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昭和大学横浜市北部病院

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急性期実習を受け入れている病棟看護師が  実習指導に関わる支援方法の検討

病棟看護師が抱く実習指導に対する認識や仕事と  実習指導のバランスのとり方に関する意識調査

昭和大学横浜市北部病院

佐 々 木 仁 美

抄録:大学病院は,学部と臨床の連携を強化し,学生の実習指導に取り組んでいる.このこと から,教員や実習指導者だけでなく,病棟看護師も学生の指導に関わることが多い.しかし,

病棟看護師の実習指導に対する認識や業務と実習指導とのバランスのとり方,あるいは臨床教 員が実習指導者や,病棟看護師に対し,学生が主体的に実習できる支援内容や方法について検 討した報告は認められない.これらを明らかにすることによって病棟看護師が,看護学生に対 して効果的な実習指導への参加を可能にするとともに,実習指導がよりよくできる支援内容や 方法の示唆を得たいと考えた.本研究では,大学病院に勤務する実習指導に携わった経験のあ るクリニカルラダーレベル 2 以上の病棟看護師で,同意が得られた 23 名に,半構成的面接を 実施した.その結果,病棟看護師は実習指導に対して,【実習指導に対する不安・とまどい】

【余裕がなく,実習指導に関心が薄い】【指導者との連携不足】【実習調整や指導の役割を意識 した関わり】という認識を持っていることが分かった.このことから,臨床教員や実習指導者 は,病棟看護師に対して,指導者役割の一部を担う役割モデルとして機能していること,ま た,情報共有や連携,指導を通して成長していることをフィードバックし,1)学生指導にお ける役割の明確化,2)実習目的や目標の共有,3)指導者・臨床教員との連携,4)指導を通 しての学び・達成感の共有が重要であることが示唆された.

キーワード:病棟看護師,役割モデル,実習指導,看護学生

 臨地実習は,看護学生(以下,学生)にとって講 義で学んだ知識・基礎技術を統合する貴重な学習の 場である.しかし,患者の安全が最優先される中 で,学生が実習で体験できる看護技術の範囲や機会 は限定されている.そのような中で実習指導者(以 下,指導者)は,実習内容を充実させ,よりよい実 習環境を提供することが求められる.中西は,「指 導者は的確な判断を下し,識見を提供しうる人材で あることが望ましい」1)と述べている.また,藤岡 は,「指導者自身の考え方や学習への動機づけなど が学生の実習目標到達に向けての意欲や,自律性・

自立性に影響し,学生が自ら実習を意味づけていく 学習のプロセスについて」2)報告している.このこ とから,実習での学びや成功体験,指導者からの指

導内容が実習成果の鍵となる可能性が推察される.

 山田は,「日本の看護学生の臨床実習では実習病 棟に配属された 5 〜 6 名程度の学生グループを 1 名 の教員と臨床指導者が連携しながら指導する方法が 一般的である」3)と述べている.実習指導をどのよ うな立場の看護師が担うかは,病院,病棟の規模や 教育体制によってさまざまである.当院では,各看 護単位に 2 名以上の指導者が配置され,1 名の臨床 教員と連携し指導に当たっている.実際の看護実習 の体制は,指導者 1 名を専任者として確保し,その 専任の指導者が中心となり,看護学生 3 〜 4 名の実 習を担当する.患者に看護ケアを提供する際には,

指導者 1 名と学生 1 名の 2 名で限られた時間の中で,

患者に安全・安楽なケアを提供している.別の学生 資  料

責任著者

(2)

が担当している患者で,看護ケアの提供が同じ時間 帯に重なった場合は,指導者役割を担わない病棟看 護師(以下,病棟看護師)1 名と学生 1 名とで看護 ケアを提供している.これは,ベットサイドでの患 者の個別性に合わせた適時な看護ケアを提供する場 合や,その後の丁寧な指導を担うには,指導者 1 名 では困難があり,実際には,病棟看護師と連携をと りながら指導に当たることが多い.

