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学習性無力感に関す

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Academic year: 2022

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(1)原. 著. 学習性無力感に関す る研究 無力感尺度の妥当性再検討と認知的成分の直接的測定の試み一. 一その6. 青柳 The. 肇‡. Reexamimation. Sca1e. amd. The. pu叩ose. Sca1e(Aoyagi. Ss. of. et. were337co116ge. cogmtlve. tasks. helple竿did estiniate. These. present. studuy. nt. were. Vli血ty. of. is. Cognitive. were. to. Osamu. the. to. mduce. Dhectly. the. Oashi帥 predictive. cognitive. administered肪e. man1pulated. Help1essness. ComPonent. re−examine. directly. the. to皿es皿e. Aoyagi‡,and. mesure. 治榊. helplessness. he1plessness. But. of. scale Ss. and. who. They. of. the. leamed. then. were. did. nt. He1plessness. he1plessness.. given. assessed. the h1gh−. ratelow斜£. performance.. were. Sca1e早nd. va1idity. component. showperfomancedeficitthanlowhelplessS&And. their. results. to. students.Ss. wh1ch. about. Helplesssness. the. al.,1986)and. of. a皿Attempt. the. Hajime. 大芦. not a. new. consistent approach. with to. he1plessness. mesure. the. theory.. cognitive. Then. component. reconstmction were. of血e. required.. 柳,強矢,19864)).しかし,この改訂無カ感尺度. 序とE1的. とさきに筆者らが用いた認知課題(青柳ら,1985. Se1igmanら(Se−igaman,1975工〕など)の提唱す. による)を併せ実施し予測的妥当性を検討した研. る学習性無力感(1eamedhelp1essness)の概念を,. 究(強矢,細田,高島,青柳,19875〕)では,先の. パーソナリティ変数として捕らえることを試みて きた筆者らの研究は,そのためのパーソナリティ. 研究(青柳ら,1985)とは異なり無力感の高い パーソナリティの被験者ほど解決不可能課題を経. 測度として26項目からなる無力感尺度を作成し,. 験後の学習が促進するという結果が見いだされた.. ;のような結果がもたらされたことは尺度の妥. ついで尺度の因子分析を行いその信頼性を検討し. た.そして,Rotter(19662〕)のLocusofContro1. 当性の問題とともに課題にも問題があったことも. 尺度を併せて実施し併存的妥当性を,認知課題を. 考慮されねばばならない.そのために,課題の改. 用い予測的妥当性を検討するなどその標準化を行. 変を行った上で再検討される必要がある.. 本研究の第一の目的は新たなる認知課題を用い. ってきた(青柳,細田,小鳴,19853〕).. また,筆者らは,無力感尺度の更なる検討を行. 尺度の妥当性をみていくことにある.. う中でその一部の改訂を行い41項目とし,新たに. ところで,Seligmanらの提唱する学習性無力感. 因子分析を実施するなど再び標準化を行った(青. の概念は,生体が自らが直面するストレッサーに. .人間基礎科学科. }上智大学大学院. ^刀助励倣〃〆幽た肋. 杣∫功肋び肋㈱勿. 一29一. 舳椛∫肋勉6ε∫.

