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第2章 亜硝酸型硝化プロセスの開発

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第2章

亜硝酸型硝化プロセスの開発

(2)

第 2 章 亜硝酸型硝化プロセスの検討

2.1 はじめに

アナモック反応を利用した廃水処理システムを開発するには、アンモニアの一部を亜硝 酸に酸化する亜硝酸型硝化プロセスの開発が必要である。従来の硝化・脱窒プロセスにお いては、硝化反応が律速反応であり、今までこの硝化反応の効率化について、多くの研究 がなされてきた。通常、硝化反応は、次式に示すとおり、2 つの反応により行われる。

①アンモニア酸化: NH4+ + 1.5O2 → NO2- + 2H+ + H2O ・・・・式 2.1

②亜硝酸酸化: NO2- + 0.5O2 → NO3- ・・・・式 2.2

この反応において、アンモニア酸化反応(式 2.1)が律速反応とされており、この反応を 担うアンモニア酸化細菌の増殖速度は、倍加時間1日程度と遅い。従って、アンモニア酸 化細菌を、硝化反応槽内に、高密度に保持、固定化することが課題とされている。

一方、本研究で開発する“亜硝酸型硝化プロセス”においては、アンモニアを亜硝酸に 酸化することが目的である。従って、アンモニアを亜硝酸に酸化する反応(式 2.1)を行う と同時に、亜硝酸が硝酸に酸化される反応(式 2.2)を抑制することが、同時に求められる。

すなわち、アンモニア酸化細菌の固定化と同時に、亜硝酸酸化細菌の増殖抑制が必須な 技術とされる。

アンモニア酸化細菌を反応槽内に固定化する方法としては、ポリエチレンやポリプロピ レン等のプラスチック製の担体を反応槽に投入し、担体表面に硝化菌を付着させ、固定化 する方法が報告されている。また、ポリビニルアルコール(1,2)、ポリエチレングリコール(3)、 ポリアクリルアミド(4,5)、カラギーナン(6)、寒天等の高分子ゲルの内部に固定化する包括固 定化法についても多くの研究がなされている。特に、包括固定化法は付着固定化法よりも 初期から高濃度の菌体を保持できることから、馴養期間が短いという特徴を有し、高い処 理速度が得られる。これにより、従来の活性汚泥法と比較して、反応時間は半分に短縮で き、反応槽も半分に低減可能である。また、ポリエチレングリコールを用いた包括固定化 法は、わが国が世界に先駆けて開発した技術であり、下水処理場に 11 ヶ所、半導体廃水や 自動車工場排水などに 12 ヶ所納入され、現在も稼動している。これらのことから、本研究 では、ポリエチレングリコール系のゲルを用いたアンモニア酸化細菌の固定化を活用した 亜硝酸型硝化プロセスの開発に着手した。

一方、亜硝酸酸化細菌の増殖抑制方法としては、低 DO で運転する方法(7)や、亜硝酸酸化 細菌の増殖を抑制するための薬剤添加法(8)、高濃度のアンモニアを残存させ、遊離アンモニ アにより亜硝酸酸化細菌の増殖を抑制する方法などが報告されている(9.10)。いずれの方法も、

水温や、基質濃度などの制約を受けること、薬剤添加では処理水への影響などが懸念され ることから、本研究ではこれらとは異なる全く新しい亜硝酸酸化の抑制方法を開発するこ ととした。著者らは、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌を含む包括固定化担体を、高 温条件で処理することにより、亜硝酸酸化細菌のみを失活する方法(加熱処理包括固定化

(3)

法)を発見し、これを亜硝酸型硝化プロセスへの適用を考案した。

本章では、主に以下に示す4点について検討を行った。

①加熱処理条件の検討

まず、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌を含む包括固定化担体を用い、加熱処理温 度および時間について検討を行った。ここでは、各処理条件における担体内に生存するア ンモニア酸化細菌数と亜硝酸酸化細菌を再確値法(MPN 法)により定量し、最適な処理条件 について検討した。

②亜硝酸型硝化性能の評価

実験①にて得られた結果に基づき、各条件で加熱処理した担体を用い、無機合成廃水に よる連続廃水処理試験を行うことにより、亜硝酸型硝化性能を評価した。

③引抜き加熱処理方法の検討

加熱担体を長期間運転すると、外部から亜硝酸酸化細菌が混入、増殖し、硝化性能を低 下させる傾向が確認された。そこで、亜硝酸酸化活性を抑制するため、担体を少量ずつ引 抜き加熱処理する方法を考案した。まず、引抜き量の適正化を目的とし、確率計算から最 適処理量を求めた。

④引抜き加熱処理による亜硝酸型硝化の長期安定化

加熱担体を用いた廃水処理試験を行い、亜硝酸型硝化の長期安定性について検討した。

ここでは③にて得られた計算結果に基づき、担体を少量ずつ引抜き、加熱処理することで、

亜硝酸型硝化の長期安定化について検討した。

(4)

2.2 加熱処理条件が及ぼす硝化細菌への影響 2.2.1 方法

(1)供試担体

下水処理場から採取した活性汚泥をポリエチレングリコール系のゲルにより包括固定化 したものを実験に用いた。遠心濃縮機により濃縮した活性汚泥(40g/L)と、ポリエチレン グ リ コ ー ル 系 の モ ノ マ ー を 混 合 し た 後 、 純 水 と 重 合 促 進 剤

