130 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年 (507)
あ る。確 実 に改 俊 した こ とが,犯 罪 者 が特 赦 を得 る決 定 的 な条 件 で あ る
。
③ 特 赦 され た 犯 罪 者 に対 して は,そ の 犯 罪 行 為 の軽 重 と悔 悟 の態 度 に よ り区 別 して対 処 す る。 釈 放 され る者 もあ れ ば,減 刑 され る に止 まる者 も あ る。 ④ 特 赦 は,刑 罰 を免 除 す る だ けで あ り,そ の 犯 罪 行 為 を免 除 す る の で は な い。⑤ 特 赦 は ,党 中央 また は 国務 院 の 建 議 に基 づ き,全 人代 常 務 委 員 会 に よる審 議i・決 定 を経 て,中 華 人民 共 和 国 主 席 が 特 赦 令 を発 布
し,最 高 人民 法 院及 び高 級 人民 法 院 に よ り執行 され る。
以 上 の特 徴 は,わ が 国 の 特 赦 に対 す る厳 粛 な態 度 を示 して い る
。
(1)『 最 高 人 民 法 院 広 報 』(1985年 第3号)25頁 。
(50s) 何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 129
第 二 回 の特 赦 につ い て,国 務 院 が1960年11月17日 に全 入代 常 務 委 員 会 に対 し建 議 し,全 入代 常 務 委 員 会 が 同年11月19日 に特 赦 を決 定 して,同 日,中 華 人民 共和 国 主 席 が 上 述 の決 定 に基 づ い て特 赦 令 を発 布 した 。 こ の 際 に特 赦 され た犯 罪 者 は次 の 通 りで あ る。
(1)拘 禁 が 満10年 に達 して確 実 に改 俊 した蒋 介 石 集 団 及 び非 合 法 満 州 国 の戦 犯 は,釈 放 す る。(2)死 刑 を言 渡 され て執 行 を2年 猶 予 され た 蒋 介 石 集 団 及 び非 合 法満 州 国 の 戦 犯 は,猶 予 期 間が 満1年 に達 して確 実 に改 俊 の情 が 認 め られ る場 合 は,無 期 懲 役 また は15年 以 上 の 有 期 懲 役 に 減刑 す る こ とが で きる。(3)無 期 懲 役 を言 渡 され た蒋 介石 集 団 及 び非 合 法 満 州 国 の戦 犯 は,服 役 期 間 が 満 了 年 に達 して確 実 に改俊 の情 が 認 め ら れ る場 合 は,10年 以 上 の有 期 懲 役 に減 刑 す る こ とが で きる。
第 三 回 の特 赦 につ い て,1961年12月 に国 務 院 が 建 議 し,全 国 人民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 が 決 定 して,中 華 人民 共 和 国 主席 が 特 赦 令 を発 布 した。
特 赦 の対 象 ・方式 は第 二 回 の特 赦 と同 じで あ る。
第 四 回 の特 赦 につ い て,1963年3月30日 に 全 人代 常 務 委 員 会が 決 定 し, 中華 人民 共 和 国主 席 が特 赦 令 を発 布 した。 この際 の特 赦 の対 象 はs一 定 期 間 の改 造 を経 過 して 確 実 に改 俊 した 非 合法 蒙 自治 政 府 の戦 犯 の釈 放 が 増 加 した。 そ の他 は第 二 回 ・第 三 回 と同 じで あ る。
第五 回の 特 赦 は,1964年12月12日 に行 わ れ,特 赦 の対 象 は第 四 回 と同 じで あ る。
第 六 回の特 赦 は,1966年3月29日 に行 われ,特 赦 の対 象 は 第五 回 と同 じで あ る。
第七 回 の特 赦 は,1975年3月19日,最 高 人 民 法 院 が 毛沢 東 主 席 と党 中 央 の指 示 に従 い,全 人 代 常 務 委 員 会 の 決 定 に基 づ い て,拘 禁 され て い た 戦 犯 計293名 全 員 を特 赦 に よ り釈 放 した 。
わが 国 が既 に行 っ た七 回 の特 赦 の情 況 か ら見 る と,わ が 国 の 特 赦 に は 以 下 の 特 徴 が あ る。① 特 赦 の対 象 は,一 種 ま た は数 種 の 犯罪 者 と され て お り,個 別 の犯 罪 者 に対 して で は な い。② 赦 免 され た 犯 罪 者 は,全 て一・
定 期 間の 拘 禁 また は 改造 を経 過 して お り,か つ 確 実 に改 俊 した 犯 罪 者 で
128 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年 (509)
わが 国 最 初 の憲 法 で あ る1954年 憲 法 で は,大 赦 と特 赦 の 規 定 が あ っ た が ・ 大 赦 が 実 際 に行 わ れ た こ とは な か っ た 。 そ の 後 の 憲 法 で も
,全 て 特 赦 の規 定 が あ る だ け で,再 び大 赦 が 規 定 され た こ とは な い。 この た め, 刑 法65条 ・66条 に定 め る赦 免 とは ,全 て特 赦 を指 す 。
2.わ が国 の 特 赦 とその 特 徴
わが 国 は・1959年 か ら1975年 まで に合 計7回 の特 赦 を行 って きた
。 第 一 回 の 特 赦 につ い て,中 華 人 民 共 和 国 成 立 十 周 年 の 直 前,中 国共 産 党 中央 委 員 会 主 席 毛 沢 東 は 中 国 共 産 党 中央 委 員 会 を代 表 して,全 国 人 民 代 表 大 会常 務 委 員 会 に対 し 「確 実 に改 俊 した戦 犯 ・反 革 命 犯 及 び普 通 刑 事 犯 の特 赦 」 を建 議 した 。 第 二期 全 人 代 常 務 委 員 会 は 中共 中央 の特 赦 の 建 議 を審議 した後,同 年9月17日 に可 決 し,満 場 一 致 で 「一定 時 間 の労 働 改 造 を経 て確i実に改俊 した蒋 介 石 集 団 お よ び非 合 法 満 州 国 の 戦 犯.反
革 命 犯 ・普 通 刑 事 犯 に対 して特 赦 を行 う こ と」 に 賛成 した 。 同 日,中 華 人 民 共 和 国主 席 に よ り特 赦 令 が 発 布 され た。 特 赦 令 は以 下の よ うに宣 告
して い る。
「(1)拘 禁 が 満10年 に達 して確 実 に改 俊 した蒋 介 石 集 団 及 び非 合 法 満 州 国 の戦 犯 は ・ 釈 放 す る。(2)懲 役5年 以 下 を言 渡 され(懲 役5年 も含 む。)服 役 期 間 が 刑 期 の2分 の1以 上 に達 し,確 実 に改俊 した 反 革 命 犯, 及 び懲 役5年 以 上 を言 渡 され服 役期 間が 刑 期 の3分 の2以 上 に達 して確 実 に改 俊 した 反 革 命 犯 は,釈 放 す る 。(3)懲 役5年 以 下 を言 渡 され(懲 役5年 も含 む 。)服 役 期 間 が 刑 期 の3分 の1以 上 に達 して確 実 に改 俊 し た 普 通 刑 事 犯,及 び懲 役5年 以 上 を言 渡 され服 役 期 間 が 刑 期 の2分 の1 以 上 に達 して確 実 に改 俊 した普 通 刑 事 犯 は,釈 放 す る 。(4)死 刑 を言 渡
され執 行 を2年 猶予 され た犯 罪 者 は ,猶 予 期 間 が 満1年 に達 して確 実 に 改俊 の情 が 認 め られ る場 合 は,無 期 懲 役 また は15年 以 上 の 有 期 懲 役 に減 刑 す る こ とが で きる。(5)無 期 懲 役 を言 渡 され た犯 罪 者 は,服 役 期 間 が 満 了 年 に達 して確 実 に改俊 の 情 が 認 め られ る場 合 は,10年 以 上 の 有 期 懲 役 に減 刑 す る こ とが で きる。」
(510) 何 乗松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 127
る。 こ こで の 「被 害者 」 とは,犯 罪 行 為 に よ る侵 害 を受 け た 自然 人 及 び 法 人 を い う。 また 「告 訴 」 〈控 告 〉 と は,被 害 者 が 自己 ま た は法 人 の権 益 を侵 害 す る犯 罪 行 為 に対 して 司 法 機 関 に訴 え て侵 害 者 の刑 事 責 任 の 追
及 を求 め る こ と をい う。 「立 件 す べ きで は あ るが 立 件 しな か っ た」 とは ・ 刑 事 訴 訟 法86条 が 規 定 す る 「犯 罪 事 実 が あ り,刑 事 責任 を追 及 す る必 要 が あ る」 とい う立 件 条 件 に符 合 す る事 件 につ い て,提 訴 す べ きで あ り・
かつ 同 条 が 規 定 す る 「犯 罪 事 実 が な く,又 は 犯 罪 事 実 が 極 め て軽 微 で, 刑 事 責 任 の 追 及 を必 要 と しな い」 とい う立件 しな い事 情 に は該 当 しな い に もか か わ らず,人 民 法 院 ・人 民検 察 院 ・公 安 機 関が 立件 して い ない こ とを い う。 被 害 者 か ら訴 追期 限 内 に告 訴 が な され,訴 追 す べ きだが 訴 追 しな い とい う事 情 が あ りさえす れ ば,犯 罪 者 に対 す る訴 追 は,訴 追 時 効 の 制 限 を受 け な い こ と に な る。 こ う した規 定 は,罪 が あ れ ば必 ず 追 及 す る こ と を保 障 しy直 ち に有効 に公 民 の合 法 的 な権 利 を保 護 しr同 時 に民 衆 の告 訴 状 が 法律 に依 拠 して提 供 され難 い こ とを解 決 す る の に も役 立 っ
て い る。
第2節 赦 免
1.赦 免 の概 念
赦 免 とは,国 家 が 犯 罪 者 の 罪 と刑 の 免 除 を宣 告 す る法 律 制 度 をい う。
