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杉 山 滋

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(1)

単板切 削における工具 ‑単板接触境界面 に働 く切削 応力の分布 と被 削材内部への切 削応力の伝播

杉 山 滋

長崎大学教育学部技術教育教室 (平成171031日受理)

St u d i e so nVe n e e rCu t t i n gMa c h i n e( ⅩⅩⅩⅠ ) *

Be ha vi o ro ft heCut t i ngSt r e s s e so nt heI nt e r f a c ebe t we e nt heTo ola nd t heVe ne e rd ur i n gVe ne e rCut t i n ga ndDi s t r i but i o n so ft he i rCut t i ng

St r e s s e sSp r e a d e di nt ot heWo r kpi e c e Shi ge r uSUGI YAMA

De pa r t me nto fTe c hno l o gyEduc a t i o n,Fa c ul t yo fEdu c a t i o n , Na ga s a kiUni ve r s i t y,Na ga s aki

852‑8521

(Re c e i v e dOc

t.31,2005)

Abstr act

Us i ngt hec ompos i t et ool ,t hec ut t i ngs t r e s sdi s t r i but i onsonat oolr akef ac ewe r e c l ar i f i e di nve ne e rc ut t i ng,r e s pe c t i ve l y,Wi t houtapr e s s ur ebarorwi t hapr e s s ur eba r .And t he n, us i ngt hef i ni t ee l e me ntme t hod, t hes t r e s sdi s t r i but i onsc aus e di nt hewor kpi e c edur i ng ve ne e rc ut t i ngwe r ec l ar i f i e d,unde rvar i ousve nee r ‑ c ut t i ngcondi t i ons .

1

. ま え が き

いろいろな環境 の中で,木材お よび木質材料 は必要不可欠の材料であ り,それぞれの場 面 において重要な役割 を果た している。とくに,素材である木材 の利用上の不都合 を補 う

ご うはん

ために製造 された合板

( pl ywood

, プライウッド)は,今 日では至 るところで広 く利用 さ れている。その合板 の品質 とい うものは,接着技術 のみな らず,それの原材料 となる単板

た んばん

( v e ne e r

,ベニヤ)の品質 にも大 き く左右 され る これ までの時代 とは異なって,単板 の原 材料 となる原木 (被削材)の供給状態が良好でない現在では勿論 の こと,将来の原木事情 な どを考慮 に入れれば,いろいろな原木事情 に対応で きる単板 の適正 な切 削技術が要求 さ れ る。

言 うまで もな く,切 削 と言 う現象 は,加工物である被 削材 (母材) よ り切屑 (ここで は,単板 を意味す る。)を発生 させ る加工であるが,それは,切削工具の切れ刃 を通 して加 工物 の一部 に力 を加 えて変形 させ,その結果起 こる破壊 によって加工物 の一部 (切屑)を 分離 してゆ くことである したが って,単板 の切 削現象の解明 には,切屑 (即 ち,単板) お よび母材 (即 ち,被削材)の変形 および破壊が如何 にして起 こるか 一 即 ち,切削機構 の 解明 ‑ を行 うこと,その原因である切削力が如何 にして被削材お よび切屑 に与 えられ,そ

*前報 「単板剥 ぎ取 り機械 に関する研究 (ⅩⅩⅩ)

S t u d i e so nVe n e e rC u t t i n gMa c h i n e

(XXX)」 は,長崎大学教育学部紀要 ‑自然 科学 73号 29‑ 34 (2005.6) に掲載 。

(2)

4 2

して伝達 されてゆ くか 一 即 ち,切削力の解析 を行 うこと,が重要 となる。とくに,後者の 解明は,前者 を知 るうえで も重要 となるのみな らず,切削の結果,付随 して起 る諸現象 一 即 ち,切削工具,被削母材お よび切屑 (単板)が如何 なる状態 になるか,な どの理 由,原 理 を求 めるうえで も,極 めて重要 となる。

しか し, この ような切削現象の解明は,実験的にも,解析的 にも極 めて難 しく, これに ついての既往 の研究 は,皆無の状況であった。 この ような状況の中で,筆者が, これ まで に とり組 んで明 らかにした点 を中心 に, それの うちの主要 な点 をとりまとめてみた。

2.単 板 の 切 削 現 象

これ までに,筆者が とり組 んで きた単板 の切削現象 についての主な研究成果 を,以下 に 箇条書 きに抜 き出 してみた。

( 1 )