(2) 学習性無力感に関する研究一その6一. 対して対処できないということを認知することに. い正答できたかP」)といったよリ日常的な場面に. よって生起するものととらえることから認知説. 適用することによって,学習性無力感に陥った者. (cognitivetheory)とよばれ,この考えは現在,. や,抑うつ者が特徴的にみせる低い自已評価,自. 学習性無力感研究の中で中心的な位置を占めてい. 信のなさといったものの特質が明らかにされるで. る.この見解は実験的場面においてとらえるなら. あろう.. ば,被験者(体)が反応と結果の非随伴性(non−. 本研究の第二の目的はこの随伴性判断を日常場. ContingenCy)を認知したために生じたともいえ,. 面へ適用し,認知課題の正答率予想を被験者に問. この非随伴性の認知を直接的指標を用い測定する. うことにより無力感の高低とその関係を論じたい.. 研究がAlloyらによって行われた一連の研究(Alloy and. Abramson,19796〕,Abramson. 19807〕,Fordand. and. 方. Alloy,. 1.被験者. Nea1.1985副など)である.. 一連の実験は被験者の反応に一見随伴性のある. 法. 埼玉県下の私立大学生337名,男子169. 名,女子168名.. かのごとく提示されるランダムな強化子(ランプ. 2.手続き. の点灯)に対し,抑うつ的,非抑うつ的なそれぞ. れの被験者がO〜100の数字の書かれた直接尺度上. ①無力感の測定:筆者ら(青柳ら,1986)の作 成した無力感尺度(5件法,41項目)実施し被験. でどれほどの随伴性の確率の評定を行うかという. 者の無力感の高低を測定した.. ものである.. ②課題(イ)前処置:被験者をランダムに2群に. これらの結果から,非抑うつ的な被験者は実際. 分けた.実験群は,前処置課題として解決不可能. に反応に強化が随伴した確率より随伴性の判断. な数的課題12問を含む認知課題40問(表1−2に 示す)を,統制群にはすべて解決可能な認知課題. (i1lusion. of. control1IOC)を過大評価するが,. 抑うつ的な被験者は随伴確率を正確に評定すると. いう一貫した結果が報告されている(Ford. and. 40問(表1−3に示す)をそれぞれ与えた.時閻 は30分である.(口)正当率の推定と次回の正当率の. 予測:終了後,表1−5に示すような正答率と,. Neal,1985).. ところで,こうした随伴性の判断の研究が認知. 次回の正答率予測の評定をおこなわせた.いテス. 課題の正答率を予測する(eX.「テストで何点くら. トセッション:ついで,表1−4に示すような認. 表1−1. 課題の教示(各課題共通). この調査は大学生の数的処理能力と言語的処理能力の統制に関するものです.表紙を開けると40問 の課題が並んでいます.. 数的課題は,並んでいる4つの数字の問に演算子をいれて右辺と等しくなるようにしてください(下 例参照).. 4. 5. 3. 7=21・・. ・・4×5+3−2=21. 04つの数字は入れ換えてはいけません. ○十一×÷は何を用いても構いませんが累乗,ルートは不可. ●()かっこも可.但し先頭には一(マイナス)の記号はつけられません.また()内の先頭 にも一はつけられません(下例参照). 例 (4+5)x2+1・……・・可能. (一4+5)×2+1……不可能 言語的課題は下例のようにカタカナ文字の順序を入れ換えて単語をつくってください.. 例クダイガ……ダイガク 時間は30分です.問題は一般的な成人ならばだれれでも解けることが以前の調査で確認されていま すので,できるだけ飛ばさないように解答してください.. 一30一.

(3) 早稲田大学人間科学研究. 第3巻第1号1990. 知課題を両群共通に実施した.時問は,このセッ. ンを数的課題,アナグラム(言語的)課題,両者. ションも30分聞である.また,このときも前処置. の平均のそれぞれの正答率(%)を算出した.③. 終了後と同じく表1−5の評定を実施した.. 正答率の推定及び次回の正答率の予測については,. 実際の正答率との過大評価,過小評価を見るため. 結果と考察. に評定値から実際の正答率をひいたものを実際の. 結果は,以下のように処理された.①無力感尺. 正答率で除した値(評定率)を指標として算出し. 度の全体の平均値(文=120.10)で2分し上位群. た.すなわち,この値が正の値を取ればこの被験. を高無力群,下位群を低無力群とした.この平均. 者は実際の正答率より過犬の正答率の推測,ある. 値は筆者らの先の研究(青柳ら,1986)の値(文 121,O)とほぽ一致し,この尺度の安定性の一端を. いは,次回の正答率の予測を行ったことになるが,. 