安全 【5.各分野】
2.環境と人体の安全 【5.各分野】
第三回 規格・制度
1.安全に関する国内制度 【4.組織制度】
2.国際規格の動向 【4.組織制度】
3.制度設計 【4.組織制度】
第六回 総論
1.消費者教育 【関連分野】
2.安全学の目指す安全
5.各分野のシステム安全 4.
組 織
・制 度 的 側 面
3. 人 間 的 側 面 2.
技 術 的 側 面
1.理念
各分野固有 各分野に共通 全てに共通
第四回 システム安全の具体例 1.産業別機械安全 【5.各分野】
2.機能安全 【4.組織制度,5 各分野】
3.技術者教育 【4.組織制度】
注)【 】内は安全マップとの対応
表 2-1機械安全教育カリキュラム(案)<A方式:短期プログラム(1/3)> サブタイトルNo.講義名 講義内容 キーワード 安全知 体系 シラバ ス 1 安全学(1) 安全の概念に対する理解の必要性を理解する。また、安全とリ スクについて説明するとともに、許容可能なリスクと安全の関係 について学習する。
・安全哲学 ・絶対安全と安 全 1.理念A-1-1 2 安全学(2) 各産業分野の安全を原因・手段などの観点から検討し、安全の 構造を学習する。また企業には、安全に対する責任と役割があ ることを理解する。
・許容可能なリ スクと安心 ・安全文化 1.理念A-1-2第一回 安全学基礎 3 リスクアセスメント
機械安全におけるリスクについて、リスクアセスメントの考え方・ 手順、およびリスクアセスメントの意義・必要性を学習する。 ・危険源の特定 ・リスク評価 1.理念、 2.技術 的、 A-1-3 4 安全基礎工学 人間・機械・システムにおいて、安全性基礎の基礎的論理構造 を説明するとともに、システムの安全性評価手法を学習する。 ・機械安全 ・リスク評価 2.技術 的、3.人 間的側面A-2-1 5 安全設計 安全を確保する設計をするためには、リスクを把握するとともに、 社会が許容するリスクの大きさを把握する必要であることを理解 する。リスクとは危害の発生確率と危害の大きさの組み合わせで あることを学習する。
・安全設計 ・危害 ・ハザード
1.理念、2 技術的側 面 A-2-2第二回 安全工学の 考え方 6 ヒューマンファクター人間の特性(心理学・安全意識)や、機械操作者の想定外の行 動によって発生する事故の可能性について事例とともに学習す る。
・ヒューマンファ クター ・安全設計
3.人間的 側面 A-2-3 1.理念(領域I:全てに共通)/2.技術的、3.人間的、4.組織的側面(領域II:各要素に共通)/5.各要素のシステム安全(領域III)
表 2-2機械安全教育カリキュラム(案)<A方式:短期プログラム(2/3)> サブタイトルNo.講義名 講義内容 キーワード 安全知 体系 シラバ ス 7 安全規制に関する 国内制度 国内の安全規制に関わる諸制度や関連法規について、体系的 に理解する。規格や規制の考え方の背景に安全に対する社会 の考え方(安全文化)が介在していることを学ぶ。
・安全文化 4.組織的 側面A-3-1 8 国際規格の動向
機械安全に関する国際的な認証・認定制度について紹介し、安 全な製品の見分け方および安全とコストについて学習する。国 際規格、欧州規格の動向を理解する。
・国際規格 (ISO ,IEC等) ・A規格・B規 格・C規格
4.組織的 側面A-3-2第三回 安全を守る 規格・制度 9 制度設計
機械安全に関する法規制・基準、認証制度について、海外と日 本の差異に着目しながら学習する。安全に対する考え方の相違 が制度の相違となっている点を理解する。
・CEマーキン グ制度 ・安全コスト
4.組織的 側面A-3-3 10産業別機械安全
機械安全について、産業別のリスクについて解説する。航空 機、原子力、化学プラント、船舶、鉄道などの巨大システムと、自 動車などの安全性についての考え方の違いを解説する。ヒュー マンファクターは、機械別の対応が必要である点を紹介する。
・システム安全 5.個別分 野 A-4-1 11機能安全について
機能安全とは、製品・システムの安全だけではなく関係する企業 や人の安全管理までを対象とした総合的な安全規格であること を学習する。製品・システムの概念から廃却に至る全安全ライフ サイクルに渡っている点を理解する。
国際規格IEC 61508 5.個別分 野 A-4-2
第四回 システム安 全の具体例 12技術者教育 企業の技術者教育システムや技術者の責任と権利の考え方等 について学習する。 ・技術者教育 ・技術者倫理3.人間的 側面A-4-3
表 2-3機械安全教育カリキュラム(案)<A方式:短期プログラム(3/3)> サブタイトルNo.講義名 講義内容 キーワード 安全知 体系 シラバ ス 13化学安全・物質安 全 化学物質の危険性、有害物質について紹介し、特定化学物質 の管理の改善の促進に関する法律(化学物質管理促進法、 PRTR法)の施行や製品安全データシート(MSDS)の作成指針 の変更等について、開発者の立場から理解する。
・MSDS ・PRTR法 ・化学物質管 理促進法
