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非英語専攻学生を対象とした英語学習への動機づけ ―

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非英語専攻学生を対象とした英語学習への動機づけ

―共通英語Ⅰ・Ⅱにおける「スピーチテスト」の実践を通して―

Enhancing Motivation in Studying English for Non-English Major Japanese College Students

―Through “Speech Test” in General English I and II―

山 川 満 夫

Mitsuo Yamakawa

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Abstract

 After passing college entrance examinations, Japanese college students with non-English majors generally feel unmotivated in studying English. Japanese college teachers in charge of General English (Kyotsu Eigo), which is usually a required subject for non-English major freshmen, have been struggling to teach those students effectively. In order to improve this situation, “Speech Test”, which includes writing and rewriting a speech draft with an instructor’s advice and oral presentations, was carried out in two General English I and II classes over a period of one year. This paper examines how “Speech Test” helps non-English major students feel more motivated in studying English. A questionnaire survey was administered to 109 non-English major freshmen at Okinawa International University. The results indicate “Speech Test” contributes to enhancing motivation in studying English, especially speaking English. However, the scores of pre- and post- English proficiency tests showed no significant differences. In other words, their higher motivation does not correlate with higher English proficiency. This paper also discusses how learner autonomy is necessary for the teachers to help non-English major students improve their English levels.

1 はじめに

 平成23年度より全国の小学校5・6年生を対象に、週1時間「外国語活動」として英語の 授業が正式に導入されている。また、本県においては、平成12年度から実施された「総合的 な学習の時間」の一環として、平成15年度からの那覇市の研究開発校としての実施、さらに は平成15年度からの宜野湾市や平成16年度からの浦添市の英語教育特区の認可を受けての取 組等、かなり以前から小学校での英語の授業が実施されてきている。しかしながら、中学校 初期段階におけるリスニング力の向上等、ある一定の成果は評価されつつも、小学校から英 語に触れてきた子ども達が中学・高校・大学と進学する段階において、英語力や学習態度に どのような変化(成果)が見られるかの検証はまだ十分把握できていない。すなわち、「小 学校から英語を学んだ世代」と「小学校では英語を学んでいない世代」での「顕著な違い」

は、少なくとも大学段階までくると、いまだに不透明な部分が大きい。それは、中学校や高 等学校における授業の課題や小中連携・中高連携の在り方、学習者にとっての英語の必要性 等、様々な要因が考えられている。

 そのような背景を踏まえ、本学に入学する多くの学生も、依然として基礎学力不足や学習 意欲の低下等、解決すべき課題が山積している。とりわけ、非英語専攻学生にとっては深刻 で、「なぜ英語を勉強しなければならないのか」といった英語の必要性や蓄積された苦手意 識を持っている学生が多いのが現状である。彼らは通常、入学後にリスニング力とスピーキ ング力の向上を主な目的とした共通英語Ⅰ・Ⅱを必修科目として受講することになるが、そ の指導者は日々試行錯誤を繰り返しながら、効果的な指導方法を模索しているのが現状であ る。そのような状況の中で、彼らの英語学習に対する目的意識の向上や興味・関心を高める 指導の工夫が大切であると考える。

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 そこで、非英語専攻学生を対象とした共通英語Ⅰ・Ⅱの授業実践の中から前期と後期にそ れぞれ1回ずつ実施する「スピーチテスト」の取組に焦点を当て、それが英語学習の動機づ けを高める上でどのような効果があったかを検証すると同時に今後の課題についても言及す る。また、この一連の取組を通して、本学における共通英語Ⅰ・Ⅱの課題解決への糸口にな ることを期待したい。

2 先行研究

 理論と実践は表裏一体であり、授業実践をする上で理論的根拠を明確に示すことは大切で ある。本テーマである「スピーチテスト」の実践を通しての動機づけの取組についても、様々 な理論の上に成り立っている。そこで、ここでは特に関わりのある「英語学習と動機づけ」

と「英語学習におけるスピーキング活動」についての先行研究について述べることとする。

 ⑴ 英語学習と動機づけ

 外国語としての英語を指導する上において、学習者の動機を分析し把握することは、指導 者にとっては必要不可欠な要素である。なぜなら、彼らの動機を明確に把握することによっ て、動機づけの向上を図る取組を行い、より良い授業実践に繋がるからである。これまでの 先行研究において、英語学習と動機づけについては国内外において様々な研究や調査が実施 されてきた。例えば、動機についての内発的動機や外発的動機としての区分や、さらにそれ を細分化した動機の構成要素についても、研究者によっていろいろな提案がなされ、授業実 践に大きく寄与している。

