2-P1-1
高齢者における頚動脈ステント留置術の治療成績 京都府立医科大学 脳神経外科1)
京都第二赤十字病院 脳神経外科2) 南都 昌孝1)
Nanto Masataka
高道美智子1) 小川 隆弘1) 橋本 直哉1) 後藤 雄大2) 山本 紘之2) 谷川 成佑2) 天神 博志2)
【目的】手技や device の進歩により頚動脈ステント留置術(CAS)症 例が増えてきているが,高齢者に対する CAS の有用性については 議論のあるところである.高齢者における CAS の治療成績につい て検討した.【対象と方法】2010 年 4 月から 2015 年 12 月の間に 130 例の CAS を施行した.急性期治療を行った 4 例を除いた 126 例を対象とし,80 歳未満(非高齢者群)と 80 歳以上(高齢者群)の 2 群間での患者背景,手術手技,治療成績について比較検討した.【結 果】非高齢者群が 90 例(71.4%),高齢者群が 36 例(28.6%)であっ た.脂質代謝異常の既往歴,左側病変は非高齢者群で有意に多かっ た(p < 0.001,p=0.029)がその他患者背景や病変性状に両群間で有 意差は認めなかった.使用 device や embolic protection の方法も 両群間で有意差は認めなかった.CAS 後の残存狭窄率,DWI 陽性 率,低血圧の頻度,30 日以内の脳卒中は両群間で有意差はなく 30 日以内の心筋梗塞,死亡は両群間で認めなかった.また 30 日以降 の同側脳梗塞発症も両群間で認めなかった.【結語】症例に応じて 手術手技や device を工夫することで,高齢者においても非高齢者 と同等の治療成績が得られると考えられる.
2-P1-2
中長期予後から見た 80 歳以上の高齢者に対する頚動脈ステント 留置術の意義
京都府立医科大学 大学院医学研究科 脳神経機能再生外科学1) 独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター 脳神経外科2) 大和田 敬1)
Owada Kei
井上 靖夫2) 南都 昌孝1) 高道美智子1) 小川 隆弘1) 古野 優一1) 川邊 拓也1) 山中 巧1) 立澤 和典1) 笹島 浩泰1) 橋本 直哉1)
【目的】高齢者に対する頚動脈ステント留置術(CAS)は,そのリス クから妥当性が問われている.一方,平成 26 年の簡易生命表では 80 歳の平均余命は男性 8.79 歳,女性 11.71 歳であり,脳卒中予防 の意義は少なくない.当院における 80 歳以上の高齢者に対する CAS の中長期予後について検討を行った.【対象・方法】対象は 80 歳以上で CAS を施行した 20 例で,年齢は 80-84 歳(平均 81.8 歳),
男性 18 例,女性 2 例,症候性 10 例,無症候性 10 例である.全例で 治療は成功し,ADL の低下なく退院した.平均の追跡期間は 52.3 カ月(10-121 カ月:81-93 歳)である.【結果】追跡期間中の死亡は 5 例で,悪性腫瘍 3 例(肺癌:72 カ月,汗腺癌:81 カ月,胃癌:97 カ 月),心筋梗塞 1 例(10 カ月),肺炎 1 例(73 カ月)であった.脳卒中 イベントは 2 例で,同側中大脳動脈狭窄による脳梗塞(89 カ月),同 側視床出血(19 カ月)を機に ADL が低下した.1 例で認知症進行に より要介護となった(99 カ月).9 例で延べ 13 回にわたり抗血小板 剤休薬下の手術,処置が施行されたが,合併症や ADL の低下を生 じなかった.【考察・結論】当院における 80 歳以上の CAS は,初期 治療成績とともに中長期予後も概ね良好であった.特筆すべきは CAS 後,抗血小板療法を休止するような手術,処置を虚血イベント なく施行できたことにある.予後良好の要因として,特に無症候性 病変においては多くが進行例であり,経過観察中に全身状態,ADL を見極めて適応を判断したことが考えられる.引き続き個々に応じ た慎重な適応の検討を要するが,長期にわたり虚血イベントを回避 した高い ADL を維持できる可能性が示唆された.
2-P1-3
当施設での経皮的頸動脈ステント留置術における高齢者症例の 周術期合併症の検討
社会医療法人さくら会さくら会病院 脳神経外科1) 島根大学 脳神経外科2)
杉本 圭司1)
Sugimoto Keiji
金子 彰1) 伊原 郁夫1) 秋山 恭彦2)
【目的】経皮的頸動脈ステント留置術(CAS)において,高齢者症例 における周術期合併症が高いことが知られている.当施設で,CAS で治療しえた高齢者頸動脈狭窄症の症例について検討を行った.
【対象・方法】2012 年 4 月~2016 年 4 月に当施設で施行され,テク ニカルサクセスを得た経皮的頸動脈ステント留置術 45 病変のうち,
75 歳以上の高齢者症例 22 病変(男性:20 病変,女性:2 病変,平均 年齢:80.4 歳(75-88 歳))を対象とし,周術期合併症について検討を 行った.また,同時期に治療した 75 歳未満の 23 病変との比較,検 討も行った.【結果】高齢者症例のうち 3 病変で術後合併症を経験 した.術後 10 日までに 3 病変に周術期合併症を認めた.内訳は,1 病変が虚血性合併症を呈したもののであった.あとの 2 病変は心不 全・肺水腫であった.入院期間が長くなったものの,すべての症例 において mRS の低下を認めることなく退院し,その後の経過も安 定している.【考察・結論】高齢者症例に対する CAS の有用性は高 いと考える.前施設では高齢者症例により,術後に他疾患の合併に より死亡例を経験しており,周術期管理においては,注意を要する.
また,周術期や術後経過を長く診ていると癌などの悪性疾患を併発 され,死亡される症例も少なくない.そのため,適応を適切に判断 する必要がある.
2-P1-4
脳卒中治療ガイドラインに基づく頸部頸動脈狭窄症の外科的治 療
南奈良総合医療センター1) 市立奈良病院2)
鳥海 勇人1)
Toriumi Hayato
桝井 勝也1) 石田 泰史1) 出口 潤2)
当院では頸動脈内膜剥離術(CEA)を第 1 選択として頸部頸動脈狭 窄症を治療してきたが,2009 年以降,2009 年版,2015 年版の脳卒中 治療ガイドラインに基づいて CEA, 頸動脈ステント留置術(CAS) を施行してきた.当院で施行された CEA,CAS について retro- spective study の結果を報告する【方法】2009 年 4 月から 2016 年 6 月までに外科的治療を施行された 79 例の頸部頸動脈狭窄症の患者 のうち,CEA 群 27 例,CAS 群 52 例について retrospective study を行い,患者背景,合併症,手術成績について検討した.CEA 群は 2 人の術者によって施行され,全例で内シャントを用いた.CAS 群 も 2 人の術者が施行し,CAS では症例に応じて EPD を使い分けた.
患者の平均年齢は CEA 群で 67.6 ± 4.8 歳,CAS 群では 76.5 ± 6.1 歳,症候性の比率は CEA 群で 62.8%,CAS 群で 62.5%であっ た.手術合併症ついては,両群で症候性虚血合併症は認めなかった.
術後 MRI では CEA 群で 1 例,CAS 群で 8 例に術側の無症候性の 塞栓性虚血小病変を認めた.その他の合併症では,CAS 群の 1 例 で穿刺部血腫形成を生じ,CEA 群で術側の舌下神経麻痺を 1 例で 生じ,また,CEA 群 1 例で再狭窄を生じたが,CAS によって問題 なく治療された.当科で脳卒中治療ガイドラインに基づいて頸部頸 動脈狭窄病変に外科的治療を行った結果,CEA, CAS の合併症は認 容可能なもので,高位例や再狭窄例などの CEA ハイリスク患者に 対し,同時に CAS ハイリスク患者に安全にアプローチしうるもの と考えられた.
