平成
26
年度
学士学位論文
ウェアラブル・カメラのサーバ
URL
の
ハンドオーバー方式の研究
A study of the hand over management with the
server’s URL for the wearable camera streaming
1150382
吉本 圭佑
指導教員
島村 和典
2015
年
2
月
6
日
要 旨
ウェアラブル・カメラのサーバ
URL
の
ハンドオーバー方式の研究
吉本 圭佑
近年,ブロードバンドが広く普及している.これにより通信サービスの品質も向上して いる.情報通信機器の進化はとても早く,スマートフォンとタブレット PC は一気に世界 中へと普及した.また,固定回線を使ったサービスでは,動画配信の市場が拡大している. 通信回線が広帯域化したことにより,大容量の動画コンテンツを提供可能となっている.こ のような背景から,映像を用いたコミュニケーションの広まりが考えられる.本研究では, ウェアラブル・カメラが無線 LAN (Local Area Network) を経由して映像配信を行う.し かし現状では,ネットワークの異なる無線 LAN BS (Base Station) 間を移動することは不 可能である.この問題を解決するため,新しいハンドオーバー手法を提案する.この方式 内において,ウェアラブル・カメラに対して機能追加を行った.1 つ目に,ウェアラブル・ カメラに対して,同時に複数の BS と接続するために無線 LAN インタフェースの追加を 行った.2 つ目に,VRaNCo (Virtual Radio Network Controller) の追加を行った.このVRaNCO は,ウェアラブル・カメラが BS へと接続する際に,それを補助する役割を持っ ている.また,配送プラットフォームへも変更を施した.この配送プラットフォーム内には,
SIP (Session Initiation Protocol) サーバ, 配信サーバおよび映像判定モジュールが含まれ ている.SIP サーバが配送者の情報を管理することによって,視聴者が継続して映像視聴を 行える様にしている.
Abstract
A study of the hand over management with the
server’s URL for the wearable camera streaming
Keisuke Yoshimoto
Broadband network is used widely in recent years. Communication service has begun to wear high quality features. Recently, smart phone and Tablet PC spread to all over the world quickly due to the evolution of an information communication. A market of a video delivery was been expanded using mainly a fixed line. As the communication line became broader in it’s bandwidth the video contents with larger volume can be delivered. The video streaming is also spread as the background service. The wearing camera which delivers a video stream using a wireless LAN (Local Area Network) is focused in this study. The delivering camera is impossible to move the BS of a wireless LAN without a cut off of sending. To settle this problem,a new handover management method is proposed. An addition of the communication function was designed to the wearing camera camera in this system. First, the wireless LAN interface was added for the wearing camera to connect with a couple of BSs at the same time. Next, VRaNCo (Virtual Radio Network Controller) was added to the wearing camera. When the wearing camera connects to a BS, VRaNCo has the role of the BS alternation support . The BS alternation was also controlled on the delivery platform. A SIP(Session Initiation Protocol) server,a delivery server and a video check module composes this delivery platform. The viewer can watch a video continuously using the SIP server’s managing information of the delivery platform.
目次
第1章 背景と目的 1 1.1 研究背景 . . . 1 1.2 研究目的 . . . 2 1.3 論文の構成 . . . 3 第2章 既存関連技術 4 2.1 無線 LAN 技術 . . . 4 2.1.1 IEEE802.11 系の各無線 LAN 規格 . . . 4 2.1.2 無線 LAN のセル範囲 . . . 5 2.1.3 無線 LAN の伝送速度 . . . 6 2.1.4 無線 LAN 接続までの流れ . . . 6 2.1.5 SSID とローミング . . . 9 2.2 移動体通信におけるハンドオーバー技術. . . 11 2.3 ストリーミングプロトコル . . . 132.3.1 RTP (Real-time Transport Protocol) . . . 13
2.3.2 RTCP (RTP Control Protocol) . . . 14
2.3.3 RTSP (Real-time Streaming Protocol) . . . 14
2.4 SIP (Session Initiation Protocol) . . . 15
2.5 ウェアラブルカメラ . . . 16
第3章 提案するハンドオーバー方式 18 3.1 提案の概要 . . . 18
3.2 本提案方式導入における前提条件 . . . 18
目次
3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加 . . . 19
3.4.1 無線 LAN インタフェースの増設 . . . 20
3.4.2 VRaNCo (Virtual Radio Network Controller) . . . 20
3.4.3 接続切替時の処理 . . . 23
3.5 配信プラットフォーム . . . 26
3.5.1 SIP (Session Initiation Protocol) サーバ . . . 26
3.5.2 配信サーバ. . . 27 3.5.3 映像判定モジュール . . . 28 3.6 視聴端末 . . . 28 3.7 映像配信の流れ . . . 28 3.7.1 配信開始までの流れ . . . 29 3.7.2 ハンドオーバー時の配信経路切替処理 . . . 31 第4章 提案方式の評価 33 4.1 「瞬断」への対応 . . . 33 4.2 IP アドレス変化への対応 . . . 33 4.3 考察. . . 34 第5章 結論 35 5.1 まとめ . . . 35 謝辞 36 参考文献 38
図目次
2.1 パッシブスキャンとアクティブスキャンの流れ . . . 8 2.2 L2 ローミングの動作 . . . 10 2.3 L3 ローミングの動作 . . . 11 2.4 移動体通信の簡単な概念図 . . . 12 2.5 RTP パケットの構成 . . . 14 3.1 提案システムの構成 . . . 20 3.2 接続切替の範囲 . . . 23 3.3 ハンドオーバー時の接続切替処理 . . . 24 3.4 接続切替シーケンス . . . 25 3.5 配信プラットフォームの構成 . . . 26 3.6 SIP URI と配送者のアドレスとの関係 . . . 27 3.7 配信開始までの流れ . . . 29 3.8 配信経路切替の流れ . . . 31表目次
2.1 IEEE802.11b/a/g の伝送速度の一覧 . . . 6 2.2 データレートと受信感度の関係 . . . 7 2.3 HX-A500 . . . 17
第
1
章
背景と目的
1.1
研究背景
近年,NGN (Next Generation Network) の推進によって通信インフラが整備され,高速 で広帯域なネットワーク環境が実現している.総務省の平成 26 年版情報通信白書によれば, 「ICT 成長戦略II」では,2020 年開催予定の「東京オリンピック・パラリンピック」に向 けた無料公衆無線 LAN 整備の促進が計画されているとされている[1].この無料公衆無線 LAN 整備の促進は「フリー Wi-Fi 構想」と呼ばれており,空港,駅,コンビニエンススト ア,ホテル,商店街,ショッピングセンター等が導入する事例が多く見られ,ビジネスベー スで整備が順次急速進展しつつある [2].NTTBP が提供に関与するものでは,平成 24 年 3 月末に約 2,000箇所であった無料公衆無線 LAN は,H26 年2 月末時点で約 30,000箇所 に増加しており,地方公共団体においても観光や防災に資する地域活性化のツールとして公 衆無線 LAN への注目が高まっていると記されている[2]. また,情報通信端末が利用者にとってより使いやすい形に変化を遂げている.利用者が, 通信機器を使用していると感じさせない,リストバンド型や腕時計型,およびメガネ型の通 信デバイスが様々なメーカから発売されている.リストバンド型デバイスは常時装着も可能 であるという設計上の特徴からスポーツやヘルスケアでの利用,腕時計型デバイスはスマー トフォン端末と連携し,電話やメール,SNS (Social Networking Service) の利用が可能で あり,メガネ型デバイスでは透過型ディスプレイとなった視野部分に多くの情報を表示させ, スマートフォンやタブレットで行っていた作業をハンズフリーで行えるといった利点を持っ ている [1].このようにさまざな形状でウェアラブル端末の開発が進んでおり,単体でイン
1.2 研究目的 ターネットに接続可能なデバイスも誕生している.ウェアラブル・カメラも無線 LAN 機能 を有しており,インターネットへの接続機能を持ったウェアラブル端末の 1 つである.ウェ アラブル・カメラは,従来のビデオカメラに比べて小型で,撮影者が装着して撮影できるこ とから移動しながらの撮影に適し,軽量であることから撮影時の負担が少ないという利点を 持っている.現在のウェアラブル・カメラは,インターネットへの接続時にスマートフォン 端末のアプリケーションと連携を行い,映像データをインターネット上へとアップロードす るといった利用が一般的である.しかし,将来的には利便性が考慮され,あらゆるウェアラ ブル端末が単体でインターネットへと接続可能になることが一般的になると考えられる.