((N,N,N′,N′-tetramethylenediamine)を添加した。よく混合した後、重合開始剤(potassium persulfate)を添加し、シート状になるよう、あらかじめ用意した枠の中に流し込んだ。

約1分後、重合が完了し、シート状のゲルが得られた。これを 3mm 角の立方体となるよう 整形し、実験に用いた。各薬剤の組成は、ポリエチレングリコール 10%、重合促進剤 0.5%、

重合開始剤 0.25%、活性汚泥 2%である。

(2)加熱処理方法

50~90℃に設定したウォーターバスを5つ用意し、それぞれに担体 100mL を投入した。

20、40、60、120 分後に担体を 10mL ずつ取り出した。取り出した担体は、常温にて放冷し た後、菌数測定を行った。

(3)菌数測定方法

担体内の菌数測定は、角野ら(12)の方法に従い、担体を破砕・分散した後、再確値法(MPN:

Most Probable Number method)に準じて計測した。まず、担体 10 粒を採取し、ノギスで 担体それぞれの辺長を計測することで、担体の体積を求めた。この担体と生理食塩水(18mL)

を手動ホモジナイザー(イボ付ホモジナイザ No.7700)内で5分間破砕処理を行った。得ら れた懸濁液をホモジナイザー(池本理科製、ホモジナイザ PA 型)で 10,000rpm で 10 分間 氷上で破砕処理をおこなった。さらに、この破砕液を超音波発生器(日本精機製、US300 型)

を用いて、300W、 400uA の条件で 1 分間処理を行った。得られた分散液は、MPN 法により、

アンモニア酸化細菌および亜硝酸酸化細菌の菌数を測定した。

(4)亜硝酸酸化活性評価試験方法

亜硝酸酸化細菌の活性を確認するため、半回分試験を行った。実験装置を Fig. 2.1 に示 す。実験に用いた廃水は、Table 2.1 に示す亜硝酸合成廃水であり、容積 500mL の三角フラ スコに排水 450mL、担体 50mL を充填し、排水を毎日入れ替える半回分方式で実験を行った。

試験期間は 2 週間とし、14 日目の硝酸生成濃度から、担体の亜硝酸酸化活性の有無を評価 した。

(5)

Table 2.1 Synthetic medium for feed batch experiment Substrates Conc. (mg/L)

NaNO2 200

NaHCO3 468

NaHPO4・12H2O 46

NaCl 20 KCl 10 CaCl2・2H2O 10

MgSO4・7H2O 34

Figure 2.1 Schematic illustration of reactor for feed batch experiments

(6)

2.2.2 結果

(1)処理温度が及ぼす硝化菌数への影響

加熱処理条件と亜硝酸酸化細菌数の関係を Fig. 2.2 に示す。処理時間よりも、処理温度 の方が、亜硝酸酸化細菌数の変化に大きく影響している結果が得られた。処理温度 50℃で は、大幅に菌数が減少しているもの、120 分間処理しても、亜硝酸酸化細菌が残存している ことが明らかとなった。処理温度を 60℃以上とすると、処理時間 20 分でも亜硝酸酸化細菌 数は検出下限(103MPN/ml-carrier)以下であった。

一方、加熱処理水温とアンモニア酸化細菌数の変化について測定した結果を Fig. 2.3 に 示す(処理時間 60 分)。アンモニア酸化細菌数は、処理水温 50℃では、ほとんど変化が無 く、亜硝酸酸化細菌より、熱に対して耐性があることが明らかとなった。さらに、水温 80℃

で処理した場合においても、生存するアンモニア酸化細菌数は 4.7 × 108 MPN/mL-carrier と高く、加熱処理による影響が受け難いことが明らかとなった。処理温度 90℃の条件では、

若干アンモニア酸化細菌数が減少する傾向が得られたが、3 .0× 105 MPN/mL-carrier 残存し ていることを確認した。

Figure 2.2 Effect of heat-shock condition on the population of nitrite oxidizing bacteria in the gel carrier.

initial 60 50

80 70 90 20 40

60 120 10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

10

9

Temperature (°C ) Time (min)

NOB (MPN (mL-carrier)-1 )

initial 60 50

80 70 90 20 40

60 120 10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

10

9

Temperature (°C ) Time (min)

NOB (MPN (mL-carrier)-1 )

(7)

100 102 104 106 108 1010

initial 50 60 70 80 90

AOB (MPN/ml-pellet)

Treated Temperature (oC)

Figure 2.3 Effect of heat-shock temperature on the population of ammonium oxidizing bacteria in the gel carrier. (treatment time is one hour)

(2)半回分法による亜硝酸酸化活性の測定

半回分試験において、加熱処理条件が及ぼす亜硝酸酸化活性への影響を検討した。その 結果を Fig. 2.4 に示す。なお、Fig. 2.4 の結果は馴養 14 日目の硝酸濃度を測定した結果 であり、13 日目から 24 時間処理したときの硝酸の生成濃度を示すものである。

この結果から、処理温度 50℃では、亜硝酸酸化活性を抑制できるが、完全にその活性を 停止することができない結果を得た。これは、先の Fig. 2.2 の結果と同様の傾向である。

一方、60℃で 60 分間処理することにより、硝酸の生成を停止することが可能であること を確認した。また、70℃の系についても 60 分間処理することで、硝酸の生成を停止するこ とが可能であった。これらの結果から、担体を 60℃以上、60 分加熱処理することにより、

