平 成17年3月
財団法人 国際情報化協力センター
東南アジア地域における 情報技術利用実態調査報告書
− asean における教育分野での it 活用を中心に−
平成
16年度 東南アジア地域における情報技術利用実態調査報告書
16−CICC−C05
平成16年度
16−CICC−C03
平成
17年
3月
財団法人 国際情報化協力センター
16︱CICC︱C
03
16−CICC−C05
16−CICC−C05
序
コンピュータを中心とする情報化は、社会、経済をはじめ広範な分野の高度化に寄与し、ます ます重要となっております。しかしながら、途上国における情報化は、その意欲をもちながらも 現状はまだ多くの課題を抱えており、加速度的に高度化が進展している先進国とのギャップはま すます大きなものとなっております。
これらの実情にかんがみ、財団法人 国際情報化協力センター(略称CICC)では、情報化を促 進しようとする海外諸国に対して、その促進を支援、協力することを目的として、各種情報化協 力事業を実施してきました。
この調査事業は、情報化協力事業の一環として、日本自転車振興会から、平成16年度機械振興 資金による補助金を受けて実施しました。実施にあたっては、日本貿易振興会(JETRO)に調査委託
を行い、JETROシンガポール・センター駐在員兼CICCシンガポール事務所長 山内徹氏により「東
南アジア地域における情報技術利用実態調査報告書」―ASEANにおける教育分野でのIT活用を中 心に―として、とりまとめられたものであります。
調査の実施にあたってご支援、ご協力を頂いた関係各庁、関係会員に深く感謝の意を表すると ともに、この報告書が関係方面に利用され、情報化協力事業の円滑な推進をはかるための資とな れば幸いです。
平成17年3月
財団法人 国際情報化協力センター 理 事 長 佐々木 元
iii 目 次
1. インドネシア ...1
1.1 インドネシアの概要 ...1
1.2 IT基本政策・基本指標...2
1.3 教育事情および教育機関における情報化状況...5
1.4 e-Learning政策...6
1.5 e-Learningの現況とe-Learningの推進団体...7
2. マレーシア ...11
2.1 マレーシアの概要 ...11
2.2 IT基本政策とIT振興のための戦略...12
2.3 教育事情 ...12
2.4 教育とIT ...13
2.5 e-Learningの現況...14
2.6 e-Learningの推進団体...18
3. フィリピン ...20
3.1 フィリピンの概要 ...20
3.2 IT基本政策・基本指標...21
3.3 IT教育事情...26
3.4 e-Learning政策...29
3.5 e-Learningの現況...29
3.6 e-Learning推進機関・団体...30
4. シンガポール ...33
4.1 シンガポールの概要 ...33
4.2 IT基本政策・基本指標...34
4.3 教育事情 ...38
4.4 教育とIT ...38
4.5 e-Learningの現況...42
5. タイ ...43
5.1 タイの概要 ...43
5.2 IT基本政策・基本指標...43
5.3 教育制度 ...47
5.4 教育とIT ...47
6. ベトナム ...49
6.1 ベトナムの概要 ...49
6.2 IT基本政策・基本指標...50
6.3 教育事情 ...51
6.4 教育とIT ...51
6.5 e-learningの現況...53
7. 巻末資料 (人間開発指数 アセアン10ケ国及び日本、中国、韓国の比較)...55
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1. インドネシアインドネシアインドネシアインドネシア
1.1 インドネシアの概要インドネシアの概要インドネシアの概要インドネシアの概要
インドネシア共和国は北緯6度~南緯 11 度、東経95度~141 度に位置し、国土面積は約 190.5 万km2(日本の約5倍)である。約 17,000余の島々(うち約6,000の島々に人々が住んでいる)
からなる世界最大の島嶼国家で、東西約 5,110km(米国の東西両海岸間の距離に匹敵)、南北約 1,888km(赤道を挟む)に及ぶ。広大な国土は熱帯雨林気候に属しており、ほとんどの地域は湿度 が高く 1 年中暑い。季節は雨季と乾季に分かれており、10月から3月頃までが雨季、4月から 9 月頃までが乾季である。
人口は2.06億人(2000年インドネシア統計局)。中国、インド、米国に次いで世界第4位の人 口を持つ。大半がマレー系(ジャワ、スンダ等27種族に大別される)である。中国系は約500~
600万人。総人口の約6割に当たる 1 億人強が、全国土面積の約7%に過ぎないジャワ島に集中し ている。首都はジャカルタで人口は約 1 千万人。世界最大のイスラム人口を有するが、イスラム 教は国教ではない。イスラム教87.1%、キリスト教 10.1%、ヒンズ-教 1.8%他。識字率は 88.5%
(男性:92.9%、女性 84.1%)。国語はインドネシア語で全国に広く普及している。その他、ジャ ワ語、スンダ語等約300以上の種族語がある。
インドネシアは第2次世界大戦後の 1945年、民族運動のリーダ、スカルノの下に独立を宣言し、
1949年にオランダより国家主権が委譲され、正式に独立国となった。政体は共和制(1945年8月 17日独立)。国家元首は大統領(初代大統領:スカルノ、第 2 代大統領:スハルト、第3代大統 領:ハビビ、第4代大統領:アブドゥルラフマン・ワヒッド、第5代大統領:メガワティ・スカ ルノプトゥリ、第6代大統領スシロ・バンバン・ユドヨノ)。大統領は、国家の元首であると共に 行政府の長を兼ねる。首相職は無い。大統領は直接投票により選出され、国民協議会によって任 命される。任期は5年間であり、再選は 1 回のみ。行政区域は州(第1級自治体)、市・県(第2 級自治体)、郡、町、区等。1999年に地方分権関連2法(地方行政法並びに中央地方財政均衡法)
が成立し、2001 年1月より施行されたことにより、州・県・市は、外交、防衛、司法、財政、宗 教等を除く全ての権限を有することになった。
97年7月のアジア通貨危機により、外資導入、非石油・天然ガス産品の輸出志向産業の振興を 中心に推進されてきた開発政策は大打撃を受けた。現在IMF との合意に基づき、経済構造改革に 努力中。経済は好調な輸出入に支えられ回復基調にあるが、国内消費、国内・外国投資も経済危 機以前の水準に戻っていない。2003年初に政府が財政の健全化に向けて、各種公共料金(燃料価 格、電気料金、電話料金)の引き上げを実施しており庶民や企業経営者等の負担を増大させるこ とになっている。主力産業は鉱業(石油、LNG、アルミ、錫)、農業(米、ゴム、パーム油)、工業
(木材製品、セメント、肥料)。主要輸出品は石油・天然ガス、繊維、合板、履物、ゴム等、輸入 品は石油製品、機械、自動車部品、鉄鋼板等。
外国投資は国内外からの投資が経済危機以降最低の水準(2002 年)。国営企業の民営化時期が 相次いで延期されるなど、経済改革プログラムの進展に遅れが見られる他、治安の不透明性や法
の支配の確立の遅れなどから、特に、2002 年 11 月末には日本企業のソニーが撤退を発表したこ とで、改めてインドネシアの投資環境が悪化していることが指摘された。しかしながら、現時点 では、ユドヨノ新政権の下での経済刷新を期待する声が高く、投資今後の発展の度合いが注目さ れている。
労働力人口は約9,080万人(2001 年)。現在、失業率は8.1%(2003年)。2020年には1億4,500 万人の労働力人口を有すると予測されている。1967 年から 2001 年までの直接投資累積額におい て全体の 14.4%と第 1 位を占めている日本がインドネシアに設立した日系企業は約 1,000社に上 り、インドネシア人雇用者の数は20万人を超えている。
1.2 ITITITIT基本政策・基本指標基本政策・基本指標 基本政策・基本指標基本政策・基本指標
1.2.1 IT政策