1.2
研究目的
1.1節で述べたように,これから NGN の推進によって無料公衆無線 LAN が拡大し,誰 しもがあらゆる場所からインターネットを利用できるようになると予想できる.また,ウェ アラブル・カメラが無線 LAN に接続する機能を有していることから,高速で広帯域な固 定回線に繋がった無線 LAN から,映像配信を行うことが可能になると考えられる.ウェア ラブル・カメラは,ビデオカメラの一種であり,スマートフォンやタブレット端末よりも高 画質な映像を撮影することが出来る.尚且つ,動きながらの撮影に適しているため,無線 LAN 機能を利用することで,屋内外を問わず,あらゆる場所から高画質な映像をインター ネット上にアップロードすることが可能になる.このようなウェアラブル・カメラの利点を 活かし,無線 LAN の BS (Base Station) を経由して,移動しながら映像配信を行うこと が出来れば,NGN 時代の新しいコミュニケーションサービスとして利用されることが見込 める.映像の配送者は,インターネットへの接続時間や,接続できる場所による問題から開 放され,視聴者に対してあらゆる場所から自身の活動状態を常時配信することが出来る.こ れによって,例えば,離れた家族の視点を共有することが可能になり,従来のコミュニケー ションツールでは成し得なかった臨場感の高いコミュニケーションが可能となる. しかし,現状ではこれを実現するにあたって問題が発生する.この問題とは,異なるネッ1.3 論文の構成 トワークに属する BS間では通信を継続出来ないことである.これは,移動に伴って端末が 接続する BS を切替える際,どちらの BS とも接続を行っていない「瞬断」という状態が 発生することと,異なるネットワークの BS に切替えた際に IP アドレスが変化するという 事態が起こるためである.これらによって BS間で通信が途切れてしまうことから,現状で は,ウェアラブル・カメラを用いて移動しながら映像配信を行なう事はできない. 本研究では,移動しながらの映像配信を実現することを目的として,この「瞬断」と IP アドレスの変化に対応するために,新たなハンドオーバー方式を提案する.ハンドオーバー とは,通信を行う上で移動に伴い適切に接続する基地局を切替える技術である.本研究で は,ウェアラブル・カメラと,映像配信を行なう配信サーバに機能追加を行なうことで,映 像配信を途切れさせないハンドオーバーを実現する.
1.3
論文の構成
本論文は,本章を含めた 5 章で構成する.本章では,本研究の背景と現状で移動しながら の映像配信を行なう上での問題点,本研究の目的について述べた.以降,第 2 章では,既存 の関連技術について述べる.第 3章では,本論文で提案する配送者の移動に対応するための ハンドオーバー方式について述べる.第 4 章では,本提案方式について評価を行った結果を 示す.第 5 章では,本研究のまとめについて述べる.第
2
章
既存関連技術
2.1
無線
LAN
技術
無線 LAN とは,ネットワークへの接続に,有線のケーブルではなく電波を用いる LAN の形態である.電波によりネットワークを構成するため,有線 LAN と比較してLAN の構 成時にケーブルの長さや機器配置の関係といった物理的な問題の影響を受けないという利点 を持っている.しかし,その反面,通信データの伝送媒体が電波であるため通信内容が傍受 されるおそれがあること,電波状態が周辺の電波環境に影響されることが問題となってお り,これらを解決するため,品質改善の規格標準化が進められている.無線 LAN は 1990 年代初頭より IEEE802.11 委員会を中心に標準化が進められている.2001 年以降の米国で の利用拡大をきっかけに世界各国で急速に普及している.無線 LAN の大きな特徴として, 企業や家庭内での利用に加え,駅や空港,カフェ,レストラン,ホテルといった公衆の場に 設置することで,ビジネスマンや一般消費者の別なくあらゆる人々が利用できるようになる ことが挙げられる[3].2.1.1
IEEE802.11
系の各無線
LAN
規格
無線 LAN の規格を定めているのが IEEE802.11 である.無線 LAN 規格の詳細として, 伝送規格については IEEE802.11b/11a/11g/11n/11ac で定義,無線 LAN のセキュリティ 規格は IEEE802.11iで定義,無線 LAN の QoS関連の規格は IEEE802.11eで定義してい る.以下に,これらの主な無線 LAN 規格について記す[4].
2.1 無線 LAN 技術 IEEE802.11b 伝送規格.2.4GHz 帯で最大 11Mbps の無線 LAN 物理層仕様. IEEE802.11a 伝送規格 5GHz 帯で最大 54Mbps の無線 LAN 物理層仕様. IEEE802.11g 伝送規格 2.4GHz 帯で最大 54Mbps の無線 LAN 物理層仕様. IEEE802.11i セキュリティ規格.802.11 の MAC 層を拡張し,セキュリティ機能と認証機能を強化 するための仕様. IEEE802.11e
QoS 関連規格.802.11 の MAC 層を拡張し,QoS 機能を追加するための仕様. IEEE802.11n 伝送規格.実行速度 100Mbps 以上の伝送速度を実現するための仕様.2009 年 9 月標 準化. IEEE802.11ac 伝送規格.802.11n後継の,理論上 6.93 Gbpsの伝送速度を実現するための仕様.2014 年 2 月標準化.