負の値をとるときは過小な評定を行ったことにな. 示すものといえる.. る.. ②課題の遂行成績は,両群ともテストセッショ. 解決不可能群の前処置義題. 表1−2 1)ヒンノくヒイ. 11)9584=32. 2)グルマウバ 3)ツムタリカ. 12)6ユ96=1. 4)9368:14 5)リバポケツ. これら,9つの指標について男女別に前処置課. 13)マツウセオ 14)マバコテタ 15)トゼプレン. 21)キイセカク 22)ブキフハナ. 31)ロイミドリ. 23)6365=6. 33). 24). 34)りメンケコ. 1. 9. 3. 7. 32)6321=5. =16. 25)3296=7 26)6316=3. 16). 7)6957=7. 17)7493=27 27)1932=13. 8)8465=25. 9)スリカグセ. 5. 7. 4. =8. 18)シウンボツ. 28)3175=3. 19). 29)キウコンシ 30)ゲボウシカ. 4. 9. 1. 2. =34. 20)トラウシガ. 10)キンサケイ. 表1−3. 8. 2. 1. =4. 35)4635=15. 6)2643=11. 1. 7. 36)5727=9 37)ンボトカア 38)トザウカク 39)ムネガシメ. 40)1563=17. 解決可能群の前処置課題. 1)ヒンノ寸ヒイ. 11)2764=7. 2)グルマウバ 3)ツムタリカ. 32)6321=5 12)1961二15 22)ブキフハナ 13)マツウセオ 23)6475=2733)2741=0. 4)9368:14 5)リバポケツ. 14)マバコテタ 15)トゼプレン. 21)キイセカク. 24)2736=7. 31)ロイミドリ. 34)リメンケコ. 25)8164=6 35)7251:17 26)6316=3 36)7149=26. 6)8741:13. 16). 7)9514=9 8)6457=3. 17)3914=23 27)孝489=9 37)ンボトカア 18)シウンボツ. 28)3572=2138)トザウカク. 9)スリカグセ. 19)4912=34. 29)キウコンシ. 10)キンサケイ. 20)トラウシガ. 30)ゲボウシカ. 1. 5. 7. 表1−4 1)ツマヅバエ. 2)2552=4 3)3485=15. 4)クフンェビ 5)デケイドウ. 4. =8. 11)9536=ユ8 2ユ) 9 3 5 1 =ユ7 3ユ)ウチュェン 12)7376=23 22)2129=12 32)3756=44 13)ジネシマワ 14)ジツマウヨ 15). 7. 4. 6. 9. =13. 16)オナトアシ. 7). 17)4819=2. 4. 8. 3. ;18. 8)シベルチミ. 9)1923=4. 10)6582=7. 40)8321=11. テストセッションの課題. 6)タシンネブク 9. 39)ムネガシメ. 18)ブゲアラア 19)コタリモウ 20)カジクラタ. 23)ンキンメセ. 33). 24)3926=12. 34)スリイベダ. 25)ムロブラグ 26)レコウゾイ 27)ガシナボレ 28)ネコガシム 29)キセリダイ. 35)6127:2. 30)3137=16. 一31一. 36). 6. 7. 5. 4. 3. 2. 4. 9. =5. =5. 37)4395=3 38)7598=3 39). 4. 8. 1. 3. =10. 40)ルヒガエキ.

(4) 学習性無力感に関する研究一その6一 正答率予想,次回の期待正答率予想の質問項目. 表1−5. ただ今の課題についてあなたはどれくらい正当できたと思いますか.また,これに続いて同じ形式 の同じ難易度の課題を実施したらどれくらい正答できると思いますか.数的課題,言語的課題,全 体についてそれぞれパーセンテージ(%)で評定してください. 今の→数的課題 ( )% 次回→数的 ( )%. 課題. 言語的課題( 全体. )%. (. 言語的(. )%. 全体. 表2−1. 男. 男. 女 アナ. 男. グラ ム. テスト課題の正答率. 解決可能. 解決不可能. 86.91. 78.63. 85.83. 78.17. 10.35(38). 13.17(62). 13.01(39). 13.63(30). 85.05. 79.19. 81.65. 77.35. 10.03(46). 10.67(31). ユ3.82(41). 12.85(50). 85.26. 71.05. 81.28. 70.17. 13.67(38). 19,35(62). 18.04(39). 22.86(30). 79.13. 70.16. 73.05. 66.90. 16,36(46). 16.73(31). 21.30(41). 19.95(50). 90.13. 86.05. 90.93. 86.50. 