九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
中国におけるシビックプライド醸成のための国際ス ポーツイベントのデザイン方法
張, 毅
https://doi.org/10.15017/1928633
出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(様式6-2)
氏 名 チョウ キ 張 毅
論 文 名 中国におけるシビックプライド醸成のための国際スポーツイベント のデザイン方法
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 森田 昌嗣 副 査 九州大学 教授 清須美 匡洋 副 査 九州大学 准教授 曽我部 春香
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
博士(芸術工学)の学位申請のために提出された本論文は、中国・広州アジア競技大会を主な事例 として、国際的スポーツイベント開催におけるデザイン施策が、シビックプライド醸成に果たす役 割と効果を明らかにし、シビックプライド醸成のための国際スポーツイベントのデザイン方法を導 出することが研究の目的である。本研究では、第 1 章「研究の目的と構成」に研究の目的と方法、
シビックプライドと都市ブランド、社会教育・心理的行動誘導などに関する既往研究、論文の構成、
第2章「中国におけるシビックプライドの認識」においては、本研究における欧米のシビックプラ イドの概念と中国でのシビックプライドの認識に関する調査などを行い、中国におけるシビックプ ライド醸成のための国際スポーツイベントのデザイン方法には、「都市の魅力をシンボル化」と「市 民の意識及び行動を喚起するプロモーション」の二方向からの検討が必要であるという仮説を提示 している。第3章「2010年広州アジア競技大会開催都市現状調査」では、アジア大会開催までの経 緯を整理し、本研究に関わるシビックプライド醸成のデザインプロジェクトを選出し、「ビジュアル ベーシック」と「アプリケーション」「プロモーション」に分けて次章へ論を進めている。第4章「広 州大会のための「ものづくり」は、広州アジア競技大会でのデザイン施策を取り上げ、広州アイデ ンティティのイメージ形成のためのデザインによる「ものづくり」がシビックプライド醸成にとっ て有効な方法となり得ていることを明らかにしている。第5章「市民参加意識形成のためのプロモ ーション活動」では、広州大会後の市民意識調査などから前章でのデザインによる「ものづくり」
を推進することで、シビックプライドに結びつく市民意識の形成を喚起することを明らかにし、「も のづくり」デザインと「しくみづくり」としてのソーシャルデザインの相互作用がシビックプライ ド醸成のための有効な方法となることを導いている。そして第6章「シビックプライド醸成のため の「もの」・「ば」・「こと」づくりの役割と効果による「ひと」づくりの提案」においては、国際ス ポーツイベントのイメージ形成のためのものづくりデザインを契機に、ソーシャルデザインのしく みづくりによって市民参加意識が形成され、時間と共にスパイラルにシビックプライドが醸成され ていく。つまり「官と民」の共通意識を表す「もの」、「民」の生活環境、自然環境、文化環境を改 善・新築する「ば」をしっかりつくることで、「民」が「官」を認め、都市を愛着する意識行動がス パイラル状に回転をはじめ、「教化活動」「楽しむ活動」のようなコミュニケーション「こと」づく りで、市民意識の醸成及び自らの行動が上昇し、その兆しとして、都市を認め、都市に貢献する真 の市民となり、生活する都市に誇りを持つ市民となっていく、このシッビクプライド醸成のための ソーシャルプロセスを構築することのできるデザイン方法の提案に結びつけている。
本研究は、中国・広州アジア競技大会を主な事例として、国際的スポーツイベント開催におけ るデザイン施策が、シビックプライド醸成に果たす役割と効果を明らかにし、シビックプライド醸 成のための「ものづくり」デザインと「しくみづくり」としてのソーシャルデザインの相互作用に よるデザイン方法を導出した論文である高くと評価できる。
よって、博士(芸術工学)の学位に値すると認める。