2.1.2
無線
LAN
のセル範囲
無線 LAN において,無線 LAN BS からの電波が届く範囲のことをセルまたはカバレッ ジと呼ぶ.無線 LAN クライアントが BSとデータの送受信を行うためには,このセル範囲 の中に位置している必要がある.BS が発信する電波信号は,BS と無線 LAN クライアン トの距離が広がるにつれて減衰していくことから,電波の中心から外側へ向かうほど通信速 度が遅くなる特徴を持つ[4].2.1 無線 LAN 技術
2.1.3
無線
LAN
の伝送速度
無線 LAN では,電波信号の強度,すなわちセルの範囲によって伝送速度が異なる.この 伝送速度は段階的に定められた速度となる.この段階的な伝送速度の変化は,フォールバッ ク機能によるものであり,信号強度に応じて伝送速度を自動調節する.IEEE802.11b/a/g の伝送速度の一覧を表2.1示す[4]. 表2.1 IEEE802.11b/a/g の伝送速度の一覧 伝送規格 伝送速度 IEEE802.11b 11Mbps/5.5Mbps/2Mbps/1Mbps IEEE802.11a 54Mbps/48Mbps/36Mbps/24Mbps/18Mbps/12Mbps/9Mbps/6Mbps IEEE802.11g 54Mbps/48Mbps/36Mbps/24Mbps/18Mbps/12Mbps/11Mbps/9Mbps/6Mbps/5.5Mbps/2Mbps/1Mbps 例として,IEEE802.11b の場合,11Mbps のセル範囲よりも外に位置する無線 LAN ク ライアントは,11Mbps から一気に 5.5Mbps まで伝送速度が低下する.11Mbps から徐々 に低下して 5.5Mbps に変化はしない.IEEE802.11g 及び IEEE802.11a におけるデータ レートと受信感度の関係を表2.2に示す. 図2.2から分かるように,受信感度が高い方が,通信可能なデータレートが高くなるとい う特徴を持っている.また,一般に近くにある BSの方が受信感度が強いことから,近くに ある BS とは高いデータレートでの通信が可能であり,離れたBS では,距離に応じて通信 可能なデータレートが減少してしまうということが言える.2.1.4
無線
LAN
接続までの流れ
無線 LAN 端末と無線 LAN BS の接続には,決まった手順が存在する.無線 LAN クラ イアントが無線LAN BS へと接続するまでの処理を説明する.
1. 無線 LAN 端末が利用できる周波数帯域を自動スキャンする 2. 無線 LAN 端末とBS がお互いに一致する ESSID であるか確認
2.1 無線 LAN 技術 表2.2 データレートと受信感度の関係 IEEE802.11g IEEE802.11a データレート 感度 データレート 感度 54 Mbps -71 dBm 54 Mbps -65 dBm 48 Mbps -75 dBm 48 Mbps -66 dBm 36 Mbps -80 dBm 36 Mbps -70 dBm 24 Mbps -84 dBm 24 Mbps -74 dBm 18 Mbps -86 dBm 18 Mbps -77 dBm 12 Mbps -88 dBm 12 Mbps -79 dBm 9 Mbps -86 dBm 9 Mbps -81 dBm 11 Mbps -92 dBm - Mbps - dBm 5.5 Mbps -92 dBm 6 Mbps -82 dBm 2 Mbps -93 dBm - Mbps - dBm 1 Mbps -94 dBm - Mbps - dBm 4. 無線 LAN 端末とBS がお互いにアソシエーションを行う 5. 暗号化した IEEE802.11 フレームを,電波に乗せて伝送する 6. BS で IEEEE802.11 フレームを Ethernet フレームに変換し伝送 無線 LAN 端末が接続先のBS を探すために行うスキャンには,BS から端末へと情報パ ケットの送信を行うパッシブスキャンと,端末から周辺の BSに対して自身の接続条件を含 めたパケットを送出するアクティブキャンの 2 種類が存在する. パッシブスキャンとアクティブスキャンの流れを図2.1に示す. 通常は,パッシブスキャンにより BSから 100ms 毎に送信されるビーコンの情報を元に, 端末が利用できるチャネルの情報,及び ESSID の情報を得ている.ただし,一定時間ビー コンが得られない場合,アクティブスキャンが行われ,プローブ要求とプローブ応答でこれ
2.1 無線 LAN 技術
図2.1 パッシブスキャンとアクティブスキャンの流れ
らの情報を得る.複数の BS が存在する場合,無線LAN 端末は全てのチャネルをスキャン し,最も信号の強い BS との接続を試みる.通信の途中でも現在の BS よりも信号の強い
2.1 無線 LAN 技術
2.1.5
SSID
とローミング
無線 LAN のインフラストラクチャモードでは,1 つの BS とそのBS の電波範囲にいる 配下の無線 LAN クライアントで構成されるネットワークを BSS (Basic Service Set)と呼 び,さらにこの BSS を複数束ねた形で構成される BSS よりも広域なネットワークを ESS (Extended Service Set) と呼ぶ.BSSには,BSSID と呼ばれるネットワーク識別子が設定 されており,通常その無線 LAN ネットワークのBSの MACアドレスと同じ値が使用され る.ESSID は,ESSを識別するためのネットワーク識別子であり,最大 32文字までの英数 字を用いて設定される.この ESSID は,無線 LAN において接続先を探す端末が,自身が 接続可能な BS であるかの判断を行う際に用いられる.異なる BSS 同士であっても,この ESSID を同じ値に設定しておくことで,BSS 間を移動する際に通信のセッションを切断せ ずに移動を完了することが可能となる.また,端末が接続する無線 LAN のESSID を記憶 することによって,ESSID の異なる複数の無線 LAN それぞれに接続することが可能であ る.しかし,BSS 間の移動と異なり,通常 ESSID の異なるネットワーク間の移動の際に通 信のセッションを継続して行うことは出来ない.ここまでで説明した 同一の ESSID ネット ワーク内の移動を一般に L2 ローミングまたは L2 ハンドオーバーと呼ぶ.L2 ローミング の動作の概念を図2.2 に示す. 通常,通信のセッションが途切れてしまう,異なる ESSID を設定したネットワーク間の移動においてセッションの継続させる技術を L3 ローミングま たは L3 ハンドオーバーと呼ぶ.この L3 ハンドオーバーの動作の概念を図2.3に示す.な お,ローミングを行うためには,隣接する無線 LAN のセルを 10% から 15 % オーバー ラップさせる必要がある[4]. L2 ローミングでは,通常,移動端末に割り当てられる IP アドレスは変更しない.これ は,一般的に複数の BSS を利用する様な規模の大きいネットワークを構築する企業内にお いて,それぞれの無線LAN BS は,その上のネットワーク階層に存在する無線LANスイッ チまたは無線 LAN コントローラと呼ばれる,無線 LAN BS を集中管理する機器に接続さ れていることが多いためである.本来,個々の無線 LAN BS にて行う IPアドレスの設定,
2.1 無線 LAN 技術 図2.2 L2ローミングの動作 端末の認証,電波強度の設定といった処理を,複数の BS を管理する無線 LAN スイッチに よって一括して行うため,同じ無線 LAN スイッチによって管理される無線 LAN BS 間で は,設定情報を引き継ぐことが出来る.これにより,L2 ローミング時に IP アドレスの変 更が起こることはなく,通信のセッションを継続しながら移動を行う事ができる. L2 ローミングに対し,通常,L3 ローミングでは通信のセッションが切断される.これ は,ESSID の異なるネットワーク間で移動する際に,L2 ローミングで行うことが出来た, 認証情報や IP アドレスの設定といった端末の情報を,無線 LAN BS 間で共有することが 出来ないためである.移動前の無線 LAN BS 上の階層では移動前の,移動後の無線 LAN BS 上の階層では 移動後のネットワークが構成されているため,ネットワーク上での状態を 共有することは出来ない.無線 LAN BS 同士でローミングを実現するために,BS 同士が 情報のやり取りを行う方法を定めた IEEE802.11F のアクセスポイント間プロトコルIAPP (Inter Access Point Protocol) も,普及していない.これは,アクセスポイントを複数設置
するような規模の大きいネットワーク環境では,無線 LAN スイッチを用いてローミングの 制御を行う場合が多いためである.