 当院では,実習指導には看護師長,指導者,臨床 教員,病棟看護師が携わり,役割に応じた対応を 行っている.看護師長は,指導者が実習期間中,専 属で指導に当たることができるよう勤務を調整し,

病棟全体で学生を受け入れるための環境調整を行 う.指導者と臨床教員のそれぞれの役割は,次のと おりである.指導者は,臨床教員と協力し実習環境 の調整をしている.また,実習中,学生に知識や技 術の指導はもちろん,学生の行動調整,物品調整,

記録の一部を指導するとともに,患者の直接的な看 護ケアの提供とその調整を行う.病院に勤務する臨 床教員は,学部教員と連携をとり,学生の学習到達 度を知り,看護過程の展開の指導を行い,指導者と 日々の看護実践したことを共有し実習評価を行うこ とが役割である.しかし,病棟看護師については日 常業務を行いながら,実習指導の一部を担っており,

臨床教員や指導者のように指導の役割が明確になっ ていない.病棟看護師は,学生の受け持ち患者を担 当しなければ学生への関わりも少なく,学生や実習 指導に対する関心が希薄になりやすいと考えてい る.中澤は,「病棟看護師はゆっくりと学生に関わ りたいと思いながら時間の確保ができないこと,自 身の知識不足から学生を導くことができないことに もどかしさや負担感を感じている」4)と述べている.

病棟看護師は,日々の業務に追われる中での看護学 生との関わりであることから,実習に対する認識も さまざまであり,実習受け入れに対し,自分の通常 業務に加え,実習指導をしなければならないという 負担感を抱きやすいことが考えられる.このよう に,実際には実習指導に関わることも多い病棟看護 師であるが,実習指導に対する認識や業務と指導と のバランスのとり方,あるいは病棟看護師が指導を する際に,臨床教員や指導者からの具体的な支援内 容や方法についての報告がないことから,これらを 明らかにすることによって,効果的な実習指導への

参加が可能になるとともに,支援内容や方法に関す る示唆を得ることを目的に本研究を実施した.

用語の定義

 1.臨床教員:病院実習の充実を図り,卒前・卒 後教育を展開するために実習病棟に属している看護 師のこと.

 2.クリニカルラダー:段階ごとに期待される能 力が示されており,到達度によって看護師の臨床実 践能力を客観的に評価するシステムのこと.臨床実 践能力は 1,2,3,4 の 4 段階に区分され,レベル 1 は指導の元に看護が提供できる,レベル 2 は自立 して看護が提供できる,レベル 3 は,看護実践者と して指導的役割がとれる,レベル 4 は,看護実践者 として役割モデルがとれる,である.

研 究 方 法

 1.対象:A 大学病院の循環器・消化器・整形外 科等の各診療科の病棟で実習指導に携わった経験の あるクリニカルラダー 2 以上の病棟看護師のうち同 意が得られた 23 名(全て女性)であった.

 2.研究デザイン:本研究は質的記述的研究で あった.

 3.実施期間:2015 年 2 月から 6 月であった.

 4.データ収集方法:対象者に半構成的面接を実 施した.質問内容は,1)実習受け入れに対する考 えや実習指導に対する認識,2)業務と指導のバラ ンスのとり方,3)指導上困難に思うことなどで,面 接は 1 名 20 分程度で,プライバシーの確保が可能 な部屋で行った.

 5.データ分析方法:面接内容は,了解を得た上 でレコーダーに録音し,それを逐語録に起こした.

逐語録の内容を目的に沿ってコード化,その類似性 によって分類しカテゴリー化した.分析についての 妥当性を高めるために,コード化からカテゴリー化 までの検討を,看護教育に長く携わっている研究者 とともに繰り返し行った.

倫理的配慮

 対象者に,本研究の目的,参加は自由であるこ と,調査によって得られたデータは,個人が特定で きないよう匿名化し,本研究以外の目的には使用し ないことなどを,文書をもって説明し,同意を得た.

(3)

A 大学病院倫理審査委員会の承認(1505-05)を得 て実施した.

結  果

 1.対象の属性:看護師経験年数は,4 年から 13 年(平均 5.1 年)であった.

