• 検索結果がありません。

Ⅰ Ⅰ 教育課程の再編成

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Ⅰ Ⅰ 教育課程の再編成"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Ⅰ Ⅰ 教育課程の再編成

榎 本 誠

は じめに

平成5年度入学生か ら、改訂 された経営学部の新教育課程がスター トした。 この編成 に関わ る業 務 は3年間の様々な議論 と検討の集積であった。検討当初か らふ りかえってみ ると、 それぞれの段 階で必要 な議論が重ね られていた ことが痛感で きる。たまたま新教育課程調整委員会の取 りま とめ 役 を任 じられた者 として、 この間の議論の中で形成 ざれて行 った この大学教育改革のひ とつの試み の意味 と重要性 を、改めて認識せ ざるを得 ない。 その意味で ここに当時の資料 をもとに事例報告の 形で記録 に留めてお くことが、経営学部の次の飛躍の一助 となることを確信す るものである。

1.新教育課程調整委員会の課題 と役割

平成4年3月の教授会 において経営学部新教育課程 (以下 「新カ リ」 とす る)の骨子が承認 され、

それ までの作業 を進 めて きた 「ワーキンググループの任務 は終了 した。 さらに具体的なカ リキュ ラム策定のために、学部長 を責任者 とす る 「新教育課程調整委員会」 (以下 「カ リ調」 とす る)が 教授会 にて設置 され、海老沢教授、照屋教授、後藤教授、加藤薫教授、丸岡講師、 そ して筆者が選 任 され、さらに教務事務職員2名を加 えて、 この特設委員会 において検討作業 にあた ることとな り、

翌月4月8日に第 1回の委員会が開かれ、互選 により筆者、榎本が委員長 として取 りまとめを行 うこ とになった。 こうして、わが学部の教育改革への胎動は具体化へ向けて次の段階を迎 えることになった。

さて、新たに発足 した特設委員会 に対 して付託 された役割 は どのようなものであったのかについ て、 はじめに少 し触れておきたい。

平成4年3月の臨時教授会での決定事項 は次の とお りであった。

(1) コース制 について

マネジメン トコース、環境 コース及 び コミュニケーシ ョンコースの3コース制 を採用す る。

(2)教育課程の枠組みについて

【授業料 目区分】 【卒業要件単位数】

基本科 目

= 国際経営科 目

t ≡

共通基礎科 目 10 外国語科 目 12 保健体育科 目 2 経営基礎科 目 30 必修科 目 4 選択必修科 目 16 選択科 目 50 (計 124)

(2)

(3)セメスター制の考 え方 について

一部 を除き、現行のカ リキュラムでの四単位の授業科 目をⅠ(前期開講)及びⅠⅠ (後期開講) に分割す る。その際、 Ⅰ及び ⅠⅠの履修順位制限等 は各担当教員が個々に設定 し、履修要覧等 に 明記す る。

(4)学生の年間履修 申請単位数 について

原則 として年間44単位 を上限 とす る。但 し、病気及 び留学等の特別 の理 由がある場合 は、教 授会の議 を経て、 これを越 えた申請 を認 めることがで きる。

( 5)2

年次後期開講の 「演習Ⅰ」の履修資格 について

「2年次前期修了時に30単位以上 を修得 している者」 とす る。

(6)経営学部学生の理学部開講科 目の履修 について 12単位 まで認 める。

(7)理学部学生の経営学部開講科 目の履修 について

前述の 「授業科 目区分」の共通基礎科 目及び 「演習Ⅰ・ⅠⅠ・Ⅲ」 を除 くすべての授業料 目に ついて認 める。

(8)シラバスについて

今回提案 された教育課程改訂原案 に係わ る全ての授業科 目に関す るシラバスを、専任教員 に ついては3月末 まで、非常勤講師については4月末 までに提 出す ることとした。

(平成434目付 16回 (臨時)教授会議事録」 より)

言 うまで もな く、 この ような骨組 に至 るまでにも多大 なエネルギーを費や し、多 くの議論 の積 み重 ねがあった。 このプロセスを経て、次の段階 として新カ リキュラムの骨組 に どのような肉付 けをす

るかが問題であった。

これを受 けて、平成4年4月の第 1回のカ リ調で確認 した作業課題 は次のような ものであった。

(1) 理学部 との調整

(2) 全学の教育改革 との調整 (3) 経過 (移行)措置

(4) 各 コース責任者の配置 (5) 担当教員の持 ちコマ数 (6) 新設科 目の担当 (7) 「海外実習」の運営 (8) シラバスの作成

(4月8日付 「第 1回新教育課程調整委員会議事録よ り)

かな り大 まかな課題設定ではあるが、その当初 は3月の教授会決定 を受 けた新カ リの骨子 をそのま ま具体化 させ ることで、 ほぼ この特設委員会の役割 は果たせ るもの と考 えていた。前記 (1)の理 学部 との調整 については、理学部 ・経営学部合 同の会議 を通 じて学部長お よび学科主任 レベルでの 調整 となることが想定 されてお り、同じ く (2)の全学の教育改革 との調整 については、学部長 を はじめ とす る学部代表委員がそれぞれその任 にあた ると考 えていた。従 って、 この時点では与 え ら れた課題 はさほ ど大 きい ものではないかのように思われた。ただ し、理学部で考 え られていた新教 育課程の構想 と、経営学部の 「一般教育 と専門教育の区別 をな くす とい う先端的なアイデア との 間には、かな りの隔た りがあった。 これ は全学の教育改革 との隔た りとも共通す るものであ り、 そ の意味では全学 を通 じて最 も先端的な改革案 を経営学部 は準備 していた と言 える。

この ような状況の もとで調整作業へ と取 りかかったのだが、実際 に検討 を始 めてみ ると、予想 に

(3)

反 して様々な難問が待 ち構 えてお り、 それ らを一つ一つ クリア してい くことは、全 く至難の技 とも 言 える、別 の言い方 をすれば綱渡 り的な作業 を積み重ねて行かざるを得 なかった。特 に大学の教員 組織 とい うものは、学部単位で考 えると、学部教授会 を最高の意思決定機 関 として合議制 を基本 に 運営 されている。従 って、各々の教員が様々な学識 と教育経験 を持 ち、多彩な視点 に立って判断す るわけであるか ら、企業体のように必ず しも トップダウン的な命令系統があるわけではない。 これ は、学問 と教育の自由を確保す るために与 えられてい る自治組織だか らであ り、 その意味では非常 に重要であ りかつ意義のある組織形態であるO しか し、一旦何か事 を為す場合、 ともす ると議論百 出 し、結局現状維持の結論やむむな し、 といった場面が出て くる。 こうした意思決定のプロセスの 是非 は ともか くとして、教育課程改訂 とい う学部教育の根幹 をなす部分 に係わ る審議であ り、意思 決定であるがゆえに、事前の慎重な検討が求め られ るのである。従 って、先 に挙 げた教授決定の各 項 目について も、実施 を前提 にした ものではあったが、既存の各種制度 との関係 をも考慮 に入れた ものではなかった。 その結果一事不再理の原則 を曲げて修正審議 を行 い、新たな議論 を重ね る必要 があった。新教育課程の編成の特徴 とその議論のプロセスを、調整委員会での作業 と関連 させ なが

ら、以下各項 目を挙 げて述べておきたい。

2.「新カ リ」策定の経緯 (1)一般教育科 目の再編

従来の 「一般教育科 目」 と 「専門教育科 目」 とい う科 目区分では、広い意味で 「専門教育科 目」

に対す るイ ンフラとしての 「一般教育」 とい う考 え方 と、 「一般教育」 その ものに自律的存在意義 を兄いだす考 え方の二種類が混在 していた。設置基準の大綱化 によって打ち出された特長の中に、

