九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
純氷の破壊じん性値に及ぼす負荷速度・試験温度お よび結晶軸方位の影響
内田, 武
https://doi.org/10.11501/3065583
f fl
一/
純氷の破壊じん性値に及ぼす
負荷速度・ 試験温度および結晶軸方位の影響
内 田 武
< 目 次 >
第l章 諸 論
1. 1 氷の破壊強度研究のこれまでの概況 1.2 本研究の目的と方針
1. 3 本論文の構成
1 1 8 1
第2章 試験の手順 14
2. 1 試験装置と計測系 14
2. 2 破壊じん性値とワイブノレ分布 19
2.3 破断面レプリカ採取と薄片作成 23
2. 4 結晶軸方位視IJ定 25
2. 4. 1 エッチピット法による方位測定 25
2.4.2 干渉色法による方位測定 29
2. 4. 3 ユニバーサルステージ法による方位測定 34
2. 4. 4 各方位測定方法の比較 ・検討 37
第3章 粗大結晶氷および柱状多結品氷試験片の一般性質 40
3. 1 緒 に工1 40
3. 2 氷試験片の製作および結晶!MI方位分布 42
3. 3 試験方法 51
3. 4 破壊じん性値の負荷速度依存性 52
3. 5 破壊じん性値のバラツキと寸法効果 64
3. 6 破断面観察 70
3. 7 結 Eコ 79
第4章 純氷の破壊じん性値に対する負荷速度効果の数式化 81
4. 1 緒 Eコ 81
4. 2 氷試験片および試験方法 83
4. 3 粗大結晶氷試験片(断面25x 25mm)を用いた数式化 85
4. 4 各種寸法の氷試験片を用いた数式化 102
4. 5 * 士口 仁コ 112
第5章 純氷の破壊じん性値に及ぼす試験温度の影響 114
5. 1 主計 r.:_, 114
5. 2 氷試験片および試験方法 116 5.3 粗大結!?白氷試験片における試験渦度の影響 119 5.4 柱状多結晶氷試験片における試験温度の影響 123
5. 5 破断面観察 128
5.6 き裂の発生状況 131
5.7 結 仁コ 137
第6章 柱状多結晶氷の了コースティリ・エミ7ションの基礎的研究 138
6. 1 緒 にコ 138
6. 2 氷試験片および試験方法 140
6. 3 AE発生数の特徴 145
6.4 ポップ・ インとAE振l幅 149
6. 5 氷試験片でのカイザー効果 151
6. 6 曲げ強さとAE計数 155
6. 7 AE計測上の諸注意 159
6. 8 結 Eコ 160
第7章 単結晶氷の破壊じん性値に及ぼす結品軸方位の影響 161
7. 1 緒 にヨ 161
7.2 単結晶氷の製造 163
7.3 単結晶氷試験片の分類と氷試験片の製作 166
7.4 試験方法 170
7.5 切欠き形成方法の差異による強度への影響 171
7. 6 単結品氷試験片強度の結晶軸方位依存性 173
7.7 巨視的にみた破断面様相の結晶軸方位依存性 177 7.8 単結晶氷の強度から 柱状多結品氷の強度の推定 184
7.9 結 にコ 188
第8章 *ν公己、 括 190
謝 辞 195
第l章 緒 論
1. 1 氷の破壊強度研究のこれまでの概況
氷の強度については, 積雪や氷河の流動に関して微視的かつ物性論的 Jt察あるいは巨視的なレオロジーの立場に立った研先が, 多くの研究省 によって行われてきた. しかし, これまでに行われてきた氷の強度につ いての研究は変形に関するものが多く, 破壊強度は比較的少ない. 一方,
破壊現象や破壊強度については船舶の進路上での砕氷, 航空機や船舶の 着氷による事故, あるいは凍上, 凍土と天然資源輸送用パイプラインと の相互作用などの工学的問題の解決が求められてきている. 近年盛んに 行われるようになってきた北極圏, 寒冷地での資源開発に関連して, 砕 氷の問題や海洋構造物に作用する氷の力の評価などに取り組む技術者に とっても, 氷の力学的性質についての工学的知識, 情報が求められるよ うになってきた. 日本圏内の関連大企業においても大規模な研究投資が
行われている.
氷の破壊じん性ならびに破壊挙動についての研究は, L. W. Gold(1963)
( 1 lが行ったのが最初である. 彼は, 一定温度C-1 OOC )のもとで純氷に熱
応力(熱衝撃〉を加えたときのき裂の発生, 進展に関する実験的研究に ついて報告している. また, 破壊力学の手法による氷の破壊じん性に関 する研究は, H.W.Liu and L.W.C.LoopC1972(2l,1974(3l)が最初である.
彼らは, 純氷の破壊じん性値をコンパクト引張試験により求め, 荷重速 度および温度の影響を調べている. それによると, 純氷の破壊じん性値
'EE'a・
は, 荷重速度が低下するほど, また温度が低下するほど大きくなると報 dしている. その後, インデンテーシ ョ ン法(圧子押込み法〉や三点曲 げならびに四点曲げ試験による氷の破壊じん性評価の研究が行われるよ
うになってきた. 伊IJえば D. J. Goodman(1977) (4)は, 氷河氷および海氷 の三点曲げならびに四点曲げ試験を行い, 得られた破壊じん性値の結果 をまとめている. K.D.Vaudrey(1977)(5)は海氷の四点曲げ試験を行い,
破壊じん性値へ及ぼすブライン品(氷結品の粒界部に閉じ込められた細 長い海水柱で, このブライン品の海水塩分はかなり高濃度になっている〉
体積の影響を報告している D.J. Goodman and D. T abor(1978) (6) は,
純氷の三点曲げ, 四点曲げ試験ならびにインデンテーシ ョ ン試験を行い,
破壊じん性値は温度の低下に伴って小さくなると報告している. これは,
Liu and Loop ( 1972 (2),1974 (3))の報告とは相反する結果である. D. J.
Goodman(1979 (7),1980 (8) )は, 純氷の四点曲げ試験を負荷速度(破壊じ ん性値の時間変化率) の高い領域(氏1> 600kPaJ而/8) で実施し, その領 域では破壊じん性値への温度の影響はないことを示すと共に, き裂関口
変位(COD)の計測結果に基づいて降伏応力を導いている H . Hamza and D. B. Mu ggeridge( 1979) (9) は, 純氷について4種の変位速度ならびに4 種の温度のもとで三点曲げ試験を行い, 破壊じん性値は負荷速度の低下 ならびに温度の低下に伴って大きくなることを示すと共に, 結晶粒径
(平均8 mmと 12mmで実験〉は大きい方が破壊じん性値が大きいと報告し ている G . W. Timco and R. M . W. Freder kin g(1982 ) (10)は純氷ならびに海 氷について, 一定温度(-2 0 oc ) ・ 一定変位速度(4x 10-2mm/8)のもと
で四点曲げ試験を行い, それぞれの氷の曲げ強さと破壊じん性値を求め 比較している. 浦辺(1981)(11), N.Urabe and A.Yoshitake(1981)(12) は, 純氷ならびに海氷について, 一定温度( -2 OOC ) ・ 3桁の負荷速度範
囲( Krニ0.1"" 1 00 kPa!而/s)で三点曲げ試験を行い, 純氷の破壊じん性 値は負荷速度の上昇に伴って直線的に減少すること, 切欠き先端の降伏
域の大きさは破壊じん性値と負何速度の関数として表現できること, 結 晶粒径が大きいほど破壊じん性値は大きくなることを示している. また,
他研究者のデータも合わせて温度の影響を調べ, 破壊じん性値は温度の 低下と共に大きくなると報告している N.Urabe el a1. (1980 ) (13)およ び N.Urabeand A.Yoshjtake(1981)(14l は, 海氷について一定温度
( -20C )で三点曲げによる現地試験を行い, 海氷の破壊じん性値の歪速
度依存性, ブライン品体積依存性ならびに結品粒径依存性について報告
している
H.W.Liu and K.J.Miller(1979)(15), K .J.Miller(1979(16),1984(17)) は, 純氷について変位速度0.5"" 480mm/min・ 温度 一1"" -4 6 ocのもとでコ
ンパク卜引張試験を行い, 純氷の破壊じん性値は変位速度が低下するほ ど, また温度が低下するほど大きくなり, また試験片表面での水の存在 で強度が低下することを示している. 一方, 氷の強度は特に温度と歪速 度の影響を受けるので, その研究にはクリーフ0 ・ 再結品 ・ 表面エネルギ
・ 応力緩和などとの関わりも重要だとしている. R. M. Andrews(1985) (18) は, 純氷 および海氷について負荷速度約6 kPa!而/s・ 温度- 12 ocのもとで,
円筒状の外側および内側に切欠きを設けた試験片に内部加圧することに
円ぺU
より, それぞれの氷の破壊じん性値を求めている.
