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(1)

電力系統の事故時および平常時の 周波数変動解析に関する研究 Studies on Power System Frequency Dynamic Analysis under Emergency and

Normal Conditions

2016 年 7 月

早稲田大学大学院 先進理工学研究科

井上 俊雄

Toshio INOUE

(2)

i

目次

1.序 論 ... 1

1.1 事故時の周波数変動解析 ... 1

1.1.1 火力プラント出力応動の重要性 ... 1

1.1.2 本研究の貢献 ... 2

1.2 平常時の周波数変動解析 ... 3

1.2.1 負荷周波数制御の重要性 ... 3

1.2.2 本研究の貢献 ... 4

1.3 各章の内容梗概 ... 5

1.3.1 第 2 章 ... 5

1.3.2 第 3 章 ... 6

1.3.3 第 4 章 ... 8

1.3.4 第 5 章 ... 9

1.3.5 第 6 章 ... 11

参考文献 ... 13

2.事故時周波数変動解析用貫流火力プラントモデルの開発 ... 15

2.1 緒言 ... 15

2.2 開発モデルの概要 ... 15

2.2.1 ボイラー主蒸気圧力・流量モデル ... 15

2.2.2 プラント制御系モデル ... 17

2.2.3 モデルの使用定数 ... 18

2.2.4 サンプルシミュレーション ... 20

2.3 実機の周波数変動模擬試験結果との対比 ... 22

2.3.1 実測とプラントモデルの対比 ... 22

2.3.2 実機応動の考察 ... 28

2.4 結言 ... 29

付録 ... 29

参考文献 ... 30

3. 事故時周波数変動解析用 CCGT プラントモデルの開発 ... 32

3.1 緒言 ... 32

3.2 系統運用・制御面の CCGT プラントの主要な運転特性 ... 32

3.3 事故時周波数変動解析用プラントモデルの要件の明確化 ... 33

3.4 開発モデルの概要 ... 34

3.4.1 モデルの構成 ... 34

3.4.2 ガスタービンモデル ... 36

3.4.3 蒸気タービン出力モデル ... 37

3.5 プラントモデルの精度検証例 ... 38

(3)

ii

3.5.1 ガスタービン・蒸気タービンモデルの使用定数の算定 ... 39

3.5.2 制御系モデルの構築 ... 39

3.5.3 実機とプラントモデルの対比 ... 41

3.6 周波数変動時のプラント応動特性 ... 43

3.6.1 周波数変動時の応動 ... 43

3.6.2 別メーカプラントの精度検証例 ... 45

3.7 開発モデルのバリエーション ... 45

3.7.1 多軸型プラントへの適用 ... 45

3.7.2 周波数上昇時の簡易モデル ... 46

3.8 結言 ... 49

付録 ... 50

参考文献 ... 50

4. 負荷周波数制御(LFC)解析用貫流火力プラントモデルの開発 ... 52

4.1 緒言 ... 52

4.2 LFC 運転時の火力プラント出力変化 ... 53

4.2.1 中心出力(出力変化の緩やかな成分) ... 53

4.2.2 出力変化分(出力変化の速い成分) ... 53

4.3 開発モデルの概要 ... 53

4.3.1 モデルの特長 ... 54

4.3.2 モデルの構成 ... 55

4.4. 開発モデルの精度検証 ... 57

4.4.1 出力変化分の検証 ... 57

4.4.2 中心出力を含めた検証 ... 60

4.5 実規模系統の LFC 解析ツール例... 60

4.5.1 LFC 解析ツールの概要 ... 60

4.5.2 シミュレーションの精度検証 ... 62

4.6 結言 ... 63

参考文献 ... 64

5.出力応動遅れの大きい発電機を活用する LFC 制御ロジックの提案 ... 65

5.1 緒言 ... 65

5.2 出力応動遅れの大きい発電機を活用する LFC 制御ロジックの提案 ... 65

5.2.1 制御ロジックの全体構成 ... 65

5.2.2 LPF の一次遅れ時定数の設定 ... 66

5.2.3 PID 制御定数の設定 ... 67

5.3 シミュレーションによる提案ロジックの効果検証 ... 68

5.3.1 モデルの全体構成 ... 68

5.3.2 系統負荷変動データ ... 68

5.3.3 系統周波数特性(GF 特性・負荷特性)モデル ... 69

(4)

iii

5.3.4 LFC 発電機モデル ... 69

5.3.5 LFC 制御ロジックモデル ... 70

5.3.6 想定ケースと結果 ... 72

5.3.7 実システムに向けた制御ロジック構成例 ... 76

5.4 結言 ... 77

付録 系統負荷変動特性に着目した LFC 所要調整力の算定法 ... 77

参考文献 ... 80

6. 負荷周波数制御シミュレーションの高度化 ... 81

6.1 緒言 ... 81

6.2 開発手法の概要 ... 81

6.2.1 開発手法の従来手法との関連 ... 81

6.2.2 プログラムの構成と演算処理フロー ... 82

6.2.3 解析条件・モデル ... 84

6.3 計算アルゴリズム ... 86

6.3.1 新しい数値積分手法の適用 ... 86

6.3.2 モデル系統での求解性能の検証 ... 87

6.3.3 新しいノード周波数算出法 ... 90

6.4 需給変化時の長時間動特性シミュレーション解析例 ... 93

6.4.1 解析条件 ... 93

6.4.2 解析結果 ... 94

6.5 結言 ... 97

付録 2 段対角型陰的ルンゲクッタ法の特徴 ... 97

参考文献 ... 106

あとがき ... 108

謝辞 ... 110

研究業績 ... 111

(5)

1

1.序 論

我 が 国 では エ ネ ルギ ー の安 定 供 給と コ ス トの 低 減 の 観点 か ら エネ ル ギー 政 策 の見 直 し が行 わ れ 、 現 在、 安 定 供給 の 確保 、 電 気料 金 の 最大 限 抑 制 、 需要 家 の 選択 肢 や事 業 者 の事 業 機 会の 拡 大 を 目 的と し て 電力 シ ステ ム 改 革が 進 め られ て い る 。 一方 、 低 炭素 社 会の 実 現 に向 け て 再生 可 能 エ ネ ルギ ー 導 入促 進 のた め に 固定 価 格 買取 制 度 が 導 入さ れ た 結果 、 電力 系 統 の安 定 運 用に 影 響 を 与 える 自 然 変動 電 源で あ る 太陽 光 発 電の 導 入 が 急 増し て いる 。

こ の よ うに 電 気 事業 を 取り 巻 く 環境 は 大 きく 変 化 し てい る が 、そ の 根底 に あ るの は 電 力系 統 の 供 給 信頼 性 の 確保 で ある こ と には 何 ら の変 化 も な い 。電 力 系 統の 供 給信 頼 性 の確 保 の 考え 方 は 長 期 的お よ び 短期 的 な側 面 か ら整 理 さ れて い る 。 長 期的 に は 電力 需 要に 見 合 う十 分 な 発電 設 備 の 確 保な ら び に安 定 かつ 効 率 的に 電 力 輸送 が で き る 流通 設 備 の確 保 であ る 。 短期 的 に は電 力 系 統 の 安定 運 用 の確 保 であ り 、 事故 時 の 系統 セ キ ュ リ ティ 維 持 (系 統 安定 度 、 周波 数 、 電圧 の 維 持 ) なら び に 平常 時 の電 力 品 質の 維 持 を可 能 と す る 電力 系 統の 安 定運用 の 確 保で あ る。

本 研 究の 対 象 は、 上 記の 電 力 系統 の 安 定運 用 の 確 保 のう ち 、 事故 時 の周 波 数 維持 と 平 常時 の 周 波 数 品質 の 維 持で あ る。 電 力 系統 の 周 波数 の 維 持 を 実現 す る には 、 それ を 支 える 基 盤 的な 研 究 開 発 が必 要 であ り 、しか も 、電 源構 成 の変 化 、 電 源 特 性や 電 源 運用 の 変化 な ど の電 力 系 統の 特 性 変 化 に対 応 で きる 研 究成 果 で ある こ と が要 求 さ れ る ため 、 過 去の 研 究成 果 が その ま ま 適用 さ れ 続 け るこ と が必 ず しもで き る わけ で はな い 。 本研究は、事故時および平常時における周波数変 動シミュレーション解析に関する研究である。電力 系統の周波数変動シミュレーション解析は、系統事 故時の周波数異常(周波数の大幅な変動)に対する 周波数安定化制御の策定、ならびに平常時の周波数

品質維持のための周波数制御の実施において重要な 役割を果たしている。

本章では系統事故時ならびに平常時の周波数変動 解析の概要を述べる中で本研究の貢献を明確にす る。なお、電力系統における周波数制御の詳細は電 気学会技術報告所[1-1]に良くまとめられている。

