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3. 暴 露 試 験 3-1 暴 露 試 験 方 法 大 気 暴 露 試 験 は JIS Z 2381 大 気 暴 露 試 験 方 法 通 則 に 準 じた 直 接 暴 露 試 験 方 法 暴 露 試 験 片 は 45 度 の 角 度 で 架 台 に 取 り 付 けた ( 写 真 4~5 参 照 )

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Academic year: 2021

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溶融亜鉛めっきの耐食性に対する火山ガスの影響

一般社団法人日本溶融亜鉛鍍金協会 技術・標準化委員会 耐食性グループ 1.はじめに 鋼材の腐食に大きく影響を与える要因として、海塩粒子とともに硫化水素ガ ス、亜硫酸ガスが挙げられる。日本は火山国であり、全国的に温泉が点在し、 硫化水素、亜硫酸ガス濃度の高い地域も数多くあり、鋼構造物がこれらのガス に晒されるリスクは極めて高い。北海道登別地区はその一例であり、従来から 鋼構造物の腐食がしばしば問題になっていたが、平成14 年に JR 北海道管内 で、溶融亜鉛めっきを施した架線金物の落下事故が発生した。落下した部品が 激しく腐食していることから、このような環境下での溶融亜鉛めっきの耐食性 に疑問を持たれ、大きな問題となった。同社からの要請を受け、当協会技術・ 標準化委員会耐食性グループでは、火山ガスに対する溶融亜鉛めっきの耐食性 を確認するために、同地区において10 年間にわたり大気暴露試験を実施し た。その結果、溶融亜鉛めっきは火山ガスに対しても十分な耐食性を発揮する ことが確認され、当該落下事故は、部品の設計によるところが大きいことが判 明したので、一連の試験について報告する。また、亜鉛めっきの特徴の一つで ある犠牲防食についても、その有効性が確認されたので併せて報告する。 2.暴露試験実施場所 本調査のきっかけとなった架線金物落下事故は、北海道登別市内 JR 北海道室 蘭本線登別駅付近にて発生した。落下した部品は、架線を支える可動ブラケッ トで、写真1~3 に示す。 (注)可動ブラケットについては末尾の説明参照 暴露試験場所は、この付近の下記 2 か所にて行った。(図1参照)。 A 地点 北海道旅客鉄道株式会社 登別駅 室蘭信号通信所 登別派出所 海岸から350m、登別温泉の南西 8km の距離に位置する。 B 地点 北海道旅客鉄道株式会社 登別地区鉄道沿線(登別駅より西へ 2km) 海岸から150m に位置し、登別温泉の南西 8km の距離に位置する。

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3.暴露試験 3-1 暴露試験方法 大気暴露試験は JIS Z 2381「大気暴露試験方法通則」に準じた直接暴露試験方 法、暴露試験片は 45 度の角度で架台に取り付けた。(写真 4~5 参照)暴露期間 は平成 15 年 9 月 4 日 ~ 平成 25 年9月 10 日の 10 年間であった。 3-2 暴露試験片 試験片は、SS400、サイズ 200 mm×100 mm×t3.2mm の鋼板を使用し、めっき種 類は一般亜鉛めっき、Zn-5%Al-1%Mg 合金めっき、Zn-5%Al 合金めっき、55%Al-Zn 合金めっきの 4 種類とし、めっき付着量目標は表 1 に示す値とした。なお、B と E、C と D は、それぞれ同じめっき種類であるが、別の工場でめっきしたもので ある。 表 1 試験片の種類とめっき付着量目標値 試験片 めっきの種類 めっき付着量目標値 Z Zn めっき 550 g/㎡ A Zn-5%Al-1%Mg 合金めっき 350 g/㎡ B、E Zn-5%Al 合金めっき 350 g/㎡ C、D 55%Al-Zn 合金めっき 120 g/㎡ 4.調査の項目と方法 4-1 環境測定 暴露試験地の腐食環境を調査するため、JIS Z 2381(屋外暴露試験方法通則) に準拠し、飛来塩分をチオシアン酸第二水銀吸光光度法(JIS K 00101 32.1)、 亜硫酸ガスを二酸化鉛円筒法により測定、また簡易腐食ガス測定器エコチェ ッカにより亜硫酸ガス、硫化水素ガス、塩素系のガスを、試験開始時から1年 間測定した。測定機器を写真6に示す。 4-2 皮膜腐食減量の測定 JIS Z 2371 に規定される化学的腐食生成物除去方法に準拠し、試験片を 70℃ に加温した 10%塩化アンモニウム水溶液に浸漬し、ナイロンブラシで腐食生成 物を洗浄除去した後、湯洗乾燥してその重量を求めた。この計測重量と暴露 試験開始時にあらかじめ計測しておいた重量との差から 10 カ年経過時の腐 食減量を求めた。