2.2 移動体通信におけるハンドオーバー技術 図2.3 L3ローミングの動作
2.2
移動体通信におけるハンドオーバー技術
無線 LAN と同じく,電波によって情報を伝送する技術の 1 つに,携帯電話によるサー ビスを実現している移動体通信のシステムが存在する.移動体通信では,固定通信で経由す る通信回線とは別に,移動体通信網と呼ばれる,通信事業者のネットワークが存在する.こ の移動体通信網上において,携帯電話による音声電話のハンドオーバーはすでに実現してい る.移動体通信の簡単な概念図を図2.4に示す[5]. 移動体通信では,端末が発したデータをのせた電波は,まず始めに基地局と呼ばれる施設 に届く.基地局は,複数の基地局を管理する RNC (Radio Network Controller) という施 設に繋がっており,この RNC が基地局を介して端末の状態を把握している.RNC は,移 動端末から送られてきたデータを確認した上で,パケット交換網または回線交換網のどち らかへ行き先を指定する.電話による音声データは回線交換網へ,データ通信である IP パ ケットならばパケット交換網へと送られる.また,それぞれの基地局は,無線 LAN BS と 同様に,セルを管理している.移動体通信におけるセルの大きさは,どのエリアにおいて も音声通信が行える様,通信事業者によって設計されている.通常は,最も効率よくエリア2.2 移動体通信におけるハンドオーバー技術
図2.4 移動体通信の簡単な概念図
をカバーできるとされる六角形の範囲を繋げたハニカム構造になるように設計されている. 1 つの基地局は,1つのセルを管理しており,複数のセルをまとめて位置登録エリアという 範囲を設定している.RNC の先には,幾つもの回線をまとめる交換機と,交換機に接続さ
れた HLR (Home Location Register) というユーザ情報を管理するメモリがある.移動端 末の利用者が,端末の電源を入れる,位置登録エリア間をまたぐ,といった行動を行うと, HLR にその利用者の位置情報が登録される.この位置登録によって,利用者が現在どの場 所にいるのかを判断しており,他の利用者から電話をかける場合に,ここに登録されている 情報が利用される仕組みとなっている[5]. この移動体通信における音声通話では,利用者が通話を切断すること無く,異なる基地局 のセルへと移動することを実現している.これには,RNC による移動端末の管理と,複数 の基地局と同時に通信することの出来るソフトハンドオーバーと呼ばれる技術が用いられて いる.通話中,移動端末は常に,基地局を介して RNC と通信を行っている.この通信で は,今現在端末がどの場所にいるのかが RNC に対して伝えられる様になっている.RNC は,基地局を管理する存在であり,周辺の基地局の存在を知っている.RNCは,端末から
2.3 ストリーミングプロトコル 送られた位置情報と,周辺の基地局との位置関係を判断し,端末に対して他の基地局との接 続指示を出す.端末はこの指示に従って,現在通信している基地局と合わせ,同時に 2つの 基地局との接続を行う.利用者の移動に伴い,基地局との位置関係が変化するに連れて,最 初に接続していた基地局との接続を終了する.この手順で,端末が接続する基地局を切替え ることで移動中の音声通話を切断せずに継続することを実現している.この基地局切替処理 が,移動体通信における音声のハンドオーバーである[5].
2.3
ストリーミングプロトコル
映像コンテンツの配信方式の 1 つとしてストリーミング方式がある.ストリーミング方 式では,通信プロトコルとして UDP を用いている.UDP はコネクションレス型の通信 プロトコルのため,リアルタイム性を重視するストリーミング配信に適している.しかし, UDP のみではストリーミング配信の品質保証が行われていないため,パケットロス対策や 伝送時間保証を行う必要がある.本説では,ストリーミング配信において,主要なストリー ミングプロトコルである RTP(Rear-time Transport Protocol) と RTCP (RTP Control Protocol),RTSP(Real-time Streaming Protocol) について説明する.2.3.1
RTP (Real-time Transport Protocol)
RTP は,音声や映像をストリーミング再生するためのデータ転送プロトコルである.
RTP パケットの構成を図 2.5 に示す. RTP は UDP によるデータ転送を行い,通常,
RTCP による通信状態レポートとセットで用いられる.クライアントは RTCP によって実 行帯域幅や遅延時間等をサーバに送出する.サーバは報告された通信状態に合わせて RTP
で送信するデータ品質を調整して送信する.1996 年に提唱されたプロトコルで,現在では
2.3 ストリーミングプロトコル 図2.5 RTP パケットの構成
2.3.2
RTCP (RTP Control Protocol)
RTCP はデータフロー制御及び送信者と受信者の情報を記述するためのプロトコルであ る.RTP でデータを送受信するためのセッションを制御するプロトコルである.データス トリームの受信者が RTCP パケットを定期的に送信することで,送信者の伝送レート等の 調整を行う.RTCP はIP マルチキャストを用いた音声通信や動画通信を行う様々なアプリ ケーションで利用されている.2.3.3
RTSP (Real-time Streaming Protocol)
RTSPは,クライアント -サーバ型のマルチメディアプレゼンテーション制御プロトコル である.ストリーミングサーバに対して,再生・停止・早送り・巻き戻し等のコンテンツの 制御を行うことが可能である.IP ネットワークで映像や音声等,マルチメディアを効率よ く配信することを目的として設計されている.RTSP はWeb の既存のインフラを利用し大 量の視聴者端末に対して配信が可能である.また,視聴者1 人に対してオンデマンド配信を 行わせることが出来る.
2.4 SIP (Session Initiation Protocol)
2.4
SIP (Session Initiation Protocol)
SIP (Session Initiation Protocol) とは,インターネット上で音声通信や映像通信を行う
際に用いられる通信制御プロトコルの 1 つである.H.323 と同様の機能を持ち,通信を行 う前のセッションを管理するこれらは,呼制御プロトコルまたはシグナリング・プロトコル と呼ばれる.SIP は,セッション制御機能と RTP との組み合わせによって IP ネットワー ク上で音声を伝える VoIP を実現するため広く使用されている[13].SIPのシステムは,次
の要素により構成される.
