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目次 1. 林業の成長産業化への貢献 (1) 森林整備の計画的な推進 P.1 (2) 森林整備の低コスト化 P.2 (3) 民有林との連携強化 P.3 (4) 林産物の安定供給と市場価値の向上 P.5 (5) 民有林行政への支援 P.7 2. 野生生物との共存に向けた取組 (1) 野生鳥獣被害対策

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(1)

平成30年度

新潟県内の森林管理署等の重点取組事項

国民の森林・国有林

(林野庁 関東森林管理局)

上越森林管理署 中越森林管理署 下越森林管理署 下越森林管理署村上支署

県内では珍しいヒノキ人工林(荒川峡鷹巣) (村上支署(関川村)) 松ヶ峯池から眺める残雪の妙高山 (上越森林管理署(上越市、妙高市)) 当間高原自然観察教育林 (中越森林管理署(十日町市))

(2)

1.林業の成長産業化への貢献

(1)森林整備の計画的な推進 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.1

(2)森林整備の低コスト化

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.2

(3)民有林との連携強化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.3

(4)林産物の安定供給と市場価値の向上

・ ・ ・ ・ ・ P.5

(5)民有林行政への支援 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.7

2.野生生物との共存に向けた取組

(1)野生鳥獣被害対策

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.8

(2)生物多様性の保全

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.9

3.緑の国土強靱化へ向けた取組

(1)豪雨災害や崩壊地等の復旧

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.10

(2)海岸保安林の整備

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.11

(3)森林土木工事における木材利用の推進 ・ ・ ・ ・ ・ P.11

4.「国民の森林」としての管理経営

(1)遊々の森

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.12

(2)森林教室・野外活動

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.13

(3)国民参加による森林づくり

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.14

5.参考資料

・間伐等の主要事業量

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P.15

・国有林の分布と森林管理署等の位置・所在地 ・ ・ ・ ・ P.17

目 次

(3)

1.林業の成長産業化への貢献

県内の国有林野における人工林の割合 は、約1割で、面積は2万ヘクタール程度 です。これらの人工林では、主伐及び再 造林による齢級構成の平準化、保育間伐 などの森林整備を適切に実施していくこ とが必要であり、この取組により地球温 暖化防止のための森林吸収源対策にも寄 与しています。 また、間伐材などは、県産材として県 内の市場や製材工場などに供給していま す。 健全な人工林 間伐(列状)直後 1 (1)森林整備の計画的な推進 スギの樹下にスギを植栽した二段林 【多様な森林への誘導】 森林の木を伐採するとき、一度に全部 切らずに必要な分だけ抜き切りし、その 後に若い木を育て、年齢の違う木で構成 される複層状態の森林をつくることを育 成複層林施業といいます。 今年度も、育成複層林へ導くための施 業に取り組みます。 (例:スギ等を面積割合で50%伐採し、 その跡地にスギやヒノキアスナロを植栽。 (8ha)) 生産された木材

(4)