赦 免 は,大 赦 と特 赦 の二 つ に分 け られ る。 一般 的 に は,大 赦 は 国家 が 一定 時 期 に数 種 また は 一般 の犯 罪 者 に対 して 同 じよ う に赦 免 す る。 そ の 赦 免 内 容 は,罪 と刑 の 両 方 に及 び,罪 も刑 も許 す もの で あ る。 大赦 を宣 告 され た者 は,再 び 犯 罪 者 と されず,刑 事 責任 を も はや 追 及 され な い 。 特 赦 は,国 家 が 特 定 犯 罪 者 の刑 罰 の 全 部 ま た は一 部 の執 行 を免 除 す る も の で あ る。 大 赦 と特 赦 は,前 者 は罪 も刑 も許 され るが,後 者 は刑 だ けが 許 され罪 は許 され な い点 に お い て主 に 区別 され る。
大赦 と特 赦 は,国 家行 為 で あ り,通 常 は全 て 国家 元 首 また は 国家 最 高 権 力 機 関 に よ り命 令 の形 式 を以 て宣 告 され る 。 この命 令 は,そ れ ぞ れ 大 赦 令 ・特 赦 令 と呼 ば れ る。
126 神 奈 川法 学 第34巻 第2号2001年 (511)
る」 と規 定 して い る。 この規 定 は ,わ が 国 にお い て,時 効 中断 の 法 定 事 由 が 「再 び罪 を犯 す こ と」 で あ る こ と を示 して い る。 こ こで の 「再 び罪 を犯 す 」 とは ・故 意 犯 罪 ・過 失 犯 罪 ,重 罪 ・軽 罪,前 罪 と同種 異種 の 罪, どん な罪 で も再 び罪 を犯 しさえす れ ば ,前 罪 の 訴 追 期 限 は 中 断 し,訴 追 期 限 は後 罪 を犯 した 日 よ り改 め て起 算 す る こ とをい う。 同 時 に後 罪 の訴 追 期 限 も また起 算 す る。
訴 追 時 効 の延 長 とは,法 定 事 由 が発 生 した こ とに よ り,訴 追 期 限 を無 期 限 に延 長 す る 制 度 で あ る。 刑 法88条 は次 の よ うに 規 定 して い る
。 「人 民 検 察 院 公安 機 関 若 し くは国 家 安 全 機 関が 立 件 して捜 査 を開始 した後
, 又 は人 民 法 院 が事 件 を受 理 した後 ,捜 査 若 し くは 裁 判 を逃 避 した場 合 に は,訴 追期 限 の 制 限 を受 け ない 。 被 害 者 が 訴 追 期 限 内 に告 訴 したが
,人 民 法 院 ・人民 検 察 院 又 は公 安 機 関 は これ を立 件 す べ きで あ る に もか か わ
らず,立 件 しなか っ た場 合 は,訴 追 期 限 の制 限 を受 け な い」。 この 規 定 は,わ が 国 の訴 追時 効 延 長 の 法 定事 由 が 二 つ あ る こ とを示 して い る
。 第一一は,人 民 検 察 院 ・公 安 機 関 ・国 家 安 全機 関 が 立 件 して捜 査 開始 後, ま た は人 民 法 院 が事 件 受 理 後 ,犯 罪 者 が 捜 査 また は 裁 判 か ら逃 避 した場 合 で あ る 。 この 「立 件 して捜 査 を開 始 した後 」 とは ,人 民 検 察 院 ・公 安 機 関 ・国 家安 全機 関 が 刑 事 訴 訟 法 の規 定 に基 づ き 自己 の管 轄 範 囲 にお い て 犯 罪 事 実 また は被 疑 者 を発 見 した事 件 に対 し捜 査 して有 罪 無 罪 ・罪 の 軽 重 に 関 わ る証 拠 資 料 を収 集 調 査 した 日 よ り後 の こ と をい う。 「事 件 を 受 理 した後 」 とは,人 民 法 院 が 刑 事 訴 訟 法 の 裁 判 管 轄 に 関す る規 定 に従 い ・ 人民 検 察 院 また は被 害 者 が提 訴 した事 件 を受 理 した 日 よ り後 の こ と をい う。 「捜 査 若 し くは裁 判 か ら逃 避 」 とは ,主 に逃 亡 ・潜 伏 そ の他 の 方 法 に よ り,刑 事 追 及 を免 れ る こ と をい う。 犯 罪 被 疑 者 が,検 察 院.公 安 機 関 の 立 件 捜 査 開始 後 ま た は法 院 の事 件 受 理 後 に拘 置 所 ・看 守 所 か ら 逃 走 し,家 に隠 れ て逃 亡 し,あ るい はそ の 他 の方 法 に よ り刑 事 追 及 を免 れ た場 合 に は,全 て訴 追 時 効 の制 限 を受 け な い こ とに な る。
第 二 は,被 害 者 が 訴 追 期 限 内 に告 訴 した と き,人 民 法 院 ・人民 検 察 院 ・公 安 機 関 は こ れ を提 訴 すべ きで はあ るが ,提 訴 しなか っ た場 合 で あ
(512) 何 乗 松 編 著二・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 125
第二 は連 続 犯 と継 続 犯 の訴 追 期 限 の計 算 で あ る。
(1)即 成 犯 の訴 追 期 限 の 計 算
わが 国 の刑 法89条1項 は,即 成 犯 の訴 追 期 限 につ い て 「犯 罪 の 日 よ り 起 算 す る」 と規 定 して い る。 この犯 罪 の 日 は,「 犯 罪 成 立 の 日」 と理 解 す べ きで あ る。 法 律 の 各 犯 罪 の 構成 要 件 規 定 は異 な り,実 際 に現 れ る犯 罪 形 態 も また 異 な る の で,0犯 罪 成 立 の 基 準 もま た異 な る こ とに な る 。 行 為 犯 ・危 険 犯 お よ び危 害 結 果 の発 生 を 以 て既 遂 とす る犯 罪 に つ い て
は,そ の 犯 罪 成 立 の 日は 犯 罪行 為 実 施 の 日 とな り,そ の訴 追 期 限 は犯 罪 行 為 実 施 の 日 よ り起 算 す る。 結 果 犯 と結 果 的 加 重 犯 につ い て は,そ の犯 罪 成 立 の 日は結 果 お よび加 重 結 果発 生 の 日 とな り,そ の訴 追 期 限 は結 果 お よび加 重 結 果発 生 の 日 よ り起 算 す る 。 共 同犯 罪 〔共 犯 〕 につ い て は, そ の犯 罪 成立 の 日は共 同犯 罪 行 為 が実 施 で きた 日 とな り,そ の訴 追 期 限 は 共 同 犯 罪行 為 実 施 の 日 よ り起 算 す る。 予備 犯 ・未 遂 犯 ・中止 犯 につ い て は,そ の訴 追 期 限 は そ れ ぞ れ犯 罪 予 備 ・犯 罪 未 遂 ・犯 罪 中止 成 立 の 日
よ り起 算 す るべ きで あ る。 牽 連 犯 につ い て は,重 い行 為 が 成 立 した 日 よ り起 算 す るべ きで あ る。
(2)連 続 犯 と継 続 犯 の訴 追 期 限 の 計 算
刑 法89条1項 は,「 犯 罪 行 為 が 連 続 又 は 継 続 す る状 態 に あ る と きは, 犯 罪 行 為 終 了 の 日 よ り起 算 す る」 と定 め る。 この 「連 続 又 は継 続 す る状
態 」 と は,連 続 犯 お よび 継 続 犯 の 形 態 をい う。 こ の二 つ の 犯 罪 形 態 は ・ 全 て行 為 終 了 の 日 よ り訴 追 期 限 を起 算 す る 。 連 続 犯 の 「行 為 終 了 の 日」
とは,最 後 の 一 回 の犯 罪 日 をい う。継 続 犯 の 「行 為 終 了 の 日」 とは ・犯 罪 の持 続 状 態 の 終 了 日を い う。
4.訴 追 時 効 の 中断 と延 長
訴 追 時 効 の 中断 とは,訴 追 時 効 の 進行 期 間 に お い て,法 定 事 由 の発 生 に よ り既 に経 過 した 時 効 を無 効 と し,訴 追 期 限 を法 定事 由が発 生 した 日
よ り改 め て起 算 す る とい う制 度 で あ る。 刑 法89条2項 は,「 訴 追 期 限 内 に再 び 罪 を犯 した と きは,前 罪 の 訴 追 期 限 は後 罪 を犯 した 日 よ り起 算 す
124 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年 (513
罪行 為 の不 訴 追 に 関 す る公 告 」 お よび 「台 湾 去 来 者 の 中華 人民 共 和 国 成 立 後 に当 地 の 人 民 政 ㈱ 拉 前 にT7っ た犯 罪 行 為 の 不 訴 追 に関 す る公 告 」 を公 布 した 。
磐 公 告 は ・ 次 の よ う に宣 乱 て い るO「 台 湾 へ 行 っ た 者 の 中 で 沖 華 人民 共 和 国 成 立 前 に大 陸 で 罪 を犯 した者 に対 して は
,中 華 人民 共和 国 刑 法 第76条(1979年 刑 法 第76条 を指 し,1997年 刑 法 で は87条)の 犯 罪 訴 追 時効 に関 す る規 定 の精 神 に基 づ き,そ の 当 時 の 犯 罪 行 為 に つ い て は も はや 訴 追 しな い こ と を決 定 す る。」
第 二 公告 は,次 の よ うに宣 言 して い る。
「(1)台 湾 へ 行 っ 堵 が 嘩 人民 共禾咽 成 立 後
,犯 罪 地 の 地 方 人民 政 権 樹 立 前 に行 っ た犯 罪 行 為 は もは や訴 追 しな い
。
(2)台 湾 へ 行 っ た者 が 中華 人 民 共和 国 成 立 後,犯 罪 地 の 地 方 人民 政 権 樹 立 前 に行 い ・ か つ 当 地 の 人民 政 権 樹 立 後 まで連 続 また は継 続 して い る犯 罪 の 訴 追期 限 は,犯 罪 行 為 終 了 の 日よ り起 算 す る 。 お よそ 中華 人民 共 和 国 刑 法 第76条(1979年 刑 法 第76条 を指 し,1997年 刑 法 で は87条)の 規 定 に符 合 す る もの は ・ もは や 訴 追 しな い。 そ の 中 で 法定 最 高 刑 が 無 期 懲 役'死 刑 で あ る もの は,20年 経 過 後 は もは や 訴 追 しな い
。 も し訴 追 の 必 要 が あ る とされ た場 合 は ,最 高 人 民検 察 院 の 審 査 ・許 可 に よる。
(3)台 湾 以 外 の 地 区 お よび 国 家 へ 行 っ た者 が,中 華 人 民 共和 国 成 立 前 に また は 中華 人 民 共 和 国成 立 後 で 犯 罪 地 の地 方 人民 政 権樹 立 前 に行 っ た犯 罪 行 為 につ い て は,そ れ ぞ れ 最 高 人民 法 院 ・最 高 人民 検 察 院 が 「台 湾 へ行 っ た者 が 中華 人民 共和 国 成 立 前 に行 っ た犯 罪行 為 は二 度 と訴 追 し な い こ と に関 す る公 告」 の 精 神 及 び本 公 告 第1条 ・第2条 の 規 定 に従
