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PC 鋼より線を用いた暴露はり試験体の電気化学的測定

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Academic year: 2022

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PC 鋼より線を用いた暴露はり試験体の電気化学的測定

港湾空港技術研究所 正会員 ○染谷 望 東京理科大学 正会員 加藤 佳孝 前田工繊 正会員 中井 裕司 川田建設 正会員 渡部 寛文

1. はじめに

コンクリート試験体の鋼材腐食の評価は,主に電 気化学的測定法が用いられており,実験室での試験 は丸鋼や異形鋼材を用いた検討が多くなされている.

ここで,実験室での試験と比較し,実環境に試験体 を暴露した場合,かぶりが塩化物イオン,二酸化炭 素,降雨および温湿度変化などの影響を受けるため,

かぶりコンクリートを介した表面からの電気化学的 測定結果は,かぶりコンクリートの状態変化の影響 を強く受けると考えられる.さらに,プレストレス トコンクリートの場合,一般的なコンクリートより も圧縮強度が大きくコンクリート抵抗が大きいこと や,測定対象がPC鋼より線であるため被測定面積の 考慮が必要であり,電気化学的測定の適用や測定結 果の解釈が難しいと考えられる.

本研究では,実環境に17年間暴露したプレストレ ストコンクリート試験体の電気化学的測定および試 験体の解体により,鋼材腐食の検討をした.

2. 実験概要 2.1 試験体概要

試験体はプレテンション方式で作製され,寸法は 桁高2,000mm,幅150mm,桁長2,000mmであり,材齢 2か月の暴露前の試験体に初期載荷として,曲げ耐力 の約65%(14kN m)を与えて曲げひび割れを導入し ている1).また,主筋であるPC鋼より線のかぶりは 35mmである.試験体は,年平均気温15°Cで年降水量 1300mmの千葉市内の内陸部(以下,内陸暴露)と,

太平洋に面した年平均気温15°Cで年降水量2300mm の伊豆半島の飛沫帯(以下,海洋暴露)に17年間暴 露したものである1)

2.2 測定項目

試験体の測定位置は,図-1 に示すようにセンタ ー(以下,CL)よりピッチ100mmで各6点,計13

点の測定をした.

(1) 自然電位測定

測定には入力抵抗1TΩのポテンショガルバノスタ ット(北斗電工,HZ-7000)を用いて,かぶりを介し た表面から測定した.照合電極は,飽和塩化銀照合 電極(SSE: Ag/AgCl 飽和KCl水溶液)= +196(mV vs.

NHE)を用いた.なお,測定時の気温は 6.5 Cである

ことから,測定した自然電位を温度補正した2). (2) インピーダンススペクトル

測定系は3電極系とした.印加電圧は±50mV(rms),

掃引周波数は10kHz~10mHz とした.なお,測定点 数は5点,10kHz~10Hzの積分回数は20回,1Hz以 下の積分回数は1回とした.

(3) 分極曲線および腐食電流密度

走査速度を60mV/minとし,自然電位から150mV カソード側に分極した後に 90 秒間停止し,その後,

走査速度を20mV/minで150mVアノード側に分極さ せ た . 分 極 曲 線 の IR 補 正 と し て , 印 加 電 圧 ± 10mV(rms),100Hzのサイン波を重畳させ測定した液 間抵抗と,分極時の電流値を用いた.腐食電流密度 は,分極曲線よりTafel外挿法を用いて求めた.また,

PC鋼より線は7本束ねてφ9.3mmとなり,被測定面 積は対極直下の表面部分にのみ電流が加わると仮定 した.

6点 6点 CL

図-1 試験体の測定個所(100mmピッチ)

3.実験結果

図-2に内陸暴露,図-3に海洋暴露の自然電位の 経年変化を示す.内陸暴露の2015年測定は概ね−150

~0mV,2016年は概ね100~200mVと貴な電位とな キーワード 実環境暴露 電気化学測定 プレストレストコンクリート

連絡先 〒239-0826 神奈川県横須賀市長瀬3丁目11 TEL046-844-5010 Email:[email protected] 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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った.海洋暴露は,2015年測定が−250~−350mV と 最も卑な電位となるが,2015年を除くと概ね−150mV

~−200mV となった.なお,曲げひび割れを導入し ているCL付近の自然電位は,他の測定箇所と同程度 の電位となった.ASTM C 8763)の自然電位の判定基 準をSSE基準に変換し測定結果を評価すると,内陸 暴露は「90%以上の確率で腐食なし」,海洋暴露は「不 確定」と考えられる.

各試験体の腐食電流密度を図-4 に示す.内陸暴 露の腐食電流密度は 0.11~0.13μA/cm2,海洋暴露は 概ね 0.22~0.31μA/cm2となり,海洋暴露の腐食速度 が2~3倍程度大きくなった.なお,各試験体の測定 位置ごとの腐食電流密度の変化は小さいことが分か る.CEB4)の腐食速度の判定基準より測定結果を評価 すると,内陸暴露は「不動態状態」,海洋暴露は「低

~中程度の腐食速度」と考えられる.

電気化学的測定結果より,海洋暴露は鋼材腐食が 生じている可能性が考えられることから,試験体を 解体しPC鋼より線の表面を観察した.曲げひび割れ が導入されたCL付近のPC鋼より線の表面を写真-

1に示す.表面観察の結果,CL付近の5か所に軽微 な腐食は生じているが,断面欠損等は生じていなか った.このことから,かぶりコンクリートを介した 電気化学的測定は,軽微な腐食個所を把握すること は困難であった.そのため,実環境暴露によるかぶ りの性状変化や,照合電極の設置間隔等が測定結果 に与える影響の把握が今後の課題である.

4. まとめ

電気化学的測定や PC 鋼より線の表面観察の結果 より,内陸暴露試験体は鋼材腐食が生じていなかっ た.また,海洋暴露試験体の鋼材腐食の程度は軽微 であった.

謝辞

本実験の実施にあたり ACC 建設用先端複合材技 術協会に多大なるご協力を頂きました.ここに,感 謝の意を表します.

参考文献

1) 中井裕司,酒井博士,西村次男,魚本健人:各 種連続繊維補強材を用いた PC はりの暴露試験 の中間報告,コンクリート工学年次論文集,

Vol.25,No.1,pp.335-340,2003.

2) 篠田吉央,望月紀保:鉄筋自然電位の測定温度

に伴う照合電極間の電位換算について,土木学 会第 66回年次学術講演会概要集,pp.447-448,

2011.

3) ASTM C 876-91 (Reapproved 1999): Standard Test Method for Half-Cell Potentials of Uncoated Reinforcing Steel in Concrete, Annual Book of ASTM Standards, Vol.03.02, pp457-462, 1999.

4) CBE Bulletin No. 243: Strategies for Testing and Assessment of Concrete Structures affected by Reinforcement Corrosion, 1998.

-400 -200 0 200 400

自然電位 (mV vs. SSE)

2015 2016

CL

図-2 内陸暴露試験体

-400 -200 0 200 400

自然電位 (mV vs. SSE)

2005 2010 2013 2015 2016

CL

図-3 海洋暴露試験体

0.00 0.10 0.20 0.30

腐食電流密度(μA/cm2)

測定位置(mm)

内陸 海洋

CL 200

400 200 400

図-4 各試験体の腐食電流密度(2016)

写真-1 腐食個所の表面観察(海洋環境暴露)

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