• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 北 村 信 人

 Biomechanical Comparisons of Three Posterior Cruciate          Ligament Reconstruction Procedures with Load‑controlled and Displacement‑controlled Cyclic Tests

(荷重制御および変位制御繰り返し負荷試験を利用した    膝 後 十 字 靱 帯 再 建 術 3 術 式 の 生 体 力 学 的 比 較 )

学位論文内容の要旨

  膝後十 字靭帯再建術の基本的臨床成績は未だ満足のいくものではない。そのため、これ までに様 カな手術手技が報告され、また実際に種々の手技が行われている。しかしそれら を生体力 学的に比較した研究は極めて少ない。我々は過去の一連の研究においてヒト膝関 節と形態 が類似しているブタ膝関節を用いた膝十字靭帯再建モデルとそのカ学的評価のた めの繰り 返し負荷試験法を確立させ、膝十字靭帯再建術の生体力学的評価を行ってきた。

本研究の 目的は、臨床において実際に行われている膝後十字靭帯再建術3術式を、荷重制 御およぴ 変位制御による繰り返し負荷試験を用いて生体力学的に比較することである。

  実験に は前述したブタ膝関節モデルを用い、幅1 0mmの骨付き膝蓋腱(以下BTB)と、

断面積を14およぴ7 mm゜に調整した2本のブタ深指屈筋腱を、それぞれヒトの骨付き膝 蓋 腱と 膝屈 筋腱 の 代用 材料 とし た。45膝 関節 を無 作為に15膝ずつ3群に分け、以下に 示す膝後 十字靭帯再建術を行った。A群は鏡視下一皮切手技で再建を行なうために開発さ れた屈筋 腱一エンドボタン術式である。この術式では二重折りにした2本の深指屈筋腱を 大腿骨側 は2本のポリエステル糸とエ ンドボタンを用いて固定し、脛骨側は4本のポリエ ス テル 糸で スク リ ュー ポス トに 固定 した 。B群 は最 も標 準的 なBTBの 両端 を 骨孔内で interference screwにて固定する術式である。C群はBTBの骨片を脛骨後面の後十字靭帯 脛骨付着 部に作成した骨溝にはめ込んで皮質骨スクリューで固定し、大腿骨側は骨片を骨 孔内でinterference screwで固定するいわゆるBT13‑一inlay法である。各群に対してそれ ぞれ膝後 十字靭帯再建術を行ったのち、各大腿骨一移植材料一脛骨複合体を摘出し、膝9 0度屈曲位で万能試験機に固定し、関 節に摺動型変位計を取り付けた。45膝を無作為に 15膝ず つ3群 に分 け、 各群 に対 して それ ぞれ 術 式A、B、 およ びCを用 いて 膝 後十字靭 帯 再建 術を 行っ た 。前 処置に続いて8 9Nの静的後方荷重を2分間与えた後、各群の5膝 に は3 mmの 一定 の 後方 剪断 変位 を5000回 加え て荷 重の 変化 を経 時的 に測 定 し、別の 5膝 に は2 5N'‑‑8 9Nの 一 定 の 荷 重 を5000回 加 え て 変位 の変 化を 経 時的 に測 定し 、 その後に 破断試験を行った。残りの5膝には繰り返し負荷を加えずに破断試験を行った。

各群の比 較には多重比較を考慮した分散分析を用いた。

  結果を 以下に述べる。荷重制御繰り返し負荷試験では、いずれの群においてもPeak変 位 は 最 初 の1000回 で 著 明 に 増 加 し 、 そ の 後 も 徐 々 に 増 加 を 示 し た 。5000回 目 の Peak変 位を 比較 す ると 、A群は 他の 全て の群 よ り有意に大きか った。一方、B群とC群 との間に は有意差は認められなかった。変位制御繰り返し負荷試験では、いずれの群にお

550

(2)

い て もPeak荷 重 は 最 初の1000回 で著 明に 減少 し、 その 後も 徐々 に低 下を 示し た。5 000回 目 のPeak荷 重 を 比較 する と、A群は 他の 全て の群 より 有意 に低 かっ た。 またB 群はC群より有意に低かった。