 Mori & Gobel (2006)は、動機を構成する要素を①Expectancy(例:私は英語が得意である。)、

②Past experience (例:私は中学や高校で英語の授業は好きだった。)、③Attainment value (例:

英語を勉強することは私の視野を広げるので重要である。)、④Intrinsic value (例:英語を勉 強することは楽しい。)、⑤Extrinsic utility value (例:私は将来外国に住みたいので英語を勉 強している。)、⑥Cost(例:英語を勉強するのは時間の無駄である。)、⑦Attitudes toward culture and people of English speaking communities(例:私はアメリカの文化に興味がある。)、

⑧Grade-related(例:英語が必修科目なので勉強している。)、⑨Effort(例:宿題がない場合

でも、授業以外でも英語を勉強しようと思う。)という9つに分類している。彼らは、これ らの要素のどれかに該当する質問を30項目作成し、非英語専攻2年次の日本人大学生にアン ケートを実施している。そのアンケートの回答を上記の9つの要素毎に分析した結果、「英 語の学習は自分の将来に役立つ。」や「英語を学習することで自分の視野が広がる。」といっ

た③Attainment valueと、「英語を勉強することは好きである。」や「英語を勉強することは楽

しい。」といった④Intrinsic valueが、9つの構成要素の中で最も高い結果を示していると述 べている。また、「将来外国に住みたいので英語を勉強している。」という例に見られるよう に、④Intrinsic valueと⑦Attitudes toward culture and people of English speaking communitiesの複 合的な動機も見られることから、動機の構成要素はそれぞれが独立しているのではなく、互

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いに影響し合い、複雑に絡み合っているとも主張している。

 一方、動機づけを高める研究とは対照的に、動機づけを低下させる原因の研究も最近注 目を浴びるようになってきた。動機を低下させる原因を分析することは、低下を阻止する だけでなく、動機を向上させることにも繋がるという発想は、授業改善においても、大き く貢献することができると考える。例えば、Sakai & Kikuchi (2009)は日本の高校生を対 象にした動機の低下の要因について、①Learning Contents and Materials(学習内容と教材)、

②Teachers’ Competence and Teaching Styles(教師の指導力と授業スタイル)、③Inadequate School Facilities(学習環境の不備)、④Lack of Intrinsic Motivation(内発的動機の欠如)、⑤

Test Scores(テストの点数)の5つに分類している。彼らは、日本の4つの異なった高校に

通う1年生から3年生までの生徒656人に、その分類に基づいた35項目のアンケート調査を 実施している。その結果、日本の高校生の中で特に学習意欲が弱い生徒にとって、最も動機 を低下させる要因は①Learning Contents and Materialsと⑤Test Scoresであると述べ、文法事項 指導中心の授業や教科書や教材選定については、十分配慮すべきであると指摘している。こ こでの調査結果は、日本の高校生を対象にしたものではあるが、リメディアル的な教材を多 く含む本学の共通英語Ⅰ・Ⅱの状況を鑑みると、今後の授業実践をする上で、非常に意義深 いものと捉えることができる。

 また、Sakui & Cowie (2011)は、学習者自身の立場ではなく指導する教師の立場から見た

動機づけを低下させている原因を究明するユニークな研究を行っている。彼らは、日本の大 学で英語を指導する100人の教師に「英語教師として学習者の動機をどう捉えているか。」「あ なたは教師として、学習者の動機に影響を与えることができるか。できるならなぜそう思う か。できないならなぜそう思わないか。」「動機づけを高めるためにどのような対策を取って いるか。」「学習者の動機を高めるには限度があると思うのはいつか。」の4つの質問を記述 式での回答方式で実施した。その回答の内容を分析した結果、①教育システムに関すること、

②学生の態度や性格に関すること、③教師と学生の関係に関することの3つに分類できると 述べている。また、それらの回答を学生の動機づけや意欲等の「内的要因」と、クラス人数 の多さや必修科目としての英語等の「外的要因」に分類し、外的要因については教師個人の 努力での改善は難しいが、内的要因については教師の指導力で改善できると示唆している。

 ⑵ 英語学習におけるスピーキング活動

 学習者にとって「英語が話せるようになりたい」という動機は、誰もが抱くことだと考え ると、「スピーチテスト」の実践をする上で、スピーキング活動の理論的背景をしっかり把 握することは極めて重要なことである。特に、「高校入試」や「大学入試」がこれまでの大 きな動機であったと見られる多くの非英語専攻学生を指導するためには、今後の動機づけ を高める手立てを考える上でも大切なことである。“Comprehensible output”の理論で著名な