コンテナ苗を用いた森林整備は、従来の裸苗と比べて、植栽作業の効率化が図られ収益性の確保につながります。 国有林では率先して導入を図っており、中越森林管理署では、積雪によるグライド(植栽木の斜面移動)等の影響を調査 するため、新潟県森林研究所の支援を受け、実証試験を行っています。 戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中、豊富な森林資源を循環利用し、「林業の成長産業化」を実現することが 課題となっています。将来にわたり、木材を安定的に供給し、持続可能な森林経営を確保していくためには、民有林・国有林が ともに「森林整備の低コスト化」を進めていく必要があります。 ① コンテナ苗への転換 現地の実態を踏まえながら、植栽本数や下刈回数の見直しを実施しています。 植栽本数については、2,000本/ha(平成27年度までは2,500本/ha)を基本とします。(植栽面積24ha) また、下刈回数については、植栽した年から5年間毎年実施していたものを、植栽年や苗木の成長が良い箇所では 下刈を不実施とし、育成コストの縮減を図ります。(下刈面積44ha) この見直しを受けて、村上支署管内において現地検討会を開催します。 ② 植栽本数、下刈回数の見直し 国有林では、列状間伐と路網、高性能林業機械を組み合わせた低コスト作業システムを推進しています。列状間 伐は、選木が機械的で容易、かかり木の発生が少なく安全性が高い、集材時に残存木への損傷が少ない、伐採列が 搬出路として活用できるなどのメリットがあります。 今年度も、事業発注を通じ、特段の事情がある場合を除き、列状間伐を実施します。(列状間伐面積83ha) ③ 低コスト作業システムへの取組(列状間伐の推進) (2)森林整備の低コスト化 ④ 一貫作業システムの導入 下越森林管理署、村上支署、中越森林管理署では、車両系林業機械を活用して伐採・搬出と地拵え・植栽を同時期に行い、造林コストの 低減を図る一貫作業システムを導入した事業を今年度実施します。集材や運搬で使用した車両系林業機械を活用し地拵や苗木を運搬するこ とでコストを低減します。(8ha) 今年度、中越森林管理署管内において現地検討会を開催します。 ⑤ 路網の整備(低コスト路網整備の取組) 森林の適切な整備や保全、林産物の供給等を効率的に行うため、投資効果等にも十分配慮しながら、林道、林業専用道及び森林作業道を 適切に組み合わせた路網整備を進めています。地形に沿った路線線形とすることにより、土工量や構造物の設置数を必要最小限に抑え、コ ストの縮減に努めます。下越森林管理署管内において林業専用道に関する現地検討会を開催します。

(5)

国有林野事業は、公益重視の管理経営を一層推進するとともに、民有林との連携など、様々な政策手段を用いて地域の森 林・林業・木材産業の活性化に貢献することとしています。 村上支署管内 森林整備推進協定に基づく運営会議 森林施業の集約化を進めるためには、隣接する民有林と国有 林が協定に基づいて共同で路網整備や間伐等を行う「森林共同 施業団地」の設定が効果的です。 新潟県内における森林共同施業団地は、これまでに村上支署、 中越森林管理署、下越森林管理署の管内において、6つの森林 整備推進協定を締結して実施しています。 今年度は、湯沢町森林整備推進協定(中越森林管理署、湯沢 町)、南魚沼市山口地域森林整備推進協定(中越森林管理署署、 南魚沼市)を延長し、引き続き集約化による、森林整備に取り 組みます。 ① 森林共同施業団地等の設定 中越森林管理署管内 南魚沼市山口地域森林整備推進協定 調印式 協定締結者(4者) 南魚沼市 (株)戸田組 南魚沼森林組合 中越森林管理署 3 (3)民有林との連携強化

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② 新潟県民国連携連絡会議の開催 地域の森林・林業の再生を推進するためには、民有林を所掌する新潟県との情報共有を図り、 林政上の課題に対して民有林・国有林の垣根を越えて協力することが必要です。 このため、毎年、新潟県と県内3署・1支署との間における連携連絡会議を開催し、情報交換 を行っています。 平成29年度の新潟県民国連携連絡会議を同年8月に新潟市内で開催しました。 新潟県、国有林から取組事項の情報提供を行い。再造林に向けて花粉症対策苗木の確保の現状、 木材の安定的な供給のための体制整備、民有林林道を活用した民国が連携した森林整備・木材生 産の拡大、ニホンジカの侵入の実態を把握するための「ニホンジカ目撃情報記録票」による情報 収集等について、情報交換が行われました。 佐渡流域の木材の安定供給と需要拡大を図り、林業・木材産業の活性化を推進 するため、民国の森林総合監理士(フォレスター)等が組織間の仲介役として連 携しながら取り組みます。 佐渡流域に森林を所有又は管理・運営に携わる公的な機関が連携して、路網、 販売等の事業計画を作成します。作成にあたっては隣接する私有林の意見を考慮 した計画とします。その際には、素材生産コストの削減するための高性能林業機 械の導入、島外に移出する際にコスト削減となる輸送システムの構築や島内外で の需要先の開拓を含めて検討を進めます。検討した情報は、需要者を含めたすべ ての関係者で共有し、木材が生産される際には搬出量が把握できるようにします。 今年度は、関係機関からの森林データを取りまとめ、森林施業地の団地化、共 同で利用できる路網、年次ごとの木材供給量を計画します。 ③ 佐渡の林業・木材産業の活性化の取組 写真 (佐和田森林官に依頼中) 佐渡の森林(右下はトキ)