  最大破断荷重は、いずれの群においても繰り返し負荷試験によって有意の変化を示さな かっ た。 最大 破断 荷重 は、B群およびC群間には有意差を認めなかったが、A群は他の2 群に比べて有意に低い値を示した。10N荷重による初期変位量は、いずれ の群において も荷重制御繰り返し負荷試験によって有意の増加を示したが、変位制御繰り返し負荷試験 によっては有意の変化を示さなかった。線形 剛性値は、A群およびB群において荷重制御 繰り 返し 負荷 試験 によ り有 意の 増 加を 示し たが 、C群は有意の変化を示さなかった。

  本研究は、いずれの再建術に対しても繰り返し負荷試験は後十字靭帯再建膝の生体力学 的特性に重大な影響を与えることを示した。したがっていずれの膝後十字靭帯再建術後に おいても、これらの負荷を避けた後療法を行うことが必要であると考えられた。術式問の 比較 にお いて 、屈 筋腱 ―エン ドボタン術式は繰り返し負荷の影響を最も大きく受け、

BTB*inlay法は生 体力学的見地において他の全ての術式より優れていることを示した。し かしながら、この評価がそのまま臨床におけ る有用性を示すものではない。本研究はin vitroの評価であり、移植腱が骨孔内で固着される以前の評価である。臨床における価値は、

いうまでもなく、臨床成績を含む多くの要素によって決まるものである。しかし本研究の 結果が示す各術式の基本的な生体力学的特性の差を知ることは各術式の後療法の決定など に重要であると考えられた。

‑ 551

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

 Biomechanical Comparisons of Three Posterior Cruciate          Ligament Reconstruction Procedures with Load‑controlled and Displacement‑controlled Cyclic Tests

( 荷 重 制 御 お よ び 変 位 制 御 繰 り 返 し 負 荷 試 験 を 利 用 し た   ・ 膝 後 十 字 靱 帯 再 建 術 3術 式 の 生 体 力 学 的 比 較 )

  膝後十字靭帯(PCL)再建術の基本的臨床成績は未だ満足のいくものではない。そのため、これまで に様々な手術手技が報告され、また実際に種々の手技が行われている。しかしそれらを生体力学的 に比較した研究は極めて少ない。我々は過去の一連の研究においてヒト膝関節と形態が類似してい るプ夕膝関節を用いた膝十字靭帯再建モデルとそのカ学的評価のための繰り返し負荷試験法を確立 させ、膝十字靭帯再建術の生体力学的評価を行ってきた。本研究の目的は、臨床において実際に行 われているPCL再建術3術式を、荷重制御および変位制御による繰り返し負荷試験を用いて生体力学 的に比較することである。

  実 験 に は前 述したブ 夕膝関 節モデル を用い、 幅10mmの骨 付き膝 蓋腱(以 下BTB)と、 断面積を 14および7 mm゜に調 整した2本のブ夕深指屈筋腱を、それぞれヒトの骨付き膝蓋腱と膝屈筋腱の代 用材料 とした。45膝関節 を無作為 に15膝ず つ3群 に分け、 以下に 示すPCL再建術 を行った。A群は 鏡視下一皮切手技で再建を行なうために開発された屈筋腱一工ンドボタン術式である。この術式では 二重折りにした.2本の深指屈筋腱を大腿骨側は2本のポリエステル糸とェンドボタンを用いて固定し、

脛骨側 は4本 のポリエ ステル 糸でスクリューポストに固定した。B群は最も標準的なBTBの両端を骨 孔内でinterference screwにて固 定する 術式であ る。C群はBTBの骨片 を脛骨 後面のPCL脛骨付着 部 に 作 成 し た 骨 溝 に は め 込 ん で 皮 質 骨 ス ク リ ュ ー で 固 定 し 、 大 腿 骨 側 は 骨 片 を 骨 孔 内で interference screwで固 定するいわゆるBTB−inlay法である。各群に対してそれぞれPCL再建術を 行ったのち、各大腿骨一移植材料ー脛骨複合体を摘出し、膝90度屈曲位で万能試験機に固定し、関 節に摺 動型変位 計を取 り付けた 。各群に 対して それぞれ術式A、B、およびCを用いてPCL再建術を 行った 。前処置 に続い て8 9Nの静的 後方荷 重を2分間与え た後、 各群の5膝に は3mmの一定の後方 剪断変 位を5000回加 えて荷 重の変化を経時的に測定し、別の5膝には25N〜89Nの一定の荷重を5000 回加え て変位の 変化を 経時的に測定し、その後に破断試験を行った。残りの5膝には繰り返し負荷     ―552―