1.1 事故時の周波数変動解析

近 年 の 大停 電 事 故で は 安定 度 崩 壊や 送 電 線過 負 荷 に よる 電 源 脱落 あ るい は 系 統分 離 に よっ て 電 源 と 負荷 の 不 均衡 が 大き く な り 、 系 統 周波 数 変 動 、 特に 周 波 数低 下 によ っ て 電源 が 連 鎖的 に 脱 落 し て大 停 電 事故 へ 拡大 す る 場合 が 多 い。 こ れ を 防 止す る た めに は 、シ ミ ュ レー シ ョ ン解 析 に よ っ て事 故 時 の 周 波 数変 動 を 精度 良 く 事前 に 予 測 し 、適 切 な 事故 波 及防 止 対 策を 立 て てお く こ と が 重要 で ある 。

1.1.1 火力プラント出力応動の重要性 周 波 数 変動 は 各 種電 源 の出 力 応 動特 性 と 負荷 特 性 に よっ て 定 まる が 、電 源 側 の特 性 と して は 主 要 電 源で あ る 火力 プ ラン ト の 出力 応 動 特性 が 重 要 と なる 。

(1)汽 力 火力 プ ラン ト

汽 力 プラ ン ト はボ イ ラー 形 式 によ っ て ドラ ム 火 力 と 貫流 火 力 に区 分 され る 。 ドラ ム 火 力で は 単 位 出 力当 た り のボ イ ラ ー 保 有 水や 蒸 気 量が 貫 流 火 力 と比 べ て 多い の で、 ボ イ ラー の 等 価的 な 応 動 時 定数 ( 周 波数 変 動時 の ガ バナ 動 作 によ る タ ー ビ ン蒸 気 流 量変 化 に対 す る ボイ ラ ー 主蒸 気 圧 力 変 化の 応 動 時定 数 )が 長 い 。こ の た め、 周 波 数 変 動 解 析 で 重 要 な 系 統 事 故 発 生 か ら 1〜2 分 間 程 度の 比 較 的短 い 時間 領 域 では 、 火 力プ ラ ン ト の 出力 応 動 特性 を ター ビ ン ・ガ バ ナ 応動 の み に よ って 考 慮 する こ とが 可 能 であ る 。 周波 数 の 大 幅 な上 昇 で は、 ガ バナ 動 作 によ る タ ービ ン 蒸 気 制 御弁 の 急 速閉 鎖 や制 御 弁 動作 の 非 線形 特 性 の 考 慮が 重 要 であ る 。そ の よ うな 詳 細 ター ビ

(6)

2 ン・ガバ ナ モデ ル [1-21-3]が 従 来 から 提 案さ れ て い る 。

一 方 、 我が 国 では 1970 年 代 か ら、 技 術革 新 に よ っ てド ラ ム 火力 か ら超 臨 界 圧貫 流 火 力( 以 下 、 貫 流火 力 ) への 移 行と そ れ によ る 発 電効 率 の 向 上 や単 機 容量 の 増大が 進 め られ 、1990年 代 に は 汽 力火 力 プ ラン ト の主 体 は 貫流 火 力 によ っ て 占 め られ る よう に なった 。

貫 流 火 力で は 単 位出 力 当た り の ボイ ラ ー 保有 水 や 蒸 気量 が ド ラム 火 力と 比 べ て少 な く ボイ ラ ー の 等 価的 な 応 動時 定 数が 短 い ため 、 周 波数 変 動 解 析 で重 要 な 1〜2 分 程 度 の 短い 時 間領 域 に お い て も、 タ ー ビン 蒸 気流 量 変 化に 対 す るボ イ ラ ー 主 蒸気 圧 力 の変 化 がド ラ ム 火力 と 比 べて 大 き い 。 主蒸 気 圧 力の 変 化が 許 容 範囲 を 超 える 、 あ る い は火 力 プ ラン ト 安定 運 転 に重 要 な 影響 を 及 ぼ す 場合 、プ ラ ント はト リ ッ プさ れ る[1-4]。ま た 、 貫 流火 力 の プラ ン ト制 御 系 では 、 発 電機 出 力 を 設 定値 に 一致 さ せるた め 、ボ イラ ー 制御( 給 水 ・ 燃 料流 量 制 御 ) と ター ビ ン 制御 ( 加 減弁 開 度 制 御 )を 協 調 して 制 御す る 「 ボイ ラ ー ・タ ー ビ ン 協 調制 御 」( 以 下、協 調 制 御)が 適用 さ れて

い る[1-5]。こ の 制 御 で は 、中 央 給 電指 令 所 等 か ら

の 出 力 設定 変 化 に対 応 して 、 ボ イラ ー の 安定 運 転 内 で 迅速 に 加 減弁 を 制御 す る と同 時 に ボイ ラ ー 出 力 を変 化 さ せ る こ とで 、 良 好な 負 荷 追従 性 能 が 得 られ る 。 しか し その 一 方 、 貫 流 火 力で は 協 調 制 御の 応 動 がプ ラ ント 出 力 応動 特 性 へ与 え る 影 響 が強 い た め 、 周 波数 変 動 時の 貫 流 火力 の 出 力 応 動を 精 度 良く 求 める に は 従来 の よ うな タ ー ビ ン ・ガ バ ナ 応動 だ けで な く 、主 蒸 気 圧力 や 協 調 制 御の 影 響を 考 慮する 必 要 があ る。さ らに 、 近 年 で は、 部 分 負荷 時 の熱 効 率 向上 な ど の面 か ら 変 圧 運転 が 一 般的 に なっ て お り、 そ の 影響 も 考 慮 す る必 要 があ る [1-6]

(2)コ ン バイ ン ドサ イ クル プ ラ ント

CO2排 出 、発電 効 率や 建設 工 期 の面 の メリ ッ ト か ら 、新 設 火 力プ ラ ント と し て コ ン バ イン ド

サ イ ク ルプ ラ ン トの 導 入が 進 め られ て い る。 我 が 国 では 1980 年 代 半 ば に 最 初 の本 格 的な コ ン バ イ ン ドサ イ ク ルが 導 入さ れ 、 その 後 、 コン バ イ ン ド サイ ク ル の導 入 が増 加 し てき た 。 一方 、 1996 年 の マ レ ー シ ア系統 事 故[1-7]で は 周 波 数低 下 に よ って ガ ス ター ビ ンプ ラ ン トや コ ン バイ ン ド サ イ クル プ ラ ント の 連鎖 ト リ ップ が 発 生し 大 停 電 事 故へ 波 及 し、 こ れを 契 機 とし て は 、周 波 数 変 動 時の コ ン バイ ン ドサ イ ク ルプ ラ ン トの 出 力 応 動 特性 の 把 握の 重 要性 が 我 が国 に お いて も 高 ま っ た。 コ ン バイ ン ドサ イ ク ルプ ラ ン トは ド ラ ム 火 力や 貫 流 火力 と いっ た 従 来 の 汽 力 火力 プ ラ ン ト と異 な り 、ガ ス ター ビ ン と蒸 気 タ ービ ン を 組 合 せた 構 成 とな っ てい る 。 この た め 、周 波 数 変 動 時の コ ン バイ ン ドサ イ ク ルプ ラ ン トの 出 力 応 動 を精 度 良 く求 め るに は ガ スタ ー ビ ン 、 蒸 気 タ ー ビン の 応 動を 考 慮す る こ とが 必 要 である。

1.1.2 本研究の貢献

本 研 究 では 大 容 量火 力 プラ ン ト の近 年 の 主流 を 占 め てい る 貫 流 火 力 プラ ン ト とコ ン バ イン ド サ イ ク ル火 力 プ ラン ト を対 象 と し、 事 故 時の 周 波 数 変 動系 統 解 析用 モ デル を そ れぞ れ に 開発 し た[1-81-10]( 第2章 、第 3章 )。開 発 し た 貫 流 火 力 プ ラ ント モ デ ルで は ター ビ ン ・ガ バ ナ 系 の 応 動 だ け でな く ボ イラ ー 主蒸 気 圧 力変 化 や プラ ン ト 制 御 系( ボ イ ラ・ タ ービ ン 協 調制 御 ) の応 動 の 影 響 など を 考 慮し て いる 。 開 発し た コ ンバ イ ン ド プ ラン ト モ デル で はガ ス タ ービ ン 制 御系 の 応 動 や 燃料 や 空 気の 流 量変 化 に よる 燃 焼 温度 変 化 ほ か の影 響 を 考慮 し てい る な ど、 両 モ デル と も に 、 これ ま で の課 題 を解 決 し た、 事 故 時周 波 数 変 動 解析 用 と して 新 規性 の 高 いモ デ ル であ る。

開 発 し たモ デ ル は電 力 各社 の 周 波数 安 定 化シ ス テ ム で 活用 さ れ て電 力 供給 安 定 供給 に 大 きく 貢 献 し て いる 。

(7)