• ユーザ・エージェント (User Agent: UA)
SIP を用いたシステムにおいてユーザが使用する端末をユーザ・エージェント (User Agent) と呼ぶ.UA はリクエストを送信する機能を持つユーザ・エージェント・クラ イアント (UAC)と,リクエストに応答する機能を持つユーザ・エージェント・サーバ (UAS) により構成される. • SIP サーバ 以下の 4つの機能を持つサーバを総称して,SIPサーバと呼ぶ.これらの機能は,必ず しも 1 台のホスト・コンピュータに実装される必要はなく,同じ場所に設置する必要も ない. 1. プロキシ・サーバ(Proxy Server) UAC からの SIP リクエストを,ユーザ・エージェントを含む次のサーバに中継 するサーバ.ネットワークの構成によって,複数のサーバを飛び越える可能性があ る.プロキシ・サーバでは,認証,許可,ネットワークアクセス制御,ルーティン グ,SIP リクエスト転送,セキュリティの機能も提供する. 2. リダイレクト・サーバ(Redirect Server) リダイレクト・サーバは,リクエストを受け取り,着信側の現在のアドレスを発信 側に知らせる役割を持つ.UAC は,リダイレクト・サーバから返された着信側ア ドレスに発信し直す.プロキシ・サーバと異なり,SIP リクエストの転送を行わ
2.5 ウェアラブルカメラ ない. 3. レジストラ (Registrar) UAC の現在位置を登録するREGISTER リクエストを受けるサーバである.レジ ストラは,通常プロキシ・サーバやリダイレクトサーバと同じホスト・コンピュー タ上で動作する. 4. ロケーション・サーバ(Location Server) 登録サーバからの登録情報を保管し,リダイレクトサーバやプロキシ・サーバによ る着信 URI の参照要求に応答するサーバ.ロケーション・サーバは,SIP サーバ と同じ場所に設置できる.しかし,SIP では SIP サーバがロケーション・サーバ に問い合わせる手段を特に規定していない.
2.5
ウェアラブルカメラ
ウェアラブル・カメラとは,手に持って使用される一般的なビデオカメラと異なり,身体 に装着して映像の撮影が可能なカメラである.アクションカメラと呼ばれることもあり,屋 外でスポーツをする様子を撮影する,登山やスカイダイビング,自転車競技の競技者といっ た様に,従来のビデオカメラでは移すことの出来なかった視点からの撮影を行えることが 最大の魅力である.最近では,Wi-Fi 機能を有した機種も存在しており,スマートフォンを 介してインターネット上に映像及び静止画データをアップロードすることが可能となってい る.また,従来のビデオカメラでは,映像データが大きいため,大容量データの移動が困難 であったが,データ圧縮技術の進歩によって,データサイズの縮小に成功している.今では, MPEG-4 形式のデータとして撮影データを残せるため,固定回線に比べて伝送速度の遅い 無線 LAN においても,データの転送が可能となっている. パナソニック社のウェアラブルカメラである HX-A500 の仕様を表2.3に示す[6].2.5 ウェアラブルカメラ 表2.3 HX-A500 動画記録方式 MPEG-4,AVC ファイル規格準拠 映像圧縮方式 MPEG-4 AVC/H.264 音声圧縮方式 AAC モノラル 3840× 2160/30p:最大72Mbps/VBR 1920× 1080/60p:最大28Mbps/VBR 画素数:転送レート 1920× 1080/30p:平均15Mbps/VBR 1280× 720/60p:平均15Mbps/VBR 1280× 720/30p:平均9Mbps/VBR 848× 480/30p:平均4.5Mbps/VBR Wi-Fi 準拠規格 IEEE802.11b/g/n
第
3
章
提案するハンドオーバー方式
3.1
提案の概要
本研究で提案するハンドオーバー方式は,ウェアラブル・カメラを装着した配送者が,企 業内,家庭内,公衆の場に設置された無線 LAN BS に接続し,映像配信を行うための技術 である.あらゆる場所に設置された無線 LAN BS 間で,適切にハンドオーバーを繰り返し ながら,映像配信を途切れさせることなく移動することを可能とする. 本提案方式では,ウェアラブル・カメラへの機能追加,SIPサーバを用いた配信プラット フォームによる配送者情報の管理によって,ハンドオーバーを実現している.3.2
本提案方式導入における前提条件
本提案方式を導入するにあたっての前提として,無線 LAN クライアントが BS に接続 するために必要である SSID と暗号キーは,あらかじめ端末に登録済みとする.SSID によ る認証は,無線 LAN を利用するにあたり,接続しようとするクライアントが,BS を利用 する権限を持つ正規のユーザであるかどうかの確認のために用いられる機能である.無線 LAN クライアントが,接続先の BS を探す際に発するビーコン信号にも,クライアントの SSID と一致する SSID を持つ BS のみが応答する.本提案方式で用いるウェアラブル・カ メラは配送者の移動を前提としているため,企業内,家庭内,公衆の場で使用されている BS すべてに接続できる状態でなければならない.そのため,端末にはこれら全ての BS に 対応した SSID の設定が既になされているものとする.3.3 システムの構成 また,移動するにあたり,隣接する BS 同士にはハンドオーバーを行うのに十分である範 囲がオーバーラップしていることを前提とする.本提案方式では,通信インフラの整備が進 んだ,NGN の環境を想定しているため,ハンドオーバーに必要なセル設計を行うといった NW 環境の改善方法については考慮しない.
3.3
システムの構成
本提案方式では,配送者がウェアラブル・カメラによって撮影を行う.用いるウェアラブ ル・カメラには,ハンドオーバー時に 2 台の BS と接続するための機能追加を行っている. また,移動状態に適した BS との接続を可能にするため,接続切替機能を持つ機器と接続さ れている.提案するシステムの構成を図3.1に示す.提案するハンドオーバー方式では,配 送者,配送プラットフォーム,視聴者の 3 者間で映像データのやり取りを行う.まず,配送 者が機能追加を行ったウェアラブル・カメラによって撮影を行い,その映像データを配送プ ラットフォーム内の配信サーバへと送る.視聴者は,その配信サーバに対して映像データを リクエストし,配信サーバが映像データを送信する.これにより,配送者から視聴者への映 像配信が開始される.これより,個々の構成要素について説明を行う.その後,本提案方式 におけるハンドオーバー処理の流れを述べる.3.4
ウェアラブル・カメラへの機能追加
配信に使用するウェアラブル・カメラは,無線 LAN 機能に対応した端末を使用する.こ のウェアラブル・カメラに対して,配送者が移動時にも連続して映像配信を続けられるよう に,機能の追加を行う.無線 LAN インタフェースの増設と,接続切替機能を持つ機器の追 加を施す.3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加 図3.1 提案システムの構成
3.4.1
無線
LAN
インタフェースの増設
通常,無線 LAN に対応した機器は,1 つの無線 LAN インタフェースを内蔵している. この無線 LAN インタフェースは,送信機と受信機が 1 対となったものである.無線 LAN 対応機器はこの無線 LAN インタフェースを 1 つしか内蔵していないため,同時に接続で きる無線 LAN BS は1 台のみである.本研究では,ハンドオーバー時に 2 台の無線 LAN BS と接続するため,ウェアラブル・カメラに対して無線 LAN インタフェースの増設を行 う.ハンドオーバー時に 2 台の無線 LAN BS と接続することにより,BSとの接続処理中 に映像パケットの損失を無くすことが出来る.3.4.2
VRaNCo (Virtual Radio Network Controller)
RNC (Radio Network Controller) とは移動体通信システムにおいて移動端末のハンド オーバーを管理する機器である.RNC は移動端末の状態を判断し,適切な基地局との接続
