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審査結果の要旨

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Academic year: 2021

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(様式11)

博士学位論文審査結果要旨

平成 27 年 1 月 22 日

研究科、専攻名 バイオ・情報メディア研究科

バイオニクス専攻

学位申請者氏名 ALHIBSHI AMANI HASAN A

論 文 題 目 Inhibitory effect of thymoquinone against amyloid beta and synuclein-induced neurotoxicities in rat primary and human induced pluripotent stem cells-derived neurons

(アミロイドβ およびシヌクレインが及ぼす神経細胞毒性に対するチモキノンの 抑制効果)

審査結果の要旨

平成27年1月22日に東京工科大学において、学位申請者 アルヒブシ アマーニ の博士学 位審査公開発表会が開催され、以下の要旨に示す博士論文に関する発表と関連する質疑応答 が行われた。

アルツハイマー病(

AD

)は、認知症の代表であり、進行性を有する致命的な神経変性疾患であ る。

AD

の発症は、アミロイドβ(

A

β)の過剰産生や除去障害によるAβの脳内蓄積によって引 き起こされると考えられており、

A

βの凝集が及ぼす神経細胞毒性に関する研究からは、最終的 に形成されるアミロイド繊維(フィブリル)よりも、オリゴマーなどの中間的な凝集体の方が強 い神経細胞毒性を示すとされている。Aβの凝集阻害をターゲットとした

AD

治療薬の研究も盛 んに行われているが、アルツハイマー病の進行を防ぐ、もしくは遅らせることのできる効果的な 薬は無く、今後の開発が待たれている。申請者は、

A

βの神経細胞毒性を抑制する候補分子とし て天然生理活性物質であるチモキノンに着目した。チモキノンはニゲラサチバの種子油に含まれ る主要成分であり、抗酸化作用などが報告されている分子である。本研究では、アミロイドβお よびレビー小体型認知症の原因となっているシヌクレインが及ぼす神経細胞毒性に対するチモキ ノンの抑制効果について調べることを目的とした。

はじめに、ラット海馬初代培養細胞およびヒト

iPS

細胞由来ニューロンを用いて、

A

β

1-42

の細 胞毒性に対するチモキノンの抑制効果について調べた。細胞死、アポトーシス、ミトコンドリア 膜電位、

ROS

、グルタチオン、シナプス活性、長期神経活動を指標に調べたところ、

A

β

1-42

のみ の投与に比べて、チモキノン同時投与で有意に神経細胞毒性を軽減する効果が認められた。次に、

チモキノンによる軽減効果のメカニズムを検討するために、

Thioflavin T

アッセイを用いて

A

β の凝集体形成を評価した。その結果、チモキノン同時投与により、有意に

A

βの凝集阻害が認め られた。これらの結果により、チモキノンは、

A

βが及ぼす神経細胞毒性を抑制する効果を有す ること、およびチモキノンの抑制作用メカニズムは

A

βの凝集を阻害することであることが示唆 された。

続いて、シヌクレインが及ぼす神経細胞毒性に対するチモキノンの抑制効果について調べた。神 経細胞毒性を示すことが知られているαシヌクレインおよび変異型βシヌクレイン(

P123H

)に 対するチモキノンの抑制効果を調べた。ヒト

iPS

細胞由来ニューロンおよびラット初代培養細胞 を用いて、αシヌクレインおよび変異型βシヌクレイン(

P123H

)のみを投与した場合とチモキ ノンを同時投与した場合で、シナプス関連タンパク質(

synaptophysin

)の発現、シナプス活動、

(2)

長期神経ネットワーク活動を指標に比較した。その結果、どの指標においてもチモキノン同時投 与において、有意に神経細胞毒性を軽減する効果が認められた。これらの結果から、凝集性タン パク質であるシヌクレインの細胞毒性においても、チモキノンは抑制作用を示すことが明らかと なった。

最後に、チモキノンがAβの凝集を阻害する分子メカニズムおよびチモキノンとシヌクレインの 相互作用についての考察が述べられた。

認知証の原因である

A

βおよびシヌクレインが及ぼす神経細胞毒性を抑制する候補分子として チモキノンに着目して抑制効果を示した本研究は独自性が高い。また、ヒト由来ニューロンを用 いた結果であることからも、今後の

AD

治療薬の候補分子として期待できるものであった。生体 での作用および詳細な分子メカニズムの研究が更なる発展をもたらすものと考えられる。

上記の研究に対する博士学位論文審査公開発表での発表および質疑応答は妥当なものであり、

筆記試験の結果も合格と判定するに十分な点数であった。以上のことより、審査委員会は、本論 文の著者に対して、博士(工学)の学位を授与するに十分な学識と能力を有していることを認め ることとした。

審査委員 主査

東京工科大学

EA

教授 軽部

征夫 印

参照

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