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低利用性水産資源の有効活用技術の開発に関する研 究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

低利用性水産資源の有効活用技術の開発に関する研 究

原田, 恭行

https://doi.org/10.15017/1932019

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

氏 名 原田 恭行

論 文 名 低利用性水産資源の有効活用技術の開発に関する研究 論文調査委員 主 査 九州大学 教授 松井 利郎

副 査 九州大学 教授 下田 満哉 副 査 九州大学 准教授 井倉 則之

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、利用効率の低い水産資源である小アジの有効活用を目的として、新たな水産物加工法 を提案したものである。まず、小アジをすべて原料とする魚味噌の醸造を目的として、仕込み工程 前にクエン酸溶液浸漬工程(終濃度2.3 wt%、4℃、72時間)を加える新たな醸造法を提案してい る。その結果、すべての小アジ部位は軟化し、廃棄部位のない魚味噌の製造に成功している。なお、

水溶性Ca量は通常工程の約3倍量(300 mg/100 g)に達し、Ca含量の高い魚味噌として差別化さ れることを明らかにしている。

次いで、魚味噌醸造において食品衛生上の危害因子となるヒスタミン生成に対する有機酸(酢酸、

リンゴ酸、乳酸、クエン酸)の添加効果を検討している。魚味噌から新たに同定したヒスタミン生 成菌(Staphylococcus epidermidis TYH1株)に対する有機酸の生育抑制作用を検討した結果、0.6

wt%濃度のクエン酸添加が最も効果的であった。そこで、仕込み時にクエン酸(終濃度0.6 wt%)

を添加して魚味噌を醸造したところ、明らかにヒスタミン生成が抑制される(30 mg/L以下)こと を見出している。さらに、味覚センサーを用いてこの魚味噌の呈味性(酸味、塩味、苦味、渋味、

旨味)を評価したところ、クエン酸添加して醸造した魚味噌では酸味評価値の低下と旨味評価値の 上昇が認められ、呈味性の向上にも寄与する知見を得ている。以上の結果より、小アジを原料とし て高品質かつ廃棄部分のない魚味噌を醸造するには、仕込み工程前にクエン酸浸漬処理(終濃度

2.3%)した後、仕込み時に食塩と麹を添加してクエン酸濃度を0.6 wt%に希釈する工程を設定する

ことが最良であるとの結論に至っている。

続いて、低温管理、塩漬、乾燥工程が短時間で達成される小アジのサイズ特性に着目し、前処理 工程で起こる自己消化による魚肉品質の务化を抑制した塩干品の製造条件の確立を試みている。乾 燥時間を20時間に設定し、乾燥温度(20℃、50℃)の影響を検討したところ、20℃の低温乾燥で

は 50℃の高温乾燥と比べて魚肉中のタンパク質分解酵素(カテプシン A 等)活性の低下によって

苦み成分(分岐鎖および疎水性アミノ酸、ヒポキサンチン)が減少することを示している。なお、

2 時間、20℃の低温乾燥によっても同等の塩干品が製造できたことから、乾燥温度が塩干品品質の 決定因子であること、低温乾燥処理では魚体サイズにあわせて乾燥時間を短縮することができるこ とを明らかにしている。

以上要するに、本研究は低利用水産資源(小アジ)の活用技術として高品質な塩干品と廃棄画分 のない高品質で安全な魚味噌の加工法を新たに提案したものである。さらに、クエン酸添加による 魚味噌中のヒスタミン生成抑制技術は、水産系発酵調味料製造におけるヒスタミン制御法として活 用可能なことを示唆しており、食品加工学および食品科学の発展に寄与する価値ある業績と認める。

よって、本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める。

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