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日本放射線技術学会 医 療 情 報 部 会 誌

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ISSN 2189-3101

JSRT, Medical Informatics

日本放射線技術学会 医 療 情 報 部 会 誌

Vol. 17 , No2 , 33

Oct. 2019

特集「放射線部門における必要なデータ項目について」

連載企画「バーチャルインタビュー

〜施設における線量管理特集〜」

公益社団法人日本放射線技術学会 医療情報部会

JSRT, Medical Informatics

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目次

巻頭言 「医療情報部会における「光」と「影」」 大阪国際がんセンター 川眞田実 1

伝言板 医療情報部会からのお知らせ 2

第 47 回秋季学術大会(大阪) 第 34 回医療情報部会 抄録

教育講演 「医療経営学入門 -放射線部門をケースとして」 北海道大学大学院 小笠原克彦 3 シンポジウム 「放射線部門からの医療経営を考える」

「医療機器の導入・更新の考え方」 東北大学病院 坂本博 4

「放射線部門における DWH の利活用」 近畿大学奈良病院 山下順也 5

「病院経営における診療放射線技師に求められる役割」 JCHO 下関医療センター 中尾哲 6

第 75 回総会学術大会(横浜) 第 33 回医療情報部会 報告

教育講演 「システムデータの分析と活用事例」 旭川医科大学病院 谷祐児 7 シンポジウム 「放射線部門における必要なデータ項目について」

「撮影業務に必要とされる情報とは −オーダ連携を中心に−」 静岡県立総合病院 法橋一生 33

「データ利活用者から見た必要なデータ項目」 豊橋市民病院 原瀬正敏 51

「医療安全の視点で考えるデータ項目」 大船中央病院 青木陽介 64

「データを使用した業務の PDCA −JCI 認証を取得して−」

順天堂大学医学部附属順天堂醫院 木暮陽介 74

連載企画 バーチャルインタビュー 〜施設における線量管理特集〜

広島大学病院 日置一成 84

浜脇整形外科 小村哲也 86

医療情報部会活動報告

第 24 回 PACS Specialist セミナー (大阪) 大阪国際がんセンター 川眞田実 89 第 25 回 PACS Specialist セミナー (北海道) 北海道科学大学 谷川原綾子 90

編集後記 92

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巻頭言

医療情報部会における「光」と「影」

医療情報部会 部会長 川眞田 実

「光」と「影」、これらが同時に成り立つことはあるので しょうか?物質的な視点で捉えると、この二つが混じり 合うことは決してないでしょう。我々が生活をしていく中 でも、多くの人から注目され光が当たっている人がいる。

一方で、縁の下の力持ち的な役割で影に隠れている 人もいます。つまり、この二つは混じり合うことはなく、

「対極」という位置でお互い均衡を保っているのです。

他の例では「男」と「女」。この二つは生まれてくる前か ら決められているものであり自分の意思では決して変 えることができないものです。しかし、どちらか一方が存 在しなければ子孫を反映させることはできなかったで しょうし、我々が存在することもなかったと思います。つ まり、社会環境を構築していく上で、どちらも「必要不可 欠」なのです。医療現場にも「病気」と「健康」、「医師」

と「患者」、「被写体」と「X線画像」といった様々な対極 があります。そんな中で私が考える対極とは「臨床」と

「研究」です。

医療情報部会は(6 年間の医療情報委員会を経て)

2003 年に医療情報分科会として発足しました。初代分 科会長には梅田徳男先生が就任され 2 期 4 年の活動 をされています。続いて、2007 年には奥田保男先生が 2 代目分科会長として就任されました。当時は医療政 策の後押しも受けて、多くの病院がフィルムレス運用を 取り入れ、放射線情報システムや PACS が広く普及し た頃でした。しかしながら、「臨床」現場は様々な問題 に直面し、奥田先生はセミナーや書籍などを通して標 準化(標準規格)やガイドラインの普及に努め、問題解 決に取り組まれました。これらを積み上げられてきたこ とは我々の世代にとっては「あたりまえ」のものとなりまし た。しかしながら、一般社会の「あたりまえ」になることは