Swain(2005)よると、学習者が英語の新しい文法的知識を十分定着するためには、Input活

動だけでは不十分で、Output活動が必要不可欠であると述べている。つまり、学習者は文法

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事項の特徴に気づくことなくInputされた内容を理解することはできるが、Outputなしに自動 的にその文法事項の定着には繋がることはないと主張している。言い換えると、話す活動や 書く活動の過程において、学習者は文法事項への気づきがあり、それを実際に話したり書い たりすることによって、それらの文法事項の定着が深まると捉えることができる。そして、

それを意図的に仕組む活動を通して初めて新たな知識の定着に繋がると言うことである。す なわち、聞く活動や読む活動だけを大量に実施しても、それがそのまま文法事項の定着には 繋がらないということであり、話す活動や書く活動の手立てをしっかり行うことが重要であ ると主張している。さらに、Nation & Newton (2009)も同様に、意図的なOutput活動を“Pushed

output”と名付け、それを通して学習者への文法事項の重要性に気づかせることができると、

その必要性を強調している。

 また、Mak (2011)はスピーキング活動と動機づけの因果関係を調査する目的で、英語を 学ぶ中国人大学生を対象にした授業におけるスピーキング活動を阻害している要因について 実態調査を実施し、表1のようにまとめている。

アンケート分析の結果、その中でも特に中国人学生にとっては、speech anxiety and fear of negative evaluationとnegative self-evaluationがスピーキング活動を阻害する大きな要因でもあ ると主張している。つまり、人前で話すことでの否定的な評価を受けることへの恐怖心や自 分自身の英語に対する苦手意識が、スピーキング活動を阻害している原因であるということ である。さらに、Makによると、これは中国人学生を対象にした分析結果であるが、日本人 や他の外国人学生にとっても同様な傾向にあるのではないかと述べ、他の外国人学生を指導 する上でも大きな示唆になっていると主張している。実際、これまでの授業実践を振り返る と、これらの阻害要因は、本学の学生達に共通することが多く、それらを踏まえた「スピー チテスト」の実践が有効になってくると考える。

3 共通英語Ⅰ・Ⅱにおける「スピーチテスト」の実践

 前述の英語学習と動機づけやスピーキング活動の重要性についての理論的な背景を踏ま 表1:スピーキング活動を阻害している要因

speech anxiety and fear of negative evaluation

uncomfortableness when speaking with native speakers

negative attitude towards the English class

negative self-evaluation

fear of failing the class/consequences of personal failure

speaking in front of the class without preparation

being corrected when speaking

inadequate wait-time

not being allowed to use the first language in a second/foreign language class (p. 210)

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え、非英語専攻学生1年次3クラスを対象に、前期と後期に1回ずつの「スピーチテスト」

を実施した。この「スピーチテスト」の取組を通して、英語で話すことに興味・関心や自信 を持たせると同時に、今後の英語学習への動機づけになるよう指導の工夫を心がけた。ここ では、前期と後期の「スピーチテスト」実施上の相違点と「指導の手立て」について記述する。

 ⑴ 共通英語Ⅰ・Ⅱの実施上の相違点

 「スピーチテスト」のより効果的な方法を検証するために、共通英語Ⅰ(前期)と共通英 語Ⅱ(後期)での実施を意図的に異なる方法で行い、これらの相違点についてまとめたのが 表2である。

表2の通り、「トピックの選定」については、前期は教師が①My Dream(私の夢)、②My College Life(私の大学生活)、③My Hobby(私の趣味)、④My Family(私の家族)、⑤My

Favorite Foreign Country(私の好きな外国)の5つを指定し、その中から1つを選択させた。

後期は各自で自由にトピックを決めるようにさせたが、前期と重複しなければ前期に指定さ れたトピックから選択することも可能とした。また、「実施時間」については、前期が90分 の1回の授業を「スピーチテスト」の時間に割り当て、全員がその日に終わるように設定し、

後期は毎時間の授業の最初に3人ずつの「スピーチテスト」を実施した。スピーチの原稿作 成は、前期が「スピーチテスト」の2週間から2回の授業内で取り組み、後期は最初から各 自の課題として原稿を仕上げるようにした。その後の「原稿チェック」については、前期が 授業内か「スピーチテスト」までの一定の期間を設け、後期は各自のテストの3日前までに 教師の個人指導を受けるようにさせた。また、「その他の相違」については、前期が「評価シー ト」に全員のスピーチを聞いての感想を具体的に1~2行で書くことを指示したのに対し、