インドネシアのIT政策の経緯について下表に示す。インドネシアは政府の混乱を背景に、なか なかIT政策が進捗していない。その根元には、貧富の格差の問題と広大な島嶼国家であることが 存在している。インドネシアの町を歩けば判るように、日本にはあり得ないような、例えていえ ば、ビバリーヒルズのような高級住宅街とスラム街、掘っ建て小屋が同居している。技術的にも、
世界レベルで競争可能な技術を販売するような会社がある一方で、PCを触ったことがない人たち も存在する。電気が来ないことから、昼間しか授業を行えない学校も存在する。
こうした中、IT政策を立案することは並大抵ではない。公務員給与は安いこともあり、政府内 には汚職なども後を絶たない。ITを振興するためには、的確に問題を把握し、整理し、その問題 を解決していくことが不可欠であるが、これができていない。
さらに、地方分権を進めた結果、中央政府の権限は大幅に削減されており、IT政策を実施する ことは大変困難な状況にある。
また、現在のIT計画を進めているのは、メガワティ大統領が副大統領当時に発案したテレマテ ィカである。ユドヨノ新政権下でのIT政策の新たな展開が期待されるところである。
表 1-1 IT政策の経緯 1997年
~
ヌサンタラ21 (NUSANTARA 21)
↓
「国家情報システ ム」(SISFONAS)
National Information System
Sistem Informasi Nasional、Sisfonas
インドネシアの国家情報基盤整備計画。ヌサンタラ21 は 政権交代により名称を変えSISFONASとなった。
ヌサンタラ 21 は先進国によるGII(グローバル情報イン フラ)プロジェクト、隣国マレーシアのマルチメディア・ス ーパー・コリドー(MSC)やシンガポールのシンガポール・
ワン(SINGAPORE ONE)などの国家情報化推進計画に触発さ れ、打ち出された計画といわれ、当時の政府(スハルト政権 時)が、2001 年までにインドネシアの27州都をスーパー・
ハイウェイで結び、マルチメディア・シティー、マルチメデ ィア・コミュニティー・アクセス・センタを構築し、各種ア プリケーションを導入することにより、インドネシア全体の 情報通信の社会インフラ整備の実現を目指した計画である
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が、実質的に頓挫した状態にあった。
SISFONAS に名称が変更されてからは地方政府と中央政府
間のネットワーク構築等、電子政府を推進するイニシアティ ブとなっている。
インドネシア政府は2003年 12月に開催された世界情報社 会サミット(WSIS)において決定した通信網整備に関する計 画の終了年が2015年であることから、SISFONASのいくつか のプログラム(終了予定は2010年)の終了年を前者の計画 に合わせて2015年とすることで調整中。
2001 年2月
大統領令 大統領令大統領令 大統領令 Presidential Instruction No. 2/2001
コンピュータアプリケーションにおけるインドネシア語の 使用を規定
2001 年 3月
大統領令 Presidential Instruction No. 3/2001
中小企業振興のためのICT活用を規定
大統領令 Presidential Instruction No. 6/2001
インドネシアにおけるICTの発展及び導入のための ガイドライン。ICT分野は国家IT 調整チーム(TKTI)が担 当となることを指示。
2001 年 4月、5月
インドネシアにお ける情報通信技術 の開発・実現のため の5か年実行計画
2001 年 5月、上記大統領令に基づき、デジタルディバイ
ドの解消を目的とした 5 カ年実行計画が発表された。「政 策・法律」「人材開発」「インフラ」「情報通信技術の応用」
の4項目に関し、それぞれの課題、実行計画案、実行時期、
優先順位、実施機関等を定めた。
2001 年 4月~
テレマティカ インドネシア Telematika
Indonesia
正式名称は「ICT 開発と実施のための政策フレームワーク (Frame work for Development and Implementation of Information and Communication Technologies in Indonesia)」。ICT の活用による国家の統一、国民の福祉と 持続可能な開発の実現を目指す。
1.国家の統一と国民の能力強化のためのICT
2.社会のための、そして、社会におけるICTの活用
3.国家情報通信基盤の整備 4.民間部門のビジネス環境の整備 5.国民能力の向上と科学技術政策
6.電子政府の構築:良き統治力のためのICT活用
7.国家 ICT 戦略を統括するテレマティカ調整グループの組 織強化
2003年 大統領令 Presidential Instruction No. 3/2003
電子政府推進を目的とした大統領令。
2003年 大統領令 Presidential Instruction No.9/2003
国家IT調整チーム(TKTI)に関する大統領令。
2005年 大統領令 Presidential Instruction NO.9/No.110/11/12 /15
情報通信省設立など情報化機関の再編に関する大統領令
1.2.2 パソコンの普及状況
インドネシアのPC普及台数は、2002年時点で約250万台、普及率は 1.19%にすぎない。他 のASEAN諸国における2002年のパソコン普及率は、シンガポール62.20%、マレーシア 14.68%、
ブルネイ7.67%、タイ3.98%、フィリピン2.77%、ベトナム0.98%、ミャンマー0.51%、ラオ
ス0.33%、カンボジア0.20%(出典:ITU)となっていることから、インドネシアの 1.19%とい
う数字は国力を考えるときわめて低いといえる。これは、人口がきわめて大きいことも要因であ る。
しかしながら、国内でのパソコンの売上は着実に伸びてきており、2003年には年間で約 70 万 台が売れ、前年と比較し 16.7%増加している。
ガートナー社の調査ではインドネシアにおける2003年の有力パソコンベンダ5社は、ヒューレッ ト・パッカード社、エイサー社、IBM社、デル社などの外資系ベンダの他、インドネシア国産パ ソコンメーカPT Zyrexindo Mandiri Buana社(ZEREX社)。ZEREX社の2003年の市場シェアは5%
であった。
多くのIT関連企業は、2004年の総選挙や電子政府実現に向けて、政府におけるパソコンの需 要が大きく高まることを予測している。
1.2.3 インターネットの普及状況
表 1-2 インターネットユーザ数
年 インターネットユーザ数 1998 512 1999 1,000,000
2000 1,900,000
2001 4,200,000 2002 4,500,000
*2003 7,550,000
*2003年は予想値 出典:APJII
インドネシアのインターネット普及率は 2001 年末現在で 1.9%と非常に低いのが現状である。
80年代後半から研究者を中心にインターネット接続がされてきたが、商用ネットは首都ジャカル タなどに限定され、島々に点在する広大な国土を充分カバーするに到っていない。また固定電話 回線の普及率が4%弱と遅れていることがネックとなっている。
インターネット利用者数は、2003年には750万人に達した。大半は国内に 1,500ヵ所以上普及(ジ ャカルタにその50%が集中)しているインターネット・カフェあるいは「Warung(=小屋) Net」
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/ 「WARNET」の利用者と推定される。インターネット・プロバイダ協会の発表によると、インタ ーネットユーザ 52%が Warung Net 等のインターネット・カフェから、42%が職場からインター ネットアクセスしている。
ISPは、2002年現在で約 180社(うち、8割程度がジャカルタ)が許可されているが、現下の 経済情勢で資金繰りに詰る会社も多く、実際に運営しているのは、ジャカルタで30社程度、地方 で 10社程度と推定される。