(7)

① 国有林材の安定供給システムによる販売 5

安定的な原木の供給

(4)林産物の安定供給 国産材の付加価値向上や需要の拡大、加工・流通の合理化等に取り組む製材工場等と協定を締結し、国有林材を安定的に供給する「国有林 材の安定供給システム販売」を実施しています。 新潟県内では、下越森林管理署と村上支署の合同及び中越森林管理署において、今年度も「国有林材の安定供給システム販売」により、安 定的に原木供給を実施します。(7,500㎥) また、民有林材と国有林材を合わせてロットを大きくして販売する「民有林と連携した林産物の安定供給システム販売」については、今年 度も下越森林管理署と村上支署及び中越森林管理署において実施することとしており、民有林との連携した協定取引を推進することで安定的 な原木供給に期待が寄せられています。(600㎥) 今年度下越森林管理署において、新たな取組として複数の立木販売物件をまとめて協定を結び、数年単位の長期間にわたって物件を安定供 給する立木のシステム販売を実施します。(2,769㎥) (間伐) (植付、下刈) (伐採・搬出) (売払い)

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③ 市場価値の向上に向けた取組 ② 間伐等の生産性向上に向けた取組 国有林野事業では、木材を伐採・搬出して利用する作業を「丸太を生産する」という意味で「素材生産事業」として実施しています。 その生産性の向上は、国有林野事業の事業実施上の課題であるとともに、地域において作業を請負う林業事業体の育成や国有材の供 給力の増大につながり、生産性向上の効果的な手法の民有林も含めた地域全体において普及・定着を図る取組みが求められています。 そのためには、作業システムにおけるボトルネックの解消や、作業のバランスを確認しシステム全体の生産性の向上を図る等生産性 改善策を林業技術者自らが改善していくシステムづくりが必要であり、素材生産請負事業を受注した全ての事業体を対象とした生産性 向上の取組を行うこととしています。 中越森林管理署では、生産性向上に向けた現地検討会を、民有林関係者にも参加していただいて開催します。 販売価格の高い住宅資材の採材※や新たな需要に対応した技術を林業技術者に普及する取組として、下越森林管理署では、素材生産 事業の発注者と受注者の参加による現地検討会を開催し、両者の共通の認識の下で需要ニーズに対応した原木の供給と、有利販売に向 けた採材の取組を行います。 ※伐採した木は、利用目的に応じて3m、4mなどの長さの丸太にして販売します。丸太は、長さ、太さ、曲がりの大小により価値が異 なるため、伐採した木の素性をきめ細やかに短時間で見極め、全体的に見て最も高く売れる長さに切り分けます。