3

1.2 平常時の周波数変動解析

周 波 数 品質 を 確 保す る ため 電 力 各社 で は 周 波 数 を 基 準周 波 数(50 Hzま た は 60Hz)に 一 致す る よ う に需 要 変 動に 応 じた 発 電 調整 を 実 施し 、 需 要 と 供給( 電 力需 給 )の均 衡 を 維持 し てい る 。 周 波 数 の管 理 目 標( 最 大周 波 数 偏差 ) は 系統 規 模 に 応 じて 基 準周 波 数±0.2Hz~ ±0.3Hzで ある。

電 力 系 統で は 多 数の 発 電機 が 運 転さ れ て いる が 、 周 波数 制 御 を分 担 して い る のは 火 力 機、 水 力 機 で ある ( 原 子力 機 は出 力 一 定運 転 し てお り 周 波 数 制御 は 分担 せ ず )。こ の う ち水 力 機は 出 水 状 況 に よっ て 周 波数 制 御に 必 要 な出 力 調 整が 制 約 さ れ る時 期 が あり 、 年間 を 通 じて 出 力 制御 が 可 能 な 火力 機 が 周波 数 制御 の 主 体と な っ ている。

近 年 、 電力 自 由 化( 電 力シ ス テ ム改 革 ) の進 展 や 再 生可 能 エ ネル ギ ー( 太 陽 光、 風 力 など 自 然 変 動 電源 ) の 導入 拡 大と の 関 連に お い て電 力 系 統 の 周波 数 制 御の 研 究の 必 要 性が 非 常 に高 ま っ て い る。

1.2.1 負荷周波数制御の重要性

電力系統の需要変動(負荷変動)は一見すると ランダムな変動であるが、変動成分別にみるとサス テンド成分(長周期成分)、フリンジ成分(短周期成 分)、サイクリック成分(小幅変動成分)に分けるこ とができる(図 1.1[1-11])。変動成分に応じてそれぞ れ次の制御が実施されている。

(1)サステンド成分

20数分以上の長周期の需要変動成分である。本成 分は日間負荷変動カーブからある程度予測可能であ り、予測負荷に見合うよう経済性(主として発電燃 料費)を考慮して発電機の出力配分が決定され、中 央制御(中央給電指令所から制御)されている。こ の 制 御 は EDC( 経 済 負 荷 配 分 制 御: Economic Dispatching Control)と呼ばれる。

需要変動

①サステンド成分

②フリンジ成分

③サイクリック成分

時間

変動成分別に見ると

系統周波数特性(発電機のガバナフリー運 転および需要の自己制御性)によって吸収

③サイクリック成分 (数分までの小幅変動分)

実周波数と基準周波数の偏差を検出して中 央制御で補正、(負荷周波数制御:LFC)

②フリンジ成分

(数分~20分程度までの短周期変動分)

日間需要変動カーブからある程度予測可能 経済性を加味して発電機出力を自動指令

(経済負荷配分制御:EDC)

①サステンド成分

(20数分程度以上の長周期変動分)

系統周波数特性(発電機のガバナフリー運 転および需要の自己制御性)によって吸収

③サイクリック成分 (数分までの小幅変動分)

実周波数と基準周波数の偏差を検出して中 央制御で補正、(負荷周波数制御:LFC)

②フリンジ成分

(数分~20分程度までの短周期変動分)

日間需要変動カーブからある程度予測可能 経済性を加味して発電機出力を自動指令

(経済負荷配分制御:EDC)

①サステンド成分

(20数分程度以上の長周期変動分)

図 1.1 平常時の需要変動特性と周波数制御分担 Fig.1.1. Characteristics of a power system loadfluctuation and associated generation control

(2)フリンジ成分

数分から 20 分程度の短周期の需要変動成分であ る。本成分の予測は困難であるため、これによる周 波数変動はLFC(負荷周波数制御: Load Frequency Control)によって制御される。すなわち、実周波数 と基準周波数からの偏差を小さくするように発電機 出力が中央制御されている。また、上述の EDC の 予測誤差で生じる周波数変動も LFC の制御分担で ある。

(3)サイクリック成分

数分以下の小幅な需要変動成分である。これによ る周波数変動は発電機のガバナフリー運転と負荷の 自己制御性によって抑制される(下記)。

・ガバナフリー運転

発電機自端の周波数(厳密には回転数)を検出し、

周波数が下がると発電出力を増して周波数の低下を 抑制する運転である(周波数上昇はこの逆)。これは 中央制御のEDC、LFCによる出力調整とは異なり、

数分以下の周波数変動を抑制するため発電出力を迅 速に調整するローカル制御である。

・負荷の自己制御性

電動機では周波数が上がると回転数が増えて負荷

(8)

4 が増える。これによって周波数上昇が抑制される(周 波数が下がる場合はこの逆)。このような、負荷が周 波数変動を抑制する特性を指す。

電力自由化(電力システム改革)における発電事 業者の発電計画(30分計画値同時同量)と時々刻々 の需要変動との差異によって生じる需給インバラン ス、ならびに再生可能エネルギー導入拡大によって 生じる自然変動電源の出力変動は予測困難である。

このため、これらの予測困難な要因によって電力系 統に追加される周波数変動は LFC の制御分担にな る。このため、今後、周波数品質確保におけるLFC の重要性は非常に高まる。また、LFCの所要調整力 や制御性能の評価のための LFC シミュレーション 解析(平常時の周波数変動解析)、LFC の制御性能 の向上が特に重要な課題である。

1.2.2 本研究の貢献

本 研 究 の 成 果 は LFC に お け る 以 下 の 課 題 の 解 決 に 貢献 し たも の である 。

(1) LFC シ ミ ュ レー シ ョン に お ける 火 力 機の 出 力 応 動 遅れ の 考慮

LFC で は 短 周 期 の負 荷変 動 に 対応 す るた め 、 出 力 調 整 指 令 に 対 す る 火 力 機 の 出 力 応 動 遅 れ

( 無 駄 時間 遅 れ )も 重 要な 留 意 点と な る 。特 に 石 炭 火 力機 で は 給炭 機 、ミ ル 等 の応 動 遅 れに 起 因 し て 、出 力 指 令に 対 する 出 力 応動 遅 れ が大 き い 傾 向 が見 ら れる 場 合があ る ( 図 1.2[1-11])。

ま た 、 熱効 率 の 面か ら 、中 間 出 力帯 で は 蒸気 加 減 弁 の開 度 を 一定 に して ボ イ ラ ー 蒸 気 圧力 を 変 化 す るこ と で 出力 を 調整 す る 変圧 運 転 の採 用 が 近 年 では 一 般的 で ある。 こ れ によ り LFC 指 令 に 対 する 発 電 機出 力 応動 が 遅 れる 傾 向 にな る こ と に も留 意 する 必 要があ る 。

0 300 600 900 1200 1500 1800

0.6 0.7 0.8 0.9 1

Time(sec)

PG(pu)

図 1.2 LFC 運 転 時 の 石 炭 火 力 機 の 出 力 応 動 実 測 例

( 実 線 : 発 電 機 出 力 、 破 線 : 発 電 機 出 力 指 令 ) Fig.1.2. Example of generator power response of a coal-fired thermal power plant in LFC operation

(Recorded data)

こ の よ うな 火 力 機の 出 力応 動 遅 れを 表 現 した LFCシ ミ ュ レ ー ショ ン用 火 力( 汽 力 )プ ラ ント モ デ ル の開 発 は 課題 で あ っ た が 本研 究 に おい て 開 発 し た[1-12]( 第4章 )。事 故 時 の周 波 数変 動 解 析 と は 異な り 、LFCシ ミ ュ レ ー ショ ン( 平 常時 の 周 波 数変 動 ) では 解 析対 象 時 間は 数 時 間程 度 の 長 時 間に わ た り、 し かも 、 系 統全 体 を 模擬 す る の で 発電 機 台 数は 多 数 で は あ るが 、 周 波数 変 動 の 大 きさ は 事 故時 と 比べ て か なり 小 さ い、 と い う 特 徴が あ る 。こ の 特徴 に 適 する よ う に 、 開 発 し た モデ ル は 事故 時 周波 数 変 動 解 析 用 モデ ル

( 第 2章 )よ り は大 幅 に簡 易 な モデ ル にす る と と も に 、中央 給 電指 令 所か ら の LFC指 令(LFC 火 力 へ の出 力 指 令) 変 化に 対 す る発 電 機 出力 応 動 遅 れ を考 慮 し た新 規 性の 高 い モデ ル で ある 。 ま た 、 開 発 し た モ デ ル を 用 い た 実 規 模 系 統 の LFCシ ミ ュ レ ー ショ ン 解析 で は 実測 対 比に よ っ て 解 析 精度 が 良好 な ことを 検 証 した[1-13] 。開 発 モ デ ル は電 力 各社 に おいて 活 用 され て いる 。

(2) 中給 LFCの 制 御 ロ ジ ッ ク の改 良

中給 LFC の制御ロジックにはもともと位相遅れ 生じる要素、例えば平滑用フィルターや積分要素な どが存在している。このため、火力機の出力応動遅 れが大きい場合はトータルの位相遅れが大きくな

