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まとめにか えて

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まとめにか えて

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この共同研究は,ふつ うの共同研究 とは異 な っているところがある。私 たちが この共同研究 をは じめた動機 は,神奈川大学教職課程の今後 のあ り方 を考 えることにあった。そ うい う意味 で, この研究は 「教育のための研究」 と言 って よい。 自分 たちの仕事である教育活動 を充実 さ せ るために行 った点が, この研究の特徴 であ り, そ こがふつ うの共同研究 とは異 なっている。

ふつ う私 たちがす る研究は,その対象 を, 自 分たちの教育活動の外 に もっている。 自分 の研 究 にとって,授業 は,その成果 を伝 える場では あって も,研究の対象 とはならない。それが, ふつ う一役 に行われる研究のあ り方である。た しかに 「学生 による授業評価」の導入 な ど,大 学数貞が 自分の授業 について反省 し,省察 を迫 られる機会 は多 くなって きた。 しか し,その場 合 で も,講義が研究成果伝達の場である‑正確 にいえば,大学の授業 は自分の専 門分野の学問 的蓄積 を系統的に伝 えることを主 とし,教員の 個人的研究 を話す ことは従であるが‑ とい う根 本的な性格が変 ることはない。 しか も,そこで の授業 についての反省 と省察は,個人的に行 わ れるのがふつ うである。

この共 同研究で私たちが 目指 したのは,一人 ひ とりの個 々の授業改善 を目指す とい うよりは, 個 々の授業やカリキュラムを含めて,教職課程 全体の運営 とあ り方 について,ス タッフ全員で 考 えようとしたことにある。

関 口 昌 秀

この報告書 に名 を連ねた7人は,教職課程の 専任 ス タ ッフで あ る 正確 にい えば,河上 は

2009年3月 に退職 したので,共 同研 究 開始 当 初のス タッフである。同 じ教職課程 の専任教員 とはいえ,私 たちの専攻や専 門分野 は異 なって いる。教育学 と 1つ に括 ってみて も,その内部 は,教育史,教育哲学か ら,教育社会学,教育 行政学,教育心理学,そ して教育内容論,教育 方法論,社会教育等 々と,専 門分野が分化 して いる。教育学 において, これ らが まとまって共 同研究す ることはまずない。教育学者 として私 たちが行 う共同研究 も,他の分野 と同様,ある 研究テーマの下 に集 まるが,そこに集 まった研 究者たちの専 門分野は相互 に近いのがふつ うで ある。そ して,テーマは研究者個人の専 門研究 との関連で選ばれるが,その選択 に際 して大学 での授業が意識 されることは・, まずない。

しか し,すでに述べた ように, この共 同研究 は,その ような ものではない。それは,私たち にとって も初めての経験 であ り,私 たちには じ めか ら確 固 とした研究方法論があったわけで も ない。そ もそ も専攻分野 を異 にす るのだか ら, 研究方法 もそれぞれに異 なっている。何度 にも 亘 る話 し合いの中で,結果的にこの ような形 に なったまでである。 これが,教職課程運営 を考 えるための一般的な方法論 だな どと主張す るつ もりは もちろんない。

私たちが行 った ことは,卒業生現職教員 に対 する2つの調査 (質問紙調査 とインタビュー調 査),学校 ボ ランテ ィア活動,そ して教員免許

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更新講習 を念頭 においた調査である。更新講習 は,私たちに未経験の現職教員研修である。そ のためにどうす るか とい うことが大 きかった よ うに思 う。共同研究 をは じめる段階では,教貞 免許更新制はまだ決定 していなかったが,数年 の うちにそ うなるだろうとい う見込みがあった。

そのために,現職教員の研修 に対す る要望 を知 ろうと調査 を企画す ることになった。学校 ボラ ンテ ィアは横浜 キャンパスで一部試行 の ような 形では じめてお り,私たちの本来の任務である 教員養成 (教員免許取得 までの養成) に関わる ことだか ら,それについての分析 もしようとい うことで入 った と記憶 している。 この ような言 い方 をす るのは,学校 ボランテ ィアは担当が決 まってお り,私 はその担当でなかったか らであ る。 もちろん,3度の研究合宿 を含めて,共同 研究の会議ではつねに学校 ボランティアを議題 に していた。だか ら,私 に全 く無関係 のことで はないが,いわば私の校務分掌でなかったので ある。 これに対 して,調査の方は全員が毎回の 合宿 に自分の担当箇所の レポー ト提 出を命 じら れるとい うハー ドな全員担当制であった。その 中で,質問紙調査 とインタビュー調査 を したこ とのない私の ような教員 は,その方法 を実地 に 教育 されたわけである。過 ぎ去 って しまえば, 苦 しい合宿 も今では楽 しい思い出である。た し かに,その ような過酷 さを味わわなければ, こ こにこの ような報告 も成立 しなかっただろう。