「専門 と一般教育 との連携及 び教養教育の重視」がある。 この主張の背後 には硬直化 した大学教育 の現状への反省が こめ られていることは言 うまで もない.従来の一般教育科 目と専門教育科 目とい う枠組みを解体す ることの意義 については、 ここでは触れないが、文部省 の設置基準の大綱化 に伴 い、科 目区分が主体的に設定出来 るようになった ことは、各大学の教育課程の再編 を促す大 きな要 因である。 しか し、 この点について これ までの概念 を一挙 に塗 り替 えるような改革を示 した大学 は、

今 までの ところ寡聞に して見 当た らない。本学部の挑戦 はここか ら始 まった といって も言い過 ぎで はないだろ う。すなわち、 「一般教育科 目」 を 「基礎教育科 目」や 「共通基礎科 目 といったネー ミングで模様替 え しているきらいが否めないのである その背景 には様々な大学内部の事情が反映 されていると思われ る。そもそも概念的に一般教育 と専門教育 とい う区分 をな くし、全体 としての 高等教養教育 をめざす ことは本学部創立理念の一部であった。従 って、今回の大綱化 を期 にこの理 念 を教育課程 に反映 させ ることとなったのである。 その意味ではこの改訂の大 きな目的のひ とつが

ここにあると、言 えよう。

今回の改訂で大 きな構造の変革 となったのは、大学生 に対す る初期教育のあ りかたについての発 想の転換である。誤解 を恐れずに言 えば、現 に本学部のような中堅 レベルの学部入学生の一般的特 性 は、次のようにま とめ られ る。

Q)不本意入学 による学修意欲の乏 しき

②断片的知識の集積 ・統合能力の乏 しき

③問題解決のための方法論 と経験 の無 さ

また、大学生一般 に見 られ る傾 向 としては、①授業中の私語の多 さ、② 日常的な挨拶 も出来ない、

あるいは しない。③ 自分の考 えを論理的に、適切 に表現出来ない。④精神的プレッシャーに弱 く、

きついことを嫌 う。⑤知的好奇心が乏 しい、等があげられ よう。 こうした現象の原因は、大学入試

(4)

制度の問題、中 ・高教育の問題、家庭環境 ・家庭教育の問題、大学進学率の増加、等々の様々な要 因が考 え られ る。 しか し、だか らといって大学教育 はこれ に対 して無関係ではあ り得 ない。現状 を 見て も、 また近い将来の18才人 口の減少 に伴 って生 じる入学者の質的低下 を考 えてみて も、 この現 実 に対応す るプログラムを早急に構築す る必要 に迫 られていると言 える。 ざらに教員サイ ドも当然 の ことなが らこの現実 に対応す ることを余儀 な くされているのである0

今 回の改訂ではこの様 な認識の もとに、 旧一般教育科 目群 を所謂専門科 目群 と同列 に配当 し、最 終的科 目区分で言 えば 「専攻科 目」 として位置づ けたのである。 また、 その際 に新たなる工夫 とし て、科 目名称の検討 を行 った。 これは科 目名称 と内容 との乗離 を是正 し、学生 に分 りやすい ものへ と改変 しようとい う検討であ り、出来 る限 り講義内容 を端的に表す名称へ と変更す ることとしたの である。 この構造的な変革を試み るなかで、従来の一般教育ではな く学部教育全体か ら見た初期教 育の在 り方 と形態を模索す ることになる。すなわち、 どのようなメニ ューによって学生 に大学生 と

しての自覚 を持たせ、知的好奇心をかきたて、本格的な学部教育へ と導入す るのか とい う問題 であ り、 その問題へのひ とつの解答が この新たな る教育課程の編成であった。

(2) コア科 目の設定

こうした大 きな変革 を背景 として検討 され る中で生 まれたのが、新カ リの中核 ともい うべ き科 目 群である. これ らは、いわゆるイ ンフラ科 目 (infrastructure)とで も言 うべ き科 目群 として位置 づ けられ得 るものである。

新カ リにおけるイ ンフラ科 目の位置づ げは、次の ような各点に集約 され る。

①入学 当初 の学生 を高枚3.5年生 と位置づ け、大学教育 に必要 な基盤 とな る 「読 み ・書 き ・発表 し ・問題解決の道 を探 る」技能 を身 につけさせ、学修への積極的な取 り組みを促す。

②高等学校 までの断片的知識 を再編 し、学部教育の総合的教養の基礎 とす る。

③国際経営学科 としての最重要科 目を学年進行 に応 じて学 ばせ る。

④外国語への理解 と運用能力 を高める。

⑤保健 ・体育を通 じて、 自己の身体的健康管理 を身 につ ける。

この基本的な考 え方 を基礎 に編成 されたのが 「基本科 目」群である。 ここで少 しその成立過程 と 特長的な議論 について触れておきたい。

「基本科 目 群 は以下のような変遷 をた どって最終案へ と固め られた。

(A)(丑基礎演習、②文章表現法、③速読 ・速記法、④身体表現法、⑤知的空間入門、⑥地域空 間入門を新設 し、全てを必修 として 1年前期 に履修 させ る。

(B)①基礎演習、②文章表現法 を必修 とし、③速読 ・速記法、④身体表現法、の うちか ら‑料 目選択必修 とす る。 さらに、⑤知的空間入門、⑥地域空間入門 Ⅰ、⑦地域空間入門 Ⅲ、⑧ 史的背景入門の うち2科 目選択必修 とす る。

(C)(彰基礎演習、(参文章表現法 を必修 とし、③速読 ・速記法、④身体表現法、⑤知的空間入門、

⑥地域空間入門 Ⅰ、⑦地域空間入門 ⅠⅠ、⑧史的背景入門の うち3科 目選択必修 とす る。

これ らの原案の基本特性 は、イ ンフラ科 目の核 とな る(丑の 「基礎演習を中心 に据 え、 「読む ・ 書 く ・表現す る」をね らった科 目群②、③、④ を配置 し、 さらに学部 における講義への導入的基礎

としての⑤、⑥、⑦、⑧、の科 目群 を設定 している点である。 これによ り、各科 目間の位置づ げを 明確化 し、有機 的連関性 を生み出す ことをね らい としている。いわばコア ・カ リキュラム的要素 を 導入す ることによ り、大学で学ぶための方法論 とその姿勢 を集 中的に培 うことが可能 とな ると考 え

られ るのである。

(5)

前記の大 まかな概念図か らも分 るように、各科 目間の有機 的連携 (リンケージ)が必要 となる。

特 に 「基礎演習をコア とす る 「文章表現法」 「速読速記法」 「身体表現法」の連携が計 られ ること が特 にこの枠組みを十分 に機能 させ ることになる。従 って、従来の大学 における各授業科 目の孤立 性の殻 を脱 ぎ捨て、学部教員共通の教育の場 として新たなる意識 と意欲が求め られ るとも言 えよう。

特 にこの初期教育の中核 として設定 された 「基礎演習は、小人数単位 の双方向授業 を確保 し、

学部で学ぶ姿勢 と方法論、そ して卒業 までの4年間の学修設計、 さらには教員及 び友人 とのコミュ ニケーシ ョンを通 じた人間的ふれあい と人生設計‑の導入、 といった様々な要素 を想定 してい る。

ともす ると孤立化 しがちな若者たちに、広 く知的に目を聞かせ、能動的な学ぶ主体 としての自己の 確立 を促す役割 を担 ってい る。 これ は上位学年での 「演習」 とは基本 的に性格 を異 に し、 「基礎演 習の活動 を通 して、他のイ ンフラ科 目で学習す る要素 を総合的に定着 させ る機会 として設定 され てい るか らである。

もちろん、 このような性格の科 目設定 について異論が無かったわけではない。あ くまで も 「大学」

とい う学問の府 として高度 な学術 の伝達 をその使命 とす るとい う従来 の概念か らすれ ば、 「こんな 初歩的な入学前教育的なものまで行 う必要があるのか」 という、 もっ ともな思いが最大の反論であっ た。 もっ とあ りていに言 えば、教員サイ ドか らす ると、 「大学 の教員が中 ・高の教員 のように生活 指導的な ことまでや る必要 はない」 とい う思い、言 い換 えれば、 「専門を離れて、大学 の教員 に何 がで きるのだ」 とい う不安 も同時に露呈 されていた。 この議論 は 「研究 と教育」 とい う、二足 のわ らじを履 いた 「大学教員」の苦悩 と矛盾 にまで波及す る本質的な問題 を学んでいることは否めない。

