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法分野横断的研究の醍醐味

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Academic year: 2021

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本研究拠点での研究活動も三年目に入るが,一年目は組織の整備等に追われて実質的な研究活 動を始めてまだ一年半弱である。この間に,我々は 25 程の研究企画を立ち上げて研究活動を行っ てきたが,今後はこれを再統合して新たな態勢で研究活動を実施していくつもりである。

本拠点の研究活動は,一切の法分野が「企業」「市場」「市民社会」を共通のキーワードとして 研究活動を行い,これによって企業と資本市場法制の基盤をなす法的な総合力を高めるとともに,

各法分野自身がいずれもこの三つのキーワードをめぐって新しい学問的知見の発見に努めるとい う目的を共有している。今までは各研究企画が実施する研究会等に例えば私が出席することで問 題関心を喚起するといったことを行ってきたが,今後は各研究企画間のミニ横断研究会等を多数 企画することで,多彩な研究活動を展開していきたいと考えている。

そうした発想を研究所全体として共有するための大きな企画が,本年2月に開催された全体シ ンポジウムである(これについては,本誌冒頭に全文が掲載され,渡辺助教授に論説を執筆して 頂いた)。このシンポジウムはコメンテーターの川濱昇京都大学教授を含めて 11 名から成るもの だけに,そもそもそんなに多数のシンポジウムが成り立つものか自体が危ぶまれたが,まずは やってみろ,の精神はやはり大事なものであり,予想を超える成果を得ることができた。憲法,

法史学,民法,刑法,労働法,経済法,民事訴訟法,紛争処理法,知的財産法といった法分野で 活躍する第一線の研究者が,「企業」「市場」「市民社会」という拠点の問題意識を正面から受け 止め,実に真摯な所見を披瀝された。私個人としては法史学の水林彪教授が,専門から一見非常 に遠いかに見える私の著書(上村・会社法改革)を,実に丹念に読んで下さり,シンポジウムの 問題提起に対して非常に高い理論上の位置づけをしていただいたことが望外の喜びであった。

全体の調整を図るために詳細に読み返してみると,当日は直ちに理解できなかった重要な問題 が,各報告者によってきわめて多く提示されていることに気がついた。企業法学や資本市場法学 にとっての意義はもとより,労働法も刑事法も破綻処理法も民法も民事訴訟法も皆,それぞれの 専門分野において,企業と市場と市民社会に係る最新の問題に直面して切実な問題意識を有して いることが明瞭に理解できたのである。そのことはまさに学問することの喜びそのものであった。

このことは当日来場された 200 名を超える聴衆にも共有されたと見えて,多くの好意的な感想が 寄せられた。

今後は全体シンポで得られた重要な知見を十分に活かして,新しい理論研究の可能性をさらに 追求していくことが我々に課せられた使命であろう。

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巻頭言

法分野横断的研究の醍醐味

上村達男

* 早稲田大学 21世紀COE《企業法制と法創 造》総合研究所所長,早稲田大学大学院法務 研究科・法学部教授

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