(9)

5 り、系統としてのLFC性能へ影響することも考えら れる。発電機の応動遅れを考慮したLFC制御の改良 が今後の課題であるとの指摘がなされている[1-14] 。 この課題を解決するための新しい制御ロジックを本 研究において開発した[1-15](第5章)。開発した制御 ロジックは電力会社の中央給電指令所の LFC ロジ ックとして採用されている[1-16]

(3) LFCシ ミ ュ レ ー ション の 高 度化

現 行 の LFC シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は 電 力 系 統 の 需 給 ・周 波 数 制御 の みを 解 析 して い る 。電 力 自 由 化 の 下 に お い て は 需 給 ・ 周 波 数 制 御 と 電 圧 ・ 無 効電 力 制 御は 制 度面 で は 個別 に 扱 われ る 可 能 性 があ る が 、電 力 の安 定 供 給の 点 か らは 両 者 は 一 体と し て 考え る こと が 重 要で あ る 。こ の た め 、 需給 ・ 周 波数 制 御と 電 圧 ・無 効 電 力制 御 を 統 合 して 効 率 的に 解 析で き る シミ ュ レ ーシ ョ ン 手 法 を開 発 した[1-17]。開 発 手 法はLFCシ ミ ュ レ ー シ ョン の 高度 化 に資す る と 期待 さ れる 。

1.3 各章の内容梗概

事 故 時 の周 波 数 変動 解 析 に 関 し ては 、 周 波数 変 動 シ ミュ レ ー ショ ン 用に 開 発 した 貫 流 火力 プ ラ ン ト モデ ル と 周波 数 変動 時 の 同 プ ラ ン ト出 力 応 動 特 性を 第2 章で 述 べる 。 ま た、 近 年増 加 し て い る コン バ イ ンド サ イク ル 火 力プ ラ ン トと と 周 波 数 変動 時 の 同プ ラ ント 出 力 応動 特 性 を第 3 章 で 述 べる 。

平 常 時 の周 波 数 変動 解 析 に つ い ては 、 負 荷周 波 数 制 御シ ミ ュ レー シ ョン 用 に 開発 し た 貫流 火 力 プ ラ ント モ デ ル お よ び開 発 モ デル を 用 いた 実 規 模 系 統のLFCシ ミ ュ レ ー シ ョ ン例 を 第4章 で 述 べ る 。第 5章 では 出 力応 動 遅 れの 大 きい 発 電 機 を 活 用す る た めの 開 発し た 負 荷周 波 数 制御 ロ ジ ッ ク を述 べ る。

さ ら に 、負 荷 周 波数 制 御シ ミ ュ レー シ ョ ンの 高 度 化 に向 け て 、周 波 数制 御 と 電圧 ・ 無 効電 力 制 御 を 統合 す る ため に 開発 し シ ミュ レ ー ショ ン

解 析 手 法を 第 6章 で 述べる 。

上 述 の 各章 の 内容 梗 概 は 次 の 通り 。

1.3.1 第 2 章

従 来 から 汽 力 火力 プ ラン ト 単 体の 動 特 性に つ い て 、 プラ ン ト 制御 系 の設 計 や 定数 の 検 討な ど を 目 的 とし て 、 各種 の 非線 形 特 性や バ ー ナー パ タ ー ン 変化 に よ る火 炉 での 収 熱 変化 な ど の影 響 ま で も 解析 で き る詳 細 なモ デ ル がプ ラ ン トメ ー カ に よ って 開 発 され て いる 。 し かし 、 こ のよ う な モ デ ルを 多 数 のプ ラ ント を 含 む電 力 系 統の 動 特 性 解 析に 適 用 する に は 、 必 要 とす る デ ータ 量 が 多 す ぎる と と もに デ ータ の 算 出が 困 難 であ る こ と 、 また 数 十 分間 程 度の ボ イ ラー 動 特 性を 解 析 目 的 とし て い るの で ガバ ナ 系 の応 動 特 性の よ う な 短 時間 の 特 性が 簡 略化 あ る いは 無 視 され て い る こ と、 な ど の問 題 があ り 、 これ ら の モデ ル を 系 統 解析 に 適 用す る のは 不 適 当で あ る 。こ の た め 、 周波 数 変 動解 析 など 電 力 系統 の 動 特性 解 析 に 適 した 汽 力 火力 プ ラン ト モ デル と し て 、 貫 流 火 力 プラ ン ト を対 象 とし 、 系 統擾 乱 時 の数 分 間 程 度 まで の プ ラン ト の典 型 的 な動 特 性 を模 擬 し た モ デル[1-8]を 開 発 した 。開 発し た モデ ル の特 長 と 構 成は 以 下 の通 り 。 な お 、 開発 し た モデ ル を 用 い た周 波 数 変動 時 の貫 流 火 力プ ラ ン トの 典 型 的 な 出 力 応 動 解 析 例 が 技 術 レ ポ ー ト[1-9]に 記 載 さ れ てい る 。

( 1) 開 発モ デ ルの 特 徴

・ ボ イ ラー 動 特 性: 応 動の 速 い 蒸気 流 量 と蒸 気 圧 力 に 着目 し てモ デ ル化

・ プ ラ ント 制 御 系: 協 調制 御 系 の基 本 部 分を モ デ ル 化

・ 給 水 ・燃 料 制 御系 : 応動 が 上 記と 比 べ て遅 い た め 簡 易に モ デル 化

・ タ ー ビン ・ ガ バナ 系 :タ ー ビ ン制 御 弁 (加 減 弁 と イ ンタ ー セ プト 弁 )の 急 閉 機構 を 含 めた 詳 細 モ デ ルを 使 用

(10)

6 (2)開 発 モデ ル の構 成

貫 流 火 力 プ ラ ン ト モ デ ル の 構 成 概 要 を 図 1.3 に 示 す 。プ ラ ン トモ デ ルの 構 成 は 、 ガ バ ナ、 タ ー ビ ン 加減 弁 、 イン タ ーセ プ ト 弁 、 高 圧 ター ビ ン 、 再 熱器 、 低 圧タ ー ビン か ら 構成 さ れ るタ ー ビ ン ・ ガバ ナ 系 モデ ル (同 図 下 部) に ボ イラ ー 系 モ デ ル( 同 図 上部 ) を付 加 し た形 と な って い る 。

(2a) 主 蒸気 圧 力・ 流 量モ デ ル

ボ イ ラー 系 モ デル の うち 、 ボ イラ ー の 主蒸 気 圧 力 ・ 流量 モ デ ルが プ ラン ト の 主要 モ デ ルで あ り 、 そ の他 は プ ラン ト 制御 系 モ デル で あ る。 主 蒸 気 圧 力・流 量 モデ ル では ボ イ ラー を4領域( 節 炭 器 、 過熱 器 、 主蒸 気 管 、 再 熱 器) に 分 割し 、 そ れ ぞ れの 部 分 での 圧 力と 流 量 を体 積 ・ 質量 平 衡 と エ ネル ギ ー平 衡 から算 定 し てい る 。 (2b) プ ラン ト 制御 系 モ デ ル

プ ラ ント 制 御系 の 主要な 動 作 は以 下 の通 り 。

・ 周 波 数バ イ ア ス: プ ラン ト へ の 発 電 出 力設 定

( 中 給 指令 な ど) を 周波数 偏 差 によ っ て修 正

・出 力 制 御(タ ー ビン 制 御):修 正 後 の出 力 設定 、 発 電 機 出力 な ら びに 圧 力制 御 か らの オ ー バー ラ イ ド 指 令に よ って 、タ ービ ン 負 荷設 定( LL 運転

時 は 負 荷制 限 設 定) を 修正 後 の 出力 設 定 に合 致 す る よ うに 制 御

・圧 力 制 御(ボ イ ラー 制御 ):主 蒸 気 圧力 を 設定 値 に 維 持す る よう 燃 料・給 水 指 令を 制 御

・ 燃 料 ・給 水 制 御: 圧 力制 御 か らの 指 令 値に 従 っ て 燃 料・ 給 水を 制 御

・ プ ラ ント 運 転 モー ド 制御 : プ ラン ト 制 御モ ー ド の 切 換( 例 え ば協 調 制御 か ら ボイ ラ 追 従制 御 へ )

上 述 した 主 蒸 気圧 力 ・流 量 モ デル の ブ ロッ ク 構 成 と 標準 的 ( 典型 的 )な 使 用 定数 、 な らび に プ ラ ン ト制 御 系 モデ ル の標 準 的 なブ ロ ッ ク構 成 に つ い て第 2章 で 述べ る。ま た、実 測と シ ミュ レ ー シ ョン 結 果 の対 比 を通 じ 、 周波 数 低 下時 の 出 力 応 動特 性 へ の協 調 制御 と 主 蒸気 圧 力 の影 響 に つ い ても 同 章で 述 べる。