B.Michel(1978)<19), R.LeB.llooke and M.Mellor(1980)(2O), G.W.
T i m c 0 a n d R. M. W. F r e d e r k 1 n g ( 1 9 82) (2 J ), 11. I1 a m z a a n d D. B. M tl g g e r 1 d g
(1984) (22)ならびに浦辺(1986) (23)らは, さまざま な種類の氷を対象に して, その強度および破壊挙動に及ぼす各種因子の影響について, 他研 究者らの結果も合わせて評価している また A. B. Cammaert and D. B.
Muggerjdge(1988) (24)は, 海氷の強度および海氷と海洋楠造物との間に 働く相互作用などについて, 最近の研究成果をまとめた著作を発表して いる
これらの報告では, 破壊じん性値が負荷速度の増加と共に単調に減少 するとされており, この点については定説化した感があった. しかし な がら, 筆者らは従来より広い負荷速度範囲( KI与Q. 8'"" 1 x 1 Q4kPaJ而/s) での実験を通して, 純氷の破壊じん性値がある負荷速度領域で急激に変 化する選移領域が存在すること, そしてその遷移領域以上の負荷速度領 域では破壊じん性値が一定と なることを見い出した(25ト(28) また,
破壊じん性値と温度の関係についてもこれまでの結果には相反する報告 があり, 検討の必要がある. この点についても筆者らは, 広い負荷速度 範囲でみた破壊じん性値に及ぼす温度の影響の問題に取り組み, 検討を 加えてきた(29)
従来の研究において, 氷の破壊挙動, 特にき裂の発生や進展を観察あ るいは感知する手段としては, 視覚 ならびに聴覚に頼ることで行われて きた. その最初の研究は E. Brown(1926) (30)が圧縮応力負荷により行っ
ており, 目視可能なき裂が負荷過程中に発生し, その大きさと発生数は 温度と負荷応力に依存することを見いだした. 最近では, 非破壊検査の 分野でよく利用されているアコースティ ック ・ エミ ッ シ ョ ンぐ八E)法 を用いた氷の破壊機構解明にも力が注がれるようになってきた.
L. W. Gold(1960) (31)は, 氷のAE特性に関する最初の研究を行ってい
る. 彼は, 純氷の直方体試験片を用いて - 10 ocのもとで圧縮応力一定の 試験を行い, クリーフ過程中のき裂発生は圧電素子により検出可能で,
その検出数は応力に依存すると述べている. Y.K.Zaretsky et a1.(1976
(32) 1979 (33))は, 純氷の円柱試験片での圧縮クリーフ。試験を行い, A
Eパルスの振|隔は発生き裂の大きさに関連すること, 振幅の二乗が試験 片のエネルギ消費に比例すること, ならびに振幅と単位体積当りのAE イベン卜数との関係について報告している V. P. Epifanov(1982) (34)は,
純氷の直方体試験片を用いて -1 1 . 50Cのもとで一軸圧縮試験を行い, A Eにより微小破壊を検出しその大きさを見積ることが出来ると報告して
いる W.F.St.Lawrence and D.M.Cole(1982)(35)は, 2個のAEセンサ を異なった感度に設定し, 純氷の円柱試験片を用いて-5 ocのもとで圧縮 クリープ試験を行い, A Eイベントと目視き裂との関係, クリープ過程 中でのAEイベント数, A E発生と結品粒界存在の関わりならびに氷の 破壊のメカニズムを検討している. N.K.Sinha(1982)(36)は, 2個のAE センサを使用し純氷の直方体試験片を用いて -30 ocのもとで一軸圧縮試 験を行い, A E振幅と目視可能き裂との関係, A Eイベントと結品粒径 および圧縮強さとの関係ならびにAE発生源について報告している. N.
FhJ
K. Sinha( 1985) (37)は, 海氷の直方体試験片を対象にして-10 ocのもとで,
Sinha(1982) (36)と同様の試験を行っている. また, V. P. Yepifanov and
V. P. Kuz' menko(1988) (38) のように, 雪崩の形成機構の解明にA E法を
適用した例もある.
以上のように, 氷試験片の発するA Eにより氷の破壊機構を検討した 報告があるが, それらは一軸圧縮負荷時のA Eがほとんどである. 破壊 力学の手法からは, 切欠きを有する試験片の発するA Eの研究も重要で ある. 筆者ら(1991)(39)は, 純氷の直方体試験片を用いて-5 ocのもとで 三点曲げ試験を行い, A E特性と曲げ強さ, A Eとき裂発生との関係な らびにA Eのカイザー効果について検討し, 報告した.
また, 氷の物性とくにその力学的性質を採るためには, 基本的には き 裂底の結晶が1個である単結晶氷による研究も重要と考えられる. これ までにも, アラスカの氷河から採取した天然巨大単結晶氷を用いて, 中 谷(1958)(40), 若浜(1962)(41), 東(1965(42), 1977 (43)), A. Higashi et a1. (1964 (44), 1965 (45))などによる単結晶氷の塑性変形の結晶軸方 位依存性ならびに黒岩 ・ 山地(1959)(46), 対馬(1972(47), 1977 (48))ら による単結晶氷の摩擦の結品軸方位依存性を調べた例は た くさ ん見受け られる. 若浜(1958)(49)は, 人工単結晶氷を用いた 塑性変形の結晶軸方 位依存を報告している. 単結品氷の破壊強度の結品軸方位依存性につい
て は, 平滑試験片の引張り試験による研究が J. Muguruma et a1. (1966) (50), Michel(1978)(19) などにより行われている. 一方, 筆者らの知 る限りでは, き裂や鋭い切欠きを持った 単結品氷の破壊じん性に関する
研究は, ほとんど行われていない. 筆者らは, 単結晶氷の破壊じん性値 に及ぼす結晶軸方位の影響の問題に取り組み, 人工単結品氷を使用した
=点出lげ試験により検討を加えてきた(5 I )
さらに, 氷の破壊挙動に関連して破壊面のフラク卜グラフィ的検討は,
これまでにはほとんどなされていない. 筆者らはこの点についても注目
し, 破壊面のマクロレプリカを採取し, 多結晶氷の破断面様相に及ぼす 負荷速度の影響(25),(28), 温度の影響{29), 試験片寸法の影響(26) • ( 28)とともに, 単結晶氷の破断面様相に及ぼす結品軸方位の影響( 5 2 )に ついて検討を加えてきた.