っ て 処理 す る。」
3.訴 追 期 限 の 計 算
訴 追 期 限 を何 時 か ら起 算 す る か は,国 家 が 訴 追 権 の 運 用 を何 時 か ら開 始 す る か に関 わ っ て くる。 わが 国 の刑 法89条 の 規 定 に よる と
,訴 追期 限 の計 算 は次 の二 つ の場 合 に分 け られ る
。第 一 は即 成 犯 の 訴追 期 限 の計 算 ,
(514)
何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 123前 述 の 規 定 は,わ が 国 が 犯 罪 の 訴 追 期 限 に つ き長 短5年 ・10年 ・15 年 ・20年 の 区別 を示 して い る。犯 罪 行 為 が 重 くなれ ば,そ の法 定 刑 も重
くな り,訴 追 期 限 も また長 くな る の で あ る。
刑 法 各則 は一 定 の罪 につ い て 異 な る条 項 また は 同一 の法 条 内 で複 数 の 刑 幅 を規 定 したの で,刑 法 の 規 定 す る 「法 定 最 高 刑 」 を どの よ うに理 解 す るか で 意 見 の不 一 致 が 生 じた 。 見 解 を統 一 す る た め,最 高 人民 法 院 は 1985年8月21日 に発 布 した 「人民 法 院が 重 大 な刑 事 犯 罪案 件 の 審 判 にお い て 実 際 に用 い る法 律 の若 干 の 問題 につ い ての 回答 」 の 中 で,こ れ につ い て明 確 な解 釈 を示 した。す な わ ち,刑 法76条(1979年 刑 法71条 を指 し, 1997年 刑 法 で は87条)は,罪 刑 相 当 原則 に照 ら して訴 追 期 限 を長 短 異 な る四 段 階 に規 定 して い るの で,犯 罪 行 為 の軽 重 に従 い刑 法 に定 め る個 別 の 条項 ま た は相 応 の 量 刑 の幅 を適 用 し,そ の 法 定 最 高刑 に基 づ い て訴 追 期 限 を計 算 す べ きで あ る。 犯 罪 行 為 の 刑 罰 が 複 数 の 条項 に別 々 に規 定 さ
れ て い る場 合 に は,そ の 犯 罪 行 為 に適 用 され るべ き条 また は項 の 法 定 最 高刑 に基 づ い て計 算 す る。刑 罰 が 同 一 条 文 中 に規 定 され複 数 の量 刑 の 幅 が あ る場 合 には,そ の 犯 罪 行 為 に適 用 され るべ き量刑 の 幅 の法 定 最 高 刑 に基 づ い て計 算 す る 。量 刑 の幅 が 一 つ しか な い場 合 に は,そ の法 条 の 法 定 最 高 刑 に基 づ い て計 算 す る(1)。
わが 国 の 刑 法 に は,犯 罪 の 訴 追 期 限 に つ い て さ ら に特 別 規 定 が あ る。
す な わ ち法 定 最 高 刑 が 無期 懲 役 ・死 刑 で あ る 犯 罪 は,「20年 経 過 後 で も 訴 追 の必 要 が あ る と認 め られ る と きは,最 高 人 民 検 察 院 に 申請 して許 可
を得 な け れ ば な らな い」 とい う もので あ る。 この規 定 は 間違 い な く必 要 な もの で あ りs同 犯 罪 が 闘 争 的 な厳 粛 な対 立 を体 現 してい る の で・ この 補 充 規 定 に よ って罪 悪 重大 な犯 罪 者 が 法 の 間隙 を縫 っ て制 裁 を免 れ る と
い う極 稀 な事 態 も避 け る こ とが で きる。
祖 国大 陸 と台 湾 地 区 との経 済文 化 交 流 と人員 往 来 を さ ら に発 展 させ て 祖 国 の和 平 統 一 の大 業 を促 進 す る た め に,最 高 人民 法 院 と最 高 人民 検 察 院 は,中 華 人 民 共 和 国刑 法 の規 定 に基 づ き,1988年3月14日 お よび1989 年9月7日 に相 次 い で 「台 湾 去 来 者 の 中華 人民 共和 国 成 立 前 に行 っ た犯
122 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年 (515)
す 。 そ の 者 の訴 追 を止 め た な らば ,同 人 は そ の恩 恵 に感 激 して 自己 を改 善 し続 け る はず で あ る。 そ の 者 の刑 事 責 任 を 引 き続 き追 及 す る な らば
り
特 別 予 防 か ら して も実 際 の 議 は失 わ れ ,ま た 一 般 予 防 か ら して も社 会 の 不 穏 分 子 に警 戒 し大 衆 を教 育 す る作 用 を果 た す こ とが で きな くな る
。 反 対 に負 の効 果 を もた らす か も知 れ ず ,犯 罪 者 の 反 発 ・犯 罪 者 に対 す る 社 会 の 同情 ・司 法機 関 に対 す る反 感 を引 き起 こ しか ね な い
。
2)司 法 機 関 が 現 行 の 犯 罪 活 動 に力 を集 中 して打 撃 を与 え るの に有 利 で あ る こ と
犯 罪 後 の 法 定 訴 追期 限 を経 過 して も未 だ に追 及 され て い な い犯 罪 は , 時 と共 に事 情 が 変 わ り,罪 跡 が 消 滅 し,証 拠 も既 に散 逸 し,事 件 を解 明 す る方 法 が ない か も知 れ な い ・訴 追 時 効 を 規定 して お け ば 同 法機 関 は
} そ れ らの長 年 にわ た る事 件 の 拘 束 を免 れ て,現 行 の 犯 罪 へ の攻 撃 と処 理
に力 を集 中 す る こ とが で き る。
3)社 会 の安 定 団 結 に 有利 で あ る こ と
犯 罪 者 の 社 会 に対 す る危 害 に は,一 定 の 期 間 が 過 ぎれ ば 回復 しう る も の も回復 しえ ない もの もあ るが,被 害 者 は これ を時 間 の推 移 と共 に次 第 に忘 れ て落 ち着 くは ず で あ る。 こ う した情 況 下 で再 び古 い 問 題 を蒸 し返 して犯 罪 者 の 刑 事 責 任 を追 及 す れ ば,か え っ て 人民 内 部 の 団結 と社 会 の 安 定 に影 響 を与 えか ね な い。
2.訴 追 時 効 の 期 限
刑 法87条 は・ 犯 罪 が次 の期 限 を経 過 した後 は二 度 と訴 追 され な い と定 め る。
① 法 定 最 高刑 が5年 未 満 の有 期 懲 役 で あ る犯 罪 は ,5年 。
② 法 定 最 高刑 が5年 以上10年 未 満 の有 期 懲 役 で あ る犯 罪 は,10年 。
③ 法 定 最 高 刑 が10年 以 上 の有 期 懲 役 で あ る犯 罪 は ,15年 。
④ 法 定 最 高刑 が 無 期 懲 役 また は死 刑 で あ る犯 罪 は ,20年 。20年 経 過 後 で も訴 追 の必 要 が あ る場 合 は,最 高 人民 検 察 院 に報 告 ・申請 し,審 査 の 上 許 可 を得 な けれ ば な らな い。
(516) 何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 121
第23章 時 効 と赦 免(弓 登 民)
長井 圓 共訳 御 手洗大 輔
第1節 時 効
1.時 効 の概 念
刑 法 上 の時 効 とは,犯 罪 者 に対 して刑 法 の 定 め る国 家 の刑 事 訴 追 権 と 刑 罰 執 行 権 を 一定 期 限 内 に 限 り有 効 とす る制 度 を い う。 一定 期 限 内 に国 家 が刑 事 訴 追 権 また は刑 罰 執 行 権 を行 使 せ ず に期 限 を過 ぎた な らば・ こ
の権 力 は直 ち に消 滅 し,犯 罪 者 を訴 追 しえず 刑 罰 も執 行 しえ ない
刑 法 上 の 時 効 は,訴 追 時効 と行 刑 時 効 に分 け られ る。 訴 追 時 効 とは, 犯 罪 者 に対 して刑 法 が定 め る刑 事 責 任 追 及 の 有効 期 限 をい う。訴 追 期 限 内 にお い て,国 家 司 法 機 関 は犯 罪 者 の刑 事 責任 を追 及 す る権 限 を有 す る・
時効 期 限 を過 ぎる と,司 法 機 関 の 犯 罪 者 追 及権 は直 ち に消 滅 す る。行 刑 時 効 とは,刑 罰 を言 渡 した犯 罪 者 に対 して刑 法 が 定 め る刑 罰 執 行 の有 効 期 限 をい う。 その 有 効 期 限 内 にお い て,刑 罰 執 行 機 関 は刑 罰 執 行 権 を有
す る.有 効 期 限 を過 ぎる と,行 刑 権 は直 ち に消 滅 す る・
わ が 国 の刑 法 で は,訴 追 時 効 が規 定 され て い る だ け で,行 刑 時 効 は規 定 され て い な い。 わが 刑 法 にお け る訴 追 時 効 とは,犯 罪 者 に対 して刑 法 が 定 め る刑 事 責任 追 及 の有 効 期 限 をい う。特 別規 定 を除 い て,法 定 訴 追 期 限 を過 ぎる と,も は や犯 罪 者 を訴 追 して は な らず ・既 に捜 査 追 及 した 事 件 か ら も撤 去 し,事 件 を不 起 訴 と し,そ の審 理 を打 ち切 らな けれ ば な
ら ない。
刑 法 の 訴 追 時効 の 規 定 に は,次 の よ うな重 要 な意 義 が あ る。
1)わ が 国 の刑 罰 の犯 罪 予 防 目的 に合 致 す る こ と
犯 罪 者 が,犯 罪 の後,法 定 訴 追期 限 内 に再 び犯 罪 を行 わ な か った こ と は,そ の 者 が 既 に改 俊 して 再 び社 会 に危 害 を及 ぼ す はず が な い こ と を示
120 神 奈 川法 学 第34巻 第2号2001年
(517)
同 時 噺 罪 ・余 罪 に対 す る判 決 を下 す.こ の 新 罪 ・余 罪 の刑 と前 罪 の残 余 刑 期 な い し前 罪 の 判 決 に基 づ き,刑 法69条 に従 っ て執 行 す べ き汗u罰が 決 定 され る。