後期はスピーチが終わった本人に、スピーチの内容に関する教師からの英語での質疑・応答 を実施した。

表2:「スピーチテスト」の相違点

共通英語Ⅰ 相違点 共通英語Ⅱ

指定された5つの中から選択 トピックの選定 各自で自由に選択

同じ日に一斉に実施 実施時間 毎時間3人ずつ実施

授業内で実施 スピーチ原稿作成 各自で課題として実施

一定の期間内に教師のチェック

を受ける 原稿チェック 各自の発表3日前までに、教師

のチェックを受ける 自分以外のスピーチの時には、

他の学生のスピーチについて

「評価シート」に記入

その他の相違

自分のスピーチが終わったら、

教師から内容についての質問に ついて英語で答える

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 ⑵ 指導の手立て

  ① 評価の視点の明確化

 学生の意欲を促すために、実施前に「スピーチテスト」の評価の視点を明確に提示した。

前期は、「原稿を覚えてできたか」「内容・態度・声の大きさ」「評価シートの記入」、後期は

「評価シートの記入」の代わりに「英語による質疑・応答」とそれぞれ3項目の視点を定めた。

スピーチの基本として原稿を覚えての発表を重視し、この活動を通して、学習者にこれまで 学んだ既習事項への気づきを促進し、よりよいOutput活動になることをねらいとしたからで ある。また、「評価シートの記入」については、「スピーチがよかった」とか「おもしろかっ た」という抽象的な感想を避け、「何がわかったのか」とか「何がおもしろかったのか」と いう具体的なポイントを書くことを指示することで、スピーチの内容へ集中することを図っ た。さらに、後期の「英語による質疑・応答」では、教師から内容に即した英語での質問を 行うが、気をつけた点は、学習者にfear of negative evaluationを感じさせない配慮である。そ のためには、英語の質問が理解できない場合にはより簡単な表現でもう1度質問したり、応 答も文レベルではなく単語レベルでも認めることにした。例えば、Wh-questionでの質問が 理解できない場合は、即座にYes/No questionに切り換えたり、学生の能力に応じて、答え方 も“Yes.”“No.”だけの応答でも認めることにした。

  ② 既習事項の活用と学び合いの奨励

 「スピーチテスト」の準備段階として、事前にスピーチの原稿を書く活動を取り入れるこ とは、非英語専攻学生にとっては、人前でスピーチをさせるためには必要なことである。特に、

非英語専攻学生にとっては、原稿なしでの英語でのスピーチのハードルは高く、その手立て として事前に原稿を作成させる取組を実施した。そのスピーチの原稿を作成するに当たって は、教科書を活用しこれまでの既習事項をフルに活用することを奨励すると共に、わからな い表現や文章については、級友から教えてもらうことも認めた。これは、このスピーチの原 稿作成の取組を通して、既習事項の復習を図ると同時に、互いに学び合う雰囲気を高めるこ とを期待したからである。

  ③ 日本語直訳から意訳へ

 スピーチの原稿を作成する上で、英作文の苦手な学生を支援する手立てとして、日本語を 英語に直訳しようとせず、英語に直しやすい日本語に直して英語に直すという指導を徹底し た。例えば、「私は甘い物に目がない。」という文をその意味を意訳し「私は甘い物が大好き である。」という英語に直しやすい日本語にすることによって、“I like sweets very much.”と いう易しい英語で表現できることや、「私は猫舌である。」という日本語を「私は熱い物が 苦手である。」と直しそれでも英語表現が思い浮かばない場合には、さらに「私は熱い物が 好きではない。」というように、英語に直しやすい日本語に置き換えることにより、“I don’t

like hot foods and drinks.”という表現を導くことができることを例示し説明した。もちろん、

この取組では、実際に伝えたい内容と英語に訳した表現とはニュアンス的な違いが見られる が、自分のわかる英語で表現できるという気づきを大切にしたいと考えた。そうすることで、

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他のスピーキング活動にも活かされ、英語への自信すなわち動機の向上にも繋がることが期 待できるからである。

  ④ 教師の事前チェックの徹底

 スピーチ原稿を完成させるためには、学生は自ら教師へアポイントメントを取り、必ず教 師のチェックを受けサインをもらうことを徹底して行った。教師のサインがない学生は「ス ピーチテスト」を受ける資格がないことを事前指導で説明し、全員が個人指導を受けるよう に仕組み、また教師はその時間を有効に活用し、学生が自信を持って発表できるような工夫 を行った。例えば、相手に伝わることを前提に細かな文法事項の誤りは大目に見ることや 原稿を仕上げたことについて意図的に賞賛した。ここでの目的は、教師から事前にチェッ クを受けサインをもらうことにより、negative self-evaluation(自信喪失)とfear of negative

evaluation(否定的な評価)を克服する支援ができるように配慮するようにした。

4 アンケート調査結果と考察  ⑴ アンケートの調査結果

 平成24年度入学の非英語専攻学生1年次3クラスの109人を対象に、後期の「スピーチテ スト」終了後にアンケート調査を実施した。なお、前・後期どちらかの「スピーチテスト」