インドネシア国内の政府各機関、民間企業、大学等のウェブサイト(ホームページ)は、急速に 充実しつつある。インドネシア語・英語を併記したものも見られ、かなりの情報を収集すること ができる。
インドネシアでは、インターネット接続はダイアルアップが中心である。ジャカルタの都心部で は、現在のところ公称数百 kbps 程度までの高速インターネットサービスは高級ホテル、外人向 アパート等ごく限られたところでしか利用できない。その場合も回線は共用であり、またバック ボーン回線の容量不足のため通信速度は低下しやすい。日系企業等のオフィスでは、通信事業者 により提供される専用線あるいはVPN(仮想専用網)サービスを利用しているところもある。
ISDN、ADSLサービス等は特定の区域のみであり殆ど普及していない。
ジャカルタ以外の地方都市では、企業、大学等が構内のLANを通信事業者の回線に接続してイ ンターネットを常時利用しているところがあるが、通信料が高く、利用者数次第で速度も遅い。
一般家屋等ではダイアルアップ接続になる。また、コンピュータと電話を持たなくても利用でき るWARNETが増加している。
この他、通信事業者の PT.TELKOMが、加入電話から直接つながるインターネット接続サービス
(TELKOMNET)を全国で提供している。ただし、サービス品質は不十分で料金も割高である。
1.3 教育事情および教育機関における情報化状況教育事情および教育機関における情報化状況教育事情および教育機関における情報化状況教育事情および教育機関における情報化状況
インドネシアの教育システムは日本と同様に6・3・3・4年制を取っている。中学校を卒業した 生徒は、一般の高校(3年)に行く、もしくは職業訓練学校(3年)という進路がある。その後に は3年生の高等専門学校(Polytechnic)もしくは4年生の大学に進学することになる。インドネ シアは 17,000以上の島があり世界最大の島嶼国家である。その為に教育省初等・中等教育局・職 業訓練課では職業訓練学校のネットワークを作ることに力を入れている。
この計画を4段階において進めており、まず全国 5,000校ある職業訓練校の内、800校に対し てネットワーク資金を付与して学校内のネットワーク化を進めている。次の段階として学校間LAN であるJIS(スクール・情報ネットワーク)を構築している。2004年時点で64のJISが既に構築 されている。JISはe-ラーニングを促進させる指導者としてのICTコミュニティを各都市に作る ことに活動を集中している。第3段階としてJISを結んでWAN Kota(Kotaとはインドネシア語で 町の意味)と呼ばれる更に広域のネットワークを張り、30のWAN Kotaが出来上がっている。
教師がネットワーク知識を得るために、CISCO 社による教育が実施されている。地方自治体も
30%~40%のネットワーク敷設の資金を負担している。メインサーバーは一つの学校にあり、WAN
Kota内の学校はダウンロードをすることが可能になっている。コンテンツ作成には政府はかかわ
っておらず、一般のフリー競争となっている。200種類のマルチメディアコンテンツがあり、150 のモジュールを今年作る予定である。最終段階である4段階目では地域のベストスクールに60台 のPCを与えてICTセンターとしている。ICTセンターとなるためには、第3段階までの段階に進 んでおり、さらに学校側でPCを保有するために3つの教室を用意する必要がある。今は 10ケ所 のICTセンターがあり、10年以内に400ケ所のICTセンターを設立する計画がある。
政府は大学に進学する人が少ないことから職業訓練学校に力を入れており、上記に述べた教育 機関のネットワークは、職業訓練学校が中心であるが、他の種類の学校も接続することは可能で あり、教育省の初等・中等学校局・職業訓練学校によるネットワークがインドネシアで唯一の全 国レベルでの教育機関のネットワークである。インドネシア全体で小学校は 170,000 校あり、中 学校は 17,000校、高等学校は7,900校、職業訓練校は4,169校、大学は200校ある。昨年は210 校の職業訓練校を設立し、今年には 300校を設立する計画があり、5年間では2,000 校を新たに 作る予定である。また新たな活動として、学校を新たに作るのは金がかかることから一般高校に 職業訓練のクラスを併設にすることも昨年から始めている。このクラスで教える教師は、当初は 近隣の学校から派遣し、その後新しいコースを作った農村から教師をバンドンにある職業訓練セ ンターに呼び、教育・訓練を行って地元に再派遣を行っている。今年からは訓練センターに来る 教師には政府がPCを与えることを始めている。
義務教育は小学校・中学校の計 9 年であるが、小学校においては 100%の進学率となっている が、中学校では80%の進学率に留まっている。高校以上に行く人の割合は60%以下で、大学レベ ルでは 15%にまで低下する。2008年までには中学校に行く人を 100%にまで引き上げることが政 府の目標となっている。
教育部門における情報化の活動としてはSchool 2000という2,000 校をネットワーク化するこ とを目標としたプロジェクトもある。また一つの学校に一つのコンピュータ室をつくるというOne School One Computer Lab プロジェクトというプロジェクトもある。このプロジェクトには2003 年にバタム島で開始され、後述するPUSTEKKOMがコンテンツを提供している。またWAN Kotaにお
いてPUSTEKKOMはコンテンツをこのネットワークを通じて提供している。
1.4 eeee----LearningLearningLearningLearning政策政策 政策政策
2001 年 10月にICT整備に関する5カ年実行計画が発表され「人材開発」が一項目として挙げ
られているが、具体的な内容となっておらず、
教育に関するマスタープランを現在作成中である。国家教育省はインドネシア全土にある学校 にITを浸透させることを行なっている段階である。現在の最大の関心は先進的な技術を導入する ことよりも、地方にある学校を都市の学校と同様なレベルにすることにある。ネットワークだけ でなくカリキュラム開発にも力を入れている。高校ではコンピュータの基礎的な知識を得るコー スが必修の科目となっており 1 学期当たり90時間受ける必要がある。ICTに関するオンライン・
テストを全国で開始する準備を進めている。また通常のカリキュラムとe-ラーニングを統合させ ることも計画させている。e-Learningについてはインターネットの環境が整っていない、また接 続料が高いことから極めて初期の段階で、政府により支給されたインタラクティブCDを用いてオ
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フラインで学習を行ない、LMSなどは使われていない場合が高校レベルでは多い。
2004年に国家教育省は高校向けにラーニングコンテンツを提供するために予算を計上した。125 のトピックが職業高校向けに提供され、一般高校向けにも 125 のトピックが提供された。今後 5 年間で毎年 125のトピックが開発される予定である。
1.5 eeee----LearningLearningLearningLearningの現況との現況との現況との現況とeeee----LearningLearningLearningLearningの推進団体の推進団体の推進団体の推進団体
民間で学校向けのコンテンツ開発を行なうなどe-ラーニングビジネスを行なっている企業はあ るが、e-ラーニングの業界団体は未だ設立されていない。
1.5.1 インドネシア・オープンユニバーシティ
同大学は 1980年~教師向けの訓練として遠隔教育を開始し、テキストを生徒に送る通信教育を 行っていた。1984 年には遠隔教育大学として成立した。インドネシア全土の地方に支部があり、