ポ ス タ ー セ ッ シ ョ ン
2 日 目
2-P1-5
両側頚部内頚動脈狭窄に CEA と CAS を一側ずつ施行した症 例の検討
会津中央病院1)
前田佳一郎1)
Maeda Keiichiro
後藤 芳明1) 後藤 晴雄1) 武田 康寛1) 島田 志行1)
【目的】両側の頚部内頚動脈狭窄に一側ずつ CEA と CAS を連続し て施行した症例で,治療成績を検討した.【対象】平成 22 年 1 月か ら平成 25 年 12 月までに,両側頚部内頚動脈狭窄を有する患者で,
一側に CEA を行いその後反対側に CAS を行った 10 例(男性 9 例,
平均 68.0 歳)を対象とした.治療適応は症候性 50%,無症候性 80%
狭窄を基準とし,原則プラーク量が多いと判断される側にまず CEA を行い,およそ 1-2 か月後に反対側に CAS を行った.CEA は 通 常 の primary closure で 行 い,CAS は 全 例 close cell stent (Precise)を使用した.周術期の循環器検査では 10 例中 5 例に冠動 脈の治療を要すると診断され,術前もしくは術後に冠動脈の治療も 行った.治療後は当院外来で内科疾患の管理や抗血小板療法を継続 した.【結果】周術期に症状の悪化した症例はなく,全例術後頸動脈 狭窄は改善した.脳神経麻痺や遷延する低血圧の合併もなかった.
1 例のみ術後 3 年で肺癌のため死亡したが,他 9 例は平成 28 年 6 月 まで脳梗塞の再発はなく,両側頸動脈にエコー上の再狭窄もなかっ た.【考察】両方の頸動脈に手術手技による同じダメージを加えな いことで,良好な治療成績を得られた.きちんとした周術期管理や 外来治療を行うことで,CAS と CEA は再狭窄を起こす率はさほど 変わらないと考えられ,また両側頸動脈狭窄をきたすような動脈硬 化の強い患者さんでも長期生存が期待できるものと考えられた.
2-P1-6
全身麻酔下頸動脈ステント留置術の有用性と術中モニタリング 北海道大学大学院 医学研究科・医学部 脳神経外科1) 北海道脳神経外科記念病院2)
月花 正幸1)
Gekka Masayuki
青樹 毅2) 長内 俊也1) 中山 若樹1) 数又 研1) 鐙谷 武雄1) 七戸 秀夫1) 寳金 清博1)
【目的】CAS の問題点として,徐脈低血圧による血行動態不安定や,
遮断虚血不耐性のため,術中術後管理に難渋することがある.今回,
我々は循環動態変化と虚血不耐性への対応を目的として実施した全 身麻酔下での CAS の有用性,安全性について検討した.【方法】
2011 年 4 月~2016 年 3 月までに,同一施設にて全身麻酔下に CAS を施行した連続 53 例を対象.塞栓予防器材はバルーン型デバイス を基本とし,術中モニタリングとして NIRS・SEP を使用.患者背 景・手術手技・術中血行動態変動・術中 SEP 変化・周術期合併症・
術後経過を後方視的に検討した.【結果】全例で技術的成功(血管拡 張)が得られた.術中低血圧(SBP100 以下)15 例 28.3%,術中徐脈 11 例 20.8%,収縮期血圧が 50mmHg 以上ベースラインから低下し た症例は 0 例であった.CAS に伴う合併症は,一時遮断に伴う一 過性の術後脳虚血症状遷延 3 例 5.7%,術後症候性新規梗塞 1 例 1.9%,術後過灌流症状は認められなかった.また全身麻酔に伴う 合併症は認めなかった.術中 SEP 低下は 21 例 39.6%で認め,術中 SEP 低下症例における術後脳虚血症状遷延は 21 例中 3 例 14.3%に 認めた.【結論】全身麻酔下 CAS は術中の術中の血行動態を安定さ せ,かつ,完全な無動化により手技をより安全正確に施行できた.
他の RCT と比較しても全身麻酔による合併症や術後の脳梗塞発症 率の増加を認めなかった.また全身麻酔下 CAS に SEP・NIRS を 併用し,術中の潅流低下をリアルタイムに予測可能であり,術中低 血圧・遮断不耐性・術中不穏などのリスクが疑われる症例には有用 である.
2-P2-1
Lesion cross 時に proximal protection を行った CAS 連続 40 例の検討
信楽園病院1)
新潟大学脳研究所 脳神経外科2) 北澤 圭子1)
Kitazawa Keiko
小山 京1) 伊藤 靖1,2)【緒言】当院は CAS の標準手技として,proximal protection(PP)下 に distal protection(DP) device で lesion cross し,その後 DP のみ で治療を行っている.この方法での CAS の治療成績を後方視的に 検討した.【対象】3 年間に当院で施行した CAS(または PTA)41 例中,DP device を lesion cross する際に総頸動脈と外頸動脈で血 流遮断し PP を行った 40 例を対象とした.【結果】PP に用いた system は 8Fr/9Fr Optimo + guard wire(GW) 35 例,8Fr Cello + GW 1 例,Mo.Ma 4 例.PP 下の lesion cross は 36 例で成功,4 例で 不成功だった.成功した 36 例中 32 例で PP 時に血液を静脈に還流 させ,4 例で用手的血液吸引を行った.PP 下に lesion cross が行え なかった 4 例中,2 例は大動脈弓からの分岐部で 8Fr Optimo が kink し,2 例で 8Fr Optimo を総頸動脈に誘導できず balloon なし の guiding catheter(GC)に変更し,PP なしで lesion cross し CAS を行った.36 例中 8 例(22%)に術後 MRI DWI で HIA を認め,2 例で脳梗塞による症状を後遺した.【結語】PP 併用 lesion cross を 行った CAS では妥当な治療成績が得られていた.しかし balloon 付き GC が必要となるため,動脈硬化の強い症例では通常の GC に 変更せざるを得なかった.この手技が CAS の安全性に寄与するか はさらなる検討が必要である.
2-P2-2
頚動脈ステント留置術膜型フィルターと新型網型フィルターの 比較
佐世保市立総合病院 脳神経外科1) 林 健太郎1)
Hayashi Kentaro
松永 裕希1) 林 之茂1) 白川 靖1) 岩永 充人1)
【目的】頸動脈ステント留置術においては血管拡張の際に生じるデ ブリスが脳梗塞をきたす危険性があり,フィルターを用いて行われ る.本 邦 で は 膜 型 フ ィ ル タ ー で あ る Angioguard (AG) と Filterwire (FW) が 使 用 さ れ て き た.近 年,網 型 フ ィ ル タ ー の Spider が使用できるようになった.ステント留置術後のフィル ターを顕微鏡下に観察し,膜型フィルターと網型フィルターを比較 した.【方法】フィルターを使用して頸動脈ステントを施行し,術後 にフィルターを観察しえた 70 例(AG 25 例,FW 27 例,spider 18 例) を対象とした.治療後にフィルターを HE 染色し,strut から切離 後,プレパラートに包埋し,顕微鏡下に観察した.デブリスをプラー ク由来,フィブリン形成に分類し,Adobe photoshop CS にて面積 として定量した.【結果】フィルターの容量は AG 20 ul, FW 80 ul, spider 80 ul であった.AG ではポリウレタン膜に 100 um の小孔,
FW では 110um の小孔が設けてあった.Spider ではナイチノール 編み込み mesh であった.mesh の大きさは中心部 70 um,辺縁部 200 um と部位により異なっていた.Spider はヘパリンコーティン グされており,フィブリン形成が少なかったが,Microembolic sig- nal は比較的多かった.【結語】網型フィルターの方が目詰まりを来 しにくい構造であったが,網のサイズは比較的大きく,200um 程度 のデブリスがすり抜ける危険性がある.それぞれの性質を熟知して 使用する必要がある.