担体内の亜硝酸酸化活性を抑制できることを明らかにした。

(8)

図 2.3 亜硝酸酸化活性へ及ぼす加熱処理条件の影響

Figure 2.4 Effect of heat-shock condition on nitrite oxidizing activity

2.2.3 考察

本試験結果から、水温 60℃以上で加熱処理することにより、担体内の亜硝酸酸化細を失 活させることができ、同時にアンモニア酸化細菌は維持できることを明らかにした。また、

亜硝酸合成培地を用いた半回分試験により、亜硝酸酸化活性が抑制できることを確認した。

加熱処理により微生物の活性が抑制できることは、容易に予想でき、本試験における亜 硝酸酸化活性の抑制は想定される範囲内であった。しかしながら、アンモニア酸化細菌が 60℃以上という高温で処理されても、殺菌されない点については、新しい発見である。

アンモニア酸化細菌の熱耐性に対する報告は極めて少なく、Kowalchuk らは、65~75℃

という高温のコンポスト内において、アンモニア酸化の存在を報告している(13)。また、温 泉の源泉において、好熱性のアンモニア酸化細菌の存在が確認されている(14)。本研究によ り得られた結果は、亜硝酸型硝化プロセスにおいて、新しい手法を示すだけではなく、ア ンモニア酸化細菌の熱耐性に関する重要な知見を示す結果である。

本研究では、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌が固定化された担体に対して、加熱 処理を行い、亜硝酸酸化細菌のみを失活させ、結果としてアンモニア酸化細菌のみを固定 化する方法を開発した。単離されているアンモニア酸化細菌などを培養し、アンモニア酸 化細菌のみを包括固定化することでも、同様の固定化担体が得られることが想定できる。

しかしながら、この場合、アンモニア酸化細菌を純粋培養する培養設備、およびその運転・

管理が必要となり、実用化する際、多大なイニシャルとランニングコストがかかることが 想定される。これに対して、本研究では、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌を含む下

20 40

60

50 0 70 60

0 5 10 15 20 25

Temperature() Time (min)

NO3-N (mg/L)

(9)

水汚泥(余剰汚泥)を用いている。余剰汚泥は、廃棄物であり、多量に入手することが可 能である。また、その費用もほぼ運搬コストだけで良いことから、アンモニア酸化細菌の 入手方法としては、理想的な方法であると考える。そして、この下水汚泥を包括固定化し た後、加熱処理して不要な亜硝酸酸化細菌を殺菌する方法が、効率的であると考えられる。

(10)

2.3 連続処理試験 2.3.1 方法

(1)供試担体

下水処理場から採取した活性汚泥をポリエチレングリコール系のゲルにより包括固定化 したものを実験に用いた。遠心濃縮機により濃縮した活性汚泥(40g/L)と、ポリエチレン グ リ コ ー ル 系 の モ ノ マ ー を 混 合 し た 後 、 純 水 と 重 合 促 進 剤

((N,N,N′,N′-tetramethylenediamine)を添加した。よく混合した後、重合開始剤(potassium persulfate)を添加し、シート状になるよう、あらかじめ用意した枠の中に流し込んだ。

約1分後、重合が完了し、シート状のゲルが得られた。これを 3mm 角の立方体となるよう 整形し、実験に用いた。各薬剤の組成は、ポリエチレングリコール 10%、重合促進剤 0.5%、

重合開始剤 0.25%、活性汚泥 2%である。

(2)加熱処理方法

60、70、90℃に設定したウォーターバスを用意し、それぞれに担体 200mL を投入した。

処理時間は 60 分とし、常温にて放冷した後、リアクタ内に充填した。

(3)供試廃水

連続試験にはアンモニア合成廃水を用いた。アンモニア濃度は NH4-N=100mg/L となるよう 水道水に塩化アンモニウムを調整した。その他、無機塩類は、Table 2.3 に示す通りに添加 した。

Table 2.3 Synthetic medium for continuous feeding tests Substrates Conc. (mg/L)

NH4Cl 382

NaHCO3 1,170

NaHPO4・12H2O 116

NaCl 51 KCl 24 CaCl2・2H2O 24

MgSO4・7H2O 84

(4)実験装置および運転方法

加熱処理担体の硝化性能を評価するため、連続通水試験を行った。実験装置は反応容積 2L のリアクタであり、担体は 200mL(充填率 10%)投入した(Fig. 2.5)。滞留時間は 7.5h とし、20℃の恒温室内で実験した。実験系は4系用意し、Run1 には、未加熱の担体(対象 系)、Run2 には、60℃で加熱処理した担体、Run3 には 70℃で処理した担体および Run4 には、

90℃で処理した担体を充填し、連続処理試験を行った。なお、溶存酸素濃度(以下 DO と略 す)制限による亜硝酸酸化活性の阻害を防止するため、DO は 7.0mg/L 以上維持するよう曝 気を行った。

(11)

Figure 2.5 Schematic illustration of a reactor for nitrification test using gel carrier.