1.3.2 第 3 章

マ レ ー シア の 大停 電 事 故(1996 年 )[1-7]が 発 生 す る 以前 、 電 力系 統 の動 特 性 解析 に 適 した モ デ ル は 開発 さ れ てお ら ず系 統 の 運用 ・ 制 御の 観 点 か ら 、コ ン バ イン ド サイ ク ル プラ ン ト モデ ル の 応 動 特性 に 関 する 具 体的 な 検 討は ほ と んど 行

周波数

周波数 バイアス

出力設定

出力制御 発電機

出力

圧力設定 圧力制御

ボイラー 入力要求

給水 制御 燃料 制御

ボイラー 主蒸気圧力・

流量モデル

発電機 ガバナ 回転数

負荷制限 設定

プラント運転 モード制御

タービン CV開度

主蒸気圧力

高圧 タービン

再熱器 圧力 タービン ICV開度

中・低圧 タービン タービン入力蒸気流量

主蒸気圧力

低圧タービン 出力

× ガバナ指令

×

高圧タービン出力

CV:加減弁

ICV:インターセプト弁

タービン出力

+ +

プラント制御系、

ボイラー主蒸気 圧力モデル

タービン・ガバナ モデル

図 1.3 開発した貫流火力プラントモデルの構成概要

Fig.1.3 Outline of proposed model for thermal power plant with once-through boiler

(11)

7 わ れ て いな か っ た。 し かし 、 上 記の 大 停 電事 故 を 契 機 にし て 、 系統 解 析用 の プ ラン ト モ デル 開 発 の 必 要性 が 我 が国 で も急 速 に 高ま り 、 系統 解 析 用 の コン バ イ ンド サ イク ル プ ラン ト モ デル を 開 発 し た[1-10]

( 1) 開 発モ デ ルの 特 徴

大 容 量コ ン バ イン ド サイ ク ル 発電 所 ( 系列 ) を 構 成 する 単 位 プラ ン ト( 軸 ) をモ デ ル の対 象 と し 、系 統 解析 上 で重 要な プ ラ ント 諸 量と し て 、 ガ ス タ ービ ン 出 力 、 排 ガス 温 度 ・流 量 、 蒸気 タ ー ビ ン 出力 、 燃 料流 量 、空 気 流 量の 動 特 性を モ デ ル 化 した 。 な お 、 開 発モ デ ル は多 軸 型 にも 対 応 可 能 であ る 。

( 2) 開 発モ デ ルの 構 成

モ デ ルは プ ラ ント 制 御系 、 ガ スタ ー ビ ン 、 蒸 気 タ ー ビ ン の 各 モ デ ル か ら 構 成 し た ( 図 1.4)。

プ ラ ン ト制 御 系 につ い ては メ ー カー の 相 違に よ る 応 動 特性 の 差 異が 見 受け ら れ るの で 、 解析 対 象 の 制 御系 モ デ ルを プ ラン ト 個 別( メ ー カ別 ) に 構 築 する こ と とし 、 一方 、 ガ スタ ー ビ ン 、 蒸 気 タ ー ビン の 動 特性 に つい て は プラ ン ト 共通 の 定 式 化 とし た 。

(a)ガ ス ター ビ ンモ デ ル

ガ ス の流 量 、温 度、圧力 を エ ネル ギ ー 、質量 、 体 積 平 衡を 考 慮 して 計 算し 、 空 気圧 縮 機 排気 と タ ー ビ ン排 気 の ガス 温 度は 、 圧 縮・ 膨 張 の可 逆 過 程 か ら圧 縮 機 、タ ー ビン の そ れぞ れ の 効率 を 考 慮 し て算 定 した 。

(b)蒸 気 ター ビ ンモ デ ル

ガ ス ター ビ ン の排 ガ ス流 量 と 温度 に 対 する 蒸 気 タ ー ビン 出 力 の静 特 性を も と に 、 排 熱 回収 ボ イ ラ ー のド ラ ム 時定 数 を考 慮 し た一 次 遅 れと し て 蒸 気 ター ビ ン出 力 応動を 算 定 した 。

(c)プ ラ ント 制 御系 モ デル

出 力 調整 は 主 とし て 燃料 流 量 制御 に よ って 、 排 ガ ス 温度 制 御 は主 と して 空 気 流量 制 御 すな わ ち 空 気 圧縮 機 の IGV(入口 案 内 翼: Inlet Guide Vane) 開 度 制 御 に よ っ て そ れ ぞ れ 制 御 さ れ る 。 制 御 の 概要 は 以下 の 通り。

・ 燃 料 制御

主 と し てガ バ ナと し ての負 荷・速 度 制御 信 号 、 な ら び に高 負 荷 時に 機 器高 温 部 分を 保 護 する た め の 排 ガス 温 度 上限 を 制限 す る 排ガ ス 温 度制 限 信 号 の うち の 最 小値 に よっ て 燃 料流 量 が 制御 さ れ る 。

負荷・速度 制御 発電機出力指令

周波数偏差 発電機出力

軸回転数

空気圧縮機出口圧力 排ガス温度

排ガス温度

制限

燃料流量指令 排ガス温度偏差 IGV開度

制御

(燃料流量)

IGV開度

(空気流量)

ガスタービン モデル(空気 圧縮機を含 む)

蒸気タービン モデル(排熱 回収ボイラー を含む)

軸出力 発電機 モデルへ

ガスタービン 出力 蒸気タービン出力

 プラント制御系モデル

図 1.4 開発したコンバインドサイクルプラントモデルの構成概要(軸単位)

Fig. 1.4 Outline of proposed model for combined cycle gas turbine power plant

(12)

8

•負 荷 ・ 速度 制 御

軸 出 力指 令 ( 系列 負 荷制 御 装 置な ど か ら) に 軸 出 力 (発 電 機 出力 ) が一 致 す るよ う に 負荷 設 定 を 調 整す る 。 貫流 火 力の 協 調 制御 と 同 様 、 周 波 数 変 動時 に は 周波 数 バイ ア ス (不 感 帯 有) に よ っ て 出力 指 令 が修 正 され 、 修 正後 の 出 力設 定 に 軸 出 力が 一 致 する よ う負 荷 設 定が 制 御 され る。

ガ バ ナ 信号 ( 負 荷設 定 に対 し て 軸回 転 数 偏差 に 応 じ た 速度 制 御 特性 を 加え た 信 号) と 負 荷制 限 信 号 の 最小 値 が 、負 荷 ・速 度 制 御か ら の 燃料 制 御 指 令 とな る 。

•排 ガ ス 温度 制 限

上 記 の負 荷・速 度制 御に よ る 燃料 制 御( 負荷・

速 度 制 御モ ー ド )は 、 排ガ ス 温 度制 限 に よっ て 燃 料 流 量が 制 限 (排 ガ ス温 度 制 限モ ー ド )ま で 可 能 で ある 。 す なわ ち 、部 分 負 荷で は 燃 焼温 度 が 低 い ので 排 ガ ス温 度 制限 モ ー ドに は な らな い が 、 定 格付 近 ま で負 荷 が増 加 し て燃 焼 温 度が 上 昇 し 、 排ガ ス 温 度が そ の設 定 値 を越 え た 場合 、 排 ガ ス 温度 制 限 モー ド に移 行 す る( 下 記 の空 気 流 量 制 御を 参 照 )。

・ 空 気 流量 制 御( IGV 開度 制 御 )

排 熱 回収 ボ イ ラー の 発生 蒸 気 温度 の 変 化幅 を 小 さ く する た め 、部 分 負荷 で 排 ガス 流 量 を減 少 し て 温 度を 高 く する こ とで 排 熱 回収 ボ イ ラー で の 熱 回 収を 容 易す る ための 制 御 であ る 。IGV開 度 制 御 の排 ガ ス 温度 設 定値 は 、 上記 の 排 ガス 温 度 制 限 の設 定 値よ り 若干低 い 値 に設 定 され る 。 IGV開 度 制 御 の 設定 値 に排 ガ ス 温度 が 制御 さ れ て い る 間は 、 負 荷・ 速 度制 御 モ ード か ら 排ガ ス 温 度 制 限モ ー ドへ 移 行する こ と はな い。し かし 、 定 格 付 近 ま で 負 荷 が 増 加 し て IGV が 全 開 し て も 排 ガ ス温 度 が 制御 で きな い 場 合( 真 夏 など 外 気 温 度 が高 い 状 況) や 周波 数 低 下時 の ガ バナ 要 求 に よ り燃 料 流 量が 急 速に 増 加 した 場 合 など 、 排 ガ ス 温度 制 限モ ー ドへ移 行 す る。

上 述 した モ デ ルの ブ ロッ ク 構 成と 標 準 的( 典 型 的 ) な使 用 定 数 、 な らび に プ ラン ト 制 御系 モ

デ ル の 標準 的 なブ ロ ック構 成 に つい て 第3章 で 述 べ る 。ま た 、 シミ ュ レー シ ョ ン結 果 を 通じ 、 周 波 数 変動 時 の コン バ イン ド サ イク ル プ ラン ト の 基 本 的な 応 動特 性 につい て も 同章 で 述べ る 。