7 -
1. 2 本研究の目的と方針
氷は地球規模でみると, 降雪 ・ 積雪 ・ 氷河 ・ 地下氷 ・ 海氷など, 地球
の気候や環境に大きな影響をもたらす存在である. 身近にある氷の問題
も含めて, 人間の生活圏 ・ 工業圏が寒冷帯 ・ 極地へと拡大してきたこと
により, 最近ますます雪氷工学 ・ 構造工学を始めとした, 氷に対する様
々な工学的分野からの関心がもたれている. 具体的には, 地球上の約30
%の炭水化物資源が北極圏に埋蔵されているとの報告もある. そのよう
な極寒地域での資源開発に伴い, 砕氷船や海洋構造物と海氷との相互作
用など, 氷の破壊に関連して問題が重要と考えられるようになってきた.
一方, 氷上を輸送路や滑走路として活用する場合もある. 氷をいかにた
やすく割ってその脅威から逃れるか, 逆に氷の持つ強度をいかに積極的
に利用するかなどの問題に対しては, 氷の破壊特性を正確に把握するこ とにより解答が得られる. 一般には, 湖氷や海氷の内部には微細なき裂
状の欠陥が存在するため, 氷の破壊現象を解明し特性を把握するには,
き裂の存在することを明確に取り扱える破壊力学の導入が必要である.
最近の氷工学の主要な研究テーマとしては, ( i )氷の力学特性および強
度特性に関連したもの, ( i i )氷の破壊に関連したもの, (iii)氷の成長に
関連したもの, ( i v)流れと氷の相互作用に関連したもの, (v)気象や海象
に関連したものに大別されている(5 3 ) 中でも, 氷と構造物間の相互作
用に関連して, 特に構造物の設計上重要となる氷荷重の推定に必要な,
氷の破壊じん性ならびに三軸圧縮強度の試験方法の確立およびその解明
が急がれているのが現状である
そのような理由から, 前節でも述べたように近年, 天然氷ならびにそ の結晶条件を模擬して人工的に製造した氷の力学的性質に関する研究が 盛んに実施されるようになってきた. ところが, これまで行われてきた 氷の強度に関する諸研究は, 比較的狭い負荷速度範囲で試験を実施して おり, その結果をもとに負荷速度ならびに試験温度の影響を議論したも のが多い. そこで, 本研究では純氷の三点曲げ試験を従来より広い負荷 速度範囲で実施して, 破壊じん性値および破断面様相に及ぼす負荷速度 の影響ならびに試験温度の影響を調べ, 他研究者の結果との比較 ・ 検討 を行う
また, 氷試験片中でのき裂発生をアコースティ ック ・ エミ ッ シ ョ ン ( A E )により捕らえる研究もなされてはいるが, それらのほとんどは 一軸圧縮負荷時のみのAEを取り扱っていた. 筆者らのこれまでの研究 により, 氷においても最終破断以前に部分的な破壊(ポップ ・ イン〉が 起こることがわかってきたが, それは目視観察に頼っていたため, 低負 荷速度領域での議論に留まっていた. そこで, 三点曲げ試験におけるポ ップ ・ イン〈目視可能なき裂〉をAEにより捕らえることを試み, より 高負荷速度領域でのポップ ・ イン現象の有無の確認を目的として実験を 行った. また, 氷試験片のA E特性と曲げ強さの関係ならびにAEのカ
イザー効果などについても検討を行う.
さらに, 単結晶氷を用いた破壊じん性に関する研究がほとんどないこ とを考慮して, 人工単結品氷の三点曲げによる破壊じん性試験を行った.
それにより, 単結晶氷の破壊じん性値および破断面様相に及ぼす結晶車III
nHd
方位の影響について検討する.
結果の整理に当たっては, 氷の破壊じん性値には金属材料に比べてか なり大きなノぐラツキを/七じるのが作.ìllíである これは, jJ< 試験けを榊成 する結品粒子の大きさが試験片寸法に比べて比較的大きく, 個々の結品 粒子のおかれた状態が異なり, それにより同寸法の氷試験片においても 破壊強度が異なる可能性が大きいためである. すなわち, 試験片寸法が 小さい場合, き裂底に存在する結晶粒数が少ないために, 破壊の発生源、
となるき裂底にある最弱結晶の強度が各試験片毎に大幅に異なることに より, 実験値のバラツキが生じるものと考えられる. そして, 従来の研 究ではデータの取り扱いに, 平均値を利用しているのがほとんどであっ た. 一方, 金属材料のぜい性破壊や近年活発に研究がなされているセラ ミ ックスや複合材料などの披壊強度の研究分野においては, 当初より極 値統計的考え方, 特にワイプル分布によるデータの取り扱いが主に行わ れてきており, これがある程度一般的手法ともなってきている. これら の点を考慮して, 本研究ではワイプル分布による氷の破壊強度の評価を
行った.
1. 3 本論文の構成
本章に続く第2章では, 試験実施に先立って, 使用した試験装置, 破 壊じん性値とワイブル分布, 破断面レプリカ採取と氷薄片作成方法, 氷 結品の結晶軸方位視IJ定方法などについて説明する.
第3章では, これまで試験してきた純氷の強度の一般性質として, ま ず粗大結晶氷試験片と柱状多結品氷試験片の製作法ならびに各氷試験片 を構成している氷結晶の形, 大きさ, 結晶軸方位について説明する. ま た, 試験温度一10 OC, 負荷速度KI ==; O. 8 '"" 1. 0 x 1 0 4 k P a J而/sの条件下で実 施した両氷試験片の破壊じん性値に及ぼす負荷速度の影響ならびに試験 片寸法の影響について述べ, 他研究者の結果との比較 ・ 検討を行う. そ の後, 氷試験片の破壊じん性値のバラツキならびに最弱リンク説に基づ いた敏壊じん性値の寸法効果について述べる. さらに, 各種断面寸法の 氷試験片の破断面レプリカ観察を行い, き裂の発生と進展状況, ポッフ0
・ インなどについて示し, 低負荷速度領域の試験で特に認められる特異 な破断面についてその発生メカニズムを考察する.
第4輩では, 第3章で述べた粗大結晶氷ならびに柱状多結晶氷の試験 片で得られた破壊じん性値について, その負荷速度効果の数式化を試み る. これは, これまで議論されていない低負荷速度領域と高負荷速度領 域での破壊じん性値の関連性に着目したものである. まず, 断面す法25 25mmの粗大結晶氷試験片について, 任意の破壊確率における破壊じん 性値を用いた数式化を行い, 次いで氷の種類ならびに断面寸法の異なる 数種の氷試験片の破壊じん性値を用いた数式化を試みる.
11
第5章では, 粗大結品氷と柱状多結品氷の試験片で得られた破壊じん 性値に及ぼす試験温度の影響について, 試験温度 -5 ,..___ -50 oc , 負荷速度 氏I==:0.7'-""'3.5x 103 kPaJ而'S の純聞で実施した結果をえßべると共に, 柱 状多結品氷試験片から採取した破断面レプリカを用いた破断面観察の結 果を述べる. さらに, 柱状多結品氷試験片を用いたき裂の発生箇所と状 況について述べ, 特に低負何速度領域での試験で日視により認められた 切欠き前面での部分的破壊(ポッフ0・ イン〉について, ポップ・ イン発 生時の破壊じん性値ならびにポップ・ インの進行方向と結晶軸方位との
関わりについて述べる.
第6章では, 柱状多結品氷を用いた氷試験片の発するA Eの基礎的研 究の結果として, 平滑試験片と切欠き試験片とのA E発生数の差異, 氷 試験片司1のポップ・ インと^ E振l陥の関係, 氷試験片での八Eのカイザ ー効果, 平滑試験片の曲げ強さとA E累積計数の関係ならびにA E計測
結果からの氷試験片の曲げ強さ予知の可能性について述べる.