観 察 期 間 に犯 罪 を行 って は い な レ・が 仮 釈 放 を取 消 す べ き場 合 に は ,監 醐 察 の責 務 を担 当 す る公 安 機 関 が仮 釈 放 裁 定 の 人民 法 院 に仮 釈 放 取 消 の 建議 を行 う。 審 理 の結 果 ,人 民 法 院 が 仮 釈 放 取 消 の 裁 定 を下 した な ら ば・ 公 安 機 関 は ・ そ の 犯 罪 者 をそ の所 在 して い た刑 執 行 機 関 に移 送 す る と と もに,仮 釈 放取 消 の 書 面 ・資 料 を送 付 す る。
q)『 最 高 人 民 法 院 広 報 』(1985年 第3号)25頁 参 照
。 (2)『 司 法 文 書 選 』(1993年 第7巻)33頁
。
(518) fr1∫兼 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編 ユ9章〜23章) 119
仮 釈放 の 適 用 は,次 の 手 続 で 行 われ る。
第一 に,刑 の執 行 機 関 は,犯 罪 者 が仮 釈 放 の 要件 を充 足 す る と認 め る 場 合,仮 釈 放 意 見書 を作 成 ・申謝 る・ この と き・ 犯 罪 者 が 改俊 して再 び社 会 を害 さ ない と認 め る理 由 が 明記 され る。 そ の 後,有 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 の仮 釈 放 意 見 書 は,管 轄 の 中級 以 上 の 人民 法 院 に提 出 され る 。 無 期 懲 役 に処 せ ら れ た犯 罪 者 の 仮 釈 放 意 見書 は,ま ず 本 省 ・自 治 区 ・直轄 市 の 司 法 庁(局)に 報 告 され,審 査 の結 果 同 意 を得 た上 で,管 轄 の 中級 以 上の 人民 法 院 に提 出 され る。
第 二 に,人 民 法 院 は,仮 釈 放 事件 の 受 理 後,刑 執 行 機 関 の報 告 した仮 釈 放 意 見 書 そ の他 の 手続 につ い て審 査 し,資 料 と手 続 が 完 備 して い る と 認 め る な らば,合 議 廷 を構 成 して 審 理 を行 う。 審 理 に際 して は 主 に,そ の 犯 罪 者 が 改 俊 した具 体 的 な事 実 態 度 お よび再 び 社 会 を害 さな い と認 め る理 由が 審 査 され る。 審 理 して仮 釈 放 要 件 を充 足 す る と認 め る と きは, 仮 釈 放 裁 定 が 下 され る。 そ こで作 成 され た仮 釈 放 裁 定 書 は,そ の 犯 罪 者 の 所 在 す る監 獄 そ の他 の刑 執 行 機 関,原 判 決 を下 した 人民 法 院,お よび 犯 罪 者 の刑 執 行 機 関 につ き検 察 任 務 を担 当 した 人 民 検 察 院 に送 達 され る。 人 民 検 察 院 は,そ の仮 釈 放 の 適 用 を不 当 と認 め る と きは・ 審 判 監 督 手続 に基 づ い て是 正 を申請 し うる。
刑 執行 機 関 は,入 民 法 院 か らの 仮 釈 放 裁 定 書 を受 理 後 に公 告 しな け れ ば な ら ない。 仮 釈 放 さ れ る場 合,監 督 観 察 を行 う公 安 機 関が 犯 罪 者 の情 況 を理 解 す る必 要 が あ るの で,そ の 公 安 機 関 に仮 釈 放 の 関連 資 料 が 転 送
され る。
(2)仮 釈 放 の取 消 手 続
仮 釈 放 され た犯 罪 者 は,仮 釈 放 の 観 察 期 間 に法 定 の 仮 釈 放 取 消 事 由が 発 生 す る と,そ の仮 釈 放 が取 消 され る。
観 察 期 間 中 に再 び新 た な罪 を犯 し また は判 決 宣 告 前 の 余 罪 が 発 覚 した 犯 罪 者 に対 して は,そ の 事 件 に適 用 され る関 連 規 定 に基 づ き捜 査 ・公 訴 提 起 ・審 判 が 行 わ れ る。 自訴 事 件 は,人 民 法 院が 直 接 そ の訴 え を受 理 す る。 人 民 法 院 は,そ の 判 決書 にお い て 犯 罪者 の 仮 釈 放 取 消 を宣 告 す る と
118 神 奈 川法 学 第34巻 第2号2001年
(5ユ9)
関 が そ の 監 督 観 察 を行 う法 的 根 拠 で もあ る 。
公 安 機 関 に よ り仮 釈 放 観 察 の行 わ れ た被 仮 釈 放 者 に再 犯 ・判 決 宣 告前 の 余 罪 と違 法 行 為 が 発 見 され な い と きは
,そ の 犯 罪 者 は改 俊 して再 び社 会 を害 さな い こ とが示 され て い る。 したが って,仮 釈 放 の 観 察期 間 が 満 了す れ ば ・ 宣 告 刑 は既 に執 行 が終 了 した もの と認 め られ,そ の 旨が 公 告 され る。
5.仮 釈 放 の 取消
仮 釈 放 の 重要 な特 徴 は,刑 に処 せ られ た犯 罪 者 に条件 つ きで 釈 放 時 期 を繰 り上 げ る点 にあ る。 この 条 件 の 内容 は,確 実 に改 俊 して再 び社 会 を 害 さな い こ とで あ る・ 仮 釈 放 され 堵 に改 俊 の な い こ とが 発 覚 す れ ば
} そ の仮 釈 放 は取 消 され る。 改 俊 の具 体 的 態 度が な け れ ば
,刑 法 に定 め る 仮 釈 放 取 消 事 由 が発 生 す る 。 刑 法86条 は ,次 の仮 釈 放 取 消 の 三要件 を定
め る。 ① 仮 釈 放 され た者 が仮 釈 放 の 観 察 期 間 中 に新 た な罪 を犯 した と き は,仮 釈 放 が取 消 され刑 法71条 に よ り数 罪 併 罰 が な され る
。 この新 た な 罪 に は,故 意 犯 ・過 失 犯 の双 方 が 含 まれ る。 刑 法71条 に よ り数 罪 併 罰 が な され る場 合 ・ この新 た な罪 に つ き判 決 を下 した後 に
,こ の刑 と原 判 示 の 罪 の残 余 刑 期 と に基 づ き,刑 法69条 の原 則 に よ り執 行 す べ き刑 罰 が決 定 され る。 ② 仮 釈 放 され た者 に,仮 釈 放 観 察 期 間 中 に判 決 宣 告 前 の 余 罪 が発 覚 した場 合,仮 釈 放 が取 消 され70条 に よ り数 罪 併 罰 が な され る
。 こ の と き・発 覚 した余 罪 に判 決 が 下 され た後,こ の刑 と原 宣 告 刑 の残 余 刑 期 とに基 づ き刑 法69条 に よ り執 行 す べ き刑 罰 が 決 定 され る 。③ 仮 釈 放 さ
れ た 者 が 仮 釈 放 観 察期 間 中 に法律 ・行 政 法 規 ・国 務 院 公 安 部 門 の仮 釈 放 管 理 規 定 に違 反 したが 新 た な犯 罪 を構 成 しな い場 合,法 定 手 続 に従 っ て 仮 釈 放 が 取 消 されrそ の 犯 罪 者 を収 監 した上 で未 執 行 刑 が 執行 され る
。
6.仮 釈 放 の 手 続
(1)仮 釈 放 の適 用 手 続
刑 法82条 ・79条,刑 事 訴 訟 法 お よび最 高 人民 法 院 の 司法 解 釈 に よれ ば ,
(520) 何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 117
代 金 略取 等 の 暴 力 的犯 罪 を犯 して無 期 懲 役 ・10年 以 上 の有 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 に は,仮 釈 放 を行 い え な い・
3.仮 釈放 の観 察 期 間
仮 釈 放 は,条 件 を付 して釈 放 時 期 を繰 り上 げ る だ け で あ って,未 執 行 の刑 期 を免 除 す る もの で も,犯 罪 者 の刑 執 行 を終 結 させ る もの で もな い。
そ れ ゆ え,仮 釈 放 を決 定 す る際 に は,同 時 に仮 釈 放 の 観 察 期 間 を宣 告 し な けれ ば ば な らない 。 刑 法83条 に よれ ば,有 期 懲 役 の仮 釈 放 観 察 期 間 は 執 行 未 終 了 期 間,無 期 懲 役 の仮 釈 放 観 察 期 間 は10年 で あ る。 「執 行 未 終 了期 間」 とは刑 の 残 余 期 間 の こ とで あ り,有 期懲 役 に処 せ られ た 犯 罪者 の 仮 釈放 で は残 余 期 間 が観 察 期 間 に な る。 司 法 実 務 で は,有 期 懲 役 に処 せ られ た者 の仮 釈 放 観 察 期 間 は,一 般 的 に最 低 で も6箇 月 を下 回 らな い 期 間 と解 され て い る(2)。
4.仮 釈 放 の観 察 期 間 に お け る観 察
仮 釈 放 され た者 の観 察 期 間 にお け る観 察 は,重 要 性 が極 め て 高 く政 策 性 の強 い任 務 で もあ る。 適 切 な観 察 は犯 人 の改 造 と犯 罪 の 予 防 に効 果 が あ るが,不 適 切 な観 察 は犯 人 を改造 しえず 再 犯 率 を高 め法 律 の 尊厳 と司 法 機 関 の威信 を害 して し ま う・
仮 釈 放 され た者 を観 察 す る機 関 と観 察 の 内 容 に つ い て・ 刑 法85条 は・
「仮 釈 放 され た犯 罪 者 は,仮 釈 放 の観 察 期 間 内,公 安 機 関 が これ を監督 す る。 ・… 」 と定 め,公 安 機 関が 仮 釈 放 観 察 を行 う機 関 で あ る と して い
る。 さ ら に,観 察 の 内 容 につ い て,刑 法84条 は,「 仮 釈 放 を宣 告 され た 犯 罪 者 は,次 の 各号 に掲 げ る規 定 を遵 守 しな け れ ば な らない 。① 法 律 及 び行 政 法 規 を遵 守 して監 督 に服 す る こ と,② 監督 機 関 の 規 定 に従 って 自 己 の 活 動 状 況 を報 告 す る こ と,③ 監 督機 関 の 面 会 に関す る規 定 を遵 守 す る こ と,④ 居 住 す る市 若 し くは県 を隔離 転 居 す る と きは監 督 機 関 に報 告 して承 認 を受 け る こ と」 と定 め る。 これ らの 規 定 は,仮 釈 放 され た者 が 観 察期 間 中 に遵 守 しな け れ ば な らない 行 為 規 範 で あ る と と も に,公 安 機