2.3.2 結果

(1)RUN1(未加熱処理)

RUN1 におけるアンモニア(NH4-N)および亜硝酸(NO2-N)、硝酸(NO3-N)濃度の経時変化 を Fig. 2.6 に示す。アンモニア酸化活性は1週間程度で立ち上がり、その後 30 日目まで は、一時、亜硝酸の蓄積が確認された。しかし 40 日目頃には亜硝酸酸化活性も高まり、ア ンモニアは硝酸まで酸化された。このように加熱していない硝化担体では、アンモニア酸 化細菌と亜硝酸酸化細菌が存在することから、アンモニアは硝酸まで酸化されてしまうこ とを確認した。なお、流入水のアンモニアは、ほぼ完全に消費されており、運転開始 31 日 目には処理水のアンモニア濃度は 2mg/L 以下に処理されていることが明らかとなった。

0 20 40 60 80 100 120 140

0 10 20 30 40 50 60 70 80

Nitrogen concentrations (mg/L)

Time (d)

Air

Effluent Influent Separator

Air

Effluent

Influent Separator

(12)

(2)RUN2(60℃処理系)

水温 60℃で 1 時間処理した硝化担体を用い、連続処理試験を行った。アンモニア(NH4-N)

および亜硝酸(NO2-N)、硝酸(NO3-N)濃度の経時変化を Fig. 2.7 に示す。運転開始後、2

~3 週間目にアンモニア酸化活性が立上がり、これに伴い槽内の亜硝酸濃度が上昇した。以 後 77 日目までの間、亜硝酸濃度はほぼ一定に保たれ、硝酸をほとんど生成しないことから、

亜硝酸型の硝化反応を確認した。

先の 2.2.2 節にて、加熱処理により担体内の亜硝酸酸化細菌が失活し、アンモニア酸化 細菌が維持される結果を得たが、Fig. 2.7 の結果は、それを裏付けるものとなった。この 結果から、包括固定化担体を加熱処理することにより、アンモニア酸化活性は維持でき、

亜硝酸酸化菌を失活させた亜硝酸型硝化担体が得られることを明らかにした。

なお、本試験において、処理水中に少量のアンモニアが残存する傾向が確認された。加 熱処理していない系では、ほぼ完全にアンモニア酸化反応が起こり、処理水中のアンモニ アは 2mg/L 以下まで処理できた。しかしながら、60℃で加熱処理した系では、常にアンモ ニアが 10~20mg/L 残存しており、完全なアンモニア酸化反応が確認できなかった。

0 20 40 60 80 100 120 140

0 10 20 30 40 50 60 70 80

Nitrogen concentrations (mg/L)

Time (d)

Figure 2.7 Time course of influent and effluent nitrogen concentrations using heat-shocked gel carrier. Heat-shock temperature was 60℃(RUN2)Influent ammonium (●), effluent ammonium (○), effluent nitrite (□), effluent nitrate (♢)

(13)

(3)RUN3 (70℃処理系)

水温 70℃で 1 時間処理した硝化担体を用い、連続処理試験を行った。アンモニア(NH4-N)

および亜硝酸(NO2-N)、硝酸(NO3-N)濃度の経時変化を Fig. 2.8 に示す。

60℃で処理した場合と同様、運転開始 2~3 週間目にアンモニア酸化活性が立上がり、こ れに伴い槽内の亜硝酸濃度が上昇した。以後 77 日目までの間、亜硝酸濃度はほぼ一定に保 たれ、硝酸をほとんど生成せず、亜硝酸型の硝化反応を維持することができた。

また、この系においても、処理水中にアンモニアが 10~20mg/L 残留し、完全なアンモニ ア酸化反応が確認できなかった。

0 20 40 60 80 100 120 140

0 10 20 30 40 50 60 70 80

Nitrogen concentrations (mg/L)

Time (d)

Figure 2.8 Time course of influent and effluent nitrogen concentrations using heat-shocked gel carrier. Heat-shock temperature was 70℃.Influent ammonium (●), effluent ammonium (○), effluent nitrite (□), effluent nitrate (♢)(RUN3)

(14)

(4)RUN4(90℃処理系)

水温 90℃で 1 時間処理した硝化担体を用い、連続処理試験を行った。アンモニア(NH4-N)

および亜硝酸(NO2-N)、硝酸(NO3-N)濃度の経時変化を Fig. 2.9 に示す RUN2、RUN3 と比 較し、わずかではあるが、アンモニア酸化活性の立上がりが遅れる傾向が観られた。しか しながら、運転開始 3 週間後にアンモニア酸化活性は立ち上がり、その後 8 週間以上、亜 硝酸型の硝化反応を維持することができた。Fig 2.3 から、90℃の加熱処理では、アンモニ ア酸化細菌数が減少する結果を得ていたが、アンモニア酸化活性の立ち上がりには大きな 影響は現れなかった。

これらの結果から、60℃以上の条件で加熱処理した硝化担体を用いることにより、亜硝 酸型の硝化反応が行えることを明らかにした。

0 20 40 60 80 100 120 140

0 10 20 30 40 50 60 70 80

Nitrogen concentrations (mg/L)

Time (d)

Figure 2.9 Time course of influent and effluent nitrogen concentrations using heat-shocked gel carrier. Heat-shock temperature was 90℃. Influent ammonium (●), effluent ammonium (○), effluent nitrite (□), effluent nitrate (♢)(RUN4)

(15)

(6)亜硝酸型硝化の安定性

Run2 について、亜硝酸型硝化性能の安定性について確認した。その結果、運転開始 80 日 目頃から、急激に硝酸濃度が上昇し、亜硝酸型硝化が維持できなくなった(Fig. 2.10)。