第7章では, 単結晶氷の破壊じん性値に及ぼす結晶刺l方位の影響につ いて述べている. まず, 単結品氷の製造方法ならびに切欠き面と結晶軸 方位のなす角度の異なる4種類の単結晶氷試験片の製作方法について述 べる. これら単結晶氷試験片の切欠き形成は, 他の氷試験片の場合のカ ミソリ刃埋込みとは異なり, カミソリ刃圧入という方法をとったので,
切欠き形成方法の差異による氷の強度への影響を述べる. その後, 単結 品氷試験片の破壊じん性値ならびに破断面様相に及ぼす結晶軸方位の影 響について述べ, 単結晶氷の強度から柱状多結品氷の強度を推定し実験
.___
値との比較 ・ 検討を行う
最後に, 第8章では, 本研究の成果のまとめとして総括を述べる.
13
第2章
2. 1 試験装置と計制IJ系
試験の手順
試験は, 全て所定の温度に設定した低調室内で行った. 使用した試験 機は, 図2.1に示す MTS万能試験機 (M TSジャパン製〉で, これ は最大加
振ノJ 10トン, ピストンの最大変位速度 762mm/sで作動可能で, 負街プロ グラムは最大でも誤差がO.日以内で再現性があり, 指示精度は指示値の は以内に校正されている. 負荷速度 の設定は, 試験機ビストンのスパン とその移動時間を調整することで行った. 但し, 本研究の実施に当たっ ての制御方法は, シングルサイクルによる ランフ制御と した. 試験は,
所定の設定温度において3点曲げを中心に行 い, 粗大結晶氷試験片の一 部で4点曲げ試験を実施した.
図2.2に3点曲げ試験装置および計測システムの慨略を示している. 負 何荷重の検出には, 図2.3(a)に示す2種類のステンレス鋼製円形リング
〈荷重換算係数 1. 031 x 10-lkgflμs t ならびに1. 700x 10-lkgflμst) および 図2 . 3(b)に示す2種類のパネ鋼製長円形リング(荷重換算係数 (ばね定数): 1. 571 x 10-2kgflμst (1.90x105N/m)ならびに 5.490x 10-2kgflμst (1. 09x 106N/m )) を 試験の負荷速度 により選定して使用 し, その歪量を動歪計(日本電気三栄製, 6M61)により増幅した. この 信号は, データレ コーダ( TEAC製, MR-30)に記録 し, 周波数特性に応
じてぺンレ コーダ(松下電機製, VP-6361A)あるい は電磁オシログラフ (日本電気三栄製, 5L31)に適当な再生速度で出力した. また, 記録計
の a種であるアナライジングレ コーダ(横河北辰電機製, Mode13655)は,
データ処理能力ならびにグラフ作図能力が優れていることからよく使用 した. ここで, 負荷速度は, 再生した荷 重~時間信号のグラフの傾 きよ
り算出した( 2 5 )
15
図2. I M T S万能試!投機
アナライジンク レコーダ
データレコーダ
電磁オシロクラフ
ぺンレコーダ
図2. 2 3点曲げ試験装置および計測システムの概略
可,t唱EEa-.
...
由dー'---+一一一一一一寸 刀$ N刀$
ーγ:--T一一--'
1
w_I
� 品目 rm�1 [mmJ
t[mmJ
wRING 1 90. 0 1 00. 0 6.0 6.0 5.0 40. 0 RING 2 87. 0 1 00. 0 1 O. 0 6.0 6.5 40. 0
(a)ステンレス鋼製円形リング
N
4同J
� [m m
a ][mmJ
b[mmJ
w[ m m
l ][mmJ
t 1[mmJ
t2BANE 1 15 1. 6 97. 8 39. 7 29. 6 1.6 1. 6 6.0 BANE 2 151. 8 92. 0 55. 0 29. 7 2.0 2.0 6.0
(b)ノ〈ネ鋼製長円形リング
図2.3 ロードセルの形状
2. 2 破壊じん性値とワイブル分布
本研究で使用した氷試験片の切欠きは, 正確に言えばき裂ではないが,
便宜上き裂と同じように抜い, 線形破破力学の下法に従い処理を行った ム回行った氷試験片強度の評価に当たり, 曲げ応力σならびに破壊じ ん性値Kcは, それぞれ次式によって算出した(5 4 ). (5 5 )
-nL
L一hnドt-LUnべυ一円/臼-一σ
(2. 1 )
Kc =σf7[a・f(a/h) (2. 2)
ここで, Pは荷重, aは切欠き深さ, bは試験片厚さ, hは試験片幅, Lは 下部支点間距離である. f(a/h)は試験片形状や負荷様式によって異なる 形状因子であり, 次式のように与えられる.
f(a/h)=AotAl(a/h)tA2(a/h)2tA3(a/h)3tA4(a/h)4 (2.3)
但し, 各々の係数A0 ,.._, A 4の値は負荷様式および試験片寸法により決まり (54),(55), 表2. 1のように表される. また, a/ h値がQ.6以下であれば,
得られるKc値の誤差はQ.2児以下となる.
19
表2. 1 応力拡大係数の形状因子の係数
負荷様式 L/h A 。 AI A 2 A3 A4 4 1 . 090 -1.735 8. 20 一14.18 14. 57 3点曲げ 8 1. 107 -1.552 7. 71 -13.55 14. 25
4点曲げ 1. 122 -1. 40 7. 33 -13.08 14. 0
なお, 高負荷で破壊した場合, 小規模降 伏の条件が満足 されていない
場合も生じている可 能性はある ( 25 ) が, 便3主的に式( 2. 2)に示した線形
�皮城力学の応力拡大係数の計算式を川いて, 試験nの破壊荷量から算出
した値を破壊じん性値Kcとして取り扱った
1. 2節でも述べたが, 式(2. 2) を用いて算出される実験値Kcにはかなり
大きなバラツキを生じる. これは, 氷試験片を 構成する結晶粒子の大き さが試験片寸法に比べて比較的大きく, 従って試験片断面中に含まれる 結品の個数が比較的少ないこと, また個々の結晶粒子のおかれた状態が
異なることにもよると考えられる. このため, 得られた強度の評価に当 たっては, 測定データのバラツキに対する確率的な取り扱いが必要とな
ってくる. ここでは, 材料強度の分野でよく利用されているワイブル分
布{ 5 6ト(58) による取り扱いを進めて行くことにする.
氷の破壊は, 表面や内部に存在する欠陥により生じ, その強度は存在 する欠陥の大きさに依存するから, その破壊確率は最弱リンクの理論に 基づく3母数ワイブル分布関数( 5 6 )ー(58) で表すことができると考えら れる. この関数は, 確率密度関数が式(2. 4)で表され, 分布関数が式(2.
5 ) のようになる.
a f(Kc)
b
。
Kc-C b
a-1
exp {ー(
21
Kc-C a ) }
b Kc孟C I
ト(2. 4)
, Kc < C J
fi'(Kc) = 1 - exp { Kc-C a
b ( 2. 5 )
ここで, aは形状母数, bは尺度母数, cは位置母数であり, 位置母数c=O として取り扱う分布を2母数ワイブル分布という.