単板切 削において,工具一単板接触境界面上での刃先か ら単板離脱位置 までの長 さは,概 ね切込量 の 大 きさに相 当す る長 さである1)。(2)工具す くい面一被 削材間の接触境界面 に働 く切 削応力 の分布 一 垂 直応力 6お よび摩擦応力 Tの分布 ‑ を明 らかにした (Fig.1お よびFig.2)1)。(3)刃先先端部 (ノーズ 那)付近 のす くい面か ら被削材 に伝達 され る応力 (ここでは,被削材応力 と言 う。)は,被削材 の比例限度 応力 を超 え,破壊応力 に近 い大 きさである1)。(4)刃先先端部付近 のす くい面,逃 げ面お よびノーズ部 に よって加 え られ る切 削力 は,工具全体 によって加 えられる切 削力の40‑50%程度である。したがって,ノー ズ部 の極 めて微小 なす くい面部分 を も考慮 に入れれば,切削によって生 じた切削力の大半 は,工具す くい 面か ら被削材 に伝達 され ることになる1)0(5)単板の性状 (即 ち,品質) に影響 を及 ぼす因子 として,主 に, ノーズ部か らの応力集中の程度 と,工具 一被 削材 (お よび単板) との接触境界面の摩擦係数が重要な 係 りをもつ2)。(6) 切 削によって生 じた工具一被削材接触境界面 に働 く切 削応力 は,被削材内部 に伝達 され る。被 削材内部へ伝達 された応力 (被削材応力)分布 を,垂直応力 (切 削方向に平行 な方向に働 く場合 を Oxとし,切 削方向に垂直 な方向に働 く場合 を Oyとす る。)お よび,せ ん断応力Txyに分 けて, それぞれの 分布 をプレッシャバーを作用 させた場合 (Fig.6, Fig.10, Fig.11)と,バ ーを作用 させない場合(Fig.

5, Fig.

7

‑ Fig.9)とに分 けて明 らかにし,バーの有無 の影響 を明確 にした3)4)0(7) 工具一被削材接触 境界面 に働 く切 削応力の うち,す くい面 に働 く接触境界面切 削応力の垂直応力 ♂お よび摩擦応力

r

の分布 に基づいて1),す くい面の摩擦係数FL(‑ T/6)のす くい面上 の分布 を明 らかにしたILは,す くい面上

P.で くkg/mrn・) cutlingdirect) T⊥1)

(0721

Fig・1・ Anexampleofcuttingstressdistribution on toolrakeface.

a(r):normal(frictional)stress;4:distanceonrakefacefrom tooledge(mm);i:depthofcut;A :actualtool‑chip(veneer) contactlength;workpiece:redlauan,Thecuttingforceswere indicatedbyvectorsatthepointofaction.Thevaluesinthe bracketwerebasedoncuttingforcesmeasuredbytheoctagonal elastic‑ringdynamometer.

Fig.2. Estimateofcuttingstressdistribu‑

tionontooledge.

♂(r):normal(frictional)stress.

(3)

Fig.3. Isochromaticsinorthogonalcuttingbymeans ofmodelphotoelasto‑plasticity 9).

Material:celluloid;tool:highspeedsteelSKH4;cutting temperature:20oC;frictionalcoefficientontoolrakeface(〟):

about0.2;cuttingconditions(symbolsi,βandγ:depthof cut,clearanceangle,Sharpnessangleandrakeangleoftool):i

‑2,Omm,cuttingvelocity(f)‑0.1mm/mln,α‑80,β‑220,㍗‑6Oo

;p‑q:crack;a‑b‑C‑d:elasto‑plasticboundary.

cTLr‑distribution

Fig.4.Contourlineofprincipalstressdif・ ference(♂1‑♂2)Computedbymeans offiniteelementmethod.

61,62:principalstresses[kgf/mm2];cuttingconditions (symbolsi,α,βalュd㍗:refertoFig.3):i‑2.Onlm, α‑lo‑300,㍗‑590.

69‑distributioll ㍍ 〟 ‑distribution Fig.5. Isodistributedlinesofnormalandshearingstressesinworkpiecewithoutpressurebar.

.1,y :rectangularcoordinates(I‑andいdirection:parallelandperpendiculardirectiontocuttingdirectionin cuttingconditions(symbolsi,α,βandγ:refertoFig.3):i‑2.0mm,α‑lo,β‑230,㍗‑660.

ax‑distributi()n 6y ‑distribution Try ‑distribution Fig.6. Isodistributedlinesofnormalandshearingstressesinworkpiecewithsharpbar. I,y:rectangularcoordinates;Ox,6yandTLry :normalstressesinI‑and.y‑direction,andshearingstress [kgf/mm2];cuttingconditions(symbolsi,α,βand㍗:refertoFig.3):i‑2.0mm,α‑1O,β‑230,㍗‑660, depthofbarindentation(d)‑0.30mm,horizontl oa pening(H )‑12.5%,verticalopening(V)‑85,00/..