2-P2-3
当院における Mo.Ma. Ultra を用いた CAS の治療成績 神戸市立医療センター中央市民病院1)
三神 和幸1)
Mikami Kazuyuki
谷 正一1) 足立 秀光1) 今村 博敏1) 徳永 聡1) 船津 尭之1) 別府 幹也1) 鈴木 啓太1) 足立 拓優1) 坂井 信幸1)
【背景】当施設では,頚動脈ステント留置術(CAS)において,
Guardwire PS と Mo.Ma. Ultra を併用することで distal balloon protection とともに外頚動脈の protection を行うことが容易となっ た.当院での同治療法の成績について報告する.【対象】2012 年 11 月から 2016 年 6 月までに当院で行った CAS 135 症例中,緊急症例 を除く Mo.Ma. Ultra + Guardwire PS を使用した 72 症例を対象 として,術後合併症の有無につき検討を行った.【結果】患者の平均 年齢は 72.2 歳(27~91 歳),男性の割合は 89%,狭窄率は平均 NASCET 75%,30 日 後 の major stroke は 1 例 (1.4%),minor stroke は 3 例(4.2%)であった.Mo.Ma. Ultra を用いたものの後 拡張時に外頚動脈の protection を行わなかった 1 症例のみ視野障 害がみられた.【考察】Mo.Ma. Ultra + Guardwire PS を用いるこ とで,虚血性合併症を予防するとともに dangerous anastomosis を 介した外頚動脈から眼動脈へのプラーク飛散を防止し,網膜中心動 脈閉塞の合併を防ぐことができると考えられた.
2-P2-4
Mo.Ma Ultra による flow reversal system 下の頚動脈ステ ント留置術へ手技を統一し,無症候性脳梗塞が減少した 土浦協同病院 脳神経外科1)
廣田 晋1)
Hirota Shin
芳村 雅隆1) 藤井 照子1) 玉田なつみ1) 清川 樹里1) 山本 信二1)
【緒言】ARMOUR trial が示した如く,Mo.Ma Ultra (MoMa) は安 全,簡便な頚動脈ステント留置術(CAS)の protection device であ る.症例に合わせた tailor-made CAS も大切だが,施設内で手技を 統一して治療成績を上げることも必要である.当施設では安全性向 上の為,MoMa に flow reversal system(FR)を追加している.その 治療成績について検討した.【手技】全身麻酔下,MoMa と大腿静 脈の 4Fr シースとで FR を構築し,自然逆流に加え 100mL の用手 吸引も加える.【対象・方法】2013 年 5 月から 2016 年 6 月までの上 記手技の連続 26 例 (M 群)と,それ以前の tailor-made CAS の連続 26 例(T 群)とを比較し,統計学的に検討した.急性期血行再建,動 脈解離,総頚動脈病変,完全閉塞,再発,上肢アプローチ症例は除 外した.【結果】T 群と M 群において,平均年齢(73 ± 9.1 歳,75
± 6.1 歳,p=0.39),症候性症例の割合(ともに 58%),平均手技時 間(98 ± 40 分,96 ± 44 分,p=0.86)に差はなかった.平均狭窄率 (53 ± 26%,76 ± 18%,p < 0.001)は M 群で有意に高かったが,
MRI 拡散強調画像での高信号域の数(2.5 ± 4.5 個,1.0 ± 1.5 個,
p=0.11)は M 群で少ない傾向にあった.両群とも症候性合併症は 無かった.【考察・結語】本法に手技を統一することで,従来に劣ら ない手術時間で,より安全に CAS を施行できる可能性が示唆され た.
2-P2-5
当院における dual protection 法を用いた CAS の治療成績 五日市記念病院 脳神経外科1)
広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 脳神経外科学2) 梶原 洋介1)
Kajihara Yosuke
坂本 繁幸2) 向田 一敏1) 茶木 隆寛1) 沖井 則文1) 梶原 四郎1)
【はじめに】頚動脈狭窄症に対するステント留置術(CAS)は標準的 な治療となりつつあり,安全に行うには遠位塞栓症の予防が最大の 課題と考えられる.当院では遠位塞栓症を予防するため,全症例で dual protection 法(simultaneous flow reversal + distal filter)と血液 吸引法を用いた CAS を 2 名で実施している.現在の方法を実施す るようになった 2011 年 8 月以降の治療成績を報告する.【対象】
2011 年 8 月から 2016 年 7 月までに CAS を実施した 55 例(男性 50 例,女性 5 例)を対象とした.平均年齢は 75.1 歳,症候性 14 例,無 症候性 41 例で,全例 dual protection 法を用い,術翌日に実施した MRI DWI 陽性率,周術期合併症について検討した.【結果】MRI DWI 陽性は 11 例(20%)で見られたが,症候性の周術期合併症は脳 梗塞 1 例(1.8%),穿刺部出血 1 例(1.8%),アクセス時の頚部出血 1 例(1.8%)であった.In stent plaque protrusion のために 1 例 (1.8%)で再手術を要した.穿刺から止血までの平均時間は 73.8 分 であった.【考察】当院で実施した CAS において,MRI DWI 陽性 率は 20%であったが,症状を来した症例は 1.8%であり,CREST における周術期合併症と比較しても遜色のない成績であった.dual protection 法は手技がやや煩雑となるが,習熟すれば,周術期合併 症を抑えられる可能性が高いと考えられる.【結語】dual protec- tion 法を用いた CAS で良好な治療成績を残すことができた.
2-P2-6
遠位バルーン閉塞下の CAS における吸引返血法の有用性 聖マリアンナ医科大学東横病院 脳卒中センター1) 徳山 承明1)
Tokuyama Yoshiaki
高田 達郎1) 野越 慎司1) 高石 智1) 吉江 智秀1) 深野 崇之1) 山本 良央1) 徳浦 大樹1) 辰野健太郎1) 小野 元1) 佐瀬 泰玄1) 植田 敏浩1)
【目的】不安定プラークに対し CAS を行う際,塞栓性合併症の予防 は重要である.当院では原則的に遠位バルーン閉塞下にて十分なデ ブリスの吸引と,その吸引血液を大腿静脈に返血する吸引返血法を 行っており,この有用性について報告する.【方法】2010 年 11 月か ら 2016 年 6 月 ま で に 当 院 で CAS を 行 っ た 213 例 の 内,
Guardrwire での遠位バルーン閉塞を用い,術前検査での MRI,エ コー所見等で不安定プラークが示唆された 174 例を対象とした.
2011 年 12 月から吸引返血法を導入し,それ以前の非返血群 42 例 と,それ以後の返血群 132 例について,DWI 陽性率と合併症を比較 検討した.吸引カテーテルはパトリーブチャンバーを介して静脈に 繋ぎ,三方活栓より 20ml のシリンジで吸引を行った.吸引した血 液中のデブリスチェックは間欠的に行い,それ以外の吸引血液は返 血した.【結果】非返血群では平均 12.9 本,返血群では平均 18.8 本 の吸引を行い,実際に廃棄した血液量は非返血群 258.1 ± 122.8ml,
返血群 90.52 ± 38.5ml であった(P < 0.001).術翌日の DWI 陽性 率は非返血群 33.3%に対し返血群 19.6%と低下した(P=0.091).
またそのうち症候性の病巣は非返血群 4.7%,返血群 1.5%であっ た.Hb の低下率は非返血群 11.6%に対し返血群 8.4%と有意に低 下した(P=0.001).【結論】不安定プラークに対する CAS の際,遠 位バルーン閉塞下にて吸引返血法を用いることによって遠位塞栓予 防効果や貧血の抑制効果が期待できる.
