箱形ルーフ長期間存置に伴う推進不能対策(函体推進工)
大鉄工業株式会社 中尾 敏弘 正会員 ○堀江 厚平
1. はじめに
国道161号の福井県敦賀市疋田地区に位置する疋田 トンネルは,トンネル内の幅狭を原因とする交通安全 の確保および冬期の円滑な交通の確保等を目的とし,
国道161号とJR北陸本線の新疋田駅構内の交差部に 新しくボックスカルバートを新設するものである.
ボックスカルバートは,発進立坑内で5基製作を行 い,R&C工法およびフロンテジャッキ+ESA工法に て所定の位置にけん引して構築する.
函体推進条件
推進延長:L=59.7m(発進・到達土留間)
函体延長:L=63.0m(第1函体~第5函体)
縦断勾配:i=2.94%(上り勾配)
土質:砂礫【築堤盛土(岩ずり)】 土被り:最小 1.3m 最大 2.4m
図-1 平面図・側面図・断面図
2.技術的課題
過去の施工事例では,箱形ルーフの推進延長が長く 存置期間が長期化する場合には,函体推進時のルーフ ジャッキ箱形ルーフ推進は,日々の列車荷重による地 盤の圧密沈下,ルーフのたるみ等でルーフ周面の摩擦 力が増加し,推進不能となる事象があった.本工事に おいても推進延長は59.7mと非常に長く,これに近い 推進の例は少なかった.さらに,箱形ルーフ推進後か ら存置期間が1年以上あり,過去の実例と同様に函体 推進時における箱形ルーフ推進が不能となることが予 測された.
また,国道の供用開始までの期間が少なく推進不能 による工程の遅れを発生できない状況であった.
本稿では,箱形推進不能時に対する事前取組みと結 果について報告する.
3. 解決策
過去の施工例では,推進不能時に箱形ルーフ収納管 ジャッキの増加,箱形ルーフ分割による中押しジャッ キの設置,到達側からの箱形ルーフのけん引が行われ てきたが,どの解決策も推進途中段階で変更しており,
大幅な工程の遅れ,工事費増額が生じていた.
今回,長期間の箱形ルーフ存置によって推進不能と なることを未然に防止し速やかに対処するため,推進 前に,中押し管の設置およびジャッキ収納管内のルー フジャッキ台数の増加を検討した.
① 中押し管設置の検討
・発進立坑側より 7 本目(42.0m)の次に中押し設備
1)(L=3.0m)を配置する.
・中押し設備にルーフジャッキ(1500kN)2台の配置 を行い,箱形ルーフ3本(18.0m)分の推進を行う.
中押し設備の配置位置は,ルーフジャッキ2台で確 実に推進できる距離を検討した結果,過去の実績を 参考に中押しジャッキによるルーフ推進距離を L=18.0mにした.
②ジャッキ収納管内のジャッキ台数の増加 キーワード 函体推進,箱形ルーフ推進,中押し設備
連絡先 〒532-8532 大阪府大阪市淀川区西中島 3-9-15 大鉄工業(株) TEL:06-6195-6133 FAX:06-6195-6136
494701650 1000
900
500 5500 5500
1000
500
150 400 150
110400 150054001200 81002572
650
到達立坑 発進立坑
J R 北 陸 本 線
国 道 1 6 1 号 直江津方→
←米原方
下り本線 上り本線
上り1番線
平 面 図
側 面 図
断 面 図
6000 1200
5500 11500 1200
2900 500
3400 13900
5500 3400
120054001500
8100
30500 32500
8700 13100 13100 13100 15000 箱形ルーフ工法(フロンテジャッキング工法+ESA工法)
ボックスカルバート延長 L=63000
土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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・箱形ルーフの元押し推進ジャッキは,過去の事例に よりルーフジャッキ3台による42.0m分の箱形ルー フ推進も不能になることが懸念されるため,ジャッ キ収納管内の推進ジャッキ(1500kN)を4台に変更
し,42.0m分の箱形ルーフ推進を行うことにした.