(4)

4 4

(C)

Fig.7.Effect of sharpness angle (β ) On isodistributedlinesof norm al stresses (6.r , Oy) in w orkpiece.

6.r,6y:normalstressesin I ‑and y‑directi()ninFig.5[kgf/mm2];i,α:referto Fig.3.

(d)

Fig.9.Isodistributedlinesofshear・ ingstress(Try)inworkpiece.

α,βandi:refertoFig.3;TJy:Shearing stress[kgf/mm2],

Fig.8.Effectofdepthofcut(i)Onisodistributedlinesofnormal stresses(J,♂〟)inworkpiece.

6Lr,6y :refertoFig.5;α,β:refertoFig.3.

で,工具 一単板接触境界面 の刃先か ら単板離脱位置 までの変化 には,ほぼ無関係 で,す くい面上 で一定値 となる5ト7)0(8) バ ーの先端形状,バ ーのセ ッ ト条件,工具 の形状 お よびそれのセ ッ ト条件,切込量,被 削材質, な どの変化 によるす くい面 の摩擦係数 〃の変化 を明 らか に したβの変化 と単板 品質 の変化 と は,密接 な係 りが あることを明 らか にした8)

これ らの研究成果の中か ら, とくに主要 な研究成果,(2)お よび(6)について,得 られた実 験お よび数値解析 な どの結果の主要な図を示 しなが ら,次項で簡潔 に解説す る。

3 .単板切 削 におけ る工具 一単板接触境界 面 に働 く切 削応 力の分布

分割工具 による単板切 削実験 によ り,工具切れ刃面の うちのす くい面上 に働 く切削応力

(5)

6x‑distribution 6g‑distribution

Fig.10.Anexampleofeffectofverticalopening(V)onisodistributedlinesofnormalstresses (Ox,6y).

I,y,6IandCy:refertoFig.5;cuttingconditions(symbolst,α,㍗,dandH :refertoFigs,3and6):t‑ 2.0mm,α‑1O‑230,㍗‑66D,H‑12.5%.

crx‑distribution oy‑distribution

Fig・11・Anexampleofeffectofhorizontalopening(〟)Onisodistributedlinesofnormalstresses (6x,Gy).

.T,y,OxandOy:refertoFig.5;cuttingconditions(symbolsi,α,β,7',dandV:refertoFigs.3and6):i‑2.0mm, α‑lo‑230,㍗‑660,d‑0.25mm,V‑87.5%.

(6)

4 6

(垂直応力 6および摩擦応力

T)

の分布1)を Fig.1に示す。図により,す くい面 に働 く切削 応力分布 の平均的傾向が明 らか となった。♂お よび

r

は,刃先先端部付近 よ りす くい面上 の単板離脱位置 に向 うに伴 い,いずれ も指数関数的 に減少傾 向を示 した。工具の切れ刃面 には,す くい面 (Fig.2のA‑B間),逃 げ面 (Fig.2のDIE間)およびそれ ら両面の交 差す る極 めて小 さい丸身 をおびたノーズ部

( no s e

,Fig.2のB‑C‑D間を言 うが,工具が 極 めて鋭利 に研 ぎあげられていれば, ノーズ部 は消失 し,"理想刃物"に近づ く。)に分 け られ,工具が被削材 と接触することによ り,これ らの切れ刃

3

つの面 には,それぞれ大 き さの異 なった ♂お よび

r

が,それぞれの面で分布す ることになる工具 一被 削材 (単板 を 含む。)間の接触境界面の うち,最 も大 きい接触 を示すす くい面 に働 く6お よび Tの分布 の 実測値 を基 にして,す くい面,逃 げ面お よびノーズ部での切削応力分布の様相 (推定図)

を Fig.2に示 した。

4 .単板切 削 における工具 一単板接触境界面 に働 く切削応 力の 被削材 ( 母材 および単板)内部への伝播 ( 被削材応 力分布)

単板切 削では,工具切れ刃面 (す くい面,逃 げ面お よびそれ ら両面の交差す る刃先先端 のノーズ部)一被削材 ( 具刃先前方の母材,母材か ら剥 ぎ取 られた単板,お よび母材切削加工面)との接触境界面 に働 く切削応力分布が生 じ るが,接触境界面 におけるこれ らの応力分布が被削材 (上記の母材お よび単板)内部へ, どのように応力が伝播す る か を,有限要素法 (FiniteElementMethod;FEM と略記 され る。) を用いて数値解析 した。有限要素法 による数 値解析では,つ ぎの ようにシ ミュレーシ ョンを行 った。即 ち,被削材 (母材お よび単板)と工具切れ刃面 との接触境 界面の うち,最 も大 きな接触境界面 を示 し,その境界面 における応力が単板切削に最 も著 し く影響す るであろうと忠 われ る工具す くい面のみに着 目して,工具す くい面刃先先端部付近か ら単板離脱位置 までのす くい面 と,被 削材か ら 剥 ぎ取 られた単板裏面 (loose‑side)か らの応力分布 (Fig.1に示す ような指数関数的な応力分布,即 ち,Fig・2の