ポ ス タ ー セ ッ シ ョ ン
2 日 目
2-P3-1
不安定プラークの頚動脈ステント留置術後の OCT による評価 池友会福岡和白病院1)
池友会福岡新水巻病院2) 原田 啓1)
Harada Kei
梶原 真仁1) 肥後 尚樹1) 谷口 俊介1) 角本 孝介2) 福山 幸三1)
【目的】術前に不安定性プラークが予想された頚動脈病変で CAS 時 に optical coherence tomography (OCT) で評価を行った.【方法】
2015 年 1 月から 12 月の 1 年間に施行した CAS 38 例,CEA10 例中,
CAS 中に OCT を施行した 10 病変 11 治療(1 病変は 2 回治療)を対 象とした.OCT は術前の MRI プラークイメージで不安定プラーク かつプラーク量が多い例に限って行った.全員男性,平均 71 歳(63- 81 歳)であった.症候性 7 例,無症候性 3 例.症候性は発症 1ヶ月 後以降に施行した.術前のプラーク MRI で T1;T2 で high;high 7,
high; iso 2,iso;iso 1.【成績】留置ステントは Carotidwall 9 例(内,
overlap stent 4),Precise 1,Protage 1.9 例中 8 例でステント内の プラーク逸脱がみられ overlap した 4 例全例で overlap 後は逸脱量 は減少したもののプラーク逸脱がみられた.Carotidwall stent では 全例でステントのʠ浮きʠ がみられた.術後 MRI-DWI で 1/11 で 新鮮虚血巣がみられた.プラーク逸脱がみられた 1 例で術後 9ヶ月 後にプラーク飛散による散在性梗塞をきたし再度 CAS を施行,逸 脱プラークの増大がみられさらに stent を overlap させた.【結論】
不安定性プラークに対する CAS では想定以上に OCT でステント 内プラーク逸脱が検出され,closed-cell stent,overlap stent でも完 全にはカバーできていなかった.それらの多くは IVUS で検出でき ないと考えられ,多くの症例ではステント内プラーク逸脱にかかわ らず無症候ですんでいると考えられた.
2-P3-2
頚動脈ステント留置術時の術中 IVUS の有用性 愛媛大学 脳神経外科1)
愛媛大学 地域医療再生学講座2) 田川 雅彦1)
Tagawa Masahiko
山下 大介1) 松本 調2) 西川 真弘1) 麻生 健伍1) 柴垣 慶一1) 渡邉 英昭1) 久門 良明2) 國枝 武治1)
【目的】頚動脈ステント留置術(CAS)の治療成績向上には術中の塞 栓性合併症をいかに減らすかが問題となる.塞栓性合併症の一因と して,ステント留置直後の plaque protrusion やステント内血栓が あり,それらをいち早く発見し適切に対処することは塞栓性合併症 を減らすうえで重要と考えられる.当院では CAS に際して,原則 ステント留置直後に血管内超音波(IVUS)を用いて plaque protru- sion やステント内血栓の有無の確認を行っている.今回我々は術 中 IVUS の使用状況を報告し,有用であった症例を紹介する.【対 象】2005 年 8 月から 2016 年 4 月までに頚動脈狭窄症に対し,経皮 的血行再建術(CAS または PTA)を施行した 239 例中,術中に IVUS を施行した 168 例(施行率:70.3%)を対象とした.【結果】
IVUS を施行した症例は全例で施行可能であり,手技に伴う有害事 象は認められなかった.IVUS にて plaque protrusion やステント 内血栓を認めた症例は 8 例(4.8%)であった.すべて無症候性であ り,7 例はステント内に突出していたが,すべて保存的に経過観察 を行った.1 例はステントの中枢側に突出しており,ステントをも う 1 枚重ねて留置して対処した.【結語】頚動脈ステント留置術時 の術中 IVUS は安全に施行可能であり,plaque protrusion やステン ト内血栓の有無をいち早く確認することに有用と考えられる.
2-P3-3
頸動脈ステント留置術後の塞栓性合併症リスクの予測において プラークの性状と体積の両因子を術前測定することの有用性 横浜新都市病院1)
内田 賢一1)
Uchida Kenichi
根本 哲宏1) 疋田ちよ恵1) 佐藤 純子1) 岩﨑 充宏1) 福田 慎也1) 佐藤 浩明1)
【背景および目的】頸動脈ステント留置術において,ソフトプラーク と高度狭窄率は術後塞栓性梗塞のリスク因子になりうるが,時に狭 窄度が中等度でも虚血性合併症が生じることがある.今回我々はプ ラーク性状,狭窄率に加えてプラーク体積も測定したので,その因 子の術後塞栓性梗塞リスクの予測における有用性について検討し た.【方法及び対象】2015 年 10 月から 2016 年 6 月までに施行した CAS 26 例を対象とした.狭窄率とプラーク体積の両因子,及びプ ラーク性状と体積の両因子,それぞれにおいて DWI 陽性率と陰性 率との相関性評価を行った.【結果】CAS 実施後の同側性 DWI 陽 性例は 9 例(35%)であり,そのうち mRS 増悪症例は 1 例(3%)で あった.狭窄率と体積の相関性においては,DWI 陽性群,陰性群の いずれも一定の傾向性を確認できた.プラーク性状と体積において DWI 陰性群に関し相関性を示すことができた.【考察】従来 CAS における塞栓性合併症のリスク因子として,狭窄度が注目されてき た.しかし高度狭窄例でなくてもプラーク体積の多い症例に塞栓性 合併症のリスクが存在することが示唆され,プラーク体積も塞栓性 合併症の予測因子として寄与すると推察された.【結語】プラーク 体積評価は,塞栓性合併症の危険リスク因子として有用と考えられ た.その評価により,プラーク性状と狭窄率だけの評価より CAS ハイリスク症例を厳密に選別することが可能になると考えられた.
2-P3-4
当院での頸動脈ステント留置術 43 症例における術前プラーク診 断と予後の検討
昭和大学 医学部 脳神経外科1) 今泉 陽一1)
Imaizumi Yohichi
奥村 浩隆1) 中條 敬人1) 水谷 徹1)
当院では,周術期合併症を予防すべく,術前エコーと MRI によるプ ラーク診断を実施している.今回,2013 年 5 月から 2016 年 4 月の 3 年間に当院で CAS を施行した 43 例に対し,術後 DWI における high spot の有無に関して,プラーク診断を含めた術前検査結果と 手術内容を検討した.平均年齢 73.3 ± 8.4 歳で女性は 7 例(女性:
男性=1:5.14)であった.無症候性狭窄 24 例(無症候性:症候性=24:
19)であった.全例に行った術前抗血小板療法(APT)は,二剤もし くは三剤とした.protection は基本的に proximal protection bal- loon + distal protection balloon(PPB + DPB;19 例)を行い,ステン ト は closed cell type を 第 一 選 択 と し 31 例 に 使 用 し た.5 例 (11.6%)に術後 DWI high spot を認めたが,全例無症候性であり,
術前 mRS が術後に悪化していた症例はなかった.術前 BBMRI T1WI は 40 例に施行したが,等~高信号を示した 28 例中,術後 DWI にて high を示した症例は 3 例であった.低信号を示した 12 例中 1 例が DWI にて high を示した.DWI high を認めたうち,
closed cell type 使用例が 2 例,open cell type が 3 例であった.今 回の報告において,術前 BB MRI で高信号を示す症例であっても,
適正な protection と,closed cell stent を使用すれば,安全に CAS が施行できることが示唆された.
2-P3-5
当院におけるプラーク診断に基づいた tailored CAS の治療成 績
宇部興産中央病院 脳神経外科1) 池田 典生1)
Ikeda Norio
藤井奈津美1) 出口 誠1) 中野 茂樹1) 西崎 隆文1)
【目的】今回我々はプラーク診断に基づき薬物療法・プロテクション デバイス・ステントを選択した tailored CAS の治療成績を報告す る.【対象・方法】2011 年 1 月から 2016 年 4 月まで tailored CAS を 行った 130 例で年齢は 55~92 歳,安定プラーク 91 例・不安定プラー ク 39 例で,安定プラーク例はアスピリン+クロピドグレル 2 剤,
EPA 1 日 1800mg とアトルバスタチン 1 日 10mg を 14 日間以上,
不安定プラーク例はアスピリン+クロピドグレル+シロスタゾール の 3 剤,EPA 1 日 1800mg とアトルバスタチン 1 日 20mg を 30 日 以上投与した.プロテクションデバイスは安定プラーク例で狭窄率 50%以上 80%未満は distal filter, 狭窄率 80%以上は proximal bal- loon protection 下に病変通過又は前拡張後 distal filter に変更.不 安定プラーク例で狭窄率 50%以上 80%未満は distal balloon, 虚血 耐性が無ければ distal filter,狭窄率 80%以上は proximal balloon protection 下に病変通過又は前拡張後 distal balloon に変更,虚血耐 性が無ければ distal filter を追加した.ステントは安定プラーク例 で病変に応じ closed cell か open cell を使用し,不安定プラーク例 は原則 closed cell を使用した.【結果】術翌日の DWI 陽性率は 29/130 例(22.3%),術後 30 日以内の虚血性事象は一過性が 2/130 例(1.5%),永続性が 1/130 例(0.8%)であった.【結論】プラーク診 断に基づく tailored CAS は良好な治療成績が得られた.