合計で 31 支部を有し、その内ジャワ島は 3つの支部を有している。1996年には450,000人の生 徒が在籍しており、2000 年には電子メールベースで教育を行う e-Learning を開始した。教師は 家にPCを保有してなく、家に必ずしも電話があるわけではないので、インターネットカフェで接 続することになるが、1 時間当たり3,000~5,000ルピーとインターネット接続料が高いことなど が問題となっている。
ジャカルタにある国立のオープンユニバーシティと同じくジャカルタにある私立のビナ・ヌサ ンタラ(BINA NUSANTARA)大学が大学レベルでe-Learningを行っている主な大学であるが、ビナ・
ヌサンタラ大学は始めたばかりでまだ初期の段階である。また全ての大学はe-Learningを開発し ようと活動を行っている。
前者のオープンユニバーティは250,000人の生徒が在籍している。Diplomaコースや、2年間の
P2レベルや 4年間のP1 レベルのコースはあるが大学院レベルのコースは存在していない。学費
は 160 万ルピアでこれには、試験費用、授業料、教材費も含まれている。インドネシアには 130 万人の小学校の教師がいるが、全ての教師が高学歴ではなく、これらの教師に対してスキルアッ プを行うことがオープンユニバーシティの主要な目的となっている。一方ビナ・ヌサンタラ大学 は高校を卒業した生徒を対象としている。
オープンユニバーシティはカナダと提携しており、タイにあるオープンユニバーシティとも提 携をしている。アジアのオープンユニバーシティの連盟である Association of Asia Open
universityも参加をしており、タイ、バングラデシュ、フィリピン、ラオス、インドネシア、香
港、スリランカ、イラン、インド、日本、マレーシア、パキスタン、韓国、中国の大学が加盟し ている。韓国が今年は議長となっており、来年はインドネシアが議長となる予定である。
1.5.2 PUSTEKKOM (Center for Information and Communication Technology for Education)
PUSTEKKOM は教育省傘下にある 6 つのセンターの一つで直接事務総長に従属している。このセ ンターは教育上の問題を、情報通信技術を活用することにより解決する、また人的資源の質を情 報通信技術の開発と実施により高めるという 2つのミッションを掲げている。また同センターは
①e-Learningや遠隔教育を含む教育向けの情報通信技術の開発、実施に関する技術政策を立案す る、②教育への情報通信技術の使用を通じて、ラーニングシステムやモデルを開発する、③コン サルサービスを含む全ての教育のタイプやレベルに対してメディアプログラムを開発するという 3つの機能を果たしている。
PUSTEKKOMの歴史は 1968年にまでさかのぼる。1968年にインドネシア政府は教育に関する調査 を行い、ラジオやTVを通じた教育は、教育にとり不可欠な部分であり、優先されるべきことであ る。また教育ラジオは、オペレーションコストを増加させずに教師と生徒の割合を増加させると いう結論に達した。この研究に続いて教育ラジオ放送が 1973 年にジャワ島中部で、1974 年にジ ョグジャカルタ特別区において実験的に開始された。この結果は満足のいくもので、1976年に教 育文化省は、教育・文化のための通信チームを開始した。1978 年の大統領令 27 号により教育・
文化のための通信チームは、教育・文化のための通信技術センター、インドネシア語の頭文字を とってPUSTEKKOMとして昇格した。1999年までPUSTEKKOMはジャカルタに位置し、3つのメディ ア製造ユニットを有し、21 の地方に 21 ケ所の実施部門を抱えていた。2000年の地方分権政策の 実施により、実施部門の管理は地方政府に移管された。情報通信技術の発展により、2000年から PUSTEKKOMはITをサービス分野に追加をし、現在に至っている。
一般高校向けにedukasi.netと呼ばれるe-Learningコースを提供している。現在は科学、物理、
数学、生物の教材があるが、社会科学系にも内容を広げていく計画をもっている。edukasi.net はインターネットを通じてコンテンツを配信しているが、全ての学校が高速のインターコネクシ ョンをもっていないので、CDベースでも教材を送付している。教材作成については、大学の講師 や学校の教師ともに一緒にコンテンツ開発を行っている。
今年の重点活動は、中学校向けのテレビ放送教育であり、来年はedukasi.net を中学校にも普及 させることに重点を置いている。双方の教育とも、学校における対面授業の補完的役割をすると 位置付けられている。
IDLNは遠隔教育プロバイダーのネットワークであり、インドネシア政府とユネスコ・UNDPの資 金により作られ、PUSTEKKOMがコーディネートセンターとなっている。農業省、財務省、人材省、
貿易産業省、内務省、宗教関連省、PT.TELKOM、スラバヤ大学など 14のメンバーが参加している。
IDLNのミッションは、メンバー機関が質の高い人材資源開発に向けて、先進的な遠隔教育システ ムを管理する組織内能力開発を支援することにある。
対外的な活動として、PUSTEKKOM は Asia School Net というユネスコのプロジェクトに参加を しており、マレーシア、フィリピン、ミャンマー、ベトナム、ラオス、タイ、インドネシアにあ る24のスクールと連携している。シンガポールとブルネイもこのネットワークに参加をしている が、自己資金で行っている。このプロジェクトにおいてインドネシアのコーディネーターの役割 をしている。
また世銀が推進している遠隔教育に関する各国の提供を行うウェブサイト Global Distance
Education Net のための情報収集も行っており、東南アジアの地域サイトはインドネシアにおか
れPUSTEKKOMとリンクが張られている。
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1.5.3 東南アジア教育大臣機構 地域オープンラーニングセンター(Southeast Asian
Ministers of Education Regional Open Learning Center : SEAMEO LEC)
SEAMEO LECはSEAMEOの地域センターでオープンおよび遠隔教育分野において活動を行ってい
る。同センターは、1997年2月にインドネシア政府のもとに設立され、ジャカルタから近郊のボ ゴール郡に位置している。(物理的には、上記のPUSTEKKOM と同じビルに位置している。)上位機
関であるSEAMEOの加盟国はブルネイダルサラーム、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレー
シア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムとなっており、準加盟国はオー ストラリア、カナダ、フランス、ニュージーランド、ドイツ、フランス、オランダとなっている。
スタッフ数は23名で、活動内容は研究・開発、教育および訓練、情報技術の普及、経験と資源の 共有、コンサルティングサービスなどとなっている。
東南アジア各国やインドネシア国内での活動も積極的に行っており、2003年5月には、SEAMEO 地域訓練センター(ベトナム)とe-Learningの為の自己学習教材開発に関する訓練プログラムを 行っている。このコースは基本的な自己学習教材を開発し、WebCT を用いて、開発した教材をオ ンラインコースに変換するスキルを高めることを目的にしている。2003年6月には同様の訓練を インドネシア・ランプン大学において行った。またユネスコの支援のもとで、ラオスにオープン および遠隔学習機関を設立する調査を行った経験を持っている。大学の講師だけでなく、政府役 人や小学校・中学校の教師に対しても行っている。例えばインドネシア各地の、別々の中学校か ら派遣された21 人の教師がボゴールでインターネットを教育に活用する訓練を受けている。また 23人の小学校の教師が英語教育に関する遠隔訓練に参加をしている。