A‑B

間の応力分布) を被削材 に負荷するような,被 削材 シ ミュレー ションおよび被削材 内部要素分割 を行 った3),4)0 以下では, この ようなシ ミュレー ションを用いての有限要素法 による数値計算結果の代表的な例 を示す ことにす る。

4.1

有限要素法 による数値解析 と光弾塑性実験法 による被削材応力分布 との比較*1

単板切 削の うち, ロータ リー単板 の切 削 (この方式では,二次元切削 となる。)では,被 削材内部 に作用す る応力の成分 には,切削方向に作用す る垂直応力 とせん断応力

[ kg

f/mm2]

とがある。この うち,垂直応力 には,切削方向に作用す る圧縮 (または,引張)応力 O

x[ kg f /

mm2]と, これ と直角 に作用す る圧縮 (または,引張)応力 O

y[ kg

f/mm2]とがある ここで

は,これ ら 6.r,Oyお よびTxyを材料力学 に従 った符号で表示 し,有限要素法での これ らの 応力の計算値 の等 しい値 を結んだ等応力線図3)で表現す ることとした。有限要素法 におけ るシ ミュレー トの妥当性 を検討す るために,光弾塑性法の実験結果9)(セルロイ ドを被削材 とし,す くい角

γ‑6

0

0

で二次元切削。前 ・京都大学工学部垣野義昭博士の提供 による0) を Fig.3に示す。Fig.3の等色線図では, クラックが先行す る単板切削現象 とよ く類似

*1 Fig.3およびFig.4の図か ら,有限要素法での等主応力差線図は,光弾塑性法の等色線図 とよ く似 ていることがわかる。

塑性境界 を明 らかにするため,次式のvonMisesの降伏条件式により,主応力差 (cTr62Lkgf/mm2])の降伏応力 を求めたO

'bw

軸圧縮試験 における降伏応力 [kgf/mm2」 とす ると,

(63‑Cry)24TIy2‑(仇CT2)2‑(4/3)icTs2 (1) 光弾塑性法での被削材 は,等方性であ り,(1)式 により主応力差の降伏応力が求め られ,61‑62‑1.4であるo木材 は,異方性材料であ るため,木材の弾塑性領域の判定方式 (既報3)の方法)での値3)を(1)式 に代入 し,仇CT2‑0.35を得た。 これ らの値 を用いて,弾塑性境界 Fig.3,Fig.4に示 した。降伏応力,被削材質およびその シミュレー トに差があるため厳密 には比較で きないが,定性的 につ ぎの こ とが言 えるO即 ち,光弾塑性法では,極低速切削で準静的 とはいえ,切屑が定常状態 に達 しているため,切屑表面側の屈曲部 と工具刃先 近傍 に応力集中がみ られ,弾塑性境界 は,刃先逃 げ面近傍 よ り被削材斜 め上方の表面側 にまで及ぶ0

‑万,有限要素法では,静的なシミュレーシ ョンであるため,切屑の屈曲部 に応用集中は存在 しないが,刃先近傍 には,光弾塑性法 と 同様 に応力集中がみ られ,弾塑性境界 は刃先近傍のみ となった。 しか し,定常状態の切削現象 を考 えると,切屑屈曲部 に応力が集 中 し, その部位 の塑性域が刃先 まで拡張 されるに至 らない として も,被削材表面側 と刃先近傍 に不連続な弾塑性境界が存在す る, と推察 され

(7)

している。この光弾塑性実験法 による実験結果 と,有限要素法 による実験結果 との比較 を 容易 にす るため, ほぼ同 じ切 削条件下 での有限要素法 による等主応力差線 図 を作成 し3), Fig.4に示 した*1。

4.2

プ レッシャバ ー作用の有無 による被削材応 力分布

(

6.r,69および rxy)の相異*2

プレッシャバー を作用 させ ないで単板切 削 を行 った場合 (一例 として,切込量

t ‑2m m

, 刃物角

β‑2 30

,被削材 :フィ リピン産 レッ ドラワン飽水材,板 目面 の二次元横切 削)の被 削材応力分布3)を Fig.5に, それ とほぼ同条件で シャープバ ー を作用 させた場合4)を Fig, 6に, それぞれ示 した*2。

4.3

バ ‑を作用 させない場合 における切削条件の変化 に伴 う被削材応 力分布 (6.r,6yおよび Txy)の変化

ーを作用 させ ない場合の単板 の二次元切 削 にお ける工具 の刃物角 (β)お よび切込量 (i)の変化 に伴 う被削材応力分布 の変化 の数値計算例10)を,Fig.7‑ Fig.9に示 した.