本実験は、完全な無菌系ではないため、外部から亜硝酸酸化細菌が混入し、担体表面に付 着したためと考えられた。そこで、90 日目に反応槽内の担体を全量加熱処理(60℃、1 時 間)した後、担体を反応槽に戻し、試験を継続した。

その結果、亜硝酸酸化活性を抑制することができた。しかしながら、アンモニア酸化活 性も一時的に停止し、回復するのに 14 日間を要した。このことから、加熱処理がアンモニ ア酸化細菌に一時的に影響を及ぼしていることが示された。その後、亜硝酸型硝化性能は 約2ヶ月間維持できたが、150 日目以降に再度、硝酸濃度が上昇する傾向を得た。174 日目 に、再度加熱処理すると、一時的にアンモニア酸化活性が停止することが確認されたが、

199 日目には、亜硝酸型硝化性能が回復できることが明らかとなった。

これらの結果から、定期的な加熱処理が亜硝酸型硝化の維持に有効であることが示され た。

0 20 40 60 80 100 120 140

0 50 100 150 200

Nitrogen concentrations (mg L-1 )

Time (d)

Figure 2.10 Stability of nitritation performance using heat-shocked gel carrier. Gel carriers were heat shocked at 60°C, 1 h, on days 0, 90, and 174. Influent ammonium (●), effluent ammonium (○), effluent nitrite (□), effluent nitrate (♢)

Heat shock Heat shock Heat shock

(16)

2.3.3 考察

本試験結果から、60℃以上の条件で、加熱処理した担体を用いることにより、亜硝酸型 の硝化反応ができることを明らかにした。この際、少量のアンモニアが残留する傾向がみ られ、完全なアンモニア酸化反応が確認できなかった。この要因としては、固定化されて いるアンモニア酸化細菌、すなわち、加熱処理後に残存しているアンモニア酸化細菌の硝 化特性に起因していると考えている。著者らは、10℃という低温条件下で、安定した硝化 プロセスの開発に成功しており、そこで、今回同様に不完全な硝化(処理水中に 20mg/L 程 度のアンモニアが残存する)傾向を得ている(15)。解析の結果、低温条件下で固定化されて いるアンモニア酸化細菌はアンモニアに対する基質親和性が低く、高い半飽和定数(km) を有していることを明らかにしている。諏訪らは(16)、アンモニア酸化細菌はkm値の高い AH 型と、km値の低い AL 型のアンモニア酸化細菌が存在することを報告している。これらの点 から推察すると、加熱処理した担体内に生存しているアンモニア酸化細菌はkm値が高い細 菌であることが推定される。先にも記載したが(2.2.3 節)熱耐性を有するアンモニア酸化 細菌については、ほとんど知見が無いことから、今後、分子生物学的手法を活用した、微 生物相の解析が期待される。

本章では、包括固定化担体内のアンモニア酸化細菌および亜硝酸酸化細菌を含む活性汚 泥を加熱処理し、その特性を解明している。そのため、加熱処理で生存する現象が、アン モニア酸化細菌の特性ではなく、包括固定化担体特有の現象である可能性がある。そこで、

包括固定化する前の汚泥をビーカー内で 60℃、1 時間加熱した後、包括固定化してアンモ ニア合成廃水の処理試験を行った(運転方法は 2.3.1(4)と同じ)その結果、包括固定化 後に加熱処理した試験結果(Fig.2.7)と同じ性能が確認され、加熱処理によりアンモニア 酸化細菌が生存する特性は、アンモニア酸化細菌の生理学的特性によるものと判断した。

亜硝酸型硝化性能の安定性について評価した結果、2 ヶ月程度経過すると亜硝酸型硝化が 維持できなくなる傾向が確認されたが、再度加熱処理することで、性能が回復することが 明らかとなった。この際、一時的にアンモニア酸化活性も影響をけることが確認され、硝 化性能が得られてない期間が生じてしまう可能性が示された。これを避ける方法としては、

反応槽をいくつか分割し、平行して運転を行い、1系列ごと加熱処理していく方法が考え られる。たとえば、反応槽を5つに分割し、平行して運転を行えば、加熱処理で影響をう けているのは 1 系列のみであるので、80%の硝化性能は維持できる。

また、担体を少量ずつ引抜き加熱する方法も考えられる。この場合、確率的に処理され ることから、加熱処理しているものとしていないものに分布が生じ、その分多く加熱する 必要が生じてしまう。この効果については次節以降にて検証を行うこととした。

(17)

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

A

P=0.005 P=0.025

P=0.01 2.4 引抜き加熱による安定化条件の検討 2.4.1 引抜き加熱処理

亜硝酸型硝化プロセスの開発を目的として、担体を加熱処理し亜硝酸酸化活性を抑制す る技術について検討を行い、一定期間ごとに担体を加熱処理すれば、亜硝酸型硝化性能が 一定期間維持できることが明らかとなった(2.3.2(6)節)。しかしながら、槽内の担体 を一度に全て加熱処理すると、アンモニア酸化活性も阻害されてしまい、一時的に硝化活 性が得られない期間が生じることも確認された。これを解決する方法として、担体を少量 ずつ毎日引抜き、加熱処理して反応槽内に返送する方法(引抜き加熱処理法)を考案し、