 2.逐語録を分析した結果:逐語録は,309 のコー ド数で病棟看護師の実習受け入れに対する考えや実 習指導に関する認識は以下の 4 つのカテゴリーに整 理することができた(表 1).以下,【 】はカテゴ リー,< >はサブカテゴリー,「 」はコードを 示す.

 1)【実習指導に対する不安・とまどい】

 病棟看護師は,<指導に対する不安がある・自信 がない><学生の学習・技術習得状況が把握できな い><実習指導の知識不足からの指導にとまどいが ある>ことが分かった.

 病棟看護師は,「受けた教育が違うのに教えてよ いのか不安がある」「技術指導が自分のやり方と学 校のそれがあっているかわからない」など教育過程 の違いや看護技術の指導方法に自信もなく,とまど いもあり,「自分の技術も自信がないのに教えるこ とにあたることは不安」「自分に余裕がないときつ く対応してしまわないか不安」など,時間的な余裕 がないことや指導方法を模索していることから<指 導に対して不安がある・自信がない>と認識してい た.受け入れる学生についても「学内での学習状況 がわからない」「学生の技術習得をどこまでやらせ てよいかわからない」や「看護専門学校や看護大学 の実習を受け入れ,何の領域の実習かわからない」

など学生の学習状況や実習の目的を把握できないま ま,実習を受け入れ<学生の学習・技術習得状況が 把握できない>状況があった.また,「指導者とし ての経験がないので学生を依頼されるととまどう」

「どのように指導したらよいかわからない」や<実 習指導の知識不足からの指導のとまどい>を感じ,

「看護専門学校と看護大学の教育が違っているので 指導がわからない」「何の実習(領域別か基礎か統 合実習か)かがわからないので指導方法にとまど う」など学生にどこまでの技術習得をさせればよい かの指導方法にとまどい困難を感じていた.

 2)【余裕がなく,実習指導に関心が薄い】

 病棟看護師は,<指導者任せ・指導者に一任して

いる><指導の余裕がない><学生とは挨拶程度>

を示していた.病棟看護師は,「実習指導は指導者が しているので,自身はスタッフだから任せてよいか と思った」や「臨床教員がいるので任せている」「看 護過程の展開の指導がどこまで進んでいるか知らな い(ので任せている)」ことから,指導は,<指導 者任せ・指導者に一任している>ことが分かった.

「自分の業務に余裕がないから学生に対しても余裕 がない」「学生の実習目的には,関心がない」など,

「指導者から一緒にやってと言われて関わった事が 多く受身だった」など,病棟看護師は,実習指導の 担当と通常の受け持ち患者への援助が重なり,自分 自身の業務負担になっていることから,<指導の余 裕がない>状況であった.

 「学生がウロウロしていた時に,実習大変だね,と 声をかけ,朝挨拶をした」「自分が学生の時,挨拶 しても看護師に無視されたので,挨拶はしてあげよ うと思った」は,自分自身が学生時代に経験した嫌 な思いをさせないこと,また,「余裕があればフィー ドバックしてあげたい」と思っているが,<学生と は挨拶程度>であった.

 3)【指導者との連携不足】

 病棟看護師は,<指導者との連携不足>や<学生 の情報共有不足>を感じていた.「学生が行いたい 看護ケアを先にやってしまうことがある(血糖測定 や経管栄養等)」「経験させたい技術項目を言われて も,その時に経験させられないこともある」など,

学生がやりたい技術を調整できていない時や,「担 当になれば学生の実習状況を聞きたいが情報共有で きない」や「指導者と看護師は忙しく情報共有の時 間がない」ことから,病棟看護師は,日常業務の多 忙な中,指導者と日々の実習内容や学生の実習到達 状況や看護過程の展開など学習面での情報共有をす る時間を調整することができず,<指導者との連携 不足>を示していた.しかし,「(指導者と病棟看護 師が連携できてない時でも)学生同士は協力してい ると思う」ことが分かった.「実習の到達が学生に よって違うことの情報がない」「臨床教員や指導者 ほど,病棟看護師は学生の学習状況や実習状況を知 らない」から<学生の情報共有不足>がいえる.

