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ライヴ録音の醍醐味

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Academic year: 2021

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(1)ライヴ録音の醍醐 味. 今村 央子. 代の後半をパリに暮らした。パリという街は、ヨー. 家の﹁音楽の真髄﹂に触れることで、次第に自らが目指す. は、非常にエキサイティングな出会いであり、一流の演奏. 込んでいた私にとって、素晴らしいコンサートを聴くこと. トを行っている。当時、とにかくがむしゃらに音楽に打ち. ら超一流の音楽家が集まってきて、毎晩のようにコンサー. ロッパ文化の交差点のような場所である。さまざまな国か. たい一心で、会場から出ることにした。席を立つ私に、フ. のの、コンサートを途中で断念、とにかく暖かい物を飲み. 時の経つのがのろい。何とか前半終了まで持ちこたえたも. 行と化してきた。こういう時は1分が永遠に感じられる程、. マス・オラトリオ︾が、遠のく意識と必死で戦うだけの苦. だん眠気を催してきた。そして、大好きなはずの︽クリス. んしんとした寒さに、雪道を歩いた疲れが加わって、だん. る余裕があった。しかし、次第に石の床から迫ってくるし. 方向をも見つけていったような気がする。今となっては一. ランス人の婦人が平然とひとこと。﹁あら、まだコンサート. 私は. つ一つのコンサート、そこで演奏された曲に、その時の思. は半分よ。これは休憩ですよ。﹂. めずらしく雪が降り、その上パリ名物のストで電車が止まっ. バロック・オーケストラの演奏で聴きに行くはずだったが、. オラトリオ︾を、トン・コープマン指揮、アムステルダム・. ある冬の日、パリ中心部の教会で、バッハの︽クリスマス・. たえる演奏や、小さなハプニングが起こっている演奏もあ. 熱中しすぎて曲が崩壊しそうになりながらも何とか持ちこ. ていて、こちらもいや応なく想像力を掻き立てられる。時々、. には、スタジオ録音にはない高揚感とエネルギーがみなぎっ. ト会場にいるかのような臨場感であろう。あの独特の熱気. 好きだ。ライヴ録音の醍醐味はやはり、自分がそのコンサー. こんな体験もあるからか、CDを聴く時もライヴ録音が. い出が重なって、とてもなつかしい。 さて、今日は私が聴いたコンサートの中でも、もっとも. てしまった。結局、徒歩で約2時間かけて教会に辿り着い. り、それもまた一興である。. 寒いコンサートの体験を話そうと思う。. たのだが、その時にはまだ十分に余力が残っていると自信. 大きな教会の内部は、暖房もなく恐ろしく寒い。なんと、演. しかし、コンサートが始まってみると、石造りのかなり. のコンサートがいかに熱狂的かつ感動的だったかが存分に. である。その場に立ち会えなかった人にも、一度きりのそ. 数 あ る ラ イ ヴ 録 音 の 中 で も、 何 度 聴 い て も 鳥 肌 が 立 つ 一 枚. 団を指揮しているベートーヴェン︽交響曲第7番︾のCDは、. 今は亡きカルロス・クライバーがバイエルン国立管弦楽. 奏者も皆色とりどりの防寒コートを着たままである。そん. たっぷりな私であった。. な中でも、コープマンはいつもと変わらず楽しそうにチェ. 伝わってくる、とびきりの一枚だ。.   本学専任講師︵音楽理論︶. ンバロを弾きながら指揮をしていて、それがなんだか妙に可 笑しい。私も最初は、﹁この寒さでピッチは大丈夫かな﹂と か﹁指がかじかまないかしら﹂などと演奏者の心配まです. 1. 20.

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