筆者らはすでに, 破壊じん性値の分布が2母数ワイブル分布〈母数と して形状母数と尺度母数を考える〉に従うものと仮定して検討した結果 ( 26 )を報告しているが, 本研究ではこの2母数ワイブル分布に加えて3 母数ワイブル分布(形状母数, 尺度母数に加え位置母数を考える)も導 入した統計的取り扱 いを行った. また, 3母数ワイブル分布の母数推定 に当っては様々な推定法( 2 7 ). (5 9 )ー(6 1 )があるが, ここではそれらの中 の相関係数法による母数推定を行った この方法は 3母数ワイブル分 布の母数の中で最も推定の困難な位置母数の推定を相関係数最大の原理 を適用して決定し, 次いで最小自乗法によって残り2つの母数(形状母 数, 尺度母数〉を推定するものである
2. 3 破断面レプリカ採取と薄片作成
氷の破断面を観察する場合, 氷表面の自然昇華によって破断面凹凸の 詳細!な形状がH辛間経過と共に不鮮明になったり, あるいは氷試験片その ものが透明であるため破断面の観察がしにくい等の理由から様々な制約 があった. このため, 筆者らは破断面全体のマクロな観察が可能なレプ リカ材料を種々調査検討した結果, 歯科用印象材のi種であるエグザフ レ ックス(而至歯科工業製)がこの目的に最も適した材料であることが 分かり, 破断面観察に用いている. この材料は, 付加重合型ビニルシリ コーン印象材であり, 低温下で発熱せずに硬化すること(-5 ocで約5時 間) , 硬化による収縮率が約o. 1児と小さく放置による寸法変化がほとん どないこと, 物理的 ・ 化学的に安定であることなど, 氷の破断面のマク ロレプリカ用として有効である. その上, 採取されるレプリカはゴム状 で破損しにくく長期保存が可能で, 必要であればナイフでの切断もやさ しく, 容易にシ ャープなレプリカの断而が得られる. なお, 破断面レプ リカは, 試験片の破断後直ちに両破断面, 場合によっては破断面の片方 について採取した.
破断面レプリカの採取後, 更に切欠き先端直下部分での薄片(厚さ約 1 m m)を製作し, 結晶粒の分布状況などを偏光を通して観察した. この 薄片と破断面レプリカとを照合することによって, き裂発生位置と結晶 粒子との関係やき裂伝播の過程などが, かなり明確に把握できるように なった. さらに, この氷試験片の薄片は, 試験片を構成している結晶粒
の結品軸方位測定にも使用できた
円ぺun/U
この氷薄片の製作作業は lOOC程度の低温室内で行った. すなわち,
水を接着剤としてガラス板に固着させた氷試験片について, 偏光観察に 必要な部分の厚さが1 m m科皮になるように, それ以外の不必要な部分を
ホットプレートを用いて注意深く融解除去することで製作した. なお,
薄片は偏光を通して写真撮影を行うが, 薄片表面の自然昇華などによる 変形を防ぐため, 観察後は-10 oc程度の灯油中に保存した.
2. 4 結晶軸方位測定
2. 4. 1 エッチピット法による方位測定
大気中に放置された氷は絶えず腐食作用を受け, その表面からゆっく りとした自然昇華を起こしている. 樋口( 6 2 )が用いたエッチピット法は,
氷表面を微小な穴を持つレフリカフィルムで覆い, その微小穴からの井 草によってできるエッチピットの形状から氷の結品車111万位を決定するも のである. この方法は, 容易にしかも比較的精度良い計測ができる等の 理由から, 本研究においてもよく利則した. レプリカフィルムとして必 要な条件は, ①氷に対する溶解性がないこと, ②微小な穴が散在してい て, その穴を通して氷分子の昇華ができることなどが挙げられる. 実際 に用いたレプリカ溶液は二塩化エチレンにポリビニルホルマールを溶か
し, l,..._, 5 w t児の濃度にしたものである. 氷薄片の表面にこのレプリカ溶
液を塗布すると, 溶媒の二境化エチレンが気化し薄いフィルムが薄片の 表面に残る. このフィルムに存在する微小な穴を通して氷が昇華するに 連れて, 氷薄片の表面にはエッチピットが生じ, それは氷の結晶軸方位 をくっきりと表すように発達していく.
図2.4に氷薄片上に現れるエッチピットの幾何学的形状( 62) を示す.
同図中央にある六角柱は氷の結晶を示す模式図で, aおよびcの矢印は それぞれ氷結晶の a軸およびc軸(結晶主軸〉の方向を示す. エッチピ ットの形状は, 六角柱を試料表面(図では点線で表された面〉によって 切り取られた部分に一致することが分かつており, c軸の傾き角ならび にc軸を中心とした回転角に応じて, 同図中のI""""'VIに示すような形状
Fhiu n/“
のエッチピットが試料表面に現れる(6 2ト(64 ) 図2.5は,
筆者らが実際
に観察した, 図2.4のI,..__,VIに対応する典型的なエッチピットの写真であ
る. また, 本研究ではI,..__,切のエッチピ ット形状について 1を六角形 ピット Dを五角形ピット, 凹とVを長方形ピット, rvを三角形ピット,
VIを台形ピットと呼ぶことにする
C
E
図2.4 結晶面に現れるエッチピットの幾何学的形状
27
( a) 1型 六角形 ( b) rr型 五角形
(c) m型 長方形 ( d ) rv型 三角形
(e) V型 長方形 ( f) VI型 台形
図2.5 観察された各種形状のエッチピット( x 270)
2. 4. 2 干渉色法による方位測定
氷の薄片を偏光装置を通して観察すると, 薄片内のそれぞれの結晶粒
子の干渉色が現れる. 図2.6 は, 本研究に用いた偏光装置の断面を示す.
二枚の偏光板の間に氷の薄片を挿入すると干渉色が現れ, 図2.7に示すよ うな干渉色図表(65 ). (6 6 ) を用いて, それぞれの干渉色に対応するレタ
デーシ ョ ンRを求めることができる. このレタデーシ ョ ンRは, 図2.8に
示すように厚さt, C軸 とθを成す方向における複屈折率が(02-01)であ る薄片に光が入射したとき, この光が2つの偏光に分岐し, 速度の遅い
方の光が薄片を出たときに速度の速い方の光が先に進んでいる距離のこ
とを言う 01 および02は, 図2.8に示すように結晶主軸(C軸) と0だけ
傾いた方向での, 正常光および異常光の屈折率である. このレタデーシ
ョ ンRには, 次式 のような関係がある(6 5 ). (6 6 )
R = t (n 2- n l) (2. 6)
R値を干渉色図表より求めると, この式(2. 6)から(02-01)の値を求める
ことができる. また, 図2.8に示した氷の主屈折率ω, εとn 1, n 2の聞 には, 次のような関係がある
n 1 - αj
αJ ε ( 2. 7)
n 2
(ω2si02e +ε2COS2θ) 1/2
29
ここでω, εはそれぞれ1.3 091, 1. 3104 (波長え=589.3nm) (67), (68)
であるから, これらの値と式(2. 7) を用いることにより, θの値を決定で
きる.
!κ�i ωN←
i 人Jイi
112 315
載物台
偏光板 ωめN
源 光
偏光装置の断面図 図2.6
31
、町 E 鋼、,
・・-
2500
2000
図2.7 干渉色図表
噌〈
e、a
c-axls
( y )
( x )
lass plate
トト!↑ì 1 1 ì↑ト
polarized l ight
図2.8 氷薄片でのc軸とn 1, n 2との関係 (円ωと楕円ε は, 屈折率曲面)
円ぺUnべU
2. 4. 3 ユニバーサルステージ法による方位測定
干渉色を利用して氷薄片の結晶軸方位を観察する際, 図2.9に示すよう な4 IPIUユニバーサルステージ ( 仁l 征凶l伝台) (51). (6-1)ー(66). �69) を用 いる方法により, 結晶主軸方位(θ値〉の測定を行うことができる. こ れは, あらかじめ2枚の偏光板を所定の振動方向のもとで消光位状態に 設定し, それらの聞にユニバーサルステージを置き, 氷薄片を立体的に 種々の方向に回転ならびに傾斜させることで, 偏光板の振動方向と氷薄 片の持つ振動方向を一致させるという方法により, 結晶主軸の傾き角 ( e値〉を求めるものである.
般に, 薄片を傾けた場合における光の屈折を軽減するために, 薄片 の上下をガラス製半球で覆って使用するが, 本研究ではガラス製半球は 使用していない. この場合, 図2. 1 0に示すように観察された傾き角Oは 見かけ上の傾き角度となり, Eで示される角度だけの補正を必要とする
( 67 ). (6 9 )
図2. 1 1に, ユニバーサルステージによる傾き角度の補正曲線を示す.