非常に困難で、その功績は大きく、当時の苦労は計り 知れないものだったと思います。その後、2013 年には 坂本博先生が 3 代目分科会長として就任されました。

坂本先生はリスクマネジメントや事業継続計画などの 分野にも取り組まれ、多様性を持って新しい領域に取 り組まれてきました。また、放射線技師として初めて DICOM Standard Committee (DSC)に参画し、日本に おける医療情報部会の活動や規格策定などに尽力さ れておられます。昨年、DSC では医療情報部会のセミ ナー活動が認められ、セミナーコンテンツは海外でも 利用されようとしています。こういったセミナー活動など を通して「臨床」基盤を固めつつ、「研究」土壌の養成 へと舵を取られ学会を牽引されています。

私は 2019 年 4 月より坂本博前部会長の後を受けて 医療情報部会長を拝命いたしました。私が目指す部会 像は「臨床」と「研究」という「対極」であるものを繋ぐこと です。しかし、部会長とはいっても、職場に戻れば一人 の技師であり多くの会員の皆さんと立場は変わりませ ん。つまり、私一人では何も変えることはできないので す。私が考える部会は「臨床」と「研究」を繋ぐただの仲 介人です。常に変化し続ける臨床現場に寄り添いなが ら、部会委員と皆さんとで医療情報における研究とは 何かを考え、新しい研究領域や研究スタイルというもの を創り上げていきたいと思っております。そのためにも 部会活動に対するご意見などなんでも結構です。気軽 に投げかけてきてください。その意見により医療情報部 会はますます良い方向に前進できると思っています。

物質的には「対極」でないものが混じり合うことはないで すが、これらの取り組みが「臨床」と「研究」を繋ぐことが できるのだと信じています。よろしくお願いいたします。

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伝言板

第 47 回秋季学術大会(大阪)

第 34 回医療情報部会、医療情報関係セッションのご案内

●入門講座 2 10 月 17 日(木)10:00~10:50 (第 8 会場)

医用画像情報総論 座長 東北大学病院 志村 浩孝

「医療情報概論〜これから医療情報システムを担当するあなたへ〜」

福井大学医学部附属病院 大谷 友梨子

●入門講座 3 10 月 17 日(木)11:00~11:50 (第 8 会場)

標準と標準規格 座長 福岡大学病院 上野 登喜生

「DICOM・線量管理(初級〜中級)」 JIRA 鈴木 真人

●標準化フォーラム 10 月 17 日(木)13:55~14:55 (第 7 会場)

「患者氏名表記の標準化について考える」 座長 千葉ろうさい病院 多田 浩章

「ベンダー向けアンケートから読み取れる患者氏名表記に関する問題点」

静岡県立こども病院 法橋 一生

●第 34 回医療情報部会 10 月 19 日(土)13:00~16:00 (第 2 会場)

教育講演 座長 大阪国際がんセンター 川眞田 実

「医療経営入門~放射線部門をケースとして~」

北海道大学大学院 小笠原 克彦 シンポジウム

「放射線診療部門からの医療経営を考える」 座長 北海道科学大学 谷川 琢海

豊橋市民病院 原瀬 正敏

(1) 医療機器の導入・更新の考え方 東北大学病院 坂本 博

(2) 放射線部門における DWH の利活用 近畿大学奈良病院 山下 順也

(3) 病院経営における診療放射線技師に求められる役割

〜地方の公的病院の事例とミドルマネジメントの視点から〜 JCHO 下関医療センター 中尾 哲

●一般演題

10 月 17 日(木)15:20~16:00 第 5 会場 口述発表 医療情報(システム構築・運用評価)

10 月 17 日(木)16:10~16:40 第 5 会場 口述発表 医療情報(医療情報データ分析)

10 月 18 日(金)17:10~18:10 第 5 会場 口述発表 テーマ「放射線技術における医療データの活用」」

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第 47 回秋季学術大会(大阪) 第 34 回医療情報部会 教育講演

「医療経営学入門 ~放射線部門をケースとして~」

北海道大学大学院保健科学研究院 (北海道大学 病院経営アドミニストレータ育成プログラム・事業責任者) 小笠原克彦

医療を取り巻く環境が厳しくなる中、医療経営の重要性が増している。放射線部門は一般に医療機 関内のコストセンターに位置づけられることが多いが、違う見方をすると、薬剤部と同様に全診療科 から画像検査を通じて様々情報が集まっている「クリニカル・インフォメーション・センター」と考え ることができる。これは、放射線部門の組織的な強みであり、どのようにその強みを戦略的に生かす が、放射線部門視点の医療経営のポイントであろう。