1.3.3 第 4 章

電 力 自由 化 の 進展 に 伴い 系 統 の経 済 運 用に 対 す る ニ ーズ が 高 まる 中 、現 状 の 周波 数 品 質を 維 持 し つ つ LFC( 負 荷 周 波数 制 御 )に おけ る 調整 力 ( 発 電 機 調 整 幅 と 調 整 速 度 ) を 適 正 化 し て LFC 発 電 機 へ 配 分 す る こ と が 求 め ら れ て 来 て い る 。 その 一 方 で、 電 源の 多 様 化の 流 れ から 、 従 来 の 重油 プ ラ ント な どに 比 べ て応 答 が 遅い 石 炭 プ ラ ント の 採 用が 増 加し 、 ま た環 境 問 題へ の 配 慮 か ら、 出 力 変動 の 予測 が 困 難な 自 然 エネ ル ギ ー ( 風力 発 電 、太 陽 光発 電 ) の導 入 量 が拡 大 す る な ど 、LFC に よ る 周 波 数 品 質 の 維 持 が 難 し く な りつ つ ある 。

こ の よ うな 問 題に 対 処する た め LFC シ ミ ュ レ ー シ ョン 解 析 の必 要 性が 急 速 に高 ま っ てお り 、 そ の 解 析で は 周 波数 調 整の 主 体 電源 で あ る火 力 プ ラ ン トの 出 力 応動 特 性を 精 度 良く 解 析 する こ と が 特 に重 要 であ る 。

(1)開 発 モデ ル の特 徴

従 来 か ら、LFC解 析 用 の 火 力 モ デル と して は 安 定 度 解析 用 ター ビ ン・ガ バ ナ 系モ デ ルに LFC 指 令 に 対す る 出 力応 動 遅れ を 簡 易に 追 加 した モ デ ル ( 従来 モ デ ル) が 用い て き た。 し か し、 従 来 モ デ ルは プ ラ ント 制 御系 や ボ イラ ー 動 特性 と い っ た プラ ン ト の 影 響 を考 慮 し てい な い ため 、 近 年 の 火力 の よ うに プ ラン ト の 影響 が 少 なく な い 状 況 では LFC シ ミ ュ レ ー シ ョン の 解析 精 度 が 大 き く低 下 する と いう課 題 が あっ た 。

(13)

9

図 1.5 開発した LFC 用貫流火力プラントモデル

Fig. 1.5. Outline of proposed thermal power plant model for LFC simulation 一 方 、 プラ ン ト の影 響 を考 慮 す るた め 、 事故

時 周 波 数変 動 解 析用 に 開発 し た 詳細 モ デ ル( 第 2 章 ) を 利用 す るこ と につ い て は、 詳 細モ デ ル は モ デ ルの 規 模 が大 き く て 使 用 定数 の 数 も多 い た め 、 多数 の 火 力プ ラ ント を モ デリ ン グ する 必 要 が ある LFC シ ミ ュ レ ー シ ョ ンで は 使用 定 数 の 設 定 や計 算 効 率面 で 大変 扱 い にく い 面 がある。

そ こ で、 詳 細 モデ ル をベ ー ス にし て 、 解析 対 象 を 平 常時 の 周 波数 変 動に 限 定 する こ と で プ ラ ン ト 制 御系 、 ボ イラ ー 動特 性 を 必要 最 小 限モ デ ル 化 した LFC シ ミ ュ レ ー シ ョ ン用 貫 流火 力 プ ラ ン ト モ デ ル ( 以 下 、LFC 用 モ デ ル ) を 新 た に 開 発 した ( 図 1.5)[1-12]

本 モ デ ルで は 、 プラ ン ト制 御 系 につ い て は周 波 数 バ イア ス 、 負荷 設 定の 引 き 戻し 、 ボ イラ ー 動 特 性 につ い て はボ イ ラー の 応 動遅 れ 、 主蒸 気 圧 力 を 簡易 に モデ ル 化して い る 。

モ デ ル の構 成 と して は 、周 波 数 変動 に 即 応す る 部 分(出 力 変化 分:同図 中 のΔMW)と 、LFC

指 令 の 変化 に 対 して 緩 やか に 応 動す る が 周波 数 が 変 動 して も 即 応し な い部 分 ( 中心 出 力 :同 図 中 の MW0)、 に 分 け た 構成 と し てい る 。こ の 構 成 は 実 機と は 異 なる が 、中 心 出 力と 出 力 変化 分 を 分 け るこ と に よっ て 簡易 か つ 精度 の 良 い モ デ リ ン グ を実 現 して い る。

(2)開 発 モデ ル の精 度 検証

ボ イ ラ ー系 の 応 動が 遅 くプ ラ ン トの 影 響 が大 き い 、 石炭 焚 変 圧貫 流 火力 プ ラ ント を 対 象と し て 、 開 発モ デ ル の解 析 精度 を 検 証し た 。 また 、 開 発 し た モ デ ル を 使 用 し た 実 規 模 系 統 の LFC シ ミ ュ レー シ ョ ン解 析 ツー ル を 開発 し 、 実測 結 果 と 対 比し て 検証 し た[1-13]

1.3.4 第 5 章

中 給 LFC 制 御 装 置 に は 数 十 年前 に 確立 さ れ た 制 御 ロジ ッ ク が現 在 もほ ぼ そ のま ま 踏 襲 さ れ て お り 、近 年 の 火力 機 で見 ら れ るボ イ ラ ー制 御

(14)

10 や 燃 料 種別 等 に起 因 した、LFC 指 令 (LFC 発 電 機 へ の出 力 指 令) に 対す る 大 きな 出 力 応動 遅 れ に は 十分 に 対 応で き てい な い 。こ の た め、 本 章 で は 発電 機 の 出力 応 動遅 れ の 大小 に 応 じて 発 電 調 整 を分 担 さ せる 新 しい 制 御 ロジ ッ ク を提 案 し 、 石 炭火 力 機 など 出 力応 動 遅 れが 大 き い発 電 機 の 活 用効 果 を示 し た[1-15]

(1) 提 案の 制 御ロ ジ ックの 特 徴

(a) 地 域要 求 量 ARの 変動 成 分 によ る 配分 時 々 刻 々変 動 する AR(Area Requirement:

系 統 の 発電 と 負 荷の 需 給イ ン バ ラン ス を 表す 。 AR が 正 値 で あ れ ば 発 電 不 足 、 負 値 で あ れ ば 発 電 過 剰 )を 発 電 機の 追 従性 能 に 応じ た 変 動成 分 に 分 け て抽 出 し 、出 力 応動 遅 れ の大 き い 発電 機

( 群 ) には 緩 や かな 変 動成 分 、 遅れ の 小 さい 発 電 機 ( 群 ) に は 速 い 変 動 成 分 を 配 分 す る ( 図

1.6(a))。

(b) LFC 指 令 作成 に おける PID 制御 の 採用 発 電 調 整の 安 定 性と 速 応性 を 確 保す る た め 、 LFC 指 令 の 作 成 に 発電機 個 別 の PID 制 御 を採 用 す る( 図 1.6(b))。PID制 御 定 数は 発 電機 の 出 力 応 動 遅れ 特 性 を考 慮 して 算 定 し 、 シ ミ ュレ ー シ ョ ン で最 終 調整 す る。

(2) シ ミュ レ ーシ ョ ンによ る 効 果検 証

出 力 応 動遅 れ が小 さ い Fast 発 電 機 ( コ ンバ イ ン ド サイ ク ル発 電 機をイ メ ー ジ )、お よ び従 来 で は 活 用 で き な か っ た 出 力 応 動 遅 れ が 大 き い Slow 発 電 機 ( 変 圧 貫流石 炭 火 力機 を イメ ー ジ)

の 2 機 を 想 定 し 、発 電調 整 容 量に 占 め る Slow 発 電 機 比率 を 変 化さ せ てシ ミ ュ レー シ ョ ンし た。

そ の 結 果、Slow発 電 機 比率 の 増 加に 対 して 次 の 効 果 を 明ら か とし た 。

0 200 400 600 800 1000 1200

-0.01 -0.005 0 0.005 0.01

0 200 400 600 800 1000 1200

-0.01 -0.005 0 0.005 0.01

発電機の 追従性能 の応じた 変動成分 の抽出

0 200 400 600 800 1000 1200

-0.01 -0.005 0 0.005 0.01

地域要求量AR

(需給インバランス

緩やかな変動成分

速い変動成分

出力応動遅れの大きい 発電機(群)へ配分

出力応動遅れの小さい 発電機(群)へ配分

※地域要求量は周波数や連系線 潮流の時々刻々の変動から算定 され,正値は発電不足,負値は発 電過剰を表す

(a) 地域要求量 AR の変動成分別の配分 各発電機(群)へ

配分されたAR

※発電調整の安定性と速応性を確保 するための比例・積分・微分制御

発電機個別の PID制御

各発電機への発電 調整指令(LFC指令)