結晶主軸の傾き角測定には, ステージの極からの角度を測定する方法 (Standing axis up)と, ステージ赤道面からの角度を測定する方法 (laying axis down)の2通りがある. 各方法による角度の測定可能な
範囲は, ステージの極からみた補正済みの角度で, それぞれ O豆θ壬490 45'および25。 壬θ豆900であり, 傾き角。が250�49045'の間ではどちら の方法でも測定できる(69)
図2.9 4軸ユニバーサルステージ外観
T : True angle 0: Observed angle E : Difference
optic angle
Polarized light
薄片内外における光の進行経過
Laying axis down (Empirical, Aft�r Rigsby) 図2. 10
80
50 60
40 30 20 10 90
70 (σω℃
) むσ 5ω一司ω」む〉一CコCO
℃φ」コの4AUε29」《
50 60 70 (deg) 20 30 40
了rue
10
0 0
angle
ユニバーサルステージによる傾き角度の補正曲線
図2. 1 1
2. 4. 4 各方位測定方法の比較 ・ 検討
ここでは, これまでに述べたエッチピット法, 干渉色法, ユニバーサ ルステージ法の3法での付lT1宅'lilli ( C市111 )方位測定結果の比較と最も測 定に有効な方法の検討を行う. ユニバーサルステージ法での測定が最も 精度のよい結果が得られるが, その測定には2枚の偏光板(ポラライザ,
アナライザ〉の振動方向の調整ならびにステージの使用にはかなり注意 が必要である. そこで, 氷結品と同じく六方品系をなす結晶の一つであ る水晶について, 結晶判l方位が既知の薄片を用いて十分な練習を行い,
2'""3。 以下の精度での測定が可能になった後, 実際の測定を行った.
表2.2に, 上述の3法による測定結果を示す. 比較に用いた氷薄片の枚 数が9枚と少ないが, 検討するには十分であった. 即ち, ユニバーサル ステージ法により得られた結晶主軸方位の角度に対して, エッチピット 法での測定角度は比較的良い一致を示すが, 干渉色法での測定角度は半 数ほどは良い一致を示すのに対して, 一部でことのほか一致の悪いもの がある. これは, 干渉色法では氷薄片を2枚の偏光板の間に平行に姉入 し, その際の干渉色を観察するが, 偶然にも氷薄片の結晶軸方位が偏光 板の振動方向に対して消光位あるいはそれに近い場合, 干渉色が黒っぱ い色となる. このとき, 算出される角度としては, ほとんどO。あるいは それに近い角度となり, 表2.2のような結果が得られることがある.
また, ユニバーサルステージ法では精度よい測定ができるが, 今回使 用した偏光板およびステージの寸法が小さいことから, 測定に使用でき る氷薄片の寸法は約30mm角以内であった. 方, エッチピット法は氷表
円tt円ペU
面での観察を行うため, 薄片にする必要がないこと, 比較的広い面の観 察が容易にできること, 測定方法も容易であり比較的精度のよい結果が 得られることなどの理由から, 本研究では結品車111方位の測定としては主 にエッチピット法を, また氷薄片の結晶粒子観察には偏光板を用いた
渉色法を使用することにした.
表2.2 氷の結晶車rJl方位測定における3法比較結果
サン70)レ 工'ïf t。 γ ト法 干渉色法 ユニハーーサルステーγ法 No. θ巴(deg) θI (deg) 。U (deg)
32 34 � 37 3 1
2 20 33 � 38 36
3 70 1 0 55
4 62 5 2 � 57 59
5 66 62 � 66 59
6 7 1 5 8 � 64 7 1
7 90 o � 1 2 78
8 90 71 � 78 90
9 90 63 � 69 90
39
第3章 粗大結晶氷および柱状多結品氷試験片の一般性質
3. 1 緒 日
純氷の破壊じん性値に関する研究は, これまでにも様々な研究者によ り行われている. fjUぇば‘, H.W.Liu and L.W.C.Loop(1972(2),1974(3)) ,
H.W.Liu and K.J.Miller(1979)(15), K.J.Miller(1979(16),1984(17))は コンパク卜引張試験, D.J.Goodman and D.Tabor(1978)(6)は, 三点 ・ 四 点曲げ試験ならびにインデンテーシ ョ ン試験 日. Hamza and D. B.
Muggeridge( 1979) < 9), 浦辺(1981)(11), N.Urabe and A.Yoshitake (1981)(12) は三点曲げ試験, D.J.Goodman(1979(7),1980<8)), G.W.
Timco and R. M. W. Frederking(1982) (10)は 四 点曲げ試験により実施して おり, 純氷の破壊じん性値に及ぼす負荷速度, 試験温度, 結晶粒径など の影響について報告している. また, B.Michel(1978)<19)らは, さまざ まな種類の氷の強度 ・ 破壊挙動ならびに強度に及ぼす各種因子の影響に ついて, 他研究者らの結果も合わせて評価している.
ところが, これまでに試験された負荷速度は比較的狭い範囲内に限っ たものがほとんどであって, これらの報告によると純氷の破壊じん性値 は負荷速度の増加と共に単調に減少するとされており, この点について は定説化した感があった. 一方, 筆者らは従来の報告よりも広範囲の負
荷速度領域(氏I担O.8"'-'l.Ox 10-1 kPaJ而IS )での実験を通して, 純氷の 破壊じん性値に対する負荷速度, 試験温度, 試験片厚さならびに結晶軸
方位の影響(2 5ト( 2 9 ). (5 1 ) についての問題に検討を加えてきたところ,
これまでの結果には幾らか見直しの余地があることがわかってきた. 実 験に使用した純氷は, 粗大結品氷, 柱状多結品氷ならびに単結品氷の3 種類であり, それらの氷に人工切欠きを付けて氷試験片とした.
破壊じん性値に及ぼす試験温度の影響については, 第5章で詳細に説 明を行う. この章では粗大結品氷と柱状多結晶氷による断面寸法の異な る数種類の氷試験片を製作し, 試験温度 - 1 0 oc , 広い負荷速度範囲で得 られた破壊じん性値に及ぼす負荷速度の影響について詳説し, 他研究者 の結果との比較 ・ 検討を行う. ここでの問題のーっとして, 試験データ すなわち破壊じん性値のバラツキがある. この原因としては, 氷試験片 を構成している氷結品粒径が比較的大きいことにより, 小断面寸法の試 験片においては, 切欠き先端部分に存在する結晶粒数が少ないことなど が考えられる. この解決には, 断面寸法特に試験片厚さの大きな氷試験 片による検討が必要で, この章では断面寸法が200x 50mmの柱状多結晶
氷試験片を使用した結果についても述べる.
さらに, 各種断面寸法の氷試験片の破断面レプリカ観察を行い, 破壊 の状況やき裂の発生状況, ポッフ0 ・ インなどについて示し, 低負荷速度
領域の試験で認められる特異な破断面について簡単に説明する.
- 41
3. 2 氷試験片の製作および結晶軸方位分布
図3. 1は, 本研究で使用した粗大結晶氷試験片〈以下LGI試験片〉およ び位状多結品氷試験片(以下CGI試験片〉の製造装置概略図である 」ー} の装置は, 約一200Cのフリーザ内に設置しているが, 試験片内部に発生す る気泡の数を抑えた透明な氷を製造するために, 氷製造用容器の上面を
ヒータで加熱し, 側面からの凍結を防ぐために容器側面を断熱材で囲み,
底面はアルミ板として容器の下方からのみ低温空気によって冷却される ようにしたもので, 容器内の蒸留水を底面から上向きに一方向の凍結が
進むように工夫している.