2-P3-6
頸動脈ステント術後に起こった亜急性血栓症(subacute thrombosis : SAT)の病理組織像
愛知厚生連海南病院1) 小林 望1)
Kobayashi Nozomu
岡田 剛1) 遠藤 乙音1) 松平 哲史1) 藤井健太郎1)
【目的】冠動脈ステント術後の合併症として亜急性血栓症(SAT)が ありうることは広く知られており,脳神経領域におけるステント留 置術に於いても同様であるが,その病理組織学的な報告はない.今 回,経皮的頸動脈ステント留置術(CAS)後に生じた SAT の病理組 織像を得たので報告する.【症例】67 歳男性.左頚部頸動脈の中等 度狭窄に対し保存的治療を行っていたが経過観察中狭窄の進行を認 めたため CAS を施行した.手技は問題なく終了し血管形成も良好 であったが,術後 3 日目に右麻痺を生じたため精査を行うとステン ト内に血栓の形成が認められ SAT と判断した.緊急にて頸動脈内 膜剥離術を行いステント及びステント内血栓を摘除し,病理組織学 的な検討を行った.【結論】術中所見としてステントのストラット により血管内皮は断裂しストラットの模様が刻まれていた.ステン ト内の血栓は肉眼的にカーキ色で弾性硬,ステントストラットに強 固に付着していた.病理組織学的には赤血球をほとんど含まない白 色血栓であった.プラークのステント内への突出は認められず血栓 単独で存在していた.【考察】冠動脈ステントの SAT が抗凝固薬で あるワーファリンよりも抗血小板剤であるチエノピリジン系によっ て減少した歴史があり,SAT の本質は血小板血栓であることが示 唆されるが,病理組織学的にもそれが確認された.ステントのスト ラットにより血管内皮の連続性は破壊されており,内皮の回復起こ るまで間血栓付着の危険性は極めて高い状態にあるため,抗血小板 剤の内服は必須であると考えられた.【結論】SAT の病理像を文献 的考察を加え供覧する.
2-P4-1
有茎性可動性プラークを伴う症候性頸動脈狭窄に対し急性期に CAS を施行した 1 例
立川綜合病院 神経内科1) 立川綜合病院 脳神経外科2) 田中 陽平1)
Tanaka Yohei
高野 弘基1) 高橋 陽彦2) 源甲斐伸行2) 阿部 博史2)
【はじめに】可動性プラーク(MP)は不安定プラークの一つで脳梗塞 の高リスクであるがその治療法は確立していない.我々は有茎性 MP を伴った症候性頸動脈狭窄に急性期 CAS を施行した症例を経 験したので報告する.【症例】65 歳男性.右上肢脱力のため近医受 診,左分水嶺域の急性脳梗塞を認めた.頸動脈エコーで左内頚動脈 起始部に有意狭窄(PSV 約 200cm/s)とその遠位部に有茎性 MP を 認め当院に転院.翌日に CAS を施行.大腿動脈に留置した 8F シースから総頸動脈へと誘導した 8Fr バルーン付きガイディング カテーテルと大腿静脈に留置した 4F シースと間に動静脈シャント を作成後,バルーンによる総頸動脈閉塞を行い,proximal protec- tion を施行した.さらに,フィルター型 EPD を病変遠位に誘導し distal protection を行った.Precise(8 × 40mm)を direct stenting,
MP 部位を避けて狭窄部を後拡張した.頸動脈エコーでステント内 病変を軽度認めたが,経過良好で自宅退院した.術後 2.5 か月で軽 度の右上肢麻痺が出現し脳梗塞を再発.ステント内再狭窄を認め,
PTA を施行した.【考察】MP には様々な形態がありその基盤はい ずれも脂質コアやプラーク内出血など不安定プラークである.有茎 性 MP の本態はプラークの線維性被膜の破綻に伴う浮動性血栓で あると思われる.MP の治療は内科治療,CEA,CAS いずれも選択 されるが十分なエビデンスはない.本例では CAS は成功したが,
ステント内再狭窄を認め,プラークの不安定性が原因と考えた.
MP に CAS を施行する際は,その可動性のみならずプラーク自体 の不安定性に十分注意すべきである.
2-P4-2
Stroke で発症した内頚動脈高度狭窄症に対する待機的頚動脈 ステント留置 -急性期 CAS は本当に必要か?-
奈良県立医科大学 脳神経外科1) 奈良県立医科大学 放射線科2) 尾本 幸治1)
Omoto Koji
中川 一郎1) 横山 昇平1) 朴 憲秀1) 輪島 大介1) 西村 文彦1) 山田 修一1) 本山 靖1) 朴 永銖1) 和田 敬2) 吉川 公彦2) 中瀬 裕之1)
【目的】近年急性期の頚動脈ステント留置術(CAS)の安全性に関す る報告がなされているが,CAS を施行する最適な時期について明 確なエビデンスはない.今回我々は急性期脳梗塞で発症した内頚動 脈高度狭窄症に対する待機的 CAS および術前薬物療法の効果につ いて報告する.【方法】2013 年 10 月より 2016 年 6 月までに内頚動 脈高度狭窄症(NASCET80%以上)に対して CAS を施行した 102 例 中,急性期脳梗塞で発症し待機的に CAS を施行した 37 例(男性 31 例,平均年齢 75 歳)を対象とした.脳梗塞急性期には抗血小板療法,
スタチンによる LDL-C 低下療法に加えて EPA/DHA 製剤を投与 し,発症 4 週間以上経過してから CAS 治療を行った.待機的 CAS は closed cell stent 及び filter device による protection を基本とし,
血清脂質値の変化,EPA/AA 比,DHA/AA 比の変化および術後 DWI 陽性率,周術期合併症,MRI プラークイメージについて同時 期に行った無症候性 CAS 群(46 例)と比較検討を行った.【結果】
CAS 待機期間中に stroke 再発を来した例は認めなかった.発症時 の MRI プラークイメージでは SCM 比で 1.97 ± 0.41 であり全例 不安定プラークであった.合併症に関しては術後 DWI 陽性率は 5 例(14%)であり,1 例(5%)で術後視力障害を認めた以外,術後 30 日以内の虚血及び出血合併症は認めず,同時期に行った無症候性 CAS 群と有意差を認めなかった.【結論】急性期に CAS を必要と する症例はごく一部であり,多くの症例では薬物療法を十分に行っ たうえで待機的に CAS を行うことが望ましいと考えられた.
ポ ス タ ー セ ッ シ ョ ン
2 日 目
2-P4-3
症候性内頸動脈狭窄症に対する発症早期の CAS は有用か?