116 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年
(52ユ)
をい う。
(3)仮 釈 放 被 適 用 者 に 改俊 が認 め られ 再 び 社 会 を害 しな い と認 め ら れ る こ と これ は・ 仮 釈 放 適 用 の 実 質 白勺条 件 で あ る
.「 改 俊 が 認 め られ 」 とは・犯 罪 者 が 労働 改 造 ・ti.想教 育 を通 じて泊 己 の犯 行 を深 く議 し
, 罪 を認 め て 法 に服 し・ 徹 底 して前 非 を改 め,新 た な人 間 と して更 生 す る 態 度 行 動 が 示 され る こ と をい う.「 改俊 力ご認 め られ る 」 の 議 は 減 刑 に関 す る第2節 で 既 に述 べ た ・ 「再 び室桧 を害 しな い」 の 意義 につ い て, 最 高 人民 法 院 「規 定 」 に よれ ば ,犯 罪 者 の 受 刑 態 度 が 一貫 して 良好 な こ
と・ 「改 俊 」 に 関 す る 四事 情 を充 足 す る こ と
,違 法 行 為 噺 た に重 大 犯 罪 を行 わ ない こ と・ 犯 罪 実 行 能 力 を喪 失 した 老 人 ・身体 障 害 者(自 傷 者 を除 く。)で あ る こ と をい う。
こ こで は,実 質 的 条 件 の解 釈 にあ た っ て,次 の諸 問題 に注 意 す る必 要 の あ る こ とを指 摘 してお く。
1)国 家 の 安 全 を害 す る 重 大 な罪 を犯 した 者 お よ び犯 罪 集 団 の 首 謀 者 ・主 犯 を仮 釈 放 す る場 合 ,厳 格 に処 理 しな け れ ば な らない 。
2)犯 罪 時 に未 成 年 の犯 罪 者 を仮 釈 放 す る場 合
,そ の 基 準 を緩 や か に 解 して成 年 犯罪 者 よ り も適 度 に寛 大 な処 理 を行 い うる。 未成 年 犯 罪 者 が 罪 を認 め て法 に服 し収 監 規 則 を遵 守 して積 極 的 に学 習 ・労 働 に参加 す れ ば,改 俊 が あ る もの と認 め ,釈 放 後 に再 び社 会 を害 しない 限 り,仮 釈 放 が な され うる。
3)死 刑 執 行 猶 予 後 に無 期 懲 役 ・醐 懲 役 に減刑 され た犯 罪 者 も ,仮 釈 放 の 法 定 条 件 を充足 す れ ば,仮 釈 放 が な され うる。 しか し,累 犯 お よ び殺 人 ・爆 破 ・強 盗 ・強姦 ・身代 金 略 取 等 の暴 力 的 犯 罪 を犯 して死 刑 執 行 を猶 予 され た犯 罪 者 に は,仮 釈 放 を行 い え ない 。
4)犯 罪 者 が 老 人 ・身体 障 害 者(自 傷 者 を除 く。)で あ る場 合 の仮 釈 放 で は,悔 悟 の事 実 に特 に注 意 しな けれ ば な らな い。 犯 罪 者 が 老人 ・身 体 障 害 者 で悔 悟 の態 度 が あ り,犯 罪 実 行 能 力 を喪 失 し,ま た は 単独 生 活 が で き ない場 合,仮 釈 放 後 の 生 活 の確 実 な見 込 み が あ る限 り
,法 に よ り 仮 釈 放 が な され う る。 しか し,累 犯 お よ び殺 人 ・爆 破 ・強盗 ・強 姦 ・身
(522) 何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 一23章) 115
懲 役 に処 せ られ 諸 が 実 際 に10年 以 上 の刑 期 を執 行 され た場 合 に ・イ反釈 放 を適 用 しうる と定 め る。 無期 懲 役 が 有 期 懲 役 に減 刑 後 の仮 釈 放 につ い
て,1979年11月23日 の 最 高 人民 法 院 ・最 高 人 民 検 察 院 ・公 安 部 「無 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 の仮 釈 放 に関 す る 回 答 」 に よれ ば ・ 「なお 宣 告 刑 の無 期 懲 役 に照 ら して 実 際 に10年 以 上 執 行 され た 後,初 め て 仮 釈 放 の 可 否 ・釈放 期 の 繰 り上 げ が考 慮 され うる」 と してい る。 この 「実 際 に執 行 され た刑 期 」 には,判 決確 定 後 の執 行 刑 期 ・判決 前 の拘 禁期 間が 含 まれ る 。 なぜ な ら,先 行 す る拘 禁 期 間 は,犯 罪 者 の 人 身 の 自由 を剥 奪 す る 点 で,ま た犯 罪 者 の懲 罰 ・教 育 ・改 造 に作 用 す る点 で,刑 の 執行 期 間 に等
しい か らで あ る。
死 刑 執 行 被 猶 予 者 が 減 刑 され る場 合 ま た は減 刑 後 仮 釈 放 され る場 合, そ の減 刑 の 回 数 に関 わ りな く実 際 の執 行 刑 期 は,12年 を下 回 っ て は な ら ない 。 死 刑 執 行 被 猶 予 者 の実 際 の執 行 刑 期 は,死 刑 執 行 猶 予2年 満 了 日 の翌 日か ら起 算 され る。 す な わ ち,実 際 に執 行 され る12年 に は,死 刑 執 行 猶 予 の2年 は含 まれ ない 。
宣 告 刑 の 有 期 懲 役2分 の1以 上 の 執 行 に 関 す る起 算 日の計 算 につ い て,刑 法47条 は,「 有 期 懲 役 の 刑 期 は,判 決 執 行 の 日か ら起 算 す る。 予 め拘 禁 され て い た期 間 は,1日 の拘 禁 を1日 の刑 期 と して算 入 す る」 と 定 め る。 した が っ て,有 期 懲 役 に処 せ られ た者 の仮 釈 放 で は・ 宣 告 刑 期 の2分 の1以 上 の執 行 につ き,そ の起 算 日は拘 禁 の 日よ り計 算 され る。
刑 法81条 は,「 特 殊 の事 情 が あ る場 合,最 高 人民 法 院 の許 可 を経 れ ば, 既 述 の執 行 刑 期 は制 限 を受 け な い」 と定 め る。 す な わ ち 同条 は,無 期 懲 役 ・有 期 懲 役 に処 せ られ た者 に特 殊 の事 情 が あ り,最 高 人民 法 院 の 許 可 を得 れ ば,有 期 懲 役 の 実 際 の服 役 期 間が2分 の1に 満 たず,無 期 懲 役 の 実 際 の 服 役 期 間が10年 に 満 た ない場 合 で あ っ て も,仮 釈 放 が適 用 され う る とす る。 犯 罪 者 自身 の事 情 と改 造 事 情 が 極 め て 複 雑 で あ り・ また 社 会 ・国 家 か らの 特 殊 な要 請 ゆ え に,刑 法 は,こ の よ うに弾 力 的 な規 定 を 設 け る必 要 が あ った 。 この 特 殊 事情 とは,最 高 人民 法 院 の 司 法 解 釈 に よ る と,国 家 の 政 治 ・国 防 ・外 交 な どの面 で 特 に仮 釈 放 が 要 請 され る事 情
114 神 奈 川法 学 第34巻 第2号2001年 (523}
執 行 期 間 の 全部 が 宣 告 刑 期 に算 入 され る。
2.仮 釈 放 適 用 の 条件
刑 法81条 に定 め る仮 釈 放 の適 用 は,次 の要 件 を充足 しな け れ ば な ら な
いo
(1)仮 釈 放 の 対 象 は無 期 懲 役 ・有 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 で あ る こ と 仮 釈 放 はs管 制 ・拘 留 に処 せ られ た 者,死 刑 執 行 を2年 猶 予 され た者 に適 用 しえ な い。 この 条 件 は,仮 釈 放 制度 の本 質 に よ っ て決 定 づ け られ る。 仮 釈 放 の最 も本 質 的 な特 徴 は ,条 件 つ きで釈 放 時 期 を早 め る こ とで あ る。 しか し,管 制 に処 せ られ た犯 罪 者 は,そ の 人 身 の 自由 が剥 奪 され て い な い の で,釈 放 時期 の 繰 り上 げ が あ りえ ない 。 また,犯 罪 者 が 拘 留 に処 せ られ て も拘 留 の長 期 は6月 で 数 罪 併 罰 で も1年 で あ り,そ の 刑 期 は非 常 に短 い の で,拘 禁 され た期 間 が刑 期 に算 入 され る と執行 刑 期 が 一段 と短 くな る。 この よ うに実 際 の執 行 刑 期 ・仮 釈 放 の観 察 期 間 が 著 し く短 くな る結 果,拘 留 に処 せ られ た犯 罪 者 の仮 釈 放 は現 実 的 な意 義 を 失 う。 さ ら に,死 刑 執 行 猶 予 犯 罪者 に もr仮 釈 放 は適 用 しえ ない 。 なぜ な ら,死 刑 執 行 猶 予 は,独 立 の 刑 種 で は な く死 刑 執 行 の過 渡 的 方 法 だか らで あ る。 しか し,2年 満 了 して無 期 懲 役 ・有 期 懲 役 に減 刑 後 は,仮 釈 放 が 適 用 され う る。
刑 法81条2号 に よれ ば,累 犯 お よび殺 人 ・爆 破 ・強 盗 ・強 姦 ・身代 金 略 取 な どの 暴 力 的 犯 罪 を犯 して無 期 懲 役 ・10年 以 上 の 有 期 懲 役 に処 せ ら れ た犯 罪 者 に は,仮 釈 放 が適 用 され な い。 なぜ な ら,こ れ らの者 は,重 大 な犯 罪 行 為 の 主 観 的 悪 性 ・人 身 危 険性 が 極 め て大 きいの で改 造 が 困 難 で あ り長 期 刑 に服 す る必 要 が あ る か らで あ る。 仮 釈 放 して も再 び社 会 を 害 しな い保 障 が 非 常 に困 難 で あ る か ら,仮 釈 放 を適 用 しな い と して い
る。
(2)仮 釈 放 被 適 用 者 が 一 定 期 間 の 刑 を既 に執 行 され て い る こ と こ れ は,仮 釈 放 適 用 の 制 約 条 件 で あ る 。刑 法81条1項 は ,有 期 懲 役 に処 せ
られ た者 が 宣 告 刑 の刑 期 の2分 の1以 上 を執 行 され た場 合 ,ま た は無 期
(524)
何 兼 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 113に処 せ られ た犯 罪 者 が 一定 の刑 期 を経 過 後 に改 俊 して 再 び社 会 を害 しな い と認 め られ る場 合 に,条 件 つ きで 釈 放 時 期 を早 め る刑 罰 制 度 を い う。