を受けていない者やアンケート調査実施時に欠席した者は、調査結果の対象からは除外して いる。表3に示されているのが調査結果である。それぞれの項目には回答者の人数を明記し、

(  )内には全体で占める割合をパーセントで表示した。

表3:「スピーチテスト」のアンケート調査結果

1.「スピーチテスト」の原稿を作成する時に、参考にしたものを選びなさい。(複数回答可)

 ⑴ 英語辞書68(62%)  ⑵ 教科書63(58%)  ⑶ 授業で使用したプリント40(37%) 

 ⑷ 友達の意見33(30%) ⑸ その他11(10%) 

2.「スピーチテスト」の原稿を作成する時に、「わかりやすい日本語に置き換えてから英語に直す」

ことを意識しましたか。

 ⑴ 意識した49(45%)        ⑵ やや意識した49(45%)  

 ⑶ あまり意識しなかった9(8%)  ⑷ 意識しなかった2(2%) 

3.「スピーチテスト」の前に、先生のチェックを受けることについて、どう思いますか。

 ⑴ 必要に思う97(89%)    ⑵ まあまあ必要に思う11(10%)

 ⑶ あまり必要なし0(0%)  ⑷ 必要なし1(1%) 

4.「スピーチテスト」を覚えて発表することについて、どう思いますか。

 ⑴ 必要に思う63(58%)    ⑵ まあまあ必要に思う37(34%)

 ⑶ あまり必要なし5(5%)  ⑷ 必要なし4(4%)

5.「スピーチテスト」をみんなの前で発表することについて、どう思いますか。

 ⑴ 必要に思う58(53%)    ⑵ まあまあ必要に思う48(44%)

 ⑶ あまり必要なし2(2%)  ⑷ 必要なし1(1%)

6.「スピーチテスト」を前期はまとまった時間を取って一斉に実施し、後期は授業の最初に2~

3人ずつ実施しましたが、あなたはどちらの方がいいと思いますか。

 ⑴ 前期のやり方24(18%)  ⑵ 後期のやり方69(63%)  ⑶ どちらでもよい20(18%)

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 「スピーチテスト」の指導の手立てに関する質問の結果については次の通りである。まず、

スピーチの原稿を作成するために活用した資料等についての質問は、「英語辞書」が最も高 く62%となり、続いて「教科書」の58%という結果になった。既習事項の復習というねら いの1つを達成する点では「教科書の活用」が60%弱というのは予想外の結果となったが、

60%以上が「英語辞書」を活用し自分の原稿を作成しようとしたことには一定の評価ができ る。また、「友達の意見」を挙げたのが30%というのは、まだまだ互いに教え合う雰囲気が できていないという現れとも受け止めることができる。次に、スピーチの原稿を作成する時 に、「わかりやすい日本語に置き換えてから英語に直すことを意識したか」の問いに対して は、「意識した」(45%)と「やや意識した」(45%)と答えた学生が90%に達しているのは、

予想以上の結果である。また、「あまり意識しなかった」と「意識しなかった」を合わせて 10%となっている。「スピーチテスト」の前に、原稿を教師のチェックを受けることについ ての質問については、ほぼ全員(99%)が必要に感じている結果となった。また、「スピー チを覚えて発表することについてどう思うか」の質問に対しては、「必要に思う」と「まあ まあ必要に思う」を合わせて、90%以上の学生が肯定的な回答をしている。

 「スピーチテスト」自体に関する質問については次のような結果である。まず、「みんなの 前で発表することについてどう思うか」の問いに対しての結果は、「良いと思う」と「まあ まあ良いと思う」を合わせて97%の学生が好意的に捉えていることは、英語が苦手な学生や 人前で発表することが苦手な学生がいる中で、一定の評価をすることができる。また、「スピー チテスト」の実施の方法として、全員一斉に行う前期の方法と毎時間3人ずつ行う後期の方 法について、どちらがいいかを質問したところ、「後期のやり方」(63%)を好む学生が多かっ た。次に、他の学生がスピーチをしている内容を理解できたかの問いに対して、「前期より 理解できた」(22%)で「やや前期より理解できた」(58%)という結果になった。つまり、