1O.91(38). 14.48(62). 13.98(39). 14.79(30). 90.98. 88.23. 90.24. 88二20. 11.75(31). 11.40(41). 12.03(50). 低無力群. 女. 数的 課題. )%. 上段:平均値 下段1S D(N) 高無力群 解決不可能 解決可能. 指標 平均. )%. (. 女. 9.82(46). 次に,高無力群と底無力群でテスト課題の正当. 題の解決可能/不可能(解決可能群/解決不可能 群),無力感の高/低(高無力群/低無力群). の2×. 2の分散分析を実施した.. 率に生ずる差異について検討したが,若干の指標 で高無力群が低無力藷に比して低い正答率を見せ. その結果表2−1に示されているように前処置. るもののこれらはいずれも有意なものではなかっ. 課題の解決可能/不可能による主効果は男子の平均. た.しかし,高無力群が低無力群に比べいかなる. (数的課題とアナグラム課題の平均). でF. 時でも遂行成績が悪いということは必ずしもいえ. (1,165)=17.97,P〈.01,同じく女子の場合はF. ないが,解決不可能な課題を経験したときは高無. (1,164)=7,09,P<.01,男子の数的課題のみに. 力群ほど後続のテスト課題での遂行成績が低下す. ついていえばF(1,165)=17.79,P〈.01,同じく. ることが予想される.この課題のタイプと無力啓. 女子でF(1,164)=6.41,P<.01といずれも解決. の高低の交互作用も,いずれの指標においても有. 不可能群が解決可能群にくらべ後続のテスト課題. 意な差はみられず,抑うつ傾向と対処不可能課題. において有意に低い正答率を示し,学習性無力感. の効果が平行的であるとした先行の研究(例えば,. の概念と符合した結果が得られた.. Miller. このうち,解決可能群と不可能群の正答率の差. and. Seligman,19759〕)の結果とは一致を見. なかった.. の最も大きかったのは男子の数的課題についてで. これについては,用いた課題の問題も考えられ. あり(解決可能群:83.25%,解決不可能群=70.76. るが,本研究で用いた41項目の無力感尺度にっい. %),その差は12.49%であった.この結果は筆者. ては別の認知課題を用いた筆者らの研究(強矢ら,. らの先の研究(青柳ら,1986)にみられた女子は勇. 1987)でも無カ感の高いものほど解決不可能課題. 子に比して無力感に陥り易いという見解とは異な. を経験した後のテスト課題の正答率が高くなると. るものであり今後の研究が待たれるところである.. いう結果が見られており,こうしたことからみて. 一32一.

(5) 早稲田大学人間科学研究. 表2−2. 第3巻第1号1990. 正答率の推測(評定率). 上段:平均値 下段:S. 低無力群 解決不可能 解決可能 平均. 男. 一〇.07. 一〇.O1. O.12(38). 女. 一〇.07. 男. 一〇、O1. 女. 一〇.03. 男. 一〇.02. 女. 一〇.08. O.12(46). 表2−3. O.26(41) 一〇.04. O.09(30) 一〇.06. 一0.14. O.17(41). O.02(31). O.27(50) 一〇.02. O.09(39). O.17(62) 一〇.12. O,25(30) 一〇.07. 一〇.09. O.26(31). O.14(50) 一〇.11. O.71(39). O.20(62). 一〇.02. O.07(38). グラ ム. 一〇、05. 一〇.15. O.18(46). アナ. O.14(41). O.16(31). O.13(30) 一〇.07. 一〇.14. 一〇.03. O.14(38). 一〇.04. O.09(39). 一〇.12. O.12(46). 数的 課題. 一〇.04. O.19(62). D(N). 局無力群 解決可能 解決不可能. O.16(50). 次回の正答率の予測(評定率). 上段:乎均値 下段:S. 低無力群 解決可能 解決不可能 平均. 男. 一〇.O1. O.16(38). 女. 数的 課題. 男. 一〇.07. 0.17(31). O,OO. O.03. O.00 O.23(46). アナ グラ. 男. ム. 女. O.16(62). 一0.05. O.12(38) 一〇.10. O.13(46). O.09(39) 一〇.11. 一〇.1O. O,14(46). O.18(38). 女. 一〇.02. O.20(41) 一〇.07. O.31(62). O.17(39). 一〇.13. 一〇.06. O,29(31) 一〇.05. O.13(39). O.17(50) 一〇.08. O.30(30) 一〇.04. O,31(50). O.01. O.03. 