 4)【実習調整や指導の役割を意識した関わり】

 病棟看護師は,<実習環境を調整する><役割モ デルを意識している><達成感の共有><自己の看

(4)

表 1 病棟看護師の実習指導に対する認識

カテゴリ サブカテゴリー 主なコード

実習指導に対する不安・とまどい 1)指導に対する

不安がある.自 信がない

・受けた教育が違うのに教えてよいのか不安がある

・自分の技術も自信がないのに教えることにあたることは不安

・自分に余裕がないときつく対応してしまわないか不安

・技術指導が自分のやり方と学校とがあっているかわからない 2)学生の学習・

技術習得が把握 できない

・学内での学習状況がわからない

・学生の技術習得をどこまでやらせてよいかわからない

・専門学校や大学の実習を受け入れ,何の領域の実習かわからない 3)実習指導の知

識不足から指導 にとまどいがある

・指導者としての経験がないので学生を依頼されるととまどう

・どのように指導したらよいかわからない

・看護専門学校と看護大学の教育が違っているので指導がわからない

・実習要綱は,流し読みの感じで頭に入れていなかった

・何の実習(領域別か基礎か統合実習か)かがわからないので指導方法にとまどう

裕がなく︐実習指導に関心が薄い

4)指導者任せ・

指導者に一任し ている

・実習指導は指導者がしているので,自身はスタッフだから任せてよいかなと思った

・自分も未熟だから指導者に任せている

・臨床教員がいるので任せている

・自分の業務との調整があり,学生の指導は指導者が担当すればいい

・看護過程の展開の指導がどこまで進んでいるか知らない(ので任せている)

・学生の日々の目標を全体共有していないので分からない(指導者が後で調整している)

5)指導の余裕が ない

・技術を提供する際,根拠を追求する実習ではないと思い質問しなかった

・アセスメントを引き出すまではできなかった

・自分の業務に余裕がないから学生に対しても余裕がない

・余裕があればフィードバックしてあげたい

・学生の実習目的には,関心がない

・指導者から一緒にやってと言われ関わった事が多く受身だった 6)学生とは挨拶

程度

・学生がウロウロしていた時に,実習大変だねと声をかけ挨拶をした

・自分が学生の時,挨拶しても看護師に無視されたので,挨拶はしてあげようと思った

・困っていることはないか,患者の事で聞きたい事はないか,と聞けばよかった

指導者との連携不足 7)指導者との連

携不足

・学生が行いたいケアを先にしてしまうことがある(血糖測定や経管栄養等)

・経験したい技術項目を言われても,その時に経験させられないこともある

・担当になれば学生の実習状況を聞きたいが情報共有できない

・指導者と看護師は忙しく情報共有の時間がない

・指導者と病棟看護師が連携できてない時でも,学生同士は協力している 8)学生の情報共

有不足

・実習の到達が学生によって違うことの情報がない

・臨床教員と指導者ほど,病棟看護師は学生の学習状況や実習状況を知らない

・学生のことを自分から聞くことはなく,学生に言われたことをやるだけ

実習調整や指導の役割を意識した関わり    

9)実習環境を調 整する

・ケアをする時に時間調整をした

・自分の学生の頃は雰囲気が怖かったから同じ思いはさせたくない

・学生が挨拶するときは,手を止めて聞くようにしている

・学生が話しやすい雰囲気にしたいと声をかけた

・学生が○○で困っていたよ,と指導者に声をかけ情報伝達した

・指導者が良い関係性を作っているので,自分もそれに便乗する

・就職したいと思える病棟の雰囲気を伝えたい

・一緒の仲間,チームの一員と思っている

(5)

護の振り返り>を示している.「看護ケアをする時 に時間調整をした」「学生が挨拶するときには,手 を止めて聞くようにしている」「学生さんが○○で 困っていたよ,と指導者に声をかけ情報伝達した」

