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こんにちは生活領域 (巻頭エッセイ)

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Academic year: 2022

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こんにちは生活領域 (巻頭エッセイ)

著者 中谷 健太郎

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization (IDE‑JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名 アジ研ワールド・トレンド

巻 137

ページ 1‑1

発行年 2007‑02

出版者 日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL http://doi.org/10.20561/00047224

(2)

巻頭エッセイ

二〇年以上の間︑私たちは大分県﹁一村一品運動﹂の周辺にいた︑と思う︒﹁周辺﹂にいたのであって︑﹁真ん中﹂にいた︑という意識はない︒﹁周辺﹂にいながら﹁町の経済﹂はぐんぐん伸びた︒九州東部のひなびた温泉﹁湯布院﹂の名前は︑二〇年の間に﹁全国レヴェル﹂になった︒その間何をしたか︒﹁町の中﹂から﹁町の外﹂に向かって﹁自慢情報﹂を発信し続けた︒それだけだ︒その結果︑﹁町の外﹂から﹁町の中﹂に向かって財貨が入ってきた︒﹁町の中﹂の﹁市場﹂が膨らんだ︒それが﹁町民所得﹂と﹁町の財政﹂を押し上げた︒湯布院町が﹁一村一品運動の優等生﹂と言われる所以だ︒もうひとつ優等生と呼ばれる町がある︒大山町だ︒﹁梅・栗植えてハワイへゆこう﹂︒農業協同組合の呼びかけで増産された農産物が﹁町の中﹂から﹁町の外﹂へと向かった︒﹁町の外﹂に﹁市場﹂が生まれた︒それが大山町の経済を支えている︒﹁町の外﹂の力を引っ張り込んだ﹁湯布院町﹂は﹁一村一品運動﹂の﹁周辺﹂にあり︑﹁町の中の力﹂を移出した﹁大山町﹂は運動の﹁真ん中﹂にいた︑と思ってきた︒しかし間違っていたようだ︒﹁真ん中﹂にいたのは﹁県庁﹂であって︑﹁町々村々﹂はいずこも運動の﹁周辺﹂にいたのではないか︒そう思わなければ﹁一村一品運動﹂の謎は解けない︒つまりこうだ︒﹁町々村々﹂は﹁県庁﹂が発信する一村一品﹁渦巻き運動﹂の﹁円周線上﹂にあって︑それぞれに﹁内発的な運動﹂を展開してきた︒ ﹁県庁﹂に直結して同じ﹁渦巻き運動﹂をなぞってきたわけではない︒町を支える﹁経済市場﹂を︑町の﹁中﹂に造ろうと︑﹁外﹂に造ろうと︑そんなことはどうでもいい︒問題は﹁町﹂が内発的な﹁自律力﹂を失わないでいるかどうかだ︒その﹁自律力﹂を突然︑湯布院町は失ってしまった︒一年前の一〇月一日︑国が強行する﹁市町村合併﹂施策に呑み込まれて﹁由布市﹂の一部にされてしまったのだ︒町の﹁自治権﹂は消えた︒県は︑一村一品運動の﹁円周線上﹂に活動する﹁町々村々﹂の内発的な﹁自律力﹂を︑自分の運動の﹁成果﹂と見誤ったのではないか︒運動を受け止める﹁末端自治体﹂を大きくすれば︑﹁受け止める運動量﹂も大きくなると⁝︒﹁自治権﹂を失った﹁町々村々﹂は﹁禁治産者﹂だ︒﹁一村一品運動﹂の担い手どころではない︒ならば尾っぽを巻いて︑この町を逃げ出すか︒とんでもない︒﹁市町村合併承知﹂︒これからが正念場だ︒ようやく見えてきたぞ︑﹁生活領域﹂の風景が⁝︒﹁行政領域﹂とは別の﹁生活領域・由布院盆地﹂︒豊後富士・由布院の麓に広がる︑水清く︑緑濃く︑田んぼが光る︑温泉が湧く﹁盆地﹂︒鰻︑スッポン︑鴨が美味しい﹁由布院盆地﹂という名の﹁生活領域﹂︑そこに新しい﹁一村一品運動﹂を打ち立てよう︒︵なかや けんたろう/亀の井別荘代表︶

こんにちは生活領域

中谷健太郎

1 ─アジ研ワールド・トレンド No.137(2007.2)

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