しか し、問題 の根本的な解決 はそ う簡単 には計れない ことも事実である。従 って、本質論議 は とも か くとして、現実的問題か ら議論 を整理 し、判断 して行かざるを得 ないのである。つ ま り、我々が 受入れ る学生たちを責任 を持 って育て、社会へ送 り出すための必要 なプログラムは何か、 とい う点 に焦点を合わせ ざるを得 ないのである。端的に言 えば、従来の大学教育のパ ターンを少な くともこ の初期教育においては捨て去 り、個々の学部教員が専門的知識以前の人間教育 に携わ る必要性があ るとい うことである。 これは、現 にその必要性 をもつ学生が存在す る以上、避 けることの出来 ない

(6)

ものなのである。 このような問題 を取 り扱 う場合、抽象的な理念論の段階をク リア した後 は、 あ く まで も現実的状況 をふ まえた レベルの議論 に集 中 しな くては、決 して何 も生み出せ ない。本学部の 現状を しっか りと認識 した うえで、具体的な方策 を考 えなければな らない。

また、 もう少 し細かい ことに触れれば、 これ まで高年次生の専門教育科 目のみを担当 していた教 員 は、低年次生 (1・2年次生) と接す る機会 は乏 しく、彼等が どの ような状況の中で大学生活 を 送 っているのか とい う実感 も乏 しかった。極 めて多感な成長期 にある学生たちは、大学での教育課 程以外の場で、家産、友人関係、 アルバイ ト、等の社会的経験 の中で、年 を追 う毎 になにが しかの 人間的成長 を重ね る。従 って、従来下位年次生 ばか りを扱 って きた教負 (一般教育科 目 ・外国語 ・ 体育)たちの実感 と、ずれが生 じることがあった。 この意味で、入学直後 の学生たちを指導す る場 面 を通 じて、彼等の背景 を認識す る機会 として機能す ることも期待 され るのである。

さて、 こうした背景 をふ まえて設定 された 「基礎演習」 は、原則的に学部専任教員全員が担当す ることが望 ましく、専門性 を薄めて教養教育の基盤 の核 とな る科 目を目指すわけであるか ら、学生 のみな らず学部所属 の教員一人一人が この科 目を発端 に、継続性 のある教育体系 を意識す ることが 大切 な要素 となる。ただ し、負担の度合いに応 じて、一部交代制 を とりなが ら行 うことにな るだ ろ うと予想 された。 また、各担当者間での指導内容の均一化 の是非が問題 とな る。学生 に とっては必 修であ り、機械的に各基礎演習へ と振 り分 けられ るのであるか ら、担当者間の指導内容の格差が広 が ることは好 ましくない。従 って、必要最小限の統一シラバスの合意形成が必要条件 なのである。

(3) コース制 と科 目配置

今回の新教育課程 に伴 い新たに3つの コースを設定 した。既 に触れた ように、マネジメン ト、環 境、 コミュニケーシ ョン、の各 コースである。 この決定 に至 るまでにも様々な角度か ら議論が行わ れたのだが、 「国際経営学科」 とはいえ、理念 的にも実際の科 目構成上 も、実 に多様 な分野 を内包 してい ることか ら、 自ずか ら学生のガイ ドライン的な指標 を用意す る必要があった。 また、入学 し て くる学生のほ うにも多様 なニーズがあ り、彼等の学修 をよ り効率的なかつ効果的なものにす るた めにも、なにが しかの手立てが必要であった。学修 の効率化 とは、多彩なメニューの中か ら学生の めざす学問分野 を体系的に学ぶ ことが出来 るようにす る、 とい うことである。 ともす ると、学生た ちは単 に卒業要件単位数 を充足す るためだ けに、 もっ と悪 く言 えば単なる数合せ的に手当た り次第 に履修す る傾 向が見受 けられ る。 こうした安易な方向に歯止 めをか ける必要性があった。 その中で 検討 されたのが コース制 なのである。

まず、 「国際経営」学科 を大 き く3つの概念で くくり、 それぞれの特徴 的要素 を検討 した。多様 な学際的側面 を持つ本学部 は、本来 「国際経営学部 としての出発 を意図 していた。従 ってその意 味では、カテゴリーの規模が小 さ くなった とはいえ、少な くとも幾つかのセグメン トによって区分 す ることは決 して無理な ことではなかった。ただ、各分野が相互 に関連 し、繋が り合 うことが 「国 際経営の基本 的概念 で もあ る。従 って、 区分 と融合 の兼 ね合 い、 言 い換 えれ ばSeparationと interrelationとい う2つ の性格 を両立 させ な けれ ばな らなか った。検討 のた めの議論 の中で は

「『学科』 に準ず るような壁 を作 るべ きではない」、 とい う意見が主流 を占め、 あ くまで も 「緩やか なコース制」 とす ることで結論 を得た。 しか しなが ら実際 にはコースを設定す る以上、 それが単な る表記上の区分で終わ ることでは実質的な意味を持たず、学生 に効率の よい学修 を促すためには先 に述べた ような性格の両立 を考 え出さねばな らないのである。

この間題 をクリアす るために発案 ざれたのは、各 コースにそれぞれ必修科 目をもうけ、 この コー ス必修科 目を他 のコースの選択必修科 目とす る案であったOつ ま り3つの コースがお互 いにセグメ

(7)

ン トの基本 とな る科 目を特定 し、 それ らが他 のコース とクロスオーバーす ることによって、お互い の関連性 を保つ ことが出来 ると考 えたわけである。すなわち、あ くまで も学科 としてのまとま りを 保持 し、同時にコース としての特色を生かせ る余地 を残す ことをね らったわけである。技術的には、

各 コースの必修科 目数 ・単位数を最小限にまで切 り詰 め、 さらに各 コース固有の選択必修科 目の単 位数 を揃 え、 さらに他 の コースの必修科 目を選択必修科 目に加 えることで、 それぞれの コースがほ ぼ同 じ条件の下 に科 目を設定 し、メニューを提供す ることになった。 もちろん他の コース固有の選 択必修科 目は選択科 目として履修可能である。 この方策 はもう一つ、学生の コース間の変更移動 に

も可能性 を残す ものであ り、 その意味で も 「緩やかな コース制」を実現 した と言 える。

ここで もうーっ触れておかなければな らないのは、制度適用の具体化 の基礎 となる考 え方である。

通常学科区分 の下 にコースを設 ける場合、 コース定員及び コース主任教員、 さらにコース所属教員 配置等 を整備す る方法がある。 しか し、前述の ようにかっち りとした コースによって学生 と教員を 区分 けす ることは今回の趣 旨ではない。従 って、当面 はこうした要素を限定せず、学科 として コー ス制の経験 を積み重ねた うえで、必要 に応 じて整備す ることとしたのである。

(4)国際教育 とカ リキュラム

教育課程改訂 において もうひ とつの大 きな問題であったのは、国際教育 とカ リキュラム との関連 である。特 にコミュニケーシ ョンコースについては、今回コース必修科 目として 「国際 コミュニケー シ ョン論 (海外実習 を含む)を新設 した。従来 のカ リキュラムでは実現出来 なかった、国際教 育のカ リキュラム化 を具体化 した科 目である。国際経営学科 における教育の柱 の一つに 「国際教育 の重視」を設定 している。 これは様々な側面 をもつ要素であるが、検討の初期段階か らこの趣 旨を 新教育課程 に具体化す ることが検討項 目の重要 な課題であった。特 に 「異文化体験」 を通 じて学生 の視野 を広 げたい とす る学部の意向を どのようにカ リキュラム として実現す るかがその大 きなテー マであった。