など,朝の挨拶をすることや困っていることはない かと声をかけ,話しやすい環境を作り,「学生がこ んなことをいっていたよ」と,時には指導者に代弁 するなど,<実習環境を調整する>役割を担ってい た.また,「看護学生を一緒の仲間,チームの一員 と思っている」ことが分かった.また,「学生に指 導することが後輩の指導につながっていることを認 識した」「看護師さんみたいになりたい,といわれ るようになりたい.見本になりたい.」「学生から見 られていることで気が引き締まる.」など,看護実 践能力のモデル行為を示し,未来のなりたい看護師 像を描けるような,<役割モデルを意識している>

ことが分かった.「良い看護ケアが出来た時に,うま くできたねと共有した」「実習最終日に学生が涙をう かべお礼を言われたとき」は,学生と共に,<達成 感の共有>ができている.学生と一緒に看護ケアを 提供した病棟看護師は,「最後に振り返りのように 聞いて,自身思考の整理をしている」「目標達成の ための支援ができたか振り返りをしている」また,

「看護ケアする前,看護について学生に語った」「自

己の看護を振り返った」ことから,病棟看護師は,

看護ケア実践から自己の看護ケアを振り返り,自身 の日常生活への援助の在り方の内省をすることで自 身の看護技術や実習指導に対する思考過程が変わっ ていることを認識できていることから<自己の看護 の振り返り>をしていた.

考  察

 1.実習指導に対する不安・とまどい

 病棟看護師は,看護学生の実習指導を受け入れる ときにさまざまな思いや不安・とまどいを抱いてい ることが明らかになった.病棟看護師は,知識や技 術を学生に教えるのに自信がないと感じ,自分自身 の知識や技術の未熟さから,看護学生への指導を模 索し,また指導しなければならないと気負っている.

また,病棟看護師は,学内での学習状況が把握でき ておらず,何の領域の実習かが分からないことや学 生にどこまで技術を習得させればよいかの指導方法 にもとまどっている.谷垣らは,「看護実習は,病 棟看護師が日頃実践している看護の力を,看護モデ ルとして学生に提示することである」5)と述べてい る.このことから,看護実習は,病棟看護師が看護 実践モデルであるということ,また指導する立場に あることを,指導者や教員が分かりやすく病棟看護

表 1 つづき

実習調整や指導の役割を意識した関わり

10)ロールモデル 役割を意識して いる

・自分も指導者ができたらいいと思う

・学生に指導することが後輩の指導につながっていることを認識した

・看護師さんみたいになりたいと言われるようになりたい.見本になりたい

・学生から見られていることで気が引き締まる

・チームカンファレンス時,ケア計画を(学生に)教えてあげた 11)達成感の共有 ・ケア実施の感想を聞いている

・良いケアが出来た時に,うまくできたね,と共有した

・日々の目標達成できるように調整するようにしている

・患者からの学生へのよい評価を学生に伝えた時の学生の嬉しそうな笑顔をみたとき

・実習最終日に学生が涙をうかべお礼を言われたとき 12)自己の看護の

振り返り

・最後に振り返りのように聞いて,自身の思考の整理をしている

・ケア実施後,学生に実習指導の評価や感想を聞くようにしている

・目標達成のための支援ができたか振り返りをしている

・ケアをする前,看護について学生に語った

・自己の看護を振り返った

・後輩育成の姿勢を振り返った

・指導することで,患者のアセスメントを整理できた

(6)

師に伝え,看護学生の不安の軽減に努める必要があ ることが示唆されている.目的に沿った看護ケアを 提供することは,技術習得の良い経験となる.臨床 指導者,臨床教員と病棟看護師が達成目標を統一す ることで,学生にとってよい実習ができるといえる.

 2.余裕がなく,実習指導に関心が薄い 

 病棟看護師は,自身が受けた看護基礎教育課程の 違いから,本当に教えてよいのかという疑問を持つ とともに,実習現場には臨床教員や指導者がいるの で,学生教育は任せておこうという認識が明らかに なった.