天理よろづ相談所病院 神経内科1) 天理よろづ相談所病院 脳卒中センター2) 天理よろづ相談所病院 脳神経外科3) 田中 寛大1,2)
Tanaka Kanta
山名 則和3) 時女 知生3) 秋山 義典2,3)
【背景】症候性内頸動脈狭窄症の再発リスクは発症早期が最も高く,
血行再建術の有益性は時間が経つと急速に低下するため,内膜剥離 術(CEA)は早期の施行が推奨される.我々は同様の戦略を頸動脈 ステント留置術(CAS)でとっており,その有用性を検討する.【方 法】動脈硬化性病変による初回発作から≤ 180 日に CAS を受け,初 発時 MRA が参照可能な連続 55 名 (初発-CAS 期間中央値 13 日 [0-137 日]を対象とした.Early CAS(初発時から≤ 7 日,14 名)と delayed CAS(> 7 日,41 名)に分けて周術期脳卒中(CAS 後≤ 30 日 の全脳卒中)の発生を比べた.より早期に介入すべき患者を特定す るため,CAS 待機中の同側脳卒中再発の特徴を解析した.【結果】
Early CAS で周術期脳卒中の有意な増加はなかった(early CAS 1 名[7.1%] vs. delayed CAS 2 名[4.9%], p=0.75).CAS 待機中の 再発は 9 名(16.4%)で,初発から 7 日までに再発率が急速に低下し た.Near-occlusion が CAS 待機中再発の危険因子であった(ハザー ド比 5.8,p=0.04).【考察】発症早期の CAS は安全に施行可能と考 えられる.CAS 待機中の早期再発率は高く,特に near-occlusion で より早期の介入が望まれる.症候性内頸動脈狭窄症の再発リスク低 減を目指したより早期の介入では,再発・進行時の緊急 CEA の周 術期リスクは高いことから,CAS が有利となる可能性がある.
2-P4-4
後拡張を省略した Carotid Wallstent 留置による内頚動脈狭 窄・閉塞に対する急性期 CAS の検討
函館脳神経外科病院 脳神経外科1) 山崎 貴明1)
Yamazaki Takaaki
森脇 寛1) 浅野目 卓1) 西谷 幹雄1)
【目的】後拡張を省略した Carotid Wallstent 留置術を急性期内頚動 脈狭窄・閉塞に対して施行してきたので報告.【対象】期間 2013 年 6 月から 2016 年 5 月.適応,内科的治療抵抗性の頸部内頚動脈狭窄 症,アテローム性内頚動脈急性閉塞症例で中等度以上の神経症状を 呈した症例.【方法】大腿動脈アプローチ,proximal もしくは dis- tal protection を併用.前拡張は狭窄遠位部の正常内頚動脈径より 80%程度,前拡張でゲインを得て Wallstent を留置.頭蓋内閉塞合 併症例は機械的血栓回収併用.【結果】10 例(男性 8 例,女性 2 例).
年齢は 68 歳~91 歳(平均 76.1 歳).右病変 6 例,左病変 4 例.
NASCET 法狭窄率は,完全閉塞 3 例,Near occlusion(95%)6 例,
76%1 例.治療前 NIHSS12-29(平均 18.7).アクセスは 7 例で大腿 動脈,3 例で上腕動脈(2 例は大腿動脈アクセス不能なため切り替 え).protection は proximal 5 例,distal 4 例,no 1 例.頭蓋内閉塞 病変の追加治療 2 例.全例で血流改善.一例で遅発性に stent 遠位 部の狭窄,一例で高度石灰化病変による stent の corning.過還流 症候群や,plaque protrusion は認めず.予後は,mRS0:5 例,mRS2:
1 例,mRS3:1 例,mRS4:2 例,mRS5:1 例.【考察・結論】急性期 CAS においては,前拡張のみで十分に血流の改善が得られ,過還流 症候群を予防する上でも有用.closed cell stent は,不安定プラーク の可能性が高い急性期病変に適している.一方,高度石灰化病変の corning,遅発性狭窄などの可能性もあり治療後も慎重な経過観察 が必要.
2-P4-5
急性期脳梗塞に対する緊急頚動脈ステント留置術を行った 19 例 の検討
翠清会 梶川病院1) 須山 嘉雄1)
Suyama Yoshio
若林 伸一1) 石井 洋介1) 相原 寛1) 蛯子 裕輔1) 今村 栄次1) 梶川 博1)
急性期に頸動脈ステント留置術(以下 CAS)を行うことに対しては,
今のところ明確なエビデンスはない.当院では急性期症例で,進行 性に症状が悪化する例や症状の悪化が予想される例では積極的に CAS を行っている.今回,発症から 5 日以内に行った CAS 症例に ついて検討したので報告する.【対象】2012 年 1 月から 2016 年 7 月 までの間に発症 5 日以内に CAS を行った症例は 24 例であった.
そのうち,超急性期に来院され,機械的血栓除去デバイスを用いた 再開通療法後の残存狭窄に対して CAS を施行した 5 例を除く 19 例を検討した.19 例のうち症状悪化があったために CAS を行った 症例は 8 例,悪化がなかったがあらかじめ CAS を行った症例は 11 例であった.【結果】男性 16 例,年齢は 56-89 歳(平均 75 歳),発症 から手術開始までの時間は 6~113 時間であった.左/右は 9/10,狭 窄率は 28-99%,手術開始直前の NIHSS は 1~15 点であった.症 状悪化症例では悪化から手術までの時間は 1 時間 30 分-12 時間 25 分,手技は全例成功した.退院時 mRS は 0~2:12 例,3-4:6 例,5:
1 例で,再狭窄などによる再治療は 3 例に行われた.【考察】急性期 CAS は合併症なく安全に行えた.症状悪化があった 8 例中,予後 良好例は 2 例であったが,症状悪化がなかった 11 例では元々認知 症があった 1 例を除く 10 例が予後良好であった.症状悪化から CAS までの時間については予後に影響しない傾向であり,予後に は CAS 直前の NIHSS が低い(7 点以下)であった.再治療率がやや 高い傾向があるが,神経症状悪化が予測される症例では,症状悪化 する前に早めに CAS を検討する必要があると思われた.
2-P4-6
脳梗塞急性期の緊急頸動脈ステント留置術 埼玉医大国際医療センター1)
埼玉石心会病院2)
大塚 俊宏1)
Otsuka Toshihiro
神山 信也1) 松村 潤1) 根木 宏明1) 米澤あづさ1) 石原正一郎2) 山根 文孝1)
【はじめに】脳ドックのガイドライン 2014 では脳梗塞急性期に頸部 頸動脈血行再建術(血管形成術/ステント留置術)を行うことは勧告 を行うための十分な科学的根拠がないとなっている.当院では rt- PA 適応症例には DWI と臨床症状の mismatch があれば急性頸動 脈閉塞症例に対しても rt-PA 静注療法に引き続き血管内手術によ る血行再建術を積極的に行っている.しかし,脳梗塞急性期には以 前の情報がないことが多く頸動脈閉塞が血栓塞栓症によるものか,
元々存在した高度狭窄病変が急性閉塞したのか判断に苦慮すること がある.【症例】2015 年 5 月より 2016 年 4 月までの 1 年間に当院に て脳梗塞発症急性期に緊急で CAS を行った症例は 7 例であった.
【結果】7 例中 2 例で数日後にステント内血栓による遠位頭蓋内主幹 動脈閉塞をきたし症状の悪化をきたした.また 7 例中 3 例でステン ト留置直後にステント内血栓を認め追加の後拡張を要したが血栓塞 栓症の合併はなかった.ステント留置前にバイアスピリンおよびプ ラビックスの Loading を行ったが出血性合併症の出現はなかった.
【まとめ】脳梗塞急性期は血栓形成性亢進状態であり脳梗塞急性期 の頸部動脈狭窄症に対するステント留置術の適応は慎重に考慮する 必要がある.