そこで、本講座においては、医療経営の全体像である戦略論、財務会計、管理会計、人的資源管理、

マーケティングを概説するとともに、放射線部門視点でこれらをどのように展開可能かを試みたい。

更に、時間が許せば、現在北大で取り組んでいる病院経営アドミニストレータ育成拠点について紹介 したいと考えている。なお、本講座では、診療報酬による収益に関する概説・議論には触れない予定で ある。

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第 47 回秋季学術大会(大阪) 第 34 回医療情報部会シンポジウム 放射線診療部門からの医療経営を考える

「1. 医療機器の導入・更新の考え方」

東北大学大学病院 坂本 博

医療機器の導入・更新に関しては、診療業務の拡大、建屋施設の移転、既設の当該装置の障害、保守サ ポートの停止など、様々な要因が考えられる。潤沢な財源を持つ医療機関など皆無に等しい現状を考えれば 病院経営的な視点で医療情報を素材として多角的に検討することが重要となる。経営的な観点から放射線部 門システムはどのようにあるべきなのかも含めて、医療機器の導入・更新の考え方の一例を紹介する。

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第 47 回秋季学術大会(大阪) 第 34 回医療情報部会シンポジウム 放射線診療部門からの医療経営を考える

「2. 放射線部門における DWH の利活用」

近畿大学奈良病院 山下 順也

放射線部門システム(RIS)は放射線検査に対する詳細な実施情報をもち、検査件数の集計においては絶 対的なソースであることは言うまでもない。しかし、機器更新などの際に個々の検査の収入や支出を算出しよう とすると RIS の情報だけでは不十分であり、医事課や薬剤・材料部門といった他部門のデータベースとの連携 が必要不可欠となる。当院ではDWHに蓄積された各部門のデータを利活用するため、BIツールを用いて必 要なデータを抽出し、放射線部門単体の詳細な収益の集計を行うことを可能としている。その他にも血管造影 検査で使用した薬剤、デバイスの薬価、購入価などを DWH から抽出して支出の算出を行い、それぞれの検査 または撮影室ごとの純利益を集計することに利用したり、画像診断管理加算などを含めた医事会計の手技請 求の確認などにも利用している。本講演では高額なシステムを構築することなく、当院で行っている実際のDW Hの利活用例を中心に発表する。

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第 47 回秋季学術大会(大阪) 第 34 回医療情報部会シンポジウム 放射線診療部門からの医療経営を考える

「3. 病院経営における診療放射線技師に求められる役割

~地方の公的病院の事例とミドルマネジメントの視点から~」

JCHO下関医療センター 中尾 哲

質の高い医療を安定的に提供し続けることは、医療機関の重要な役割のひとつに挙げられる。しかしながら、公 立・公的病院の多くは、内外環境の変化などにより経営状態が厳しく、安定的に医療を提供し続けるために早急な 経営改善を求められている。

さまざまな業界で「持続可能な経営」を模索している中、医療機関も例外ではなく、官民問わず、医療の質すなわ ち医療機関の総合的な経営管理の質が問われている。経営改善に取り組む上で、医療機関においてもミドルマネ ジメントの役割が注目されている。

医療機関および放射線部門において、「持続可能な経営」を維持していくために、地方の公的病院の抱える課題 とミドルマネジメントの視点から、我々診療放射線技師に求められる役割とは何かを考える。

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第 75 回総会学術⼤会(横浜) 第 33 回医療情報部会 教育講演

システムデータの分析と活用事例

旭川医科大学病院 谷 祐児

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第 75 回総会学術⼤会(横浜) 第 33 回医療情報部会 シンポジウム

「放射線部門における必要なデータ項目について」

撮影業務に必要な情報とは~オーダ連携を中心に~

静岡県立こども病院 放射線技術室 法橋一生

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第 75 回総会学術⼤会(横浜) 第 33 回医療情報部会 シンポジウム

「放射線部門における必要なデータ項目について」

データ利活用者から見た必要なデータ項目

豊橋市民病院 事務局 医療情報課 兼 経営企画室 原瀬 正敏

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第 75 回総会学術⼤会(横浜) 第 33 回医療情報部会 シンポジウム

「放射線部門における必要なデータ項目について」

医療安全の視点で考えるデータ項目

大船中央病院 放射線科 青木 陽介

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第 75 回総会学術⼤会(横浜) 第 33 回医療情報部会 シンポジウム

「放射線部門における必要なデータ項目について」

データを使用した業務の PDCA~JCI 認証を取得して~

順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線部 木暮 陽介

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施設(病院・大学)紹介 Virtual Interview 第31回 施設における線量管理特集