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(5)民有林行政への支援 ① 湯沢町民国連携推進地区(中越森林管理署管内:平成29年度設定) ② 佐渡市民国連携推進地区(下越森林管理署管内:平成30年度設定) 新潟県と下越森林管理署の森林総合監理士(フォレスター)等が連携し、佐渡市森林整備計画作成に係る支援を実施します。 新潟県は、林業普及指導事業等による林業、木材産業関係者等への民有林行政上の側面からの支援、下越森林管理署は国有林野事業の実施を 通じて蓄積してきた技術等を基にした管理経営の側面からの支援を行い、地区課題である島外に移出する際のコスト削減となる輸送システムの 検討、木材の安定供給のために林業の低コスト化技術の普及・定着を支援して参ります。 新潟県内の森林管理署等では、市町村森林整備計画の見直し時期を迎える市町村が管内にある場合、その中から1市町村を「民国連携推進地 区」に設定し、国有林の職員が新潟県の職員と連携して市町村森林整備計画の作成・実行監理等を重点的に支援します。今年度は湯沢町と佐渡 市を対象とし、関係する森林管理署が重点的に支援を行います。 7 ◆施業集約化に向けた森林共同施業団地の設定 湯沢町水無地区森林共同施業団地の施業の 集約化を促進し施業箇所の拡大等について、 県、町、事業体と打合せを実施 また、民有林と国有林が連携したシステム 販売の実施に向けての説明会を実施 ◆湯沢町水無地区森林整備推進協定の更新 平成30年3月31日をもって協定期間が終了 する湯沢町水無地区森林整備推進協定について、 施業を継続するため協定を延長 【協定概要】 (1) 協定名 「湯沢町水無地区森林整備推進協定」 (2) 協定者 県南魚沼地域振興局、湯沢町 事業体 (3)協定期間平成30年度~平成35年度 ◆林業の低コスト化技術の普及・定着 平成29年8月24日に実施した、「下刈り回 数の見直しに向けた現地検討会」において、 下刈り回数の見直しとコンテナ苗の取組につ いて事例紹介及び現地調査を実施 (県、市、町、事業体等48名が参加) ◆市町村森林整備計画の作成支援 ◇施業集約化に向けた森林共同施業団地の設定 市町村森林整備計画において、民有林と国有林が連携し森林整備を行 う森林共同施業団地の設定を推進することとなりました。 ◇林業の低コスト化技術の普及・定着の推進 市町村森林整備計画において、伐採から造林までの一貫作業システム の導入に努めることとなりました。

(10)

このほか平成29年度には、上越森林管理署管内において、学識 経験者及びシカ捕獲に関する実践的知識を有するNPO法人を講 師に招き、県内の各森林管理署等の職員を対象とした有害鳥獣捕 獲(わな)研修を実施しました。 今後も、新潟県をはじめ関係機関等と連携しつつ、広域的なシ カ被害防止対策に取り組むこととしています。 下越森林管理署では、スギ人工林においてツキノワグマによる 剥皮の被害が増えてきていることから、クマ剥ぎ被害やクマの目 撃情報、生息痕等について、現場と署が連携して情報の共有を 図っています。 また、被害林分の公益的機能維持と資源の循環利用が可能な森 林施業を目的とし、獣害を受けにくいとされ、スギとは伐採周期 が異なるヒノキアスナロを樹下植栽し、垂直異種の2段林から複 層林へと誘導する施業指標林を設定しています。 平成28年度は、伐採木の選定、保残木への獣害対策テープ等に よる保護対策を実施しました。 平成29年度は、被害木の伐採や植栽を実施。 今年度は、ヒノキアスナロを植栽、新潟県森林研究所との連携 の下、調査プロットを設定し、モニタリング調査を行います。 (1)野生鳥獣被害対策 熊剥ぎ被害にあった造林木 全国的にニホンジカ(以下シカ)等の野生鳥獣の生息域が拡大し、食害 等による被害が深刻化しています。 新潟県内では、明治時代に狩猟圧により姿を消して以来、シカの生息は 確認されていませんでしたが、近年になって上越及び中越地域において新 たなシカの侵入や目撃の情報が確認されました。 このため、上越森林管理署では、平成28年度から上越妙高地域、さらに 平成29年度からは糸魚川地域を加えて、シカの侵入が危惧される地区にお いて、センサーカメラによるシカの生息状況調査を実施しています。 また、中越森林管理署では、平成26年度から尾瀬地域においてセンサー カメラによるニホンジカ生息状況調査を実施してきましたが、平成29年 度から清津川地域等にも拡大して実施しています。 なお、平成29年度からは、新潟県内各(支)署と新潟大学、新潟県及び関 係機関が情報共有を行うなど連携を図っており、今年度は下越森林管理署 でもシカ生息状況調査を実施することとしています。