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4-3 犠牲防食作用の調査 犠牲防食作用を調査するため、図2に示すような表面にめっきを施さない面 を形成した試験片 2 種類(線状、円形)を用意し、大気中に暴露して腐食状 態を調査した。 図2 犠牲防食調査用試験片( :不めっき部分 単位 ㎜) 5.調査結果 5-1 環境測定 暴露試験実施場所の環境測定結果を表2に示す。比較のために一般的な田園 地域(石狩郡当別町)においても、簡易腐食ガス測定器エコチェッカによる亜 硫酸ガス、硫化水素ガス、塩素系ガスの測定を同時に行った。また、過去に (一社)日本溶融亜鉛鍍金協会が札幌市内で測定した飛来塩分量、亜硫酸ガス 測定値を参考値として示した。 測定の結果、当該地域は札幌市内との比較では、飛来塩分は大きな差はない が、亜硫酸ガスは 2~4 倍の数値、一般的な田園地域と比較すると、硫化水素 ガスの濃度が 10 倍の数値となった。当該地域はインフラ施設の腐食が激しい 場所として知られているが、測定結果から亜硫酸ガス、硫化水素の火山性ガ スの濃度が高いことがわかる。また、A,B 両地点を比較すると、B 地点の硫化 200 49 10 30 5 25 3 25 2 25 1 25 100 30 15 20 15 20 65 45 50 20 20 3φ 20φ 12φ 5.5φ

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水素濃度が A 地点より高い数値であることが分かった。 表2 環境測定結果 A 地点 B 地点 田園地域 札幌市内 飛来塩分量年間平均値(㎎/㎡日) 5.64 10.92 - 8 亜硫酸ガス量年間平均値(㎎/㎡日) 10.59 21.84 - 5 亜硫酸ガス (ppb )※ 2~10 3~10 3~10 - 硫化水素 (ppb )※ 78~102 102~137 7~13 - 塩素系ガス (ppb )※ 1~7 2~8 2~8 - ※ 簡易ガス測定器エコチェッカによる測定値 5-2 腐食減量測定結果 暴露試験10 年経過後の各試験片腐食減量を図3に示す。めっき試験片 D を除 いて、A 地点に比べ、B 地点の腐食減量の方が大きくなったが、環境測定結果 では亜硫酸ガス量年間平均値がB 地点に於いて A 地点の 2 倍以上、また簡易 測定器による測定では、硫化水素の測定値がB 地点で高くなっており、これら 火山性ガスが腐食減量に影響していると考えられる。一般的な亜鉛めっきの腐 食減量(A 地点:65g/㎡、B 地点 100g/㎡)に比べ、他の試験片の腐食減量は いずれの地点でも少なく、合金元素(Al、Mg)を添加することにより腐食進 行が抑制されることが示されている。 5-3 耐用年数試算 腐食減量の測定結果より、各試験片の耐用年数を下記式により試算した。 耐用年数=(初期付着量)÷(1 年間の平均腐食減量)×0.9 結果を図4 に示すが、いずれの試験片でも耐用年数は 50 年以上と算出され た。5%Al+1%Mg を添加した試験片 A、5%Al を添加した試験片 B は、一般 的な亜鉛めっき(Z)に比べ、腐食減量は 30~40%少ない値を示したが、初期付 着量の差により、耐用年数としてはほぼ同等の結果が得られた。試験片E は A、B いずれの地点でも耐用年数は長くなった。55%Al を添加した試験片 C、 D は、腐食減量としては Z の 12~22%と極めて少ない数値を示したが、初期 付着量が少ないことから、耐用年数としてはそれほど大きな差とはなっていな い。 5-4 犠牲防食作用 図2の試験片の10 年経過後の不めっき部 分を観察した結果を表3に、表面状況を写真7~8 に示す。