広島⼤学病院

診療支援部放射線治療部門 日置 一成 診療支援部画像診断部門 相田 雅道

●病院の概略をお聞かせください

当院は広島県西部、広島市内に位置しており、平成 15年医学部附属病院と歯学部附属病院を統合し、現 在の名称となりました。特定機能病院、がん診療連携 拠点病院をはじめとした指定病院で、高度救命救急セ ンターも含め、地域の中核病院として診療にあたって おります。また、大学としての人材教育、研究にも力を 注いでおります。

~広島大学病院概要~

病床数:746床 一日平均外来患者数:2326人 診療科:45(医科32/歯科13) 職員数:2879名

●病院情報システムのIT化の歴史をお教えくださ

平成 8 年より富士通社製 EGMAIN によるオーダリン グシステムの運用が開始され、以降、ソフトウェア、ハー ドウェアの更新を経て、平成 20 年に電子カルテの運用 がはじまりました。また、平成 25 年には外来診療棟移 転に合わせ、HIS 関連システム及び放射線を始めとし た部門システム大部分をハード、ソフトともに更新して おります。現行システムは HOPE/EGMAIN-GX(富士 通)を中心として、各部門システムが連携する構成と なっております。また、今年度(令和元年)に、電子カル

テ、放射線をはじめとした各部門システムの更新を予 定しています。

●病院情報システム、放射線情報システムの現 状をお聞かせください

電子カルテシステムは前述のとおりですが、放射線 部門システムは横河医療ソリューションズ製のシステム を中心とした構成となっています。近年は、造影剤アレ ルギー管理、画像診断報告書の既読管理をはじめとし た医療安全へのシステム対応に特に力を入れシステム 運営にあたっています。また、放射線部門内の情報シ ステム対応を組織的に行うことを目的として、人的措置、

定例会の開催、人材教育等に力を入れ、より良い放射 線情報の管理・提供に寄与しています。

●線量管理のシステム化、運用についてお聞か せください

当 院 で は 、 平 成 29 年 に 線 量 管 理 シ ス テ ム Radimetrics(バイエル薬品)を導入しました。当初はCT の線量管理を主な目的としていたことや当院のPACS がRDSRに対応していなかったことから、CT装置とネット ワーク接続を行い、装置から直接、Radimetricsにデー タを送信するように設定しました。その後、線量情報の 一元管理を目指し、平成30年より、PACSとも接続を行 い、直接ネットワーク接続ができていない装置や過去 のデータに関して、PACSからもデータを収集しており ます。収集する情報としては、画像に含まれるDICOM タグ情報、RDSR、線量レポート画像で、CTに関しては、

Axial画像や位置決め画像からSSDEを算出する機能が ありますので、Axial画像や位置決め画像も収集してい

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85 ます。

当院における運用例として、図1に、CTの頭部単純 ル ー チ ン 検 査 に お け る DRL と の 比 較 を 示 し ま す 。 Radimetricsでは、線量情報に限らず、DICOMタグなど に含まれる膨大な情報から、必要な情報を抽出し、グラ フ化することで簡便に統計的な解析を行うことが可能 です。このような解析結果はダッシュボードと呼ばれる カスタマイズ機能にあらかじめ登録しておくことで、容 易に参照できるようにしています。

また、装置別、プロトコル別に施設内の基準値を設 定し、アラートを発生させるよう設定しています。アラー トが発生した検査の原因を解析することで、今後の線 量情報の精度向上やプロトコルの見直しに活用したい と考えています。

さらに、今年度より、放射線部内の安全管理体制とし て、線量情報管理チームと検査プロトコル管理チーム を新たに設けました。被ばく線量情報管理チームは線 量管理システムの運用や線量情報の検証・評価を行 い、検査プロトコル管理チームは、モダリティごとに被 ばく線量と画質を考慮し、検査プロトコルの見直しを行 うことを目的としています。今後は、お互いのチームが 連携することで、より効率的で質の高い線量管理体制 の構築を目指しています。

●線量管理の課題をお聞かせください。

線量管理はまだ始まったばかりですので、どのように 運用して、どのように情報を活用すべきか、試行錯誤し ているのが現状です。線量情報を収集・解析できるよう にはなりましたが、これらの解析結果をどのように患者 や他の職種の方に提供すべきか、他のシステムとの連 携も含めて検討しています。