3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加
指示を出す役割を持っている.本研究ではウェアラブル・カメラに対して,このRNCの機能
を無線 LAN 環境に適用させた機器である VRaNCo (Virtual Radio Network Controller)
を追加する. まず,配送者の移動に対応するため,配送者の移動状態に関して考慮するべき要素を挙げ る.これらから,配送者の状態を定義し,移動に対して適切である BSの決定を行う. a. 映像配信のために必要な配信レートの確保 b. 無線 LAN BSとの距離関係 c. 配送者の現在位置
d. RSSI (Received Signal Strength Indicator): 受信信号インジケータ f. BS 接続切替のタイミング 1 つ目の要素である配信レートの確保について,これは,配送者がウェアラブル・カメラ の映像データを配送するにあたっての伝送レートの設定である.BS に対して送信できる伝 送レートが設定した値を下回った時,映像は途切れ,配信が切断する可能性がある.なお, ビデオ通話を例とすると,Skype では使用する帯域として下り/上りの両回線とも1.5Mbps を推奨している[7].また,USTREAM 配信を行うにあたっては,HD 品質の映像配信を するために 2Mbps 以上の帯域が確保される必要があるとされている[8].本提案方式では, 今後,現状よりもさらに高品質なネットワーク環境が提供されることを考慮し,ウェアラブ ル・カメラで映像配信を行うために使用する帯域を 15Mbps に設定する.この 15Mbps は, パナソニック社のウェアラブルカメラ HX-A500 において,Full HD にあたる 1920x1080 画素の 30p時での撮影に必要となる平均の転送レートである.30p とは,毎秒 30フレーム のプログレッシブ走査であることを指す.BS 接続切替時の条件として,常にこの転送レー トを満足する BSとの接続を行える様に定める. 2 つ目の要素である,無線 LAN BS との距離関係について述べる.現状,無線 LAN 端 末が接続先の BS として選択するものは,最も電波強度が強いBS であるとされている.こ の電波強度の指標となっているのが RSSI (Received Signal Strength Indicator) の値であ
3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加 る.一般に,この RSSI値の高い BS と接続を行う方が高速な通信を行える.このRSSIと データレートとの関係は各メーカ毎に異なっており,各メーカで関係表が公開されている [4].受信感度を用いている現在の BS接続切替方法では,端末の周辺に接続可能なBSが多 数存在した場合,BS からの電波の受信感度が強いものへと接続切替処理が多発する問題を 抱えている.配送者の移動に対応した BS を選択するためには,受信感度の他にBS への評 価指標が必要となる. 距離を用いての評価は,単に自身から一番近い BS へと接続することではない.BS は, その BS に接続されている端末数によって通信速度が左右される特徴を持っている.この例 として,キャリアの提供する公衆無線 LAN の実測値を計測したデータがある[9]. 3 つ目の要素は,配送者の位置情報である.この位置情報の取得方法として,人工衛星を 利用した GPS (Global Positioning System)情報を利用する方法と,接続する無線 LAN BS の位置情報を取得して推測する方法がある.ウェアラブル・カメラの位置情報を GPS から取得する方法を用いた研究が行われている[10].この研究ではウェアラブルカメラに対 して GPS 機器を携行させる形をとっているが,近年のウェアラブル・カメラには GPS 機 能が搭載されているため,位置情報のために機器増設を行う必要は無くなっている[11].ま た,このウェアラブルカメラには,位置情報だけでなく,速度,高度などを記録し,専用の アプリケーションにアップロードする機能が備わっている[11].これらの機能を移動中に利 用することで,配送に最適なBS の決定を行う.無線LAN BS の位置情報と,GPS 情報を 用いた現在地情報の取得サービスとして Place Engine がある[12].これは,無線LAN BS
の情報をサーバ管理する手法である.BS からの電波情報を受け取った端末が,その情報を 元に PlaceEngine サーバにアクセスすると,あらかじめ蓄積されたWi-Fi 電波情報のデー タベースを元に位置情報を推定するというものである[12]. 4 つ目の要素は,一般的に使用される BS からの電波情報の影響である. 接続先 BSの決定手順を説明する.接続切替の範囲を図3.2に示す.図3.2 に示した 接続切替の要点を以下で述べる.
3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加 図3.2 接続切替の範囲
3.4.3
接続切替時の処理
ウェアラブル・カメラが接続する BS の切替を行う際の処理手順を述べる.ハンドオー バー時の接続切替処理を図 3.3に示す.また,接続切替シーケンスを図3.4に示す.図3.4 の要点を以下に述べる. 1. ウェアラブル・カメラは,接続切替前の段階において NW.A に所属する BS に接続し ている.この時,無線 LAN インタフェースa を用いて BS との通信を行っている. 2. VRaNCo は,無線 LAN インタフェースb を使って周囲の BS の状態を調べる.配送 者の移動によって周辺の BS の状態が変わると,VRaNCo が周辺の BS への評価を修 正する.接続切替が必要であると判断した時,無線 LAN インタフェースb を用いて BS との接続処理に入る. 3. 無線 LAN インタフェースbが接続処理を終えて,映像配信可能な状態になると,ウェ アラブル・カメラに対して無線 LANインタフェースb での映像配信を開始するように 内部命令を出す. 4. ウェアラブル・カメラはこの命令に従い,無線 LAN インタフェースb での映像配信を 開始する.この時,無線 LAN インタフェースaと無線LAN インタフェースb の両方3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加 図3.3 ハンドオーバー時の接続切替処理 で,配信プラットフォームへの配信を行っている. 5. VRaNCo は,ウェアラブル・カメラに対して無線 LAN インタフェースa での映像配 信を停止するように内部命令を出す. 6. ウェアラブル・カメラはこの命令に従い,無線 LAN インタフェースa での映像配信を 停止する. 接続切替のタイミングについて述べる.図3.4において,2本の点線間を Switching Time と示している.これは,2 つ目の無線 LAN インタフェースでの配信を始めた直後の時間 を指しており,この時間帯は無線 LAN インタフェースa と無線 LAN インタフェース b の両方から映像データを配信している.この時点から,VRaNCo による無線 LAN インタ フェースa への切断命令が出されるまでの間に,BS 接続切替を行う瞬間が存在する.この
3.4 ウェアラブル・カメラへの機能追加 図3.4 接続切替シーケンス 切替処理は,無線 LAN インタフェースbからの映像データ送信がが始まった直後から,無 線 LAN インタフェースa から最初に送信された映像データパケットの送信間隙に設定す る.これにより,無線 LAN インタフェースa から送出され,配信プラットフォーム内で廃 棄されるデータを最小限に留めると共に,無線 LAN インタフェースの同時使用時間を最短 にすることが出来る.この後,VRaNCo から切断命令を受けて開放された無線 LAN イン タフェースa を,次の BS スキャンのために使用可能となる.