検討を行うこととした。

まず、引抜き量の適正化が必要であると考え、その量について検討した。すなわち、担 体を加熱しすぎると、亜硝酸酸化活性の抑制に効果はあるが、加熱処理のエネルギーが多 く必要になることや、アンモニア酸化活性が低下することが考えられる。一方、担体引抜 き量が少なすぎると、十分な亜硝酸酸化抑制ができず、硝酸型の硝化となってしまう。そ こで、亜硝酸酸化活性を維持できる最適な引抜き担体量について検討を行った。

2.4.2 計算条件 (1)処理担体の経過

反応槽内の担体量(g1)のうち、引抜く担体の量(g2)としたとき、引抜き割合 P を P=g2/g1 と表す。

1日に1回、P の割合で引抜いたとき、槽内に残存する加熱されていない担体(A)と加熱 回数(N)との関係は、

A=(1-P)N

と表すことができる。

Fig.2.11 に示すとおり、一度に引抜く割合(P)が大きいほど、加熱処理されていない担 体(A)はすぐになくなり、P が小さいほど加熱処理されていない担体が長期間残留するこ とになる。

(18)

(2)指定された期間に存在する担体量

加熱担体では、加熱直後ではアンモニア酸化活性が低く、長期間放置すると亜硝酸酸化 活性が出てしまう。したがって、槽内で亜硝酸型硝化に寄与する担体は、馴養期間(U:ア ンモニア酸化活性が復活する期間)以上より経過した担体であり、かつ亜硝酸酸化活性を 持たない期日(V:亜硝酸型の寿命)でなくてはならない。水質変化で考えると、Fig. 2.12 のようになり、亜硝酸型硝化を維持するには、加熱処理されてから U 日以上 V 日以内の担 体を反応槽内に多く維持することが好ましい。

Figure 2.12 Time course of influent and effluent nitrogen concentrations.

(3)各時点における担体の特性

先の Fig.2.11 に記載したとおり、引抜き割合(P)を決定すると、その回数(日数:1日 1回としているので、日数とも考えられる)と、加熱処理されていない担体(A)の量が決 定する。ここで Fig. 2.12 に示す U と V をそれぞれ。20、120 日と設定すると、20 日目の A の値は、加熱処理を受けていない亜硝酸型硝化活性を有する担体量を示している(Fig. 2.13 の A20)。一方、120 日目で未だ処理されていない担体量(Fig.2.13. A120)は、硝酸型の硝 化活性を示すことになる。したがって、亜硝酸型硝化に寄与できる担体率を E とすれば、E は次式で表すことができる

E=AU-AVを(本例の場合は A20-A120

ここで、U と V を決定すれば、E は P の変数となり、適正値が算出できる。そこで、最適値 について検討を行った。

Eff. NH

4

Eff. NO

2

Inf. NH

4

Eff. NO

3

U V

time

Concentration

(19)

Figure 2.13 Ratio of non-treated and treated gel carriers on days 20 and 120.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 100 200 300 400 500

A

N (day)

A120

20 120

non-treated

0.01 non-activated

A20

(20)

0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 0.700 0.800

0 0.1 0.2 0.3

p

E

2.4.2 結果

別の試験結果から得られた U と V の値(U=11、V=120)を基に、引抜き割合(P)と亜硝 酸型硝化担体率 E を算出した。その結果を Fig.2.14 に示す。P の増加に伴い、担体は加熱 処理されることから、E の値は上昇したが、P=0.022 を境に低下した。これは、加熱処理し すぎることで、槽内に加熱処理により失活し、馴養中の担体の割合が増えるためである。

この結果から P=0.022 のときに、最も多く E を得ることができ、最大値 E=0.71 を得た。

また、A=(1-P)Nで示されるグラフは、N が日数であると考えると、N 日目における加熱処 理された担体の量および、処理されていない担体の量を示すことができる。ここで、U=11 では、A11=0.76 となることから、11 日目には 24%(=1-0.76)の担体が加熱処理されたことに なり、この担体は加熱処理でアンモニア酸化活性が一時的に低下している担体量を示す。

一方、V=120 では、A120=0.048 であることから、加熱処理されていない硝酸形に移行する可 能性のある担体が 4.8%存在することになる。

Figure 2.14 The ratio of activated gel carrier (E) as a function of parameter P

(21)

2.5 引抜き加熱処理法による安定性評価 2.5.1 方法

(1)供試担体

下水処理場から採取した活性汚泥をポリエチレングリコール系のゲルにより包括固定化 したものを実験に用いた。遠心濃縮機により濃縮した活性汚泥(40g/L)と、ポリエチレン グ リ コ ー ル 系 の モ ノ マ ー を 混 合 し た 後 、 純 水 と 重 合 促 進 剤

((N,N,N′,N′-tetramethylenediamine)を添加した。よく混合した後、重合開始剤(potassium persulfate)を添加し、シート状になるよう、あらかじめ用意した枠の中に流し込んだ。

約1分後、重合が完了し、シート状のゲルが得られた。これを 3mm 角の立方体となるよう 整形し、実験に用いた。各薬剤の組成は、ポリエチレングリコール 10%、重合促進剤 0.5%、

重合開始剤 0.25%、活性汚泥 2%である。

(2)担体の調整

本試験では、あらかじめ合成廃水で培養した担体を用いて試験を行った。実験では、亜硝 酸型硝化活性を有する担体(以後、亜硝酸担体)と、硝酸化活性を有する担体(以後、硝 酸担体)および加熱処理によりアンモニア酸化活性が抑制された担体(以後、馴養担体)