さらに、医療被ばく管理の理想としては、検査を施行 した施設のみの線量管理ではなく、患者単位の線量管 理が理想です。しかし、他の施設とも患者情報を共有 する必要があるため、個人情報の保護や管理の観点 からハードルが高いのが現状です。また、患者個人の 被ばく線量を評価するためには、人体内の吸収線量を 計算する必要があります。線量管理ソフトウェアには3 次元的に被ばく線量を計算し、累積線量を評価できる 機能を有するものもありますが、厳密には患者個人の 被ばく線量とは異なるため、患者への説明など、個人 の被ばく線量を利用する際には注意が必要です。これ らの情報を適切に扱うためには、教育体制の構築も課 題であると考えています。

●今後の線量管理の展望ついてお聞かせくださ

まずは個々の病院での現状の把握、体制の構築を 図ることが重要です。当院においても、全ての装置を 管理できている状態ではありませんので、今後はあら ゆる装置の線量を目指し、線量情報の精度向上や体 制構築を図りたいと考えています。

線量管理の必要性が高まり、各施設での対応が求めら れている現在、ますます線量管理システムの普及・改 善が行われ、各施設での線量管理体制の構築・データ の信頼性の向上が進んでいくと予想されます。今後 も、継続的に線量情報や管理体制の見直しを行い、適 切な線量管理体制の構築に努めたいと考えておりま す。

図1.当院のおける活用例(DRL との比較)

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施設(病院・大学)紹介 Virtual Interview 第31回 施設における線量管理特集

医療法⼈社団 おると会 浜脇整形外科病院

医療法人社団 おると会 浜脇整形外科病院 診療放射線科 小村 哲也

●病院の概略をお聞かせください

当院は広島市中区にあります整形外科単科の病院 になります。昭和53年にベッド数41床、職員数8名での 開院し、現在160床、職員数は300名を超えています。

広島市内には数多くの病院がありますが、整形外科単 科という専門性に特化し、県内外からの患者の受け入 れを行いながら、年間約2000例の手術を行っています。

地域医療のニーズに応えるべく、脊椎・関節・外傷と3 つの専門分野を柱として、二次救急医療にも携わって います。診療放射線技師は10名(男性9名女性1名)在 籍しています。撮影装置は一般撮影装置4台、X線TV 撮影装置2台、MRI撮影装置2台、CT撮影装置1台、骨 密度測定装置1台、トモシンセシス1台を配備していま す。子供から高齢者までの3世代から選ばれる病院作 りを目指し、日々業務にあたっています。

●病院情報システムのIT化の歴史をお教えくださ

平成15年から電子カルテ・オーダリングシステムがス タートしました。同時に稼働したPACSは1年半で異なる ベンターのPACSに変更され、翌年には完全フィルムレ

スへと移行しています。まだ医療情報の電子化やフィ ルムレスに動き出している施設が少ないこの時期での システムの構築は骨が折れたと聞いています。平成20 年にはDPC対象病院として動きはじめ、平成21年から はオンライン電子レセプト請求も開始しています。当時、

院内のシステムは1名のSEが業務にあたっていました が、もちろん専任ではありません。各部門にシステム専 門の人材も不在で、日常業務との兼務で各システムの 保守管理にあたっていました。現在、SEも2名に増員さ れましたが、日常のマスターの管理・検査予約枠管理・

クリニカルパスのメンテナンス等は各部門が請け負って います。診療放射線技師も医用画像情報専門技師等 の資格を取り積極的に病院のシステムに関わるようにし ています。

●病院情報システム、放射線情報システムの現 状をお聞かせください

前述したように、電子カルテとオーダリングはありま すが、RISはありません。CRとRFで使用する患者情報 はHISよりMWMを介して受け取ります。MWM導入当時、

その他のモダリティーについては撮影件数も多くなく、

患者情報は手入力の方向で運用になったと聞いてい ますが、撮影件数が増加した現在、入力の手間と患者 ID入力ミスによる誤送信という医療安全の面から考える と、もう少し入念な導入計画が必要であったと考えます。

当院のMWMは患者情報の受け渡しのみ行っています ので、MWMに付随して線量情報や禁忌情報などの情 報を送信するといった機能はありません。ペースメー カーや補聴器、薬剤アレルギー等の禁忌情報等は電 子カルテ上に記入することになります。その禁忌情報