3.5 配信プラットフォーム 図3.5 配信プラットフォームの構成
3.5
配信プラットフォーム
配信プラットフォームは,配送者から映像データを受け取り,視聴者の要求に対して映像 を配信する役割を持つ.配送者の URI を管理する SIPサーバ,視聴者へと映像配信を行う 配信サーバ,ウェアラブル・カメラのハンドオーバー時に配信経路が切り替わったことを判 断する映像判断モジュールの 3つの機器で構成されている.配信プラットフォームの構成を 図3.5に示す.SIP サーバにて配送者情報の管理を行い,配信サーバにて映像の配信と配信 経路の切替を行う.配信経路の切替は,配信サーバ内の映像判定モジュールの判断に基づい て行う. これら配送プラットフォームの各構成要素について以下にて説明を行う.3.5.1
SIP (Session Initiation Protocol)
サーバ
SIP サーバでは,配送者の SIP URI と IP アドレスとの対応を保持する.1 つの SIP URI に対して2つの IPアドレスを対応させることにより,配送者がハンドオーバー時に使 用する 2 台のBS 両方を配信経路として設定することが出来る.このSIP URI に対応する IP アドレスは,ハンドオーバーを行う度に更新を行う.IP アドレスを更新する際は,前回
3.5 配信プラットフォーム
図3.6 SIP URIと配送者のアドレスとの関係
のハンドオーバー時まで使用していた BS 切替前の IP アドレスに対して,次のハンドオー バー時に新しく設定される IPアドレスを上書きする.配送者が新しく BSとの接続を完了 した時点で,配送者の SIP URIに対して IP アドレスとの対応を登録する.SIPサーバは,
IP アドレスの登録時に配信サーバに対して配信元経路の設定を指示する役割を持ち,この 指示に対する配信サーバからの応答をウェアラブルカメラに対して通知する.配信元経路設 定には,登録された IP アドレスを含めて指示を行う.また,視聴者からの問い合わせに対 し,配送者に対応した配信サーバの URL と配送者のIP アドレスを返す機能を持っている.
3.5.2
配信サーバ
配信サーバは,配送者から映像データを受け取り,映像を要求する視聴者に対して映像配 信を行う.SIP サーバからの配信元経路設定の指示と配送者の IP アドレスを受け取ると, そのアドレスを配信元経路として設定する.設定完了後,SIPサーバに対して設定完了通知 を送る.この完了通知の送信後,配信元経路として設定した IP アドレスから送られてきた 映像データの受信を開始する.配信サーバは映像データを受信すると,そのデータに対し配 信に適した動画形式への変換処理を行う.視聴者からの映像要求を受けると,変換後の映像3.6 視聴端末 データの配信を開始する.
3.5.3
映像判定モジュール
映像判定モジュールは,ウェアラブル・カメラが送信した映像データの配送経路が変更し たことを判断する.配送者からの映像は,常に映像判定モジュールを介して配信サーバへと 送られる.この映像判定モジュールでは,接続切替を行う前の BSを通る配信経路と,接続 切替後の BSを通る配信経路の両経路情報を保持している.ウェアラブル・カメラのハンド オーバー時,映像データが両方の配信経路から送られてきた時,接続切替後の配信経路から 届いた映像データのみを配信サーバに対して通す処理を行う.3.6
視聴端末
視聴者は,配信サーバに対して映像の要求を行い,視聴端末を使用して視聴を開始する. 視聴者は,あらかじめ配送者の SIP URI を保持しておく.この SIP URI を用いて配送プ ラットフォーム内の SIPサーバに対して問い合わせを行う.SIPサーバからの返答に含まれ る配信サーバの URL に対して,同じく返答に含まれている IP アドレスをキーとして映像 の取得要求を行う.ここで配信サーバから映像データの送信が始まると視聴を開始出来る.3.7
映像配信の流れ
提案方式では,ウェアラブル・カメラから配信プラットフォーム,配信プラットフォーム から視聴者へと映像データの受け渡しが行われる.配送プラットフォーム内の配信サーバは, 配送者から映像データを受け取ると,配信に適した動画形式へとリアルタイムに変換処理を 行い,視聴者の要求に応じて配信を行う. 配信開始までの流れ,移動に伴うハンドオーバー時の処理の流れそれぞれについて説明を 行う.3.7 映像配信の流れ 図3.7 配信開始までの流れ
3.7.1
配信開始までの流れ
これまで説明したウェアラブル・カメラ,配信プラットフォーム,視聴者間における映像 データ配信開始までの流れを説明する.映像配信開始までの流れを図 3.7に示す.以下に, 図3.7における処理の流れを記す. 1. 配送者は BS への接続処理が完了した時点で,配信プラットフォーム内の SIP サーバ に対して自身の IPアドレスを SIP URI とともに登録する.3.7 映像配信の流れ
2. SIP サーバでは,配送者の SIP URI に対して,送られてきたIP アドレスとの対応を
記憶する.この時,配信サーバに対して,この IPアドレスを送信する. 3. 配信サーバは,SIPサーバから送られてきた IP アドレスを,映像データの配信元アド レスとして設定する.設定が完了すると,SIP サーバに対して経路設定完了の通知を 送る. 4. SIP サーバは,配信サーバから経路設定完了通知を受け取ると,ウェアラブル・カメラ に対し,配信サーバの URL とともに完了通知を転送する. 5. ウェアラブル・カメラは完了通知を受け取ると,配信サーバに対して映像データの配送 を開始する. 6. 配信サーバは,経路設定を行ったウェアラブル・カメラからの映像データを受け取ると, 配信に適した映像形式へと変換を行う.
7. 視聴者には,配信を行う前に配送者の SIP URI を通知しておく.この URI を用いて
SIP サーバに対して配送者情報の問い合わせを行う. 8. SIP サーバは,視聴者からの問い合わせに対して配送者の映像データを受け取る配信 サーバの URL と,配送者の IP アドレスを返す. 9. 視聴者は,SIPサーバから返された配信サーバの URLに対し,配送者の IP アドレス をキーとして,映像の取得要求を行う. 10. 配信サーバは,視聴者の映像取得要求に対して,対応する IPアドレスからの映像デー タを配信する. 11. 視聴者は,配信サーバからの映像データを受け取り,視聴を開始する. ここまでの処理が終了した時点で,配送者から視聴者に対しての映像配信が始まる.配送 者は,移動に伴ってハンドオーバーが必要となるまで同じ BS からの映像配信を継続する.
3.7 映像配信の流れ 図3.8 配信経路切替の流れ
3.7.2
ハンドオーバー時の配信経路切替処理
ウェアラブル・カメラのから配送される映像データの配信経路が変更した際のハンドオー バー処理について説明する.配信経路切替の流れを図3.8に示す.図3.8の処理の要点を以 下に記す. 1. 配送者は現在,接続切替を行う前の配送経路で配信サーバへと映像データを配送してい る.配信サーバ内の映像判定モジュールでは,現在の配送経路からの映像データを通過 させ,配信サーバへと送っている.3.7 映像配信の流れ 2. ウェアラブル・カメラの BS 接続切替機能である VRaNCo が,配信者の移動に伴い, 新しい BSとの接続を端末に対して要求し,端末は2 つ目の無線LAN インタフェース によって接続処理を行う. 3. 新しい BS との接続処理が完了すると,配送者は SIP サーバに対して配送者の SIP URI を用い,新しく接続した BS から割り当てられた IPアドレスを登録する. 4. SIP サーバは,配信サーバに対し,新しく登録された IP アドレスを配送元経路として 通知する. 5. 配信サーバは,登録された IP アドレスを2 つ目の配信元経路として設定した後,SIP サーバからの通知に対して設定完了の返答を返す.映像判定モジュールでは,この設定 以降,2 つの経路から映像データが送られてきた際に,新しく登録された経路からデー タを受け取る. 6. ウェアラブル・カメラは,配信経路での映像配信の準備が出来次第,映像データの配信 を行う.この時,2 つの無線LAN インタフェースの両方から映像データが流される時 間帯が存在する. 7. 配信サーバ内の映像判定モジュールでは,受け取る映像データを確認し,新しい配信経 路からの映像データのみを視聴者に対して配信する. 8. 配信者が移動すると,接続する BSは 1 台となり,BSの切替が完了する. 以上が,配送プラットフォームにおけるハンドオーバー時の処理である.