そ うい う意味では感謝 しなければならない。

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以上の ような形で行 った研究だが,最終的な 報告書 としては, ご覧の通 りとなった。 ここに 載せた論文 は,独立論文 と考 えてほ しい。調査 は全員で行 ったが,論文 は各 自自分の責任で好 きな もの を書いた とい うことである。質問紙調 査の結果だけは報告 しなければな らないので, 第I章 と第 Ⅱ章の中に,その概要 を報告 してあ

の視点で分析 を加 えるな り,それを利用 して論 文 を書いている。

第 Ⅰ章 は, この研究全体 の 目的 と活動,お よ び質問紙調査 とイ ンタビュー調査の実施方法の 概要が報告 されている。質問紙調査 のフェイス シー ト (対象者の年齢 ・性別 ・学校種の割合 な ど) もここに記 されている。

第 Ⅱ章は,質問紙調査 の回答結果の概要 につ いての報告である。選択項 目についてのデータ とともに, 自由記述 回答 について も,その概要 が記 されている。

第Ⅲ章か らは,完全 な独立論文である。第Ⅲ 章は,質問紙お よびインタビュー調査の結果 を もとに,教 師の学習に対す る要求 (ニーズ)が 現在 どの ようにあるか分析 した ものである。

第Ⅳ章は,イ ンタビュー調査 をもとに,現職 教員のキャリア形成 における 「壁体験」のあ り

ようを分析 した ものである。

第 Ⅴ章 は,現在の学校がおかれた状況 につい て,全国の一般的特徴 をまとめ,それ と比較 し て,インタビュー調査か ら得 られた学校状況の 特徴 についてまとめた ものである

第Ⅵ章は,インタビュー調査 をもとに して, 軽度発達障害 と思われる子 どもたち と学校教 師 の状況 を描いた ものである。

第Ⅶ章は,インタビュー調査か ら得 られた教 員の要望 をもとに して設計 した,更新講習の 1 つの選択講座 (生徒指導) について報告 した も のである。

第Ⅷ章 は,神奈川大学 における教員免許状更 新講習 に関す る報告 であ る。2008年度 におけ る予備講習お よび2009年度の本実施 について, そ して と くに 「必修12時 間」の設計 と実施 に ついて報告 してある。

第Ⅸ章は, この共同研究の前か ら横浜キャン パスで一部試行的に実施 しは じめていた学校 ボ ランティアについての報告である

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冒頭で述べたように,教職課程の今後のあ り 方 を考 えることが, この共同研究の大 きな動機 であるか ら,この研究 を した結果,教職課程 の 今後のあ り方について どの ように考 えるに至 っ たか,その点に関 して,私見 を交 えなが ら,若 干述べてお きたい。

更新講習

2009年度 か らは じまった更新講習 は,政権 交代 に よって,2010年度 までで廃 止 され る見 込み となって きた。昨年度実施 した更新講習に ついては,第Ⅶ章 と第Ⅷ章で述べているので, ここで繰 り返す ことは しない。

ただ,教師一人ひとりの振 り返 り (省察) を 中心 とし,少人数 グループのラウン ドテーブル 方式が教員の実践力形成 に意味がある, と考 え た ことだけ記 してお きたい。

学校ボランテ ィア

学校 ボランティアは,先述の ように共同研究 の前か ら部分的に実施 していたが,現職教員 に 対す るインタビューの中で,その意味が再確認 された といえるだろう。個人インタビュー と集 団インタビューにおいて,学校 ボランティアの 受 け入れについて積極的な発言がい くつかなさ れた。学校 ボランティアの第一義的意味は,本 学学生 に対す る支援であるが,学校‑出向いた 学生 との交流が現職教員の支援 に寄与す る面 も な くはない。

ベテラン教師が多 く若手教師が少 ない小学校

‑のボランティアは,それ 自体で学校支援 とな っていると言 えるだろう。教育実習の学生が実 習先の現職教貞 にリフレッシュを感 じさせ ると い うことが, ときどき生 じる。それ と同 じよう に,教育技術 的には未熟で も熱意のある学生が 学枚現場‑参加す ることが,現場の教員 に初心 を思い起 こさせ ることもある。そ うい う場合 に は,学校 ボ ラ ンテ ィア を介 しての連携 は,支