を混合して、反応槽に充填した。これは 2.4.2 節で、槽内の担体を全担体に対して 2.2%の 割合で、1 日 1 回引抜き加熱した際、亜硝酸担体と硝酸担体と馴養担体が存在することが示 された為である。なお、亜硝酸担体と硝酸担体と馴養担体のそれぞれの割合は 0.71:0.048:

0.24 と算出されたことから、あらかじめ合成廃水で培養した担体および加熱処理した担体 を所定の比率で反応槽内に充填した。これは、引抜き加熱処理の効果を早く確認するため に行った策である。なお、実験系は2系用意したが、いずれの系においても亜硝酸担体と 硝酸担体と馴養担体の混合担体を所定量充填した。

(3)加熱方法

反応槽から全担体の 2.2%に相当する担体を 1 日1回引抜き、これを 60℃、1 時間加熱処 理し、反応槽に戻した。加熱処理は、60℃に加温したウォーターバス内で行った。

(4)供試廃水

連続試験にはアンモニア合成廃水を用いた。アンモニア濃度は NH4-N=250mg/L となるよう 水道水に塩化アンモニウムを添加して Table 2.3 に示す通りに添加した。

(22)

Table 2.3 Synthetic medium

Substrates Conc. (mg/L)

NH4Cl 955

NaHCO3 2,925

NaHPO4・12H2O 290

NaCl 1281 KCl 60 CaCl2・2H2O 60

MgSO4・7H2O 210

(5)実験装置および運転方法

実験装置は反応容積 2L のリアクタであり、担体は 200mL(充填率 10%)投入した(Fig.2.15)。

滞留時間は 7.5h とし、20℃の恒温室内で実験した。実験系は 2 系用意し、Run1 には、未加 熱処理の担体(対象系)、Run2 には、担体を引抜き、加熱処理した担体を充填し、連続処理 試験を行った。なお、DO 制限による亜硝酸酸化活性の阻害を防止するため、DO は 7.0mg/L 以上維持するよう曝気を行った。

Figure 2.15 Schematic illustration of a reactor for nitrification test using gel carrier.

Air

Effluent Influent Separator

Air

Effluent

Influent Separator

(23)

2.5.2 結果 (1)対象系(Run1)

引抜き加熱処理を行わず、合成廃水の連続処理試験を行った。試験結果を Fig 2.16 に示 す。あらかじめアンモニアを亜硝酸に酸化する活性を有する馴養済みの担体を充填してい ることから、運転初期から亜硝酸型硝化が確認された。同時に、アンモニアを亜硝酸にま で酸化する担体も少量充填していることから、硝酸の生成も確認された。引抜き加熱をし ていない本系では、処理水中の硝酸濃度は徐々に上昇し、50 日目には 32 mg/L、99 日目に は 42mg/L へと上昇した。その後も硝酸濃度は徐々に上昇し、145 日目には、54mg/l へと上 昇した。さらに、149 日目には硝酸濃度が急激に増加し 143mg/L となり、亜硝酸型硝化が維 持できない結果を得た。

0 50 100 150 200 250 300 350

0 50 100 150 200

Time (d)

Nitrogen concentrations (mg/L)

Figure 2.16 Time course of influent and effluent nitrogen concentrations using gel carrier (Run 1) Influent ammonium (○), effluent ammonium (●), effluent nitrite (■), effluent nitrate (▲)

(24)

(2)引抜き加熱担体(Run 2)

亜硝酸型硝化性能の維持を目的として、担体を少量ずつ引抜き、加熱処理を行った。そ の結果を Fig.2.17 に示す。本系においても、あらかじめアンモニアを亜硝酸に酸化する活 性を有する馴養済みの担体を充填していることから、運転初期から亜硝酸型硝化が確認さ れた。同時に、アンモニアを硝酸に酸化する活性を有する担体も充填していることから、

若干の硝酸生成傾向が確認された。しかしながら Run1 のように硝酸の濃度が上昇せず、硝 酸濃度は概ね 20mg/L 程度に抑制可能であることが明らかとなった。また、亜硝酸生成濃度 は、150~200mg/L 程度の値を維持しており、Run1 よりも高い傾向を得た。また、連続的に 少量ずつ引抜き、加熱処理することにより、アンモニア酸化活性が徐々に低下することが 考えられたが、その傾向は確認できなかった。これらの結果から、引抜き加熱方法が、亜 硝酸型硝化性能の維持に有効であることが示され、6 ヶ月以上、亜硝酸型硝化が維持可能で あることを確認した。

0 50 100 150 200 250 300 350

0 50 100 150 200

Time (d)

Nitrogen concentrations (mg/L)

Figure 2.17 Time course of influent and effluent nitrogen concentrations using gel carrier (Run 1) Influent ammonium (○), effluent ammonium (●), effluent nitrite (■), effluent nitrate (▲)

(25)

2.5.3 考察

本試験結果から、担体を少量ずつ引抜き、加熱処理することで亜硝酸型硝化性能を維持 できる結果を得た。また、加熱処理によるアンモニア酸化活性の低下も確認できなかった。