SEAMEO は e-Learning コースとして、地方開発におけるデータ管理コースを行っている。生徒
は 大 学 生 や 大 学 教 授 で 、 単 位 は 得 ら れ な い が 無 料 で 授 業 を 受 け る こ と が で き る
(www.seamolec.or.id)。
1.5.4 バンドン工業教員研修センター(Technical Education Development Center: TEDC)
職業訓練校や工業高校向けの教師を育成している機関であるが、①既存の教師に対してスキル アップを提供する活動と、②新卒の学生が教師になるための訓練を実施する活動、③3 年制のポ リテクニークを運営するという、主に3つの柱から成り立っている。
同センターは、職業訓練学校向けに e-Learning システムによる教育・研修、e-Learning 技術 を利用した教材の全国展開を計画している。今まではインフラを構築することに重点をおいてい たが、今年からはコンテンツ開発を行おうとしている。総勢 405人のスタッフが働いており、そ の内 156人が技術スタッフとなっている。10の部門があるが、8つの部門が技術関連部門となっ ている。また同センターはJICAの援助を受けており、日本側の協力が継続されることに対して非 常に期待をしている。
1.5.5 政府内における遠隔教育
インドネシア政府では、遠隔教育の活用による政府内教育を検討している。地方分権化が進む
中で、電子政府を推進させるためには中央政府のみならず地方政府の職員のIT教育が不可欠とな る。一度に低コストでの研修を実施するために衛星通信をつかったテレビ会議方式での遠隔教育 の実施を検討している。
1.5.6 e-ラーニング普及の為の問題点
e-ラーニングを理解する人材の不足、現状のカリキュラムに合う e-ラーニングコンテンツの不
足、e-ラーニングを行なった経験が不足していることなどが挙げられる。
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2. マレーシアマレーシアマレーシアマレーシア
2.1 マレーシアの概要マレーシアの概要マレーシアの概要マレーシアの概要
マレーシア(Malaysia)は赤道直下北緯 1 度から7度の間、東南アジアの中心に位置し、タイ と国境を接するマレー半島部の西マレーシアと、南シナ海を隔てたボルネオ島の、インドネシア 領カリマンタンと接するサバ、サラワク両州から成る総面積32万9,735平方キロメートルの国で ある。高温多湿で年間を通じ大きな気温の変化はなく、平均気温は27℃前後である。はっきりと した雨期、乾期の区別はないが、気候は南シナ海とインド洋からの風に大きな影響を受け、南西 モンスーン期と北東モンスーン期に大別される。東海岸では 10~3月が、西海岸では4~10月が モンスーン期にあたり、多量の雨を伴った風が吹く。1957年、マラヤ連邦として独立し、1963年 にシンガポール、サバ、サラクワを加えてマレーシア連邦を結成した。その後、1965年にシンガ ポールが分離独立し、現在のマレーシアとなった。
人口約 2,453 万人(2002 年)を抱えるマレーシアは複合多民族国家で、マレー系(65.1%)、
中国系(26.0%)、インド系(7.7%)の他、カダザン、バジャウ、イバンなどの先住民族(1.2%)
で構成され、それぞれの民族が独自の習慣、祭事、宗教、衣装、食生活などの文化、伝統を守り ながら共存共栄して住んでいる。国教はイスラム教でマレー系の大半が信仰しているが、国民の 信教は自由とされており、中国系は主に仏教徒、インド系は主にヒンズー教徒である。
マレーシアは立憲君主制を採り、13 州(マレー半島部の 11 州、サバ州、サラワク州)と連邦 直轄区(クアラルンプール、ラブアン、プロラジャヤ)に区分される。元首は国王で、9 州のス ルタン(13州のうちペナン、マラッカ、サバ、サラワクの4州にはスルタンが存在しない)の中 からスルタン会議において互選によって決定される。国王は内閣総理大臣を任命し、国会を通過 した法律を裁可し、内閣の助言に基づいて行政権その他憲法及び連邦法に定められた行為を行う。
実質的な権力は、首相にあり、マハティール・モハマド首相(1981 年7月就任)が長くマレーシ アを指導してきた。2003年 10月末日、22年間にわたる長期政権を維持してきたマハティール首 相が下院議員を除いて政府及び党の全ての職を辞し、アブドゥラ副首相が第5代首相に就任した。
マレーシアはかつてゴムと錫中心の典型的なモノカルチャー型経済であったが、政府は、1960 年代に消費財を主眼とした輸入代替工業化政策、70年代には輸出加工区の設置を基幹とする輸出 指向型産業の育成を開始した。1997年に通貨・金融危機による経済困難に直面したが、IMFの支 援を仰がずに独自の経済政策を推進。1998年9月に為替管理措置を導入し、翌年2月以降に緩和 した。1998年はマイナス成長を記録したが、製造業を中心に回復し。2002年の実質成長率は4.5%
(Bank Negara Malaysia, “Monthly Statistical Bulletin”)となった。
主要産業は製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(錫、原油、LNG)
で、2002年のGDPは951 億5,710万5,263米ドル(Bank Negara Malaysia, “Monthly Statistical Bulletin”)、1人当たりのGDPは3,879米ドル(IMF, “World Economic Outlook Database”)。
主要輸出品目は電気製品、原油、LNG、パーム油、繊維製品で、2002 年の輸出額は 932 億 8,342 万 1,052米ドル(Bank Negara Malaysia, “Monthly Statistical Bulletin”)、その主な相手国 は米国、シンガポールに日本が続いている。
2.2 ITITITIT基本政策と基本政策と基本政策と基本政策とITITITIT振興のための戦略振興のための戦略 振興のための戦略振興のための戦略
1995年8月25日に新行政首都であるプトラジャヤの起工式において、マハティ-ル首相によ りマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC: Multi Media Super Corridor)計画が正式に発表 された。マルチメヂィア・スーパー・コリドーとは、クアラルンプール・シティ・センター(KLCC)、
プトラジャヤ新行政都市、サイバージャヤ、98年6月開港のKL新空港(KLIA)を含む 15Km×50Km の地域で、マルチメディア技術を活用した都市開発を行う計画である。マハティ-ル首相自身の 強い政治的意思により推進されている。サイバージャヤはその中心であり、マルチメディア産業、
R&D センター、マルチメディア大学、多国籍企業の統括部門等を誘致する広大なインテリジェン
ト・シティーである。
MSC計画は、2020年に先進国入りするとの“VISION2020”を達成するため、これまで、マレー シア経済を牽引してきた製造業と合わせて、新たにIT産業を中心とするサービス・知識集約型産 業を育成することを目標としている。ITは、第3次長期経済計画(2001 年4月国会で承認された 10年計画)では知識集約型産業の担い手として位置付けられるとともに、第8次5カ年計画(2001 年4月、第3次長期経済計画の具体化策として国会で承認された5年計画)ではより具体的な振 興策が規定されている。
MSC計画は 1996年から2020年までの長期計画であり、以下の3つのフェーズから成っている。
(1)第 1 フェーズはマルチメディア/・スーパー・コリドーの開発、世界レベル企業の誘致、7 つのフラッグシップ・プロジェクトの開始、世界をリードするサイバー法の整備、世界初の インテリジェントシティーサイバージャヤとプトラジャヤの完成。
(2)第2フェーズとしてマレーシア国内外のインテリジェントシティーとのリンク、フラッグシ ップ・プロジェクト、サイバー法の世界標準化。