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87 は放射線科のオーダリングの画面上、一目で分かるよ うにカスタマイズされています。また、検査部位名の出 力が難しいモダリティーに関しては、一度、検像端末に 画像を送信し”Study Description”の項目に検査部位 名を入力しPACSに送信しています。昨年、電子カルテ のリプレースも無事に終わり、放射線科側から当院SE やPACSベンダーへコストをかけない範囲で、院内シス テムをいかに使い易くできるか、安全な医療をどうすれ ば提供できるのかを話し合い、システムの変更を行い ました。また独自の取り組みとして、オリジナルアプリ ケーションを使用した患者タイムスケジュール管理を 行っています。(図1)

図1.患者タイムスケジュール一覧

患者さんのリハビリや栄養指導などの1日の予定 を各部門で入力することにより、Excel上に一覧で 表示され、病棟患者さんの空いた時間に放射線科か ら電話をし、検査に来てもらうという運用方法を とっています。これにより各部署間の電話回数も減 り、業務効率化に繋がっています。また撮影件数増 加や接続モダリティーの増加に伴いPACS容量の圧 迫にも、対応せざるを得ない状況にもなりました。

15年前の完全フィルムレス運用が始まった当初の 設定では、インフラの関係もあってoriginal data とwavelet dataが共存するモダリティーがありま した。これを機にデータの選別を行い、不要なデー タの削除と送信画像の選別、CTのMPR作成時のデー タ容量の調整なども行いました。

●線量管理の運用についてお聞かせください。ま た線量管理システムを導入していない経緯なども お聞かせ願えればと思います。

厚生労働省より、医療被ばくの線量管理や記録を 義務付けるという方針が発表されています。現在、

線量管理システムは様々なベンダーより発売され ていますが、どの施設でも新たにシステムを導入す るべきなのか?既存のシステムで乗り切れるの か?等の判断に迫られると思います。もちろんシス テム導入にはコストが発生します。当院は整形外科 単科であり、画像診断管理加算や頭部MRI撮影加算 もないため、診療報酬という後ろ盾がありません。

そのため当初から線量管理システムの導入という ような考えはなく、既存のシステムで乗り切ろうと 考えました。そのような逆風のなかで、当院が、こ の線量管理システムの構築というミッションをク リアするには、「自施設の状況を見極め、いかにコ ストをかけずに利活用のできる線量管理が行える か」とい目標を掲げ、達成することがゴールになる のではないかと考えました。目標達成のためには、

法改正への対応はもちろん、自施設でどこまでやり たいのか(患者別の線量管理?被ばく線量の最適 化?)を明確にしなければなりません。ここからは 当院を例としてお話します。前述しましたように、

HIS、電子カルテ、オーダリングはありますがRISは ありません。はじめに、線量管理のデファクトスタ ンダードになりつつあるRDSR(Radiation Dose Structure Report)環境の確認から始めました。今 回の義務化に関係するモダリティーはCT撮影装置 のみでしたので、CT装置がRDSRを出力可能かという 点を確認します。メーカーからDICOM適合性宣言書:

C/S(Conformance Statement)を取り寄せ、その中 から、”SOP Class:DICOM X-Ray Radiation Dose SR”の項目を探し、使用可能であるかを確認します。

PACS側も同様の確認が必要となります。当院はこの 段階で双方ともRDSR環境には対応していたので、線 量の集計や統計は出来ないにしても、viewer上での レポート表示は可能であろうと考えていましたが、

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88 実際はRDSRを受信したことの確認すら出来ません でした。そもそもPACSは、画像を格納するために作 られたものであり、RDSRのようなレポートは保存で きても、表示する機能は持ち合わせていません。次 に検像端末の利用を試みましたが、RDSRを受信でき たことが分かるのみで内容の確認はできませんで した。(図2)

図2.検像端末上でのRDSRの表示

そこでRDSR運用はあきらめ、電子カルテ上かオー ダリング上で照射線量情報の表示を試みました。CT 撮影装置から送信したSC(Secondary Capture)画 像はviewerから確認は可能です。しかしSC画像は画 面のキャプチャーで、OCR(光学文字認識装置)等の 装置がなければデータは抜き取れないため、利活用 できるデータとは言えません。そこでオーダリング の実施入力項目にある撮影条件入力の項目を「kv・

mAs・sec・beam・FOV・DLP」に変更しました。(図3)