 病棟看護師は,実習指導の担当と通常の受け持ち 患者への援助が重なり,自分自身の業務に余裕がな いことから業務負担になっている現状がある.そこ で,病棟師長は,病棟看護師が,実習指導と通常業 務のバランスがうまくとれるよう,業務内容を考慮 した業務分担を作成することが求められる.また,

業務中,固定チームナーシングにおけるチーム内外 でのスタッフ間の応援機能や指導者との連携を図 り,病棟看護師が,指導できる業務体制を作ること も必要である.前川は,「臨地実習では学生をチー ムの一員として受け入れることを前提に,看護師は 看護の日常を学生と共有することが重要である」6)

と述べ,このことから,病棟看護師は,何かを教え なければならないというのではなく,看護の日常を 共有できるリソース(資源)であり,看護師の職業 を体感させている存在でもあるといえる.

 3.指導者との連携不足

 病棟看護師は,業務の多忙な中,情報共有の時間 も取れず,日々の実習内容や学生の到達状況の把 握,学習や実習状況も把握ができず,指導者との連 携不足を感じていることも明らかになった.病棟看 護師が,実習目的や目標を共有することは,病棟で 何を学ぶことができるか,その関連を考えることで あり,実習目標を踏まえ,患者の決定とその調整を することができる.また,臨床教員や指導者が,病 棟看護師に対して,学生の学習到達度や学習目標,

看護のケア計画を伝え,実習体験で深まらない学生 の課題と達成目標を臨床教員や指導者と共通認識す ることも,学生が主体的に実習できる重要な支援内 容と考える.

 4.実習調整や指導の役割を意識した関わり  病棟看護師は,患者の個別性に沿った安全で安楽

な看護ケアを提供することを第一優先に考え看護実 践できる人材であり,看護実践モデルであるといえ る.村島は,「ナースは,学生に実践のモデル行為 を示す機能がある」7)と述べている.これは,病棟 看護師が,患者の日常を十分理解し,分析しながら その看護のケアについて指導し,患者の対応ができ る役割モデルであると提言できる.また,学生と一 緒に適切な看護ケアを提供できる病棟看護師は,ク リニカルラダー 2 や 3 を取得している.このことか ら病棟看護師は,日常でも固定チームナーシングに おける現任教育の役割を担い,後輩育成を行ってい る.実習指導に関しても教育的な関わりができ,そ の教育を通して自己の学びを深め,自己研鑽してい るともいえる.

 ショーンが,反省的実践家(reflective practitioner)

の専門教育を唱えている.それは,そこに共通する のは,リフレクション(reflection 振り返り 以下 リフレクションとする)という概念である.ショー ンのいうリフレクションには2つの意味があり,「行 為過程における反省」と「行為についての反省」が あり,事後的な振り返りをして,経験や実践からの 学びを深めている8)ことを唱えている.このことか ら,病棟看護師は,学生との看護ケア実践から自己 の看護ケアを振り返り,日常生活への援助の在り方 からも学生指導に対する支援方法を見出すことがで きている.また,病棟看護師は,実習指導を担当し 学生と達成感を共有していることからも,行為過程 や行為そのものについてリフレクションしており,

実習指導に対する思考過程の変化を認識しているこ とがいえる.

 また,病棟看護師は,学生が話しやすい雰囲気に したいと声をかけ,学生が不安や緊張などの精神面 に配慮しながら指導し,一緒に看護ケアを提供して 目標達成に向けて支援し,学生が実習しやすいよう 人間関係調整を行っていることも分かった.これも,

リフレクションによる内面的な変化の一つであり,

学生病棟看護師の関係を強め,双方の関係性が構 築したといえる.

 また,中西は,「役割モデルについて,そこに看 護の学習者がいる限り,臨床看護婦は自ら好むと好 むまいと,一人残らず看護婦の役割モデルの役から 降りることは出来ない」10)と述べ,指導者や病棟看 護師などの立場を問わず,全ての看護師は,学生に

(7)

とって看護の役割モデルであると提言できる.した がって,病棟看護師も,看護実践の役割モデルであ ることを認識し,指導者任せの実習環境ではなく,

臨床教員,指導者と病棟看護師で互いに連携し,学 生指導に当たることが学生にとってより良い実習環 境の提供となり,今後,そのように取り組んでいく ことの必要性が示唆された.

謝辞 調査にご協力いただきました対象者の皆様に,感

謝いたします.