前期に比べて80%の学生が相手のスピーチを聞くことに対して理解できたと答えている。ま た、後期の「スピーチテスト」で実施した教師からの英語の質問に対して理解できたかの問 いに対して、「理解できた」(46%)と「まあまあ理解できた」(45%)を合わせて90%以上 7.クラスメートが「スピーチテスト」を行っている時、あなたは理解することができましたか。

 ⑴ 前期より理解できた24(22%)   ⑵ やや前期より理解できた63(58%)

 ⑶ あまり前期と変わらない16(15%) ⑷ 前期と変わらない6(5%) 

8.「スピーチテスト」後の先生からの英語の質問を理解することができましたか。

 ⑴ 理解できた50(46%)        ⑵ まあまあ理解できた49(45%)

 ⑶ あまり理解できなかった6(5%)  ⑷ 理解できなかった4(4%)

9.「スピーチテスト」を通して、4月当初と比べて、「英語で話すこと」に興味を持つようになり ましたか。

 ⑴ 持つようになった42(39%)        ⑵ やや持つようになった57(52%)

 ⑶ あまり持つようになっていない7(6%)  ⑷ 持つようになっていない3(3%) 

10.「スピーチテスト」を終えて、4月当初と比べて、「英語で話すこと」に自信がつきましたか。

 ⑴ 自信がついた18(17%)        ⑵ やや自信がついた52(48%)

 ⑶ あまり自信はついていない30(28%)  ⑷ 自信はついていない9(8%)

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の学生が理解できたと捉えている。

 ⑵ 考察

 非英語専攻学生にとって、英語でスピーチをすることはかなりレベルの高い活動であり、

教師の支援なしに実施することは不可能に近いと言ってよい。「スピーチテスト」の実施を 通して、達成感を体験させ今後の英語学習への動機づけを図る上でも、指導の手立ては極め て重要である。今回の「スピーチテスト」への手立てとして、既習事項の活用や日本語の意 訳さらには教師の個別指導等、様々な取組を実施してきた。そこで、ここでは指導の手立て を中心に「スピーチテスト」の取組について考察を述べることとする。

 まず初めに、指導の手立てとして最も学生からの評価が高かったのが、教師の原稿チェッ クである。これは、個別指導を通して事前に教師からアドバイスをもらい原稿をチェック してもらうことが、「スピーチテスト」に向けての自信と安心感に繋がったと考える。ま た、教師からのチェックはスピーキング活動の阻害要因でもあるspeech anxiety and fear of

negative evaluationを低下させる上でも大きな効果があったと言える。つまり、教師のチェッ

クを受けることにより、スピーチの内容に自信を持ち、間違っているのではないかという不 安感を取り除くことができるからである。教師のチェックは、時間的にも制約があり容易な ことではないが、この結果から判断すると実施する価値は大いにあると言える。また、個別 指導で、できるだけ学生が作成した英文を活かし平素な表現をさせることと、原稿を仕上げ たことへの意図的な賞賛を行ったことが良い結果に繋がったと考える。自分が作成した原稿 に対する教師からの賞賛は、同じく阻害要因の1つであるnegative self-evaluationを改善する ことに役立ったとみえる。そのような取組が、90%以上の学生が原稿を覚えてみんなの前で 発表することに対して肯定的な意見を回答していることにも大きく貢献している。

 一方、スピーチ原稿の参考資料として、教科書の活用を奨励したが、活用率が60%程度に なったのは意外な結果として受け止めなければならない。教科書を活用し原稿を作成するこ とを期待していたが、40%の学生が教科書を全く活用しなかったことは、大きな改善の余地 がある。振り返ると、教科書を活用するということだけでは漠然とし、もう少し具体的な指 示が必要であったと考える。例えば、「10行の英文のうち2~3行は教科書からの表現を活 用すること」や「ある単元の文法事項は必ず取り入れる」等の指示を出すことによって、教 科書の活用率が上がったのではないかと推測できる。

 「わかりやすい日本語に直してから英語に直す」ことに関して、90%の学生が意識して取 り組んだことは大きく評価したい。事前指導において、具体的に例示しながら取り組んだこ とがよい結果に繋がったと言える。この取組は、今後の様々なスピーキング活動においても 役立つだろうと考える。というのも、日本人学生が英語を話せない原因の1つに日本語を直 訳することに執着しなかなか英語が思い当たらず、英語で話すことに自信が持てないケース がよくある。それで、「わかりやすい日本語に直す」すなわち「英語に直しやすい日本語に 直す」という取組は、例えば、ペアで英語のダイアログを作成し発表する等のスピーキング