(3)第3フェーズとしては、マレーシアの知識ベース社会への転換、IT・マルチメディアに関す る研究開発実験場の提供、世界の情報スーパーハイウェーへの接続、国際サイバー裁判所の プラットフォームとなること。
現在は、第2フェーズとして、地方に対してMSCの成果を普及させようとしている段階である。
2.3 教育事情教育事情教育事情教育事情
マレーシアにおける教育の主眼のひとつは複合民族国家としてのマレーシアを統合していくこ とである。その方策がマレー語教育を中心とする教育の「マレー化」で、独立以来、教育省はマ レー系の小学校(国民学校)はもちろんのこと、中国語やタミール語で授業を行う小学校(国民 型学校)においてもこれを推進してきた。この方策を進めるため、各州には教育省の地方部局に 相当する教育庁が置かれ、その下に複数の教育事務所が配置されている。
学制は英国の制度を基にしており、初等教育(6年)、中等教育(前期3年・後期2年の計5年)、
高等教育の3 段階に分かれている。初等教育未就学児童の保護者に対する罰則はなく厳密な意味
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では義務教育ではないが、前期中等教育終了までの授業料は無料であるため就学率が高い。
初等教育は小学校で行われ、就学年限は6年間である。就学開始年齢は日本同様6歳で、就学率 は 100%に近い。中等教育は下等中等学校、上等中等学校及び大学予科、専門学校に分かれる。
前期3年と後期2年で構成され、後期以降は普通教育と職業教育の2本立てになっている。中等 教育終了後進学できる学校には、教員養成学校(2年制)、ポリテクニック(3年制あるいは2年 制)がある。高等教育は大学(修学年限は3~6年。学部によって異なる)、大学院が中心である。
1996年に設立された「私立大学教育機関法」により、私立大学の設置及び外国資本による高等教 育機関の設置が認められるようになった。現在、マレーシアには国立大学、国際イスラム大学(イ スラム教諸国による共同設置)の計 11 校及び私立大学 12校がある。
マレーシアの抱える教育上の問題としては、学生の数が増加しており、これに伴い教育関連コ ストが増加している。現在義務教育を終了した人の 18%の人が高等教育を受けているが 2020 年 までにこの数値を40%に使用する目標を掲げているなど質の高い教育に対する需要が増えている 一方、ICT を中心とする教師が不足している、設備やツールが限られているといったことが挙げ られる。マレーシアは知識社会に移行することを目指しており、これを達成する為には人材育成 が必須であり、e-Learningはマレーシアにおける教育問題を解決する有効な手段として注目され ている。
2.4 教育と教育と教育と教育とITIT ITIT
教育省は、デジタルデバイドの解消や学校での IT の活用にも力を入れている。Ministry of Education(MOE、教育省)の予算が国家予算のうち大きな割合を占めていることからも明らかな ように、マレーシア政府は教育分野に特に力を注いでいる。MOE 自体も各州にサーバをもち、職 員名簿などのインターネットアプリケーションを活用している。現在、職員2人につき 1 台の割 合でPCが設置されているが、2005年までに全職員に 1 台ずつPCを提供する計画である。
MOE が最も重要視しているのがデジタルデバイドの解消である。クアラルンプール周辺のクラ ンバレー地区では全ての初等・中等学校でインターネットを利用できるのに対し、地方にある学 校のほとんどはインターネット接続環境がないのが現状である。また、電話回線を備えていない 学校は全体の 1 割程度にあたると見積もられている。
また、MSC と連携してフラグシップのひとつである「スマートスクール」プロジェクトに積極 的に取り組んでおり、2010年までに全ての学校をスマートスクール化することを目標としている。
スマートスクールの要件としては、PCラボが設置されていること、MOE主催の 14週間にわたる特 別研修を教師が受講していることなどが挙げられ、ICTを学習の手段として取り入れている。1990 年以降、教師養成大学では基礎情報学コースの受講が義務付けられており、MOE は週末や長期休 暇中などに、希望者を対象とした集中コースを提供している。
MOE のカリキュラムに従い、生徒はインターネットサイトを利用してマルチメディアチュート リアルや個別学習プログラムなどを活用することができる。Ministry of Education(MOE、教育 省)がスマートスクールプロジェクトを推し進めているものの、マレーシアではデジタルデバイ ドが深刻な問題となっている。PCを備えている学校は2000年時点で小学校で3割、中学校で半 数強と見積もられており、インターネット接続環境に関しては小学校で 1 割、中学校で3割と言
われている。このうちウェブサイトをもつ学校は250校程度と推定される。
高等教育機関におけるコンピュータネットワークの活用は、RangKoMにより、MIMOSと4大学間 とが繋がれたことに始まり、今日では複数の大学間でのリースラインによるインターネット接続 が可能となっている。大学の多くはさらに、JARINGの高速光ファイババックボーンに接続されて おり、中には Malaysian Advanced Network Integrated System(MANIS)を通して海外の教育機 関と接続されている大学もある。
2.5 eeee----LearningLearningLearningLearningの現況の現況 の現況の現況
2.5.1 主なe-Learning活動
マレーシアでは 2000年に前後して各種の活動やイニシアティブが行われ始めている。1998 年 にはトゥン・アブドゥ・ラザック大学(Tun Abdul Razak :UNITAR)が設立され、1999年には首相 を議長とする国家 IT評議会のもとに学習のためのマレーシアグリッド(MyGfL)の作業グループ が設立された。2000 年にはオープン・ユニバーシティ・マレーシア(OUM)が創立し、マレーシ アで初めての全国e-Learning会議が開かれ、国家e-Learning運営委員会が設立している。
2003年初めにはe-Learning標準(SCORM)ワークショップを、マレーシア・エネルギー通信マ ルチメディア省(KTKM)が経済産業省、ALIC、マルチメディア大学の支援を受けて開催している。
これはマレーシアにおける最初の SCORM に関するワークショップであり、160人の参加者を集め て、マルチメディア大学のネットワークを活用して国内5ケ所にも内容が送信された。
2003年9月にはマレーシア・マルチメディア大学とシンガポールe-Learning・コンピーテンシ ー・センターの共催で SCORM 規格に基づく e-Learning・コンテンツの開発の実施をテーマに
“DESTEC 2003”が開かれた。2003 年 10 月には、エネルギー通信マルチメディア省により、“マ レーシアにおけるe-Learning・イニシアティブ”と呼ばれるセミナーがクアラルンプールにおい て開催され、地方政府や民間企業から300名の参加者が参加した。
2.5.2 マルチメディア大学(Multimedia University: MMU)
マルチメディア大学(www.mmu.edu.my)はe-Learningをサポートするために4つの部門をキャ ンパス内に設置し、総勢 100人がe-Learning関連の業務に従事している。ナレッジマネジメント センターは2000年にモトローラ大学とマルチメディア大学の協働作業により設立され50人の研 究者がいて、ナレッジマネジメントに関する研究を行うと共に、キャンパスにおけるナレッジマ ネジメントの開発と実施を担当している。インターネット学位プログラムはインターネットを通 じた学位プログラムの配信とコンテンツ開発を担当している。マルチメディア教育開発センター はコンテンツ開発とマルチメディア大学キャンパス内および第三者に対する LMSを担当している。