これ まで も学部 として短期の海外語学研修 を実施 して来てい るが、今回 これ をさらに拡大 し、半 数以上の学生を海外研修へ と送 り出 したい とい う意向が提示 された。他大学での実績 を参考 に しな が らも、現在の学部の実情 を考慮 に入れて検討 を始 めたのだが、やは り大量の学生の海外派遣 はあ ま りにも大 きな制度の変更 を必要 とし、学部 レベルだけの問題ではない面 も多分 に含 まれていた。

従 って、今回は確実な実行可能性の高い方策 によってカ リキュラム化の第一段階を実現す るために、

検討 を重ねたのである。

さまざまな審議 を経て合意 されたのは、 「国際 コミュニケーシ ョン論」 とい う科 目において この 意向を実現す るとい うものであった。従 って、 「海外実習を含む とい う付帯条件 をつ け、講義部 分 においては実習を前提 としたいわゆる座学 を行い、実習 目的や実習計画 とその意義 を事前学習 さ せ、 さらに短期の実習 とを組合わせた形態 を検討す ることで、新教育課程 に組込む ことが出来たの である。 これ によ り、 コミュニケーシ ョンコースの学生 は必修科 目として履修が義務付 けられ、他 の2コースの学生 も受講希望者 は選択必修科 目として履修す ることにな る。いずれにせ よ、正規の 授業科 目として 「国際教育」 を組込む第一段階が果たされたのである。

(5) 「演習の位置づ け

新教育課程では従来の教育課程では3・4年次必修科 目として置かれていた 「演習 Ⅰ・ⅠⅠ」に加 えて、2年次後期か ら新たに 「演習」をもうけて、2年半 にわた る新たな 「演習」体系を検討 した。

それが新教育課程 における 「演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」である。 これは学部教育の中核 として小人数 による

(8)

「演習」活動 (ゼ ミナール活動) を重視 し、 さらに実 りあるもの とす るための改革である。特 に 4年次生 は就職活動 に伴 い実質的な授業が困難なほ どの状況があることは良 く知 られている。従 っ て、実質的な演習活動 を2年間行 うためにも、2年次後期か らス ター トさせ る必要があった。 「演 習Ⅰ」(2年後期)、 「演習Ⅲ」(3年通年)、 「演習Ⅲ」(4年通年) とし、すべて必修科 目の位置づ

げで設置 された。

さて、 ここで これ までの旧カ リキュラムにおける 「演習」について少 し触れておきたい。旧カ リ キュラムでは 「演習 Ⅰ」 と 「演習ⅠⅠ」は原則的に同一担当教員の 「演習」 とし、連続性 を持たせて、

2年間にわた る演習活動 と卒業論文指導 を通 して、学部教育の中核 の役割 を果 た して きた。学生 は 2年次の後半 に次年度か らの履修す る 「演習」を選択 し、所属の決定 を受 けて、翌年度か ら2年間 同一教員担当の 「演習」 を履修 してきた。今回の改訂 にあたってそれぞれの 「演習」の性格づ げ と 関係が議論 となった。そのなかで特 に各 「演習」の履修形態を どのようにす るのか とい う点に議論 の焦点が置かれた。い くつかの考 え方が示 されたのだが、 それ らを少 し整理 しなが ら紹介 しておき たい。

まず、(∋従来 どお り 「演習 Ⅰ・ⅠⅠ・Ⅲ」 を連続 した もの と考 え、すべて同一教員 とす るとい うも の.次 に(診 「演習 I」 と 「演習II・Ⅲ」を切 り離 して考 え、後者 は同一教員 とす るとい うものO さ らに③ 「演習 Ⅰ・ⅠⅠ」と 「演習Ⅲ」とに分 け、前者 は同一教員 とし、後者 は 「卒業論文指導」 とし て考 えるとい うもの。最後 に、④全てを別々の科 目とみな し、 それぞれ異なる担当教員の 「演習」

に所属す るとい うものであった。 これを図示す ると次のようにな る。

≡ⅠⅠ≡Ⅲ IIぎIII

I 圭II

‑‑‑‑‑‑‑・‑すべて連続 した もの とす る

‑‑‑‑‑‑‑・‑‑‑Ⅰのみ独立 した もの とす る

・‑‑‑・・‑‑‑‑‑Ⅲのみ独立 した もの とす る

‑‑‑‑‑‑‑‑‑すべて独立 した もの とす る

ここでそれぞれの形態でのメ リッ トとデメ リッ トをあげておきたい。 まず(Dの場合であるが、 そ の連続性 あるいは指導の継続性、 さらに専門性 を高めることが可能 となる。一方で、担当教員が10 単位 の評価 を握 ることにな り、その心理的束縛がマイナスへ と働 く危険性がある。②で は、継続的 学習効果が期待で き、「Ⅰ」の終了時で 「Ⅱ」以降の演習の選択がで きる。一方、「Ⅰ」か ら継続 し た学生 と、「Ⅰ」 とは異な る演習を選択 した学生 との混在か らくる指導の難 しさが生 じる。③ の場 合 は、卒業論文のテーマを自由に、ゼ ミのテーマ とは異な るテーマで も選択で き、ある程度の集 中 的演習活動が行 える。一方学問への興味を覚 え始 めた時期 に異なるテーマを選択す る危険性があ り、

教員側か らす ると学習過程の異なる学生 を一律 に論文指導す ることになる。最後 に④ の場合 は、 タ イプの異なる3つのゼ ミを履修す ることがで き、学生の自主的判断を尊重す ることがで きる。 しか し、すべてが 「つ まみ食い」で終わる危険性があ り、継続履修 の学生 とそうでない学生 との混在か らくる指導上の問題が生 まれ る。

さて、 この間題 は決 して どれが正解 とい う性質の ものではな く、学部 として この 「演習」 に求め ている役割は何か とい うことによって、それぞれのケースが可能 となる。また、学部の置かれた様々

(9)

な状況 によって、判断の分れ る問題で もある。 そこで、本学部の場合 まず 「演習」の位置づ げ とそ れ を取 り巻 く状況分析 を行 った。 まず担当教員の状況か ら考 えると、従来 は所謂専門分野の教員 に 限定 されていたのだが、今回の改訂で は学部 の基本的方向性が一般教育 と専門教育 との区分 をな く す ことにあ り、その意味で これ までの一般教育関連の教員にも担当を依頼す ることになる。 しか し、

担当 コマ数や負担度 によっては 「Ⅰ・ⅠⅠ・Ⅲ」のすべての演習を担当で きないケース も多々あ り得 ると考 え られた。 また一方では可能な限 り小人数の演習を確保す るためには多 くの担当教員が必要 とな る。 こうした状況の もとでは、「Ⅰ・ⅠⅠ・Ⅲ」のいずれか一つ、 あるいは二つ以上の組合わせ で担当可能 としなければな らないのである。

基本 的に 「演習とは学問を通 じた人間形成 の場であ り、学生の 自主的な研究 ・思考 ・発言の場 であるとい う認識 に立 って議論 を進 め、最終的に次の ような原案 を作成 し、 ようや く結論 を得た。

即ち先 のモデル案の②案 を学部 として運用 す ることとしたのである。ただ し、③ もしくは④ の形態 にも実現の可能性 を残 しておいた。すなわち、②案 を基本 として、3年次か ら4年次へ進む際 に所 属の変更 もあ り得 るとい う結論であった。 この場合の各演習の位置づ け と履修形態について、資料 か ら抜粋 してお こう。

「基礎演習」 は新入学生への初期教育の中心 とし、高校3.5年生 に対す る大学での学習への導 入 と、現在のクラス制度 ・ア ドヴァイザ‑制の強化の側面 を合せ持つ もの と考 える。

「演習 Ⅰ」 は担当教員の専門分野の範囲内で、テーマ設定能力 ・文献収集能力 ・学問の方法論 等 を養成す る。いわばプレゼ ミ、 としての機能 を想定す る。学生 は開設 されてい る 「演習Ⅰ」の 中か ら選択 し、調整の上配属 され る。