一〇.10. O,17(31). O.18(41). O.17(30) 一〇.05. 0.31(41). O.17(62). 一〇.11. D(Nう. 局無力群 解決可能 解決不可能 一0,05 O.OO. O.16(62) 一〇.05. O.16(50). も,無力感への落ちいり易さ,あるいは対処不可. 究(青柳ら,1986)からこの尺度が不安や抑うつと. 能なストレッサーを経験することによって形成さ. いった広義の無力感とでもいうべきものをさして. れるパーソナリティ特性を測定するためのこの尺. いることは明かであり,そうした前提のもとに以. 度の妥当性はやや疑わざるを得ないと考えられ. 下の考察を行うこととする.). つぎに,正答率の推測,次回の正答率の予測を,. る.また,今後はアメリカでの諸研究との比較の. 点などからもそれらで用いられているBDI:Beck Depressive. Invent町を使用しこの尺度と比較する. 表2−2〜表2−3に示した.Alloyらの随伴性判 断の諸研究によれば,非抑うつ者は随伴性判断課 題を一般に過大評価するが,抑うつ者は随伴性を. ことも必要と思われる.. (なお,以下この尺度の結果から無力感の高低. ほぽ正確に判断するという緒果が報告されている. をもって課題の結果などを論じるが,これは厳密. が,表に示されているように評定率がプラスの値. には学習性無力感の概念をさしているものとは言. をとるものはごく少数で結果はAIloyらの研究と. えないかもしれない.しかし,筆者らの以前の研. 一致するものではなかった.しかし,A11oyらの随. 一33一.

(6) 学習性無力感に関する研究一その6一. 伴性判断の研究と本研究は方法論においてかなり. 定しているが,このとき,抑うつ者は条件のいか. 異なるものであり,特に本研究の場合評定の対象. んにかかわらず正確な随伴性の評定を行うが,非. になったテスト課題が全問正解可能な課題である. 抑うつ者は成功が顕著な利得条件では随伴佳の過. から,100%正答者の場合も100%以上の評定はさ. 犬評定をおこない,失敗が顕著な損失条件では逆. れないということも考えられる.. に抑うつ者よワも低い随伴性の評定を行うという. 学習佳無力感の概念に従えば,解決不可能な前、. のがそれである.. 処置課題を経験した被験者は,後続の解決可能な. この結果については通常2つの解釈が行われて. テスト課題をも対処不可能なものと認如し,、また,. いる.一つめはFrankel. 高無力群ほどその傾向が強いことになる.. よるeggtism仮説であリ,もう一つはAlloyら. しかしながら,本研究で前処置課題の主効果が. (1979),. and. Synder(197810〕)に. Schwa計(1981u〕)などによる仮説探索. みられたのは男子のアナグラムの次回の正答率の. (HypothesisTesting)の解釈によるものである.. 予測のみで(F(1,165)=8.23,P<O.01),しか. このうち,前者によれば,非抑うつ者は自己評. もこの結果は解決不可能群の方が解決可能群より. 価を高めその低下を防ぐという防衛的動機づけを. 大きな評定を行っていたこととなり予想とはまっ. 持ち,これによって成功が顕著な利得条件では自. 己評価を高めるような随伴性の過大評価を,失敗. たく異なるものであった.. 一方,尺度による無力感の高低の主効果も男子. が顕著な損失条件では,自已評価の低下を防ぐよ. の数的課題の次回の正当率の予測で有意な差がみ. うに随伴性の過小評価をする.一方,防衛的な動. られ(F(1,165)=5.14,P<O.05);.同じく男子. 機づけの低い抑うつ者は条件のいかんにかかわら. の数的課題の正答率推測で一も有意な傾向(F (1,165)=3,459,P<O,1)がみられ高無力群が低. ず一定の随伴性の評定をおこなうというのがその 解釈するところである。.. その他の指標では有意な差はみられずいずれも予. また,後者は,非抑うつ者は抑うつ者に比べ動 機づけが高く,そめためこのような随伴性判断の. 想された結果とは異なるものであった.. 課題のおいては,随伴性を認知するための仮説を. 無力群に比べ低い評定を行うことが確認されたカ、. さらに,この前処置課題の効果と,無力感の高. 立てこれを検証しようとする態度を見せることか. 低による効果の交互作用が,.正答率推測について,. 女子の平均(F(1,165)=7.70,P<O.01),女子. ら判断にバイアスを生じさせがちであるが,抑う つ者にはこの上うな態度はみられないという.従. のアナグラム課題(F(1,164)=4.72,P〈O.05). って,非抑うつ者は一般に随伴性があると期待し. などで有意な結果がみられ,また,女子の数的課. 