仮 釈 放 は,刑 の執 行 猶 予 とは 異 な る。① 適 用対 象 の 範 囲 が 異 な る。 仮 釈 放 は,主 に無 期 懲 役 ・有 期 懲 役 な ど長 期 自 由刑 に処 せ られ た 犯 罪 者 に
=適用 され る。 刑 の執 行 猶 予 は,短 期 自 由刑 す な わ ち拘 留 ま た は3年 以 下 の 有 期懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 にの み 適 用 され る。② 適 用 事 由が 異 な る。
仮 釈 放 の根 拠 は,刑 の 執 行 過 程 で の犯 罪 者 の 改俊 で あ る。 刑 の執 行 猶予 の根 拠 は,犯 罪 者 の 情 状 ・悔 悟 で あ る。③ 適 用 時期 が 異 な る。仮 釈 放 は, 一 定 の刑 執 行 後 に裁 判 所 の裁 定 に よ り実 施 され る。 刑 の執 行 猶 予 は,判 決 時 に宣 告 され る。 ④ 法 的効 果 が 異 な る。 仮 釈 放 は,宣 告 刑 の 一 部 執 行 後,な お執 行 未 満 了 の 刑 期 を条 件 つ きで執 行 しない もの で あ る。 刑 の執 行 猶 予 は,宣 告 刑 期 の全 部 を条 件 つ きで執 行 しない もの で あ る。
仮 釈放 は,監 獄 外 執 行 〈監 外 扶 行 〉 と も異 な る。 監 獄 外 執 行 とは,懲 役 ・拘 留 に処 せ られ た犯 罪 者 が 一 定 の法 定 事 情 に該 当 して許 可 を得 た場 合 に,そ の刑 罰 が 監獄 外 で 執 行 され る もの をい う。 両 者 の 相 違 は,次 の 点 にあ る。① 適 用 対 象 が 全 面 的 に異 な る。仮 釈 放 は無 期 懲 役 ・有期 懲 役 に処 せ られ た者 の み に適 用 さ れ るが,監 獄 外 執 行 は無 期 懲 役 ・有 期 懲 役 ・拘 留 に処 せ られ た 者 全 員 に適 用 され う る。② 適 用 条件 が 異 な る。 仮 釈 放 は犯 罪 者 が 一定 刑 期 執 行 後 に改 俊 お よ び社 会 的 無 害 と認 め られ た場 合 に行 わ れ るが,監 獄 外 執 行 は犯 罪 者 に法 定 の特 殊 事 情,例 え ば重 大 な 疾 病 の 治 療 保 釈 ・懐 胎 中 な い し犯 罪 者 の 嬰 児授 乳 期 な どの場 合 に行 われ る。③ 収 監 条 件 が異 な る。仮 釈 放 され た者 が,仮 釈 放 期 間 に新 た な罪 を 犯 した場 合,判 決 を経 て い な い余 罪 が 発 覚 した場 合,法 律 ・行 政 法 規 ・ 仮 釈 放 に 関 す る監 督 管 理 規 定 に違 反 した場 合 に は,仮 釈 放 が取 消 され,
そ れ ぞ れ新 罪 の 刑 と原 宣 告 刑 の残 余 との併 罰,余 罪 の 刑 と原 宣 告 刑 との 併 罰,宣 告 刑 の残 余 刑 期 の執 行 が 行 わ れ る。 これ に対 し,監 獄 外 執 行 は, 監 獄 外 執 行 の法 定 条 件 が消 失 す る と,未 満 了 刑 期 執 行 の ため 再 収 監 され る。④ 期 間計 算 が 異 な る。 仮 釈 放 取 消 の と き,釈 放 され て い た期 間 は執 行 す べ き刑 期 に算 入 され な い。 監 獄 外 執 行 の 期 間 は,収 監 され て い ない
112 神 奈 川法 学 第34巻 第2号2001年
(525)
た結 果,是 正 され た 原 判 決 の刑 に軽 重 の 変 更 が 生 じて も
,そ の 減 刑 自体 は な お 有 効 で あ る。 具 体 的 に どの よ う に減 刑 後 の刑 期 を計 算 す る か は
, 判 決 変 更 の 事情 が 比 較 的複 雑 で あ る ため,事 情 に応 じて 関 連 規 定 に従 い 計 算 す る必 要が あ る。
第3節 仮 釈 放 〈假 経 〉
仮 釈 放 の 制 度 は,現 在,世 界 各 国 で普 遍 的 に採 用 され て い る刑 罰 執 行 制 度 の 一一つ で あ る。 この制 度 の起 源 は,18世 紀 末 の イギ リス に遡 る。 当 時 の イギ リス で は,植 民 地 オ ー ス トラ リアの ニ ュ ーサ ウス ウ ェ ー ル ズ州 が 流 刑 地 と され て い た が,同 州 の フ ィ リ ップ州長 官 は,条 件 付 恩 赦 の 方 式 と して 「釈 放 票 」 制 度 を1791年 に創 設 して ,態 度 が 良 好 な受 刑 者 の釈 放 時 期 を繰 り上 げ た。 イギ リス が流 刑 制 度 を廃 止 した 後 ,ア イル ラ ン ド 監 獄 局 の ク ロ フ トン局 長 が,1855年 に 釈放 票 制 度 を補 充改 善 して イギ リ ス本 土 で も施 行 した こ とに よ り,こ の 制 度 は 「ア イル ラ ン ド仮 釈 放 制 度 」 へ と発 展 変 化 を遂 げ た。 ア メ リカ も,こ の ア イル ラ ン ド制 を受 け 入 れ て 1869年 に 「仮 釈 放 法」 を制 定 し,近 代 仮 釈 放 制 度 が 法 的 に確 立 され た 。 そ の 後,1910年 お よ び1925年 の 国際 監 獄 会 議 の 後 ,世 界 各国 は,自 国 の 法 律 に仮 釈 放 制度 を規 定 した 。
わが 国 で最 初 に仮 釈 放 制度 が採 用 され たの は ,1911年 の 「大 清新 刑 律 」 で あ る。1912年 の 「中華 民 国 暫 行 新 刑 律 」 も,こ の 規 定 を継 承 した 。 そ の後,1928年 と1935年 の 旧 中国r中 華 民 国刑 法 」 は,こ の 規 定 に若 干 の 修 正 を加 え た 上 で,こ れ を継 承 し続 け た 。新 中国 の成 立 後 に は,1954年 の 「中華 人民 共 和 国 労働 改 造 条 例 」 が ,被 拘 禁 犯 罪 者 へ の仮 釈 放 適 用 を 最 も推 奨 す べ き制 度 と して定 め た。 さ ら に,1979年 刑 法,特 に1997年 の 改 正刑 法 は,全 面 的 で系 統 的 な仮 釈 放 に関 す る規 定 を設 け て い る。
1.仮 釈 放 の概 念
わが 国 の 刑 法81条 に定 め る仮 釈 放 〈假 経 〉 とは ,有 期 懲 役 ・無 期 懲 役
(526) 何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 111
人 民 法 院 が,執 行 機 関 か ら減 刑 建 議 書 を受 理 した後 に,合 議 廷 を構成 し て減 刑 事 件 を審 理 す る。 この審 理 は,… 般 に書 面 審 理 で あ り,主 に執 行 機 関 申請 手 続 の 違 法 ・不 備,減 刑 建 議 され た 犯 罪 者 に お け る改 俊 ・立 功 ・重 大 な立 功 の存 否 が 審 理 され る。 審 理 の結 果,合 議 廷 が 犯 罪 者 の改 俊 ・立 功 の事 実 と減 刑 の法 定 要 件 充 足 とを認 め る と,減 刑 が 裁 定 され る。
逆 に,こ れ らが 認 め られ な け れ ば,減 刑 され な い。 減 刑 す る場 合 また は 減 刑 され うる場 合 に は,裁 定 書 が 作 成 され て減 刑 建議 書 を提 出 した執 行 機 関 に送 達 され る。 ま た,そ の副 本 が,原 判 決 を下 した裁 判 所,労 働 改 造 を担 当 した単 位,検 察 任 務 を担 当 した 人民 検 察 院 に送 達 され る 。減 刑 の 裁 定 につ い て,人 民 法 院 の 長 ま た は上 級 人民 法 院 が 明確 な誤 りを発 見 した場 合,も し くは 人 民 検 察 院 が 抗 告 した場 合 に は,審 判 監 督 手 続 に よ る処 理 が な され る 。
(5)減 刑 後 の刑 期 の 計 算
原 判 決 で宣 告 され た刑 種 の 違 い に応 じて,減 刑 後 の 各 犯 罪 者 の 刑 期 計 算 方 法 も異 な る。原 判 決 で 管 制 ・拘 留 ・有期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪者 は, 原 判 決 の刑 期 か ら裁 定 減 刑 され た刑 期 を差 し引 い た期 間 が,そ の減 刑 後 の刑 期 とな る。 さ らに,減 刑 前 に執 行 され た刑 期 がs減 刑 後 の刑 期 か ら 差 し引 か れ る。 例 えば,甲 が 原 判 決 で15年 の有 期 懲 役 に処 せ られ3年 服 役 後 に2年 の 減刑 を裁 定 され た場 合,甲 の残 余刑 期 は13年 とな るが ・既 に服 役 した3年 は13年 の刑 期 に算 入 され るの で,甲 が さ ら に服 役 す べ き 刑期 は10年 とな る。 また,無 期 懲 役 に処 せ られ た 犯罪 者 の減 刑 後 の刑 期 計 算 につ い て,刑 法80条 が 「減 刑 を裁 定 した 日か ら起 算 す る」 と明 定 す る が,既 執 行 の刑 は減 刑 後 の刑 期 に算 入 され ない 。 例 え ば,乙 が 無 期 懲 役 に処せ られ5年 執 行 後 に15年 の有 期 懲 役 に減 刑 され た場 合,既 執 行 の 5年 は15年 に算 入 され ない の で,乙 は さ らに15年 の有 期 懲 役 を執 行 され る。 無 期 懲 役 が有 期 懲 役 に減 刑 後 さ ら に減 刑 され る場 合 に はsそ の 刑 期 の計 算 は,有 期 懲 役 に関す る刑 期 計 算 と同様 に処 理 され る。
実 務 上,あ る犯 罪 者 が服 役 期 間 内 に お け る改 俊 ・立功 に よ り減刑 され た後 に,人 民 法 院 が 原 判決 の誤 りを発 見 し審 判 監督 手 続 に従 っ て再 審 し