ネットワークマルチメディア教育サービスはエネルギー通信マルチメディア省と JICA の協働作 業により作られた。衛星(Measat2)による教育を行っており、マルチメディア大学サイバージャ ヤ校がハブとなり、マルチメディア大学マラッカ校を含む、マレーシア各地にある5 つのリモー
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トサイトに対してライブの授業を実施している。プログラムとしては、2002年9月に IT学士向 けコース、2003年5月にIT Diplomaコース、2002年5月にミクロ電子工学修士コースを開始し ている。
マルチメディア大学ではマルチメディア教育開発センターが開発したマルチメディアラーニン グシステム(MMLS)と呼ばれるラーニングマネジメントシステムを用いている。SCORM に準拠し ており、オープンソース環境で開発されている。オペレーティングシステムはLINUX、SUN Solaris、
Unix、Windowsをサポートしており、WebサーバーはApache、DataBase はMySQL、サーバー側の スクリプトはPHPバージョン4.0.4を用いて、クライアント側ではJavaスクリプトを用いている。
MMLSの特徴は以下の通りである。
・ プラットフォームから独立している。(Linux、Windows、Unixの全てに対応)
・ 既存のデータベースと統合している。
・ 管理業務も含めて全てWebを活用している。
・ 高度な、生徒のモニタリング機能や追跡機能を有している。
・ コース管理が教師により可能である。
・ 登録やグループ化の自動管理機能を有する。
・ 掲示板、チャット、フォーラム、電子メール、SMSといった複数のコミュニケーションツール を有している。
・ オンライン試験ツール。
・ カレンダー・スケジューリング機能を有する。
・ 要求に応じて設定が変更可能である。
・ SCORMに準拠している。
サイバージャヤとマラッカの 2 つのキャンパスにそれぞれサーバーがあり、2 つのサーバー合
計で、6週間で250,000 アクセスを計上している。マルチメディアコンテンツは現在 100以上あ
り、全体の40%となっている。毎年20%ずつ作っており、3年後には 100%にする予定である。
e-Learning 関連部署ではインターネット学位プログラムとネットワーク教育開発プログラムが
MMLS を使用している。生徒数は 15,000 人おり、マルチメディア大学にフルタイムで通う人は
e-Learningを追加として活用しており、対面とオンラインの割合は4対1となっている。一方イ
ンターネット学位プログラムではe-Learningは必須で、一部を除いて基本的に全ての授業がオン ラインで提供されている。キャンパス内でワイヤレス LANが整備されており、使用料は全て無料 となっている。外国との協働作業としては早稲田大学、京都大学と、フランスのラローシャ大学 と行っている。またインド、南アフリカ、UAEに対してはe-Learning設計支援をしている。
2.5.3 トゥン・アブドゥ・ラザック大学(University Tunku Abdul Razak:UNITAR)
トゥンク・アブドゥ・ラザック大学(www.unitar.edu.my)は最初のバーチャル大学であり、イン ターネットを通じた学位プログラムの配信と開発を行っている。1998年9月時点では生徒数は 162 名であったが、2002年8月には8,000名の生徒を抱えている。同大学は独自のLMSを開発し、VOISS
(Virtual Online Instructional Support System)と呼ばれるバーチャル・ラーニング環境を有
している。このラーニング環境の特徴は、オンライン討議、オンライン講義や授業、クイズ、宿 題に対するフィードバック、コンサルテーション、オンラインの教材配信、電子掲示板、FAQ、告 知といった機能があることである。管理学部、IT学部、人文科学・社会科学学部の3つの学部に 100 人のスタッフを抱えている。プログラムは中国、カンボジア、タイ、インドネシアや中東諸 国に提供されている。政府は全ての大学は対面による授業を取り入れるように指導をしているた めに、全ての授業をWBT で行うことは出来ない。オンラインでの授業になれていない生徒も多い ために、初年度では対面授業の割合が多く、年次が上がるごとにオンラインの割合が増えていき、
最終年度では対面での授業は 10%程度となっている。
2.5.4 オープン・ユニバーシティ・マレーシア(Open University Malaysia:OUM)
2000年8月に設立され、2001 年には900人の生徒で、2003年には 15,000人の生徒が学習して いる。同大学ではWBTも行っているが、郵便による通信教育が主体となっているのが実態である。
(www.oum.edu.my)
2.5.5 スマートスクール・プロジェクト
このプロジェクトはマレーシア政府の教育省により、K12 レベルの全ての学校に対して
e-Learning ソリューションを開発・実施することを目的に始められたものである。当初は PC ラ
ボを各学校に設置することを行っていた。コンテンツ開発は 1999年に CD-ROMでの使用を前提に 開始されたが、全ての科目を電子化し、Web に基づくものにし SCORM 準拠となるように変更が行 われている。テレコムマレーシアを主要メンバーとするコンソーシアムにより、運営がなされて いる。教師によるPC使用に対する質問に答えるためにコールセンターも準備されている。
2.5.6 学習のためのマレーシアグリッド(Malaysian Grid for Learning:MyGfL)
生涯学習向けには“学習のためのマレーシアグリッド(Malaysian Grid for Learning: MyGfL)” というプロジェクトがある。1999年3月に国家IT評議会のe-Learning作業部会が国立ラーニン グ・グリッドを作業部会で行うプロジェクトの一つとして提案されたことが本プロジェクトの起 源である。2002年6月には国家IT評議会と戦略推進実施委員会(Strategic Thrust Implementation Committee:STIC)打ち合わせによりMyGfLの概念枠組みが承認された。2002年8月には、戦略推 進実施委員会の会合において、MyGfLは 16のデジタルデバイドブリッジ・プロジェクトの統合プ ラットフォームとして使われることが決定した。2002年9月には人的資源開発省により開始され た。2003年3月には国立図書館とコンテンツの協同作業が行われた。2003年5月には、コンテン ツ、教育設計及び技術ガイドラインが形成され、2003年にはマレーシア・マイクロ電子工学研究 所(Malaysia Institute of Microelectronics: MIMOS)によりメタデータ管理システムの開発と
MyGfL技術アーキテクチャーと枠組みの開発が行われた。
本プロジェクトの運営は政府資金によるものであり、活動としては、政策や標準、ガイドライ ンの形成、メタデータセンターの構築、生涯学習の普及、セミナーやワークショップの開催を行
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っている。この団体は学習に関する全てのラーニングオブジェクトを集めたカタログとなるマレ ーシアのポータルを作ろうとしており、このプロジェクトをメタデータセンターと呼んでいる。
一般加入者はメタデータセンターと呼ばれる ISPのサイトにアクセスし、ここを通じてコンテン ツプロバイダーであるマルチメディア大学などにアクセスすることになる。以下にMyGfL のプラ ットフォームの統合状況を示す。
MyGfLポータル:2004年9月に完了、ポータル機能の改善をする為の評価・改良が行なわれて
いる。
メタデータ管理システム:2004年2月に完了、国立、州立大学の司書に対するワークショップ を2004年3月に実施
共同開発ツール:完了済(ただし基本的な機能のみ)
ラーニング管理システム:システム要求を準備中 ユーザー管理システム:システム要求を準備
中国立図書館プロジェクト
ユネスコの資金により、図書館を使用者に対する e-Learning・パッケージとして開発された。