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活動にも活かすことができるのである。さらには、スピーキング活動だけでなく、ライティ ング活動も含めた自己表現活動にも有効だと考える。もちろん、全ての英語表現がこのよう な方法で解決することはできないが、少なくとも平易な日本語に直してから英語に直すとい う指導は、非英語専攻学生にとっては、英語学習への動機を高める上でも必要な手段である。

 また、4月当初に比べて「スピーチテスト」を通して「英語を話すことに興味を持つよう になった」と肯定的に回答した学生が、90%以上に達していることは、大きな成果であると 言える。英語で話すことに抵抗なく、「やればできる」という自信に繋がりそれが今後の英 語学習への動機づけに繋がると捉えたい。また、「スピーチテスト」を終えて、「英語で話す ことに自信がついた」と回答している学生が65%に達していることも良い傾向にあると考え る。年間を通して2回の取組だけで、どれだけの自信や興味に繋がったかは具体的に把握す ることは難しいが、少なくとも自ら肯定的に捉えていることは、今後の動機づけに貢献する ことであるだろう。40%程度の学生が「自信がついていない」と否定的な回答したことも見 逃すことができない今後の大きな課題である。しかしながら、指導の手立てを含めた「スピー チテスト」の実践を通して、「英語を話すことに興味を持つこと」や「英語を話すことに自 信がついた」ことについてこのような結果が見られたことは、動機づけの試みとして一定の 成果があると評価してよいと考える。

5 今後の課題

 「スピーチテスト」を通して、今後の英語学習への動機づけを図る取組を実践し一定の成 果を検証することはできたが、まだ改善すべき課題はある。まず、動機づけがどれだけ継続 しさらに向上するかは今後の指導に委ねられる。一時的な動機の高まりではあまり有意義な 教育効果とは言えないのである。すなわち、学生に対しての動機づけを継続し向上させるた めには、今後の授業改善が重要であり、「スピーチテスト」での取組を、他の実践活動にも 継続的に創意工夫して活かすことが必要である。

 また、「動機づけと英語力」との関係においても言及する必要がある。表4は4月当初と 1月下旬に実施した「英語力診断テスト」の「筆記」と「リスニング」ごとに分けた結果で、

2回のテスト結果の増減を「差異」として示している。クラスAとクラスBでは、筆記及び リスニングにおいては、大きな差異が見られないことがわかる。すなわち、動機の向上が英 語力の向上には直接結びつかない結果を示している。クラスCにおいては、表面的には両テ ストとも2桁の得点のアップが見られるが、本学プレイスメントテストで振り分けられた一 番英語力の低いクラスで、4月と1月のテスト結果からもわかるように他のクラスとは大き な差がある。1月のテストの時点では、成績不振のため前期で脱落した学生やテストを受験 しなかった学生を合わせると20人近くおり、そのクラスの比較的英語力の高い学生が多く受 験した結果であると考えられる。因みにクラスAとBはプレイスメントでのクラス分けでは なく、学籍番号順による編成である。

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 つまり、今回の「スピーチテスト」の取組を通して、動機づけと英語力の向上には相関関 係が見られないことがわかった。週2回90分の英語の授業だけでは英語力の向上はなかなか 難しいことが浮き彫りにされている。とりわけ、非英語専攻学生の英語力を向上させるため には授業だけでなく、自律学習に向けての方策を考えなければならない。自律学習を促進す るためには「自律」までの手立てが大事になってくる。例えば、課題の与え方や授業外での グループ学習さらには自主学習ノートの活用等、様々な取組が考えられる。自律学習は動機 づけと大きく関連しており、今後の重要な課題になるであろう。なぜなら、充実した自律学 習にするためには、学生達に「なぜ英語を勉強するのか」という動機づけをしっかり持たせ ることが大前提だからである。

6 おわりに

 英語学習への動機づけの試みとして、「スピーチテスト」の実践を取り上げ、それに関わ る一連の取組を紹介した。言うまでもなく、「スピーチテスト」だけでなく、様々な実践を 通して試行錯誤を繰り返しながら、動機づけの向上には日々取り組んでいる。それは他の教 師にとっても同様で、いろいろな角度からの取組があって然るべきである。要は、非英語専 攻学生にとっても、いかに目的意識すなわち動機を持たせ、できるだけ多くの学生に充実感 を持たせる英語の授業を提供するかである。この実践の取組を通して、少しでも他の教師に 参考になればと願いつつ、教員同士が互いの実践を共有し、今後の指導に役立てていくよう なシステムができることを痛切に願っている。なぜなら、そのような情報交換の場を設定す ることは、本学の教員だけでなく、英語を学習する学生達にも大きな利益になるからである。