LGI試験片の場合は, 蒸留水を氷製造用容器に注入し, その中にアクリ ル樹脂製の試験片枠をセッ卜した状態で, 容器底面から上方向に凍結さ せて作った氷であって, 筆者らが「放置凍結法J (25)と11子んでいる製氷 方法である. CG 1試験片の場合は「種氷法J (26) と呼ぶ方法により製氷 した. すなわち - 1 OOCの低温室内で市販の氷かき器で氷を削り, ふるい にかけ粒径約2mm以下の氷粒だけを集めて種氷とする. これを-10oCに冷 却した試験片製造用容器の底面に約5 mm程度の厚さに敷き詰め, さらに 霧吹きでo oCの蒸留水をその種氷が透明になるまでまんべんなく散布し,
完全に凍結するまで低温室内に放置する. その後, 0 oCの蒸留水を静か に注入し, その中にアクリル樹脂製の試験片枠をセットした状態で, 容 器の底面から上向きに凍結させた. この方法で, 両試験片ともほとんど 気泡を含まない透明な氷を製造することができ た.
①111
①Insulation
④Al plate
⑦Heater
① 111の|
①Distilled water③Case
⑤Seeding ice ⑥Cover
川3. 1 LG 1およびCGr試験片の製造装置概略図
43
。C
� : てiザ
4U 4L-d = 3 e 3o き
1-
くD
氷試験片の成形 ・ 加工は, 主にホ ットプレート等の加熱器を利用して,
試験片として不必要な部分を融解除去する方法をとった
一般には, 金属材料などを用いて行われる破壊試験では, 予き裂とし て疲労き裂が常用される. しかし, 氷はセラミ ックス材料などと同じく ぜい性的挙動を示し, 疲労き裂を作るのが難しい. そこで, 本研究の実 施に当たり, LG 1試験片およびCGI試験片においては便宜的に鋭い切欠き を用いることとし, 次のようにして製作した すなわち, 厚さ O.1 m m ,
先端角度11。 のカミソリ刃を所定の切欠き深さになるように, あらかじ め試験片の製造過程で埋め込み, そのまま凍結させて試験直前に抜き取 ることによって切欠きとした. 本研究では様々な断面寸法の氷試験片を 使用しているが, 各々の氷試験片の切欠き深さと試験片幅の比は約0.4 と一定になるようにカミソリ刃の埋め込み量を設定している. 氷試験片 の厚さおよびl隔の寸法が大きくなるとカミソリ刃の抜き取りが困難にな る. これを容易にするために, 厚さが200mmの試験片についてはカミソ リ刃の刃先約5mmを残して, 刃の両面にそれぞれ厚さO. 4mmのビニルシー トを張り付けて埋め込んだ. 図3.2は, カミソリ刃抜き取り後の氷試験片 切欠きの形状および寸法を表す模式図であり, 同図(a)が試験片厚さ25 mmおよび 50mrnの試験片の場合で, (b)が試験片厚さ200mmの場合を示し ている. 200rnrn厚さの氷試験片の場合, I幅lmmの矩形切欠きの先端に深さ 約5mm のカミソリ刃型切欠きができている. なお, 刃を抜き取る際には 無理な力が掛からないように注意して行うが, 刃を抜きにくいものにつ いては厚さO.34mmの薄刃のノコギリで刃の片面あるいは両面に沿って深
さ10mm程度の切込みを入れてから抜き取った. このため, この部分は切 欠きの溝l隔が多少大きくなっており, 試験片断面寸法が50x 50mmの試験 片では約0.8mm , 200 x 50mmの試験片では約1. 5 m mであった.
図3.3に, 本研究で用いた しGI試験片およびCGI試験片の形状および寸 法を示す. LG 1については 25x 25mmLG 1試験片 と 50x50mmLGI試験片の 2種類, CG 1については 25x 50mmCGI試験片, 50x50mmCGI試験片および 200 x 50mmCGI試験片の3種類の合計5種類を使用した. なお, カミソリ
刃の抜き取りは試験片の成形後, 成形等による残留応力の除去のため試 験予定温度(本章では - 1 OOC )の灯油中に24時間以上保存した 後, 曲げ 試験直前に行った. 氷試験片の保存に際して灯油を用いた理由は, 氷試 験片が直接空気に触れることによる昇華 ・ 変形を防ぐためである.
本研究においては, 偏光写真を利用して氷試験片を構成する結晶粒子 の形状を調べた. これは, 2枚の偏光板の聞に厚さ約1 mmの薄片を挿入 し, 白色光により写真撮影するものである. 図3.4および図3.5は, それ ぞれLGI試験片とCGI試験片についてその一部の薄片写真であり, 同図(a) が氷試験片水平断面で氷の凍結方向に対して垂直に採取した薄片, 同図 (b)が氷試験片垂直断面で氷の凍結方向を含むように採取した薄片の代表
的な偏光写真である. なお, 氷結晶の成長方向は, 同図(b)において下か ら上方向である.
LGI試験片の場合, 本研究に使用した試験片の約半数が図3.4に示すよ うな氷結品であって, 結品主軸(c車rh )が氷の凍結方向とほぼ一致した 粗大な結晶粒を有する氷であった. この場合, 個々の結晶粒を把握する
45
ことさえ難しいが, その粒径は約;) mmから40mmの範囲にあり, 平均する と約20mm程度であった. 残りの試験片は, 水平断面でみた個々の結晶粒 面積がかなり大きく, しかもかなり鋭い結晶粒界を持つ多結晶氷であっ た. CG 1試験片の場合, 図3.5にみられるように個々の結品粒は比較的丸 みを帯びた多数の柱状氷により構成されており, 氷の凍結初期では結晶 粒径が小さく, 凍結と共に大きく成長している. 切欠き先端部分での結 晶粒径は3 mmから9 mmの範囲にあり, 平均すると約5 mm程度であった
また, CG 1試験片を構成する柱状氷のC軸方位は, エッチピット法(6 2 ) による測定の結果, 図3.6に示すように氷の凍結方向に対して600 �90。
に多く分布していた.
」
o
ぐ刈
、-
0
。
J1_0.1
(a) 試験片厚さが25mmおよび50mmの試験片の場合
ぱ3
マー・・・
m m
( b ) 試験片厚さが200mmの試験片の場合
図3. 2 氷試験片切欠きの形状および寸法(単位: mm)
47
i戸\
\ )
E
4ι0.1
氷試験片の種類 L [mmJ b [mmJ h [m m ] a [mmJ 25 x 25mmLG 1 200 25 25
50 x 50mmLGI 200 50 50 25 x 50mmCGI 200 25 50
50 x 50mmCGI 200 50 50
200 x 50mmCGI 200 200 50 LG 1 :粗大結晶氷, CG 1 :柱状多結品氷
1 0
20 20
20 20
図3. 3 LG 1試験片およびCGI試験片の形状および寸法
( a)水平断面(氷の凍結方向に垂直〉 (b)垂直断面(氷の凍結方向を含む〉
図3. 4 LG 1試験片の薄片偏光写真
(a)水平断面(氷の凍結方向に垂直〉 (b)垂直断面(氷の凍結方向を含む〉
図3. 5 CG 1試験片の薄片偏光写真
49
f由、
、、、。
。
、、_,
〉、υ c
<1J
30
20
810
ClJ LL .._
。。
図3.6
10 20 30
60
7080
90。
(deg)ccr試験片を構成する柱状氷のC軸方位頻度分布 (水平断面薄片, エッチピット法による測定)
3. 3 試験方法
試験装置は第2章に述べた通りであり, 試験は低温室内でMTS万能 試験機を用いて3点山げ試験により行った. 下支点間距離と試験片l隔と の比は 25x 25mmLGI試験片の場合が8, それ以外の試験片の場合が4と し, 荷重は氷結晶の成長方向に負荷した. また, 高負荷で破壊した場合,
小規模降伏の条件が満足されない場合も生じている可能性はあるが, 便 宜的に線形破壊力学の応力拡大係数の計算式(5 4 ). (5 5 )を用い, 試験片 破断時の最大荷重から求めた値を破壊じん性値Kcとした. 荷重の検出に は, 円形のステンレス製ロードセル(荷重換算係数: 1. 031 x 10-1 kgf/
μst)および長円形のばね鋼製ロードセル(荷重換算係数(ばね定数) : 1. 571 x 10-2kgf/μst (1. 90 x 105N/m)ならびに 5.490x 10-2kgf/μst (1. 09x 106N/m))を用いた. 試験温度は全て - 10 ocとし, 負荷速度氏Iは
約O. 8"""' 1. 0 x 104 k P aJ而/s の広い範囲で変化させて, 破壊じん性値および
得られた破断面様相に及ぼす負荷速度の影響ならびに試験片寸法の影響 について調査した. また, 得られた試験データのバラツキおよび試験片
寸法効果についても検討を加えている.