110 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年 (527}
功 が あ れ ば,2年 の服 役 後 に減 刑 が な され うる。 無 期 懲 役 に処 せ られ た 犯 罪 者 が執 行 期 間 内 に新 た な罪 を犯 して有 期 懲 役 以 下 の 刑 に処 せ られ た 場 合,こ の新 罪 の 判 決 確 定 日か ら起 算 して2年 間 は 減刑 され な い。 新 罪 で 無 期 懲 役 に処 せ られ た場 合 に は,初 回 の 減刑 時 期 が 適 度 に延 期 され ね ば な ら ない 。
無期 懲 役 に処 せ られ た 犯罪 者 に改 俊 また は立 功 が あ り,2年 を経 過 す る と,一 般 に18年 以 上20年 以 下 の 有期 懲 役 に減 刑 され う る。 重 大 な立 功 が あ っ た場 合 に は,13年 以 上18年 以 下 の有 期 懲 役 に減刑 され うる。
無 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 が 減 刑 され 有 期 懲 役 に引 下 げ られ た場 合,政 治 的権 利 の終 身剥 奪 が3年 以 上10年 以 下 の 剥 奪 に変 更 され る。
(4)減 刑 の 手 続
刑 法79条 は,「 犯 罪 者 に対 す る減 刑 は,刑 の執 行 機 関 が 中級 以 上 の 人 民 法 院 に減 刑 建 議 書 を提 出 す る。 人 民 法 院 は,合 議 廷 を構城 して審 理 を 行 い,確 か に改俊 又 は立 功 の事 実 が あ る と きは,裁 定 に よ り これ を減 刑 す る。 法 定 の 手続 を経 な い場 合 は,減 刑 して は な らな い」 と定 め る。 こ の 条 文 は,減 刑 の 手 続 を明 定 して い る。 この 規 定 に よる 減刑 の 手 続 は
, 次 の よ うに な る。 第 一 に,刑 の 執 行 機 関が 中級 以 上の 人民 法 院 に減 刑 建 議 書 を提 出 す る。 こ の減 刑 建 議 書 は,執 行 機 関 が 人民 法 院 に減 刑 を建 議i す る た め に作 成 す る正 式 の書 面 で あ るが ,人 民 法 院 はsこ れ に基 づ い て 減 刑 裁 定 書 を作 成 す る。執 行 機 関の 減 刑 建 議 書 が な け れ ば ,人 民 法 院 は, 減刑 事 件 を受 理 しえ ず,減 刑 裁 定 書 を作 成 す る こ と もで きな い。 この 減 刑 建 議 書 を提 出 す る 「執 行 機 関」 は,犯 罪 者 に よ って執 行 場 所 が 異 な る の で,こ れ を提 出 す る機 関 も具 体 的 に異 な る。 無 期 懲 役 ・有期 懲 役 の 減 刑 建 議 書 は,所 在 監 獄 ・労働 改 造 隊 に よ り提 出 され る。 この う ち無期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 の 減刑 建 議 書 は,予 め本 省 ・自治 区 ・直 轄 市 の 司 法 庁(局)に 報 告 し審 査 ・同 意 を得 た 上 で,人 民 法 院 に報 告 して 裁定 を 申請 しな け れ ば な らな い。 拘 留 に処 せ られ た犯 罪 者 の 減刑 建 議 書 は,拘 留 所 ・そ の代 行 施 設 よ り提 出 され る 。 管 制 に処 せ られ た犯 罪 者 の 減 刑 建 議i書は,管 制 を執 行 す る公 安 機 関 よ り提 出 され る。 第 二に ,中 級 以 上 の
X5287 何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 二書(総 論 編19章 一23章) 109
らない 」 と定 め る。 す なわ ち同 条 は,減 刑 後 実 際 に執 行 され る刑期 につ い て,減 刑 の 回 数 に関 わ りな く,管 制 ・拘 留 ・有期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 の場 合 に は原 判 決 の2分 の1を,無 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 の場 合 には10年 を,下 回 って は な らない と して い る。
(4)減 刑 の 開 始 時 期 ・間 隔 ・幅
犯 罪 者 は どれ だ け の期 間 を服 役 す れ ば減 刑 され る か。 また,減 刑 の 幅, 前 後 二 回 の 減刑 の 間隔 は どの程 度 か 。 これ らは,解 決 の 必 要 が あ る司 法 実 務 上 の 問 題 で あ る と同時 に,減 刑 制 度 が 機 能 を最 大 限 に発揮 して最 大 限 の 効 果 を上 げ る こ と に も関 わ る問 題 で あ る 。 これ につ い て,最 高 人民 法 院10月28日 「規 定 」 は,犯 罪 者 の原 判 決 の刑 種 ・刑期 と服 役 態 度 の 違 い に応 じて,異 な る期 間 と幅 を定 め る。
1)有 期懲 役 に処 せ られ た 犯 罪 者 の 初 回 の減 刑 時期 と間 隔 は,次 の 通 りで あ る。5年 以 上 の 有期 懲 役 に処 せ られ た 犯罪 者 は,一 般 に1年 半 以 上 を執 行 され る と減刑 が な され うる が,二 回 目の 減 刑 との 間隔 は,一 般 に1年 以 上 開 けね ば な らな い。10年 以 上 の 有期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 は,初 回 に2年 な い し3年 を差 し引 い た有 期 懲 役 に減 刑 後,再 び減刑 さ れ る ため に は,そ の 間 隔 を少 な くと も2年 開 け ね ば な らな い。5年 未 満 の 有 期 懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 は,初 回 の減 刑 時期 と間隔 が 今 述 べ た規 定 よ り適 度 に短 縮 され う る。 重 大 な立 功 が あ っ た場 合,初 回 の減 刑 時 期
と間 隔 に関す る制 限 は,こ の 限 りで ない 。
有 期懲 役 に処 せ られ た 犯 罪 者 が 刑 執 行 期 間 中 に減刑 され る幅 は,次 の 条 件 に則 して定 ま る。 改俊 ま た は立 功 が あ った者 は,一 般 に初 回 の減 刑 で1年 を超 え ない刑 期 を差 し引 い た有 期 懲 役 とな り,そ の双 方 が あ った 者 お よび 重 大 な立 功 が あ っ た者 は,一 般 に2年 を超 え な い刑 期 を差 し引 い た有期 懲 役 とな る。10年 以 上 の 有 期懲 役 に処 せ られ た犯 罪 者 は,著 し い 改俊 また は立 功 が あ る場 合,初 回 に2年 を超 え ない刑 期 を差 し引 い た 有 期 懲 役 とな り,そ の 双 方 が あ る場 合 また は重 大 な立功 が あ る場 合 に は, 初 回 に3年 を超 え ない刑 期 を差 し引 い た 有期 懲 役 とな る。
2)無 期 懲 役 に処 せ られ た 犯 罪 者 は,そ の執 行 期 間 中 に改俊 また は 立
cos 神 奈 川 法 学 第34巻 第2号2001年 (529}
活 で 他 人 を全 力 で救 助 した と き,⑤ 自然 災 害 の 救 済 また は重 大 な事 故 の 排 除 に著 しい働 きが あ っ た と き,⑥ そ の 他 国家 ・社 会 の た め に重 大 な貢 献 を した と きで あ る。 同 条 に よれ ば ,そ こ に定 め る事 情 の 一 つ に該 当す る犯 罪 者 は,そ れ だ け で必 ず 減刑 され る。 刑 法78条 は,減 刑 に つ き前 記 二 つ の事 情 を定 め て い る。 そ れ ゆ え,犯 罪 者 に減 刑 を適 用 す る か否 か を 決 定 す る際,減 刑 が必 要 的 な重 大 な立 功 と裁 量 的 な通 常 の改 俊 立 功 と を 明確 に区別 す る こ とが,実 務 に は求 め られ る。 これ を明 確 に 区別 して 初 め て,減 刑 が 適 切 に適 用 され うる か らで あ る。
こ こで は,最 高 人民 法 院 「規 定 」 に よる と,減 刑 要 件 の理 解 に あ た っ て次 の諸 問題 に注 意 す る必 要 の あ る こ と を指 摘 して お く。① 犯 罪 時 に未 成 年 の 犯 罪 者 を減刑 す る場 合 ,先 の基 準 を緩 や か に解 して,法 に よ り成 年 犯 罪 者 よ りも適 度 に寛 大 な処 理 を行 い うる。 未成 年 犯 罪 者 が 罪 を認 め
て法 に服 し収 監 規 則 を遵 守 して積 極 的 に学 習 ・労 働 に参 加 す れ ば
,改 俊 と認 め て減 刑 しう る。② 犯 罪 者 が 老 人 ・身体 障 害 者(自 傷 者 を除 く)で あ る場 合 の 減 刑 は,現 実 の悔 悟 の 態 度 に特 に注 意 しな け れ ば な らな い
。
③ 仮 釈 放 され た 犯 罪 者 は,特 殊 な事 情 の あ る場 合 を 除 き,一 般 的 に減 刑 しえず,仮 釈 放 の観 察期 間 も短 縮 して は な らな い。 また,司 法 実務 に よ る と・ 国 家 の 安 全 を害 す る重 大 な罪 を犯 した 者 お よ び 犯 罪 集 団 の 首 謀 者 ・主 犯 ・累 犯 の 減 刑 は,厳 格 に処 理 しな け れ ば な ら な い と され て い
る。
(3)減 刑 の 限 度
減 刑 に も一定 の 限 度 が な け れ ば な らず ,こ れ が 減 刑 適 用 の 制 約 的 要 件 とな る。 減 刑 に一 定 の 限 度 が あ る と して も,そ れ は適 切 な限 度 で な けれ ば な らな い。 減 刑 の 幅 が 小 さす ぎる と犯 罪 者 の改 造 促 進 に不 利 益 を及 ぼ し,逆 に大 きす ぎる と原 判 決 の 厳 格性 ・安 定 性 が 害 され か ね ず