仮説確認的態度をとる故に,成功が顕薯な利得条. 題でも有意な傾向がみられた(F(1,164)=3.23,. 件では過大評価を示すが,逆に損失条件では失敗. P<O.1).. が顕著であり仮説が否認されることが印象づけら. とはいえ,この結果は,解決可能課題において. れ随伴性が低く評価される.また,抑うっ者は仮. は高無力群<低無力群という予想された評定がお. 説確認的態度をとらないためそのようなバイアス. こなわれているが,解決不可能群では低無力群の. からまのがれるという解釈をその骨子とするもの. 評定値を高無力群が上回るというまったく予想を. である.. 反するものであった.なお,・こうした結果は有意. さて,この二つの随伴性判断の研究の解釈論が. ではないが正答率推測の男子の平均,・男子のアナ. 本実験の緒果の解釈にあてはめられうるかの問題. グラム課題などでも見られた.. であるが,本研究とAlloyらの研究がその方法に. ところで。.こうした予想と反する結果と似た結. おいて著しく異なるものであることはいうまでも. 果は,随伴陸判断の研究においてもいくつか報告. ない.しかし,非随伴性判断が自ら対処できない. されている.たとえば,A11oyandAbramson(1979). という認知を生み,それが結果的に自分は駄目だ. の第4実験では,強化時に得点が伽算される利得. という自己評価の低下を招くのであると考えれば,. 条件と非強化時に得点が減算される損失条件を設. A1loyらの基礎的な研究の日常場面での応用として. 一34一.

(7) 早稲田大学人間科学研究. 第3巻第1号1990. 本研究の結果を類推的に考えてもよいであろう. また,本実験の解決不可能群と饒決可能群の効果. 柳ら,1986)では,この無力感尺度の因子分析の. に相当するものが,A1loyらの利得条件と損失条件. 結果,「失敗に対する過敏性」の因子が摘出されて. にあたることになるが,これはむしろA1loyらの. おりそのこともこの解釈を補強するものとなろう.. しも要求しない.さらに,筆者らの以前の研究(青. 研究が基礎的な随伴性の認知ということを問題に. さて,評定値の結果については以上の解釈が成. していながら,条件差といったそれ以外の要因に. り立つが,本来,学習佳無力感を対処不可能なス. よっても緒果が左右されるということを示したも. トレッサーの経験による非随伴性,対処不可能性. のとも考えられ,これらの結果の解釈を本研究の. の認知にその基本的要因を求めるとき,ここに述. 結果の解釈に類推す. べた二つの解釈のように対処不可能経験に対して. ることを許すものとなろう.. 以上の前提のもとに本研究の結果を解釈すれば,. 結果は後者の仮説探索の解釈を是とするところで. 何らかの動機づけが存することを前提に解釈しな ければならないとすると,本研究のよ. うな方法を. ある.なぜなら,egOtiSm仮説によれば抑うつ者は. もってSe1igmanらが主張するような学習性無力感. 非抑うつ者と異なり防衛的な動機づけをもたず一. の認知的成分を測定するのは根本的に問題がある. 定の随伴性の判断を行うはずであるが,本研究の. といわざるを得ない.つまり,真に,無力感が生. 結果は抑うつ者は解決可能群と不可能群ではその. 起する時にはそのような動機づけもすでに存在し. 評定するところがかなり異なるからである.しか. ないはずであり,仮に存在する段階で測定しなけ. し,本実験の場合後続のテスト課題が全問解決可. ればならいとしてもそれは剰余変数として統制さ. 能なものであり,解決可能群は前処理をほぽ同じ. れなければならないのである.さきに論じた無力. 様な課題を1時問にわたって与えられたために飽. 感尺度の改訂という作業と並んで,今後は,これ. き,ないし疲労の効果が見られたのに対し,解決. らについても新たな方法論の模索が望まれるとこ. 不可能群では後続のテスト課題が前半に対し著し. ろである.. く易しいものに思え飽きや疲労の効果が相殺され. 結. てしまったかも知れないということもまた考えら. れる.とはいえ,もしそうした効果が働いていた. 論. 本研究は筆者らの以前の研究に続いて青柳ら. としてもその効果は無力感の高低・にかかわらず生. (1986)による41項目の無力感尺度の予測的妥当. じるはずであり,低無カ群のみの評定が低下する. 性を認知課題を用い再検討したが,解決不可能な. ことを説明できないのである.. 課題を経験したとき無力感の高い被験者ほど後続. 次に,仮説探索の解釈であるが,まず,解決可 能群に見られる高無力群<低無力群の結果は,理. の学習障害が見られることはなく尺度の妥当性が 疑われた.. 