4.4

バ ーを作用 させ た場合 におけ るバ ーの設置条件 の変化 に伴 う被削材応 力分 布 (63, 6y)の変化

バー を作用 させた場合 の単板 の二次元切 削 におけるバーの垂直絞 り (

V)

お よび水平絞 り (H)の変化 に伴 う被削材応力分布 の変化 の数値計算例4)を,Fig.10お よび Fig.11に それぞれ示 した。

5. あ と が き

これ らの基礎研究 な らびに種 々の被 削材質 を供試材 としての研究成果 な どに基 づ き, 種々の原木事情 に も対応で き,しか も良質 の単板 の製造 を可能 にす るような,単板 の適正 な切 削条件 を明 らかにしてゆ くことが,必要 となる。

1)杉 山 滋 :木材学会誌,23(10),480‑486 (1977). 2)杉 山 滋 :木材学会誌,24(1),19‑25 (1978).

3)杉 山 滋 :木材学会誌,2t)(6),250‑256 (1974).

4)杉 LLr 滋 :木材学会誌,2t)(6),257‑263 (1974).

5)杉 山 滋 :木材学会誌,23(ll),535‑539 (1977).

6)杉 山 滋 :木材学会誌,24(10),698‑704 (1978).

7)杉 山 滋,中島明子 :材料,28(310),597‑602 (1979).

8)杉 山 滋 :木材学会誌,38(ll),1017‑1025 (1992).

9)萩原四郎 :二次元切 削機構 の光弾塑性法 による解析,京都大学大学院工学研究科修士論文,p.17 (1970).

10)杉 山 滋 :木材学会誌,21(1),15‑21 (1975).

*2 Fig.5 よ り明 らかなように,バーを作用 させ ない単板切 削で は,刃先前方 には,圧縮応力 dxに よる塑性領域 が存在 し,刃先が さらに 前進 す る と,刃先近傍 の応力が増大 し,ついには材料 の破壊倍 に達 し,刃先前方の引張応力 (Cy)によ り切 削線上 か ら開 き破壊 (先割 れ)

を誘起す る. また,す くい面 では,刃先近傍 で大 きな圧縮応力分布(み , Cy)を示すが,刃先 か ら離れ るに したがい引張応力(6x,Cy) に変わ る。 このす くい面上での切屑内の応力変化が,裏割れの二次的発達 を助長 させ る。 さ らに,屯 の作用 に助長 されて,切屑表面側 の圧縮応力 との応力差 によ り,切屑 の琴 曲を誘起 させ る一因 にな る, と推察 され るO

‑方, シャープバー を作用 させた単板切 削で は,Fig.6 よ り明 らかな ように,バ ーの強い圧縮作用 によ り,Ox,Oyともに圧縮応力が 刃先近傍 にまで及ぶ。バー接触部 で は,この圧縮応力 によ り材表層部 に塑性領域 が存在 す る。さらに,刃先近傍 に も圧縮 による塑性領域 が存在す るが,バーの作用 しない場合 に発生 した引張応力 Cyは消失 している。また,す くい面側 の切屑 内には引張応力 oryが存在 し,こ れが切屑の琴 曲 (曲率) を大 き くす る とともに,裏割れの二次的発達 を助長 させ る原因 になる, と考 え られ る

TI.yについては,バ ーの作用 しない場合 は,刃先近傍 にのみ応力集 中がみ られ, Txyの零 の領域が刃先か ら斜 め上方の被 削材 に存在 す る。 これ に対 して,バー を作用 させた場合 は,バー接触面下 に も応力集 中がみ られ,Txyの零 の領域 は切屑 内部 にまで及ぶ。 このT.ry ついては,定常切削状態 のシ ミュレー トでないため,厳密 に単板切 削の現象 について は考察 で きないが,Fig.6の切 削状態 シ ミュレー ト よ りさらに刃先が前進す ると,バ ー作用時で は, この零 の領域 は大 き く切屑 内部へ移行 し, その結果,刃先近傍 お よびバー接触面下 に, 大 きな負のせん断応力が発達す る, と考 えられ る。

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