「演習 Ⅲ ・Ⅲ」 については継続履修 を原則 とし、専門分野 における研究方法の深化、及 びテー マに関す る考察、 そ して卒業論文作成への指導 を含 んだ演習活動 とす る。但 し、学生本人及 び担 当教員双方の合意の もとで、別 に定 め られ る手続 きに従 って、4年次 に所属の変更 を認 める。

(平成47月22日付 「経営学部教授会資料」 よ り) このように して、新たなる学部教育の中核 的存在の 「演習」が決定 されたのである。

3.新カ リ編成 に伴 う学部間調整作業 (1)理念 と発想の相違

こうしてかな りの進展 をみせた経営学部の教育課程改訂の検討であったが、最終的な段階におい て残 された問題 は平塚 キャンパス としての最終的な調整作業であった。本大学 はご存知の通 り2つ のキャンパス (横浜、平塚)か ら成 り、平成元年 に平塚 キャンパスが経営 ・理学 の新設2学部 を擁 して開設 された。 また、教員組織 としては教養部 を置かず、一般教育 ・外国語 I体育関係教員 はい づれかの学部教授会 に所属する形態を とっている。平塚 キャンパスの場合 は一般教育 (人文 ・社会)

・外国語 ・体育関係の教員 を経営学部 に、そ して一般教育 (自然科学)関係の教員 を理学部 に配置 している。従 って、従来の教育課程 の一般教育 ・外国語 ・体育 については、2学部共通 の開講科 目 として共通のカ リ表 をもとに、両学部で若干の必要単位数の違いがあるだけであった。 また、横浜 キャンパスにおいて も同様 に新教育課程への検討が行われていた。 この場合 は特 に一般教育 ・外国 語 ・体育の再編 をめざす もので、科 目区分等 についての新たなる提案がなされ、検討 されている最 中であった。因みに横浜 キャンパスの検討案 は次のような枠組みであった。

(10)

基本科 目 語学科 目 専修科 目

共通 共通 テーマ 第 1 第 2 基礎 必修 選択 選択

この枠組 みの 「基本科 目」の もとに想定 されてい る科 目群 は、 旧一般教育科 目が土 台 となった も のが大半であった。

経営学部教授会 (平成4年3月)で決定 した枠組 み原案 を同様 に図示 してみ よう。

基本科 目 国際経営科 目

しか も、経営学部 の 「共通基礎 には先 に述べた初期教育科 目が配置 されていた。従 って、 この 食 い違 いを どの ように調整す ることがで きるのかが一つの問題 であった。 これ は、経営学部の検討 していた教育課程 の構造変革のひ とつ、一般教育 と専門教育 とい うパ ラダイムを解体 す る根本 的な 発想 と、 あ くまで も教養 と専門の枠組みを保持 しようとす る発想 との相違であ り、小手先 の調整 だ けで は片付 くことのない問題であった。 また、各学部 の専門 とす る学問の性格や組織 内部 の制度運 用上の制約等 にも関わって、夫々の状況 の もとに必然性 を待 った発想 の違 い とも言 える。 しか し、

様々な経緯 の中で最終的には平塚 キャンパ スの2学部 について は別 に定 め ることが認 め られ、大 き く実現へ と前進 したのであ る。

(2)新 たな るフレーム作 り

先 に述べた ように平塚 キャンパスで は経営学部 と理学部 の2学部が存在 し、 これ まで相互 に一般 教育等の共通性 を持つ教育課程 を実施 して きた。理学部 において も新 たな る教育課程 の編成 をめざ して検討が行 われて きたが、両学部の固めた新教育課程原案 には、先 ほ どの横浜 キャンパ ス との相 違 と同様 な相違が生 じていた。 この段階で我々 は必然的に2つの選択肢 を迫 られ ることにな る。 ひ とつ は両学部 ともに別個 の教育課程 を編成 し実施 す る場合 と、 もうひ とつ は両学部間の調整 によっ てある程度の形態 を整 えて編成 す る場合 とであった。従 って、 まず は後者 の方 向で調整 をはか り、

結果 として無理であ るな らば前者 とな ると考 えた。

調整 に関連 した大 きな問題 は、経営学部 の新 カ リ原案で は旧一般教育科 目に相 当す る科 目はすべ て 「国際経営科 目」の科 目体系 に組み入れている点であった。その中で は従来理学部教員担当であっ た 自然科学 の分野 は除外 されてお り、必要があれ ば他学部聴講 の制度 を利用 す ることが想定 されて いた。 また、両学部 の夫々の原案で は、当然の事だが科 目体系の枠組 み も異なっていた。余談で は あるが、理学部 は3学科制 を とってお り、 それぞれ に新教育課程への考 え方が異 な り、 ようや く3

学科の ま とまった原案が形成 され ようとしてい る段階であった。従 って、理学部 としてはや っ とま とま りか けた原案 を大幅 に修正す るほ どの調整 は避 けたい とい う意 向で あった。経営学部サイ ドも 基本 的姿勢 を崩す ことはない とい う厳 しい前提 の もとに調整策 を探 らね ばな らなかった。

この ような状況 の もとで調整 のための話 し合 いが行 われ、両学部が それ ぞれの固有 の基本方針 を 理解 し合 い、 さ らにキャンパス としての ま とま りの必要性 を確認す るに至 った。

今 回の両学部検討 中の新教育課程改訂 に於 いて、以下 の点 について共通認識 を持 ち調整 を計 る

(11)

こととした。

平塚 キャンパス として、2学部の各々の教育理念 ・教育体系をお互いに尊重 し、同時に同じキャ ンパスにある学部 としての共通性 を持つ教育課程表の策定 に努力す る。 この認識の基本 は、学部 の 「独 自性」の尊重 と、 キャンパス としての 「共通性」 とい う、相矛盾す る方向をま とめること によ り、新 しい時代の大学のあ り方へのわれわれの一つの姿勢 を提示す ることである。 また、両 学部が各 自特色ある教育課程 を提供 してい く中で、人的資源の有効利用 とい う観点か らも、重要 な意味を持つ検討である。

(平成46月24日付 経営学部 ・理学部新教育課程調整報告」経営学部新 教育課程調整委員会 より)

この報告 に述べ られているように、両学部 ともに新たな る大学教育 を模索 し、一つの姿勢 を示 そ うとす る努力の現れであ り、結果 として、科 目体系の枠組みについてかな り隔た りを持つ原案 に新 たなる共通性 を探 ることになったのである。 この調整過程 を少 し述べてお こう。

理学部の枠組み原案 は以下の通 りであった。

共通科 目 専門基礎 専門科 目

必修 選択 選択 必修 選択 選択 必修 選択 選択 科 目 必修 科 目 科 目 必修 科 目 科 目 必修 科 目

まず大項 目において、 「共通科 目」 は理学部で は経営 と理学部の共通開講科 目 とい う認識であっ たが、経営の編成概念 とは食い違 いがあ るため、 「基本科 目」 として位置づ け、理学部の 「専門基 礎もこの 「基本科 目」の中に含 めることで了承 を得た。 さらに 「専門科 目については理学部で も必ず しも 「専門」 とい う表現 にはこだわ らない とい う結論 を得て、新たな名称 を 「専攻科 目」 と して変更す ることとしたのである。 こうして大項 目については、新 しい科 目区分名称 を与 え、次 に 中項 目の検討 に入った。

中項 目については、経営の場合 「共通基礎」の内容 は初期教育 をま とめた ものであ り、理学部の

「共通科 目は主 に旧一般教育科 目に相当す るものであった。 いずれ にせ よ、両学部の立場では初 期教育である。経営に とってはコース選択以前の履修科 目群であ り、経営学部の学生の共通の履修 科 目である。理学部 に とっては三学科共通の履修科 目、すなわち理学部の学生の共通科 目であった。