利益相反

 本研究に開示すべき利益相反はない.

文  献

1) 中西睦子.臨床教育論:体験からことばへ.東 京: ゆるみ出版; 1983. (ゆるみ選書;1).

2) 藤岡完治,屋宜譜美子編.看護教員と臨地実習 指導者.東京: 医学書院; 2004. (看護教育講座;6).

3) 山田聡子.文献レビュー.臨地実習指導者の役 割に関する検討(博士学位論文).名古屋: 名古

屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科; 2012. 

pp2‑3.

4) 中澤 麗,吉田久美子,青山尚美,ほか.看護 師経験 1 〜 2 年目の看護師の学生指導に対する 思いの分析:周手術期の実習を受け入れている 病棟において.神奈川看護学会収録集.2015;17: 

51‑52.

5) 谷垣静子,松田明子,宮脇美保子.教員は学生 にケアリング教育ができているのか -- 学生の立 場から見た臨地実習における教員のかかわりに ついて. . 2003;9:1055‑1059.

6) 前川幸子.看護の専門職を育てる・育つ 看護 基礎教育における臨地実習の教育方法.日看研 会誌.2007;30:135‑137.

7) 村島さい子.実習生の経験と向き合う臨床実習 教育 より重要となる教師と実習指導者の協 力.看教.2001;42:94‑98.

8) 本田多美枝.看護における「リフレクション

(reflection)」に関する文献的考察. .  2001;7:877‑883.

9) 中西睦子.臨床教育論:体験からことばへ.東

京: ゆるみ出版; 1983. (ゆるみ選書;1).

(8)

STUDY ON THE SUPPORTING MANEUVER OF THE STAFF NURSES RELATED  TO CLINICAL TEACHING GUIDANCE IN TEACHING PROGRAM

―THE STAFF NURSE S PERCEPTION OF CLINICAL TRAINING, AND HOW TO   BALANCE BETWEEN DUTY WORK AND CLINICAL TEACHING,  

WITH SELF-LEANING ENVIRONMENTAL ADJUSTMENT

Hitomi S

ASAKI

Showa University Northern Yokohama Hospital

 Abstract    A university hospital is facility where both teaching and clinical training are closely  incorporated tightly, i.e. all of the staff nurses are also nursing teachers who perform both teaching and  duty work.  However, it is difficult to separate the two roles, and thus the consideration of balance is very  important.  In the clinical environment, self-learning must be done with hopefully plenty of patients who  present many points to learn.  Such aspects have not been well discussed to date in reports.  In this  report we have included these aspects; we studied 23 volunteers, who are all over clinical rudder Level 2,  by using the  semi-structured interview technique .  The results showed that the staff nurses have the  following : 1) an  uneasiness and embarrassment regarding clinical teaching , 2)  that there is not  sufficient room, and the interest is light for clinical teaching , 3)  lack of cooperation with the leader ,  and 4)  relation the awareness of being a role-playing model in real adjustment and the training instruc- tion .  We conclude that staff nurses are functioning as a role-playing model in real life, and they are  finding students  progression through corporation and communication methods.  The teaching system by  the staff nurse is quite beneficial based on the following important points: 1) to emphasize concern of  professionalism of the staff nurse, 2) a good opportunity to verify their knowledge, 3) to improve their  communication skills, and 4) to share learning and the sense of achievement for teaching.

Key words

:  staff nurse, a role-playing model, clinical teaching, nursing student

〔受付:9 月 27 日,2016,受理:3 月 24 日,2017〕

表 1 病棟看護師の実習指導に対する認識 カテゴリ サブカテゴリー 主なコード 実習指導に対する不安・とまどい 1)指導に対する 不安がある.自 信がない ・受けた教育が違うのに教えてよいのか不安がある ・自分の技術も自信がないのに教えることにあたることは不安・自分に余裕がないときつく対応してしまわないか不安 ・技術指導が自分のやり方と学校とがあっているかわからない 2)学生の学習・ 技術習得が把握 できない ・学内での学習状況がわからない ・学生の技術習得をどこまでやらせてよいかわからない ・専門学校や大

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