図3.撮影条件入力画面

これにより照射録にDLPが表示されることになります。

もちろん照射録としてcsv出力も可能です。この方法に より自施設のデータ管理も可能となり、DRLとの比較も 容易になります。この結果、線量管理システムを導入

せずとも、2次利用ができる自施設のデータ管理の構 築ができるようになりました。しかし、現在は必要最小限 のデータであり、RDSRには劣ります。

●線量管理の課題をお聞かせください。

前述のとおり、当院のような小規模な施設におけ る線量管理システム導入の一番の高い壁は、診療報 酬が無いという点(2019年8月現在)に尽きます。し かし来春から、線量の記録は義務化され、中小規模 の病院でも何かしらのアクションを起こす必要が あります。ここで少しお話した内容はひとつの手段 にすぎません。まず線量管理をやるにあたって、自 施設のインフラや各モダリティー間で、どのような データのやり取りが可能なのか、「出来ること・出 来ないことの可視化」を行い、そこから自施設の「線 量管理の目標」を設定することが重要です。さらに、

照射条件等がviewer上で読み取れるだけの管理で はなく、のちに利活用できるデータとして管理すべ きではないかと考えます。また“線量”として、数 字としてはっきり出る以上、「前の病院はこの半分 の数値で撮影してくれました」、「今年1年分の数値 を足すと、こんな数字になるけど大丈夫?」などと 聞かれることも多くなるかと思います。単純な数字 の足し算や被ばくに過敏な患者さんへ説明など、現 場の診療放射線技師の対応も重要になると思いま す。

●今後の線量管理の展望ついてお聞かせくださ

線量管理について、現時点では詳細な情報は聞こえ てきません。当院を含め今後の対応に悩まれている施 設も多いと思います。患者さんの立場で考えれば、線 量管理システムが全国に普及すれば、全国どの病院 でも最適な線量で検査ができるようになるという利点も あるはずです。是非、中小規模の施設でも線量管理シ ステムが導入やすい環境になることを願っています。

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医療情報部会報告

第24回 PACS Specialist セミナー (大阪)

大阪国際がんセンター 川眞田 実

2018 年 10 月 14 日(日)に第 24 回となる PACS スペシャリストセミナー(主催:教育委員会、医療 情報部会、近畿支部、共催:一般社団法人日本 医用画像情報専門技師共同認定育成機構)を 大阪市立大学 医学部学舎(大阪市)にて開 催しました.

JJ1017,事業継続計画(BCP),DICOM の最 新情報についての座学が行われ、座学の後には 実習形式というスタイルで開催いたしました。受 講者は、座学にて「みて」・「きいて」知識を実習 にて「ふれて」ということでより理解を深めていた だく実践セミナーであったかと思います.実際に JJ1017 マスタを触れることで次期システムにて導 入検討したいという感想もありました. また, 実習 中は講師以外にも部会委員がファシリテーターと して参加し,活発なディスカッションが行われまし

た.特に BCP におけるグループ討論では,BCP に触れたことのない受講者が多いようで,各演習 に対する模擬回答を伝えると, 「なるほど!」と いったような感嘆が洩れる場面も見られました.

セミナー前には,西日本では大阪の地震や広 島・岡山での水害があったことから参加者の意欲 はいつにもまして強い印象を受けた.

【セミナー評価結果】 回答率 90.1%(20/22)

5 点:役立った 1点知っている内容だった (講義)JJ1017:4.4, (実習)JJ10174.6, (講義)DICOM4.3, (講義)BCP:4.5, (グループディスカッション)BCP4.4

最後になりましたが,本セミナーの開催にあたっ て,多大なるご協力を賜りました近畿支部の方々 に深謝いたします。

~ プログラム ~

1. 日時 20181014()

2. 場所 大阪市立大学 医学部学舎

3. 受講者数 22名 (医療情報技師 15 名,医用画像情報専門技師 5 名)

4. プログラム

【午前】

(講義)これならできる JJ1017-解決!コード作成の問題点- 豊橋市民病院 原瀬 正敏 (実習)実践 JJ1017-頻用に無いコードの作成- 大阪国際がんセンター 川眞田 実

【午後】

(講義)DICOM Update JIRA 鈴木 真人 (講義)はじめてみませんか BCP-医用画像部門システムを中心に-

(グループディスカッション)実践 BCP -グループ討論と BCP の作成-

みやぎ県南中核病院 坂野 隆明

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医療情報部会報告

第25回 PACS Specialist セミナー (札幌)

北海道科学大学 谷川原 綾子

令和元年 7 月 7 日(日)に第 25 回となる PACS スペシャリストセミナーを北海道情報大学 札幌サ テ ラ イ ト ( 北 海 道 札 幌 市 ) に て 開 催 し ま し た . JJ1017,事業継続計画(BCP),電子的な線量情 報管理の理解(線量管理に必要な知識の整理を 行い,システム構築からデータ活用事例)を深め ていただく機会として「みて」・「きいて」・「ふれる」

実践セミナーを開催いたしました.少人数でした が,活発なディスカッションが行われました.特に BCP におけるグループ討論では,昨年の胆振東 部地震での経験談を交えた濃い内容のディス カッションとなりました.