2.野生生物との共存に向けた取組

熊剥ぎ被害を予防するために 剥皮防止資材を施行した造林地 センサーカメラで撮影されたニホンジカ センサーカメラの設置状況

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上越地域の高山地帯には、蓮華と火打山周辺の2箇所 に特別天然記念物であるライチョウの保護林が設定さ れています。(上越森林管理署(糸魚川市、妙高市 蓮華、火打山周辺)) 苗場山の北側斜面に広がる泥炭湿原や湿原植物 の保護とブナ主体としてアオモリトドマツの点 在する天然生林の保護を目的として設定してい ます。(中越森林管理署(津南町、小松原湿原 生物群集保護林)) イヌワシの生息環境を保全するための森林 施業を実施しています。また、森林性猛禽 類と林業との共生に取り組むため「イヌワ シ等の保全を考慮した森林施業の指針」を 作成しました。 (中越森林管理署(南魚沼市)) 苗場山など来訪者の集中により荒廃が懸念される国有林においては、 森林保護員(愛称:グリーン・サポート・スタッフ)による森林巡 視のほか樹木を損傷しないことやゴミ持帰りなどの入林マナーの啓 発等を実施しています。(中越森林管理署(湯沢町)) トキの保護のため、佐渡島では営巣 候補木を松くい虫被害から守るため の薬剤注入、枯損したマツの伐倒駆 除等を実施し、保存に努めています。 (下越森林管理署(佐渡市新穂)) 日本海からの季節風や塩、砂から民地や農地を 守る役割を果たす保安林及び自然観察教育林で もある乙地区のアカマツ林において、松くい虫 被害の防除事業を継続的に実施しています。 (下越森林管理署(胎内市乙(きのと)) (2)生物多様性の保全 ① 保護林 ② 野生生物の保護 希少な野生生物の保護に向けて、関係者と連 携を図りながら、生育・生息状況の把握や環境 の維持・改善等の事業を実施しています。 日本有数の豪雪地帯に成立するブナ天然林やその遺伝子、高層湿原などの貴重な植物群落、県境の山岳地帯に広範囲に存在する原生的な森 林生態系、特定動物の生息地などを保護・保全するため、県内に3種類、19カ所、約62千ヘクタールの「保護林」を設定しています。 また、保護林を結んで野生動物等の移動経路を確保するため、「緑の回廊」を3カ所、約3万ヘクタール設定しています。 新潟県内の緑の回廊 >鳥海朝日・飯豊吾妻 緑の回廊 >緑の回廊 越後線 >緑の回廊 三国線

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(1)豪雨災害や崩壊地等の復旧 平成23年に発生した集中豪雨により、中越森林管理署管内の南魚沼市・魚沼市・三条市などでは、大規模な山地の崩壊や土石 流によって甚大な被害が発生しました。今年度は、この豪雨災害の復旧工事としてコンクリート谷止工2基(296㎥、752㎡)、現 場吹付法枠工(0.15ha)を施工します。 魚沼市只見川左岸 (平成24年度より着手) 三条市西ノ沢 (平成29年度施工)

3.緑の国土強靱化に向けた取組

近年は、局地的豪雨が頻発する傾向が高まっており、それに伴って山地災害のリ スクも高まっています。また、大雨をもたらす大型の台風の発生も多くなっていま す。 このため、私たちは常に山地災害の危険と隣り合わせであることを認識しなけれ ばなりません。 上越森林管理署では、県内唯一の活火山である焼山を源流とする早川の上流部で 過去の火山活動でもたらされた火山噴出物が堆積しており、降雨等によって下流域 へ流下するおそれがあることから、不安定土砂の流出防止と噴火等により生じる土 石流への下流住民による不安感の緩和を図るため、予防治山工事を実施しています。 今年度はコンクリート床固工1基(435㎥)を施工します。 さらに同署では、民有林における地すべり対策工事で高度な技術が必要な場合等 に国が県に代わって行う「民有林直轄地すべり防止事業」も進めています。 糸魚川市 焼山地区(焼山川)予防治山工事 (平成29年度施工) (平成29年度施工 右岸上部)