第 1 フェーズとして、マレーシアの全ての図書館で活用されることを目指し、第2フェーズとし てアジア・パシフィック地域の全ての図書館で使えることを目標としている。
英語とマレーシア語の2つの言語に対応しており、家庭からもログインできるようになってい るが、認知がほとんどされていないために、2003年4月~10月で、2,333アクセスに留まってい る。さらに将来的には、ヴァーチャル図書館への以降も考えられている。
(www.elib.gov.my)
2.5.7 民間企業での活動
民間企業では銀行大手の Maybank や国営石油会社のペトロナス社が社内教育の一環として
e-Learningを活用しているが、民間企業の活動をまとめる団体は存在していない。全ての企業は
賃金の1%を人材資源開発基金に拠出する義務を負っており、この基金の総額は 5億マレーシア リンギットに達している。企業は従業員を訓練に派遣すると、拠出した金額を還付できる仕組み になっている。
2.5.8 政府内での活動
政府職員向けにはINTANがe-ラーニングイニシアティブを行なっている。パイロットシステム の利用開始は2005年に予定されており、SCORM準拠のLMS(Learning Management System)を採用 する。
2.5.9 マレーシアにおけるe-Learningの調査
2003年 10月に、120の政府機関と民間企業を対象に行われた調査では、65%の組織がオンライ ン・e-Learning訓練を実施している。35%はまだ実行段階に入っていないが、調査対象の組織は
全てe-Learningの重要性について認識していると回答している。
SCORMに準拠したコンテンツを有していると回答した団体は54%で、この中にはCORMへの変換を
推進中のものも含まれている。2004 年 12月にシンガポールで開催されたAEN カンファレンスに おいてマルチメディア大学が 17大学でのe-ラ-ニングの調査結果を発表したが、同報告によると LMSを利用している大学は 10校、SCORM準拠のLMSを利用しているのは 10校、SCORMに準拠した コンテンツを使っている大学は 12校であった。
2.6 eeee----LearningLearningLearningLearningの推進団体の推進団体 の推進団体の推進団体
2.6.1 国立e-Learningセンター
エネルギー・通信マルチメディア省(KTKM)は国立e-Learningセンターを今年の早い時期に設 立しようとしている。この決定は2003年 10月のセミナー“マレーシアにおけるe-Learning・イ ニシアティブ”においてなされ、エネルギー・通信マルチメディア省の傘下の国家e-Learning運 営委員会により報告する予定となっている。活動としてe-Learningに関する政策、標準、ガイド ラインの形成、また標準準拠試験の実施、e-Learningの普及活動や、セミナーやワークショップ の開催などが予定されている。
2.6.2 アセアン e-Learning Center of Excellence
アセアン大臣会合において、複数のCenter of Excellence(COE)を設置することで合意し、マレ ーシアはサイバー法のCOEと共にe-LearningのCOEとなる”ASEAN e-Learning Center of
Excellence”を提案している。本COEは閣議で了承がなされ、設立が計画されている。マルチメデ ィア大学(MultimediaUniversity:MMU)のDavid氏によるとこのCOEはMMUに対して業務を委託する ことになる見込みである。
2.6.3 マレーシア・マイクロ電子工学研究所(Malaysia Institute of Microelectronics:
MIMOS)
MIMOSはマイクロエレクトロニクスと情報技術分野の研究開発を行うために 1985年に設立され
たが、その後 1996年 11 月 1 日に民営化され MIMOS Berhadとなっている。同社は、e-Learning 標準とガイドラインの原案を作成している。3 つの作業部会が結成され、コンテンツガイドライ ン、教育設計ガイドライン、技術ガイドラインにつき見直しを行っている。2004年3月に提出さ れる予定の最終版の原案はマレーシアの標準化団体であるマレーシア標準工業研究所(Standards
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and Industrial Research Institute of Malaysia: SIRIM)に提出された後に、承認手続きを経 て、マレーシアにおけるe-Learningの標準とガイドラインになる。MyGfLのメタデータセンター の開発にも関係している。
3. フィリフィリフィリフィリピンピンピンピン
3.1 フィリピンの概要フィリピンの概要フィリピンの概要フィリピンの概要
フィリピンは、1898年の米西戦争の結果、約300年にわたるスペインの植民地からアメリカの 植民地となった。第二次世界大戦時日本に一時占領されたが、1946 年にアメリカから独立した。
スペインと米国の植民地支配を通じて、輸出向けプランテーション農業が行われてフィリピンを 豊かな国にしたが、プランテーションを保有する大地主層が形成された一方で、無数の土地を持 たない農民は貧困のままであった。こうした貧富の差がフィリピンの根元的な問題である。ITに 関しても、世界的レベルで活躍する技術を有する一方で、全くIT機器を利用できない層が存在し ている。
南シナ海とフィリピン海の間の島嶼国家であり、国土面積は約30万平方キロメートルで、首都 圏を含め 160地方(州)と73の地方自治体(県)から構成される。国土面積は29万9400平方キ ロメートルで、7,109 の島がある。地形はそのほとんどが山岳地帯であり、海岸に狭い平野部が ある。また、フィリピンはマレーシアやインドネシアと極めて近い位置にある。欧米列強の植民 地支配により人為的に引かれた境界が現在の国境であるが、民族的、宗教的なルーツは別のとこ ろにあり、このことが現在の一部での内戦状態の遠因になっている。
フィリピンの人口は2003年6月現在、8,460万人で、2010年頃には 1 億人を越すといわれてい る。また、2000年で 14歳以下の若年層の人口に占める比率は37%で人口に占める若年層の比率が 極めて高い人口構成であることが特徴である。来日フィリピン人は毎年増加しており、特に芸能 関係者と日本人の配偶者の増加が多い。日本在留のフィリピン人は、2002年 12月の時点で 169,359 人で韓国・朝鮮、中国、ブラジルに次ぐ4位である(全体の9.1%を占める)。
フィリピンは人材の輸出国とも言われ、上述の芸能関係者のみならず、家事手伝い、工事関係、
看護師等の多くが欧米、中東、ASEAN 諸国で働いており、彼らの本国への送金が、フィリピン経 済の大きな柱となっている。
スペイン統治下にあった 16世紀から 19世紀の終わりにかけてキリスト教の布教が行われ、ア ジア諸国の中では唯一、キリスト教徒の割合が 92%(カトリック 83%、プロテスタント 9%)と人 口のほとんどを占める。フィリピン南部はミンダナオ島を中心に全人口の4.6%を占め、貧困問題 と密接に関連しミンダナオ島にイスラムの自治地域を求める「モロ・イスラム開放戦線」を結成 し、国軍との武装闘争を展開している。また、南部バシラン島を拠点に「アブ・サヤフ」と呼ば れるイスラム原理主義過激派組織も反政府活動を行っている。
米国支配時代、米国は多数の英語教師を派遣して徹底した英語教育を行った。また独立後もア メリカの強い影響下にあったため、英語を話す人口が高く、英語とフィリピノ語(タガログ語が 基本になっている)が公用語となっている。一方、商業上や法律上では英語が公用語とされてい る。周辺諸国の文化的影響も受けており、南部ミンダナオ地域は北部ルソン地域、中央部ビサヤ 地域と比較し、イスラム教徒の割合が高い。
独立後は 1965年までの20年間、マヌエル・ロハス、エルピデイオ・キリノ、ラモン・マグサ