その意味では、 「外国語」 「保健体育 も同様であ り、すべてを 「共通科 目」 として分類す ることと した。一方、経営の 「経営基礎」 と理学の 「専門基礎」の部分 については、それぞれの学部 ・学科 の基礎 的科 目であることをふ まえて、 「基礎科 目」 とい う項 目で ま とめたのである。 「専攻科 目」の 中項 目分類 は両学部 ともに原案 どお り、 「必修 ・選択必修 ・選択 とい う履修上の区分 を用 いて揃 えることになった。 この ように数回の調整折衝 を経て新たな枠組みを両教授会 に提案 し、決定 を受 けたのである。

基本科 目 専攻科 目

こうして平塚 キャンパス2学部が独 自性 と共通性 とを併せ持つ新たなる枠組みの下 に、科 目構成 を編成 す ることが可能 となったわけであ る。 さらに経営学部で は、理学部開講 の旧一般教育科 目

(12)

(自然科学 の分野) に相 当す る科 目を共通開講科 目 として 「専攻科 目」 の中に取 り入れた。 同時 に 理学部で は経営学部開講 の 「専攻科 目」 の うち理学部学生 に提供 すべ き と思われ る科 目を、 「基本 科 目」の 「共通科 目」のなかに取 り入れ ることとなった。 また、経営学部で はこの科 目体系 に加 え て、 「共通科 目」 の下位 区分 として 「A群、B群、C群とい う区分 けを設 けた。 これ は共通科 目 群 内の分類で あ り、A群 は所謂初期教育科 目群、B群 は外 国語科 目、C群 は保健体育関連科 目とし た。なお、理学部で は 「共通科 目」及 び 「基礎科 目 の下位 区分 として 「必修 ・選択必修 ・選択」

の区分 を設定 した。

(経営学部)

(理学部)

共通科 目 基礎科 目

共通科 目 基礎科 目

必修 選択 選択 必修 選択 選択

科 目 必修 科 目 科 目 必修 科 目

4.「新 カ リ」運用の制度の整備

これ まで新教育課程編成 の経緯 と要点を述べて きたが、新たな科 目編成 のみな らずそれ に伴 って、

新 しい教育課程 を運用 す る上での制度上の整備が必要 となって くる。 しか も、 それ は機械 的 に為 さ れ るような性格の ものではない。や は りそ こには自ずか ら学部全体 の意思が反映 され、 また新教育 課程 を十分 に機能 させ るものでなければな らない。 この科 目体系の構築 と制度の整備 は相互 に関連 し合 って初 めて機能 し得 るものであろう。 その意味で、経営学部 に とって新たな試 みが この制度の 整備 にも生か されてい る点 を述べてお きたい。

(1)年間履修単位制度

この新教育課程 においては、卒業要件単位数 を旧来の142単位か ら124単位へ と削減す ることになっ たのだが、 その意図 は一つ一つの授業科 目の密度 を高 め、過密な時間割 による学生の集 中力の欠如 を生 じさせ ない とい う点で あった。従 って、卒業 に最低必要 な単位数が低下す ることによって ざら に学生の動 きが楽な方へ と流れ、極端 に言 えば必修だ けを残 して、2年間でほ とん どカバ ー して し まうのではないか とい う懸念が生 じた。 これで は本来 の意図 とは全 く逆 の現象 とな る。 そ こで その 歯止 め として年間の履修単位 を制限す る とい う方策 を とることに した。 この趣 旨で設定 された年間 履修 単位数上限は、 「年 間44単位以内でかつ半期31単位 以内 とす る とい うもので あ る。 この算定 根拠 は卒業要件単位数124単位 の うち4年次 においては必修

(

演習Ⅲ) 4単位) のみを残 して、卒 業論文作成 にあた る場合が大半で あろ うと予想 され る。従 って、120単位 を3年間で平均 的 に履修 すれば、各年40単位 とな る。 これ は最低 ライ ンであ り、 さらに 1科 目ゆ とりを持たせて44単位 を履 修 すれ ば基本的には卒業要件単位数 を充足 す る事が出来 る。

さ らに半期科 目が大半で あ り、半期 のみで44単位 を済 ませ ることも可能であ り、 その場合大学へ の継続的な関わ りとい う点で問題 が生 じる。従 って出来 る限 りバ ランス良 く履修 させ るためにも半 期 の上限をも設定せ ざるを得 ないので ある。 この場合 の算定の根拠 は 1年次前期 に必修が集 中 して お り、 それが21単位で あ り、 それ以外の専攻科 目中の選択科 目を5科 目10単位 まで は、十分 に勉学 可能であるとい う判断である。 このような制限を設 けることは本来 的には不本意 な ことで はあるが、

(13)

「下手な鉄砲 も数打ちや当た る」 とい うような、単位数のみに拘泥 した学生たちの安易 な傾 向が 目 にあま り、 またそれがために彼等 はどの科 目にも専念 出来ずに失敗す るケースが多 く見 られた。 こ うした実情 を教育的観点か ら是正す るためにも、いた しかたのない制限 といえる。

しか し、 こうした制限を設定す る一方で、 この制限を越 えて履修 出来 る優遇措置の制度 をも設 け た。 それ は、前の学期での成績優秀者 については、 その学修能力 を認 め、履修制限を若干上回 るこ とを認 めるものである。具体的には前の学期の修得科 目の全素点平均85点以上 または全素点80点以 上の者 を対象 とし、半期6単位、年間12単位 まで制限を越 えて履修す る事が出来 るのである。 これ によ り、意欲 を持つ学生たちの学修 の機会 を広 げ、 また留学希望者等 にも活用 しうる措置 として機 能す ることが期待 され るのである。

(2)進級制度の導入

この制度 自体 は何 も新 しい発想のものではないのだが、本学部ではこれ まで進級制度 (原級留置) を設 けていなかった。 これは一般教育 と専門 との区分 をな くす とい う経営学部の基本精神か らして、

学生の学修形態 にもその方向性 を波及 させ るとい う考 え方 に基づいていた。 しか し、実際には様々 な事情 によ り標準的な単位取得が出来 ない学生が存在 している。過去3年間にわたって経営学部で はこうした単位取得不良者 に対す る面接指導 を行 って きている。 こうした対象学生 は年次進行 に伴 い、負担が増大 し、実質的に極 めて不 自然 な履修計画 をこなさざるを得ず、学修意欲低下や進路変 更 を余儀 な くさせ られ るケース も生 まれてい る。 このような潜在的問題がある一方で、今回の新教 育課程 の基本的特性 を見 ると、 1年次の初期教育、2年次の経営基礎教育 といった基本科 目の消化 が、3・4年次の学修 に大 きな力 となるように配置 されてい ることを重視せ ざるを得 ない。 また、

もう一つの側面 として小人数 による 「演習」 を必修 として設置 し、学部教育の中核 として機能す る ことが期待 されてお り、 その意味か らも 「初期教育‑演習」 とい う継続性 を維持す ることが重要 な 要素 とな る。従 って、 「入ゼ ミ資格の検討 を要請す る意 向が生 まれ、 その検討 の中で進級制度 の 導入の必要性が確認 され るに至ったのである。

さて、具体 的な検討過程では、 どこに進級要件 を設定す るか、 どのような進級要件 とす るか、

進級 出来 ない学生‑の対応 をどうす るのか、 といった3つの要素が議論 された。その結果次のよ うな要件設定が原案 となった。

2年次終了時 までに①‑年次配当の必修科 目32単位 を修得 し、かつ②2年次配当の必修科 目及 び選択必修科 目36単位の うち、2分の1 (18単位)を修得 してい ること。

(第五回 (臨時)教授会議事録6月24日付より)

この原案 をもとに最終的な規定整備が行われ、表現上の修正が行われたが、基本的な考 え方 はこ の原案 に基づいている。すなわち、①では 1年次 に配当されている基本科 目の卒業要件単位 を充足 す ることを求めている。 また②では基本科 目と専攻科 目の2年次配当の必修 と選択必修科 目の うち、

その半数 を充足 することを求めるものである これ は量的な規制 と同時に質的な規制 をも行 お うと す るものであ り、それは先 に述べた新教育課程の特性 に照 して必要なもの と判断され るか らである。