また、本学全体として、現状を踏まえリメディアル教育に対する意識をより向上させ、組織 としての体制づくりにより一層力を入れていくことが大切だと考える。

参考文献

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Huang, H. & Hung, S. (2013). Comparing the effects of test anxiety on independent and integrated 表4:「スピーチテスト」前後の英語診断力テストの結果

筆   記 リスニング

4月 1月 差異 4月 1月 差異

クラスA 352点 353点 +1 160点 161点 +1 クラスB 303点 299点 -4 149点 158点 +9 クラスC 210点 266点 +46 91点 105点 +14

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speaking test performanc. TESOL QUARTERLY, 47(2), 244-269.

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付録1

英語Ⅰ:スピーチテスト 学籍番号(      ) 名  前(      ) 1.日時:7月7日(土)1校時 2.スピーチテストの評価  ⑴ 原稿を覚えて発表できたか。・・・・・・・・・10点  ⑵ 内容・態度・声の大きさ・・・・・・・・・・・5点  ⑶ 感想シートの記入・・・・・・・・・・・・・・5点               20点満点 3.スピーチテストの原稿について  ⑴ タイトルは下記の中から1つ選択する。   ① My Dream(私の夢)  ② My College Life(私の大学生活)   ③ My Hobby(私の趣味) ④ My Family(私の家族)   ⑤ My Favorite Foreign Country(私の好きな外国)  ⑵ English Aceで、学習した文法事項をフルに活用すること。  ⑶ 辞書を参考にしたり、友達同士教え合ってもよい。  ⑷ 教師に必ずチェックしてもらい、サインをもらうこと。サイン のない場合にはテストは認めない。   →研究室に来る場合にはメールでアポイントメントを取ること。    メールアドレス:○○○○@okiu.ac.jp  ⑸ 英語に訳するときには、直訳せずやさしい日本語に直してから 習った文法事項を使って、英文を作成する。    (例1)     「私は甘い物に目がない。」→「私は甘い物が大好きである。       → I like sweets very much.    (例2)     「私は猫舌である。」→「私は熱い物が苦手である。      →「私は熱い食べ物や飲み物が好きではない。       → I don't like hot foods or drinks.  ⑹ スピーチ原稿は必ず10行とする。 さあー!頑張って裏面に書いてみよう!!

英語Ⅱ:スピーチテスト 学籍番号(      ) 名  前(      ) .日時:毎時間、授業の最初に2人ずつ実施するCALL教室で も実施する。 2.スピーチテストの評価  ⑴ 原稿を覚えて発表できたか。・・・・・・・・・10点  ⑵ 内容・態度・声の大きさ・・・・・・・・・・・5点  ⑶ 英語での質疑・応答・・・・・・・・・・・・・5点               20点満点  ※ 評定に大きく関係するので、頑張ること! 3.スピーチテストの流れについて  ⑴ 発表順序は抽選で決定する10月~1月の間に全員が終われ るようにする。  ⑵ タイトルは自分で決めること(但し、前期と同じタイトルは 認めない。  ⑶ これまで学習した文法事項をフルに活用すること。  ⑷ 3日前までに自分で英文を仕上げ、教師に必ずチェックしてもらう。   ①メールか口頭でアポイントメントを取ること。    アドレス:○○○○@okiu.ac.jp   ②Mr. Yamakawaが対応可能な曜日と時間帯 ★研究室9号館504    ・日:9:00~17:00、火曜日13:30~17:00、水曜日15:00~17:00    ・日:9:00~17:00、金曜日15:30~17:00、土曜日11:00~15:00  ⑸ 英語に訳するときには、直訳せずやさしい日本語に直してから 習った文法事項を使って、英文を作成する。    (例1)     「私は甘い物に目がない。」→「私は甘い物が大好きである。       → I like sweets very much.    (例2)     「私は猫舌である。」→「私は熱い物が苦手である。      →「私は熱い食べ物や飲み物が好きではない。       → I don't like hot foods or drinks.  ⑹ スピーチ原稿は10行とする。 さあー!頑張って裏面に書いてみよう!!

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付録2

スピーチテスト原稿 Hello, everyone. Today I am talking about (       ).                                                                                                                                        Thank you for listening. 先生のサイン(    )

英語Ⅰ:スピーチテスト「評価シート」 学籍番号(      ) 名  前(      ) ※全員のスピーチが終了したら、このシートは回収します。 NameComment(具体的に書くこと!) 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

参照

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