解できるが,解決不可能群の場合前処置課題とテ. また,これと同時に無力感と解決不可能課題の. スト課題の難易度が余りに差があるため「問題は. 経験による自己評価の低下の直接的測定を試みた. 一般的な成人ならば誰でも解けることが以前の調. が,その結果は学習性無力感が主張するような結. 査で確認されて……」の教示も被験者に疑問を生. 果をもたらさず,方法論上の問題が予想された.. じさせるものとなった可能性がある.すなわち仮. 説確認的態度の強い低無力群はテスト課題の安易 さに疑いを持ち(例,「この課題は易しいが何か仕. 文. 1)Seligman,M.E.P.Helplessness1On. うした,態度を持たない抑うつ者はテスト課題が. Depres−. sion,Development,andDeath,W.H.Freeman and Company,San Francisco.1975.平井久ら. 組まれているぞ.」),そのため,テスト課題に対し. 急に過大に評定をすることを控えるが,一方,そ. 献. 訳,うつ病の行動学一学習性絶望感とは何か一, 1985,誠新書房. 2)Rotter,J.B.Genera1ized expectancies for. 全問正答可能なため急に大きな評定をおこなうこ. intemal. versus. extemal. control. of. reinforce−. ment.Psychologica1Monographs,80,1−28.. とになったことも考えられる.この解釈はまた,. 抑うつ者が安定した評定をするということを必ず. 一35一. 1966..

(8) 学習性無力感に関する研究一その6一 3)青柳 肇・細田一秋・小鳴正敏 学習性無力感 に関する研究その1一無力感尺度の作成とその 信頼性・妥当陸. enviro㎜ental 8)Ford,αE.and. 立川短犬紀要,18,17−24.. 4)青柳 肇・強矢秀夫 学習性無力感に関する研 究その2一無力感尺度の再検討と地域差・性差 一. 立川短大紀要,19,25−29,i986.. ぴ帰属スタイルとの関係一 28.. 立川短大紀要,23−. 1987.. 6)Al1oy,L.B.and. contingency. in. student:Sadder. imental. 9)Miller,W.and Seligm㎜,ME.P.Depressi㎝ and1eamed he1p1essness in man.Joumal of Abnomal Psycholo駆,84,228−239.1975. 10)Frankel,A.and Synder,M.L Poor perfor− mance following msol▽able problems:. Abralmson,L.Y.Judgment. depressed but. and. wiser?Joumal. of nondepressed of. Nea1,J.M.Leamedhelplessness. and judgement of contro1,Joumal of Person・ ality and Social Psychology,49.1330−1337. 1985.. 1985.. 5)強矢秀夫・細田一秋・高島直子・青柳 肇 学 習性無力感に関する研究その3一認知的課題及. psycholpgy(Vol.2).Hms−. dale,NJ.1Erlbaum,ユ980−. leamedhelple鎚ne$or Personality 1423.. Exper−. and. Social. sion. 1979.. 7)Abramson,L.Y.and A1loy,L.B.Judgement of contingency:En=or and their implications.In A.Balm and J.Singer(Eds),Advances in. 一36一. of. 1978.. 11)Schwa計s,B.Does. Psychology1General,18,441−485.. egotism1Jomal. Psycology,36.1415−. or. do. on1y. helplessness depressed. cause. people. depres− beca工ne. helpless1Co㎜entonAlloyandAbramson. Joumal of Experimental Psychology eral,11O,425−435. 1981.. l. Gen・.

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参照

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