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放射線技術学会誌71巻11号 pp

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Academic year: 2021

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(1)

緒 言 金属アーチファクトは,X 線 computed tomogra-phy(CT)画像の画質に影響を及ぼす要因の一つであ り,検出器へ入射する X 線量が金属によって大きく 減少することによって画像再構成が正確に行われずに 発生する1, 2).画像上の特徴としては,金属周辺の不 鮮明化やダークバンドアーチファクト等があり,これ らが読影の妨げになる. 近年,金属アーチファクト低減に関するさまざまな 手法3〜8)が考案され,金属アーチファクト低減再構成 技術を実装した CT 装置が臨床で使用されるように なった.当院においてもサイノグラム上で金属アーチ ファクトを補正するフィリップスヘルスケア社製の CT 装 置 に orthopedic-metal artifact reduction

(O-MAR)9)が導入された. この技術に関しては,整形外科領域における人工股 関節形成術や後方椎体間固定術など比較的大きな金属 から,歯充塡などの小さな金属までを対象とした金 属アーチファクト低減効果の報告がある10〜15) 臨床検査では,検査目的に応じてさまざまな dis-play field of view(DFOV)が選択される.しかし,前 立腺癌永久挿入療法のように密封小線源を体内に狭い 範囲で多数配置した場合の DFOV の違いによる金属 アーチファクトの低減効果について検討した報告は見 当たらない. 今回われわれは,前立腺癌永久挿入療法の密封小線 源の体内配置を,模擬密封小線源(模擬線源)を用いた 自作ファントムで再現した.これをスキャンし得られ

Effect of Reconstruction Technique for Metal Artifact Reduction in Computed

Tomography by Changing Display Field of View

Shinobu Nakamura,*Hidemichi Kawata, Hidefumi Kuroki, and Asumi Mizoguchi Daignostic Imaging Center, Kurume University Hospital

Received September 10, 2015; Revision accepted September 29, 2015

Code No. 251

Summary

We evaluated the effect of orthopedic-metal artifact reduction(O-MAR) for metal artifact in computed tomography with 73 simulated seeds for brachytherapy in different sizes of display field of view(DFOV) obtained by helical scan under the same clinical scan condition. The metal artifacts were analyzed with the Gumbel's method by changing DFOV sizes 80 mm, 160 mm, and 320 mm. Gumbel distribution, scale parameter(γ), and location parameter(β) of the metal artifacts with O-MARwere compared with that of the metal artifacts with filtered back projection(FBP). In conclusion, it was considered that the effect of metal artifact reduction with O-MARwas influenced by DFOV size in this study. The reduction rates of scale parameter(γ) were 22.3%, 21.3%, and 10.0%in DFOV 80 mm, 160 mm, and 320 mm, respectively. The reduction rates of location parameter(β) were 27.4%, 23.4 %, and 9.8%. Therefore, the effect of metal artifact reduction with O-MARshowed the tendency of increasing with decreasing DFOV size.

Key words: computed tomography(CT), orthopedic-metal artifact reduction(O-MAR), display field of view (DFOV), prostate brachytherapy,Gumbel distribution

*Proceeding author 論文受付 2015 年 9 月 10 日 論文受理 2015 年 9 月 29 日 Code No. 251

金属アーチファクト低減再構成技術における

display field of view(DFOV)の影響について

中村 忍 川田秀道 黒木英郁 溝口明日実

久留米大学病院画像診断センター

臨床技術

(2)

た CT 画像に対して 3 種類の DFOV で画像再構成を 行い,多数の模擬線源から発生する金属アーチファク トの O-MAR による低減効果について,極値統計学の Gumbel 法16〜18)を用いて検討したので報告する. 1.材料および方法 CT 装 置 は,フ ィ リ ッ プ ス ヘ ル ス ケ ア 社 製 Brilliance iCT を使用した.模擬線源は GE ヘルスケ ア社製のオンコシードを模擬した(直径:0.97 mm, 長さ:4.55 mm).模擬線源数は,当院の 1 人当たり の平均的な挿入本数である 73 本19)とした.なお,本 研究において模擬線源は日本メジフィジックス株式会 社の提供を受けた. 自作ファントムは,模擬線源を体軸に対して垂直水 平方向に 10 mm 間隔,前後方向に 1〜2 mm 間隔に配 置した(Fig. 1). これを美和医療電機株式会社製の X 線ファントム (Japanese Industrial Standards Z 4915-1973,胸腹部 用,径:300 mm,短径:200 mm)内に配置し,内部 を水道水で満たして寝台上に固定した.