(b) 発電調整の安定性と速応性を確保するための PID 制御の採用

図 1.6 提案の LFC 制御ロジックの特徴 Fig 1.6 feature of proposed control logic for LFC

(15)

11

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Slow発電機の調整容量比率

AR変動(標準偏差) (系統容量に対する) AR変動の増加なしにSlow発電機の

調整容量比率を0.6まで増加可能

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Slow発電機の調整容量比率

Fast発電機出力変動(標準偏差) (系統容量に対する) Fast発電機出力変動の低減が可能

図 1.7 提案ロジックによる Slow 発電機の活用効果(シミュレーション)

- 発電調整容量に占める Slow 発電機の比率と AR、Fast 発電機出力変動の関係 - Fig. 1.7 Effect of Slow generator utilization by proposed control logic (i)提 案 ロ ジ ッ ク を 用 い る こ と で AR の 変 動 の

増 加 な しに Slow 発 電 機の 調 整 容量 比 率を 0.6 ま で 拡 大で き る( 図 1.7左 )。

(ⅱ )Slow発 電 機 の 調 整容 量 比 率 を0.6ま で 拡 大 し た 場 合、 従 来と 比 べて Fast 発 電 機 の 出 力 変 動( 標 準偏 差 )を約30%低 減 で きる( 同 図右 )。

こ の よ う に 提 案 の 制 御 ロ ジ ッ ク を 用 い れ こ と に よ り出 力 応 動遅 れ の大 き い 発電 機 を 有効 に 活 用 で きる 。 ま た、 提 案方 式 は 電力 会 社 の中 央 給 電 指 令所 で 採用 さ れてい る[1-16]

1.3.5 第 6 章

電 力 自 由化 の 下 では 有 効電 力 と 無効 電 力 が個 別 に 扱 われ る 状 況が 考 えら れ る が 、 安 定 供給 の 点 か ら 両者 は 一 体と し て管 理 す る必 要 が ある 。 特 に 今 後は 既 存 設備 の 有効 活 用 の観 点 か ら一 層 厳 し い 系統 運 用 が求 め られ る た め 、 系 統 の動 特 性 を 考 慮し た 需 給・ 周 波数 制 御 と電 圧 ・ 無効 電 力 制 御 の統 合 的解 析 手法が 重 要 とな る。し かし 、 現 用 の 需給 解 析 手法 で はノ ー ド 電圧 や 送 電線 潮 流 が 解 析で き ず 、一 方 、電 圧 解 析手 法 で は電 源 の 応 動 や周 波 数変 動 が解析 で き ない 。

こ の た め、 需 給 ・周 波 数 制 御 と 電圧 ・ 無 効電 力 制 御 を同 期 安 定度 ま で考 慮 し て 統 合 的 に効 率 的 に 解 析可 能 な 手法 ( いわ ゆ る 電力 系 統 長時 間 解 析 ) の基 本 プ ログ ラ ムを 開 発 し 、 そ の 解析 性 能 を 検 証し た[1-17]。 主 な 成 果 は 次の と おり 。

表 1-1 開 発 プ ロ グ ラ ム の 解 析 条 件 ・ モ デ ル Table 1-1 Simulation conditions and modes of

developed computer programs 表-1 開発プログラムの解析条件・モデル

解析条件・モデル

解析条件 需給変化(需要変化,発電機スケジュール出 力)指定

発電機並列・解列指定

時系列データ(負荷変動,発電変動)指定 送電線故障指定(3LG-O-C)

解析モデル

(1)電源 発電機モデル(詳細パークモデル:Y法と同

一)

AVRモデル(Y法標準と同一)

発電機過励磁抑制(OEL)モデル 火力プラントモデル(ユーザー定義モデル)

(2)負荷 誘導機モデル(Y法と同一)

定Zモデル

(3)系統制御 電圧・無効電力制御(VQC)簡易モデル

負荷周波数制御(LFC)簡易モデル

・ 需 給 変 化 、 発 電 機 出 力 ス ケ ジ ュ ー ル : 入 力 デ ー タ と し て 与 え る

・簡 易 LFC と 簡 易 VQC:電 力 会 社 の 実 シ ス テ ム の 制 御 ロ ジ ッ ク を サ ブ ル ー チ ン 化 す れ ば 容 易 に 置 き 換 え 可 能

図 1-8 開 発 プ ロ グ ラ ム の 構 成

Fig. 1.8 Structue of developed computer program (1) 基 本プ ロ グラ ム の開 発

需 給 制 御と 電 圧 ・無 効 電力 制 御 の効 率 的 な統 合 的 解 析 が 可 能 な 基 本 プ ロ グ ラ ム を 開 発 し た

(16)

12

( 表1-1、 図1-8)。 そ の特 徴 は 次の 通 り 。 a)電 力 系統 解 析 に特 有 の 不 連 続 変化 の 発 生( 地

絡 事 故 時 電 圧 急 変 や 制 御 系 リ ミ ッ タ 動 作 な ど ) に 対 し て 、 解 析 の 時 間 刻 み を 可 変 に し て も 数 値 積 分 の 精 度 と 安 定 性 が 維 持 で き る 積 分 手 法 を 検 討 し[1-18]、 さ ら に 、 新 し い 積 分 手 法

(2 段 対 角 型 陰 的 ル ン ゲ ク ッ タ ) を 見 出 し て

[1-19]、 採 用 し た 。 こ れ に よ り 同 期 化 力 振 動 な ど の 速 い 現 象 が 系 統 に 発 生 し た 場 合 に は 、 時 間 刻 み を 短 縮 す る こ と で 精 度 と 高 速 性 を 両 立 し て い る。

b)需 給 制御 と 電 圧・ 無 効電 力 制 御モ デ ル につ い て は 、 ユ ー ザ ー 固 有 の 制 御 モ デ ル に 容 易 に 入 れ 替 え る こ と が で き 、 ニ ー ズ に 応 じ た 詳 細 な 解 析 が 可能 で ある 。

(2) 多 機系 統 にお け る解析 性 能 の検 証

30 機 系 統 モ デ ル で 基 本 プ ロ グ ラ ム の 解 析 性 能 を 検 証し た 結果 、 汎用ノ ー ト PC で 1 時 間 相 当 の 現 象を 概 ね 1~2 分 で 精 度 良く 解 析で き る こ と が 明ら か と なっ た 。需 要 減 少時 の 解 析結 果 の 一 例 を示 す と 、出 力 調整 電 源 の応 動 、 負荷 ノ ー ド 電 圧の 変 化 、系 統 周波 数 偏 差や 連 系 線潮 流 の 変 動 など 従 来 手法 で は解 析 で きな い 系 統動 特 性 が 解 析さ れ てい る (図 1-9)。

(3) 主 な適 用 先

開 発 した 基 本 プロ グ ラム は 、 動特 性 を 含む 電 圧 安 定 性解 析 、 負荷 周 波数 制 御 と電 圧 ・ 無効 電 力 制 御 の調 整 力 検討 な ど 、 よ り きめ の 細 かい 信 頼 性 検 討、 効 率 的な 系 統運 用 検 討の た め の支 援 ツ ー ル とし て 活用 が 期待さ れ る (表1-2) 。

スケジュール+GF運転

スケジュール+LFC+GF運転

1時間

0  10 20 30 40 50 60 時間(分)

発電機有効電力(pu) 0.0 1.0 2.0

Time(min) (1)出 力 調 整 発 電 機 (8 機 )の 応 動

連系線無効潮流

連系線有効潮流

系統周波数

1時間

  0  10 20 30 40 50 60 時間(分)

①系統周波数偏差(Hz) 0.2          0.2 ②連系線無効潮流(pu)  0.0          0.6 ③連系線有効潮流(pu) 5.0       1.0

①系統周波数偏差

②連系線無効潮流

③連系線有効潮流

連系線無効潮流

連系線有効潮流

系統周波数

1時間

  0  10 20 30 40 50 60 時間(分)

①系統周波数偏差(Hz) 0.2          0.2 ②連系線無効潮流(pu)  0.0          0.6 ③連系線有効潮流(pu) 5.0       1.0

①系統周波数偏差

②連系線無効潮流

③連系線有効潮流

Time(min) (3)系 統 周 波 数 偏 差 、 連 系 線 潮 流 変 化

タップ動作よる電圧調整

1時間

0   10   20   30  40  50   60 時間(分)

ノード電圧(pu) 0.95 1.2

タップ動作による電圧調整

Time(min) (2)負 荷 ノ ー ド 電 圧 の 変 化

図 1-9 需 要 変 化 時 の 系 統 動 特 性 解 析 結 果 ( 例 )

< 電 気 学 会 EAST30 機 系 統 、 出 力 調 整 電 源 : 8 機 ( う ち 4 機 は LFC 運 転 を 併 用 ) >

Fig. 1-9 Simulation result of power system dynamics in system demand change

(17)

13

表 1-2 開発プログラムの主な適用先の例

Table 1-2 Expected application fields of developed computer program

主な適用先 内容

動特性を含む効率的電圧安定性解析 需要急増時の発電機過励磁制御の動作やこれによる同期安定度低下を考慮した解析を現用 の手法の数分の1の計算時間で実施可能。

負荷周波数制御と電圧・無効電力制 御の所要調整力検討

系統周波数変動、潮流変動、電圧変動を許容範囲に抑えるために必要な、負荷周波数調整力

(発電機)と電圧・無効電力調整力(発電機、調相設備)の相互の関係を含めて解析するこ とで、より効率的な系統運用条件の検討が可能。

参考文献

[1-1]「電力系統における常時および緊急時の負荷周 波数制御」、電気学会技術報告第869号、2002 年3月

[1-2] R.T. Byerly, et al., “Dynamic Models for Steam and Hydro Turbines in Power System Studies”, IEEE Committee Report. Trans. on PAS, Vol. 92, No. 6, Nov. /Dec. 1973, pp. 1904-1915.