第
4
章
提案方式の評価
本章では,本提案方式に対する評価を行った結果を示す. 1.2節で述べたように,現状では,ウェアラブル・カメラと無線 LAN を用いて移動しな がらの映像配信を行なうことは出来ない.これは,まず 1 つ目にどちらの BS にも接続し ていない「瞬断」が発生すること,2 つ目に切替を行った後で IP アドレスが変化してしま うと言う問題があったためであった.このそれぞれを解決できたかの評価を行なう.4.1
「瞬断」への対応
本研究で提案するハンドオーバー方式では,移動時のどの時間においても,必ず 1 つ以 上の BS と接続を行っている.これは,ウェアラブル・カメラに対して無線 LAN インタ フェースの増設を行ったことで可能となった機能である.この機能追加によって,ハンド オーバー時も片方の無線 LAN インタフェースを使用して通信を継続できるため,瞬断を無 くすことが出来る.よって,「瞬断」による問題を解決可能である.4.2
IP
アドレス変化への対応
異なるネットワークに属する BS に接続する際に起こる IP アドレス変化への問題は,配 送プラットフォーム内の SIP サーバの役割によって解決する.SIP サーバでは,配送者に 対して固有の識別子である SIP URI を設け,この URI に対して 2 つの IP アドレスを対 応させた.これによって,ハンドオーバー時に接続を行なう 2 台の BS 両方を,映像デー タの配信経路として設定することが出来る.このことから,配信サーバ内において,1 つ目4.3 考察 の経路と 2 つ目の経路を同じ配送者のものとして映像データを引き継ぐことが可能なため, IP アドレスが変化することによる通信の切断の影響を受けない.よって,IP アドレスの変 化に対しても,解決が可能である.
4.3
考察
本研究にて提案を行ったハンドオーバー方法では,BS 切替時の「瞬断」と IP アドレス の変化の 2 つに対応することが可能であるとの結果を得た.方式全体の機能としては,これ らの問題を解決する事ができるとしたが,実際には,両方の BS との接続を行なう際に配送 者の移動状態について詳しくパラメータを決定し,その値を接続切替の判断に反映させなけ ればならない.今後は,無線 LAN BS と実際に機能追加を施したウェアラブル・カメラを 用いて,判断に必要となるデータの採取と,各パラメータに対する重み付けを行った上で評 価式を決定する必要がある.その後,この評価式が正しい決定をすることを証明出来れば, 配送者の移動に適した BS の選択と切替が行える様になる.第
5
章
結論
5.1
まとめ
本稿では,近年のブロードバンドの普及に伴う通信回線の広帯域化を背景として,より 高品質なサービスを実現する方法として,映像によるコミュニケーションサービスの発展に ついて述べた.現状の映像配信では,配信者が移動しながらの映像配信を行えないという 問題点を挙げ,これを解決する映像配信方法として,ウェアラブル・カメラによる途切れの ない常時映像通信を実現するために,無線 LAN BS 間のハンドオーバー方式について提案 を行った.現状,移動しながらの映像配信が行えない理由として,無線 LAN BS の所属す るネットワーク環境が各 BS によって異なるため,移動にともなって前のネットワークと の接続を切断した後,新しいネットワークへの接続が開始されているという問題があった. このため,従来の通信方法では無線 LAN BS を用いてシームレスな映像通信は行えなかっ た.本提案方式では,無線 LAN インタフェースをウェアラブル・カメラに増設することで, ネットワークの切替時に双方の BS と繋がることを可能とした.これによって,切断が起こ らないハンドオーバーを実現した.また, BSが接続先として選択する BS を移動する配送 者の状態に合わせて変更するために,適切な BS との接続切替機能を持った VRaNCoの機 能追加を行った.VRaNCo の追加により,常時接続性を保ちながらの配送者の移動を可能 とした.また,配信サーバ側にて SIP サーバを使用し,配送者の URI に対応する IPアド レスの管理を行うことによって,配送者と視聴者に対して透過的な配信経路切替処理を提案 した.謝辞
本研究を進めるにあたり,指導教員としてご指導頂きました高知工科大学 情報学群の島 村和典教授には,的確なご指導を賜り,また,大学生活においても,人間として,そして社 会人としての心構えと物事の考え方を数多く教わりました.心より感謝を申し上げます.ま た,本研究の副査を引き受けていただいた横山和俊教授ならびに植田和憲講師には,有り難 いご指導を賜り,誠に感謝致します.研究活動において,同じ HCI 研究グループの先輩と して,たくさんのご指導・ご助言をくださった島村研究室 修士 2年の辻際宗和氏に深く感 謝を致します.研究活動の進捗を心配してくださり,また,私の日頃の生活態度に対して的 確なお言葉,厳しいお言葉をくださった島村研究室修士 2年の小笠原一聡氏,京極海氏,島 田裕幸氏に,感謝を致します.3 年次,研究室の仲間に加えていただいた頃より,何から何 まで,手取り足取り教えてくださった修士 1 年の赤澤将太氏,常に,自分に対しても周りに 対しても厳しく振る舞い,研究生の模範となってくださっていた修士 1 年の竹本万里雄氏 には,ご迷惑をお掛けしたことも多くありました.本当に感謝いたしております.また,常 に共に在り,同じく研究活動に励み,幾つもの苦楽を共にしてきた学士 4 年の同期 6 名に 感謝いたします.機械を超えたタイピング速度と落ち着いた性格を併せ持ち,焦りと安らぎ の両方を与えてくださった上田亜柚香氏,常に率先して先頭に立ちながら,その実,傷つき 易い心を持った,人間味のあるリーダーとして活躍してくださった國和武司氏,いつも明る い笑顔と陽気な声で研究室に和みを与え,個性的なくしゃみで私を明るい気持ちにしてくだ さった仙波紗羽氏,誰よりも身だしなみに気を使いながら,サブカルチャーにも理解を示し, 尚且つ感覚的な思考を持つという複雑さで,新しい視点を与えてくださった三角隆太氏,誰 に対しても分け隔てなく優しい性格を持ちながら,会話の主導権は絶対に譲らない強かさを 教えてくださった中島春菜氏,考えられない程の敏腕ぶりで,研究室内外の仕事を数多く引 き受けてくださった渡部弘章氏と同じ時間を過ごせたことを誇りに思います. 研究室の後輩として,共に研究室活動に励んだ学士 3年の今田七海氏,高野雅裕氏,中村謝辞
真也氏,宮野拓洋氏,山崎秋音氏,吉崎友拓氏に感謝致します.
そして,これまで育ててくださった両親と祖母,兄に心より感謝致します.大学生活中, 常にお世話になりました情報学群の皆様,事務室の皆様,食堂の皆様,売店の皆様方に感謝 の意を持って謝辞とさせていただきます.
参考文献
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