スキャン条件は,管電圧 120 kV,管電流 315 mA, 回転時間 0.4 sec/rot,スライス厚 0.625 mm,ビーム ピッチ 0.915,再構成関数は標準関数(standard), scan field of view(SFOV)500 mm とし,スキャンは

ファントムが十分に入る範囲で焦点偏向機構20)を用い

てヘリカルスキャンを行った.

画像再構成は,filtered back projection(FBP)およ び O-MAR を使用した 2 種類とし,スキャン回数は 10 回とした.このとき DFOV は,当院において前立 腺癌永久挿入療法のポストプランニングで使用してい る 160 mm を基準とし,これに対して 1/2 倍になる 80 mm,2 倍になる 320 mm の 3 種類とした. また,解析に使用する画像はそれぞれ一連の CT 画 像の中から,自作ファントム中央近傍の 3 画像を選択 し,計 30 画像の試料とした. 1-1 金属アーチファクトの定量解析 本研究では,多数の模擬線源から放射状に広がる ダークバンドアーチファクトを解析の対象とし,それ を極値統計学の Gumbel 法を用いて定量的に評価し た. 解析は,ダークバンドアーチファクトに対して re-gion of interest (ROI) を 以 下 の よ う に 設 定 し た. DFOV 80 mm の場合,X 軸方向および Y 軸方向にそ れぞれ 300 ピクセルおよび 28 ピクセルの矩形 ROI を 作成し,CT 画像上の模擬線源の上下位置に対して ImageJ21)を用いて 4 セット設定した.他の DFOV で の ROI は,DFOV 80 mm の場合と解析領域を同じに するため,DFOV 160 mm の場合,X 軸方向および Y 軸方向にそれぞれ 150 ピクセルおよび 14 ピクセル, DFOV 320 mm の場合,X 軸方向および Y 軸方向に それぞれ 75 ピクセルおよび 7 ピクセルの大きさとし た(Fig. 2). 各 ROI より得られた CT 値の最大変動量(確率変数 x)を金属アーチファクトの特徴量として定義し,確 率変数 x が式(1)の Gumbel 分布に漸近するかを確認 1097

Fig. 1 The in-house phantom placed 73 simulation seeds.

ROI

Water

Acryl

Fig. 2 The CT image showing the ROI. Four ROIs were set in CT image up and down side of simulated seeds. DFOV 80 mm: The size of ROI was 300 pixels and 28 pixels in the X-axis and Y-axis direction, respectively. DFOV 160 mm: The size of ROI was 150 pixels and 14 pixels in the X-axis and Y-axis direction, respec-tively.

DFOV 320 mm: The size of ROI was 75 pixels and 7 pixels in the X-axis and Y-axis direction, respectively.

(3)

するため,式(2)のミーンランク法を用いて累積確率 (Gumbel プロット)を求めた.更に,Gumbel プロッ トより確率変数のバラツキを示す尺度パラメータ(γ) を式(3),その最頻値を示す位置パラメータ(β)を式 (4)によって求め,本研究ではこれらの値を金属アー チファクトの定量的指標として評価した. F(x) = exp

−exp

− x−βγ



………(1) F(x):確率変数 x に対する累積確率 γ:尺度パラメータ β:位置パラメータ F(xi) = in+1 ………(2) F(xi):i 番目に大きい確率変数 xi に対する累積確率 n:サンプル数 γ = 1a ………(3) a:Gumbel プロットの直線分布の傾き β = γb ………(4) b:Gumbel プロットの直線分布の切片 FBP に対する O-MAR のアーチファクト低減率を, 尺度パラメータ(γ)および位置パラメータ(β)を使用 し,式(5)によって求めた. また,FBP と O-MAR の尺度パラメータ(γ)および 位置パラメータ(β)に対して,危険率を 5% として有 意差検定を行った.有意差検定は,Microsoft 社製表 計算ソフト Excel の統計関数を使用し,F 検定にて等 分散を確認し,等分散の場合は二標本t検定,不等分 散の場合は Welch 法を用いた. Reduction ratio=

(γ, β)(γ, β)−(γ, β)- 

×100 ………(5) 2.結 果 2-1 金属アーチファクトの定量解析

各 DFOV における FBP と O-MAR の Gumbel プ ロットを,Fig. 3 に示す.グラフは 30 画像の平均値 を示し,横軸は ROI 内における CT 値の最大変動量,

c b a

Fig.3 The results of Gumbel plots in three sizes of DFOV. The X-axis showed a large difference between adjacent CT values. The Y-axis showed a cumulative probability.