まとめにかえて

え ・支 え られの双方向的な ものになるだろう。

教職課程の窓口的機能

個人イ ンタビューの中で,ある中学校教師が, 外 国籍の子 に日本語 を教 えるとい う彼女の任務

との関係 で

,

「日本語教育課程 の講座 が もし夜 とかに開講 されれば行 きたい と思 ったことがあ る」 と語 った。 また,若い小学校教師は,本学 で取得 した中学校社会の免許教科以外 の教科, た とえば算数な どの基礎 的な理論 を勉強 してお きたい と語 った。 この ような具体的な要求 に対 して,教職課程が何かで きるだろうか。で きる とすれば,それはおそ らく教職課程が 「窓口的 機能」 をはたす ことだろう。

私たち教職課程教員が, 日本語教育課程の講 座 を開 くことはで きない し, また現有のス タッ

フでは算数教育の理論 を教 えることもで きない。

しか し,「窓口」 となって,隣の課程 にい る 日 本語教育課程の教員 を紹介す ることはで きる し, 数学の教科教育法 を教 えている先生 を紹介す る

こともで きる。あるいはその先生たちか ら日本 語教育や算数教育法の参考文献 を紹介 して もら って,それを卒業生 に伝 えることもで きる。 こ の ような窓口的機能 をはたす ことが,1つの具 体 的な方策である

メー リング リス トの活用

この ような窓口的機能 をはたすためには,メ ー リングリス トの ような ものが よい と思われる。

その1つの理由は窓口への接近可能性である。

先 に挙 げた2人の教員の要望 を聞 き取 ることが で きたのは, この共 同研究でイ ンタビューを実 施 したか らである。 インタビューがなかったな ら,あの ような具体的要望があることを私たち が知 ることはで きなかった。 しか し,イ ンター ネ ッ トを使 えば,要望 を伝 えることは常時可能 である。

2の理 由は,質問‑の回答 を,メー リング リス ト参加者 の中か ら求め ようとす る点にある。

日本語教育 と算数教育の事例 についてな ら,敬

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る事柄 に対 しては無理である。ある場合 には, メー リングリス ト参加者の中か ら良いア ドバ イ スが出て来 ると期待 で きる。 日本語教育や算数 教育の場合 で も,メー リングリス トに参加 して いる先輩や同 じ教 師仲 間か ら良いア ドバ イスが 出て くるか もしれない。あるいは,同 じ悩み を かかえる教貞が現れて互いに相談 し合い,その 周 りに議論の場がつ くられてい くか もしれない。

そ うなることが実践的力量形成 に とって重要 な ことである。メー リングリス トはこの ようなこ とを可能にする。

「小技 ネ ッ トワーク」

現場です ぐに役立つ教授法の技 は,率直 に言 って,教職課程の教員 に対 して,期待 されてい ない。あ る教 師は,「現場 に行 くと現場 で学ぶ ことの方が多い」 と率直に述べている。実践力 は現場で学ぶ ものなのである。

た しかに,教 師を含め,医師や弁護士 な ど専 門職 といわれる多 くの職種 の技法 は,それ を教 えるための学校制度がつ くられている。そ して, その中で,その職種特有の技法の基礎 と理論が 伝授 されるようになっている。教員養成制度で

ち,現場で役立つ実践的力量の形成 をめざ して, 2010年度入学生 か ら 「教 職実践演習」が導入

される。 しか し,学校制度の中において どれほ ど現場 に近い実践力が養成 されたに して も,教 師が現場の中で生 きてい く (教 師の職務 を遂行 してい く)細かい技 は, これか らも,現場の中 において先輩教師や同輩教師 との仲 間関係 を介

して しか身につかない。

ここで注意す る必要があるのは, さきほ どの 教師が 「現場で学ぶ」 と言えたのは,彼女の周 りに学 び合 う仲 間が存在 し,生活指導の細かい 技 を教 えて くれる先輩教 師が存在 していた とい う事実である。現在の学校 と教 師を取 り巻 く状 況の中では,学び合 う仲 間がなかなか見つけ ら れない職場 も出現 している。多忙化の中では学 ぶ時間 も取 りに くくなっている。そ うい う状況

る。

そこで, ここでは 「小技 ネ ッ トワーク」 とで も名づけるべ きものを提案 したい。 これは,メ ー リングリス トの中の 1項 目として考 えること が可能である。