また、 この進級要件 を充足 出来ない学生 については、 その時点で4年間での卒業が不可能 となる。

従 って進級要件 を充足 し得 るように学修指導 を強化す ることも教員 に課せ られた課題 といえる。 ま た、 これ によ り学生たちが よ り緊張感 をもって学修 に取 り組む ことが期待 され るのである。

(3)半期制 の導入

本学部 は 「国際人 の育成」をその教育 目標 の一つに掲 げている。 その一側面 として学生の海外留

(14)

学及 び交流協定提携校か らの短期留学生の受入れ等が行われてきた。 こうした流れの中で当然なが ら日本 の学校暦 と海外のそれ とが合致せず、種々の不都合が生 じていた。特 に4月か ら始 ま り翌年 2月までの実質的な授業期間 とそれに伴 う諸制度 とが、海外へ出ようとす る学生 に とって足伽 となっ ていた。 さらに別の側面か ら見 ると、 1年間の間に受 ける講義 を最終試験で失敗す ると再度 1年間 を費や して履修 しなければな らない とい う、極 めて長 いスパ ンの努力が要求 され るのが現状であっ た。 こうした問題 を少 しで も合理的に解決す るために、半期制の導入が検討 されたのである。

半期制 (セメスター制) もしくは3学期制 (トライメスター制)が多 くの海外の大学で行われて いる学期制である。学年の開始時期 も、 これは国々で違いはあるが、だいたい9月開始が多い こと は周知の ことであ ろう。入学時期 を9月入学 とす るには学部独 自の意向だけでは実現で きない状況 であ り、せ めて半期制 を導入す ることで まず第一歩 を踏出そうとしたのである.ただ し、 この半期 制 も様々な形態が考 えられ、その実施可能性 を探 ることか ら検討 をはじめた。本来的には前学期 ・ 後学期のそれぞれ において講義 を完結 し、単位認定 を行 うことが想定 され る。 また、完全 なるセメ スター制 は前 ・後両学期 ともに同じ科 目を開講 し、半年のスパ ンで新たなメニ ューをこなす ことが で きる。 しか し、現状では開講科 目数が多 く、担当教員の負担か ら考 えて も、 この完全セメスター 制 を実現す るにはまだ様々な条件整備が必要である。 しか し、学部 としては近 い将来 この完全セメ スター制へ移行す るために努力す ることになろう。

このような事情で、今回は完全セメスター制移行への準備段階 として従来通年制 を とっていた科 目をすべて前 ・後学期の2つに分割 し、 それぞれ を独立 した科 目 として設定す ることとした。 これ に伴 い、 これ まで通年の講義形態を行 って きた科 目担当者 にも、新たな る講義運営形態の検討 と準 備 を依頼す ることになった。つ ま り、通年科 目を単 に前期終了段階で区切 るだけで は、前期末試験 の不合格者 の履修資格 の問題が生 じる。すなわち、

「 〇〇

〇論Ⅰ」 (前期) と

「 〇〇

〇論ⅠⅠ」 (後期) の場合、「Ⅰ」について不合格 の ものが 「ⅠI」 について も受講 出来 るような講義形態 と内容 を検討 せねばな らないのである。 これはいわゆる積み上 げ型 の科 目ではかな り困難 な作業である。 また、

例外的に 「演習」及び 「外国語については、科 目の性格 と条件整備の点で半期分割か らはず し、

近 い将来 には同様 に半期完結の授業形態を とることとした。

こうして、本格的な半期制 をめざ して新たなる段階を迎 えたので ある。

(4)新 旧カ リの移行措置

学校数青 とはなかなか面倒なものである。大学 においては、教育課程 その ものが入学す る学生が 卒業す るまでの4年間 にわた るメニューの提示であ り、学生への教育内容の保証 ともいえる。従 っ て、 1年や2年経 ってメニューを一新 しましたか らよろしく、 とはいかないのである。 この原則 は 意外 に現場 の教員 には理解 されていないきらいがある。教育課程 は入学生 との契約であると考 える べ きものなのである。つ ま り、当然の事なが ら、教育課程 を刷新 したか らといって全学生 に適用 さ れ るわけではない。基本的には経営学部の場合、開設年度か らの教育課程 は、適用 され る平成4年 度入学生がすべて卒業す るまで生 き続 けることになる。 これはある意味で極 めて重要 なことである。

すなわち、新教育課程 と旧教育課程の並列状態が当分 の間続 くことになるか らである。論理的には 在学年限が8年であるか ら留年者 については8年間、その うち休学者 についてはさらにその先 まで、

旧カ リが適用 され ることになる。 これは具体的には教員の負担が増大す るとい う懸念 を生 じるので ある。経営学部 においてはこの問題 を 「移行措置」 と名付 けて、事前 に細かいシ ミュレーシ ョンを 行 い、実施 の可能性 を探 ることによって、各教員の理解 を得 ることがで きた。 この作業過程 を事例 報告 として説明 してお こう。

(15)

まず、 この 「移行措置」期間の調整原則 と手続 きを以下の様 に定め、教員の協力 を求めた。

① 新 旧対照個表 を作成 し、現担当科 目及 びコマ数 と新カ リでの担当予定科 目及 び コマ数 を各 自記 入 し、提 出す る。

② 提 出された新旧対照個表 を、学部 内調整機関 (新教育課程調整委員会) において確認す る。

③ その際、旧カ リ科 目の新カ リにおける位置づ げを同時に検討す る。 (名称変更 ・配当年次変更 ・ 科 目区分変更 ・単位数変更 ・科 目分割 ・科 目統合 ・廃止等)

④ 新 旧移行措置の原則

ア)新 ・旧カ リのそれぞれの授業科 目が、授業 を実施 す る上で同一時間 ・講堂 において実施可能 と判断 され るものは、新カ リの授業科 目に吸収 させ る。

イ)旧カ リで通年科 目、新カ リにおいて半期のみ開講の科 目については、 それぞれ別科 目として 検討す る。

ウ)旧カ リで二 コマ以上開講の科 目については、移行期間中の再履修者対象の開講 コマ数 は原則 として 「‑ コマ」開講 として検討す る。

⑤ 個表 をもとに向 こう4年間の年度毎の担当予定科 目 ・コマ数 を上記原則 に したがって想定 した シ ミュレーシ ョンを作成 し、各教員 に個表 として フィー ドバ ックし、確認作業 を行 う。

特 に (1)の作業 は各教員一人一人が 自らの担当予定 を検討 し、新カ リにおける負担の度合 いを 認識 して もらうことが重要である。 (4)の原則 はかな り厳 しい算定方法であるが、 これ によ り教 員 に負担のマキシマムを認識 して もらうことがで きる。その上で、負担の公平化 を計 るための方策 を検討す ることによって、かな り現実的な認識 と対応が可能 になった0 (5)の段階は個々の教員 の事情や意向を調整す るほぼ最終的なもの となる。 この作業の段階で、新カ リの実施可能性がかな り具体 的に見 えて くるのである。 このように、かな り木 目の細かい作業 を伴 う調整 は事務職員 に 任せ るべ きであるとい う意見 も聞かれたが、 こうした一連 の調整 は数字の調整で はな く授業科 目の 内容 と性格 についての判断、教育課程 における各科 目の位置づ け とその意義 を検討 し判断す ること が必要であ り、 さらには教員の労働条件 その ものに関わ るナイーブな問題 もか らむ。その意味では 教員組織 を母体 とす る機関が責任 をもって、偏 ることな く行 う必要があると言 える。