,犯 罪 者 の改 造 に な らず ,罪 刑 相 当 が 困 難 に な る。
刑 法78条2項 は,「 減 刑 した 後,実 際 に執 行 され る刑 期 は,管 制,拘 留 又 は有 期 懲 役 に処 せ られ た場 合 は ,原 判 決刑 期 の2分 の1よ り少 な く
して は な らず,無 期 懲 役 に処 せ られ た場 合 は ,10年 よ り少 な く して は な
(530)
何 乗 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 107則 を真 摯 に遵 守 して改 造 を受 け 入 れ改 俊 立功 の あ っ た者 に対 す る減 刑 で あ る。刑 法 は,改 俊 立功 の 意味 につ い て,具 体 的 な規 定 を設 け て い な い。
そ こで,1997年10月28日 の 最 高 入民 法 院 「減 刑 ・仮 釈 放 事 件 にお け る若 干 の 法 律 適 用 の 問 題 に 関 す る規 定(以 下 で は,最 高 人民 法 院10月28日
「規 定 」 と略 称 す る)」 に よれ ば,次 の 四 事 情 全 部 に該 当す れ ば,改 俊 が あ っ た と認 め られ る。 す な わ ち,① 罪 を認 め法 に服 す る こ とi② 犯 罪 者 改 造 の行 為 規 範 を 一貫 して遵 守 す る こ と,③ 政 治 ・文 化 ・技 術 の学 習 に 積 極 的 に参 加 す る こ と,④ 積 極 的 に労 働 に参 加 し,公 共物 を大 切 に し, かつ 労 働 任 務 を完 遂 す る こ とで あ る。 こ こで はs犯 罪 者 が 刑 の執 行 期 間 内 に減刑 を 申請 す る場 合,そ の 申請 権 が 法 に よ り保 護 され るべ き こ とを 指摘 して お く。 犯 罪 者 が そ の 申請 を行 う と き には,そ の事 情 を具体 的 に 分 析 して,罪 を認 め て 法 に服 して い る こ とが 確 認 され ね ば な らな い。 ま た,次 の 一 事 情 に該 当す れ ば,立 功 が あ っ た と認 め られ る。 す な わ ち,
① 他 の 犯 罪 者 に よ る監獄 内 外 の 犯 罪 活 動 を摘 発 告 発 し,ま た はそ の 犯行 計 画 を防止 す る重 要 な手 掛 りを提 供 して調 査 に よ りそ の事 実 が 判 明 した
こ と,② 他 の 犯 罪 者 の犯 罪 活 動 を阻 止 した こ と,③ 生 産 ・科学 研 究 で技 術 革 新 を行 い著 しい 成績 を収 め た こ と,④ 緊急 措 置 ・被 災 者 救 済 に著 し い働 きが あ っ た こ と,⑤ そ の他 国家 ・社 会 の利 益 の ため に著 しい貢 献 が あ った こ とで あ る。
労 働 改 造 単 位 に よ り省級 の 積 極 的 労 働 者 と評 価 され た犯 罪 者 も,立 功 が あ った と認 め られ る。
こ こで は,既 述 の 改 俊 立 功 が 認 め られ て も,「 減 刑 し うる」 に と ど ま る こ と を指 摘 して お く。 減刑 され る か否 か は,改 俊 の程 度 ・立功 の 大 小 な どの事 情 を総 合 的 ・全 面 的 に考 察 して初 め て決 定 され る。
第 二 の 減刑 は,重 大 な立 功 の あ っ た犯 罪 者 に対 す る減 刑 で あ る。 刑 法 78条 は,次 に掲 げ る重 大 な立 功 の 一 つ に該 当す れ ば,減 刑 しな けれ ば な
ら ない と定 め る。 す な わ ち,① 他 人 の 重 大 な犯 罪 活 動 を 阻止 した と き・
② 監 獄 内 外 で の重 大 な犯 罪 活 動 を摘 発 し,調 査 に よ り事 実 が判 明 した と き,③ 発 明 創 造 また は 重大 な技 術 革 新 が あ った と き,④ 日常 の 生 産'生
106 神 奈 川 法 学 第34巻 第21}2001年
(531)
減 刑 は ・ わ が 国 の 刑 事 立 法 初 め て の 試 み で あ る。 刑 の 執 行 期 間 の犯 罪 者 の 態 度 は そ れ ぞ れ 異 な る。 真 摯 に改 造 を受 け 入れ る者
,明 らか に改 俊 す る 者,さ らに立 功 の あ る者 まで い る。 そ れ に よ り,人 身の 危 険 性 の 減 少 が 示 され る。 これ に基 づ き刑 を適 度 に軽 くす れ ば,犯 罪 者 の 改 造 を促 進 す る こ とが で き,他 の 犯 罪 者 の 改 造 を促 進 す る積 極 的 な作 用 も得 られ る。 この こ とは,懲 罰 寛 大 結 合 と懲 罰 改 造 結 合 の政 策 を貫徹 し
,消 極 的 要 素 を積 極 的 要 素 に変 え刑 罰 目的 を実 現 す る の に重 要 な意義 を有 す る
。
2.減 刑 の 適 用
(1)減 刑 適 用 の 対 象 範 囲
刑 法78条 に定 め る減 刑 は,管 制 ・拘 留 ・有 期 懲 役 ・無 期 懲 役 に処 せ ら れ た犯 罪 者 に適 用 され る。 国 家 の安 全 を害 す る罪 を犯 した者
,そ の他 の 刑 事 犯 を犯 した者,故 意 犯 ・過 失 犯,累 犯 ・常 習 犯 を問 わ ず,減 刑 の法 定 要 件 さえ 充足 す れ ば足 りる。
死 刑 執 行 猶 予 後2年 満 了 者 に対 す る減 刑 は ,死 刑 執 行 猶 予制 度 の … 部 で あ る。死 刑 執行 を猶 予 され た 者 は,そ の 執 行 猶 予 期 間 に故 意 犯 を犯 さ ず2年 を満 了す る と無 期 懲 役 に減 刑 され ,重 大 な 立功 が あ る と2年 満 了 後 に15年 以 上20年 以 下 の 有期 懲 役 に減 刑 され る 。 この 減 刑 は,法 律 の特 殊 規 定 に従 っ て期 日通 りに行 わ れ る。 これ は,一 種 の特 殊 な形 式 に よる 減 刑 で あ り,刑 法78条 の 減 刑 に含 まれ な い。
(2)減 刑 の要 件
刑 法78条 に定 め る減 刑 は,刑 罰 執 行 過 程 で改俊 ・立 功 ・重 大 な立功 の あ っ た者 に の み適 用 され る。 これ が ,減 刑 適 用 の 実 質 的 要 件 で あ る。刑 罰 執 行 過程 の 犯 罪 者 に改俊 ・立 功 ・重 大 な 立功 の あ る こ とは,一 定 期 間 の 改 造 を通 じて主 観 的 悪 性 また は 人 身 の 危 険 性 が 徐 々 に減 少 ・除 去 した こ とを示 す 。この場 合 ,原 判 決 の刑 期 に よ る改 造 は もはや 必 要 な いの で, わ が 国 の刑 罰 の 目的趣 旨か ら して ,原 判 決 の刑 期 の適 度 な短 縮,す な わ
ち減 刑 が 求 め られ る。
刑 法78条 に定 め る減 刑 の 要件 は,二 種 に分 け られ る。 第 一 は,監 獄 規
(532}
何 棄 松 編 著 ・刑 法 教 科 書(総 論 編19章 〜23章) 105告 刑 が 減 軽 され る制 度 をい う。 これ に は,刑 法78条 の 減 刑 以外 に・50条 の死 刑 執 行 猶 予 の 減 刑,53条 の 罰 金刑 の 減刑 免 除,さ ら には無 期 懲 役 を 有期 懲 役 に引 下 げ る と きに,政 治 的 権 利 の終 身剥 奪 を3年 以 上10年 以 下 の剥 奪 に変 更 す る場 合 の よ うな 主刑 変 更 時 の付 加 刑 減 刑 も含 まれ る 。本 節 で い う減刑 は,刑 法78条 の狭 義 の 減刑 で あ る。
1.減 刑 の 概 念
刑 法78条 は,「 管 制,拘 留,有 期 懲 役 又 は無 期 懲 役 に処 せ られ た 犯 罪 者 は,刑 の執 行 期 間 に,監 獄 規 則 を真 摯 に遵 守 して 教育 及 び改 造 を受 け 入 れ,改 俊 の 情 が あ り,又 は 立功 の あ る と きは,減 刑 す る こ とが で きる。
次 の 各号 に掲 げ る重 大 な立 功 の 一つ が あ る と きは,減 刑 しな けれ ば な ら ない 。 … ・」 と定 め る。 この 規 定 に よる と,減 刑 とは,管 制 ・拘 留 ・有 期 懲 役 ・無 期 懲 役 に処 せ られ た 犯罪 者 に対 し,そ の 刑 の執 行 期 間 中 に改 俊 な い し立功 の態 度 が 明 らか に な っ た場 合,原 宣 告 刑 を適 度 に減 軽 す る
制 度 をい う。
原 宣告 刑 の 減 軽 に は,そ の刑 期 を短 縮 す る場 合(有 期 懲 役 ・拘 留 ・管 制 の 刑期 を短 くす る こ と)と 無期 懲 役 を有 期 懲 役 に引 下 げ る場 合 とが あ
る。 有 期 懲 役 を拘 留 ・管 制 に,ま た拘 留 を管 制 に引 下 げ る こ とは で きな い 。 なぜ な ら,こ れ ら三 つ の刑 種 は,そ の執 行 場 所 ・執 行 方 式 ・犯 罪者 の処 遇 が そ れ ぞ れ 異 な るか らで あ る。
減 刑 は,判 決 の 変 更 〈改 判 〉で は な い。 判 決 の 変 更 〔再 審 〕 とは,既 に 法 的効 果 〔確 定 力 〕 が 生 じて い る犯 罪事 実 ・犯 罪 性 質 の認 定 な い し法 適 用 に誤 りの あ る判 決 を是 正 す る こ と をい う。 判 決 を変更 す る に は・ 裁 判 監 督 手 続 に よ り原 判 決 を取 消 し,改 め て審 判 しな けれ ば な らな い・ 判 決 の 変 更 に は,罪 名 ・刑 罰 を変 更 す る場 合 もあ る。 罪 名 の変 更 とは ・ あ る罪 を他 の罪 な い し無 罪 に変 更 す る こ とをい う。 刑 罰 の変 更 とは ・ 原 判 決 の重 い刑 を軽 い刑 ない し刑 免 除 に,ま た は原 判 決 の 軽 い 刑 を重 い 刑 に 変 更す る こ とを い う。 他 方,減 刑 は,改 め て判 決 を下 す の で は な く,原 判 決 を基 礎 と して宣 告刑 を適 度 に軽 減 す る にす ぎな い。