(a) DFOV 80 mm (b) DFOV 160 mm (c) DFOV 320 mm

(4)

縦軸は累積確率を示す.Gumbel プロットは,すべて においてほぼ直線分布を示した.また,各 DFOV に おける O-MAR の Gumbel プロットは,FBP よりも CT 値の最大変動量の少ない左側に位置し,両者の間 隔は DFOV が小さいほど広くなる傾向を示した. 各 Gumbel プロットより求めた尺度パラメータと位 置パラメータの分布を Fig. 4 に示す.グラフは 30 画 像の分布を示し,横軸は尺度パラメータ,縦軸は位置 パラメータを示す.DFOV 80 mm および 160 mm に おける O-MAR の分布は,FBP よりも低い分布を示 し,DFOV が大きくなると FBP と O-MAR の分布 は,尺度パラメータと位置パラメータの数値が左下方 へ,つまり確率変数のバラツキおよびその最頻値は小 さくなった.DFOV 320 mm では,FBP と O-MAR の分布は DFOV 80 mm および 160 mm よりも更に左 下方となった.また,FBP と O-MAR は一部が重な る近い分布であるものの,O-MAR の分布が若干低い 傾向を示した. 各 DFOV における尺度パラメータおよび位置パラ メータの O-MAR による低減率を Table 1 および Table 2 に示す.DFOV 80 mm, 160 mm および 320 mm における尺度パラメータの低減率は,それぞれ 22.3%, 21.3% および 10.0%,位置パラメータの低減率 はそれぞれ 27.4%, 23.4% および 9.8% であった. また,FBP と O-MAR の尺度パラメータおよび位 置パラメータの値は,すべての DFOV で有意差を認 1099

Fig. 4 The results of scale parameter(γ) and location parameter(β) in three sizes of DFOV. The X-axis showed a scale parameter(γ). The Y-X-axis showed a location parameter(β).

(a) DFOV 80 mm (b) DFOV 160 mm (c) DFOV 320 mm c b a 320 24.1±3.3 160 27.4±2.9 80 FBP DFOV (mm) <0.05 p value Table 1 Reduction ratio of scale parameter(γ) in each DFOV

<0.05 <0.05 21.2±2.9 19.1±2.918.9±2.5 10.021.3

21.3±2.8 22.2 O-MAR Reductionratio(%)

320 139.7±7.5 160 169.9±8.4 80 FBP DFOV (mm) <0.05 p value Table 2 Reduction ratio of location parameter(β) in each DFOV

<0.05 <0.05 91.4±6.1 107.1±3.982.5±4.3 23.49.8

123.3±4.2 27.4 O-MAR Reductionratio(%)

(5)

めた.

各 DFOV における FBP および O-MAR の CT 画像 を Fig. 5 に示す.DFOV が小さいほど O-MAR の画 像は模擬線源周辺のダークバンドアーチファクトが低 減した.

3.考 察

各 DFOV における FBP と O-MAR の Gumbel プ ロットは,Fig. 3 に示すとおりすべてにおいてほぼ直 線分布となった.これによって,多数の模擬線源から 放射状に広がるダークバンドアーチファクトを解析の 対象とした場合,それに起因する CT 値の最大変動量 は Gumbel 分布に従うと考えられ16〜18),本研究では Gumbel プロットより得られた尺度パラメータおよび 位置パラメータを用いて金属アーチファクトを定量的 に評価することが可能と考えられた. 尺度パラメータおよび位置パラメータの O-MAR に よる低減率は,DFOV が小さいほど高くなり,Fig. 5 に示すように DFOV が小さいほど,CT 画像上の金 属アーチファクトが減少していることを確認した.そ れぞれの DFOV において,CT 画像上の模擬線源の 領域(ピクセル数)は異なるため,DFOV の大きさが WL:30 WW:300 FBP O-MAR

DFOV80mm DFOV160mm DFOV320mm

WL:30 WW:300

FBP

O-MAR

DFOV80mm DFOV160mm (200% zoom) DFOV320mm (400% zoom)

Fig. 5 The CT images reconstructed by FBP and O-MARin each DFOV.

(a) The CT images indicated in DFOV 80 mm, DFOV 160 mm, and DFOV 320 mm without enlargement.