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(2)海岸保安林の整備 村上支署では、海岸マツ林において、松くい虫防 除事業を継続的に実施しています。 併せて、平成27年度からお幕場国有林の海岸林 浸食を防止する「お幕場海岸防災林造成工事」に取 り組んでいます。今年度は防潮護岸工87m、丸太 防風柵88m、木製法枠工526㎡を施工します。 また、村上市瀬波地区では、平成8年度から「白 砂青松」の松林再生活動を行っています。平成12 年3月には村上市長と国民参加の森づくり「瀬波夕 日の森」協定を締結し、温泉旅館経営者、区長会、 小・中学校の生徒さんとともに森林整備を進めてい ます。 今年度も引き続き、海岸保安林の整備に努めて参 ります。 村上市 お幕場海岸防災林造成工事 現在(部分完成) お幕場の海岸侵食(平成18年6月) (3)森林土木工事における木材利用の推進 土木工事では従来から木材を利用してきています が、さらにその利用を拡大するため、間伐材等を活 用した治山施設の設置や土木工事で発生した木材を 有効利用する工法など、生物多様性の保全と両立し た取組を推進しています。 今年度も間伐材等を活用した治山施設を設置し ます。 11 平成8年 現在 村上市 松林再生活動による松林の整備 十日町市 音沢区域(ハフクチ) 民有林直轄地すべり防止事業 (平成29年度施工) 木材を利用した丸太残存型枠工の採用 胎内市 乙区域保安林整備工事 (平成29年度施工) 木材を利用した丸太防風柵工の採用

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4.「国民の森林」としての管理経営

新潟県下の森林管理署、支署では、自然観察や林業体験、国民参加の森林づくりなど、国有林を活用した様々な 取組を通じ、たくさんの方々に森林に親しんでいただいています。 (1)遊々の森 森林づくりなどに関心が高い団体と協定を結び、森林とのふれあい活動の支援を行っています 浅草山麓遊々の森 妙高遊々の森 江戸川区の小学生による林業体験 「国立妙高青少年自然の家」と協定を結び、妙高山麓に 3カ所、456ヘクタールの「妙高遊々の森」を設定して います。自然の家では、遊々の森を利用して、登山、森林 環境教育などの様々な野外活動を行っています。 (上越森林管理署(妙高市)) 魚沼市の浅草岳の山麓、230ヘクタールの国有林に、 魚沼市と協定を結んで「浅草山麓遊々の森」が設定され、 小・中学生などを対象とした自然観察、林業体験などに 活用されています。 (中越森林管理署(魚沼市))

(15)

(2)森林教室・野外活動 地域や学校などと連携し、自然観察や林業体験などの森林教室・野外活動を各森林管理署、支署で実施しています。 森林教室(中越森林管理署) 森林の土壌について学ぶ(中越森林管理署) キャリア教育支援<中学生職場体験> (村上支署) 木工教室(村上支署) 高校と連携した体験林業(下越森林管理署) 水源の調査(下越森林管理署) 小学生による間伐体験(上越森林管理署) ミズバショウ観察会(上越森林管理署)

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(3)国民参加による森林づくり 国有林のフィールドを提供し、多様な森林整備や保全活動の要請に対応した国民参加の森林づくりを支援しています。国民参加の森林 づくりには、「遊々の森」を含め6種類がありますが、県内では10カ所、約1千ヘクタールが設定されています。 自然豊かな里山のトレッキング、地域の歴史、文化等の再認識等を通じて、 環境・健康に対する意識の高揚、山村地域の連携・活性化等を目的に、NP O法人信越トレイルクラブが中心となり、日本屈指のロングトレイル「信越 トレイル」が開設されており、地域のボランティア等により、同トレイルの 整備、維持管理等が行われています。(上越森林管理署(上越市)) 佐渡市における伝統的な芸能である「鬼太鼓」を継承するため、太鼓や バチの材料となるケヤキ等を長期的に確保する観点から、国有林野内に 「鬼太鼓の森」を設定し、ボランティアによる保護・保育作業が行われて います。 今年度は、下刈のほかに、光環境を改善するためのスギ伐採等を予定し ています。(下越森林管理署(佐渡市、木の文化を支える森)) 移住環境の保全や住民の交流の場として設定された「苗場ふれあいの郷」 に隣接する森林を整備するため、ボランティアによる樹木の植栽や草刈りを 実施しています。 作業には、苗場ふれあいの郷に居住する住民の皆さんが 多数参加し、年間を通じて美しく整備されています。 また、8月に実施される住民主催のフェスティバル会場としても利用され ており、多くの市民が訪れます。(中越森林管理署(湯沢町)) 三面川のサケを守り豊かな森林を保全するため、「さけの森づくり推進協 議会」が設立され、ブナの植樹や歩道整備、森林教室などの活動が開始され ました。 地元村上市及びボランティア等の協力の下、森林保全活動が継続されてい ます。(村上支署(村上市、社会貢献の森))