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表3 犠牲防食試験片の10 年後の不めっき部外観観察結果 試験片 線状不めっきの幅 円形不めっき直径 1 ㎜ 3 ㎜ 5 ㎜ 10 ㎜ 3 ㎜ 5.5 ㎜ 12 ㎜ 20 ㎜ Z 錆極少 赤錆 赤錆 腐食 錆極少 赤錆 赤錆 腐食 A B E 錆極少 赤錆 赤錆 腐食 錆極少 赤錆 赤錆 腐食 C D 錆極少 赤錆 赤錆 腐食 錆極少 赤錆 赤錆 腐食 何れの試験片も同程度の腐食が観察され、線状不めっきでは幅5 ㎜まで、円形 不めっきでは5.5φ㎜までは実用上差支えない状況が観察された。これは JIS H 8641 に参考として示されている記述と合致するものであった。 6.結言 防錆の目的は構造物の寿命を延ばすことにあるので、本試験では各種めっきの 腐食減量から算出される耐用年数によって防錆性能を比較することにした。そ の結果、腐食減量としては合金元素を添加しためっきよりも大きな値を示した 一般溶融亜鉛めっきでも、初期付着量を大きく取れると言う特徴から、耐用年 数では劣ることはないと言う結果を得た。火山性ガスに晒される地域は鋼構造 物の腐食が問題となるが、一般的な溶融亜鉛めっきを施すことにより、耐用年 数50 年程度と、実質的には十分な寿命を確保でき、架線金物の落下原因では ないことが判明した。落下原因は、架線金物の形状が袋状になっており、内部 に塩分、硫黄系化合物が濃化した雨水が溜まりやすい構造になっていたためと 推定され、設計変更(写真9)により雨水を流れやすくした結果、同様の問題 は発生しなくなった。腐食環境下では防錆対策とともに、部品形状への配慮も 重要である。また、亜鉛めっきにAl、Mg を添加すると、腐食進行を抑制する 効果が大きいことが実証され、さらに厳しい腐食環境下では有効と考えられ る。 謝辞 本試験にあたっては、北海道旅客鉄道株式会社殿には多大なご尽力を頂いたこ とを感謝申し上げます。

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図1 暴露試験実施場所 B 地点 登別地区鉄道沿線 A 地点 登別駅室蘭信号通新所 0 20 40 60 80 100 120

A地点 B地点 A地点 B地点 A地点 B地点 A地点 B地点 A地点 B地点 A地点 B地点

Z A B E C D 腐食減量 g/ ㎡ 試験片 図2 暴露試験10年後の腐食減量比較

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写真1 写真2 写真3 0 20 40 60 80 100 120 140 160 A地点B地点A地点B地点A地点B地点A地点B地点A地点B地点A地点B地点 Z A B E C D 耐 用年 数 (年 ) 試験片 図3 耐用年数の試算(単位:年)

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写真4

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写真6 環境測定機器 飛来塩分測定 チオシアン酸第二水銀吸光 法によってガーゼの塩化物 イオン濃度を測定 簡易腐食ガス測定器 (エコチェッカ) 亜硫酸ガス測定 (二酸化鉛円筒法) 温度計 湿度計

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写真7 犠牲防食試験片A 地点 写真8 犠牲防食 B 地点 1 ㎜幅 2 ㎜幅 3 ㎜幅 5 ㎜幅 10 ㎜幅 3 ㎜φ 5.5 ㎜φ mm 12 ㎜φ 20 ㎜φ

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写真9 設計変更された架線金物

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可動ブラケットとは 鉄道の架線は、トロリ線と呼ばれるパンタグラフと接触する銅線を、50m 程度の 間隔で電柱に支持されたちょう線と呼ばれる鋼又は銅のより線から水平になる ようにハンガと呼ばれる金具でつるした構造をしている。(図参照) ちょう線は可動ブラケットに吊り下げられており、この可動ブラケットは温度 伸縮による架線の移動に対応するため、電柱バンドと碍子の間にヒンジが設け られており、線路と平行方向に自由に動くことができる。

参照

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