た とえば,教 師が クラス担任 となった ときの

「学級 び らき」の技 があ る, と集団イ ンタビュ ーの中である教師は語 っていた。学級運営や教 科運営 をす る上での様 々な手法, しか も誰 にで も真似で きるような,そ う難 しくない技法 とい うものがある。そ うい う技法の 「伝承 の場」 を つ くることが,/J技 ネ ッ トワー ク」の 目的で ある。ふつ うの教師に簡単 に真似 で きるとい う 意味で,大技 (おおわざ)でな く 「小技 (こわ ざ)」である。そ うは言 って も,「学級 び らき」

の技 は重要 な技 である。少 な くともこれか ら 1 年間,クラスの児童生徒 たちと良好 な関係 を構 築 してい くために,「学級 は じめ」 の出発点設 定 をす る.それは,現場の中で編み出され,ベ テ ラ ン教 師 たちが保 持 してい る技 で もあ る。

「/」、技 ネ ッ トワー ク」 は,その ような 「技 の継 承」の場 を設定す るのである。

現場 の中で教 師が生み出 して きた細 かな技 は, 昔 な ら放課後や,あるいは学校帰 りに赤提灯で 一杯飲 みなが ら,先輩教師か ら教 え られた。 し か し,現在 は,多 くの教 師が多忙感 を抱 き, こ の ような関係性 をもちに くくなっている。 しか ち,そ うい う技 を保持 している団塊世代 の教 師 が辞めてい く事態 となっている。 この ような状 況 において,そ うい う技 を若い教 師に分かち伝

えてい く場 を設定す ることの意味は少 な くない。

研究交流会

もちろん,その ような伝 え合 い語 り合いの場 は,「小技 ネ ッ トワーク」 だけでな く,教 師た ちが直接対面 し合 う研究交流会 として考 えられ る必要 もある。そ うしてい くつかの技が まとま った ら,教職課程 の機 関誌

(

『心理 ・教 育研 究 論集』)へ掲載す ることや,冊子 ・パ ンフレッ

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トとして配布 してい くこと,あるいはホームペ ージ上 に掲載す ることなども考 え られて よい。

インタビューで,何人かが,同窓会的活動の 必要性 を指摘 していた。メー リングリス トはそ の ような機能 もはたす と期待 で きる しか しま た,直接 に対面 し合 う同窓会活動 も必要である

教職課程ではこれまで,毎年2月頃に,神奈 川大学 を卒業 して教員 となっている人々と現役 学生 との研究交流会 を開催 して きた。それが, 一定程度同窓会機能 をはた して きた。 これか ら は,それを充実 してい く必要があるだろう。

人 と人が対面す る研究交流会は,同窓会的機 能 をにないつつ,先輩か ら後輩‑ と技 を伝 える

「技 の継承」の場 に もなる。そ して また, 自由 に物言 えぬ厳 しい職場環境 におかれた教員 にと っては,率直 に意見 を言い合 える場それ 自体が, 癒 しの場 ともなると思われる。

研究交流会のテーマは,現場教師がその とき どきに必要 と感 じる ものが よい。だか ら,研究 交流会 の企画 には,若手の教師を含めて,何人 かの現場教 師に関って もらうのが よい。将来的 には,彼 らが中心 とな り,教職課程教員 はサポ ー ト的に参加す るような形 になってい くことが 望 ま しいだろう。企画 してい く活動それ 自体が 教貞の実践力形成の場 ともなると考 えられるか

らである

去 る2010年 1月30日 (土),今年度の研 究 交流会 を開催 した。更新講習の必修12時間で 行 ったラウン ドテーブル方式 を取 り入れてやっ てみた。私 だけが大学の業務で参加で きなかっ たが,終了後の懇親会で も教員同士の熱い語 り が続いていた。予想の通 り,ラウン ドテーブル 方式はひ じょうに好評 だった。企画に参加 した 一人 として, うれ しくもあ り, またほっとして いる。

ふつ うの共同研究な ら, これが最終報告 だが, この ような 「教育のための研究」では,そ うな らないだろう。 これ も 1つの報告だが,本当の 報告 は, これか らの教職課程の運営の中に表れ

まとめにかえて

くるべ きものだろうと思 う。今 回の研究交流 会 もその 1つ として位置づけ られる ものである

は じめての 「教育のための共同研究」 に対 して, 2007年 度250万 円,2008年 度250万 円,2009 年度100万 円の共同研究奨励助成金の補助 を決 定 した神奈川大学 に感謝す るとともに, この共 同研究で得たさまざまな経験‑ そ こには私 たち が まだ気づいていない事柄 もあるはずであるが, それ らを含めて さまざまな経験 を,今後の教職 課程運営の中に生か してい きたい。

参照

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