図-2 変更計画図 5.施工結果
(1) 箱形ルーフ先行推進の推進力の検証
箱形ルーフ先行推進に先立ち,ルーフNo.3にて,ル ーフ推進力の検証を行った.
図-3 箱形ルーフ先行推進力検証フロー
(2) 検証結果
箱形ルーフNo.3検証の結果,検証フロー⑤にて箱形 ルーフの推進を行うことができた.よって,中押し管 およびジャッキ収納管内のジャッキ本数は適正であっ たことが確認できた.
(3) 考察
本工事の箱形ルーフ再推進の設計推力 3692kNであ った.
ルーフNo.4の推進力をみると,箱形ルーフ再推進開 始時には推進力が 6405.6kN 作用しており,設計推力
3692kNまで推力が落ちたのは,15.5m推進完了した時
点であった(図-4).
本工事の土質条件での設計推力3692kN(推進ジャッ キ3本)は,推進延長が44.0m以下でなければ推進で きなかったと考えられる.
図-4 No.4ルーフ推進力変位グラフ
函体推進時の箱形ルーフ再推進の設計推進力は,箱 形ルーフ推進力の計算結果(箱形ルーフ施工時)に,
初期抵抗=0,長期間存置による割増係数=1.1~2.2をか けた計算で求められジャッキ台数が決定される1).
しかし,実施工においては,本工事を含めて設計推 力以上の推力が必要となり,推進不能となっている過 去の施工事例もあることから,施工条件等に応じて検 討して設計段階に考慮する必要があると考える.
6.おわりに
箱形ルーフ再推進は,中押し設備の使用により工程 の遅れもなく速やかに対処することができた.
今後,長距離推進において,中押し設備の設置,各 箇所のジャッキ本数などの組合せを検討することによ り推進力上昇を低減し,未然に推進不能を防止するこ とができると考えている.
最後に,施工に際しご指導,ご助言を頂いた方々へ 感謝の意を表する.
箱形ルーフ管 中押し管
箱形ルーフ管 ジャッキ
収納管
6.0m×3本=18.0m 3.0m
6.0m×7本=42.0m 1.0m
推進方向 箱形ルーフ管 L=63.0m
推進ジャッキ(1500kN) N=4本 推進ジャッキ(1500kN)
N=2本 箱形ルーフ管
箱形ルーフ管 ジャッキ
収納管
6.0m×10本=60.0m
3.0m×1本=3.0m1.0m
推進方向 箱形ルーフ管 L=63.0m
推進ジャッキ(1500kN) N=3本
第1函体
第1函体
中押しスライド管 L=3.0m
当初計画
変更計画
到達立坑
発進立坑
土留間 L=59.7m
土留間 L=59.7m
到達立坑
発進立坑
箱形ルーフ管(L=63.0m)分の推進 3692kN 繰り返し
箱形ルーフ先行推進
計15列 箱形ルーフ管(L=63.0m)分の推進
繰り返し 4800kN
箱形ルーフ先行推進 計15列
繰り返し 箱形ルーフ先行推進 計15列
YES NO
NO
YES
NO ジャッキ(1500kN)2台
ジャッキ収納管 ジャッキ(1500kN)4台
ジャッキ収納管 ジャッキ(1500kN)3台
③
②
①
YES 対策検討
箱形ルーフ先行推進完了
⑤ ジャッキ収納管
ジャッキ(1500kN)4台
繰り返し箱形ルーフ先行推進(計15列)
箱形ルーフ先行推進(L=42.0m)
NO YES 箱形ルーフ先行推進(L=42.0m)
④ ジャッキ(1500kN)3台ジャッキ収納管 中押し管 箱形ルーフ先行推進(L=63.0m)
計画推力
箱形ルーフ先行推進(L=12.0m) 箱形ルーフ先行推進(L=63.0m)
設計推力
参考文献 1)R&C工法技術資料・積算資料 平成26年11月 アンダーパス技術協会 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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