諭 則

明  

  和

田 田

三 福

授 授

敦 教

査 査

主 副

(4)

を 加 え ず に 破 断 試 験 を 行 っ た 。 各 群 の 比 較 に は 多 重 比 較 を 考 慮 し た 分 散 分 析 を 用 い た 。   荷重制御繰り返し負荷試験では、いずれの群においてもPeak変位は最初の]000回で著明に増加し、

その後も徐々に増 加を示した。5000回目のPeak変位を比較すると、A群は他の全ての群より有意に 大きかった。一方 、B群とC群との問には有意差は認められなかった。変位制御繰り返し負荷試験で は、いずれの群においてもPeak荷重は最初め1000回で著明に減少し、その後も徐々に低下を示した。

5000回 目のPeak荷重 を比 較す ると、A群は他の全ての群より有意に低かった。またB群はC群より 有意に低かった。

  最大破断荷重は 、いずれの群においても繰り返し負荷試験によって有意の変化を示さなかった。

最 大破断荷重は、B群およびC群間 には有意差を認めなかったが、A群は他の2群に比べて有 意に低 い値を示した。10N荷重による初期変位量は、いずれの群においても荷重制御繰り返し負荷試験によ って有意の増加を 示したが、変位制御繰り返し負荷試験によっては有意の変化を示さなかった。線 形剛性値は、A群およびB群において荷重制御繰り返し負荷試験により有意 の増加を示したが、C群 は有意の変化を示 さなかった。

・本研究は、いず れの再建術に対しても繰り返し負荷試験はPCL再建膝の生体力学的特性に重大な 影響を与えること を示した。したがっていずれのPCL再建術後においても、これらの負荷を避けた 後療法を行うことが必要であると考えられた。術式問の比較において、屈筋腱一工ンドボタン術式は 繰り返し負荷の影響を最も大きく受け、BTB―inlay法は生体力学的見地において他の全ての術式より 優れていることを 示した。しかしながら、この評価がそのまま臨床における有用性を示すものでは ない。本研究はin vitroの評価であり、移植腱が骨孔内で固着される以前の評価である。臨床にお ける価値は、いう までもなく、臨床成績を含む多くの要素によって決まるものである。しかし本研 究の結果が示す各 術式の基本的な生体力学的特性の差を知ることは各術式の後療法の決定などに重 要であると考えら れた。

  口頭発表の後、 副査の福田教授からはBTB7Inlay法がカ学的に優れていた理由などについて、安 田教授からは研究結果の臨床的意義などについて、また主査の三浪教授からは実験モデルとヒト膝関 節の特性の差など について質問があった。これらに対して申請者は自己の研究結果と文献的知識に 基づいて概ね妥当 な回答を行った。さらに会場の1名の出席者から移植材料のみの特性に関する質 問があった。これ らに対して申請者は自己の研究結果と文献的知識に基づいて概ね妥当な回答を行 った。

  本研究は繰り返 し負荷に対するPCL再建膝の 動的挙動を始めて詳細に解析し,PCL再建術の進歩の ために有用な多くの情報を与えるものであった。審査員一同はこれらの成果を高く評価し、申請者が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

‑ 553

参照

関連したドキュメント

生した(クリップゲージで確認) 。剥離発生前までの挙動は,損傷 による差異が確認されず,両供試体ともに,荷重で比較して,補強

(16) に現れている「黄色い」と「びっくりした」の 2 つの繰り返しは, 2.1

いかなる使用の文脈においても「知る」が同じ意味論的値を持つことを認め、(2)によって

磁束密度はおおよそ±0.5Tで変化し,この時,正負  

 我が国における肝硬変の原因としては,C型 やB型といった肝炎ウイルスによるものが最も 多い(図

 

なお、 PRA では LOCA 時の注水機能喪失シーケンスを、破断口の大きさに 応じて AE( 大破断 LOCA) 、 S1E( 中破断 LOCA) 及び S2E( 小破断 LOCA)

添付資料4 地震による繰り返し荷重を考慮した燃料被覆管疲労評価(閉じ込め機能の維持)に