これらの結果は、本法が亜硝酸型硝化プロセスの 1 つとして、有効であることを示すもの である。

亜硝酸型硝化方法の主な既往研究としては、SHARON 法が報告されている(17)。本法との差 について考察すると、次のような点が挙げられる。SHARON 法は、高温条件においてアンモ ニア酸化細菌の方が、亜硝酸酸化細菌より増殖速度が速い点を利用し、槽内を水温 35℃、

SRT を 1 日に設定し、ケモスタット型の運転を行う方法である。この方法は発酵廃水の処理 に用いられ、水温の高い廃水に適用可能である。本試験で検討したように水温 20℃で SHARON 法を適用しようとすると、被処理水の全量を 35℃に加熱する必要があり、多大な熱量が必 要となる。本法は、槽内の水温を上げる必要が無く、槽内に 10%入っている担体のうち、

わずかその 2%の担体を引抜き、加熱処理する。このため、少ない熱量で済み、水温が低い 条件では、本法が有利であると考えられる。

また、SHARON 法は HRT1 日として設定されるため、濃度によって容積負荷が決定してしま う。すなわち、アンモニア濃度が 1kg/m3(1,000mg/L)あれば、容積負荷は 1kg/m3/d となる が、0.25kg/m3であれば(250mg/L)、容積負荷は 0.25kg/m3/d となってしまう。本法では、

HRT=7.2h、アンモニア濃度で 250mg/L で試験を行ったことから、容積負荷は 0.83 kg/m3/d と、

2 倍以上の負荷がかけられた。これらの点から、半導体廃水や、ごみ浸出水など、常温で窒 素濃度が数百 mg/L 程度の廃水は、本法が有効であると考えられた。

(26)

2.6 結言

本研究において、アンモニア酸化細菌(AOB)と亜硝酸酸化細菌(NOB)を包括固定化し た担体を加熱処理することで、NOB の活性を失活できることを明らかにした。さらに、担体 内の AOB および NOB 数を MPN 法により定量した結果、加熱処理条件については、60℃1 時間 以上が有効であることを見出した。高温条件での NOB の失活については、想像できる範囲 の結果であるが、AOB の熱耐性については未だ報告がされておらず、今回の発見は微生物学 的にも重要な知見が得られたと考えられる。

一方、合成廃水を用いた連続廃水処理試験結果により、加熱処理した担体を用いること により、亜硝酸型の硝化が可能であることを明らかにした。また、担体に亜硝酸酸化細菌 が付着し亜硝酸酸化活性が生じた場合、再度加熱処理を行うことで性能を回復できること を見出した。さらに、安定した亜硝酸型硝化プロセスの開発を目的とし、担体を少量ずつ 引抜き、連続的に担体を加熱処理する方法を考案し、検証を行ったところ、6 ヶ月以上の亜 硝酸型硝化性能を維持できることを明らかにした。

これらの結果から、包括固定化担体を加熱処理する方法により、亜硝酸型の硝化プロセ スが提供できる見通しを得た。本法の有効性を検証するには、さらにスケールアップした ベンチプラントでの実験および実廃水での試験が必要である。なお、この課題については、

第 7 章にて検討を行うこととした。

(27)

引用文献

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2. S. Hashimoto, K. Furukawa (1987) Immobilization of activated sludge by PVA-boric method Biotech. Bioeng.

3. T. Sumino, H. Nakamura, N. Mori, Immobilization of activated sludge by Polyethylene glycol prepolymer. J. Ferment. Bioeng. 73 (1992) 37-42.

4. T. Sumino, H. Nakamura, N. mori (1991) Immobilization of activated sludge by acrylamide method J. Ferment. Bioeng. 72, 140-142

5. 角野立夫(1987)アクリルアミド包括固定化法による廃水の処理、用水と廃水、29、

73.5-741

6. J. P. Arnaud, C. Lacroix, L. Choplin (1989) effect of k-carrageenan/locust bead gummixed gels inoculated with S. thermophilus. Biotech. Bioeng. 34, 1403-1408.

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8. Turk O, Mavinic DS (1989) stability of nitrite build-up in an activated sludge system. J WPCF 61: 1440-1448

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10. Barnes LM (2001) The use of high-rate nitrification for pretreatment of ammonical digested sludge liquors. J. CIWEM 14 401-408

11. A.C. Anthonisen, B.C. Loehr, T.B.S. Prakasam, E.G. Srinath, Inhibition of nitrification by ammonia and nitrous acid. J. Water Pollut. Control Fed. 48 (1976) 835-852.

12. 角野立夫、森直道、小笠原多佳子、田中和博(2000)硝化細菌の包括固定化担体内にお ける増殖特性と硝化速度

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Molecular analysis of ammonium-oxidizing bacteria of the β subdivision of the class

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14. Lebedeva EV, Alawi M, Fienche C, Namsaraev B, Bock E, Spieck E. Moderately thermophilic nitrifying bacteria from a hot spring of the Baikal rift zone. FEMS Microbiol Ecol

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(28)

16. Y. Suwa, Y. Imamura, T. Suzuki, T. Tashiro, Y. Urushigawa, Ammonium-oxidizing bacteria with different sensitivities to (NH4)2SO4 in activated sludges. Water Res. 28, (1994) 1523-1532.

17. A. Mosquera-Corral, F. Gonzalez, J.L. Campos, R. Mendez, Partial nitrification in a SHARON reactor in the presence of salts and organic carbon compounds. Process Biochem. 40 (2005) 3109-3118.

参照

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