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区 分 間 伐 主 伐 新 植 下 刈 備考 合 計 446 391 25 44 (単位) 間伐及び主伐は百㎥ 新植及び下刈はha 上 越 署 7 - - - 中 越 署 131 159 15 21 下 越 署 163 142 9 13 村上支署 145 90 1 10

【間伐等の主要事業量】

平成30年度の予定

15

5.参考資料

区 分 素材生産量 立木販売量 製品販売量 備考 うちシステム販売 うちシステム販売 合 計 90 343 28 90 75 (単位) 百㎥ 上 越 署 3 - - 3 - 中 越 署 30 145 - 30 30 下 越 署 30 71 28 30 24 村上支署 27 127 - 27 21

【森林土木工事】

区 分 地すべり防止工 渓間工 山腹工 海岸工 林業専用道 備考 合 計 8 10 5 1 1,110 (単位) 地すべり防止工、山腹工、 海岸工は箇所 渓間工は基 林業専用道はm 上 越 署 7 3 1 - - 中 越 署 - 3 1 - - 下 越 署 - 4 2 - 650 村上支署 1 - 1 1 460

(18)

【市町村別の主要事業量】

区 分 主伐面積 主伐材積 利用間伐面積 利用間伐材積 保育間伐面積 新植面積 下刈面積 備考 合 計 96 364 157 243 180 25 44 (単位) 主伐材積及び利用間 伐材積は百㎥ 主伐面積、利用間伐 面積、保育間伐面積、 新植及び下刈はha 妙高市 - - 2 4 4 - - 上越市 - - - - - - - 糸魚川市 - - - - - - - 加茂市 - - - - - - - 三条市 18 52 29 35 - - - 魚沼市 - - - - - - - 長岡市 - - - - - - - 柏崎市 - - - - - - - 南魚沼市 2 4 10 20 - 5 6 湯沢町 35 102 56 69 8 11 15 十日町市 - - 1 2 - - - 津南町 - - - - - - - 胎内市 3 10 2 2 7 - - 新発田市 9 60 38 68 57 2 6 阿賀野市 8 16 1 1 - - 1 佐渡市 - - - - - - - 阿賀町 8 48 - - 30 7 6 五泉市 - - - - - - - 村上市 12 66 18 42 30 1 1 関川村 1 6 - - 44 - 9

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17 国有林の分布と森林管理署等の位置・所在地 下越森林管理署 下越森林管理署 村上支署 中越森林管理署 上越森林管理署

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上越森林管理署 〒943-0172 新潟県上越市大道福田555 TEL:025-524-2180(代表) FAX:025-524-2189 http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/joetu/index.html 中越森林管理署 〒949-6608 新潟県南魚沼市美佐島61 -8 TEL:025-772-2143(代表) FAX:025-772-2635 http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/chuetu/index.html 下越森林管理署 〒957-0052 新潟県新発田市大手町4丁目4-15 TEL:0254-22-4146(代表) FAX:0254-22-4148 http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/kaetu/index.html 下越森林管理署 〒958-0033 新潟県村上市緑町3丁目1-13 村上支署 TEL:0254-53-2151(代表) FAX:0254-53-2153 http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/murakami/index.html 森林管理署等の所在地 五頭山より新潟平野を望む (下越森林管理署(阿賀野市))

参照

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