(b) The CT images of DFOV 160 mm and DFOV 320 mm enlarged to 200% and 400%, respectively.

b a

(6)

金属アーチファクトの低減効果に影響を与えたことが 推測される. 今回使用した自作ファントムの模擬線源は,axial 画像では最も小さく描出される.また,DFOV が小 さい場合と比較して DFOV が大きい場合は,CT 画 像上の模擬線源や金属アーチファクトは小さく描出さ れる.したがって,DFOV が大きい場合の O-MAR による画像再構成は,その画像処理の一つである金属 抽出の精度が低下することに加え,iterative に行う サイノグラム上での金属アーチファクトの補正処理が 不十分となることが推測される. 今回得られた DFOV の違いによる金属アーチファ クトの低減効果は,上記の O-MAR による処理過程の 違いによるものと考えられるが,これら一連の処理過 程における個々の処理条件はメーカのブラックボック スであるため,今回の実験系に限定した結果であるこ とに注意が必要である. Huang らの報告12)では人工股関節形成術,脊椎固 定術および歯充塡を想定したファントムを使用し, それぞれの部位の大きさに応じた 1 種類の DFOV に て O-MAR による金属アーチファクトの低減効果を検 討している.報告の中では,DFOV による O-MAR の金属アーチファクト低減効果については言及してお らず,金属周辺の構造や金属の大きさに依存した結果 であった.これに対して,本研究では金属の大きさに よる金属アーチファクト低減効果について言及しない が,3 種類の DFOV による多数の模擬線源からの金 属アーチファクトに対して Gumbel 法による解析を 行った結果,O-MAR による金属アーチファクトの低 減効果は DFOV に依存する傾向を示した.したがっ て,O-MAR による金属アーチファクトの低減効果 は,対象となる金属の大きさに加えて,模擬線源のよ うな小金属から多数発生する金属アーチファクトに対 しては DFOV の影響を受けると考えられる. 本研究では,模擬線源の金属アーチファクトに対す る O-MAR の低減効果について臨床と同様の実験系で 検討を行った.前立腺に密封小線源が挿入されている 場合,設定する DFOV を小さくし,O-MAR を使用 することで線源からの金属アーチファクトを低減する ことが可能と考えられる.また,歯充塡など他の部 位に小金属が複数存在する場合においても同様の効果 が得られると推測される.本実験系では DFOV を 3 種類としたが,FBP と O-MAR の尺度パラメータお よび位置パラメータではすべての DFOV で有意差を 認めた.しかし,今回設定した DFOV 320 mm を超 えるような場合,O-MAR による金属アーチファクト の低減効果は小さくなることが推測され,対象となる 金属の大きさによっては FBP と O-MAR 間で有意差 がなくなることも否定できない. 本研究の限界として,今回は O-MAR の特性として 金属アーチファクト特有のダークバンドアーチファク トを解析の対象とし,Gumbel 法を用いて定量的に評 価したが,模擬線源の歪みやその周辺の不鮮明化など については評価できておらず,今後は視覚評価も含め た検討が必要と考える.また,今回実験に用いた 3 種 類の DFOV では,前立腺癌永久挿入療法のポストプ ランとして最適な DFOV を求めるのは困難である. 今回の結果をもとに,再構成する DFOV 数を増やし, 画像特性や医師の評価を含めた詳細な検討が必要と考 える. 4.結 語 今回,3 種類の DFOV を設定し,O-MAR による前 立腺癌永久挿入療法で使用する密封小線源の金属アー チファクト低減効果について Gumbel 法を用いて検討 した. 本実験系における O-MAR の金属アーチファクト低 減効果は,DFOV が小さいほど大きく,DFOV 80 mm, 160 mm および 320 mm における尺度パラメータ の低減率は,それぞれ 22.3%, 21.3% および 10.0%,位 置パラメータの低減率はそれぞれ 27.4%, 23.4% および 9.8% であった. したがって,小線源の金属アーチファクトを対象と した場合,O-MAR による金属アーチファクト低減効 果は DFOV の影響を受けることが示唆された. 参考文献

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問合先

〒 830-0011 久留米市旭町 67 番地

Fig. 1 The in-house phantom placed 73 simulation seeds.
Fig. 4 The results of scale parameter(γ) and location parameter(β) in three sizes of DFOV
Fig. 5 The CT images reconstructed by FBP and O-MARin each DFOV.

参照

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