5.調整過程をふ りかえって

最後 に少 し実際の調整作業 のプロセスをふ りかえっておきたい。基本的にはこのカ リ調妻 におい て新カ リに関す る残 された課題 を検討 し、教授会へ提案 し、承認 を得 るとい う流れであるが、加 え て時間的な制約が課せ られてお り、いつ まで も議論 を継続す るわけにもいかない状況であった。一 方で は全学 レベルでの教学改革の検討 も行われてお り、学部独 自の教育課程が どこまで可能なのか とい う問題 をにらみなが ら行わざるを得ず、出来 るだけ早期 に新カ リを具体化 して全学 レベルの議 論 に持ち上げる必要があった。従 って、教務事務職員 とタイムテーブルを作成 し、最終期限を夏休 み直前の7月の教授会 に定 め、それ までに大方の具体案 を決定 してい くことにした。 これは、次年 度か らの実施 を念頭 に置 いた ものであ り、学部の意向 としては完成年度の翌年度か ら新カ リへ移行 す ることが大前提であったか らである。 しか も、次年度実施 をめざすには、 あ らゆ る点でその準備 の期間が必要であった。例 えば、学則変更 に伴 う学内諸機関の手続 き、履修要覧の作成、入試広報 への原稿提出な どである。 また、全学教学改革が先行すれば学則等の規定 に縛 られ、学部独 自の発 想が実現出来な くなるのではないか とい う懸念があった。

要す るに我々に与 えられた時間は、不可能 に限 りな く近 い僅かな ものであった。 しか し全 く幸 い な ことに、カ リ調妻のメンバーが この点を十分 に理解 し、時にはかな り無理なスケジュールにも嫌

(16)

な顔 ひ とつせずに協力 を惜 しまなかった ことである。手元の資料 によれば4月か ら7月 までの3ケ 月間に11回 もの委員会 をこな し、 その 1回の所要時間はは平均5時間にも及んだ。 しか も、正規 の 委員会の間にメンバー間のインフォーマルな意見交換や打ち合せ、事務サイ ドとの資料作成、理学 部 との折衝、 そ して学部教授会等の場面があ り、今思い起 してみて も背筋が寒 くなるようなハー ド な作業 日程であった。

もちろん、夫々のメンバーは担当す る授業科 目を通常通 りこな し、 その他 のかかえる仕事 をこな して来たわけであるか ら、 まさに大学 とい う組織 内部では異例 ともいえる協力体制であった。特 に 6 ・7月の 2カ月で 9回を数 える委員会が催 され、 その間メンバーは会議 の合間に授業 をこなす有 様であった。 このメンバーの熱意 と協力が結果的に各段階での教授会審議 に反映 され、推進力 となっ た ことは言 うまで もない。 また、我が学部 は開設4年 目の新設学部であ り、教員たちにはこれか ら 学部 を作 り上 げるのだ とい う気概があ り、 よ り良い教育 をめざそ うとす る明確 な意志があった。 こ れは、 ともす ると過去の実績 と慣れ親 しんだ習慣的な慣行 を重ん じ、新たなるものへのチ ャレンジ す ることの少ない、ある意味では保守的な体質 にあっては、幸運 な状況であった と言 えるであろう。

もうひ とつ触れておかなければな らないのは、 この委員会の基本 的なスタンスについてである。

互選 の結果筆者が委員長 とい う重責 を負 う羽 目になったのだが、経験 の浅い、経営学の分野 とは全 く畑違いの、若輩者である筆者が この責務 を果たすには、メンバーの協力が無 ければ到底無理な話 であった。 しか し、 この場合筆者 のおかれた立場 は決 して強力な指導力 と牽引力 を期待 されてい る のではな く、意見の取 りまとめ役いわゆるコーディネーター役であると筆者 は理解 し、その上で こ の委員会運営 と教授会 との関係 を考 えてみた。取 り扱 う内容が教育課程改訂 とい うかな り重大な内 容であるがゆえに、出来 る限 り多 くの学部教員の意見 を集約 したい と願 っていた。 こう考 えた背景 には次の様 な思いが筆者個人の中にあったか らである。すなわち、各科 目の講義内容お よび講義形 態、 さらには評価基準 を含 めて、ほぼすべてがその科 目の担当教員の経験 と学識 に委ね られてい る のが 日本 の大学の現状である。それは教育の自由に基づ くそれな りの理由を持つシステムではある が、往々 にしてそれが逆 に密室化 した状態 を生み出 し、質的にも、形態的にも、学生の関心や知的 好奇心か ら乗離 してい く傾向が見 られ る。 それ はまた別の問題だ として も、 この教育体系の整備が 新 しい大学教育への試みであるがゆえに、いわば入れ物 としてのカ リキュラムを新たに構築す るこ とだけが 目的ではな く、その新 しい器 に応 じた料理 を盛 りつける必要があったのである。要す るに、

看板 の掛 け替 えだけに終わってほな らないのであって、実際に科 目を担当す る教員の姿勢 と意識 の 改革、言い換 えれば新たな発想への転換 を迫 るものであるべ きなのである。その意味で この委員会 は様々な角度か ら新カ リを検討 し、教授会 メンバーに対 して責任 を持 って提案 し、納得 して もらう 必要があった。従 って、委員会メンバーに依頼 した最小限の ことは、 (1) スケジュールの調整

に柔軟 に対応す ること、 (2)本質的な、建設的な議論 を十分 に行 ってほ しい こと、 (3)出来 るだ け多 くの教員の意見 を持ち寄 ってほ しい こと、であった。

もう少 し具体的な、技術的な側面 に触れておきたい。委員長 としての筆者 は個人的な意見 を述べ ることを控 え、委員の議論の方向性 を見極 め、 それをふまえた結論 をまとめることに徹 した。 また、

委員 はある提案項 目に ついて賛否両論 を含 めて様々な想定 しうる疑問点や問題点について議論 を 重ねた。従 って、先 に述べた ように、かな りの時間を費や ざざるを得 なかった。 しか し、教授会‑

の提案の際 にはあ くまで も委員会 とい う機関か らの提案である以上、委員会 の構成員の内部 にある 程度納得のい く結論が得 られ るまでは、委員長の判断で検討 を継続す る形 を とった。 こうした運営 方法の是非 は ともか くとして、結果的に教授会での議論で は委員会 メンバーが統一的見解 を持ち、

自信 と熱意 をもって説得 にあたった。 こうした姿勢 は独断 と強制が感 じられ るようではいけない と

(17)

い う思いか ら生 まれた ものであった。公正 な検討 をその中心 に据 え、あ くまで も学部教授会決定 を 受 けた新カ リの理念 と目的か ら外れ ることのないように、議論 を集約 して行 ったつ もりである。た だ、学問論、教育論的議論 に名 を借 りて、個人的負担の軽減や利害 を意図 した議論 については、か な り厳 しい姿勢で対応 した こともあった。 それは、決 して理解で きない ものではないが、公正 な、

学部 としての教育課程の構築の場 としては、 きわめて異質 なものであ り、純粋な教育体系の整備 に とっては致命 的な欠陥 とな りうるか らであった。

この調整過程 を通 して幾度 と無 く痛感 させ られた ことは、教育課程 はあ くまで も入れ物 に過 ぎな い とい うことである。いか に工夫 された教育システムであって も、 それを充分 に機能 させ るのは、

実際に講義 を行 う個々の教員である。従 って、今 回の改訂 に伴 い教員ひ とりひ とりの意識が、新た な る大学教育を目指す方向へ と変革 され ることを、 自戒 を込 めて心か ら望む ものである。 そ して、

今回の教育課程改訂 は理想で も最終点で もな く、 これか ら将来 にわたって進化すべ き経営学部のひ とつの重要な段階であることをも認識 さぜ るを得 ないのである。

参照

関連したドキュメント

存在が軽視されてきたことについては、さまざまな理由が考えられる。何よりも『君主論』に彼の名は全く登場しない。もう一つ

式目おいて「清十即ついぜん」は伝統的な流れの中にあり、その ㈲

に関して言 えば, は つのリー群の組 によって等質空間として表すこと はできないが, つのリー群の組 を用いればクリフォード・クラ イン形

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

ヒュームがこのような表現をとるのは当然の ことながら、「人間は理性によって感情を支配

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

 筆記試験は与えられた課題に対して、時間 内に回答 しなければなりません。時間内に答 え を出すことは働 くことと 同様です。 だから分からな い問題は後回しでもいいので

【フリーア】 CIPFA の役割の一つは、地方自治体が従うべきガイダンスをつくるというもの になっております。それもあって、我々、