2-P5-1
当院における頸動脈ステント留置後再狭窄・再治療症例の検討 小倉記念病院1)
瀧田 亘1)
Takita Wataru
波多野武人1) 定政 信猛1) 甲斐 康稔1) 坂 真人1) 安藤 充重1) 千原 英夫1) 徳永 敬介1) 鎌田 貴彦1) 永田 泉1)
【目的】頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting,CAS)は,ス テントやプロテクションデバイスの開発に伴う治療成績の向上と共 に急速に普及しつつある.最近のデバイスの進歩に伴い CAS の合 併症は減少してきたが,遠位塞栓や再狭窄などは依然大きな問題と して残されている.特に,in-stent restenosis(ISR)を含めた再狭窄 は CAS 施行後の 2~7%に起こるとも報告されており,その機序や 長期経過,予測因子など未だに解明されていない点も多い.今回 我々は,再狭窄と関連する因子の検討を行った.【対象と方法】当院 での 2008 年 4 月~2016 年 7 月までの間における CAS 症例 487 例 の中から,経過観察中に再狭窄を起こして再治療を要したのは 9 例 (0.02%)であった.これらを対象とし,背景因子(症候の有無,病変 長,狭窄率,使用したステントの種類など)について検討した.【結 果】対象は全員男性で,平均年齢は 74.7 歳(62~89 歳),症候性内頸 動脈狭窄 5 例/無症候性 4 例,平均狭窄率は 83%(65~95%),平均 病変長は 39mm(37~45mm)であった.初回治療で使用したステン トの種類は,Carotid Wallstent6 例/Precise3 例であり,再治療に使 用されたステントは全て Precise であった.【結論】CAS 後再狭窄 と関連する因子の検討を行う事で,CAS の手技をより安全に行う 事が出来,治療成績の向上に繋がる可能性がある.今回,ステント の種類や従来指摘されている再狭窄高危険因子も含め,CAS 後の 再狭窄症例について文献的考察を加えて報告する.
2-P5-2
CAS 後 3ヶ月でステント内血栓症に対し stent in stent を施 行した 1 例
船橋市立医療センター1) 新美 淳1)
Niimi Jun
田坂 研太1) 陶山謙一郎1) 根本 文夫1) 森脇 拓也1) 畑山 和己1) 内藤 博道1)
症例は 53 歳,男性.TIA 発作の精査にて左頚部内頚動脈狭窄症を 指摘された.症候性,中等度狭窄,安定プラークであり,クロピド グレル 75mg,シロスタゾール 200mg 投与し,局所麻酔下にて左 CAS(Carotid WALLSTENT 10 × 24mm)施行.術後頚動脈エコー および MRI は問題なく,自宅退院となった.術後 3ヶ月目の頚動脈 エコーにて,PSV 350cm/s と上昇あり,ステント内血栓症が疑われ た.血小板凝集機能検査(吸光度法)では,凝集抑制効果は不十分で あり,バイアスピリン 100mg を追加.脳血管造影施行し,ステント 内は高度狭窄,対側の右内頚動脈造影にて左中大脳動脈まで造影さ れた.全身麻酔下にて CAS 施行.OPTIMO にて proximal protec- tion 下に Carotid Guardwire PS を lesion cross させ展開,OPTIMO balloon は defalte した.前拡張後に Carotid WALLSTENT 10 × 31mm を stent in stent で留置し,後拡張施行.術後は不応症が疑 われたクロピドグレルは中止し,経過良好で自宅退院,再狭窄なく 経過している.CAS 後のステント内血栓症は比較的稀な合併症で ある.その多くは軽度狭窄であり,治療後 1~2 週間程度で起こる とされている.本症例は CAS 後 3ヶ月の時点で,無症候性ながら 血栓による高度狭窄を認めたが,stent in stent にて良好な経過が得 られた.1 度目の CAS 後は術翌日に頚動脈エコー,術後 2 日目に MRI 施行しているがいずれも問題は無かった.本症例では抗血小 板薬の内服コンプライアンスにも疑問が持たれ,そのようなハイリ スク症例では,より厳重な術後フォローアップが求められると考え られた.
2-P5-3
頸動脈ステント留置術後の慢性期閉塞の一症例 京都市立病院1)
近江八幡市立総合医療センター2) 公立甲賀病院3)
滋賀医科大学4)
初田 直樹1,2)
Hatsuda Naoki
中島 正之2) 谷本 匡浩3,2) 吉村 弥生4)
【はじめに】頸動脈ステント留置術後の慢性期再狭窄は 3~5%に生 じるとされる.再度結構再建を行うことにより血行を維持するが,
閉塞例も報告されている.頸動脈ステント留置術後に ステント内 閉塞を来した症例を経験したので報告する.【症例】65 歳男性.急 激な体重減少にて近医で糖尿病の診断を受けた.インスリンの導入 のため当院内科に紹介,教育入院となった.入院中のスクリーニン グとして施行された頸動脈エコー,MRI/A にて両側内頸動脈狭窄 症を指摘された(PSV 右 453cm/s, 左 121cm/s).右頸動脈ステン トを留置した後,経過観察していたところ,左頸動脈の狭窄が進行,
7 か月後には PSV 値が 200cm/s を超え,1 年後には 220.3cm/s と なったため,左頸動脈ステント留置術を施行した.数か月経過良好 であったが,1 年半経過して左頸動脈の再狭窄を認めた.治療を勧 めたが,患者の希望で治療が先送りになっていたところ,4 か月後 に進行性大腸癌が見つかり,抗血小板剤の継続につき判断を求めら れ,施行した血管撮影にて左総頸動脈でステント内閉塞が認められ た.後頭動脈と吻合した外頸動脈から逆行性にステントまで流入す る血流により,内頚動脈の血行はステントを介して維持されていた.
【考察】内頸動脈のステント留置術後の再狭窄は両側病変患者や糖 尿病の患者で多い傾向がある.再狭窄に対しては,まず PTA を行 い,効果が得られない場合にステント-イン-ステントを考慮する.
経過観察中に閉塞した報告があることから,一般的には再狭窄が認 められた時点で治療をすべきであった.本症例では糖尿病に加え て,担癌病変による凝固系の亢進などが影響した可能性がある.
2-P5-4
頚動脈ステント留置術後の急性期ステント内血栓症に対してス テント留置術を追加した 2 例
岡山大学大学院1)
西廣 真吾1)
Nishihiro Shingo
杉生 憲志1) 菱川 朋人1) 平松 匡文1) 春間 純1) 高杉 祐二1) 新治 有径1) 木谷 尚哉1) 高橋 悠1) 伊達 勲1)
【目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting : CAS)後の ステント内血栓症は重篤な合併症である.CAS 後の急性期ステン ト内血栓症に対して CAS を追加した 2 例を報告する.【症例 1】72 歳,男性.右上肢脱力の TIA で発症,内頚動脈起始部に高度狭窄を 認め,MRI で不安定プラークと判断.Distal balloon protection 下 に PRECISE(9/40)を留置し良好な拡張が得られた.術数時間後に 構音障害と右上肢巧緻運動障害が出現し,超音波検査でステント内 血栓による再狭窄を認めた.抗血栓療法を強化したが血栓は増大し 初回治療 12 日後に CAS を追加した.Proximal protection 下に le- sion cross,distal balloon protection 下に WALLSTENT(9/18)を追 加留置し,良好な拡張が得られ経過も良好であった.【症例 2】76 歳,
男性.左不全麻痺の minor stroke で発症,内頚動脈起始部に中等度 狭窄,総頚動脈に潰瘍病変を認め,MRI で不安定プラークと判断.
Distal balloon protection 下に内頚動脈から総頚動脈の潰瘍病変に WALLSTENT(10/31)を 2 枚使用して留置した.良好な拡張が得 られ潰瘍病変は消失した.神経脱落症状なく経過したが,超音波検 査でステント内血栓を認めた.抗血栓療法を強化したが血栓は増大 し初回治療 6 日後に CAS を追加した.Distal balloon protection 下 に WALLSTENT(10/24)を留置し,良好な拡張が得られ経過も良 好であった.【結語】CAS 後のステント内血栓症に対して stent-in- stent 治療にて良好な治療結果が得られた.
