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操作性向上のためのヒトの感覚特性に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

操作性向上のためのヒトの感覚特性に関する研究

向江, 秀之

https://doi.org/10.15017/1398381

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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(様式3)

氏 名 :向江秀之

論文題名 :操作性向上のためのヒトの感覚特性に関する研究 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

若年者や高齢者、男性や女性など体格や運動能力などが異なる人々の誰もが、車両や機械の操作 を正確かつ楽に行うことができる操作性の研究は、快適・安全な生活環境のための重要なテーマで ある。超高齢社会である日本や欧州など先進国では、視覚や聴覚だけでなく、動きの機能も低下し た高齢者に対して、機能低下前と同じ生活を送るための適切な操作支援が必要と考えられる。そし てそれは、操作においては今までに慣れた方法を変えることなく、操作機能を元の水準に回復させ ることが望ましい。そのためには、ヒトの生理学的な機能の特性に基づいた「使いやすい」操作を 配慮することにより、操作をより円滑に行える(=適切に支援する)ことが必要と考えられる。

このデバイスの操作性向上に関して筆者が着目しているのは、操作(動き)に関する感覚特性で ある。筋の運動制御のしくみから考えると、操作では視覚的なフィードバックと同等に重要なのが、

筋紡錘、腱器官からの動きや力の意識されないフィードバック(求心性情報)である。これらのフ ィードバックがそろって操作を円滑に行うことが出来る。しかし高齢者では、筋だけでなく、この 筋紡錘、腱紡錘の機能も含めて低下したことにより、操作や動作の機能が一層低下した可能性があ る。しかしながら、これらの操作に寄与する感覚特性の研究は少なく、その特性の解明と活用が期 待される。

そこで本研究は、ヒトの力や動きの感覚特性に基づく操作性の向上法の提案を最終目標としてい る。ここで考える操作性向上は、力を出す感覚に基づく入力方法、さらに、ノイズを付与すること により筋紡錘の筋長変位の分解能を向上する効果による、動きの精度を向上する方法を含む。その うち本論文では、操作の感覚の基礎的な特性に関して、以下の方向性にて 5 種類の実験(第2章~

第6章)を行い、感覚特性の抽出を試みた。

1)実験ベンチでの、片手と両手による操作を対象とする

2) 操作における、ヒトが力を出す、制御する特性の基礎検討を行う。だたし、両手操作のステ アリングを対象とした研究は多いことから、両手操作に関しては割愛する。

3) 操作デバイスへのノイズ付与による操作への効果と、そのメカニズムについて検討する 4) 振動周波数の効果を検討するため、振動刺激は単一周波数のサイン波を用いる

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第2章では、ジョイスティック操作を想定した、操作性向上のための力の特性を検討した。その 結果、力を制御する(力を出す)感覚量においても、感覚側である Weber の法則が成り立つ可能性 が示唆された。

第3章では、片手のグリップ回転操作における微小振動付与の効果について検討した。その結果、

グリップ回転操作において正の効果がある周波数条件があること(20Hz、40Hz)、その周波数は、操 作の主働筋がある部位の共振周波数と一致する可能性が示唆された。

第4章では、操作デバイスへの付与振動が、筋紡錘を刺激しているかメカニズムの検討するため に、操作部位の筋冷却を行った。その結果、通常の皮膚温にて、筋紡錘への効果があるが、筋温が 低い場合は、筋紡錘よりも筋そのものに対して影響する可能性が示唆された。

第5章では、ノイズ(振動)付与により、両手によるステアリングの操舵精度を向上させる可能 性について検討した。その結果、正の効果がある振動条件があること(20Hz)、さらに正の効果には 速度依存性がある可能性が示唆された。よってデバイスが変わってもその効果には再現性がある可 能性が示唆された。

第6章では、振動による操作精度向上の効果が、筋のインピーダンス変化への影響か、筋紡錘の 感覚への影響か検討するために、上肢への振動の伝達を計測した。その結果、正の効果がある周波 数は、両手の操作においても主働筋の部位の共振周波数と関連がある可能性が示唆された。一方、

筋のインピーダンスの効果に関しては個人差に埋もれてしまうため、実験方法の改良による検討が 必要であることが分かった。

上記の実験の結果、操作性向上に寄与すると思われる動きに関する感覚特性と,微小振動付与に よる操作性に寄与する範囲について、以下に示す。

・ 力を出す感覚量は非線形であり、Weber の法則が成り立つ

・ 微小振動付与により、操作性向上効果がある周波数があり、その周波数は主働筋の部位の共 振周波数を含む

・ 振幅の効果に関しては、今回の実験条件の範囲では正の効果が見られたため、有効な振幅の 範囲については今後の検討が必要

・ 速い操作では正の効果が見られず、遅い操作にて正の効果が見られる、速度依存性がある

・ 筋紡錘への刺激効果は、皮膚温 30℃以上の、筋が冷えていない状態にて生じる

本実験により、これまで情報が少なかった力を出す感覚の特性と、操作においても確率共鳴現象 が生じる可能性の一部を明らかにすることが出来たと考えられる。ただし、限られた被験者にて得 られた結果であり、感覚特性のメカニズムに関しても十分に明らかになったとは言い難い。 これら 感覚特性を操作性向上につなげるためにも、今後の研究データの蓄積が必要である。

以上

参照

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