[1-3] F. P. de Mello, et al., “Dynamic Models for Fossil Fueled Steam Units in Power System Studies”, Working Group on Prime Mover and Energy Supply Models for System Dynamic Performance Studies, IEEE Trans. on Power Systems, Vol. 6, No.

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[1-5]「 計 測 制 御 と 自 動 化 」、 火 原 協 会 講 座 、 火 力 原 子 力発 電 協会 、 平成 6年 6月 [1-6]「 変 圧 運 転 を採 用 した 中 間 負荷 火 力発 電 プ

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[1-7] 海 外 電 力 「 マ レ ー シ ア の 大 規 模 停 電 」、

1996 年10 月 号

[1-8]T. Inoue, H. Taniguchi, et al., “A Model of Fossil Fueled Plant with Once-through Boiler for Power System Frequency Simulation Studies”, IEEE Trans. on Power Systems, Vol. 15, No.4, pp.

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(井上を含むWGメンバー連名)

[1-10] 井上、須藤、竹内、三谷、中地、「電力系統

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[1-11] 井上、「電力系統の周波数制御から見た火力機

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[1-12] T. Inoue, H. Amano, “A Thermal Power Plant Model for Dynamic Simulation of Load Frequency Control”, IEEE PES 2006 Power System Conference and Exposition, November 2006.

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[1-15] T. Inoue and H. Amano, “Load Frequency Control Logic to Utilize Generators with Long Time Delay in MW Response”, 8th IASTED International Conference, Power and Energy Systems, June, 2008.

[1-16]「九州電力における技術革新のあゆみ」、特 集:平成21年・電力技術革新のあゆみ、電気 評論、2010年1月

[1-17] T. Inoue, “Dynamic Simulations of Electric Power Systems under Long-term Change in System Generation and Loads”, 7th IASTED

(18)

14 International Conference, Power and Energy Systems, Aug., 2007.

[1-18] 井 上 、 市 川 、 谷 口 、「 電 力 系 統 長 時 間 動 特 性 解 析 に 適 し た 数 値 積 分 手 法 の 検 討 」、

電 気 学 会 論 文 誌 Vol. 113-B、No.12、 1993年 12月

[1-19] 井 上 、 谷 口 、「 電 力 系 統 長 時 間 動 特 性 解 析 に 適 し た 積 分 解 法 の 検 討 - 2 段 対 角 型 陰 的 ル ンゲ ク ッタ 法 - 」、 平 成 12 年 電 気 学 会 全 国大 会 、平 成 12年 3月

(19)

15

2.事 故 時 周 波 数 変 動 解 析 用 貫 流 火 力プラントモデルの開発

2.1 緒言

序 論 で 述べ た(1.3.1項 )の よ う に電 力 系統 の 解 析 で はメ ー カ ーの プ ラン ト 設 計用 の 詳 細 な 火 力 プ ラ ント モ デ ルを 使 用す る の は不 適 当 で あ る。

一 方 、 電力 系 統 の解 析 では 従 来 から 簡 易 なモ デ ル が 知 ら れ て い る[2-1,2-2]。 ま た 、 ボ イ ラ ー 主 蒸 気 圧 力 やプ ラ ン ト制 御 系の 応 動 を考 慮 し た一 般 的 な モ デ ル が 見 ら れ る[2-3,2-4]。 し か し 、 こ れ ら の モ デ ルは 貫 流 火力 プ ラン ト の ボイ ラ ー ・タ ー ビ ン 協 調制 御 の 基本 的 (典 型 的 )な 応 動 を表 現 す る に は簡 易 過 ぎる と 考え ら れ る。 な お 、協 調 制 御 の 例を 知 る 上で は 、プ ラ ン ト運 転 員 訓練 用 あ る い は長 時 間 電力 系 統 解 析 で 使用 さ れ てい る プ ラ ン ト制 御 系モ デ ル[2-5,2-6]は 有 用 で あ る。

本 章 で は 開 発 し た 貫 流 火 力 プ ラ ン ト モ デ ル

[2-7]の 概 要 、メ ー カー 詳 細モ デ ル との 対 比結 果 に

基 づ く モデ ル の 使用 定 数 の 調 整 結果 、 実 機周 波 数 変 動 模擬 試 験 結果 と の対 比 結 果な ら び に そ の 結 果 を 通じ て 協 調制 御 や主 蒸 気 圧力 の 影 響を 述 べ る 。

2.2 開発モデルの概要

開 発 した 貫 流 火力 プ ラン ト モ デル は 以 下の モ デ ル か ら構 成 した 。

・ ボ イ ラー 主 蒸気 圧 力モデ ル

・ プ ラ ント 制 御系 モ デル

・ タ ー ビン ・ ガバ ナ モデル

プ ラ ン トモ デ ル の概 要 構成 は 既 に序 論 で 示し た ( 図 1.3) 通 り で あ る 。 タ ー ビ ン ・ ガ バ ナ モ デ ル に つ い て は そ の 詳 細 さ は 既 往 研 究[2-3,2-8]と 同 様 な ので 具 体 的な ブ ロッ ク 図 等は 既 往 研究 を 参 照 し てい た だ くこ と とし 、 こ こで は ボ イラ ー 主 蒸 気 圧力 モ デ ルと プ ラン ト 制 御系 モ デ ルに つ い て 述 べる 。

2.2.1 ボイラー主蒸気圧力・流量モデル 貫 流 ボイ ラ ー の主 蒸 気 部 を 実 機の 設 備 構成 に 則 す る よう に 以下 の 4 つ の ノ ード に 分割 し た 。 各 ノ ー ドの 主 蒸 気圧 力 、各 ノ ー ド間 の 主 蒸気 流 量 を モ デル 化 した ( 図 2.1)。

・ 蒸 発 部ノ ー ド

ボ イ ラー 火 炉 水冷 壁 入口 か ら 汽水 分 離 器出 口 ま で の 領域 と した 。

・ 過 熱 部ノ ー ド

汽 水 分離 器 出 口連 絡 管か ら 最 終過 熱 器 出口 管 寄 ま で の領 域 とし た 。

・ 主 蒸 気管 ノ ード

ボ イ ラー 出 口 から 高 圧タ ー ビ ン入 口 ( 主塞 止 弁 入 口 )ま で の領 域 とした 。

・ 再 熱 部ノ ー ド

高 圧 ター ビ ン 出口 か ら再 熱 器 入口 ま で の低 温 再 熱 蒸 気管 、 再 熱 器 、 およ び 再 熱器 出 口 から 中 圧 タ ー ビン 入 口 (イ ン ター セ プ ト弁 入 口 )ま で の 高 温 再熱 蒸 気管 ま での領 域 と した 。

(1)主 蒸 気圧 力

各 ノ ー ド の 流 体 ( 水 あ る い は 蒸 気 ) の 圧 力 の 時 間 的 変化 を エ ネル ギ ー平 衡 、 質量 平 衡 、体 積 平 衡 を 考慮 し た集 中 定数系 ( 図 2.2(a)) を 線 形 近 似 モ デ ル (( 同 図(b)、 式 (2.1)) で 簡 易 に 表 現 し た 。同 モ デ ルで は 各ノ ー ド の流 体 の 特性 は ノ ー ド 出口 の 特 性と 同 一と し 、 また 、 同 モデ ル の 各 係 数 、す な わち 、 入力 ゲ イ ン(Hi、Ki)と 出 力 ゲ イ ン (Ho) と 応 動 の 時 定 数 (T) は 固 定 定 数 と し、 そ の 数値 は 解析 で 最 も重 要 な 定格 出 力 状 態 にお い て式(2.2)に よ っ て推 定 し た 。両 式 の 導 出は 付 録参 照 。

参照

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