ポ ス タ ー セ ッ シ ョ ン
2 日 目
2-P5-5
CEA 後再狭窄に対する CAS 後,数日で閉塞に至った 1 例 筑波記念病院 脳神経外科1)
筑波大学 脳神経外科2) 中村 和弘1)
Nakamura Kazuhiro
渡部 大輔1) 谷中 清之1) 滝川 知司2) 鶴田和太郎2) 山本 哲哉2) 松村 明2)
【はじめに】当院において,2015 年 4 月からの 15ヶ月間に CEA を 12 例,CAS を 5 例に施行したが,morbidity は本症例の 1 例のみで あった.【症例】77 歳女性.進行性の無症候性右内頚動脈起始部狭 窄(NASCET=74%)に対して CEA を施行した.術後 71 日の MRA では再狭窄の所見はなかったが,術後 155 日の MRA で再狭窄を認 め,術後 181 日の MRA で狭窄が進行した.DSA にて NASCET > 80%の狭窄を認め,PSV=312cm/sec と亢進しており,無症候性で あったが CAS を施行した.CAS は問題なく終了したが,CAS 後 4 日目にめまいと左半身のしびれを呈し,MRI では右内頚動脈閉塞と 同領域の多発性梗塞の所見であった.DSA では右内頚動脈のステ ント内で血流が途絶していたが,同側外頚動脈系と対側前交通動脈 経由の側副血行が発達していたため経過観察とした.めまいとしび れは改善し,mRS=1 で退院した.【考察】最近の本邦での報告では,
CEA 後再狭窄の頻度は 9.1%とされている.多くは無症候性で自 然寛解の報告もあるが,症候性や進行性の高度再狭窄病変には再治 療が検討される.再狭窄の原因としてはプラークの再形成は少な く,手術侵襲による内膜の過形成(intimal hyperplasia)が多いとさ れ,プラーク破綻の可能性は低いと考えられている.我々の症例で は術前のプラーク診断より,intimal hyperplasia を考え,CAS に伴 う合併症リスクも低いと考えていたが,CAS 後閉塞をきたした.
特に無症候性の再狭窄病変の治療方針は慎重に検討する必要がある と考えられた.
2-P5-6
内頚動脈閉塞病変に対し再開通療法を行った 3 例 富山赤十字病院1)
富山大学附属病院2) 加茂 徹大1)
Kamo Tetsuhiro
林 智秀1) 津村貢太朗1) 山谷 和正1) 桑山 直也2)
【はじめに】内頚動脈閉塞症に対する再開通療法は未だ転帰不良例 が多い.我々は 3 例の内頚動脈閉塞症に対して再開通療法を行い良 好な結果を得たため報告する.【症例 1】59 歳男性,右不全麻痺及び 運動性失語を主訴に救急搬送された.MRI で左前頭葉に DWI 高信 号域を認め,脳血管撮影では左内頚動脈起始部が完全に閉塞してい た.失語症状の変動と SPECT で病側 CBF 低下を認め,第 3 病日 に CAS 及び左 M2 posterior trunk の血栓回収を行った.術後一過 性の過灌流症状を認めたが,失語症状の変動,右麻痺も改善しリハ ビリ転院となった.【症例 2】85 歳男性,意識障害・左不全麻痺を主 訴に救急搬送された.頭部 MRI で右深部白質・皮質に散在性に DWI 高信号域を認め,MRA では右 ICA・VA, 左 CCA の描出が認 められなかった.下咽頭癌に対する放射線治療歴があり,これによ る多発動脈閉塞と考えられた.SPECT では両側の CBF 低下を認 め,第 4 病日に CAS を実施した.術後左麻痺は次第に改善し自宅 退院となった.【症例 3】76 歳男性,右不全麻痺・構音障害の TIA を繰り返し救急搬送された.MRI で梗塞巣はなかったが,MRA で は左 ICA の描出が認められず,脳血管撮影で左 ICA 起始部の完全 閉塞を認めた.外頚動脈系と前交通動脈を介する側副血行路を認め たが,SPECT では血流低下を認めたため,第 4 病日に血行再建術 を実施した.術後,症状は消失し CBF も改善した.【結語】全例で 再開通を得る事ができ,CBF の改善を認めた.内頚動脈閉塞症で は手技の難易度に影響を与える閉塞範囲・病変部の硬さの術前診断 が難しく,今後の課題と思われた.
2-P6-1
頚動脈狭窄症に対する stent-in-stent 法を用いた CAS の中期 成績
奈良県立医科大学附属病院 放射線科1)
医真会八尾総合病院 放射線科・脳血管内治療科2) 医真会八尾総合病院 脳神経外科3)
和田 敬1)
Wada Takeshi
高山 勝年2) 明珍 薫2) 宮坂 俊輝1) 中川 裕之1) 吉川 公彦1) 木次 将史3) 黒川紳一郎3)
【背景】頚動脈ステント(CAS)術中または周術期に plaque protru- sion が起こった場合 stent-in-stent 法(SIS)を用いた CAS を行う場 合があるがその中期治療成績は明らかでない.【目的】SIS を用い た CAS の中期治療成績を明らかにする.【対象と方法】2013 年 1 月から 2016 年 5 月までの頚動脈狭窄症に対して SIS を用いた CAS を施行した連続 12 患者 12 病変(男性 10,女性 2,年齢 60~85,平均 70.8 歳,症候性 6,無症候性 6,不安定プラーク 10,安定プラーク 2),全例術前少なくとも 1 週間前から 2 剤の抗血小板薬(アスピリ ンとクロピドグレルまたはチクロピジンまたはシロスタゾール)を 投与し術後は少なくとも 3ヵ月間投与した.SIS でステント 2 本を 使用したのは 10 例(Precise stent(PS)と Carotid Wallstent(CWS) 6 例,CWS のみ 4 例),ステント 3 本を使用したのは 1 例(PS 2 本,
CWS1 本),ステント 4 本を使用したのは 1 例 (PS 1 本,CWS 3 本) であった.術後 30 日以降の同側 stroke の発生率および画像診断 (超音波検査または血管造影)での再狭窄(狭窄率 50%以上)の発生 率ついて後ろ向きに検討した.【結果】経過観察中(1~46ヵ月,平均 13.2ヵ月)に stroke は認められず,再狭窄(1~36ヵ月,平均 11.8ヵ 月)も認められなかった.【結語】頚動脈狭窄症に対する SIS 法を用 いた CAS の中期成績は良好であった.
2-P6-2
ハート型の拡張を呈した頚動脈ステントに stent-in-stent で対 応した一例
NTT 東日本関東病院1) 東京大学2)
大島 聡人1)
Oshima Akito
小泉 聡1) 庄島 正明2) 木村 俊運1) 赤羽 敦也1)
【背景】頚動脈ステント留置術において一部のステントが正円形に 拡張せず heart-shaped になる報告が近年散見される.遺残舌下動 脈分岐部近位の頚部内頚動脈狭窄症に対してステント留置術を行っ た際にステントが heart-shaped となるも,stent-in-stent で内腔を 確保した症例を経験したので報告する.【症例】66 歳男性.スク リーニングの頚動脈エコーにて発見された NASCET 70%の右内頚 動脈狭窄症.血管撮影にて狭窄部の遠位より分岐する遺残舌下動脈 を認めた.右内頚動脈狭窄による hemodynamic stress は大きいと 考え,無症候ながら血行再建術の適応と考えた.両側大腿動脈穿刺 で内頚動脈に対しては Guardwire®で,遺残舌下動脈に対しては Spider®で distal protection を行いつつ,ステント留置術を施行.
Spider®の同軸より前拡張後 Protégé®10x60 を誘導展開.後拡張 をかけた後 IVUS および 3DRA で確認すると,ステントが一部正円 形に拡張しておらず heart shaped となっていた.バルーンにてス テ ン ト 形 状 を 戻 す こ と を 試 み た が 変 わ ら ず,Wall®10X31 を Protégé®を覆うように deploy した.IVUS 及び 3DRA で良好な Wall®の拡張を確認し手技を終了した.患者は神経脱落症状なく自 宅退院となった.【考察】頚動脈ステント留置術の際のステント拡 張不良やその対応については報告が少ない.追加デバイスの誘導が 可能であれば,stent-in-stent は有効な解決策になりうると思われ た.