5.個別分 野 A-5-1 第五回 環境安全 14環境と人体環境安全の一例として、化学物質・有害物質と人体や環境への 影響について、トラブルが生じた際の有用な法規制・基準、およ びトラブルへの適切な対応について利用者の立場から理解す る。
・環境安全 5.個別分 野 A-5-2 15消費者教育 機械や製品安全に関する消費者保護政策の歩みについて学 習する。消費者の役割について理解するとともに、現在、一般的 に提供されている情報についての知識を習得する。
・PL法4.組織的 側面、5. 個別分野A-6-1 第六回 総論 16安全学の目指す安 全
講座全体の復習を通じて、安全学の目指す安全性について解 説する。 ・安全学 共通A-6-2
2.1.3 B方式(長期安全教育プログラム)
長期プログラムに関して、「プログラムの目的」、「実施形態」、「ターゲット」、「プログラムの項目」、
「カリキュラムの構成案」の点から検討した。
(1) プログラムの目的
安全学、安全工学の専門家を育成することを目的とする。
(2) 実施形態
実施形態は主に①大学講義形式と②集中講義形式の2種類が考えられる。
①大学講座形式
・毎週定められた曜日に講義を実施
・複数の講義を平行して受講する ②集中講義形式
・短期間に連続して講義を実施
・関連性のある講義を連続して実施する (3) ターゲット
大学の理工学部の知識レベルを習得した企業の技術者、安全管理者及び安全管理者を目 指す技術者を対象とする。
(4) カリキュラムの構成
カリキュラムは、次の3つに分類して、目的に応じて、講座を選択できるような仕組みとする。
① 安全学基礎<短期プログラムと共通>
② 機械安全技術
③ 境界領域
長期プログラムでは、まず安全学基礎として、安全学の理念、技術的側面、人間的側面、
組織的側面、各要素のシステム安全について、一通り学習する。具体的には短期プログラ ムで実施する1講義あたり2~3コマのカリキュラムを、1講義1コマとして、内容を充実する。
強化する項目として、機械安全技術について、技術的側面、人間的側面についての理解 を深める。そのため、受講者には工学的、理学的な基礎知識を習得している必要が求めら れる。
更に境界領域として、安全確保に係わる社会システムとの関連について、マネジメントの
観点からも学習する。
受講者の目的やニーズに応じて、取得するコースを選択する方式も有効であると考えら れる。
長期プログラムの項目を次図に示す。
下記の点に留意した項目構成が必要であると考えられる。
・ 安全マップの理念、技術的側面、人間的側面、組織的側面、各要素のシステム安全をバラ ンスよく学習することができる構成とすること
・ 技術的側面、人間的側面など、技術内容についての知識を習得する講義内容が含まれるこ と
図 2-4 長期プログラム(案)の構成 14
安全学基礎(短期プログラムと共通注) ) 安全技術基礎 <7>リスク工学特論 1.リスク工学(1)-システム信頼性- 【2.技術】 2.リスク工学(2)-サイバーリスク-【2.技術、5.各分野】 <8>安全実現技術特論 1.安全実現技術(1)【2.技術,4.組織制度】 2.安全実現技術(2) 【2.技術,4.組織制度】 3.安全実現技術(3)【2.技術,3.人間,4.組織制度】 <9>システム安全特論 1.システム安全(1)–化学- 【2.技術、5.各分野】 2.システム安全(2)–エネルギー-【2.技術、5.各分野】 <10>人間工学特論 1.リスク認知 【3.人間】 2.人間工学基礎 【2.技術,3.人間】 <11>安全のマネジメント 1.国際安全規格の階層構造【2.技術,4.組織制度】 2.国際規格の標準化 【1.理念,2.技術】 <12>関連分野 1.環境マネジメント 【4.組織制度】 2.労働安全 【4.組織制度,5.各分野】 3.巨大システムリスク 【2.技術的,4.組織制度, 5.各分野,関連分野】
5.各分野のシステム安全
4.組 織 ・制 度 的 側 面 3.人間的側面
2.技 術 的 側 面
1.理念全てに共通 各分野に共通
<2> 安全工学の考え方 1.安全基礎工学 【2.技術】 2.安全設計 【2.技術】 3.ヒューマンファクター【3.人間】
<1>安全学基礎 1.安全学(1) 【1.理念】 2.安全学(2) 【1.理念】 3.リスクアセスメント 【2.技術】 <5> 分野 1.製品安全 【5.各分野】 2.労働安全 【5.各分野】
<3> 規格・制度 1.安全に関する国内制度 【4.組織制度】 2.国際規格の動向 【4.組織制度】 3.制度設計 【4.組織制度】 <6> 総論 1.消費者教育 【関連分野】 2.安全学の目指す安全 <4> システム安全の具体例 1.産業別機械安全 【5.各分野】 2.機能安全 【4.組織制度,5分野】 3.技術者教育 【4.組織制度】
注)【 】内は安全マップとの対応 各分野固有 注)短期プログラムの1回毎の複数テーマについ て、テーマ毎に個別に実施する。
分野共通の 内容を重視し て実施する
(5) カリキュラム(案)
① 安全学基礎<省略:短期プログラムと共通>
② 機械安全技術