【セミナー概要】

名称: 第 25 回 PACS スペシャリストセミナー 日時: 2019 年 7 月 7 日 9:20~17:45 会場: 北海道情報大学 札幌サテライト 主催: 日本放射線技術学会 教育委員会, 医 療情報部会,北海道支部

後援: 一般社団法人日本医療情報学会,一般 社団法人日本医用画像情報専門技師共同認定 育成機構

【参加者状況】

参加者 8 名(会員 5 名,非会員 4 名;医療機関 6 名,企業 3 名(医療情報技師 4 名,医用画像情報 専門技師 2 名)).

【プログラム】

講義1) これならできる JJ1017-解決!コード作 成の問題点- 講師 原瀬 正敏(医療情報部会

委員)

講義2) 実践 JJ1017(実習形式)-頻用に無い コードを作成してみよう- 講師 川眞田 実(医 療情報部会長)

講義3) 線量情報の収集と活用について 講師 上野 登喜生(医療情報部会委員)

講義4)はじめてみませんか BCP-医用画像部門 システムを中心に- 講師 谷川 琢海(医療情報 部会委員) 演習) 実践 BCP -グループ討論と BCP の作成- 講師 原瀬 正敏(医療情報部会 委員)

総括) 講師 川眞田 実(医療情報部会部会長)

本セミナーの開催にあたって,多大なるご協力 を賜りました北海道情報大学の上杉正人教授に 深謝いたします.

【アンケート結果】 回答率 89%(8/9)

質問1 参加理由を教えて下さい.

向学のため 50%

興味があっ 12%

診療業務に役立 てるため

38%

(93)

91 質問 2 本内容は学会員や社会的ニーズにタイム リーな内容でしたか?

質問 3 内容についてお答えください.

質問 4 参加後の満足度についてお答えください.

質問 5 本事業の継続性についてお答えください.

質問 6 部会の情報は主にどこで入手しています か.

合致している 75%

まあまあ合致 している

25%

非常にわかり やすかった わかりや 50%

すかった 37%

難しかっ 13%

非常に満足 62%

満足 38%

定期的な実施 が必要であ

る。

75%

不定期でよい が、継続する必

要はある。

25%

学会本部の HP,学会雑誌

87%

部会のHP 13%

(94)

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Network [編集後記]

医療情報部会誌33号をお届けいたしました。

冒頭には、恒例となります第 47 回秋季学術大会(大阪)の部会企画の抄録を掲載いたしました。教育講演では

「医療経営学入門 -放射線部門をケースとして」、シンポジウムでは、「放射線診療部門からの医療経営を考える」

と題しまして、放射線部門に蓄積されたデータ分析と活用、診療放射線技師に必要な経営視点について考えてい きます。

また、第 75 回総会学術大会(横浜)の報告では、教育講演「システムデータの分析と活用事例」、シンポジウム

「放射線部門における必要なデータ項目について」と題したシンポジウムのスライドを掲載しております。 データは 活用目的から蓄積する項目を決定することが重要です。データ収集項目を検討する際には、本シンポジウムの資料 ご参考いただければ幸いです。施設紹介 Virtual Interview では広島大学病院、医療法人社団おると会浜脇 整形外科病院のご担当者様よりご寄稿いただきました。

今回も多くの執筆者に支えていただき、会誌を発行する事ができましたことを、この場をお借りして御礼申し 上げます。今後も学術大会やセミナー開催を通して、医療情報分野の最新知見や臨床現場での活用につい て情報を発信していきます。会員の皆様からもご意見などお寄せください。(編集委員一同)

公益社団法人 日本放射線技術学会 医療情報分部会誌 2019.Oct(第33号) 2019 年 10 月 1 日発行

発行所 公益社団法人 日本放射線技術学会 医療情報部会

〒600-8107 京都府京都市下京区五条通新町東入東錺屋町 167 ビューフォート五条烏丸 3F

Tel 075-354-8989 Fax 075-352-2556 発行者 川眞田 実(部会長)

編集者 大谷友梨子、須藤優、谷川原綾子、安田満夫、谷川琢海 ISSN 2189-3101

参照

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