試験片の破断後, 切欠き先端直下部分の薄片を作り結晶粒を偏光板を 通して観察した. 一方, 破断面のマクロなレフリカも採取して, これら により破壊発生位置とその発生状況についても検討を行った.
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3. 4 破壊じん性値の負荷速度依存性
表3.1および表3.2は, この章で対象とした LGI試験片ならびにCGI試験 片の試験溜度- 1 OOCにおける一連の試験結果を示している. 同表の左から 第2列は負荷速度, 第3列~第5列はそれぞれ得られた破壊じん性値の
最大値, 最小値および中央値(累積破壊確率50唱での値) , 第6列は破壊 じん性値のバラツキを示す変動係数(Coefficient of Variation) , 第
7列は使用した試験本数である
図3.7(a)は, 25 x 25mmLGI試験片 における破壊じん性値の負荷速度依存 性を示す. 試験に用いた 本数は, 各々の負荷速度K1に対して30本前後で あるが, 同図 には得られた破壊じん性値の 最大値, 中央値および最小値 をそれぞれ示している. この図から, 最大値K1� 1 00 k P aJ而/s付近を境と して大きな段差が存在することが分かる. このことは, 低負荷速度領域 では切欠き底での塑性域寸法が大きくなって小規模降伏の条件を満足し なくなり, そのため に見かけ上大きめの破壊じん性値(K c値〉が得られ たものと考えられる.
中央値は, Kr = 1 0 '"" 1 0 0 k P a J而/s付近 に遷移領域がみられるが, その領 域以上の負荷速度領域ではほとんど一定で, Kc=90'"" 96kPaJ而であった.
最小値は, 多少のバラツキはあるもののK1= 1 0 '"" 1 0 0 k P a J而/sの中間部 付近からそれ以上の高負荷速度領域では, Kc値は狭いバンド(Kc=65'""
77 kPaJ而〉内 に納まっていて, 負荷速度の影響はほとんど無視してよい.
ここで, 最小値のバンド内で破壊する 25x 25mmLGI試験片は 30個のサン プル中では1,.___, 3個と少数であるのに対し, 中央値付近では同程度のバン
ド幅::t 6kPaJ而の中で10本前後の破壊が生ずるのが普通であった.
図3.7Cb)は, 50x50mmLGI試験片における破壊じん性値の負荷速度依存
性をまとめたものである. 25x25mm しG I試験片でみられた破壊じん性値の
大きなバラツキは著しく減少しており, 特に最大値の減少が目立ち, そ
れに伴い中央値も減少していることが分かる. この減少の原因は, 試験
片寸法の増大によって弱い状態に置かれた結晶粒子を含む確率が高くな
ったことのほか, 先に述べたように 25x 25mmLGI試験片のように寸法が
小さい試験片の場合に, 切欠き底での降伏域寸法が大きくなり見かけ上 の破壊じん性値が大きかった事にもよるものと考えられる. 同図による と, 25 x 25mmLGI試験片の場合と同様に負荷速度が約10'"" 100kPaJ而/s に
遷移領域があり, それ以上の高負荷速度領域では破壊じん性値は負荷速 度の影響をほとんど受けないことがわかる. また, 下限値は Kc二75'""86 kPaJ而にあり, 25 x 25mmLGI試験片の最小値のバンド内あるいはバンドの
上部付近に位置していた.
円ペUFhd
表3.1 LGI試験片の実験結果(試験温度 一100C )
Kr Kc ( kPaJ而) c. o. v. T. P.
Specimens of Kc slze
(k P aJ而/s) max mln 50児 (児)
1. 62 297 79. 0 160 33. 5 29
2. 63 283 94. 6 169 29. 9 3 1
13. 3 293 88. 6 160 28. 7 3 1
17. 2 278 68. 8 142 36. 1 30
70. 8 304 66. 5 1 06 45. 5 34
25x25mrn 132. 0 166 75. 9 94. 5 27. 7 31
LGI 152. 5 169 69. 0 96. 0 23. 7 36
178 182 76. 0 93. 5 26. 6 27
1. 6x103 1 6 1 67. 0 93. 0 21. 8 33 1.7x103 130 76. 9 95. 6 24. 6 30 1.8x103 162 65. 0 92. 5 19. 4 36 3. 0x103 159 67. 0 90. 0 18. 2 30
2. 80 149 94. 7 124 14. 5 1 0
4. 08 166 75. 0 132 22. 7 11
17. 3 132 83. 8 1 1 7 15. 6 7
50x50mm
24. 4 1 1 1 83. 0 1 0 1 39. 0 6
LGI
65. 3 146 86. 6 1 00 16. 7 1 0
884 99. 5 75. 2 83. 8 9. 7 7
2. 7x 103 98. 3 83. 3 90. 2 6. 1 7
表3. 2 CC 1試験片の実験結果(試験調度 - I OOC )
iくI Kc ( k PaJ而) C. O. V. T. P.
Specimens of Kc Sl ze
(kP aJ而/S) max mln 50% (%)
0.8 26 1 96. 5 1 28 34. 5 20
1 . 6 257 73. 9 1 38 33. 9 1 7
34. 7 1 83 82. 0 1 1 2 25. 4 1 6 25 x 50回目 55. 3 178 65. 5 86. 2 32. 2 15
ccr 1 00 1 03 73. 2 88. 1 1 2. 4 1 5
29 1 97. 9 82. 3 90. 1 6.0 15
1.3x 1 03 113 76. 7 96. 0 9.4 15 2. 7x 1 03 1 0 1 8 1 . 6 86. 3 5.8 1 5
O. 77 1 46 8 1 . 2 1 03 20. 2 10
3. 1 163 78. 5 94. 4 20. 7 20
3.6 1 43 8 1 . 6 1 05 1 8. 0 1 1
7.3 1 03 82. 9 88. 8 1 3. 6 1 0
2 1 . 4 1 1 4 7 1 . 4 9 1 . 5 1 5. 9 1 0
50 x 50mm
36. 1 1 1 5 73. 6 86. 1 1 3. 9 1 1
ccr 55. 1 96. 0 70. 9 76. 9 22. 3 1 1
205 96. 7 75. 3 85. 8 6.9 20
233 95. 3 78. 3 89. 6 5.6 1 2
980 95. 5 74. 3 8 1 . 7 7.9 1 0
3.6x103 9 1. 3 76. 2 82. 6 6.7 9
0.9 107 82. 9 96. 4 9. 9 6
3. 7 108 79. 5 92. 9 g. 9 6
34. 4 9 1 . 5 73. 8 77. 4 8.8 6
200 x 50mm 338 85. 0 78. 4 82. 9 3.2 6 ccr 1.8x103 85. 2 78. 0 83. 4 3.0 7 3.3x 1 03 84. 9 79. 0 80. 1 3. 9 3 6.0x103 88. 8 80. 9 84. 4 4.7 3 9.4x103 83. 8 74. 6 82. 7 6. 2 3
Fhlu 「円υ